( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1372396645/
1 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/06/28(金) 14:17:25 ID:PjQGMrTo0
( ^ω^)おいすー。ここは夏の祭り、百物語専用スレだお!
      祭り開催まではルールの確認等自由に使ってほしいお!

( ^ω^)とりあえず今決まっているルールは
      以下の通りだお!

・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
  レス制限無し。

  スレ立て
  ↓
  百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
  ↓
  投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)

・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る


前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/

( ^ω^)他に変更点、疑問点ある方はなんでもいってほしいお!

2 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/06/28(金) 15:06:50 ID:PjQGMrTo0
使用する蝋燭AA


  .,、
 (i,)
  |_|


  (
   )
  i  フッ
  |_|




※まとめについて

現状未定
これからまとめさんの方にお願いしにいく予定です

3 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 16:29:14 ID:jWQG6aUc0
きたか…!!

  ( ゚д゚) ガタッ
  /   ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
  \/   /

4 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 17:46:07 ID:hkr73JncO
スレ立て乙!

5 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 18:06:48 ID:A8Tq4NsA0
もうそんな季節か

6 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 19:35:25 ID:CfxGBveM0
一年たったのに俺は何も変わっていない……やべぇ怖い怖い

7 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 19:57:39 ID:C8LjTJ6IO
スレ立て乙やでー!

8 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 20:04:39 ID:060wPJzE0
若干早漏感が否めないスレ立て乙

9 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 20:21:49 ID:CG7AU8gc0
おつおつ!

10 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 22:02:06 ID:3BJRez6c0
スレ立て乙です!
楽しみだなあ

11 名前:名も無きAAのようです :2013/06/28(金) 23:59:25 ID:etSqoNFg0
もう年中祭りで毎回参加者同じだな

12 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 00:04:40 ID:0R0y6fgI0
でも酉付き作者が居なくなったから個性が減った気がする
全く酉付けなくなったね

13 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 00:54:34 ID:QavajHrs0
おつ
今年は参加するんだひゃっはー!

14 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/06/29(土) 01:28:43 ID:XJX01zmk0
早漏?
そんなもんはしらねぇぜ
とりあえずまとめ探してます
まぜこぜ様に一応依頼してみました
文丸新聞様はどうやらやるかどうかお悩み中のようなので様子を見て頼んでみます
でもよく考えたらまぜこぜ様って総合まとめだっけ......やっちまったかな......

あと祭り開催場所についてですがシベリア、小説板2はどうしましょうか?
そちらの方でも参加可能にするのなら許可をとらなきゃいけない(確か)のですがシベリア、小説板2を使えるようにした方がいいですかね?

15 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 01:34:41 ID:QavajHrs0
本スレに報告有りならいいんじゃないか
投下側としては選択肢が増えるのはありがたい

16 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/06/29(土) 01:41:38 ID:XJX01zmk0
とりあえず小説板2に依頼を出してきました
しかしシベリアは私は規制されているせいで書き込むことができませんでした......むぅ

17 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 02:12:34 ID:Mw9bLyUY0
ほんとにもうこんな季節なのか、時間は早くて泣きたくなるわ
ホラーの数々(じゃあないのも)、楽しみにしています

18 名前: ◆mzkz/7EEZc :2013/06/29(土) 02:39:42 ID:9tPdD/e60
遅くまでお疲れ様です。まぜこぜの中の奴です。
ウチでいいんですかね? まとめちゃいますよ?
というわけでノリ気です。

とりあえず宣伝用に書いていた記事を整理しました。
スマホ向けに文字サイズ変え始めて迷走気味ですが。
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-755.html

「ここはこうしろよ使えねーなクソが」などなど
意見とか要望とかございましたらご気軽にどうぞ

19 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 02:45:21 ID:v6I1XOdM0
ふひゃーありがてぇ!
見やすいしわかりやすい、これはGJだぜ
今回はよろしく頼んますー乙です

20 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 03:55:25 ID:dO6g7.YU0
やった!ちゃんとまとめられるんだね!
まぜこぜさんありがとうございます!

21 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 10:26:13 ID:qMch5pKI0
まとめきたあああああああ!!
まぜこぜさんありがとう!

22 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 12:06:17 ID:r6Lphjg60
流石まぜこぜっ!
俺達に出来ないことを平然とやってのける!
そこにしびれる! 憧れるゥ!

23 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 12:20:45 ID:8EJA.S/kO
やった!
まぜこぜさん超イケメン!ありがとう!!

24 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 14:05:18 ID:nczWmIwc0
まぜこぜさんイケメン!抱いて!!!

25 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/06/29(土) 15:49:12 ID:qz1lgPGQ0
>>18
うおおお!
いきなりのお願いだったのにありがとうございます!
ということで今年の百物語のまとめ様はまぜこぜさんになりました!


追記
ルール変更について書き忘れていたので
ルールの変更などのご意見は七月の終わりまでです
ですが変更には話し合いなども必要なのでなにか今年は変化させたいとお考えの方はなるべくお早めにお願いします

26 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 17:54:24 ID:8EJA.S/kO
質問なんだけど、短編連作みたいな形での参加は大丈夫?
もちろん続き物じゃなくて、単品でも読める形にはする

27 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 18:47:27 ID:XSC2ibZw0
>>26
スレ立てしてその中でいくつかの短編を書くってのが去年あった
蝋燭は短編ごとに一本

28 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 20:00:14 ID:RdxOEicMO
>>26 それぞれの恐怖でスレタイ検索してみ

多分まだ残っている

29 名前:名も無きAAのようです :2013/06/29(土) 21:20:46 ID:8EJA.S/kO
ありがとう。どうするかもう少し考えてみる。

30 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 19:39:25 ID:pfLIJcus0
おー楽しみ

31 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/02(火) 21:00:27 ID:jTeQz93A0
シベリアに交渉するとかいっときながら規制でかけない......どなたか代わりに話をして来てはもらえないでしょうか?

32 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 21:13:02 ID:5dfetSeg0
シベリアが規制ってそれギャグで言ってんのか…?

33 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 21:17:24 ID:8xobXFBoO
あそこは唯一規制ない板だぞ

34 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 21:21:20 ID:ovo202pg0
シベリアも規制あるよん

35 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/02(火) 22:03:33 ID:mdCmPufI0
wifi→おかしなホストとかいうので書けない
携帯→ログインが必要(●がない)ので書けない

こんなんで書けなくなってます
どなたかお願いできないでしょうか?

36 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 23:08:36 ID:5dfetSeg0
まあ俺もシベリア民の一角だし、一応伝えとくわ…
って言っても何を伝えればいいのやら

37 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/02(火) 23:14:33 ID:tRYGm9RA0
今年の夏も祭りに百物語を行う予定なのですがその際の投下場所としてこちらも利用してもよろしいでしょうか?
期間としては八月九日(金)から十八日(日)までを予定しています


↑これを届けると助かります
ん?シベリアって管理人みたいな人っているよね?
規制されてて見てないからあそこがよくわからないんだ
一応許可とかは、必要だよね?

38 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 23:20:01 ID:5dfetSeg0
管理人とかいるのかね?俺もよく知らない
まあでも基本自由自治でお祭り好きが集まる場所だし、普通に乗ってくれると思う。

39 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 23:20:29 ID:0YgHUkNg0
シベリアは2chなので、創作板とはまた管理形態が違うよ
シベリア図書館主催でイベントってのはあったけど、他板主催のイベントの投下場所として使われたことはなかったような気がする
聞いてみないことには話にならないので、とりあえずシベリア図書館に上のレス届けてくるわ

40 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 23:24:46 ID:0YgHUkNg0
>>37をシベリアに郵送してきた

41 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/02(火) 23:28:24 ID:aZEAf5OI0
んーVIPみたら祭り反対派もいるもんだなぁ
いやならちゃんと意見聞くっていってるからこっちに直接くりゃいいのに

>>39-40
あーそういや言われてみりゃ確かにこっち主催の祭りであそこに投下してる人いなかったね
まあとりあえず様子見かな?
郵送、ありがとうございます

42 名前:名も無きAAのようです :2013/07/02(火) 23:39:09 ID:0YgHUkNg0
イベントがあると文句言う人が出るのが恒例行事だから、別に気にしなくてもいいんだぜ
祭りが連発してるわけじゃないし、特に問題ないと思う

シベリアの方はとりあえずは返信待ちだね

43 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/02(火) 23:47:43 ID:aZEAf5OI0
>>42
まあ恒例のあらしだとは思うがね
毎回毎回更新ソクドガーソクドガーってちょっとね......
毎日創作では作品が投下されているのにこれ以上の速度を求めるってどういうことよって感じですわ
まあ百物語と関係ないからこれ以上は言わないけど

とにかく郵送�くす
次の祭りからはこういう人がでないくらいに盛り上げましょうか
まだ私は話の構想すらないけど......

44 名前:名も無きAAのようです :2013/07/03(水) 01:47:58 ID:xAOplpRw0
VIPに出没してたのが新規の荒らしなのか犬の残党なのか判断に困るでござる
まぁどっちにせよ規制で書き込めないんだけどさ

祭が嫌な人は居るかも知れんがハメ外しすぎて他所に迷惑かけてない限り文句言われる筋合いも無いわなぁ
もとよりネットなんだから見ない自由も参加しない自由も最大に保証されてるんだし

45 名前:名も無きAAのようです :2013/07/03(水) 18:18:57 ID:2ilK7QMsO
>>37 シベリアだからって深く考えることないよ
板のローカルルールと図書館内規約に則ればね

2010年の百物語は図書館主催だし、否定的な意見も出てない
30レス以下にしろ期間内連載にしろ絵の投下にしろ、投下したものの代理頼むにしろ、問題無いはず。

46 名前:名も無きAAのようです :2013/07/03(水) 19:25:26 ID:2ilK7QMsO
>>45 に追記

ブーン系小説シベリア図書館に、特定個人の管理人なんて居ない

何かあればみんなで話し合って決めてるし、板全体との交流もイベント企画も完結記念カード発行などの機能も
図書館を題材にした話も、誰が職員として語るのかも

別に決まってない。

47 名前:名も無きAAのようです :2013/07/04(木) 00:05:08 ID:9WkN23H2O
図書館住人と創作板住人って憶測だけど八割くらいかぶる気がする

48 名前:名も無きAAのようです :2013/07/04(木) 14:40:40 ID:aCi5FLOc0
創作板からまったく出ない俺みたいなネット引きこもりもいるんですよ!

49 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/07(日) 00:02:18 ID:hrDAsusA0
( ^ω^)おいすー。元気かおー?


( ^ω^)ブーンは風邪気味だお!現行も百物語の短編もかけてないお!不味いお!


( ^ω^)なんかあまりにもなにもしないとヤバイ気がするから現状報告だお!


・投下場所について
ご存じの通り、百物語の投下時間は制限があるので投下にはかなりスレが混雑することが想像されます。
今回の百物語ではシベリアの使用も許可(?)されたので本スレで投下しようと思ったら他の人が投下していた場合はシベリアを利用するのもありかもしれません
ただし、シベリアにはシベリアのルールがあるのでしっかりとご確認ください
また小説板2につきましては返信がないため今回はなしとしようと思います
ただ、今後の管理人さんの動き次第ではありにしようかとも思いますがあまりに分散しずぎるとまとめ様も読者も大変なので今のところはこの方針でお願いします


( ^ω^)報告は以上だお!

50 名前:名も無きAAのようです :2013/07/07(日) 14:30:35 ID:XOrBC/4M0
百個前後の話が集まるのかと思うと被りが気になって筆が止まり夜も眠れないんだが

51 名前:名も無きAAのようです :2013/07/07(日) 16:59:04 ID:4KTkfXWU0
なんだかんだで去年も無かったから大丈夫だ

まあその分去年でネタ尽きて被るかもしれんが

52 名前:名も無きAAのようです :2013/07/07(日) 23:05:52 ID:/xk/wjN2O
>>50
被るからなんだというのだ
一字一句、文体、キャラクタ、ストーリー、緩急などなど様々な要素のうち一つ二つ被っていようと、全て被っていない時点でまったく異なる話だよ

気にする方がおかしいし、気にし出したら何も書けないぞ。そもそもみんなしてホラーだのオバケだの書く祭りなんだから。

53 名前:名も無きAAのようです :2013/07/08(月) 00:14:52 ID:0QKuH5ws0
一字一句、文体、キャラクタ、ストーリー、緩急などなど様々な要素が全て被った作品が出来上がったとしたら
それはもはやホラー

54 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/08(月) 01:40:07 ID:B1oKAX1k0
>>50
被ってなにが悪い!
面白ければ正義!
自分で考えた話なら尚更だ!
誰も文句は言わんしそんなこと気にせんでもいいことよ

55 名前:名も無きAAのようです :2013/07/08(月) 20:48:36 ID:y1fdLk8c0
去年は投下なかったんだが1レス作品はありか?
短いならではの怖さみたいな…だめかな

56 名前:名も無きAAのようです :2013/07/08(月) 20:50:51 ID:GogoZ2m.0
>>55
本スレについては上限が定められてるだけだからおk

57 名前:名も無きAAのようです :2013/07/08(月) 21:07:54 ID:y1fdLk8c0
おkなら早速書くわ
ありがと

58 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 14:08:05 ID:VJJwDdx20
2010年シベリアは図書館館長、去年は幽霊ブーン
さて今年は誰が来るかな

59 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:03:09 ID:4ZmrcFYI0
百物語楽しみすぎてポスターみたいなの描いたよ!
http://imefix.info/20130710/501067/rare.jpeg

60 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:11:07 ID:y1TwunPw0
>>59
すげぇうめぇ
おっぱい!!

61 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:12:27 ID:N5lzg/Gk0
>>59
いいねいいね!
テンション上がるわ

62 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:13:56 ID:LN/fEd8U0
>>59
妖しく怖いホラーっぽい雰囲気でてるな!

63 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/10(水) 23:14:14 ID:h8lkURFo0
>>58

( ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/   /
     ̄ ̄ ̄

( ゚д゚ )(......どうしよう)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/   /
     ̄ ̄ ̄


>>59
おお乙!
ち、ちなみに絵のなかのおっぱいのお話はどなたか書いていただけるんですかねぇ......

64 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:20:11 ID:sgKqWkIU0
ポスターかっこいいおっぱい!

65 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:22:10 ID:/5BZvP3w0
お前らおっぱいに反応しすぎだろ

66 名前:名も無きAAのようです :2013/07/10(水) 23:31:03 ID:4ZmrcFYI0
おっぱいだから仕方ないね

67 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 00:00:48 ID:T5OadonY0
おっぱいおっぱいうるせえぞこのおっぱい共がおっぱい揉むぞおっぱいおっぱい!

68 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 00:30:19 ID:I/maK6Ro0
なんてこった
このスレジョルジュしかいねえ

69 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 00:32:49 ID:1J/hVKzg0
  _
( ゚∀゚)o彡゜

70 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 00:33:34 ID:/QLigG9U0
以下この祭は濃厚なおっぱい祭となります

71 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 00:43:10 ID:T5OadonY0
なんてこった、おっぱいの右上の絵がスペルマにしか見えねえ……

72 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 01:27:04 ID:U3OB39dcO
男の子って本当に馬鹿なんだから

73 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 01:29:26 ID:fMCQvEUE0
>>71
お前のせいで

74 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 14:10:49 ID:LAR4T3x60
おっぱい!おっぱい!

75 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 15:33:28 ID:ebPAMGCY0
おっぱい! おっぱい!! おっぱい!!! おっぱい!!!!!!!!111

76 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 15:48:39 ID:dY.LTGYI0
なんだおっぱい祭りだったのか

77 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 16:49:23 ID:Iryv.DPw0
キンタマの次はおっぱいかよ、お前ら本当に節操ねえのな

78 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 17:01:31 ID:xq9Z1hR.O
なんか伸びてると思ったらおっぱいだったか

79 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 18:02:41 ID:28Cyy5V.0
百物語2013スレを開いたと思ったのにとんだおっぱいスレに迷いこんじまった

80 名前:名も無きAAのようです :2013/07/11(木) 21:18:23 ID:uuga1nYQ0
おっぱいってすげぇな…

81 名前:名も無きAAのようです :2013/07/14(日) 14:45:35 ID:AyMLuRVY0
【レス抽出】
対象スレ:( ^ω^)百物語のようです2013( ω  )
キーワード:おっぱい
検索方法:マルチワード(OR)

抽出レス数:15

これは当然すべてが>>60以降のレスだ
ポスターが投下されてからの20レスのうち、実に75%のレスに「おっぱい」という単語が含まれている計算になる



…………で、ここなんのスレだったっけ?(忘却)

82 名前:名も無きAAのようです :2013/07/19(金) 12:21:19 ID:wUUGpRxE0
今年こそ約束を果たす!

83 名前: ◆mzkz/7EEZc :2013/07/20(土) 22:16:07 ID:QrLGAmEc0
背景色等いじって、こんな感じにまとめる予定です
ご意見ありましたら是非なんでも
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-category-13.html

※PC推奨。ガラもしの人はごめんなさい。
  スマもしはPC版表示なら一応見る事は出来るはず。
※作品個別のページに行くと元のデザインに戻る仕様です。

84 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/20(土) 23:51:52 ID:z48DKqI.0
>>83
おお!わざわざありがとうございます
背景の色が怪談の雰囲気満載ですな
見やすいですしホント感謝感激

85 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 23:55:58 ID:mHmSeezo0
まぜこぜさんすげえええええ!!
ありがとうございます!

86 名前:名も無きAAのようです :2013/07/20(土) 23:59:59 ID:Cbz1yRlE0
流石まぜこぜ

87 名前:名も無きAAのようです :2013/07/21(日) 00:15:08 ID:pcLfUYIc0
これはすごいな…俺も何か書こうかな

88 名前:名も無きAAのようです :2013/07/21(日) 03:14:03 ID:Crn8rqTI0
>>83
>(,,゚Д゚)書きためが消えるようです
タイトルだけでゾッとするわ…

89 名前:名も無きAAのようです :2013/07/22(月) 20:20:43 ID:SQD5QRSg0
気の向くままに書いていたらバトルものになっちゃったのだけど、良いのだろうか

90 名前:名も無きAAのようです :2013/07/22(月) 20:46:45 ID:4IipnDjcO
それのどこが問題なの?

91 名前:名も無きAAのようです :2013/07/22(月) 20:58:03 ID:0kxnEOig0
むしろそれをシリーズ化させて投下しちゃえば最高にモーマンタイだぜ!

92 名前:名も無きAAのようです :2013/07/22(月) 22:09:17 ID:ZGPQO/PQ0
こじつけが通用するギリギリのライン狙ってるやつとかいるんだろ?

93 名前:名も無きAAのようです :2013/07/22(月) 22:45:28 ID:V64N3JEc0
>>92
(ギクッ)

94 名前:名も無きAAのようです :2013/07/27(土) 11:40:22 ID:s6Psh8iE0
去年より2倍くらい作品投下されたら、二百物語になるな

95 名前:名も無きAAのようです :2013/07/27(土) 11:41:50 ID:8e03ljnQ0
来年は三百物語だな

96 名前:名も無きAAのようです :2013/07/27(土) 11:45:00 ID:BinuNbh60
逆に今年は十物語くらいになる可能性も

97 名前:名も無きAAのようです :2013/07/28(日) 22:17:53 ID:pGEqXXjY0
逆に101匹ワンちゃんになるかもしれん

98 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 02:43:24 ID:OdvWEtEs0
蝋燭AAも入れて30レス内なんですかね…?
まだブーン系初心者なもんで…誰かヘルプお願いします

99 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 03:23:11 ID:wrXvlEpk0
>>98
ブーン系プロの俺から言わせてもらうと迷った時は
「ごめん区切りミスってオーバーしちゃったぜ!!」とでも言って投下すればだいたいなんとかなる

マジレスすると「投下後に話数宣言」だから蝋燭抜きで30レスでおk

100 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 09:46:25 ID:OG./D8QI0
書き溜めが完成しねぇ…

101 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 10:34:21 ID:IH5dBmXM0
>>100
おまおれ

102 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/31(水) 10:38:51 ID:xAgMV3tw0
おうお前ら!
後一週間くらいで開催だぞ!
しっかり書き溜めか絵を書いとけよ!

>>98
もちろん含まないよ
お話のレス数が30以内ってだけなので全然平気です

>>100
おれおま

103 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 11:33:53 ID:TPdzGXQU0
お前らまだ書きあがってねーのかよwww遅筆乙wwww



さて、かくいう私もテキストファイルが真っ白でね

104 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 20:12:08 ID:OdvWEtEs0
>>102
>>99
なるほど 教えてくれてありがとう!!(`・ω・)!

105 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 20:21:58 ID:9gczTfpM0
今聞くのもなんだが、ホラーなら何でもいいんだよな?

何 で も い い ん だ よ な ?

106 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 20:41:28 ID:6q/HOI5o0
人知の及ばない何かが登場していないと駄目らしい

107 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 21:00:37 ID:refIKoQU0
狭いようでいて超緩いな

108 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/07/31(水) 21:11:10 ID:4rQNPqOI0
ふと思ったけど祭りを始めるとき新しくスレ建てた方がいいのかな?
それともこのスレをそのまま投下スレとしておk?


>>105
いいよいいよ
ただ絶対投下しろよ!?
お前もまだメモ帳が真っ白とかやめろよ!?


>>106
ホラー、もしくは人知外の出演が条件だから必ずしもそういう何かが出てなきゃ行けないって訳でもないですよー

109 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 21:23:12 ID:9gczTfpM0
>>108
おおありがたい
投下予定の三作品中一つが人間恐いモノだから

110 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 22:44:12 ID:bO/OjJzQO
俺なんて前回、『物音の正体がゴキ〇リかもしれない恐怖』を書いて、オバケなんて一切出ない、登場人物ミルナ1人だけっていう話を投下したぜ!

それにくらべたら人間の恐怖なんて…。

111 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 23:09:42 ID:y4Wz26x.0
あの話そういう意味だったのか

112 名前:名も無きAAのようです :2013/07/31(水) 23:45:22 ID:5/BHf63sO
>>108
このスレでいいと思うー


開催日までまだ時間あるし、過去の百物語の感想会でもする?

113 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/01(木) 00:38:20 ID:0HxblYL20
>>112
そかそかサンクス
じゃあ開会宣言でも考えとこうかねぇ......

あ、感想とかは自由に使っていいよー
盛り上がるんだったらなんでもウェルカムですわ

114 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 01:31:17 ID:Ut8Pw/Uk0
>>113
楽しみにしてるんよー

ほいじゃ過去の百物語読み返して、開催までの間に感想書いてくるん

115 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 15:48:33 ID:aH3eemKU0
C:\Users\sugaya\Pictures\1375339287PszlV28iu705xMc1375339287.gif


|ω・`) ふと蝋燭のgifでも作ってみようと思った結果がこれだよ…
    ……ドットなんて初めてやった…もう二度と触らない…

116 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 15:55:19 ID:1LKyQGbk0
C:\Users\sugaya\Picturesっておい
お前わざとだろこれ

117 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 16:17:30 ID:aH3eemKU0
あばばばばば自分用のとまちごうたtぁtぁtttttなぜかくにんせんかったじぶん
どうしよう

118 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 16:18:25 ID:JRKvmy160
菅谷くんチーッス

119 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 16:28:53 ID:C1HHeFSs0
菅谷くんマジ?

120 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 16:31:24 ID:1LKyQGbk0
まあ気にすんなよ菅谷、間違ったもんは仕方ないだろう
それより折角だから菅谷が作ったgifをちゃんとアップロードしようぜ

121 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 16:36:39 ID:DoSqcorE0
ろうそくGIFで汚名返上しようぜ菅谷

122 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 18:43:13 ID:AajwxqpkO
なんということだ、まだ始まっていないというのに菅谷という悲しみに満ちた存在が生まれてしまった

123 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 20:01:41 ID:RsdEfb8o0
菅谷のロウソクが欲しいのっ///

124 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 22:52:19 ID:mbR9OTaA0
おっぱいスレになったり菅谷スレになったり忙しいスレだな

125 名前:名も無きAAのようです :2013/08/01(木) 22:57:19 ID:SSKhMpoU0
間とってここは菅谷に突然おっぱいができるという怪奇現象に怯えるホラーなスレってことで

126 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 01:16:47 ID:F5Ie7lLY0
何となく、今年は百も投下されなさそうな予感がしてるんだけど
みんなどうなの、書けてるの?

127 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 01:21:08 ID:DiaaA1v60
短編なら七月のうちに書き上げた

128 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 01:23:34 ID:/MyhQaVk0
のび太のおばあちゃんの思い出観ながら書いてた

ううん嘘書いてなかった泣いてた

129 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 01:25:55 ID:HokP9jcU0
自分は途中まで書けてた話もあったし色々思いついてたけど書けなくなっちゃったから去年のペースだと百行かないかもしれない
ので!自分の分も誰か頑張ってください!

130 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 11:28:40 ID:s/I3k1.M0
八月九日とかまだまだ余裕じゃねって思ってたら、
あと一週間しかねぇじゃねぇかうわぁあああああ!!
まだ真っ白ぉぉおおぉあおあおあおあおおあおあおあお!!!

131 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 15:18:43 ID:bACvbw7w0
>>130
おいやめろ

132 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 19:03:45 ID:N/THKyl60
現実を見ろ

133 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 20:51:33 ID:NnEshJ4s0

     ∧_∧       ∧_∧
    ( 現実)      ( ; ' A`)
  三 (  つ つ     (つ   ,ノつ
  三 人 ヽノ      / ゝ 〉
   (__(__)     (_(__)




                ∧_∧     ∧_∧
               (;Д⊂彡  三現実  )
              ⊂    ノ  三G(   こつ
                人  Y    三(_,\ \
               し (_)        三___)





       ∧_∧     .   .    ∧_∧
       ( フ現実)フ   ::∧_∧: ⊂(現実 ,)
    )))(    )ノ    :( ∩∩ ).   \    )(((
      / / /     ::(´ ノ ノ::     ( (  |
      (_)_)     ::( ̄__)__)::     し(_)

134 名前:名も無きAAのようです :2013/08/02(金) 20:59:10 ID:lf29AtrE0
コッチヲミロオオオ!!

135 名前:名も無きAAのようです :2013/08/03(土) 02:52:31 ID:sNU2pE7k0
っしゃあああああああああああああああああ!!!!二作品目書き終わったあああああああああああああ!!!!

136 名前:名も無きAAのようです :2013/08/03(土) 05:03:40 ID:JmIWi3gUO
乙すなぁ!

さすがに開催まで一週間切ると、毎晩わくわくするわ!

137 名前:名も無きAAのようです :2013/08/03(土) 12:24:36 ID:zrSrYxG.O
書いてはいるが、間に合う気がしない……

138 名前:名も無きAAのようです :2013/08/05(月) 03:49:25 ID:tGZnuPbUO
初日辺り(出来てる分)と最終日辺り(駆け込み分)は投下多そうな予感
中盤の勢い分もちゃんと用意しとくんだぞ

(偉そうに上から目線の私はまだ出来てません、出直しますごめんなさい開催が楽しみでつい

139 名前:名も無きAAのようです :2013/08/05(月) 21:19:48 ID:q/Cj9eFg0
既出かも知れんが質問
これってスレ立てして投下開始報告したあと、投下しきらないとだめなのか?
ラノベみたいに現行として延長させるのはだめなのか?

140 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/05(月) 23:20:35 ID:ozzIGj4I0
>>139
それはスレ建てしてもらえれば構いんよー
ただ投下を開始したらそれの報告はお願いします
蝋燭の本数数えなきゃなんで......はぁ......

141 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 21:12:47 ID:TG2jVifM0
開催が待ちきれなくて百物語のポスターグラフィックみたいなの作ってみたよー (^o^)ノ
http://imefix.info/20130806/211221/rare.jpeg

「なんでMacBook Airなのに画面はWindows7なんだよ」とかってツッコミはナシの方向で^q^

142 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 21:23:33 ID:6tYAWfi60
あらやだスタイリッシュね
GJ!

143 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 21:31:03 ID:5A6RgsvE0
すごいキレイでいいね!グッジョブ!

144 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/06(火) 21:33:52 ID:dzQXZmg60
ちなみに>>140で連載ありっていったけど書き溜め終わらないからってスレ建てして何とかしようとしてるやつはいないよな、な!?

>>141
なにこれかっこいい
どうしよう司会者としてすごくハードルが上がってく......

145 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 22:01:08 ID:u0uGMZbY0
>>141
おおかっこいいなこれ

>>144
ごめんそれ俺だわ・・・・・・

146 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 23:14:55 ID:iWDQzG.g0
とりあえず開幕と閉幕挨拶だけ考えてくれりゃいいのよ

147 名前:名も無きAAのようです :2013/08/06(火) 23:33:40 ID:u0uGMZbY0
司会は最初の開幕と閉会の挨拶をしっかりして、各投下日の投下開始前用に一言二言用意しておけばおkだと思う
スレ立てとかはこちらでも代行できるし、フォローはするぜ

148 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 00:36:27 ID:X6jWNrYk0
>>141
醸し出される大人の休日感
センスある

149 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 05:46:14 ID:FuOkQic.0
投下少なくて人目につかない時間を見極めるセンス

150 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 14:48:29 ID:pIKRuRSIO
>>141
これそんなにセンスあるか?
いや煽りをしたいわけじゃないし気を悪くさせたら申し訳ないが
構図はともかく、文字のやっつけ感、妥協感が酷い
お前ならもう少しやれたんじゃね?て思った

151 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 15:30:52 ID:wn3w8796O
>>150
何が言いたいかはわかったが、最初の一行目はいらないと思うんです><

152 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 15:33:53 ID:37m0zWcY0
もしもし氏ね

153 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 15:40:22 ID:.2ebwvbQ0
>>150
ふむ、まぁ感じ方は人それぞれだからそう感じたこと自体を否定はできないわな
なのでもっと具体的にどんな文章、書体、スタイルならばもっと向上できたかを頼む
それがないとやはり単にケチを付けるのと変わらんからな

154 名前:名も無きAAのようです :2013/08/07(水) 17:18:38 ID:BXoQ1Xrk0
やっつけって言うのはこういうことを言うんだぜ
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1091.jpg

155 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 00:17:10 ID:dOxCbEUc0

鯖移転から調子が思わしくないし、
したらばがダメになったら、シベリアに避難となりそうなので、
もしもの時のために、シベリアの仕様をざっと書いておく。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  
  【連投規制】    30秒    (一回書き込んでから待つ時間)
  【1レスの容量】 2048byte (創作板の半分、なので大型AAは注意)
  【1レスの行数】 30行 
  
  
  ・行頭行末の改行が無視される(全角スペース等で対処)
  ・バイバイさるさん(支援がないと投下が止まる)
  ・忍法帖はない、はず
  
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

以上、板の仕様に加えて、
シベリアのブーン系独自の規定(シベリア図書館のテンプレ>>2-4)があって、

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  
  ・板内のスレ立て禁止 (投下はすべて図書館で行う)
  ・30レス以下推奨、ながら投下・安価禁止 (専用スレ投下とほぼ同じ)
  ・連載の場合、期間は2ヶ月以内
  
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


その日以外投下できないとかで急いでいて、
シベリアで投下したいって場合は確認してもらえると。

何かあっても、基本的には起きてから対処を考えれば良いし、
まとめとかでアナウンスできれば混乱も避けられると思うけど、一応ねー。

156 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 00:46:40 ID:rPf.UmvQ0
シベリアのさるさんは強力だからなぁ、ひっかかったら焦って書き込まないで待つとよろし
見ている人は、さる解除のためにも何か書き込んであげること推奨

どのくらいで解除されるかはわからんが、長くても一時間程度で解除されると思う

157 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 19:32:44 ID:wpumga1QO
今年の百物語は何人の兄者が命を落とすことになるのか…

158 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 20:13:21 ID:4yWCixJE0
止めろwwwww兄者題材のバカオカルト書きたくなるだろwwwww

159 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 20:39:26 ID:k6JwMNUE0
何故か弟者は死なずに兄者が死ぬよな
キャラの宿命か

160 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 20:57:47 ID:SvPyldFg0
去年1死兄者と2不幸兄者生み出したけど今年は1不幸兄者すら書けなかったなぁ…

今年は死亡率一番高いのは誰なんだろう

161 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 21:45:35 ID:xdWoXB5U0
双子はホラーで使いやすいんだよな……
かくいう私も去年は幾人もの兄者を死に追いやったものでね

162 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:01:38 ID:SvPyldFg0
少なくとも去年は6死兄者か
どちらかというと元から死んでるとか死んでないけど不幸が随分多かった

163 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:15:29 ID:sb1QXta.0
廃墟で肝だめしをするようです

友好を深めようと、町外れの有名な廃墟で肝試しをすることになった八人の男女。
巫女さんのクー、弟者の背後に隠れる兄者、オカルト好きのドクオなど、個性的な面々が揃い、いざ廃墟へと踏み入る。

私は最初、ゆるい青春ものかなと思ってたんですがすぐに、(あっ、これマジなやつだ……)と考えを改められました。
そんなわけで覚悟しつつ読み進めると、恐怖的展開のオンパレードで、すごく贅沢。
一人目のホラーシーンから一気に加速してゆく物語は、本当に目が離せませんでした。
本当に怖かったです。



夏の幻のようです

神社の夏祭りに、一人で向かうドクオ。
出会ったのは、「もし」などと声を掛ける、ちょっと古風な(イメージ)女の子だった。

このお話しは自分の琴線に触れまくり、音を奏でまくりでした。
横笛とかの和な音楽が流れるなか、境内には屋台が立ち並んで人でいっぱい。
普段の静かな様子がまるで嘘みたいな、祭り時の神社ってすごく心が躍る。それを思い出させる物語でした。

そんな神社で出会った女の子と、祭りを楽しむドクオ。
最後はちょっと怖さがあって、温かさがあって、つい読後ニヤニヤしてしまうお話でした。

164 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:16:59 ID:sb1QXta.0
( ・∀・)滑落、ふたりぼっちのようです

登山中、足を滑らせて崖から転げ落ちてしまったモララー。
近くには川が流れており、食料もあったため、しばらくその場で助けを待つことにするが……。

足を負傷してしまい動きに動けないモララー、テント、見つけてしまった死体。
この絶望感しかない状況に、そのうえ襲い掛かる不可解な出来事。

周りに人が誰もいない、いつ助けがくるかも分からないなんて考えると、確かにこれは気が狂う。
一人ぼっちのあの人は、さびしかっただけなのかもしれませんね。



('A`)とメリーさん? のようです

知らない番号から掛かった電話に出てみると、相手はもはや都市伝説の代名詞、メリーさん。
そんなメリーさん?と何度か通話しているうちに、ドクオはあることに気付く。

メリーさんものはいろいろなところで語られていますけれど、これはまた良メリーさんコメディ。
よくある、どこどこにいる問答で新鮮な場所があったり、ドクオの成長が素敵だったり。

メリーさんとの最後の会話には感動して胸が熱くなりました。

165 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:18:18 ID:sb1QXta.0
(*゚ー゚) しぃのようです

先輩の伊藤さんと○オンに買い物に行くことになったしぃ。
洗い物を片付け、着替えをして、彼女は部屋を出るが……。

不条理な出来事は笑える場合もあるけれど、これは恐怖のほう。
そういう場面にフッと落ちていったときに、一体何ができるのでしょう。
何もかもわからなくて、泣いたり呆然とすることしかできないよねえ……

ところでスーツで黒い鞄って、確かには書いてないけれど喪服を想像してしまってさらに寒気が。
日常の隙間に異物ってかんじで好きです。



ξ゚听)ξ 光も陰も矢のようです

徹夜でゲームに興じるツン。
あとで宿題をしなくてはと考えていたところ、電話が鳴り……。

タイトル通り、ツンの時間は矢のように過ぎ去るのだけれど、明らかに異常な時間の流れ。
これも日常がズレだす恐怖感がありました。

どうすることも出来ない狂った時間に巻き込まれたツン。
その後ツンはどうするのか、続きが気になるお話でした。

166 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:20:12 ID:sb1QXta.0
お盆に海へ行くようです

盆休み、海に遊びにきた男女数人。
海を満喫していたところ、波間に浮かんでいるキクの花に気付く。

このお話しも本格的でそれは怖いんだけど、関係のないことを書かせてもらうと、濃い目の水着描写が素敵でした。
お話はまさかという展開で、彼女のことを思うとかなり怖かったです。

だけど、これを書いたのはいい人だわ、きっと。いい話をありがとう。



マネキン

レモナが街中で見かけたのは、恐らくショーウィンドーか何かに入った何か。
彼女はそのまま通り過ぎてゆくが……。

|゚ノ ^∀^)(! あれは……)

〜略〜

゚ノ ^∀^)(マネキン……なの?)

|゚ノ ^∀^)「……」

↑作中より抜粋

マネキンならマネキンでもいいんだけど、何かそれ以外の感想を抱いてほしかったww
いや、考えたら怖いことは怖いんだけど、笑かしにかかってますよね、ツボにはまりました

167 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:21:51 ID:sb1QXta.0
( ゚∀゚)不可解な着信 のようです

真夜中に着信があり、出てみると友人の兄者からだった。
ジョルジュは、兄者の様子がどこかおかしいことに気付く。

話題になってた悲惨な死を遂げる兄者(or弟者)ものの一つ。
この兄弟、不遇すぎるよぉ……

いろいろ考えさせるというか、犯人はあの人だって思うんだけど答えは書いてない。
と思ったら普通に書いてました、彼の冷静さが怖い。



妹達の歌

死を運ぶ鳥を祭った神社の裏の小さな祠。
密かにドクオがそこで会っていたのは、死んだはずの妹だった。

去年の百物語では少なかった妖怪系のホラーです。
妹のツンのビジュアルがかなり毒々しい感じで、さらに現れるもう一人(?)もおぞましい。

読んではいけないものを読んでいるようで、つい夢中になってしまいました。
妹達がやたら不気味で、ラストもすごくショッキング。

168 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:23:00 ID:sb1QXta.0
http://boonbunmaru.web.fc2.com/collaboration/dreadful_story/dreadful_story.htm
(リンク先:文丸新聞さんの百物語2012年まとめ)

以上、去年の百物語の感想を少しだけやらせてもらいました。

半分ぐらい読み返したところで疲れたので離脱。
ついに明日からということで、今年も楽しみにしています〜

169 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:32:34 ID:SvPyldFg0

一年前が懐かしい

170 名前:名も無きAAのようです :2013/08/08(木) 22:33:46 ID:k6JwMNUE0
えっ
あれから一年経ったの?えっ?

171 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/08(木) 23:50:05 ID:R4r7lxPs0
不味い......
明日に呼び出しをくらってしまった......
一応なんとか開始の合図はするつもりですがもしかしたら遅れてしまうかもしれません
その場合は>>1にある時間通り開始してください

>>162-168
おお乙!
去年の作品がまた読みたくなってきたわ

172 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 01:34:25 ID:PW6Xc.ow0
おお、まあなんとかなんだろ。今年はどれくらいくるかねー。

ちょっと聞きたいんだけどさ、ジャンル分けだとか、どのAAがどのくらい使われただとか、
非公式にでもやったら面白そうな事ってなんかある?
せっかくだから自分一人でなにかひとつやろうかと考えてるんだけど。

173 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 01:39:29 ID:aN0QJVGs0
誰がどれだけ死んだもしくは消えたか

174 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 01:55:24 ID:QcBAhW8A0
完全に主観で構わないからジャンル分けがあると嬉しいかも

175 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 08:27:28 ID:PW6Xc.ow0
ジャンル分けはやってみよっかね
死んだ消えたはまたニッチなとこだなwww
公開方法考えなきゃならんけどそのふたつ考えながら読むことにするよ
みんなは投下書き溜め頑張ってくれー

176 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 12:04:46 ID:Q1o6fwKsO
去年、全作品の恐怖度を三段階(四段階だったかも)に分けてた猛者がいたな
怖さ控えめが読みたい or とにかく怖いの読みたい って人達に重宝されると思う

177 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 16:28:23 ID:hDtGBgvw0
くっそwwwwwwwwww用事が入って開幕に投下できねぇwwwwwwwwwwww悔しいwwwwwwwwwwww

ジャンル分けは書く側の人でも読む側の人でも誰でもいいから暇があればやってみてほしいな、なんなら祭りが全部終わってからでもいいから

178 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 17:26:08 ID:eCvjTQzcO
開催まで残り30分だ!楽しみ!

179 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/09(金) 17:54:47 ID:br/uQSEc0
( ^ω^)さて、今年も百物語の季節がやって来ましたね......

( ^ω^)百物語......起源不明の日本の伝統......

( ^ω^)一説によると百の話が終わったとき、
      本物の怪異が現れると言われてるとか

( ^ω^)今年の百物語は一体いくつの話があるのやら......楽しみですお


( ^ω^)それではまず、開催の前に本百物語における約束事の確認といきましょうお


ルール

・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
  レス制限無し。

  スレ立て
  ↓
  百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
  ↓
  投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)

・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る


前年度百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω  )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/

180 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/09(金) 17:55:36 ID:br/uQSEc0
( ^ω^) 尚、百物語スレは投下中以外、自由に作品の感想や雑談で賑わって頂いて結構です

( ^ω^)ああ、申し遅れました。進行役は新顔の私、
      前年までの館長や幽霊に劣らぬよう勤めますゆえ、
      何卒ご協力を願いたい

( ^ω^)私とて、怪は恐ろしいですからね......

( ^ω^) さて、先程お話しした百物語に欠かせない、
       蝋燭はこちらで用意しました。今からお配りしますお

( ^ω^) 語り部・画師の皆様は作品投下の前に話数を宣言して
       蝋燭を灯し、終わったら吹き消して終了させて下さいお
      個別スレ参加の場合も忘れずお願いしますお
      ただし、蝋燭AAを本スレに貼るか自スレに貼るかは作者さんの自由ですお
      なお、蝋燭はひとつの作品につき一本とさせていただきますお

  .,、
 (i,)
  |_|


  (
   )
  i  フッ
  |_|

181 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/09(金) 17:56:24 ID:br/uQSEc0
( ^ω^)前年の怪談は100を越えましたが怪が
      現れたかどうかは定かではありません

( ^ω^)それを語るべき人がどこにいるかすら、
      今では分かりませんからね

( ^ω^)彼らは消されたのか?それともなにかを見て
      黙っているのか?それもすぐにわかります

( ^ω^)今年の蝋が百を越える頃、私たちも
      昨年の彼らが見たものを見れるでしょう


( ^ω^) それでは皆様、長らくお待たせしました。少し早いけどここに2012年・百物語の開催を宣言しますお!

( ^ω^)暑い夏の、背筋が凍るような一時を楽しみましょうお!

182 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:00:06 ID:EfvG8tJE0
があああ出先だから投下できねええええ
今日のところは支援に徹するぜ

183 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:03:30 ID:HhqTdajA0

蝋燭もらいました。
本数は投下終了後、伝えにきます。

(・∀ ・)タタリのようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376038940/

184 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:05:45 ID:Q1o6fwKsO
じゃあ一本目もらっちゃおう

  .,、
 (i,)
  |_|

185 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:07:42 ID:Q1o6fwKsO

 山で動物の死骸が見付かるのは、さほど珍しくはない。

 しかし今回ばかりは参った。
 人間の死体を見付けてしまったのである。


(,,゚Д゚)道しるべのようです


(;,゚Д゚)(見て見ぬふりは……。……まずいよなあ)

 ──俺の眼前には、木と、枝にぶら下がるロープと、その下に倒れている死体がある。

 ロープは途中で切れており、死体の首元にもロープらしきものが絡まっているようなので、
 恐らく、首吊り死体を支えていた縄が切れてしまったのだろう。

 スーツ姿。たぶん男だ。
 青黒く膨れた顔。染み出た体液がワイシャツを所々変色させていた。
 死後どれほど経っているのか分からないが、腐っているのは間違いない。

(;,゚Д゚)(ええと……どうするか。警察。警察呼べばいいのか)

 ぷんと立ち込める臭いに、思考が鈍る。

 そもそも俺は、まだまだ人生経験の浅い大学生だ。
 こんな状況も他人の死体を見るのも初めてで、少なからず動揺していた。

 かといって、多大なショックを受けたかといえばそんなこともなく。
 単に、まだ現実感を取り戻せていないだけなのかもしれない。

186 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:09:04 ID:Q1o6fwKsO

(;,゚Д゚)(携帯……あ、ここ使えねえ)

 逡巡し、一旦その場を離れた。

 この山中では携帯電話の電波が入らない。
 山を下りないといけない。

(;,゚Д゚)(くそっ、よりによって、何で俺がここに来るタイミングで死んでんだよ……)

 動揺も時が経てば若干の苛立ちに変わる。

 3年ぶりに祖父の家に遊びに来て、久しぶりに祖父が所有する山に入って。
 気ままにぶらついていたら、妙な臭いに気付いて。
 動物の死骸だろうと、興味本位に臭いの元を探して──

 そしたら、こんなことになってしまった。

 嫌なもん見ちまったなあ。誰に言うでもなく、呟く。

(,,゚Д゚)「──あ」

 ふと思い立ち、振り返った。

187 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:10:45 ID:Q1o6fwKsO

(,,゚Д゚)「目印つけとかねえと……」

 ほとんど真っ直ぐ歩いてきたようなものだったが、
 念のため、道しるべをつけておくことにした。
 そうすれば警察の人にも案内しやすい。

 俺はそこらに生えている草をむしり、近くの木の枝にくくりつけた。
 大体2、3メートル進むごとに印をつけていく。
 そうして15分ほど経った頃、山の入口に出た。

 そこからすぐ道路に出るのだが、「ど」が付くほどの田舎なので
 車も人もなかなか通らない。

 それでも電波は届く。
 俺は山の入口に立ったまま、警察へ電話を掛けた。

(,,゚Д゚)「──それで、人間の死体があって……
     えっと、あの、じいちゃん──荒巻が持ってる山なんですけど。あ、はい、そこです」

 今から行くので待っててくれ、と警察が言い、電話は切れた。
 次に、祖父の方へ電話を掛ける。
 そちらも似たような返答だった。

 祖父が所有する山とはいえ、彼の家から少し離れた場所にある。
 すぐには来れないだろう。



*****

188 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:12:17 ID:Q1o6fwKsO


 それからしばらく経って、ようやく警察が到着した。
 祖父とほぼ同時に着いたくらいなので、随分とのんびりした警察である。

(`・ω・´)「案内お願い出来る?」

 言葉の端々に訛りを感じられるイントネーションで、初老の警官は言った。
 道しるべを残している旨を伝え、俺は祖父と数人の警官を連れて再び山に入った。



 5分もしない頃。

(;,゚Д゚)「──あれ?」

 何本目かの印が付いた木の下に、例の死体があった。

 こちらに頭を向けるようにして倒れている。
 暗い眼窩がこちらを睨むようだった。

 思わず目を背ける。
 警官や祖父は特に気にした様子はなく、死体へ歩み寄っていった。

189 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:14:30 ID:Q1o6fwKsO

(`・ω・´)「たしかに死んでるな……。首吊りかな? おーい、運ぶぞ!」
  _
( ゚∀゚)「うぃーっす」

( ・∀・)「荒巻さん、知ってる人かね?」

/ ,' 3「いんや……たぶん知らん人だなあ」

 唐突にやって来た吐き気を堪えながら、俺は頭の中の疑問に目を回す。
 口を開くのも億劫だったが、何とか声を絞り出した。

(;,゚Д゚)「あ、あの……なんか変なんスけど……」

(`・ω・´)「ん?」

(;,゚Д゚)「この人、ここじゃなくて──もっと奥の方にいたんですよ。
     だって俺、死体見付けてから15分以上歩いてやっと山を出て、それも下り道だったし、でも今、あの、」

 まとまらない言葉で説明する。
 若い警官が首を捻りつつ、奥の方を見る。

190 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:16:14 ID:Q1o6fwKsO
  _
( ゚∀゚)「あー……本当みたいですよ。こっから奥の木にもいくつか目印ついてます」

( ・∀・)「あんた、いたずらしてんじゃないだろうね」

(;,゚Д゚)「す、するわけないじゃないっスか!」

 ──死体が移動したというのか?
 戸惑う俺とは対照的に、祖父も初老の警官も落ち着き払っていた。
 そうして、苦笑。

(`・ω・´)「あんたが目印つけたからだろうさ」

(;,゚Д゚)「え?」

/ ,' 3「道しるべがあったら辿るもんやの。
    まあ、この人も山から帰りたがってたんかもしれんね」

(;,゚Д゚)「た、辿るって──この人って誰だよ祖父ちゃん」

/ ,' 3「そら、このホトケさんに決まっとろうが」

 祖父は死体の前にしゃがみ込み、合掌した。
 呆然としながら眺める俺の背中を、警官が叩く。

191 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:17:22 ID:Q1o6fwKsO

(`・ω・´)「良かったなあ兄ちゃん。
      俺らが来るのがもう少し遅かったら、あんた、
      ホトケさんと山の入口で鉢合わせてたぞ」


 そしたらどうなってたか分かんねえなあ。

 笑いながら言う彼に、俺は、何も答えられなかった。





192 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:18:42 ID:Q1o6fwKsO

  (
   )
  i  フッ
  |_|


一本目終わり
みんなの投下を楽しみにしています

193 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:20:48 ID:DrO6BjNw0
トップバッター乙!

194 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:21:07 ID:HhqTdajA0
乙ー
笑いごとじゃねーよこえーよ……

195 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:21:33 ID:Vh.mCjbk0
一本目おつ!
動く系は本当に怖いわ…

196 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:25:51 ID:tUoM7.KQ0
いいぞいいぞ
おつ

197 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:26:21 ID:54tLhV260
おつおつ

198 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:37:57 ID:qmJext/Q0
乙乙
怖いわ…

199 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:38:27 ID:i8zKPAiM0
>>181
百物語はループするのか…乙…

200 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 18:49:35 ID:pCTVH7qQ0
>>199
(おい、これが閉会時の重大な伏線だったらどうすんだよ……)

201 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/09(金) 18:52:06 ID:xWUQFk8w0
>>199ー200

( ^ω^)......


( ^ω^)素に間違えたんだよ言わせんな恥ずかしい

202 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:04:26 ID:MEdF3iio0
投下したいのですが、次は二本目ですか?それとも三本目なのでしょうか。

203 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:06:12 ID:Q1o6fwKsO
二本目でよろしいかと

204 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:07:43 ID:MEdF3iio0
了解しました、投下致します。

  .,、
 (i,)
  |_|

二本目
「仕事が終わるようです」

205 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:07:46 ID:E8kaiRf20
なんだただのドジっ娘か

206 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:08:45 ID:MEdF3iio0

ざあざあと大粒の雨が降り頻る中、仕事が終わり自宅への帰路に就き始めた。


('A`)「さぁて…自宅へ急がなきゃ」

('A`)「服汚れたし、早く風呂入って着替えたいわ」

('A`)「それにしても相変わらず、今日はどしゃ降りだ」

('∀`)「まあ 、こーやって誰にもつぶやき聴かれないからいいんだけど」

('A`)「そういやここら辺、夜は通行人あまり通らないよな」

('A`)「……さて、さっさと帰っちまおうか」

('A`)「………」ア…

タ…ス…

('A`)「……………」

タ……ス…ケ…

('A`)「反応するな、早くいけ」

タス…ケ…テ…クレ…オ…

('A`)「早くいかなきゃな」

タ…ス…ケ…

('A`)「ふぅ、静かになったか?」…

………

('A`)「まだ駄目か…」タ…ス…


これは、ある男の話である。
次の日の朝、男が死体となって発見された。

207 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:10:56 ID:MEdF3iio0

 (
   )
  i  フッ
  |_|

二本目 了
1レスですが、これで終わりです。

208 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:16:05 ID:Q1o6fwKsO
「早く逝け」、か…
読み返して理解した。恐い


209 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 19:17:04 ID:N6S5eX7k0
ろうそく借りてくよ

ナイトメア交響曲のようです
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376043272/

210 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:02:27 ID:Q1o6fwKsO
三本目いく

  .,、
 (i,)
  |_|



( ^ω^)猫又のようです

211 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:03:48 ID:Q1o6fwKsO

 ざあ、ざあ
 ざあ、ざあ……


(・∀・ )「はあ、旅のお方。こんな山奥の寺までようこそ……。
      雨のなか大変だったでしょう」

( ^ω^)「今夜だけ、一晩だけ、雨風を凌がせてくださいお」

(・∀・ )「ええ、ええ。薄っぺらな布団しか用意出来ませんが……」

( ^ω^)「充分ですお。……ああ、お腹が空いた」

(・∀・ )「おじやしか残っていませんが、それで良ければ」

( ^ω^)「是非お願いしますお」

(・∀・ )「では少しだけお待ちくださいね」

( ・∀・)「ええと、椀と匙は……」ゴソゴソ
 ∧ ∧   ニューッ
( ^ω^)

212 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:04:55 ID:.SbzcZBA0
なんかはえたぞ

213 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:05:25 ID:Q1o6fwKsO

 ∧ ∧
( ^ω^)( ・∀・)「おっ……」

(・∀・ )「あったあった、小振りなもので申し訳ありませんが。
      ──どうしました? 何だか妙に近くていらっしゃる」

( ^ω^)「いえ、いえ。探すのを手伝おうかと思いまして。
       いらぬ気遣いでしたお」

(・∀・ )「お客人は、どうぞごゆっくりなさって。それではおじやを温めますね」

( ・∀・)「まずは囲炉裏に火をつけねば……。火種、火種」

  ∧ ∧
((( ^ω^( ・∀・)つ

(・∀・ )「さあ温めますよ──っとと。危ないじゃありませんか。
      危うくあなたに火がつくところでした」

( ^ω^)「これは驚かせてしまって申し訳ありませんお。
       ……ああ、美味しそうな匂いがする」

(・∀・ )「手前味噌ですが、私の作るおじやは評判がいいのですよ。
      こんな山奥にいては、食べさせる相手など滅多に来ませんが」

( ^ω^)「ええ、ええ、実に美味そうですお……。
       はあ、腹が減って堪らない」

(・∀・ )「もう少しで温まりますからお待ちを」

214 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:06:57 ID:Q1o6fwKsO

(・∀・ )「……そういえばお客人。猫又の噂をご存知ですか?」

( ^ω^)「いいえ。猫又というと、猫が化け物になったあれですか」

(・∀・ )「それです。最近、ここらに猫又が出るそうで。私は一度も見たことないんですがね。
      明日の朝、お帰りになる際はお気を付けて」

( ^ω^)「化け物は、朝になったら眠るものですお。そう聞いています」

(・∀・ )「何だ、それなら安心ですね」

( ^ω^)「ところでその猫又、何か悪さでもするのですかお?」

(・∀・ )「さあ……私は噂しか知りませんので。
      何かに襲われ、命からがら逃げ出したという方なら、この間ここに転がり込んできましたが……
      その『何か』が猫又だったのかどうか」

( ^ω^)「人を喰らったりするのでしょうかお」

(・∀・ )「まさか。猫が好きなのは魚の類でしょう」

( ^ω^)「猫というのは、魚より肉の方を好むものなのですお」

(・∀・ )「そうなのですか? ……さ、おじやが温まりましたよ。
      どうぞ召し上がって」

( ^ω^)「や、や、これはどうも。いただきますお」

215 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:08:27 ID:Q1o6fwKsO

(・∀・ )「……」

( ^ω^)「……」

(・∀・ )「……食べないのですか?」

( ^ω^)「熱いのが苦手で。少し冷ましていますお」

(・∀・ )「やや。それは気が利かないことで」

( ^ω^)「いえ、そんな。
       ……ああ、腹が減った。腹が減った。早く食べたい。食べたいお」

(・∀・ )「おじやは逃げませんよ」

( ^ω^)「逃がして堪るかお……」

(・∀・ )「冷めるまでゆっくりお待ちになってください」

( ^ω^)「待つお、待ちますお、まだまだ夜は明けませんから」

216 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:09:17 ID:Q1o6fwKsO

( ・∀・)「そうだ、お茶を入れましょう」

  ∧ ∧
((( ^ω^)( ・∀・)「お湯が熱くなりすぎないように気を付けますね……」


 ∧ ∧
( ^ω( ・∀・)





   「いただきます」



 ざあ、ざあ
 ざあ、ざあ……



*****

217 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:12:12 ID:Q1o6fwKsO



(;'A`)「ああ、参った参った」

( ・∀・)「おや、あなたは」

(;'A`)「お久しぶりです」

( ・∀・)「この間、化け物に襲われてここへ逃げてきた方ですね。
      また何かに出くわしましたか?」

(;'A`)「いえいえ、あのとき食わせてもらったおじやの味が忘れられなくて。
    もう一度だけ食いたくなったもんで、やって来たんですが……。
    突然の雨でしょう。ろくに前も見えなくて、迷いながらやっと到着いたしました」

( ・∀・)「それは災難でございましたな。
      でも幸い。丁度おじやが出来たところでございます」

(*'A`)「お……たしかに、いい匂いが」

( ・∀・)「お掛けください、いま用意いたしましょう」

(*'A`)「ありがたい。──ん、この間とは何か違うな。
    こいつは……おじやに肉が入ってるんですか?」

( ・∀・)「その通り。……寺で肉を食べているなんて、誰にも言わないでくださいませ」

(*'A`)「構いません構いません、俺は僧ではありませんし。
    あなたはよく肉を食うんですか?」

( ・∀・)「こんな山奥にいると、たまに人間以外の輩が……獣が迷い込んできましてねえ……。
      それがまた美味いもんですから、ついつい」

(*'A`)「なるほどなるほど。こいつは兎ですか?」

( ・∀・)「さてね。猫──に似た何かでしたよ」



 ざあ、ざあ
 ざあ、ざあ……

218 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:14:41 ID:Q1o6fwKsO

  (
   )
  i  フッ
  |_|

おわり
まぜこぜブーンのところにあったタイトル例をお借りしました
期間中に全部のタイトル書けるように頑張るんば

219 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:20:10 ID:0JxpZBX.0
やっべえ超おじや食いてえ

220 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:22:04 ID:aN0QJVGs0
そっちか


221 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:24:30 ID:HhqTdajA0

まあ人間を食べたわけではないし、ね?

222 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:25:28 ID:MEdF3iio0
オチが効いてるな、あとおじや食べたくなった


223 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 20:27:49 ID:tUoM7.KQ0
おつ
どちらが怖いかって話だね

224 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 21:07:45 ID:iOSNGfOs0

これは出来るモララー

225 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 21:18:07 ID:wRVGkxXU0

モララーが破ァ!!ってしたのか

226 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 23:05:59 ID:oB2iRQPQ0
そんじゃあ、投下していきますかね

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376057071/

227 名前:名も無きAAのようです :2013/08/09(金) 23:07:09 ID:oB2iRQPQ0
やべえタイトル忘れてた


『ジェイソン・クールのようです』
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376057071/

228 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:08:34 ID:uzIuPMl.0
4本目いただきます 絵で

  .,、
 (i,)
  |_|

ゾンビ从'ー'从(閲覧注意かもしれない)
http://imefix.info/20130809/211229/rare.jpeg

229 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:10:20 ID:uzIuPMl.0
 (
   )
  i  フッ
  |_|

おわり
絵ってどう投下すればいいんでしょ…

230 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:11:53 ID:L8EnzUKE0
今のでいんじゃない?
もしくは一レスで点けて、消すとか

231 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:13:22 ID:QV4w7Nmw0
--------
蝋燭AA

絵のアドレス

吹き消したAA

-------
ってのでいいんじゃないか?

んで乙
ぞわっときた

232 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:27:43 ID:iyguycrY0
>>228
かわいい
ぶちこみたい

233 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 00:41:47 ID:QV4w7Nmw0
人がいるなら>>183をちょっと支援してくれ
猿に捕まった……

234 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 01:13:19 ID:QV4w7Nmw0

(・∀ ・)タタリのようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376038940/

 (
   )
  i  フッ
  |_|

五本目終了しました。
猿よけ支援してくださった方、ありがとうございました!

235 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 01:13:46 ID:.5uan/7Q0
>ぶちこみたい
お前らのほうが数段怖いわ

236 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 01:13:57 ID:vMSbw6KA0

悲しいホラーだった

237 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 01:21:52 ID:6kcADDtk0
初日から飛ばしてるのおおいな

238 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:00:21 ID:3gCn.meg0
作品自体は30レス以内に収まったけど、前後にローソクAA入れたら30越えるわ

これっておk?

239 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/10(土) 02:04:58 ID:dm1rMnw20
>>238

>>98
>>102辺りを参照してくだしあ

240 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:05:33 ID:3gCn.meg0
把握したスマソ

241 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:45:12 ID:60bLqRSc0
盆も近いし水辺に行けばなんかに遭えるかね
ちょっと河原走ってくるわ

242 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:49:07 ID:3gCn.meg0
待てそれは死亡フラg

243 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:51:02 ID:Wwo71gg20
初日間に合ったー!
次いただくよ〜

244 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:52:55 ID:Wwo71gg20

  .,、
 (i,)
  |_|


六本目、lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです

245 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:54:40 ID:Wwo71gg20

( ・∀・)「じゃあ、しーさん休憩行って」

lw´‐ _‐ノv「はい」

(; ・∀・)「いや、気を抜くのはいいんだけど、せめて売り場ではまだシャキッとしててね」

lw´‐ _‐ノv「あ、はい」

亡霊か何かのように背をまるめ肩の力を抜いていた私は、もう一度気合を入れる。
それでもすっかり緊張の糸は緩み、どこかふわふわとした気持ちでレジを離れた。

お客様に、「いらっしゃいませ」と声を掛けながら店奥の事務所へ向かう。
品定めの最中のお客様は、私の掛け声にまるで無関心だ。

必要最低限の人数でまわしている小売業が私のバイト先だ。
けれど、そういうところも含めて自分に合っている気がしている。

('A`)「どうも……」

lw´‐ _‐ノv「おつかれさまです」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

246 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:56:11 ID:Wwo71gg20

事務所に入り、パイプ椅子に座ったところで私はやっと全身の力を抜いた。
沈黙が気まずかったのか、先輩のドクオさんが突然語り始めた。

('A`)「シューさん、血みどろの卵焼きって知ってる?」

lw´‐ _‐ノv「血みどろの卵焼き?」

ドクオさんは肌が青白く痩せていて、まるで幽霊のようにひっそりしている。
私は勝手なイメージで、猫とか好きそうだなと常日頃から思っていた。

('A`)「うん、ちょっと怖い話しなんだけどね」

lw´‐ _‐ノv「……」

それまで飲んでいたコーラのふたを閉め、ドクオさんはゆっくりと話し始める。
案外ペルシャ猫とか撫でてるのが似合うんじゃないかな、と私は考え始めていた。

('A`)「休憩終わりまで時間もあるし、それじゃ話すね」

lw´‐ _‐ノv「はい」

設定温度は一緒なのに、エアコンの送る風がいつもより冷たく感じる。
私は風邪をひきかけなのかも知れない。体調に気をつけなければいけない。

247 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:57:29 ID:Wwo71gg20

('A`)「商店街の入り口に、どこか古臭い喫茶店があるでしょ」

lw´‐ _‐ノv「猫カフェですか」

('A`)「それは公園に向かう階段のとこの喫茶店でしょ」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「……あっ」

秘密がばれてしまったかのような驚いた表情で、ドクオさんは言葉を詰まらせた。
どうやら私のハッタリがきいたらしい。

lw´‐ _‐ノv「猫のことが好きなんですか」

(;'A`)「いや、それは今の話しとは関係ないんだけど……」

lw´‐ _‐ノv「三毛猫とトラ猫、どっちが好きですか」

(;'A`)「どうして好きな前提で話しを進めてるの?」

lw´‐ _‐ノv「教えてくれたら、私の好きな主食も教えます」

(;'A`)「パンか米か、大体その辺だよね!?」

数ある主食の中から二択に絞り込むとは、ドクオさんもなかなか勘がいい。
先にドクオさんの答えを知るべく、私は探偵になったつもりで語りかける。

248 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 02:59:00 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「もう全て分かってますから」

(;'A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「隠さなくても大丈夫です」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「……よく分かったね」

lw´‐ _‐ノv「はい」

('A`)「僕が、猫好きなのにペット禁止のアパートで一生を遂げた男だと」

lw´‐ _‐ノv「トラ猫のシマシマ模様が好……、えっ?」

lw;´‐ _‐ノv「し、死んでる?」

('A`)「うん」

猫が好きなことは確信していたが、まさか幽霊だったとは思いもしなかった。
勘のいい私でも、さすがにそこまでは分からない。

思えばドクオさんが働いているのを見たことがない。
それに二人同時に休憩に入れるほど、人手があるわけでもなかった。

249 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:00:27 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「……幽霊ですか」

('A`)「そう」

lw´‐ _‐ノv「例えば、地縛霊のような」

('A`)「そんなもの、かな」

私は横を向き、うっすら微笑んでいる彼の顔を眺める。
肌は変わりなく青白いものの、向こうが透けて見えるわけではなかった。

バイト先の狭い事務所の中で、足のある、透けてもいない幽霊と二人きり。
サイダーやキャンディ、チョコを一緒に口に含んだような、おかしな気分だ。

('A`)「さっき僕が話そうとしたこと覚えてる?」

lw´‐ _‐ノv「……ええと、何でしたっけ」

('A`)「血みどろの卵焼きだよ」

lw´‐ _‐ノv「食欲が引いていきそうな料理……」

('A`)「せっかくだから今話すよ」

lw´‐ _‐ノv「幽霊が怖いお話しをするんですね」

おかしな状況に拍車がかかり私は笑いそうになりながら、どこか不安だった。
そんな私を待たずしてドクオさんは話し始める。

250 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:02:28 ID:Wwo71gg20

('A`)「喫茶店の一人娘は、何でも料理ができる父親にあこがれていたんだ」

('A`)「だけど彼女は病弱で」

('A`)「働くことはおろか、キッチンに立つことすら許されてなかった」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「ある日彼女は、こっそり卵焼きを作る」

lw´‐ _‐ノv「……ドクオさんはどんなトラ猫が好きですか」

('A`)「簡単なものなら大丈夫だと思ったんだろうね」

lw´‐ _‐ノv「このお話しやめませんか」

('A`)「……買出しに行っていた父親が、帰ってきて見たのは」

('A`)「彼女の吐血で真っ赤に染まった卵焼きだったんだよ」

lw;´ _ ノv「もう、やめて!」

251 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:03:43 ID:Wwo71gg20

部屋いっぱいに響いた自分の悲鳴に、私は酷く動揺した。
まるで喉から勝手に言葉が飛び出してきたように感じる。

胸の内側がしくしくと痛み、息苦しい。

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「君は……、しぃさんという女の子に取り憑いた幽霊なんだ」

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「そっか」

lw´‐ _‐ノv「私も死んでいたんですか」

252 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:07:02 ID:Wwo71gg20

通りでお客様は私に気にかけないわけだ。
過去のことはおぼろげで、生きていたときのことなどもう覚えていない。

思えば私は、ずっとドクオさんの話しをそらしてばかりだった。
きっと無意識に、この瞬間を恐れていたのだろう。

けれど、他人様に取り憑くことがいいことではないと私も分かっていた。

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「しぃさん、ごめんなさい」

意識を全身に集中すると、次第に自分の体が二重に見えてきた。
やがて私の体は離れ、私が取り憑いていたというしぃさんが見える。

しぃさんは椅子に座ったまま、うつむいている。
私は申し訳ない気持ちで、彼女の横にふわふわと移動した。

('A`)「……そして、しぃさん」

('A`)「君も僕の話が聞こえてるよね?」

(*゚ー゚)「……」

253 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:08:58 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「……しぃさん」

('A`)「……」

(*゚ー゚)「……お父さんの誕生日だったんです」

(*゚ー゚)「卵焼きを作ったのは」

(*゚ー゚)「私は元気だよって伝えたかったから……」

('A`)「そうだったんですか」

lw´‐ _‐ノv「えっ」

なんだか事の成り行きがおかしい。
幽霊だと自覚した時からもやもやする頭が、さらに混乱する。

おかしな出来事が、周りの風変わりをせっせと召集している。
このことは私の死後哲学に加えて、忘れないようにするべきなのかもしれない。

254 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:10:19 ID:Wwo71gg20

lw;´‐ _‐ノv「あの……、病弱で色白な猫好きの」

lw;´‐ _‐ノv「ええとつまり、死んだ喫茶店の娘って……」

(;'A`)「いろいろ混ざってますよ……」

(*゚ー゚)「はい、私のことです。生前は三毛猫が好きでした」

(*'A`)「あっ、奇遇ですね」

見ると、ドクオさんの青白い頬がピンクに染まっていた。
なんだかいいムードのなか申し訳ないが、私はそれどころではなかった。

lw´‐ _‐ノv「どうして私に、その血みどろの卵焼きの話しを?」

('A`)「手っ取り早く二人に話したんだ」

相手が死んでいることを伝えるのに、そんな横着をしていいのだろうか。
話しから察すると、私は霊に取り憑いた霊だったらしい。

知らずに霊となっていた私が言うことではないが、これでは死者のオンパレードだ。
そんなことを考えていると、ふとある疑問が浮かんだ。

255 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:12:04 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「そういえば、店長のモララーさんはしぃさんが見えていて」

lw´‐ _‐ノv「休憩に入るように言って……」

('A`)「うん」

lw´‐ _‐ノv「……あれ?」

そもそも私は、このお店は、一体何を売っていたのだろう。
過去の出来事の細かい部分が思い出せないように、何もかもあやふやだ。

必死にレジの前に立つ自分を思い浮かべる。
けれどバーコードがついている商品は、何かもやもやした物体だ。

lw´‐ _‐ノv「まさか」

(*゚ー゚)「どうしたんですか?」

lw´‐ _‐ノv「モララーさんは……」

('A`)「その通りだよ」

('A`)「彼もお客さんも、みんな幽霊さ。この場所はすでに取り壊された空き地なんだよ」

256 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:14:17 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「そろそろ彼にも伝えようと思うんだ」

(*゚ー゚)「私も一緒に伝えます、ずいぶんお世話になりましたし」

lw´‐ _‐ノv「……」

モララーさんは時々厳しくも、良い店長だった気がする。
まさか彼まで死んでいたなんて、少しショックだった。

(*゚ー゚)「時々厳しくも良い店長でした……、そんな気がします」

さすがは私が取り憑いた人だ、まるで同じ感想を抱いていたらしい。

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`)「……」

(*゚ー゚)「……」

257 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:17:24 ID:Wwo71gg20

lw´‐ _‐ノv「……ところで、どうして私は死んだのですか」

('A`)「残念だけど、僕は知らないよ」

私は一体どんな人だったのだろう。
どんな死に方をしたのだろう。

本当に何も思い出せやしない。
悲しいと感じる思い出もないほど、私の全身は空洞だった。

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「しぃちゃん、今まで取り憑いていてごめんね」

何となく言い辛かった敬語をやめた。
どうやら私には、この方が自然らしく感じる。

(*゚ー゚)「いえ、シューさんがいなければ、弱い私はきっと成仏していました」

(*゚ー゚)「自分が消えてなくなる前に、ちょっと働いてみたかったんです」

どうしてしぃさんに取り憑いたのかすら覚えていない。
けれど案外私は、このしたたかな女の子に、逆に取り憑かされていたのかもしれないなと思った。

258 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:18:25 ID:Wwo71gg20

('A`)「さてと」

('A`)「シューさんも一緒に行きます?」

lw´‐ _‐ノv「ううん」

lw´‐ _‐ノv「……これから私は」

lw´‐ _‐ノv「旅に出て、自分が何者だったのか探すことにする」

('A`)「そうですか。人に取り憑いてはダメですよ」

(*゚ー゚)「お気をつけて」

二人に手を振って挨拶をし、事務所のドアに手をかける。
ふと、あることを思いついた。

私はドアから手を離して、反対側へと振り返った。
前にあるのは、ダンボールやら机や椅子が置かれた壁だ。

そのまま私は本当の自分の足で、ふわふわと壁を抜けていった。


終わり

259 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:19:08 ID:Wwo71gg20


 (
   )
  i  フッ
  |_|

六本目終わり

260 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:20:58 ID:3gCn.meg0
乙乙
ラストのシューは幽霊らしく振る舞ってみたくなったんだろうか

261 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:33:18 ID:DIY1n3BQO
ご想像にお任せしますー

さあさあ、どしどし投下きたまえー!

262 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:38:20 ID:1DDNx4iE0
和む話だった おつ

263 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 03:47:55 ID:Cokg5EdE0
今年の百物語はクオリティ高いな

264 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:43:20 ID:mRsRQcBsO

七本目。まぜこぜブーンのタイトル例その2

  .,、
 (i,)
  |_|


ξ )ξ枕元に佇むようです

265 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:44:10 ID:mRsRQcBsO

 一週間ほど前に、少し古いアパートへ越してきた。
 早々に後悔している。


ξ )ξ


(;^ω^)(……来た)


 毎夜毎夜、女が現れるのだ。

 僕が眠る布団の周りをふらふらぐるぐる歩き回り、
 3周ほどすると枕元に立ち尽くす。
 放っておくといつの間にか消える。

 これだけ。

 害は無い。
 ただ急に現れて、急に消えるだけだ。

266 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:45:03 ID:mRsRQcBsO

 その程度なら、僕が寝ている間に好きなだけやっててくれ──とも思える。

 しかし困るのは、彼女が現れる直前になると必ず目が覚める上、
 いわゆる金縛りのような状態になり、視線が勝手に彼女の動きを追ってしまうことだ。

 彼女が消えれば解放されるし、その後は朝まで邪魔されずに眠れる。

 友人に話すと、決まって「夢だろう」と返されてしまうのだが、
 彼女が消えた後も寝るに寝られず朝を迎えたことが数回あったので、
 夢ではないと思う。

267 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:45:20 ID:7ZGwsD7I0
よおし支援だ

268 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:45:58 ID:mRsRQcBsO

ξ )ξ  ズル ズル

(;^ω^)(これ今後も続くのかなあ……やだなあ……)

 女の顔は見えない。
 ベージュの服や、色素の薄い巻き髪は視認出来る。
 顔だけが分からない。

 俯き気味なせいか、影で隠されているように暗いのだ。
 それでも、ぽっかり開いた口だけは見えた。


ξ )ξ ズル ズル

(;^ω^)(うーん)

 その日も彼女は3周目に枕元で足を止め、数分後にいなくなった。



*****

269 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:47:01 ID:mRsRQcBsO


('A`)「塩置いとけ塩」

(;^ω^)「塩?」

('A`)「霊への対抗手段っつったら塩かお札と相場が決まってるだろ」

 遊びに来た兄に相談してみたところ、投げやりな答えが返ってきた。
 酒が入っていたせいもあって、彼は僕の冷ややかな視線を無視し、
 「結界」なる物を作ってくれた。

 まず、小皿や小さめのコップ、他にも適当な器をいくつか用意する。
 それらに食塩を乗せる。
 僕の布団の周りに並べる。終わり。

 実に頼もしい結界だ。
 あまりに頼もしすぎて、「壮観だ」と大笑いする兄の背中を軽く蹴ってしまったほどである。

270 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:48:09 ID:mRsRQcBsO

('A`)「これでお前は守られる……」

( ^ω^)「はいはい。
       そういや兄ちゃん泊まってくかお? ずいぶん酔ってるけど」

('A`)「や、帰る。家で仕事片付けねえと」

 果たして仕事など出来るのか、そもそも無事に帰宅出来るのか怪しい足取りで、兄は帰っていった。

 1人になった途端、部屋の静けさが身に染みる。

 僕は空き缶を捨て、軽くシャワーを浴びて歯を磨き、
 塩に囲まれた布団を眺め、悩んだ末にそのまま床についた。

 結界なんて馬鹿らしい。
 でも、試してみてもいいか──そんな諦め半分期待半分の気分だった。


.

271 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:50:35 ID:mRsRQcBsO



 結局、夜中に目が覚めた。
 姿勢は仰向け。体が動かない。
 目を閉じようとしても、瞬き以外の目的で瞼を下ろすことが出来なかった。

 いつも通りである。

( ^ω^)(やっぱ塩の意味なかった……)


 ──その瞬間。

 僕の頭側から何かが飛び出し、視界の中を真っ直ぐ過ぎ去って、足側の壁にぶつかり、派手な音をたてた。
 一瞬思考が止まる。

(;^ω^)(……塩? 皿と塩飛んだ?)

 そのことに気付いたのと同時に、
 暗い風景に変化が生じた。

 枕元に、あの女が佇んでいた。

272 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:54:53 ID:mRsRQcBsO


ξ )ξ


 無言。微動だにしない。
 けれど、怒っている雰囲気は感じ取れた。

 ぞわりぞわり、寒気が背中を駆け巡る。
 どうしよう。
 謝るか。どうやって。口が動かない。

 数秒。

 唐突に、女の首が落ちた。
 あるいは物凄い素早さでしゃがみ込んだのかもしれない。
 とにかく女の顔が一瞬で、僕のすぐ目の前にまで下がってきた。

 その距離になって、ようやく分かった。

 顔は、影で隠れているのではなかった。
 無数の目が顔中にくっ付いていて、しかも全てが黒目がちなものだから、
 ぱっと見では真っ黒に感じられただけだった。

 目に囲まれた女の口がより一層開いてどす黒い液体が垂れて僕の顔を伝って女の手が僕の頭を掴んで爪が食い込んで


ξ::::::)ξ 〈グギギギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ〉

273 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:55:37 ID:mRsRQcBsO

 (
   )
  i  フッ
  |_|

おわり

274 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 06:58:20 ID:7ZGwsD7I0
うわあ……複眼娘は守備範囲外だよお……乙

275 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 11:55:01 ID:NpN5ArHo0
こう見えてほのぼのなんじゃないかと思ったらストレートにホラーで辛い

276 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 12:48:46 ID:Mx07OxjQ0
想像したら鳥肌たったわー
乙!

277 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 18:10:52 ID:r6Fl.5Dc0
二日目始まったよー

278 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 18:24:48 ID:lKjnCvOw0
実は去年の参加者は全員、行方不明になっているのである……

279 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 18:30:48 ID:L8EnzUKE0
そうか、俺は行方不明だったのか

280 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:14:13 ID:MpiqjW.k0
おいまだ七本目だぞ
こんな調子で百いくのか?

281 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:24:22 ID:7ZGwsD7I0
これはアレだ、最終日付近でどかっと投下があるパターンだろう

282 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:41:40 ID:vIbiF2zE0
おいおいどうした
なんだよこの人のいなさは

283 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:44:01 ID:L8EnzUKE0
人はいるが作品は無い
まあこんな時もあるさ

284 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:54:14 ID:BUDFfaqo0
じゃあ後でいいかととっといた俺の作品を投下するか

285 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:54:57 ID:Hyt2ts1c0
作品出来上がらない人ばっか集まってんだな
俺とか

286 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 20:58:41 ID:Zfm9nmZ2O
八本目投下します。
閲覧注意。


  .,、
 (i,)
  |_|

287 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:00:16 ID:Zfm9nmZ2O


――北の山には絶対に行ってはいけないよ。

どうして?

――鬼がいるからさ。

鬼? 鬼って、お伽噺に出てくる?

――そうさ。お前はまだ子供だからね。鬼に会ったら最後、ぺろりと食べられてしまうよ。

ふーん。

――信じていないだろう。

うん。

――ばあちゃんもな、昔、怖い思いをしたからきつく言ってるんだよ。

…………。

――さあ、もうそろそろ友達の来る頃だろう。


( ゚д゚ )「遊びに行っておいで、ツン」

ξ゚听)ξ「うん!」

私はお婆ちゃんに手を振って部屋を飛び出した。




ξ゚听)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )

.

288 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:02:34 ID:Zfm9nmZ2O


庭に面した長い廊下を走る。
今日は雨だから湿っぽい。
でも今年は雨が少ないみたいだから、これで米が育つとお父さんたちは喜んでいた。

(;'A`)「ちょっとツンさま、廊下は走らないでくださいって言ってるじゃないですかー!」

ξ゚听)ξ「ドクオ、あんたも来る? 今からクーと遊ぶんだけど」

私を止めたドクオは箒を持っている。
ここに来た頃は貧相すぎる体付きにちゃんと働けるのか心配だったけれど、それは心配しすぎだったらしい。
奉公人のドクオは、今では立派な働き手で私の友達だ。

だから誘ったんだけど、私は箒を見落としていた。
うちはあまり使用人に厳しくないが、遊び惚けるのはドクオの立場を悪くする、らしい。
ドクオには悪いことをしてしまった。

('A`)「ありがとうございます。もうすぐ終わりますのでお供します」

ξ゚听)ξ「え……」

('A`)「間抜けな顔してどうしました?」

ξ゚听)ξ「いや……ドクオがいいならいいんだけど、ね」

そういえば使用人の頭のモナーさんはドクオに優しかった。
都に住んでいる孫に少しだけ似ていると言っていた。

289 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:03:45 ID:Zfm9nmZ2O

('A`)「あまりツンさまの誘いを断ってるとモナーさんに怒られるんです。
    『子供は風の子、もっと外で遊ぶモナー!』って」

ξ*゚听)ξ「やっぱり、モナーさんのお墨付きなのね。なら遠慮なく遊びにいきましょ!」

私は嬉しかった。
変に真面目なドクオは私の誘いを断ることも多い。
久しぶりに一緒に出かけられる。

三日前には新しい傘を買ってもらったばかりだ。
ドクオとクーにたっぷり自慢しよう。




しとしと、小雨が降っている。
門のすぐ外にはクーがいた。
真っ黒な傘は烏の羽のような色だ。

川 ゚ -゚)「おや、今日はドクオもいるのか。ツンのお守りは大変じゃないか?」

(;'A`)「いや、そんなことは……」

ξ゚听)ξ「クー、せめて私の前では言わないでよ」

川 ゚ -゚)「冗談だよ、冗談」

クーは手を口元に当てて控え目に笑った。
傘から水滴が落ちる。

290 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:04:55 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「今日の傘はいつもと違うな。新調したか?」

ξ*゚听)ξ「うん! 蛇の目っていってね、都で流行ってる柄なんだって」

川 ゚ -゚)「きれいだな。ツンによく似合ってる」

ξ*゚听)ξ「そ、そう? あんまり褒めてもなんも出ないわよ?」

クーは話上手で褒め上手だ。
読書や算術も得意で頭の回転が早いと大人たちによく褒められている。
それに素直に思ったことを口にしてくれるから、一緒にいて気楽だ。

川 ゚ -゚)「それにしても……今日は雨だが、どこに行く?」

ξ゚听)ξ「北の山の方よ。この前きれいな花が咲いてるのを見つけたの」

川 ゚ -゚)「それは楽しみだ。でも地面がぬかるんでるからゆっくり行こうな」

ξ゚听)ξ「もちろんよ」

私とクーは並んで歩きだした。
後ろにはドクオ、つかず離れずついてくる。

ξ゚听)ξ「ドクオも隣歩きなさいよ」

('A`)「この先、道が狭いじゃないですか。三人では並べませんよ」

川 ゚ -゚)「今は広いだろう。君は私たちの友人だろう、そんな遠慮されると気持ち悪い」

そう言って、クーは強引にドクオの手をとった。

291 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:05:55 ID:K5cYOggE0
ミルナがばあさまか

292 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:06:19 ID:Zfm9nmZ2O

(;'A`)「うわっ……!」

川 ゚ -゚)「しっかりしろ」

ぬかるんだ地面にふらついたドクオをクーが支える。
クーの方が背も高いし、二人は友達というより姉弟みたいだ。

ξ゚听)ξ「もう少しよ」

ドクオを真ん中にして三人で並んで歩く。
晴れていたら手を繋ぎたかった。
きっともっと互いを近くに感じられて楽しい気分になれたのに。

道が狭くなる頃には縦一列で歩いていた。
花の場所を知る私が先頭だ。
真ん中を歩くクーが私やドクオの知らない面白い話をたくさんしてくれた。

('A`)「ツンさま、どこまで行くんです?」

一番後ろのドクオが言った。
雨にかき消されないように大きな声だ。

ξ゚听)ξ「たぶんあと少しー」

私も大声で返す。
この辺りは私の庭みたいなものだから迷うはずはない。
今歩いているのもよく知った道だ。

心当たりを見渡す。
たしかに咲いていた、炎のような真っ赤な花。
鮮やかできれいで、大好きな二人に見せたかった。

293 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:07:38 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「たしかにこの辺りなのか?」

ξ゚听)ξ「そのはずなんだけどなぁ……」

いくら見渡しても花はない。
その代わり、私は変なものに気付いた。

ξ゚听)ξ「……?」

目の前には小さな横穴がある。
あれは見慣れたものだ。
お婆ちゃんが小さい頃からあると言っていた。
だけどその横穴の近くに、何かがあった。

('A`)「ツンさま?」

ξ゚听)ξ「しー! 何かいるかも」

ドクオとクーは顔を見合わせて首をひねった。
でも私には見える。
横穴の前の浅い水溜まりの中に、足跡が。

そろりと、足音を立てないように動きだす。
クーたちもそれに倣ってくれる。

しとしとと降り続く雨、空は暗い。
横穴の中は真っ暗なはずだ。
近くで確認すると、それはやっぱり足跡だった。

294 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:08:44 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚听)ξ「……!」

さらに近づいて、私はついに横穴を覗き込んだ。
そして息をのむ。

中には何か、私たちと歳は変わらなそうな子供がいた。
でもそれは普通の子供じゃなかった。
まるい頭の上には二つの突起がついていた。

川;゚ -゚)「な、なんだあれは……」

クーは小声だった。
雨音にかき消されそうな小さな声だった。

( ^ω^)「……」

なのに横穴のそいつはくるりと振り返った。

(;'A`)「ひっ!」

ドクオが小さな悲鳴をあげる。

( ^ω^)「……君たち、誰だお?」

目があった。
私は乾いた喉をなんとか動かして、言った。

ξ゚听)ξ「ツン、私の名前はツンよ。……あなたは?」

( ^ω^)「僕は……」

.

295 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:09:59 ID:Zfm9nmZ2O


頭に小さな角を持つ子供はブーンと名乗った。
クーとドクオもおそるおそる自己紹介をして、私たちはブーンのことを知った。

ブーンは気付いたらここにいたらしい。
自分は角を持つ忌み子なのだと言っていた。
忌み子というのは村の嫌われ者のことだとクーが教えてくれた。

たまに大人が食べ物を運んでくる、ブーンはそれを食べているらしい。
ブーンのことは絶対に秘密で、それを知った私たちは殺されてしまうかもしれないと言われた。

ξ゚听)ξ「そんなの、ひどい」

それが私の感想だ。
ブーンは私より年下かもしれない。
なのに、ずっとひとりぼっちだったなんて。

( ^ω^)「ひどい、のかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、ひどいさ。君は何も悪いことをしていないんだろう?
     ならこんな場所にいなければならない理由なんてないさ」

クーは右手を差し出して笑った。

川 ゚ー゚)「君の隣には私たちが立とう」

振り返って、私とドクオに向けて手を差し出す。

296 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:11:25 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚听)ξ「そうね」

('A`)「……」

私はドクオと手を繋いでブーンを見る。
ブーンはなにがなんだか分かっていないようだ。

ξ*゚ー゚)ξ「ブーン、友達になりましょう」

ブーンは迷って、ついに私たちの手を取った。

.

297 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:13:01 ID:Zfm9nmZ2O


それから私たちは四人で遊ぶようになった。

雨の日はみんなで横穴で過ごした。
クーの好きな書物の話を聞いたけれど、私には難しかった。
ブーンはすぐにクーの話が分かったようだった。

梅雨が終わってから沢に行った。
そこにいる小さな蟹がおいしいのだと教えてあげた。
ブーンは誰よりも蟹を捕まえるのが上手になった。

みんなでブーンの家になっている横穴を掃除した。
ドクオはさすがな箒さばきだった。
ブーンも熱心に壁の汚れを落としていた。

毎日のようにブーンと遊んだ。
クーとドクオはいないこともあったけれど、どちらかが会う時に私は必ずブーンに会った。


山の木々は黄や紅に染まっていた。
最近風が肌寒い。
よく晴れた日に、私とクーとドクオはブーンに会いに行った。

( ^ω^)「こんにちはだお! 今日は何して遊ぶお?」

ξ゚听)ξ「どうしようかなぁ……」

落ち葉を足で払いながら考える。
昨日は歌をうたった。
一昨日は鬼ごっこをした。
その前はお手玉で遊んだ。

298 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:14:11 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「久しぶりにかくれんぼなんてどうだろう?」

('A`)「かくれんぼって……クーさん、前は事前に穴掘ってましたよね」

川 ゚ -゚)「今日はなんの準備もしていないぞ。正々堂々勝負だ」

クーは何をするにしても、ひとりでこっそり準備をしていたりする。
だからドクオは嫌がったのだけど、クーは正直者だ。
今回は本当に何もしていないだろう。

ξ゚听)ξ「私はいいわよ。ブーンは?」

( ^ω^)「僕もいいお。今日こそ最後まで見つからないように頑張るお!」

私とクーとブーンは賛成だ。
三人でドクオをじっと見つめる。

('A`)「三人がやりたいなら俺は反対しません。いいですよ」

私は知っている。
ドクオは絶対に私とクーには逆らわない。
だからクーがかくれんぼを提案した時、何をするかは決まっていたのと変わらない。

最初の鬼は言い出しっぺのクーに決めて、私たちは散り散りに隠れ場所を探した。




日はすっかり落ちて、空は橙色。
最後の鬼のブーンが全員を見つけて私たちはまた集まった。

299 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:15:28 ID:Zfm9nmZ2O

(*^ω^)「今日は楽しかったお!」

ブーンは全身で喜びを表現してくれた。

ξ*゚听)ξ「そうね。今日のクーは弱かったもんね」

川 ゚ -゚)「たまたまだ。私の真の実力はこんなものじゃないぞ」

('A`)「小細工なしで勝ってから言ってください」

いつものようなやりとりをして、私たちはブーンと別れた。

もう秋だ。
ブーンと出会った頃に比べると夕方は少し冷える。
私は着物の袖に手を引っ込めて体を擦りながら先頭を歩いた。

狭い一本道を真ん中くらいまで進んだ頃、ドクオは唐突に立ち止まった。
それに気付いたクーに肩をたたかれて私も立ち止まる。

川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「忘れ物をしたみたいです」

ξ゚听)ξ「ドクオ、手ぶらじゃなかった?」

みんなで遊ぶ時は基本的に手ぶらだった。
最初の頃こそブーンにいろいろなものを持っていったが、もう持っていくものが思いつかない。
ブーンの住む横穴には私たちの思い出がたくさん詰まっている。

300 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:17:08 ID:Zfm9nmZ2O

('A`)「お屋敷の蔵の鍵を預かっていたんですけど……」

ξ゚听)ξ「ああ、ドクオ、あそこの掃除任されてるもんね」

うちには大きな蔵がある。
一度お父さんに連れられて入ったことがあるけれど、面白そうなものはなくてがっかりしたのを覚えている。
難しそうな書物がたくさんあったから、もしかしたらクーには楽しめるかもしれない。

とにかく蔵には大量にいろんなものがしまわれている。
屋敷の使用人のうちモナーさんが任命した三人には合鍵が渡されて、いつでも掃除をできるようになっている。

ξ゚听)ξ「あそこの鍵ならモナーさんたちも持ってるじゃない」

('A`)「そのモナーさんが信用して預けてくれた鍵です。そう簡単になくせません」

ドクオは下を向く。
影になって顔は見えない。

川 ゚ -゚)「なら私も一緒に戻ろう。もっと暗くなったら道を見失いかねないからな」

('A`)「それは出来ません。ここいらは獣もいます。俺は対処できますから、絶対についてこないでください」

ξ゚听)ξ「あ……」

私が伸ばした手が触れる前に、ドクオは走りだしてしまった。

川 ゚ -゚)「珍しいな。ドクオが私たちに、あんなはっきりものを言うなんて」

ξ゚听)ξ「……」

301 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:18:29 ID:Zfm9nmZ2O

赤くて暗い森の向こうにドクオの影が消えていく。

川 ゚ -゚)「どうした、ツン?」

ξ゚听)ξ「なんでもない」

寒気がした。
まるで山にドクオが食べられてしまうようだった。
そう考えてしまう自分が嫌だ。

追い掛けようか、そう思ったけれど、ドクオの態度を見たらそれはいけないように感じた。
クーと顔を見合わせて、二人で帰り道を急いだ。
だんだん暗くなるのが、初めて怖いと思った。




結局その日、ドクオは帰ってこなかった。

.

302 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:20:03 ID:Zfm9nmZ2O


三日後に会ったクーの顔色は悪かった。

川 ゚ -゚)「なあツン、一度、ブーンに会ってみないか?」

ξ゚听)ξ「……そうね」

大人たちが手分けして探してもドクオは見つからなかった。
事情を聞かれた私とクーは、ブーンのこと以外は全部素直に話した。
私たちも子供同士で集団になって探すのを手伝ったけれど駄目だった。

だけどこの間、私たちはブーンのもとへは行かなかった。
ドクオが戻ったのはブーンの住む横穴の方向だった。
私たちは死ぬのが怖かった。
ブーンにされた話を忘れられなかった。

でも、もうそんなことは言ってられない。
もし遭難していたら、そろそろ大変なことになると大人たちが言っていたのを聞いた。

川 ゚ -゚)「大丈夫、誰にも会わずにあそこへ行く道を見つけたんだ」

こんな時でもクーは頼もしい。

ξ゚听)ξ「私、役立たずね……」

呟きはクーには聞こえなかったらしい。
クーは私に手を伸ばして言った。

303 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:21:43 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「ほら、烏が鳴く前に帰ってこないと怒られるぞ」

ξ゚听)ξ「……うん」

私はクーの手を掴んだ。
じゃないと、もう一緒にいられないような気がした。




まだ明るい時間なのに、横穴の近くは生き物なんていたいみたいに静かだった。

(;^ω^)「三日間もみんな来ないから心配したお!」

私とクーの姿を見るなりブーンが言った。
裸足で走りよるブーンに、私はなぜか涙が止まらなかった。

ξ;;)ξ「ひっく……ぅ……。ブーン、どうしよう……私、私のせいで、ドクオ……!」

クーが背中をさすってくれる。
それでも止まらない。

( ^ω^)「ドクオに、何かあったのかお?」

ξ;;)ξ「いなく、なっちゃった。私が止めてれば……」

304 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:23:19 ID:Zfm9nmZ2O

川 ゚ -゚)「ブーン、詳しい話は私がしよう。一度君の家に上げてくれないか?」

( ^ω^)「……わかったお」




クーが全部話してくれた。
わかりやすく、簡潔に。

(;^ω^)「うーん……僕はみんなと別れたきりドクオには会ってないお」

ブーンは頭の角をさすりながら言った。
考える時の癖だというのには最近気付いた。

( ^ω^)「人の声も獣の声もしなかった、静かな日だったお」

川 ゚ -゚)「人さらいや山賊ではない、獣でもない。ドクオはどこを探しても、手掛かりひとつ見つからない」

クーまで考え始めてしまった。
ドクオが私たちと別れた場所からブーンのうちまでは遠くない。
何かあったなら聞こえるはずだ。

川 ゚ -゚)「ツン、君のおばあさんは、この山に鬼が棲むと言ったな」

ξ゚听)ξ「え、う、うん……」

305 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:23:30 ID:4jk8staU0
dkdk

306 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:24:50 ID:Zfm9nmZ2O

私は涙を拭きながら答えた。
おばあちゃんはしつこいくらいに、毎日のように不気味な話をした。
まるで、私がここに来ているのを知っているかのように。

川 ゚ -゚)「私は最初……申し訳ないが鬼とは、ブーンのことだと思っていた。しかしそれはおかしいんだ」

( ^ω^)「どういうことだお?」

川 ゚ -゚)「彼女は私たちが物心つく頃からあの話をしていた。しかしブーンは私たちより年下に見える」

私はブーンの顔を見た。
最初の印象と同じ、私より年下に見える。

川 ゚ -゚)「それだけなら鬼は人と違う、年をとらない、そう言えるのだが」

ξ゚听)ξ「あ」

クーの言いたいことがわかった。

川 ゚ -゚)「ブーンは成長している。事実、ツンとブーンの身長差は初めて会ったときより縮んでいる」

ξ゚听)ξ「私たちが物心ついた頃、ブーンも年は変わらなかった。だからブーンが人を襲っていたとは思えない」

川 ゚ -゚)「その通り。だから私は、この山には別の鬼がいるのではと考えたわけだ」

クーの言うことが正しいのなら、ドクオは。

( ^ω^)「人でも獣でもなく、鬼に襲われていなくなった、ということかお?」

307 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:26:00 ID:Zfm9nmZ2O

クーは頷いた。

川 ゚ -゚)「そうでない証拠がない以上否定はできない。私はこの目で見ないからとすべてを否定したりはしない」

寒い。
風が中まで入ってくる。
私は膝を抱える。

( ^ω^)「僕もドクオを探すの手伝うお」

川 ゚ -゚)「よろしく頼むよ。私たちはそろそろ帰らないと」

私はクーに手を引かれて立ち上がった。
お気に入りの着物の裾が少し汚れたけれど気にしない。
ドクオの行方以上に、今の私の興味を引くものはない。

横穴の外は真っ赤だった。
夕日があの日みたいだ。

( ^ω^)「二人とも、いなくなったりしないでくれお」

川 ゚ -゚)「もちろんだ」

少し前に進む。
そしてクーはもう一度振り返った。

川 ゚ -゚)「鬼に、喰われたりするなよ」

.

308 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:27:02 ID:Zfm9nmZ2O


家に帰った私に、おばあちゃんが抱きついてきた。

(;゚д゚ )「ツン、どこに行っていたんだい!?

ぎゅっとしがみつかれて少し苦しい。

ξ゚听)ξ「クーがうちに来てね、一緒にドクオ探してた」

( ゚д゚ )「……そうかい。外は危ない。次に神隠しにあうのがお前なんて、私は嫌だからね」

ξ゚听)ξ「神隠し……」

神隠し、か。
隠すのが鬼でも神隠しというのだろうか。
そもそもドクオの本当の消えた理由はなんだろう。

( ゚д゚ )「ツン、悲しいがドクオはもう戻ってこない。だけどツン、おまえはいなくならないで」

ξ゚听)ξ「……」

おばあちゃん、そういうこと言うのか。

ξ゚听)ξ「私はドクオが帰ってくるのを信じる。……おばあちゃんなんて」

わかってる、言ったらだめだって。
だけど止まらない。

309 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:28:41 ID:Zfm9nmZ2O

ξ#゚听)ξ「大っ嫌い!」

私はおばあちゃんを突き飛ばした。
そのまま横を通り過ぎて自分の部屋にこもる。

「ツン……」

引き戸の向こうからおばあちゃんの声が聞こえる。
でも無視をする。

ξ )ξ「ごめん……」

私はドクオが好きだった。
私には三人しかいない友達の一人だった。
だから、ドクオが戻ってくることを信じないおばあちゃんが許せない。

敷きっぱなしの布団に潜り込んだ。
着物も髪もぐちゃぐちゃだけど気にしない。
目を閉じると、じんわり涙があふれてきた。

.

310 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:29:49 ID:Zfm9nmZ2O


ξ゚听)ξ「……」

信じられない。
起きたばかりの私に、おばあちゃんはなんて言ったのだろう。

( ゚д゚ )「ツン、もう一度言うよ」

嫌だ、嫌だ。
その先は聞きたくない。
耳をふさぎたいのに腕が上がらない。

( ゚д゚ )「クーが」

やめて。
言わないで。

( ゚д゚ )「昨日から行方不明だ」

ξ゚听)ξ「……っ」

寒い。
気温ではない。
体が冷えて冷えて、だから寒い。

ξ゚听)ξ「……なきゃ」

( ゚д゚ )「ん?」

311 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:31:00 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚听)ξ「ブーンに、知らせなきゃ……」

(;゚д゚ )「ツン!」

おばあちゃんが伸ばした腕をかわし、私は家を飛び出した。
おばあちゃんの声が聞こえる。

「ツン、あんた、北の山に行ったね……!」

おばあちゃんはやっぱり知っていた。
だからあんな話をしつこく聞かせていたんだ。




いつもの横穴。
こんな朝早くに来るのは初めてだ。

ξ゚听)ξ「ブーン、いる……?」

まだ寝ているかもしれない。
だけど、どうしても無事を確認したかった。
もしかしたらドクオとクーはここにいるかもしれないと、淡い期待もあった。

ブーンの返事はない。
私はゆっくりと中に入っていった。

ξ゚听)ξ「ブーン」

312 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:31:54 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「おはよう、ツン」

ブーンは、いた。
いつものように私に挨拶をしてきた。

ξ゚听)ξ「……」

様子がおかしい。
何がおかしいかというと、手だった。

ブーンは、何かを両手で抱えていた。

ξ゚听)ξ「……」

それに、本当は一目見てわかった。
ブーンの口元、手、着物。
全部、よく見なくてもわかる。

私はそれを見たことがある。
だから知っている。
暗くても異様な存在感。

それは、誰がどう見ても。

313 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:32:48 ID:Zfm9nmZ2O

ξ゚听)ξ「……血」

生臭い匂いが一気に鼻から入ってくる。

ξ;゚听)ξ「ぅ……」

気持ち悪い。
喉を通って、昨日の食事が吐き出される。

ξ; )ξ「ぐ、ぅ……。は、……ぅぅ……」

ブーンは球体のものを持っていた。
そのてっぺんから、つやのある黒い糸のようなものが垂れ下がっている。
下からは血が流れている。

( ^ω^)「うーん……ドクオよりはましだけど、ちょっと物足りないお」

ブーンはわきに球体を置いて、今度は別のものを口元に運んだ。

ξ; )ξ「ぁ……それ、は……」

( ^ω^)「見てのとおり、腕、だお。クーのね」

ブーンは食べていた。
腕、を。
口のまわりを真っ赤にして。

腕からは白いもの、赤い何かが見える。
うそ。
なんで、ブーンが。

314 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:32:50 ID:qTTYbP260
おい

315 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:33:23 ID:iL85mscs0
あぁ…

316 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:34:44 ID:T6ICzcAM0
予想はしてたけど…

317 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:35:24 ID:Zfm9nmZ2O

おかしい、ブーンはドクオ探しに協力してくれると言った。
クーは私と帰ったはずなのに。
おかしい、私にはわからない。
なんにも。

( ^ω^)「僕ね、お楽しみは最後にとっておくって決めてるんだお」

ブーンは笑っている。
楽しそうに。
ブーンは、おかしい。

逃げなきゃいけない。
わかっているのに、私はすっかり腰が抜けて動けない。
ブーンが、真っ赤なブーンが、ゆっくり近づいてくる。

ξ;゚听)ξ「……」

( ^ω^)「ツン、ふたつ、お話を聞かせてあげるお。きっと君が一番聞きたい話だと思うから」

ブーンは喋れない私を無視して話し始めた。
ドクオとクーのことだった。

( ^ω^)「ドクオは、あんまりおいしくなかったお。骨と皮ばかりで。
       しいて言えば、久しぶりに食べた感動はあったかもしれないおね」

耳をふさぐことも忘れていた。
寒い。
がくがくと全身が震える。
気持ち悪い。

318 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:36:57 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「ツンとクーの安全を約束すると言ったら抵抗もしなかったお。
       あれじゃあ友達というより、君とクーの忠実な下僕か何かみたいだお。僕はそういうところ、嫌いじゃなかったけど」

ブーンは口元の血をぺろりと舐めとって話を続ける。
涙が出てきて、私の視界は悪い。

( ^ω^)「クーは……なんだお? 僕がドクオを隠したって、三日後に気付いて問い詰めてきたお。勘が良すぎて気持ち悪いお」

ブーンは一口、かじりついた。
たらたらと血が落ちる。
地面は真っ赤だった。

( ^ω^)「ツンと一緒に来た時の話は、僕を油断させるためだったんだお。夜にクーはやって来た。僕は殺されかけたお」

ブーンは一度奥に行き、何かを拾い上げた。
刃物だった。
クーのお父さんの形見の短刀だった。

( ^ω^)「まあ僕は返り討ちできたし、それなりにおいしかったからよしとしとくお」

ブーンはずっと笑顔だった。

( ^ω^)「ツン、一応言っておくけど、別にドクオとクーが嫌いなわけじゃなかったお。でも僕も何か食べないと死んじゃうお」

一歩、二歩。
私に近付いたブーンは、ゆっくりしゃがんだ。
目が合う。
いつもと同じ笑顔だ。

319 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:38:55 ID:Zfm9nmZ2O

( ^ω^)「あ、それともう一つ。僕ね、実は一度死んでるから、見た目なんてどうとでもなるんだお」

ξ゚听)ξ「ぇ……」

やっと出た声は情けなく震えていた。

ブーンは私の目の前にいた。
大きく開けた口には、鋭い牙がふたつ。
今まで気付かなかった。

( ^ω^)「いただきます」

ξ;゚听)ξ「……っ!」

ξ; )ξ「ぁ、いやあああああああ!!」

結局ブーンは鬼で、私たちとわかり合うことはできなかったらしい。






320 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:41:23 ID:Zfm9nmZ2O
以上です。ありがとうございました。


  (
   )
  i  フッ
  |_|

321 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:41:29 ID:iL85mscs0

救いがねぇな…

322 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:44:10 ID:K5cYOggE0

うわぁ。切ないなぁ。
わかり合えたと思ってただけに、この結末はきつい・・・・・・

323 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:44:10 ID:ijMzp3hI0
乙乙。この鬱っぽい空気も百物語の醍醐味か……

324 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:44:19 ID:d6ClzGvY0
うわぁ……えげつないな……
いいぞもっとやれ

325 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:44:28 ID:4jk8staU0

ドキドキした

326 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:48:38 ID:I65o5vOg0
乙!

せめてツンが美味しいといいね

327 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:52:16 ID:ijMzp3hI0
それじゃあ九本目行かせてもらうかな


  .,、
 (i,)
  |_|

328 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:53:13 ID:ijMzp3hI0



   少女たちの談話のようです

329 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:54:31 ID:ijMzp3hI0
ξ゚�゚)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚�゚)ξ「……暇ねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「……そだね、お姉ちゃん」

ξ゚�゚)ξ「なんか面白い話ない?」

ζ(゚ー゚*ζ「んー、特に……」

ξ゚�゚)ξ「そうよねぇ……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ξ゚�゚)ξ「……」

330 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:55:51 ID:ijMzp3hI0
川д川「ちわーっ」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、貞ちゃん。ちょうどいいとこに来た」

ξ゚�゚)ξ「あのさ、私たち今ちょうど暇してたとこだったんだけど、なんか退屈が紛れるような面白い話知らない?」

川д川「んー……面白い話か分からないけど、二人に聞きたいことはあるかなー」

ξ゚�゚)ξ「何、それ?」

川д川「今日たまたま聞いちゃったんだけど、階段の踊り場に幽霊が出るって噂、知ってます?」

ξ゚�゚)ξ「んーん、知らない」

ζ(゚ー゚*ζ「そんな噂あるんだ。知らなかった」

川д川「なんかその噂、二人のどっちかが原因な気がして……」

ξ゚�゚)ξ「どういうこと?」

331 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:57:21 ID:ijMzp3hI0
川д川「私の聞いた話だと、放課後に校舎西の階段の踊り場で、躍り狂う女の子の霊が出るって……」

ζ(゚ー゚*ζ「それがどうして私たちに繋がるの?」

川д川「その幽霊、金髪ツインテで長い髪の毛がドリルみたいにくるくる巻いてるんだって……」

ζ(゚ー゚*ζ「えー?まんま私たちの特徴と一緒じゃん。そんなことしてないのに」

ξ゚�゚)ξ「……あー、ごめん。多分それ私だ」

川д川「ツンさんが?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょ、お姉ちゃん何してるのwww」

ξ゚�゚)ξ「だって、なんか妙にテンション上がっちゃって……楽しくなっちゃったのよ」

川д川「ツンさんかわいいwww」

ξ゚�゚)ξ「るっさい!人に見られてるって知ってたらやらなかったわよ!」

332 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 21:59:23 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみにその時、何を踊ってたの?」

ξ゚�゚)ξ「……ソーラン節」

川д川「ちょwww怪談が一気に金八先生にwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「いくらテンション上がっててもソーラン節はないわーwww」

ξ゚�゚)ξ「っさい!デレだって雨の日になると変なことするじゃん!」

ζ(゚ー゚*ζ「え?それ言っちゃう?」

川д川「何ですか?何をしでかしちゃうんですか?」

ξ゚�゚)ξ「この子、雨の日になると家庭科室の姿見の前ウロウロしてんのよ」

ζ(゚ー゚*ζ「あれはほら、仕方ないとこあるし……」

川д川「あれですか。女の子だから身だしなみが気になっちゃう的な?」

ζ(゚ー゚*ζ「いやほら、私たち髪の毛こんなだから、湿気が強いとどうもね……」

ξ゚�゚)ξ「私はそうでもないんだけど、デレは巻きが私より強いから雨になると……」

川д川「あぁー、そういう……」

333 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:00:49 ID:ijMzp3hI0
ξ゚�゚)ξ「おかげさまでこの学校の七不思議に、『家庭科室で無念の死を遂げたOさん』なんてのが出来ちゃう始末でさぁ」

川д川「なんというはた迷惑wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「こういう髪型だと、ちょっとの湿気ですぐ髪が乱れるから大変なんだよぉ?」

川д川「へぇー。髪の毛多くて野暮ったい私には羨ましい話ですわー」

ξ゚�゚)ξ「うちらからしたら、貞ちゃんの黒髪のが羨ましいよ」

川д川「いやいやそんな……重たいし染めらんないし、いいとこないっすよー」

ζ(゚ー゚*ζ「……そういえば、黒髪で私も思い出したけど」

ξ゚�゚)ξ「ん?何を?」

ζ(゚ー゚*ζ「貞ちゃん、最近誰かに泣くとこ見られなかった?」

川д川「え……なんで?」

ζ(゚ー゚*ζ「噂で聞いた話だったからすっかり忘れてたけど、私も変な怪談聞いたことあったのよ」

ξ゚�゚)ξ「というと?」

334 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:02:18 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「校庭の真ん中で真夜中に泣いてる黒髪少女、その女の子に声をかけたら……ってヤツ」

ξ゚�゚)ξ「でも、うちらと違って黒髪の女なんていくらでもいるじゃん?」

川д川「そうだよ。それを私と関連づけるのは、ちょっと無理があるんじゃない?」

ζ(゚ー゚*ζ「そっかなぁ……」

川д川「そーそー」

ξ゚�゚)ξ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

川д川「……」

ξ゚�゚)ξ「で、本当んとこは?」

川д川「私ですwwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょwwwww」

ξ゚�゚)ξ「やっぱりwwwww」

335 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:03:35 ID:ijMzp3hI0
ζ(゚ー゚*ζ「ちなみになんで校庭のど真ん中で泣いてたの?www」

川д川「いやー、逆睫毛が目に入って痛くってさぁ……www」

ξ゚�゚)ξ「なぜ校庭の真ん中で逆睫毛wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「何してたのwwwww一人運動会?wwwww」

川д川「にゃんこ追っかけてましたwwwww」

ξ゚�゚)ξ「猫自重wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなほのぼのしてたら怪談にならないwwwww」

川д川「別に怪談になる必要ないしwwwww」

ξ゚�゚)ξ「wwwww」

ζ(゚ー゚*ζ「wwwww」

川д川「wwwww」

336 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:04:53 ID:ijMzp3hI0
ξ゚�゚)ξ「はぁー、面白い……」

川д川「意外に盛り上がりましたねー」

ζ(゚ー゚*ζ「でもさぁ、本当、人間ってそそっかしいよねぇ」

ξ゚�゚)ξ「そうね。私たちに驚かすつもりなんて、全然ないのにね」

川д川「ですよねー……あっ」

ξ゚�゚)ξ「どしたの、貞ちゃん?」

川д川「いけない。誰か来たみたいです」

ξ゚�゚)ξ「マジで?」

ζ(゚ー゚*ζ「こんな時間に迷惑な……」

川д川「まぁ仕方ないですよ。今日のとこは解散ってことで」

ξ゚�゚)ξ「そうね。続きはまた明日にしようかしら」

ζ(゚ー゚*ζ「楽しかったねー、貞ちゃん」

川д川「ですねー。明日も遊びに来ますから」

337 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:05:55 ID:ijMzp3hI0
川д川ノシ「じゃー二人とも、明日までお元気でー」

ξ゚�゚)ξ「じゃーねー貞ちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「またねー」


...:::;:д川 フッ

...:::;.�゚)ξ フッ

...:::;;ー゚*ζ フッ


ガラガラッ


(#^ω^)「全く、貸してやったエロゲ学校に忘れるとかどんな神経してんだお!?」

('∀`)「へへ、面目ねぇ。ブーンが用務員さん丸め込んでくれなかったら、いらん恥かくとこだったぜ」

( ^ω^)「夜の学校なんて不気味なだけだし、さっさと取ってさっさと帰るお」

('A`)「おk、把握」

338 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:07:07 ID:ijMzp3hI0
('A`)「……?」キョロキョロ

( ^ω^)「どうしたお。そこドクオの机じゃないお」

('A`)「いや……なんかここ、人のいた気配がしね?」

( ^ω^)「んな訳あるかお。もう7時過ぎてんだお?」

('A`)「そうだけど……そういえば、こんな噂聞いたことあるか?」

('A`)「『夜、誰もいないはずの教室に忍び込むと、女の子の幽霊が談笑してる姿が見れる』って」

( ^ω^)「聞いたことねーお。美少女なら見てみたいけど不細工は勘弁だお」

('A`)「だよなー。お、発見」ゴソゴソ

( ^ω^)「取るもん取ったらはよ帰るお」

('A`)「うーす」

ーーークスクス

('A`)「……ん?」

339 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:08:29 ID:ijMzp3hI0
ーーークスクス

ーーーアハハハッ

ーーーウフフフフ

(;'A`)「……おい、ブーン。なんか人の笑い声が……」

( ^ω^)「ビビりもいい加減にしろお。はよせんかいドクオ」

(;'A`)「お、おう……」

(;'A`)(気のせい……か?)

ガラガラッ、バタンッ

…………
………
……

340 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:09:41 ID:ijMzp3hI0
ーーー本当、そそっかしいよねぇ、『人間』って……

ーーーそうね。私たち『幽霊』に、驚かすつもりなんて、全然ないのにね……

ーーーでも、さっきみたいに全部勘違いだと思われるのも、それはそれでなんだか寂しいですね……

ーーーそうね……

ーーーそうだね……

341 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:10:59 ID:ijMzp3hI0



日の落ちた教室へ忘れ物を取りに行く時は、少女たちの談話に水を差さないよう、くれぐれも気をつけて……。


ーーークスクス

ーーーアハハハッ

ーーーウフフフフ


(了)

342 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:12:18 ID:iL85mscs0
ほのぼの可愛い幽霊っ娘め


343 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:13:06 ID:ijMzp3hI0
終わりです

  (
   )
  i  フッ
  |_|




総合で頂いたお題を元に書きました。

・踊り場
・小雨
・泣く女

344 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:22:32 ID:K5cYOggE0

三人娘がかわいくて和んだ
話の余韻もいいなぁ

345 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:37:35 ID:L8EnzUKE0


面白かったから許すけどもう貰ったお題忘れんなよ!!

346 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 22:59:50 ID:89ZizsXIO
では賑やかしの十本目


  .,、
 (i,)
  |_|

347 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:00:55 ID:89ZizsXIO

隣町の片隅、林道の途中にあるトンネルに幽霊が出る。ありがちな噂だ。
オカ板の常駐スレがこの時期にしては過疎気味だったから、ちょっとしたネタ提供のつもりだった。

年季の入った車に鞭打って砂利道を上ること20分。
現れたトンネルは、乗用車1台通るのがぎりぎりなくらいの幅しかなかった。
ヘッドライトをつけても奥は見通せず、むきだしの岩肌が暗がりへと溶けている。
夜半から降り続く雨のせいか、霧がたちこめはじめていた。安いデジカメでもイイ写真が撮れそうだ。

( ^ω^)「いざ突入、だお」

入り口を一枚撮って、車に乗り込んだ。



  彼は帰りたいようです



中も砂利道が続いていた。
50mも進めば視界は岩壁と闇に閉ざされる。
エアコンの効きが悪いようで、フロントガラスがじりじりと曇ってきていた。
窓を開けるとじっとりとした冷たい空気が流れ込む。

( ^ω^)「崩落事故で死者が出たっていうけど……」

そもそもがこの狭さだ、どこぞのダムのような大規模なものではあるまい。
だが見たところ、壁も天井も一枚岩をくり抜いたような堅牢さだ。
湿度の不快さと圧迫感があいまって、嫌に鮮明なイメージが浮かぶ。

348 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:02:29 ID:89ZizsXIO

突然天井から剥離する巨石。折り畳まれるようにして見えなくなる人影。足下の砂利を這う赤黒い液体。
堅く重い岩は少しずつ削ることでしか退けられない。その間にも血は洗われ、肉は朽ち、骨は砕けて遺体は回収できないまま――

(;^ω^)「――おっ、」

不意にトンネルが広くなった。
すれ違うための退避所、なのだろう。
偶然とは知りつつも、想像を裏付けるようなタイミングに寒気がした。

一際歪な天井と、打ち捨てられたつるはしを撮る。

再び車を発進させ、あとはひたすらに出口を目指した。
ますます曇ったガラスと霧で二重に煙る先に光が見えた時は思わず息を吐く。
トンネル自体は全長数百mなのだろうが、視界の悪さと低速で走るしかないもどかしさで永遠に続くような気がしていた。

抜けた先でまた1枚撮る。崖の下に見える貯水池もついでに。

帰りは少し気が楽だった。視界が悪いだけで、幽霊が出るどころか寒気も異音もない。
少し残念ではあるけれど、雰囲気あふれる写真がとれたからよしとしよう。

ふと思いついて、トンネルの出口が見えた頃、ガタガタと揺れる車内で手を後ろに伸ばしてシャッターを切った。

349 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:03:31 ID:89ZizsXIO

林道を少し下ったところで車を止める。
最後の一枚の出来映えを確認したかった。が、そのまえにタオルをひっつかんで外に出る。
フロントガラスの曇りがとれない。
降りかかる雨粒と一緒にタオルを滑らせ――そこで気づいた。

今の今までワイパーを動かしていたのだ。
外側に水蒸気の曇りが残るわけがない。

じゃあ、このガラスの白濁は?

違う。
違うガラスだけじゃないボンネットにもサイドミラーにもべたべたと塗り重ねられたこれはおぞましい数の、

(;゚ω゚)「これ、て、が――手形?」

喉が引き絞られる。身体が強ばって背筋が軋む。
すこしだけ開いた運転席の窓に、その内側に、指の跡がついていて、
助手席においてあるデジカメには、先ほど撮った写真には車内の様子もその向こうのトンネルも写っておらずそこには

350 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:04:12 ID:89ZizsXIO
                         . ⌒ヽ
                       { ィ==、.'.
                            '.{圭ニハ'.
          . - ミ           V圭ニ{ '.
             {  ィz.\          V圭ニ .}
           '. {圭tz ヽ         {圭圭.|
           \`寸圭t.\       {圭圭'.
                ヽ`孑圭z \     '圭圭.}
              ` 、寸圭z、ヽ    }圭圭'.
                  ` 、孑イz\    !圭圭゛.
                     ヽ`寸圭\_ ,ハ圭圭ハ
  r━―‐- . _            \寸圭ニ彡夭圭.八
   、 (圭圭≧ニ=- ̄二ニ=- ._ノ)、圭圭圭圭圭: Y
    ゛ <二三圭圭圭圭圭≧ニ=‐゛圭圭圭斗圭圭y∧
           ̄¨ ==ニニ、圭圭圭,.ィ聿圭圭圭豹.ヽ、
                 },圭圭圭圭圭圭圭圭圭弋\
           _ . . ≦夭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭z`z―、__
       _ ..≦z=圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭!圭{圭≧=≧- ._
    ,.ィ≦=圭圭圭沙ニ=‐''´゛ー―、寸圭尨>≦圭圭沙个ー-<圭圭圭圭) ヽ
    ー=-‐''´ ̄           ≧<_..イ           ` =――‐ ′

351 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:05:33 ID:89ZizsXIO












おいていかないで

352 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:08:56 ID:89ZizsXIO
昔テレビでやってた心霊体験再現ビデオのイメージで


  (
   )
  i  フッ
  |_|

353 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:13:22 ID:8eQt.atQ0
うおお……乙

354 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:14:07 ID:ijMzp3hI0
いやあああああ!!乙乙!!
ブーンは助かったのかな……

ところで>>350の大型AAってD-グレが元画像だったりする?

355 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:14:38 ID:YZ6D633c0
おつ…
大型AAは本気で怖いんだよ…なんなんだよその手は…

356 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:17:47 ID:K5cYOggE0

急に大型AAが出てくるとびくっとするな

357 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:20:09 ID:89ZizsXIO
>>354
適当にAA倉庫サイトからそれっぽいのを引っ張ってきた

こういうのに頼らなくてもいいくらいの文章力つけたいですマジで

358 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:23:54 ID:ijMzp3hI0
>>357
そっか、なんかそれっぽく見えたから気になって

359 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:30:02 ID:BUDFfaqo0
じゃあこの流れのまま11本目行っちゃうか!
つい先刻出来たばっかのホヤホヤですが


  .,、
 (i,)
  |_|

360 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:31:26 ID:BUDFfaqo0


川゚ -゚)の初恋のようです

.

361 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:32:21 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「……」

始まりは、とても昔だった。もう朧げにしか覚えてはいない
この村も、昔はもっと活気があって、子供の頃の私も、たくさんの子供たちと遊んでいた。
当時は鳩の鳴き真似をするのが流行っていて、ぽぽぽ、ぽぽぽと皆で言い合い笑い合っていたものだ。

川゚ -゚)「ぽぽぽ…」

しかしいつの頃からだろうか、子供たちは皆遊んでくれなくなり、私は遊び場であった空き地に一人、いつまでも待ち続けるようになった。
誰も遊んでくれない、誰も振り向いてくれない。
必死で続けた鳩の鳴き真似も、いつしか廃り、村も徐々に人が減っていった。

川゚ -゚)「ぽ…」

いつまでも待ち続けているうちに、空き地は農地になって、私はそのあぜ道にポツンと佇み続けた。
いつまでも待ち続けているうちに、農地は立派な家になって、私はその生垣の脇にポツンと佇み続けた。
いつまでも待ち続けているうちに、立派な家には車のついた不思議な鉄の塊がやってきて、私はそれを来る日も来る日も見送った。
いつまでも待ち続けているうちに、その不思議な鉄の塊――人々が口にする言葉から、それの名前は「じどうしゃ」だと分かった――に乗る人の中に、昔の、一緒に鳩の鳴き真似をしていた子供達に似た子がやってきた。

川゚ -゚)「ぽぽ」

遊ぼう。そう思って子供に近づいても、その子は気味悪がって逃げてしまった。

川゚ -゚)「……ぽぽ」

自分の姿を見た。ぼろぼろのもんぺ姿だった。
これでは怖がってしまうことも頷けた。私はそう思って、見よう見まねで綺麗な女の人の服装を着繕ってみた。
白い帽子と、白いワンピース。しかし似合わない。
それもそうだ、これを着ているのは大人の女性だ。背の小さかった私には、到底似合わなかった。

川゚ -゚)「ぽ…」

となりの立派な家から、声が聞こえる。
『モテる女性の秘訣は、背を高く、スレンダーに見せること』
後から知ったことだが、その声の主は「てれび」というものだったらしい。

川゚ -゚)「ぽー…」

背が高くて…「すれんだー」の意味はわからなかった。
取り敢えず、背が高くなりたくて、私は背伸びを続けた。毎日、毎日。
そうしたらいつの間にか、見上げるほどだった生垣が、向こうを見渡せるようになった。
立派な家の庭も見わたせた。
背が高くなって、見えるものが変わった。私は嬉しくなって、村を歩き始めた。
いつの間にか、地面は黒々とした一枚の石でどこまでも伸びており、「じどうしゃ」が時折そこを往来していた。
村の多くは農地となって、田園地帯が広がっていた。

川゚ -゚)「ぽ」

これはこれでいいものだ。私は慣れ親しんだ鳩の物真似を「ぽぽぽ」と口づさみ、村を練り歩いた。毎日、毎日。

362 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:34:38 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「ぽぽぽ」

時折、子供に出会った。
遊ぼう。そう思って近づこうとしたが、子供は変な顔をしてどこかへ行ってしまった。
しかし、嫌がられていた様子ではなかった。私は嬉しくなって、あまり見ない子供を見かけるたびに、遊ぼうと近づいた。
しかし、その度に子供はどこかへ行ってしまった。それどころか、子供たちは大人に囲まれどこかへ行ってしまうこともあった。
そんなことが続く内、街のはずれに不思議なお地蔵様が置かれた。はじめは気にも留めなかったが、どうもあのお地蔵様には近づけないようだった。

川゚ -゚)「ぽー…」

外に出てみたい気持ちもあったが、お地蔵様にはどうしても近づけず、仕方がないといつもの生垣の脇に佇んでいた。
それから秋が終わり、冬を過ぎ、春が来て、一層強い日差しが照りつけるようになった頃。また不思議な、車が二つだけついた乗り物に跨った人がやってきた。

( ^ω^)

川゚ -゚)「ぽ…」

私はその姿をぼんやりと追いかけた。
その人は数日後に、また同じ道を通って行った。
そして日差しが弱まり、その年の初雪が舞い始めた翌日に、また彼は来た。
二輪の乗り物にまたがって、鼻歌を歌いながら。

( ^ω^)「〜♪」

川゚ -゚)「ぽ…」

そして数日後に、また帰っていった。
私はそれからというもの、彼が来る日を毎日、毎日待ち続けた。
何故かはよくわからなかった、けど彼に会いたかった。

363 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:35:50 ID:BUDFfaqo0
それから何度目かの春。
彼はまた私の前を通りすぎていった。次に会うのは数日後…。
しかし、次の日に、彼は私の前に現れた。

(*^ω^)「いい天気だおー…」

となりの立派な家の縁側で、彼が寝ていた。

川゚ -゚)「…!ぽ、ぽぽ、ぽぽぽぽ」

思わず慌ててしまった。今までいなかったのに、なぜこの家に?

( ^ω^)「おっ?」

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽ…ぽ?」

彼がこちらを見た。生垣から覗く私を
慌てて帽子を押さえて顔を隠し、その場から退散してしまった。
しかし、私の姿を見れたのは子供たちだけのようだったのに、なぜ彼は見れたのだろう。
彼は見かけでは15、6歳くらいだったはずだ。これまでそんな事はなかった。

しばらくして、立派な家の中が少し騒々しくなった。
どうやら、以前からここは彼の家だったらしい。今まで全く気付かなかったのは、おそらくここから見えるこの家などほんの一部分だけに過ぎなかったからだろう。
ただでさえ彼がここに居る時間は少ないのだから、今まで気づかなかったのも至極当然と言えた。
さて、家の中は騒々しい、いつもの場所に私は戻り、ひょいと覗いてみる。

(;ФωФ)「生垣から頭が出るほどの女…間違いのう、八尺様じゃ…ワシはモナーさんを呼んどくるから、ばあさんはブーンの事を頼む」

lw;´‐ _‐ノv「まさかブーンが魅入られるとは思わなんだね…」

家の主であるお爺さんとお婆さんが何やら話をしていた。かと思えば、お爺さんは「じどうしゃ」に乗ってどこかへ
お婆さんも家の中へ消えてしまった。

364 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:37:37 ID:BUDFfaqo0
川゚ -゚)「ぽぽ…ぽっぽ」

気になった私は、家の周りをウロウロと回る。さすがに入る自信はない
しかし中は見えない、そうこうしているうちにお爺さんは戻ってきて、日も暮れてしまった。

川゚ -゚)「ぽ…」キョロキョロ

周囲を見渡す、人の姿はない、家の中からは、"彼"の気配がする。どうも、とてもとても怖がっているようなのが感じ取れた。
そんな彼の状態にいてもたっても居られなくなり、私は思い切って立派な屋敷へ足を踏み入れた。

川゚ -゚)「ぽ…ぽぽぽ…」

彼のいる部屋を探す、どうやら二階のようだ。「てれび」の声が聞こえた。彼はまだ怖がっているようだった。

川゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ、ぽぽぽぽ」コン、コン

精一杯背伸びをして、窓を叩く。
ヒッ、という彼の悲鳴が聞こえた。

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽぽぽぽ」コンコン、コンコン

大丈夫だよ、私がいるよ。と再び窓を叩く

「助けてくれお…助けて…」

川゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ」

ここだよ、大丈夫。何も怖くないよ。と必死で伝えるが、彼は「てれび」の声に混じって「助けて」と呟くばかり
しかしその呟きもいつしか消え、彼の寝息がかすかに聞こえ始めた。

川゚ -゚)「ぽ…」

よかった。と胸を撫で下ろし、私はそこを後にする。うっすらと夜が明けていたが、私がずっと佇んでいたどの時間よりも、その時間は濃密で、長いものに感じられた。
夜が完全に明けたころ、彼が玄関先に現れた。

365 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:39:12 ID:BUDFfaqo0
( ´ω`)

やつれた様子の彼は、うつむき加減にお爺さんについて歩いていた

(;ФωФ)「モナーさん、頼むのである」

( ´∀`)「わーっちょるモナ…ブーンくん、車に乗ってるあいだは絶対に目を開けるなモナ」

( ´ω`)「はいですお…」

川゚ -゚)「ぽぽ…」

彼の名前はブーンというらしい
ブーンはうつむき加減のまま、お爺さんとモナーさんに連れられて「じどうしゃ」に乗り込む。
私が追いかけようとすると、「じどうしゃ」はあっという間に走り去っていく

川;゚ -゚)「ぽ、ぽぽぽ!」

待って、どこへ行くの。私は「じどうしゃ」を追いかけた。
このまま彼を見失ったら、もう会えないかもしれない。漠然とそう思っていた。
必死に車に追いついて、中を覗く。ブーンは真ん中にいるようだったが、周囲を他の人たちで囲われていてよく見えない

川゚ -゚)「ぽぽ、ぽぽぽ」

顔を上げて、私を見て。そう伝えようと「じどうしゃ」を揺らすけれど、彼は顔を上げない。
そうこうしているうちに、車は村はずれのお地蔵様のところまでやってきて

川゚ -゚)「ぽ…」

私はそれ以上行けなくて、「じどうしゃ」は彼を乗せて走り去ってしまった。

366 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:40:06 ID:BUDFfaqo0
それからというもの、もうブーンが来ることはなくなった。
しかし、どうしても会いたい。会って、話がしたい。
お地蔵様には悪いけれど、私は行くことに決めた。

川゚ -゚)「ぽぽぽ…」

慣れ親しんだ鳩の鳴き真似をしながら、彼の街へと軽い足取りで歩みをすすめる。
お地蔵様、帰ってきたらちゃんと綺麗に元通りにしてあげますから、今は、ごめんなさい。

367 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:43:10 ID:BUDFfaqo0
以上。オカルト板の伝説的怪談「八尺様」を元にしたちょっとほんわかなストーリー。
でもそこは八尺様、そこはかとない気味悪さをちょっとブレンド。
最後の"お地蔵様を壊した"と取れる描写からは彼女が一種のヤンデレに近い状況にあることが伺えます。

  (
   )
  i  フッ
  |_|

368 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:45:27 ID:YZ6D633c0
おつ
純愛にみせかけてブーン目線だとめっちゃこわいぞこれ

369 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:52:51 ID:ijMzp3hI0
本編だとじっちゃんの声を真似て部屋の外に誘き出そうとするよね
ブーンを安心させるためにじっちゃんの声真似をしたとかあっても良かったかも

乙乙

370 名前:名も無きAAのようです :2013/08/10(土) 23:55:28 ID:MpiqjW.k0
こんなに可愛い八尺様だったら大歓迎なのになぁ

371 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 00:03:06 ID:SCbVaW820
>>369
川゚ -゚)のセリフを「ぽ」以外を出したらなんか気味悪さが半減しちゃったんで、最初はそこも書いてたんだけどカットしちゃったんだよな〜、ちょっともったいなかったか

372 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 00:12:28 ID:TRIFJEEs0
>>371
なるほど確かにそうかもな

373 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 00:38:07 ID:vnffkKXE0
少し解釈変えるだけでほんわかになるとは

374 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:19:44 ID:NE1qcFrg0
ちょっと質問なんだが、
閲覧注意が必要な作品はここに投下していいんだっけ?
状況を想像したらやばいってホラーだったら大体全部に言えてしまうんだけど、
自分で書いてて何度か賢者タイムに陥るようなやつなんだが

375 名前:  ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:24:55 ID:d3t9MV8U0
12本目をいただきます。

  .,、
 (i,)
  |_|

376 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 1/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:27:53 ID:d3t9MV8U0
海沿いの小さな町で彼は産まれた。
そのまま成長し、小学生となった。




月曜日。

彼は異変に気付いた。

川д川

ベットから起き上がると、目の前に女の人がいた。

Σ(;^ω^)「うおお!?」

叫んでしばらく動けなかった。

しかしその女性はただベットの上に座っているだけだった。
特に何をする様子もない。
それどころか、今は自分の体の上にいるのにまったく重さを感じなかった。

恐る恐る女性の足元を見る。

本来足がある場所に何もなかった。
腰から上の部分しかないのである。

つまりこの女性は、いわゆる幽霊と言うものなのだろうか。

377 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 2/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:28:56 ID:d3t9MV8U0
J( 'ー`)し「おはよう、ブーン」

( ^ω^)「おはようだお、かーちゃ……ん?」

ふと耳に何か聞こえてくる。

振り向くと、女性が母を指さして何かを呟いていた。

J( 'ー`)し「ブーン? どうしたの?」

(;^ω^)「ああ、いや」

どうやら母にはこの女性の姿は見えていないらしい。

そのとき、女性の発する言葉の一部がはっきりと聞えた。

「……3……………」

その後、今にも消え入りそうな、掠れきった笑い声。

(;^ω^)「えっ」

ブーンは思わず声を出した。

378 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 3/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:29:57 ID:d3t9MV8U0
3とは、いったいどういう意味なのだ。
幽霊を見ても、にやにや笑うだけ。
目元はそもそも隠れていてよくわからない。

母親が不審そうに見つめてくる。

J( 'ー`)し「どうしたのブーン、3って?」

(;^ω^)「い、いや、何でもないお!」

J( 'ー`)し「まだ寝ぼけているのかしら」

(;^ω^)「本当に、なんでもない、お」

寝ぼけているならまだいい。
この不気味な半身の幽霊が本当に見えているならば、自分はおかしくなったに違いない。
いっそのことまだ寝ぼけていて、これが幻覚だとわかってくれればよかった。

J( 'ー`)し「はやくご飯食べなさい」

朝の会話はそれきりだった。

379 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 3/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:31:05 ID:d3t9MV8U0
小学校に行く途中でも何人か人を見かけた。
会社へと向かうサラリーマン、散歩に向かうおじいちゃん。

腰から上だけの女性は、時折その人々に指を指してぼそぼそと呟いた。
いつも数字のところだけやたらとはっきり聞える。

しかもその大半は、3に満たない数だった。

結局この幽霊は消えなかった。
頭がすっきりしてからも見える。どうやら幻覚ではないらしい。
それにしても、この幽霊を見ると不安になる。

何か良くないことの兆しなのだろうか。
ブーンはただならぬものを感じ、なるべく幽霊を見ないように勤めた。
しかし見ていなくても、かすれるような数字の宣告は聞えてくる。

常に耳をふさぐわけにもいかない。
無視をきめこむしかなかった。

学校につき、クラスに入る。
教室の一番うしろの自分の席へ赴く。

380 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 5/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:31:58 ID:d3t9MV8U0
ξ゚听)ξ「おはよう、ブーン」

隣席のツンが声をかけてきた。
幽霊はまた指を指して、「3」と告げる。

(;^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「どうしたの、元気ないわね」

こういう話を聞いたことがある。お話の中でだが。
人の頭の上に数字が浮かぶ、そしてその数字は、その人が死ぬまでの日数を表しているとか。

今の状況に似ているとブーンは思った。
数字は幽霊から告げられるが、ひょっとしたらそれは死の宣告なのかもしれない。

この幽霊は死神か何かで、他の人の死を予言している。
その不吉な身なりから、ブーンはそんな想像までしていた。

(;^ω^)「ツン……ツンは元気かお?」

ξ゚听)ξ「あたし? ええ、もちろん元気よ」

(;^ω^)「本当かお? 実は重い病気にかかっているとかないかお!?」

ξ;゚听)ξ「ど、どうしたのブーン?」

381 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 6/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:32:58 ID:d3t9MV8U0
(;^ω^)「じ、実は……」

('A`)「おう、おはようブーン」

背後から声をかけられた。
振り返ると、彼の親友であるドクオがいた。

ブーンは言葉を返そうとした。

しかし、途端に止めてしまう。

('A`)「どうしたよ、そんな口をあんぐりと開けて」

(;^ω^)「あ、ああ……」

ドクオを見た瞬間、幽霊の言葉が聞えたのだ。

幽霊の告げた数字は、0だった。

その数字を告げてから、幽霊は狂ったように長く笑っていた。
まるでこの状況がとても愉快な状況であるかのように。

382 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 7/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:33:58 ID:d3t9MV8U0
担任の数字も3。
他のクラスの人になると、2とか1もちらほらいるようだ。
しかし今の状況だけでその数字の意味を知るのには限界があった。

結局まだ幽霊の話を打ち明けられないまま、ブーンはドクオと一緒に帰ることにした。

('A`)「ブーン、なんだか朝から変じゃないか?」

(;^ω^)「え、な、何が」

帰り道、ドクオは不意にブーンに質問した。

('A`)「いやだって、挙動不審というか」

(;^ω^)「べ、別に何も隠していないお!」

とはいいつつも、ブーンの目はドクオがいつ不幸に見舞われるのか心配でならなかった。

383 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 8/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:34:57 ID:d3t9MV8U0
ドクオは生来弱々しい体つきをしている。
もし今ここで急病で倒れたとしても納得できるくらいだ。

0という数字。
もう今日で命が絶たれるということなのだろうか。

しかしいくら虚弱体質だとしても、病気で一日で死ぬことはあり得るのだろうか。

('A`)「どうも気になるなあ……お、信号変わり目だぜ、急ごう」

ドクオはすぐに走り出してしまう。
ブーンは慌てて声をかけた。

なんだかドクオが遠く離れて行ってしまう、そんな悪寒が走った。

384 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 9/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:35:57 ID:d3t9MV8U0
ブーン声は、ドクオにはもう届いていなかった。
思わず伸ばした手が空を切る。

脇道から車が飛び出してきたのは、そのすぐ後だった。

( ^ω^)「あ、あ」

目の前の情景がスローモーションのように進行していく。

宙を飛んでいく親友を見て、声を失った。




火曜日。

385 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 10/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:36:58 ID:d3t9MV8U0
ドクオは入院した。
幸いまだ生きている、ただかなり危険な状態らしい。
担任もかなり狼狽している様子で、話している最中も目に涙を浮かべていた。

ξ゚听)ξ「ドクオ、大変なことになっちゃったね」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「ブーン?」

( ^ω^)「ツン、後で話したいことがあるお」

ブーンはツンの方を向き、小声で告げた。
幽霊はツンを指さして、嬉々として「2」と言った。

386 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 11/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:37:58 ID:d3t9MV8U0
放課後、二人は近所の公園のベンチに座った。

ξ゚听)ξ「幽霊が数字を伝えてくる?」

( ^ω^)「そうなんだお。例えば今のツンや、他のクラスの友達は2」

( ^ω^)「昨日は3だったお。今日になって、みんな一日分進行しているんだお」

(  ω )「……そして昨日、ドクオの数字は0だったんだお」

ブーンは控え目に最後の言葉を付け足した。

(  ω )「もしかしたら、これはみんなの寿命なのかもしれない、そう思うんだお」

( ;ω;)「ひょっとしたらこれからあと2日で何か大災害が起きてみんな死んじゃうのかも」

387 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 12/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:38:58 ID:d3t9MV8U0
すると、それまで多少動揺していたツンが、首を横に振った。

ξ--)ξ「それはありえないわ、ブーン」

ξ゚听)ξ「だって、もしそれが寿命なら、ドクオは昨日の時点で死んでなきゃならないでしょ」

( ;ω;)「あ……」

ξ゚ー゚)ξ「でもドクオはまだ生きている。そうでしょ」

( ;ω;)「た、確かに……」

ξ゚ー゚)ξ「きっとその数字、何か別の意図があるのよ」

ツンはそういうと、ブーンに微笑んでくれた。

388 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:39:55 ID:68AY/e1M0
信じて慰めてくれるツン優しいなぁ…

支援

389 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 13/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:39:58 ID:d3t9MV8U0
その日、ブーンは昨日よりもだいぶ軽い気持ちで帰宅することができた。
ドクオの死を意識して怯えていた感情も薄れたし
ツンが笑いかけてくれたことも嬉しかった。

なんで嬉しいのかはまだよくわからなかったが。

J( 'ー`)し「ブーン、ご飯よー」

( ^ω^)「はいだおー」

居間にいくと、母親の手料理が並べられている。
ブーンは母親の手料理が大好きだった。

父親は単身赴任。実質母親とブーンは二人で暮らしていた。
母親にとって、ブーンはきっとかけがえのない存在だろう。
ブーンにとってもそれは同じことだった。

だからこそ、今朝幽霊が母親を指して2と告げたとき気が滅入った。
でもこの数字が寿命を表しているわけではない、ブーンはそう自分に言い聞かせた。

落ち込んでいるばかりではいられない。
母親はまだ生きている。ドクオも、ツンも、生きている。
数字に怯えているばかりでは何もできなくなってしまう。



水曜日。

390 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 14/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:40:59 ID:d3t9MV8U0
恐怖を克服するため、幽霊の正体を探ろうとしたが、どうしようもないとすぐにわかった。
情報が少なすぎた。結局は何かが起こるまで何もできない。

すでに0の人も何人か見かけていた。
幽霊はその数字を告げるたびに、狂気の笑い声をあげる。
掠れているのに嫌に耳に残る、不気味な笑い声だ。

この数字はカウントなのだろう。
今のところ、一日たって一ずつ減る人しか見かけていない。
途中で一気に数が減ったり、あるいは急に増えたりすることもなかった。

数字はどんどん減っていく。
0を過ぎるとカウントがどうなるのかは今のところわからない。
でも誰かが亡くなったという話も聞かないし、やはり寿命ではないらしい。




木曜日。

391 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 15/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:42:00 ID:d3t9MV8U0
幽霊が告げる数字は全て0になっていた。
担任だろうと、クラスメイトだろうと、ツンだろうと。

しかし、気にするのにももう疲れてきた頃だった。
結局0以降何が起こるかはわからない。
しかしもちろん今この場で大災害が起こるような兆候は無い。

明日になれば何が起こるかわかるんだ。
ブーンはそう思うと、むしろ怖いというよりわくわくした気持ちになった。

きっともうすぐ数字の謎が判明する。
そのときに理解できればいい。

相変わらず幽霊は不気味だが、もう数字に対する恐怖心は薄れつつあった。

392 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 16/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:42:58 ID:d3t9MV8U0
帰りのHRで、先生はドクオの意識が回復したことを告げた。
手術は奇跡的にも上手くいったのである。

宙を舞うほどの衝撃を受けて無事でいるというのはめったにないことだろう。
小学生ゆえに体力があり、ひと月もすれば退院できるらしい。
ブーンとツンはお互いに顔を見合わせて、ひっそりと喜びをわかちあった。

ξ゚听)ξ「ドクオ、よかったわね」

( ^ω^)「まったくだお。数字なんて、なんでもなかったんだお」

ブーンは心が満たされる思いを感じた。
恐怖を完全に無視できていることからくる安心感だ。

ξ゚ー゚)ξ「うん……ほんと、良かった」

ツンが小さい声で言う。心底ほっとしたとでも言うように。
なぜだかその声はブーンの耳によく残った。

海の傍の帰り道。
潮風が心地よく吹いている。
周りにはほかに誰もいない。ただ静かに波の音が聞えているだけ。
夕焼けが二人を赤く照らしていた。

393 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 17/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:43:57 ID:d3t9MV8U0
ξ゚听)ξ「あたしね、ブーンから数字の話聞いた時、ちょっと怖かった」

ξ゚听)ξ「もしかしたら本当に寿命なのかなって」

ツンの前を歩いていたブーンは、立ち止まって振り返った。
ツンも立ち止まった。
彼女は悲しそうな顔をしていた。

ξ゚听)ξ「もしかしたらあたしたちばらばらになっちゃうのかなって、そう思うと怖くて、あの時咄嗟に反論しちゃった」

そう言って、ツンは顔を俯かせた。もう表情はわからない。

三人はいつでも一緒だった。
ブーンとツン、そしてドクオ。
小学校に上がった時から、友達となり、よく三人で一緒に遊んだ。

たまたま気があったともいえる。
小学生の、特に低学年のころの付き合いなんて、いつの間にか友達になる、そんなものだ。

394 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 18/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:45:01 ID:d3t9MV8U0
でも今はみんな高学年となり、年齢も二桁となり、考えも落ち着いてきていた。
そろそろ交友関係でも仲間の選別が始まるころだ。
低学年の頃のような、遊んでいたら友達になったとか、そういうことはもう無くなってきていた。

みんなが成長していく、その中でいまだに親交が続いている。
小さな喧嘩くらいはあった。それでも不和が抑えきれなくなることはなかった。
多少の諍いがあってもお互いの気持ちを推して測り、元の関係に戻ることができた。

そんな友達と出会えたことは、ブーンにとっても幸運だった。
それはブーンも感じていることだった。

そしてツンの口ぶりからみると、ツンも同じことを感じていたに違いない。
この三人でずっと仲良くしていたい。
ささやかながら、それがとっても難しいことであると、薄々感じてきていたのだ。

ツンが微かに肩を震わせているのを見て、ブーンは思った。
自分の発言が図らずも彼女をおびやかしていたのだと。
そう思うと急に申し訳ないことをした気持ちになった。

ツンを元気づけなきゃならない。
そう感じて、ブーンは思い切り胸を叩いた。

395 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 19/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:45:58 ID:d3t9MV8U0
( ^ω^)「でも結果的にはそれが正しかったんだお」

( ^ω^)「ツンがああいってくれなかったら、僕はきっと今でもうじうじと悩み続けていたお」

( ^ω^)「ツンのおかげで僕は数字に怯えずにいられるんだお、ありがとうだお、ツン」

そういうと、ツンはなんだかはっとしたように顔を向けた。
目が陽光にきらめいて、涙の跡が見えた。
泣いていたのだろうか。

それからすぐに俯いてしまった。
涙の後を見られるのが恥ずかしかったのだろうか。

ξ////)ξ「な、何を気恥ずかしいこといってんの! 当然でしょ、友達なんだから!」

(;^ω^)「お? どうしたんだお?」

何やらツンが急に大きな声を出してきた。
ブーンは慌ててしまう。
自分は何か悪いことでもしてしまったのだろうか。

ξ////)ξ「あ、あたしこっちの道だから、もう行くね! また明日ね!」

396 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 20/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:46:59 ID:d3t9MV8U0
すたすたと脇道へと去っていってしまうツン。
その様子を見送りながら、ブーンは首を傾げていた。

ツンは怒ったのだろうか。
傍から見ればそうとも見えただろうが、なんとなくブーンは違うと思った。なんとなく。

ブーンの周りには誰もいない。
そろそろ日も暮れる。
空もだんだんと深い青に染まって来ていた。

ブーンは妙にうれしくなった。

結局数字のことはわからなかった。
でも今はそんなことどうでもいい。
わけのわからないものに怯えていてもしかたない。

397 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 21/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:47:58 ID:d3t9MV8U0
ドクオは生きている。
また前のように元気で会うことができるんだ。

もしまた元気で会えたらうちに呼んであげよう。
かーちゃんがきっと奮発して御馳走つくってくれるだろう。
そんなことを思い、ブーンは心が躍った。

また三人で一緒に遊びたい。
これからどんな困難があっても三人とは一緒にありたい。
そればかり、ぼんやりと考えていた。






物思いに耽りすぎていた。

道の脇から、突然人の手が伸びてきても
ブーンはすぐには反応できなかった。

398 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:48:43 ID:pkrurHRs0
会える回数か?

399 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 22/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:48:58 ID:d3t9MV8U0
どこかの暗い部屋。
微妙に揺れている。

ブーンは薄目を開けた。

大人が二人いて、何かの画面を見ている。
何かを操作をしているところだろうか。

脇を見ると、いまだに幽霊が浮遊していた。
腰から上だけの身体で、何が嬉しいのかにやにやしながら浮遊している。

いったいこの幽霊はいつまでついてくるというのだろう。

ふと、前で操作をしている大人の一人が振り返った。
風貌から、異国の人間であることが見て取れる。

ブーンは薄目でその顔を見ていた。

男はブーンを凝視していた。
起きていることがばれているのか、あるいは疑っているだけか。
そしてその様子から、横の幽霊はやはり見えていないということがわかった。

そのとき、幽霊は徐に男を指さした。
そうか、またいつものように数字を告げるのか。

400 名前:( ^ω^)カウントダウンのようです 22/23 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:51:05 ID:d3t9MV8U0
しかしそのときになって、ようやくブーンは幽霊の言っている言葉がしっかりと聞き取れた。
今までノイズに満ちていた部分が明らかとなる。

「あと」

「3652」

「にち」

「あえる」

「……ケヒヒ」




ブーンはその言葉を聞き、悟った。
この数字の本当の意味を。

そしてもう、決して元の生活には戻れないということも。




〜〜おわり〜〜

401 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:52:37 ID:pkrurHRs0
なんかごめん、乙

402 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 01:52:41 ID:d3t9MV8U0
  (
   )
  i  フッ
  |_|


>>398当たり。ちくしょう。
びっくりして23にし忘れました。

403 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:54:01 ID:68AY/e1M0
よくわかったな、乙
何が怖いってこのまま3652日会い続けなきゃいけないんだな
10年ちょい…

404 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:55:05 ID:oipAYXt60
これって、多分10年後には死ぬんだろうな、ブーン

405 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 01:55:48 ID:7Ps6XQzM0

死なないにしてももとの生活には絶対に戻れないんだな

406 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:04:53 ID:CWQ5Gdm60
おつ
なるほど。二回読んで理解した

407 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:37:19 ID:NE1qcFrg0
13本目いきます


  .,、
 (i,)
  |_|


( ^ω^)少年、のようです

408 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:38:02 ID:NE1qcFrg0

真夏の昼間、炎天下の元墓参りするなど馬鹿馬鹿しい。
夕方になってからでも死ぬわけでない。幽霊なんて信じる歳でもない。
内藤はそう心で呟きながら、墓に水をかけた。

八月ともなれば六時になっても外は明るい。
が、墓場に人の姿はない。花だけが供えられた墓が並んでいるだけだ。
目の前の墓に花と小さいお菓子を供える。蝋燭に火をつけて、線香を燃やす。

( -ω-)(カーチャン、僕は元気でやってるお)

目を伏せ、手を合わせて母に向けて語りかける。
内藤家の墓に母しかいないわけではないが、一番心に残っているのは母だ。
父は自分が生まれる前に仕事先で死んでしまったそうだ。生まれついてから内藤は母と二人で生きてきた。
十年前にその母は交通事故で死んでしまって、その保険金と賠償金で高校を卒業できた。
今はなんとか就職して一人で生きていく分には困らない生活をしている。

( ^ω^)「……帰るかお」

二、三分程お祈りをして、内藤は立ち上がった。
右手の手桶にマッチや菓子の入ったレジ袋を入れて踵を返す。

( <●><●>)

( ^ω^)

409 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:38:44 ID:NE1qcFrg0

真後ろに無言で佇んでいる少年がいて、内藤は思わず固まった。
このご時世に珍しく藍色の甚平を着た、おそらく十歳くらいの少年が内藤を見つめている。
白い肌に細い体躯、大きな黒目がじっと内藤を見つめている。

( <●><●>)「あの」

( ^ω^)「お、なんだお?」

声変わりする前の少年独特の高い声が耳をついた。
内藤を見上げる姿勢の少年の目線に合わせて屈む。

( <●><●>)「弟を、見ませんでしたか。
       私より少し小さい、水浅葱の甚平を着ている子です」

( ^ω^)「おー……ごめんだお、見てないお」

( <●><●>)「そう、ですか」

内藤が申し訳なさそうに顔を歪めて謝ると、少年はあからさまに肩を落とした。
泣くのを堪えるようにその小さな拳に力がこめられる。
よく見れば少年の頬が赤い。息も少し荒いようだ。

( ^ω^)「もしかして、ずっと探してるのかお?」

( <●><●>)「見つからないのです、探さないと」

(;^ω^)「ちょ、倒れちゃうお! おうちはどこだお?」

少年が口にした住所は徒歩だと三十分はかかる番地だった。
少年の足で考えればもっとかかるだろう。弟を探しているとなれば他の場所も歩いてきたのかもしれない。
今わかることは少年は熱中症になりかけている、ということだ。

今内藤の車はつかえない。汚してしまって乗れる状況ではない。
自分がおぶって家まで連れて行くにしても途中で気を失われたりすれば厄介だ。
だが目の前で少年を見捨てていけるほど内藤は鬼ではない。

( ^ω^)「一旦僕の家でお茶飲んで休憩するといいお」

410 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:39:32 ID:NE1qcFrg0

( <●><●>)「でも、神隠しかも」

( ^ω^)「え?」

真剣な表情の少年に対し内藤は間抜けな声を上げる。
神隠し。少年は確かにそう言った。
聞いたことがないわけではない。連続誘拐事件の別称のようなものだ。

この地域では夏に一人、子供が連れ去られている事件が十年ほど続いている。
誘拐された少年少女の安否は知れず骨も見つかっていないらしい。犯人の目星すらつけられていないんだとか。
注意喚起の紙が配られているそうだが、子供が聞かなければどうにもならないのだろう。
現に目の前にいる少年のように。

( <●><●>)「はやくみつけてあげないと、さらわれてしまいます」

( ^ω^)「おーそうかもしれないけど、」

手遅れの可能性のほうが高いのだけれど、とは言わないでおく。
健気に弟の身を案ずる少年に心が動いたというのもあるが、良心が咎めた。

( ^ω^)「だけどやっぱり君は休まないといけないお」

( <●><●>)「でも、」

( ^ω^)「弟君なら僕も一緒に探すお。君が倒れたら弟君も心配するお? 
      僕の家はすぐそこなんだお、ちょっとだけだお」

( <●><●>)「……」

少年自身限界が近いことはわかっているのだろう。
少し逡巡して、声を出さずに頷いた。内藤も満足げに頷いて少年の手を握った。
やけに冷たい手だった。

411 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:40:14 ID:NE1qcFrg0

内藤の家は一軒家である。
父方の祖父母が早に死んで、父が生きている頃に移り住んだという話だった。
一人暮らしで生涯を誓い合う相手もいない状況である今、身に余っていないと言えば嘘になる。

だが内藤はこの広い自分の城を気に入っていた。
周りの土地も内藤の所有財産であることから一番近い民家でも百メートル以上離れている。
車がつかえない今わずらわしいことが多いが、それも今だけの話だ。
誰にも邪魔されない空間を手放すつもりはなかった。

( <●><●>)「おじゃまします」

( ^ω^)「ちょっと座っててくれお、お茶持ってくるから」

冷房の電源を入れながら少年に座布団を勧める。
少年がそれに座ったのを確認してキッチンから麦茶とコップを運んだ。
透明なガラスに薄茶の液体が氷を軽く溶かしながら注がれる。

( ^ω^)「はい、どうぞ」

( <●><●>)「ありがとうございます」

少年は一息に飲んで、息を吐いた。
内藤も自分のコップに麦茶を注ぎ飲み干す。
軽い香ばしさが鼻を抜けて、少年と同じように息を吐く。

( ^ω^)「もう一杯、飲むかお?」

( <●><●>)「お願いします」

素直にコップを差し出した少年に軽く笑いかけながら注ぐ。
礼儀正しい少年であるが年相応に素直なのだろう。
冷房が効いてきた。涼しい風が肌を撫でて、救われたような心地だ。
これでシャワーでも浴びれたらいいのだけれど、できないことは内藤自身が知っている。

412 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:40:55 ID:NE1qcFrg0

ドンッ

不意に音がした。
何かを落としたような、またはぶつけたような音がした。
二人は音のしたほうに顔を向ける。廊下が続いているだけであった。

( <●><●>)「誰かいるのですか?」

( ^ω^)「お、ちょっと見てくるお」

音の出所には予想がついている。
内藤は少年を残して歩き出す。向かう先は浴室だった。
浴槽に湯は溜まっていない。ただ、確実に音の出所はそこだった。

(。><)

水浅葱の甚平を着た少年が、浴槽に横たわっていた。
猿轡を噛まされ、背に回された手と折り曲げられた足は麻縄で拘束されている。
懸命に涙を堪え、それでも零れ落ちた雫が頬を濡らしていた。
先程の音は少年が唯一拘束されていない頭を浴槽に打ち付けたものであると内藤は判断した。
必死に助けを求める姿はなんといじらしいのだろう。首元の赤い歯型から誘うように血液が浮き出ている。

そこを指で拭うと少年は痛みに眉を顰める。
指先に付いた赤い液体を舐め取り、恍惚としながら内藤は目を細めた。

( ^ω^)「……静かにしてなきゃ、ダメだお?」

413 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:41:37 ID:NE1qcFrg0

人差し指を少年の口元に当てる。猿轡を挟んだ少年の呼気は震えていた。
見開かれたから雫が落ちる。恐怖、不安、諦観、僅かな希望、怒り。
複雑な感情が見て取れるその眼に内藤は目を細める。抑えきれない笑みが浮かぶ。

なんて愛らしいのだろう。食べてしまいたいほど、愛おしい。
この子を兄は探しているのだ。そして今自分の家にいる。探している対象がいるなんて思いもしないままに!
そして自分は知らないふりをして少年を返すのだ。見つからなかったね、残念だねと言って返すのだ。
そして今目の前にいる少年に兄は君を見つけてくれなかったね、残念だったねと言って笑うのだ。

それから文字通り少年は僕になる。髪の一本から足先の爪まですべて残さず僕の血肉に変わってもらう。
少年は僕を作り出し、もしかしたら兄だった少年に会う時がくるかもしれない。
少年は気づかないまま、弟を探し続けるのだ。目の前に弟の変わり果てた姿があるというのに!

なんて悲しい運命なのだろう。辛いだろう、哀れだと思う気持ちがないわけではない。
それを自分が創り出したと考えるだけで、内藤は酷く興奮した。全身に鳥肌がたつほどの背徳感が身を焦がす。
少年を連れてきたのは正解だった。出会ったのは偶然だったが今では神の導きとしか考えられない。

414 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:42:19 ID:NE1qcFrg0

内藤はカニバリズム嗜好の持ち主であった。
兆候は幼少期から端を覗かせていた。始まりは血液に興奮したことからだった。
自身の指から流れ出る紅い鮮血を舐めた瞬間、これほどの甘美なものが自身を作り上げていることに感動した。
それから定期的に自身を傷つけては流れ出る血液を貪るようになった。
そして、徐々に興味は広がっていった。

他者の血液の味が気になった。
輸血パックから得る血液は物足りなかった。自身とさして変わらぬということしかわからなかった。
どうしても、生きた身体から欲しかった。

その矢先、母が死んだ。
失血死だった母の顔は酷く青白かった。母は、命の源である血液を失ったから死んだのだった。
内藤の血液に対する執着は増していった。

最初は偶然だった。迷子が家の前で泣いていたから招き入れただけのことだった。
親元に帰す気持ちで招き入れた。そこに一つとして嘘はない。
ただ内藤の耳元で悪魔が囁いただけのことだ。

今この子の血液を貪ったとして、知る者は誰一人としていない、と。
こんな機会二度とない、帰してしまっていいのか、と。

内藤はあっさり自身の悪魔に負けた。
泣き叫ぶ子の首筋に歯をたてた。犬歯が食い込むように、無理に柔肌を食い破った。
それから丹念に舌を這わせ、時にえぐって貪った。一滴もこの聖なる液体を零したくなかった。
子はあまりの恐怖に気絶していた。その眼から流れる涙も舐め取った。
塩辛いはずのそれは甘くて、何故か内藤も涙を流していた。
そして、気付いた。自身が望んでいる血液は身体からできている。



ならばその身体を食せばすべて自分のものになるのではないか?



祝福の鐘の音が聞こえたようだった。
内藤は自身の閃きが素晴らしいものであると感じていた。
倫理的にも法律としても許されないものであるとわかっていた。それでもこの欲は抑えられなかった。
しかし理性を捨てきることはできなかった。
だから一年に一人、夏に攫って一年をかけてゆっくりと消費していくことを自身の掟とした。

夏であることに理由はない。ただ初めて他者の血を得たのが夏だっただけのことだ。
攫うのは子供がいい。弱く庇護されるべき存在でありながらも精力に満ちているような子供がいい。
柔らかい身体も心惹かれるじゃないか。痛みに恐怖に苦痛に顔を歪める様のなんと愛おしいことか。

内藤は自身の歪みを自覚していた。
何故歪んだかは考えなかった。生来のものであるとしか思えなかった。
自身を突き動かす衝動が本能的なものであるとしか、わからなかった。

415 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:43:05 ID:NE1qcFrg0

だから内藤は子供を攫い、食した。
年単位の消費のためまずは末端から切り離していった。
指を一本ずつ、止血しながら叩き切った。悲鳴が内藤の頭の中で呼応して、頬が吊り上った。
爪と骨は固かったから煮て出汁とした。薄赤に染まったスープはそれだけで内藤の心を満たした。
骨から削いだ肉は量が少なかったからスープに投げ込んだ。やはり、美味しかった。

指がすべてなくなった。次はどうするかを内藤は考えねばならなかった。
重要なのは血液であることから殺すのは限界まで待ちたかった。
まずは、右腕を塩漬けにした。これで長期的な保存食ができた。
左腕の肉は思いのほか柔らかかった。甘辛く炒めたそれはとても美味しくて子にも分け与えた。
自身の肉をそれとは知らずに食べる姿にまた酷く興奮した。内藤の陰茎は強く勃起していた。

内藤は自分の肉は美味しいだろう、と言った。
子は固まって、言葉を反芻した。理解した瞬間生理的嫌悪から吐き出した。
涙を流し嘔吐く姿を見ながら内藤は射精した。今までで一番気持ちのいい自慰行為だった。

次は両の二の腕だった。今度は左腕を塩漬けにし、右腕は素直にステーキにした。
柔らかい弾力と隠しきれない血生臭さがとても美味しくて、それが自分を作っていくと思うと涙が止まらなかった。
この時点で一か月が経過していた。子はあからさまに弱っていた。
食事を与えても胃が受け付けずに戻してしまっていた。
無理に食べさせていたが、それでも正常の四分の一も片づけることができなかった。
足に刺された点滴が命を永らえさせていた。

足に動脈が息づいていることは知っていた。
しかし頭への刺激はショック死を招きかねなかった。
内藤は麻酔を使い、耳と目を子から切り離した。

耳のほとんどが軟骨だった。唐揚げにして食感を楽しんだ。
目の美しい白色に根を張るような赤、真ん丸な黒の姿を損ないたくなかった。
透明なゼリーに浮べて一口で食した。弾けた瞬間、どろりとした臭みがたまらなかった。

子は視界を失ったことに安堵したようだった。
これ以上迫りくる恐怖を見ずに済むと思ったのかもしれない。現実は真逆であることをすぐに知ることになったけれども。
目からの情報がなくなったことにより少年の感度は強く上昇した。
ほんの少し肌に触れただけで驚くほど身体は跳ね上がった。
恐怖に震える姿が愛しくて、傷跡が消えることのない首元へ内藤は歯をたてた。
肉を食せない日は血を貪ることにしていた。
栄養の足りない子の身体は色白く細く変わっていたが、それでも血液は甘美なままだった。

416 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:43:51 ID:NE1qcFrg0

内藤はそろそろ限界を感じ取っていた。
子の命の灯が消えようとしていると、肌で感じていた。
永らえさせる行為もそろそろ無駄になるだろう。しかしまだ半年も経過していない。
腐らせるなど言語道断である。子のすべてを食すことで内藤は救われるのだ。

内藤は食しすぎたのだと察していた。初めてで加減がわからなかったというのもあるが、切り離しすぎたのだ。
最終的に食すことに意味があるのだ。内藤は初めは血液だけで我慢するべきであった。
後悔は先に立たない。選択肢は子の命を長らえさせるか、保存方法を探すかの二択であった。

選んだのは後者であった。
内藤は業務用の冷凍庫を購入した。
そして子の解体に取り掛かった。子は痛みに顔を歪めながら既に枯れた声を上げて命を落とした。
解放されると思ったのか死に顔には薄く笑みが浮かんでいた。内藤は慟哭しながらその首を切り落とした。
内臓も綺麗に分け、−30度で保存した。風味が落ちてしまうだろうが仕方なかった。
内藤はすべて食さなければならないのだから。

もも肉を使ったシチューを作った。
臓物は薄切りにして塩コショウで焼いた。
ふくらはぎの肉は鍋の具材にした。削いだ頬肉は蒸し焼きにした。
程よい弾力のある腹から胸にかけての部分は豪快に丸焼きにした。
脳は卵を混ぜ合わせて焼いた。
骨もしつこく茹で、叩き割った。完全に粉々になったものを茹でた鍋に戻し、飲み干した。

こうして内藤は最初の一人を食し終わった。
七月の終わりころ、子と出会って丁度十一か月と二十日の過ぎた日だった。

内藤は自身の保身を忘れることはなかった。
世間に知られたらマズイことであると理解していた。攫う際は必ず周囲を確認していた。
大体は最初と同じように迷子を保護するという大義名分を掲げていたが、どうしてもいない時は攫っていた。
車が使えない原因もこの少年を攫った際、あまりに久々の感触につい車内で血液を貪ってしまったことにあった。
少年が暴れて血液が飛び散ってしまったのだ。僅かとはいえ内藤の嗅覚を刺激する程度には残っている。
そんな車内で内藤はまともに運転できる自信はなかった。

417 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:44:42 ID:NE1qcFrg0

:(。><):

少年が震えて泣き出した。抑えきれない嗚咽が猿轡にくぐもって消えた。
その様に内藤は確かに興奮していた。生唾を飲み込み、乾いた唇を舌でなめる。
明らかな捕食者の目に少年は更に怯え、顔を歪ませる。

( ^ω^)「後でだお、今はダメなんだお」

内藤は自身に言い聞かせるようにして腰を上げる。
少年に背を向けて、浴室を後にした。

( ^ω^)「棚に置いてた洗剤が落ちた音だったお」

( <●><●>)「そうですか」

兄である少年は大人しく部屋で待っていた。
この子も食してしまえという声が聞こえる。それをゆるく遠ざけた。
自身に課した制約は守らねばならない。魅力的な誘いを断ち切った。

418 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:45:26 ID:NE1qcFrg0

( <●><●>)「左手」

( ^ω^)「お?」

( <●><●>)「かゆいんですか」

少年に言われて初めて、ずっと左手の甲を掻いていたと認識する。
掻きむしったそこは赤くなっていて、少し血が滲んでいた。
自覚した瞬間心臓が跳ねる。もったいない、血液がこぼれてしまう。
それでも右手がとまらない。痒くないのに、掻いてしまう。

(;^ω^)「あ、あれ?」

内藤はおかしいと感じ始めた。
冷や汗が止まらない。左手からは血が流れ出した。右手の爪に皮がこびりついている。
少年は首を傾げたまま内藤を見つめている。大きな黒目から目を離せない。

( <●><●>)「どうしたのですか?」

(;^ω^)「お、おかしいんだお、とまらない、」

419 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:46:37 ID:NE1qcFrg0

ぐちゅ、ぐち、
左手から聞こえた耳慣れない音に内藤は目を見開いた。
何故こんな音がするのだ。この音はまるで、

( <●><●>)「眼球を潰したような音じゃあないか」

(;゚ω゚)「な、あ」

何故少年がそれを知っているんだ。
何故少年は愉快そうに笑っているんだ。
何故、何故、疑問符が内藤の脳を侵食する。
少年は意に介さない。その黒目で内藤を見守っている。

( <●><●>)「美味しかったのでしょう?」

( <●><●>)「食したのですから、部位が残っていてもおかしくないのでは?」

( <●><●>)「良かったですね、貴方は幸せ者ですよ」

内藤の首に細い手が回る。色白の、子供の腕だ。
少年は目の前にいるのに何故後ろから手が伸びてきたんだ。

内藤の足に細い手が回る。まだ健康だったころの、子供の手だ。
何故それは床から生えているんだ。

内藤を虚ろな一重の目が覗き込む。
何故お前がいるんだ、お前は、最初の、

( <●><●>)「それほどまで憑かれて、幸せですね」

(; ω )「あ"、あ"あ"あ」







「あ"ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

420 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:47:24 ID:NE1qcFrg0

('A`)「で、ガイシャが、これか」

鬱田が顔をしかめる。ここまでの死体に会ったのは初めてだった。
殺人捜査に関わるようになって30年近くになるがこれほどまで無残な死体は見たことがない。
限界まで解体された死体を見る時が来るとも思っていなかった。
今はシートに隠されているが、血の臭いは消えてくれない。新米なら一発でトイレ行きの臭いだ。

(´・ω・`)「……臭いの割に、血がないんだよな」

('A`)「ショボ、」

(´・ω・`)「ないどころかさらっさらだ。一滴も落ちてない。
     おかしいと思わないかドク」

長年の相棒である諸本が首を傾げながら聞いてくる。
おかしいと思うに決まっている。頷いて返すと諸本は顎に手を当てて呟きだす。

(´・ω・`)「そもそも始まりからおかしいんだ、通報者の声は明らかに子供だったと聞いている」

('A`)「悪戯だと思ったが巡査が一応様子を見に来たんだったか」

(´・ω・`)「そして開きっぱなしの玄関から覗き込んで、血の臭いに気付いた。で、応援要請。
     俺達も確かに玄関先でこの臭いに気付いたんだ。なら何故ここに血痕一つないんだ?」

('A`)「五人以上はいないとここまでの臭いはしないな」

(´・ω・`)「ここまで臭うならこの部屋全面が真っ赤でもおかしくないはずなんだ。
     何故、ないんだ? でも確かに臭いはこの部屋から漂ってくる」

('A`)「……そうだ、あの保護した少年はどうした?」

堂々巡りになりそうな諸本の意識を呼び戻す。
横目で鬱田を見て諸本は垂れ下がった眉をさらに下げた。

421 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:48:06 ID:NE1qcFrg0

(´・ω・`)「今のところわかってるのはこのガイシャが誘拐犯だってことだけだな。
     親御さんも呼んだし、なによりまだ小さい。証言に期待はできないな」

('A`)「そうか」

(´・ω・`)「あとは何回も言ってたが、お兄ちゃんが助けてくれたんだそうだ。
     実際その兄は存在してたらしい」

('A`)「らしいってどういうことだ」

(´・ω・`)「……妊娠中に流れちまった子がいたんだそうだ。丁度あの少年を授かる二年前に。
     性別はわからないがあの子が言う通りなら男だったんだろう」

('A`)「……攫われた弟を助けるために、盆に帰ってきたってか?」

それならこのおかしい状況も納得できるのではないか、
考えて鬱田は頭を振った。いくらなんでも非科学的だ。超常現象を信じていちゃ警察はやっていられない。

(´・ω・`)「……案外、本当だったりしてな」

('A`)「おいショボ」

(´・ω・`)「わかってるさ、ちょっと思っただけだ」

薄く笑いながら諸本は手帳に目を落とす。
ガイシャである内藤の日記であった。十年前から事細かにつけられている。
特に、人体の調理法について。

(´・ω・`)「……こんな無残な殺され方したってんなら、恨むのもわかるってことだ」

('A`)「……そうだな、」

恨みが具現化した、のだとか。
弟を案じた思いだとか、非科学的だ。それでも連続誘拐事件はここで幕を閉じた。
それで被害者の恨みが少しでも晴れたのなら、と考えてしまうなんて。

( <●><●>)

見覚えのない少年が、どこかで笑った気がした。

422 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:48:59 ID:NE1qcFrg0

 (
   )
  i  フッ
  |_|

423 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:59:26 ID:R3T8goLg0
最初に殺された子がワカッテマスなんじゃないかと思ったけどそうでもなかったかー
つおつ!

424 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 02:59:34 ID:Vw2MxNqY0
おつおつ

最初の母の墓のとこでちょっとしんみりしてたら、急にきた
描写が丁寧なことに、やめてくれ……と思ったのは始めてだわw

425 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:08:39 ID:Vw2MxNqY0
よし、次もらうよー!

426 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:09:50 ID:Vw2MxNqY0

  .,、
 (i,)
  |_|


14本目、でぃのお鍋の代わりのようです

427 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:10:52 ID:Vw2MxNqY0


ピンポーン

(#゚;;-゚)「……」

(#゚;;-゚)「はい」

「おーい、私は誰でしょー?」

「普通に分かるだろ……、外は暑くて敵わん、入れてくれ」

(#゚;;-゚)「分かった」

ガチャリ


川 ゚ -゚)ノシ

ヾζ(゚ー゚*ζ

(#゚;;-゚)ノ

ζ(゚ー゚;ζ「おおー! 涼しー、……くない!?」

川;゚ -゚)「人の家で失礼だな……って確かになんだ、この熱気は」

(#゚;;-゚)「お鍋の用意が出来てます」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ」

428 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:12:12 ID:Vw2MxNqY0

川;゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「美味しく出来たと思う」

ζ(゚ー゚;ζ「いやいや、出来てなくていいから! 素材に戻せ!」

川 ゚ -゚)「それはそれで無理だろ……」

(#゚;;-゚)「暑いのはちょっとした冗談。デレ、そこのリモコンで冷房つけて」

ζ(゚ー゚*ζ「はーい。って、どこに行くの?」

(#゚;;-゚)「お箸とお皿取ってくる」

川;゚ -゚)(鍋も冗談であってほしかった……)

ζ(゚ー゚*ζ「ふふふ……」

川 ゚ -゚)「どうしたんだ、急に」

ζ(゚ー゚*ζ「エアコンのボタンを押した人が、一番涼しい位置に座れるのです」

川 ゚ -゚)「いや、私は構わんが、普通は家主じゃないのか……」

ζ(゚ー゚*ζ「えー、エアコンつけたし私が家主みたいなものだよー」

川 ゚ -゚)「エアコンに対する理解が根本的に違うようだな……」

ζ(゚ー゚*ζ「あー、涼しくなってきたー、とーけーるー」

川 ゚ -゚)「一体何が溶けるんだ……」

429 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:13:31 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚*ζ「……」

川 ゚ -゚)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「いやーそれよりぐつぐつ煮立ってるねー、鍋」

川 ゚ -゚)「うむ。フタがくもってて中は見えないが、どこか洋風な香りがするな」

「あ、煮立ってる? カセットコンロの火止めていいよ」

ζ(゚ー゚*ζ「いいよいいよ、もっとぐつぐつ煮立たせようぜ」

川 ゚ -゚)「なぜエアコンの前だとそんな強気なんだ……」

(#゚;;-゚)「ううん、止めたほうがいい」

ζ(゚ー゚*ζ「おっ、おかえりー」

ζ(゚ー゚;ζ「って、そのお皿にのってるのは、……パスタ?」

(#゚;;-゚)「うん、冷製パスタ」

川;゚ -゚)「パスタと鍋って、凄い組み合わせだな」

(#゚;;-゚)「ううん」

川 ゚ -゚)「ん?」

430 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:15:08 ID:Vw2MxNqY0

(#゚;;-゚)「……そこのお鍋のなか、実はスープ」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ、本当に!? フタ開けるよー」

(#゚;;-゚)「どうぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「あっ、具がない! これじゃ、鍋じゃなくてただのスープだよ!」

(#゚;;-゚)「スープだよ」

川 ゚ -゚)「……」

川;゚ -゚)(鍋じゃなくて、心底良かった……)

(#゚;;-゚)「来るって連絡があったとき、今日はトマト鍋にしようと思ったんだけど」

(#゚;;-゚)「肝心のトマト缶を買い忘れた……」

川;゚ -゚)(……あっ)

(#゚;;-゚)「お鍋楽しみにしてたのにごめん」

ζ(゚ー゚*ζ「気にするなよー、そもそもお鍋なんて知らなかったもん」

(#゚;;-゚)「代わりに、怖い話しでもする」

ζ(゚ー゚*ζ「いよっ! 待ってました!」

川;゚ -゚)「待ってねーよ、重度のホラーマニアかよ……」

431 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:16:06 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚*ζ「そうだ、私も最近ゾクッとしたことが!」

(#゚;;-゚)「そうなの?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん! 忘れちゃいそうだから先に話していいかな?」

(#゚;;-゚)「どうぞ」

川;゚ -゚)「いや、どうして食前にそんな会を開くんだよ……、先に食べないか?」

ζ(゚ー゚*ζ「冷たいパスタだし、スープは温めればいいし大丈夫」

川 ゚ -゚)「シチュエーションの問題だよ、消化に悪そうじゃないか」

(#゚;;-゚)「言われてみれば」

ζ(゚ー゚*ζ「あっ、まさか……」

川 ゚ -゚)「ん?」

ζ(゚ー゚*ζ「普段は冷静なクーちゃんともあろうものが、怪談話は苦手なのかな?」

川 ゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「先に食べる?」

432 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:17:10 ID:Vw2MxNqY0

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「何を言ってるんだ。ぜひ、聞こうじゃないか」

ζ(゚ー゚*ζ「へへっ、ちょろいちょろい」

(#゚;;-゚)「……」

川 ゚ -゚)「……ほう」

川 ゚ -゚)「デレ君は直接あの世でも見たいのかな」

ζ(゚ー゚;ζ「ちょ、ストップ、ストップ! ほおつねってもあの世には行けないから!」

川 ゚ -゚)「分かったよ、ほら、すまんな」

ζ(゚ー゚*ζ「よし、じゃあ話すねー」

(#゚;;-゚)「楽しみ」

川 ゚ -゚)「うむ」

ζ(゚ー゚*ζ「私のクローゼットの中ではね」

ζ(゚ー゚*ζ「地球は滅んでるんだよ」

(#゚;;-゚)「そうなんだ……」

ζ(゚ー゚*ζ「うん……」

川;゚ -゚)「いや、よく分からないから説明してくれ」

433 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:18:40 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚*ζ「ああっー、それもそうだね」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、時々街中で、無料で本を配っている人がいるでしょ?」

川 ゚ -゚)「ん? 小説とか配ってるのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ううん、主に神様がどうとかって本」

川;゚ -゚)「ああ、宗教系の……」

ζ(゚ー゚*ζ「もちろんデレは立派な無宗教なんだけど」

(#゚;;-゚)(立派な無宗教……)

ζ(゚ー゚*ζ「ティッシュか何かだと思って、この間ついもらっちゃったんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「それで、読まずに捨てるのも勿体無いかなと思って、ぱらっとめくったんだけど」

(#゚;;-゚)「うん」

ζ(゚ー゚;ζ「思わずゾッとすることが書いてあって」

川 ゚ -゚)「ほう、いったいなんと?」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(゚ー゚;ζ「2012年に地球は滅亡するんだって……」

川;゚ -゚)「古い話題だな、その本いつ発行してるんだよ……」

434 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:19:56 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚*ζ「それで怖くなって、その先は読まずにクローゼットに入れたまま」

(#゚;;-゚)「うん」

川 ゚ -゚)「……それで、でぃの怖い話しとは何なんだ?」

ζ(゚ー゚;ζ「いや、もっと余韻に浸ろうよ!」

川 ゚ -゚)「私はお腹が減ったんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「ふむふむ。つまりクーちゃんは、お腹が、ク……」

川 ゚ -゚)「ん、何だって?」

ζ(゚ー゚;ζ「な、何でもないです、さあ、どうぞでぃちゃん!」

(#゚;;-゚)「うん」

川 ゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「……ある日、帰り道で男の人が前を歩いてた」

(#゚;;-゚)「どこか変なかんじがして、よく見ると」

(#゚;;-゚)「頭から血を流してた」

ζ(゚ー゚;ζ「それは大変! 熱中症?」

川;゚ -゚)「血を流すほどの日差しって何度あるんだよ、どう考えても違うだろ……」

435 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:20:51 ID:Vw2MxNqY0

(#゚;;-゚)「……それでその人、曲がり角の方に行った」

(#゚;;-゚)「大丈夫なのか心配になって、私も道を曲がったら」

(#゚;;-゚)「道の先には誰もいなかった」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

川 ゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「おかしいなと思ったけど、気を取り直して戻ろうとしたら」

(#゚;;-゚)「電柱の横にカラスの死体が」

ζ(゚ー゚;ζ「……」

川;゚ -゚)「カラスの霊か……」

(#゚;;-゚)「たまたまかもしれない」

ζ(゚ー゚*ζ「そう! カラスのそれは偶然で、怪我の人は家が近かったんだよ、きっと!」

川 ゚ -゚)「……偶然、か」

(#゚;;-゚)(血の跡が)

(#゚;;-゚)(カラスのとこまであったのは言わなくていいか)

436 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:22:11 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚*ζ「ところでクーちゃん、座る位置交換しない?」

川 ゚ -゚)「寒くなったんだな……」

ζ(゚ー゚*ζ「まあまあ、ね、この場所の方が涼しいでしょ」

川;゚ -゚)「私は別にどこでもいいんだが……」

ζ(゚ー゚*ζ「さあて、残すところはクーちゃんのお話ですねー」

(#゚;;-゚)「うん」

川 ゚ -゚)「やるなんて一言も言ってないぞ」

川;゚ -゚)「けど、この流れになることは分かってたよ……」

ζ(゚ー゚*ζ「さすがクーちゃん、話が分かる!」

川;゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「予知というか、偶然なのか何なのか」

川 ゚ -゚)「最近不思議な出来事が続いているんだ……」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ、まさか……」

川 ゚ -゚)「どうした」

437 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:23:23 ID:Vw2MxNqY0

ζ(゚ー゚;ζ「……怪談話、用意してきた? なにこの本格的な出だし!」

川;゚ -゚)「してないしてない」

(#゚;;-゚)「不思議な出来事?」

川 ゚ -゚)「うむ。この間、スーパーで買い物してたんだが」

川 ゚ -゚)「生活用品のコーナーを通ったとき、何となく絆創膏が目に入ったんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「ふむふむ」

川 ゚ -゚)「特に必要もなかったんだが、カゴに入れた」

川 ゚ -゚)「そしたらその晩、包丁で指を切ってしまってな」

川 ゚ -゚)「私は調度いいタイミングで絆創膏を買ったなあ、と思ってたんだ」

川 ゚ -゚)「そしたら、最近そんなことが何度かあってな……」

川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「……やっぱり続きは、夕食を食べてからにしないか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええー、どうして! こんないいところで待てないよ!」

(#゚;;-゚)「うん、気になる」

川;゚ -゚)「分かったよ」

438 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:24:46 ID:Vw2MxNqY0

川 ゚ -゚)「それで、ついさっきデレと待ち合わせる前なんだが」

川 ゚ -゚)「時間があったから、ふらっとコンビニに立ち寄ったんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「あー、駅前のところの」

川 ゚ -゚)「その時、やたら続く偶然のことを思い出してな」

川 ゚ -゚)「特に使いもしない、普段は絶対に買わないものを買おうと決めたんだ……」

(#゚;;-゚)「クリップ」

ζ(゚ー゚*ζ「枝豆!」

(#゚;;-゚)「木工ボンド」

ζ(゚ー゚*ζ「ええと、お弁当のおかず入れの容器!」

439 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:27:05 ID:Vw2MxNqY0

川 ゚ -゚)「私がコンビニで買ったのは」

川 ゚ -゚)「……」

川;゚ -゚)「……トマト缶だ」

(#゚;;-゚)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「へっ?」

川;゚ -゚)「……」

(#゚;;-゚)「……あっ、お鍋できる」

ζ(゚ー゚;ζ「そっか……、これまた、すごい偶然だ」

川;゚ -゚)「自分でもびっくりだよ……」

(#゚;;-゚)「よし」

(#゚;;-゚)「スープはお鍋にしよう」

川;゚ -゚)「しなくていいよ!」


終わり

440 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 03:27:49 ID:Vw2MxNqY0


 (
   )
  i  フッ
  |_|

441 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 05:08:43 ID:/n1CwJTo0
すまぬ報告忘れてた

15本目
『ジェイソン・クールのようです』
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1376057071/l30

442 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 09:06:20 ID:ilBPGeOs0
オチに凄いほっこりしたわw
こんなんばっかなら深夜にも読めるのにwww
乙!

443 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 10:47:07 ID:4R6WVUdc0

良い癒しだ

444 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 14:42:54 ID:GVmCX9Lk0
支援絵です
>>264-273「ξ )ξ枕元に佇むようです」よりξ )ξ
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1096.jpg

445 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 15:15:23 ID:4R6WVUdc0
こわっ

446 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 17:13:20 ID:mj/IUaHAO
>>444
ひぎぃいいいいいいいいいいいいい
乙。怖すぎ泣いた

447 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 17:17:40 ID:WPUz/BRQ0
>>444
ワカッテマスも納得の眼力やでぇ 乙乙

448 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 20:53:58 ID:1yXu23aU0
ソウルイーターでもいたなこういうのビチョビチョ…

449 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:01:02 ID:68AY/e1M0


  .,、
 (i,)
  |_|

16本目、ばんぶぅーぱにっくのようです

450 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:02:09 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「なあ」

ミ,,゚Д゚彡「なんだよ」

(,,゚Д゚) 「今日習ったさ…竹取物語さ…」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、かぐや姫か」

(,,゚Д゚) 「萌えね?」

ミ,,゚Д゚彡「萌えるな」

451 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:03:11 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「竹を割ったら」

ミ,,゚Д゚彡「幼女」

(,,゚Д゚) 「幼女inBANBOO」

ミ,,゚Д゚彡「俺は幼女にinしたいけどな」

(,,゚Д゚) 「たまらんな」

ミ,,゚Д゚彡「たまらんスマッシュだな」

(,,゚Д゚) 「なんだそれ」

ミ,,゚Д゚彡「ほら、好みにストライクの進化系」

(,,゚Д゚) 「知らんかった」

ミ,,゚Д゚彡「今思いついた」

(,,゚Д゚)

(,,゚Д゚) 「しね」

ミ,,゚Д゚彡「ごめん」

(,,゚Д゚) 「ところでさ、この辺さ、竹林だよな」

ミ,,゚Д゚彡「田舎住んでて初めて良かったと思ったよ」

(,,゚Д゚) 「探すか、光る竹」

ミ,,゚Д゚彡「探そうぜ」

452 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:04:08 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「無かったな、光る竹」

ミ,,゚Д゚彡「いや、もう真夜中のミッドナイトだから気づかなかっただけだろ」

(,,゚Д゚) 「真夜中のミッドナイトおかしくね。てか真夜中こそ光る竹はわかりやすいと思うが」

ミ,,゚Д゚彡「ケータイ親から鳴りまくったせいで電池切れた」

(,,゚Д゚) 「俺も」

ミ,,゚Д゚彡「帰りたくないや」

(,,゚Д゚) 「Yes カミナリ!No かぐや姫!」

ミ,,゚Д゚彡「マイナスしか無かったな」

(,,゚Д゚) 「でも腹減ったし帰るか」

ミ,,゚Д゚彡「…待て」

(,,゚Д゚) 「男には帰りたく無くても帰らねばならない時がある」

ミ,,゚Д゚彡「行かねば」

(,,゚Д゚) 「竹光らぬ」

ミ,,゚Д゚彡「あの助動詞『ぬ』は完了だぞ」

(,,゚Д゚) 「知ってる。今のは打消『ず』の連体形だと言うことも」

ミ,,゚Д゚彡「なんだ、知ってたのか」

(,,゚Д゚) 「まあな」

453 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:05:09 ID:h.GZwhnY0
インテリジェントな二人

454 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:05:17 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「よし、帰るか」

ミ,,゚Д゚彡「やっぱ待て」

(,,゚Д゚) 「どうした」

ミ,,゚Д゚彡「この竹、節目から髪の毛が生えてる」

(,,゚Д゚)

(,,゚Д゚*) 「かぐや姫の髪!」

ミ,,゚Д゚*彡「かぐや姫の髪!!」

(,,゚Д゚*) 「待て!カッター出すからそれで切って助けよう!!」

ミ,,゚Д゚*彡「じゃあ俺は明かりを!!」

(,,゚Д゚) 「あれ、お前ケータイ電池切れたって…」

ミ,,゚Д゚彡「This is iPod touch」

(,,゚Д゚) 「IC」

455 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:06:15 ID:68AY/e1M0
ミ,,゚Д゚彡「ほら、切れ」

(,,゚Д゚) 「イエッサー」

ぎこぎこぎこ

ミ,,゚Д゚彡「ぎこぎこぎこ」

ぴたっ

(,,゚Д゚) 「呼んだか?」


ミ,,゚Д゚彡「いいえ」

ぎこぎこぎこ

ミ,,゚Д゚彡「ぎこぎこぎこ」

ぴたっ

(,,゚Д゚) 「呼んだか?」

ミ,,゚Д゚彡「いいえ」

456 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:08:03 ID:68AY/e1M0
ぎこぎこぎこ

(,,゚Д゚) 「な、あ」

ミ,,゚Д゚彡「なんだ?あ、iPod touchの充電もヤバイ」

ぎこぎこぎこ

(,,゚Д゚) 「かぐや姫、どっちが養う?」

ミ,,゚Д゚彡

(,,゚Д゚) 「俺だろ」ミ,,゚Д゚彡

(,,゚Д゚#) 「竹切ったの俺だろ?!」

ぎこぎこぎこ

ミ,,゚Д゚#彡「明かりやったの俺だろ?!」

ぎこぎこぎこ

(,,゚Д゚#) 「俺が切らなかったらお前かぐや姫見ることすらできなかったんだぜ?」

ぎこぎこぎこ

ミ,,゚Д゚#彡「俺が明かりをやらなければお前は切ることもできなかったわけだがな!!」

ぎこぎこぎこ

(,,゚Д゚#) 「第一かぐや姫のお爺さんは切ることでかぐや姫をゲットしたんだろ?!じゃあ切った俺が言わばお爺さんだ!!」

ぎこぎこぎこ

ミ,,゚Д゚彡「いいや!かぐや姫のお爺さんはかぐや姫入りの竹を見つけることでかぐや姫ゲットしたんだろ?!
じゃあ竹を見つけた俺が言わばお爺さんだ!!」

ぎこぎこぎ



ぱかっ

(,,゚Д゚) 「あ」ミ,,゚Д゚彡

457 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:08:17 ID:WPUz/BRQ0
桃ごと唐竹割りにされる桃太郎的な何かを感じる

458 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:09:15 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「…開いたな」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、開いたな」

(,,゚Д゚) 「…竹を割っても…長い髪の毛だけだったな」

ミ,,゚Д゚彡「…多分…下にいるんだろ?髪引っ張って引きずり出してやろうぜ…」

(,,゚Д゚) 「…おう」

ミ,,゚Д゚彡「なあギコ」

(,,゚Д゚) 「なんだ」

ミ,,゚Д゚彡「…やっぱり交代で家泊めるって…どうかな」

(,,゚Д゚) 「あ、いいな、それ」

ミ,,゚Д゚彡「じゃ、最初はギコでいいよ」

(,,゚Д゚) 「いや、最初はフサに譲るぞ?」

(,,゚Д゚) 「……」ミ,,゚Д゚彡

(,,゚Д゚) 「ま、それは後で決めるか」

ミ,,゚Д゚彡「だな、先ずは引っ張るか」

459 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:11:49 ID:h.GZwhnY0
やな予感しかしない

460 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:11:58 ID:68AY/e1M0
ずるずるずる

(,,゚Д゚;)

ずるずるずる

ミ,,゚Д゚;彡

ずるずるずる

(,,゚Д゚;) 「かぐやちゃんは…髪長いんだな…」

ずるずるずる

ミ,,゚Д゚;彡「お、おれ…黒髪ロング好きだから全然おっけーだし?」

ずるずるずる

(,,゚Д゚;) 「お、俺もだし?」

ずるずるず
かっこん

(,,゚Д゚;) 「?!」ミ,,゚Д゚;彡

かっこん
かっこん
かっこんかっこんかっこんかっこん

バチンッ

ミ,,゚Д゚;彡「あ、あ…」

かっこんかっこんかっこんかっこん

(,,゚Д゚;) 「ど、どうしたんだ?!フサ!!!iPod touchの電気を付けろ!!」

かっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこん

ミ,,゚Д゚;彡「と、と、と突然消えたんだよ…」

かっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこんかっこん

(,,;д;) 「!!!???」ミ,,;д;彡

(,,;д;) 「に…」

(,,;д;) 「にげるぞおおおおおお!フサああああ!!」

ミ,,;д;彡「うううううううん?!?!」

461 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:14:13 ID:68AY/e1M0
ーーー
ーー


( ゚д゚* )「お前らもバカだねぇい!!はっはっはっ!!」

( ゚д゚* )「かぐや姫だと思って髪の生えた竹を割って」

( ゚д゚* )「挙句にあいぽっどの充電切れをお化けの仕業にしよって!!」

ミ,,;д;彡「笑うなよおお…ミルナばあちゃん!!」

(,,゚Д゚) 「……で、なんで竹から髪の毛なんて生えてたんだ?」

( ゚д゚ )「ああ、あれはね。昔は修行の為に坊さんが生きたままお墓に入ってたら
髪の毛が石の棺の蓋から飛び出すほどえらく伸びてることがあったんだよ」

( ゚д゚ )「多分…あの竹の下で誰かが修行してたんだろうねぇ…」

(,,;д;) ミ,,;д;彡「ひぃぃぃぃぃ」

ミ,,;д;彡「じゃ、あのかっこんかっこん言ってたのは俺たちを呪う為か?!」

( ゚д゚ )「違う違う、多分あんたらか髪の毛引っ張る時に髪の毛が頭蓋骨に引っかかってて持ち上がって竹にぶつかった音だよ」

(,,;д;) 「本当か?!本当に俺ら呪われないんだよな?!」

( ゚д゚ )「ああ、勿論」

( ゚д゚ )「お前らは修行するほど真面目な坊さんが子どもを呪うと思うか?」

(,,゚Д゚) 「……」ミ,,゚Д゚彡

( ゚д゚ )「ほら、わかったら今日はうちで寝んしゃい、お家の人には電話しとくから」


(,,゚Д゚)「はーい」 ミ,,゚Д゚彡

462 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:15:57 ID:68AY/e1M0
(,,゚Д゚) 「なあ、フサ」

ミ,,゚Д゚彡「なんだよ」

(,,゚Д゚) 「俺さ…」


(,,゚Д゚) 「熟女もいける口でさ」

ミ,,゚Д゚彡「いける」

(,,゚Д゚*) 「駄菓子屋のミルナばーちゃん!」

ミ,,゚Д゚*彡「大人の魅力!!」

(,,゚Д゚*) 「やっぱ女は白髪になってからだよな!!」

ミ,,゚Д゚*彡「激しく同意する!!」

(,,゚Д゚*) ミ,,゚Д゚*彡キャツキャッ












かっこん

(,,゚Д゚) ミ,,゚Д゚彡

463 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:16:47 ID:68AY/e1M0
  (
   )
  i  フッ
  |_|

464 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:17:52 ID:h.GZwhnY0
二人のダメっぷりとラストのかっこんのコントラスト……

乙乙

465 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:19:19 ID:WPUz/BRQ0
なんとも言えねえ 乙

466 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:21:15 ID:pkrurHRs0

なんだこいつら反省しねえ

467 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:35:46 ID:h.GZwhnY0
熟女属性はあるが男色属性はなかったことに坊さんが嫉妬したのかも……

さて、冗談はさておいて十七本目行きますか

  .,、
 (i,)
  |_|

桜の樹の下には、のようです

.

468 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:37:37 ID:h.GZwhnY0



ーーー桜の樹の下には屍体が埋まっている!

梶井基次郎「桜の樹の下には」より



.

469 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:38:50 ID:h.GZwhnY0



ζ(-、-*ζ「……」スゥ、スゥ




( A )「……」

470 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:39:56 ID:h.GZwhnY0




ζ(-、°*ζ「……ん」パチ



( A )「……」

471 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:41:04 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ 「あぁ、もうこんな時間……」


ζ(゚ー゚*ζ「私ったら、日差しがあんまり気持ち良いから寝過ごしちゃった」


ζ(゚ー゚*ζ「おはようございます。小鳥さん、毛虫さん、蝶々さん」


( A )「……」

472 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:42:05 ID:h.GZwhnY0



ζ(^ー^*ζ「……そして、おはようございます。ドクオさん」



( A )「……」

.

473 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:43:03 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ「すっかり春めいてきましたねぇ」

ζ(゚ー゚*ζ「暖かくて、過ごしやすい時期になってきました」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたにとっては、どうですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「そちらは寒く、ありませんか?」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「暖かいのなら、いいんですけどね」
.

474 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:44:05 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ「春眠暁を覚えずって言いますけど」

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんは、いつ見ても眠ってばかりですね」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなに眠り続けていたら、いつか眠ることに飽きちゃいそう」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「いつかはあなたが目を覚ます日が、来るんですかね?」

.

475 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:44:55 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ「春風が、吹きましたね」

ζ(゚ー゚*ζ「あの風はどこへ行って、誰と出会うんでしょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「そちらは、いかがですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「風を感じることは、出来ていますか?」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「寂しくは、ありませんか?」

.

476 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:46:07 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん、見てください。蝶々が飛んでますよ」

ζ(゚ー゚*ζ「私、蝶々って大好きです」

ζ(゚ー゚*ζ「あんな風にひらひらって、どこまでも飛んで行けたら、素敵ですよね」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたにもあの蝶々が、見えてますか?」

.

477 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:47:25 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ「あの蝶々は、なんていう名前だったんでしょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「見た覚えはあっても、名前さえ知らない物者が、私たちの周りには溢れかえってる」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、他の何を知らなくても、あなたの名前だけは知っています」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……あなたの名前は、ドクオさん。そうでしょう?」

.

478 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:49:03 ID:h.GZwhnY0


ζ(゚ー゚*ζ「風も蝶々も、私なんかとは大違い」

ζ(゚ー゚*ζ「大地に根を張らずに動けるのが、羨ましく思える日が来るなんて考えもしなかった」

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんも、そう思いませんか?」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……応えてくれないのも、分かってはいるんですけどね」

.

479 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:49:56 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「あなたと私は、きっと似た者同士なんですよね」

ζ(゚ー゚*ζ「お互いに独りぼっちで、ここから動くことすらままならない」

ζ(゚ー゚*ζ「私はあなたに、少なからずシンパシーを抱いてます」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたもそうだったら、私は嬉しいです」

.

480 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:51:03 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「……どうも私は、小難しい話ばかりしてしまいがちですね」

ζ(゚ー゚*ζ「寡黙なあなたと、話すことしかできない私では、そうなってしまうのも仕方ないことではありますけど」

ζ(゚ー゚*ζ「私とあなたは、もしかしたら意外にいいコンビなのかもしれません」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……あなたが笑ったように思えるのは、私の気のせいでしょうか」

.

481 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:51:49 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「ここからは、木の梢が邪魔して、空があんまり見えませんね」

ζ(゚ー゚*ζ「それだけが、ここにいて少し不満なことかもしれないです」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、その分たまに覗く空が余計に高く見えるのは、不思議な感じですね」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたは空を見て、何を思いますか?」

.

482 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:53:18 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「ここは夜になると、本当に静かですよね」

ζ(゚ー゚*ζ「不満ばかり言ってはいけないけれど、夜の静寂はちょっと苦手です」

ζ(゚ー゚*ζ「宵闇の向こうに何かいる気がして、怖くって……」

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんも、そんな気持ちになることはありませんか?」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……本当に、ここは静かです」

.

483 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:54:44 ID:h.GZwhnY0




ζ(゚ー゚*ζ「……」



( A )「……」



.

484 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:55:46 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「……どれだけ話しかけても、あなたが返すのは沈黙だけ」

ζ(゚ー゚*ζ「私、なんだか虚しくなっちゃいます」

ζ(゚ー゚*ζ「せっかく、孤独じゃなくなったと思ったのに」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「それでも結局は、話しかけてしまうんですけどね」

.

485 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:56:43 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「……悲しいです」

ζ(゚ー゚*ζ「独り言のようにあなたに話しかけるのは、とても悲しい」

ζ(゚ー゚*ζ「……ねぇ、何か言ってくださいよ、ドクオさん」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

.

486 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:57:54 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「私、語りかけていたらあなたが話してくれるような気がして、こうして喋っていたんです」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、それが無理だっていうのも分かってます。だって、あなたは……」

ζ(゚ー゚*ζ「……私のしていることって、無意味なことだったんでしょうか」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……今だけは、あなたの沈黙に感謝します」

.

487 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:58:58 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「……花をね、咲かせたかったんです」

ζ(゚ー゚*ζ「それはきっと、あなた色の花びら」

ζ(゚ー゚*ζ「怖いくらい綺麗な花が、人目もはばからずに咲き誇る。そんなところを毎日夢想していました」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「それは結局、夢に終わってしまいましたけれどね」

.

488 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 21:59:46 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「あなたの幸せって、なんですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「私の幸せは、いずれ時が訪れるまで、あなたと共に過ごすことだった」

ζ(゚ー゚*ζ「けれど、その時がもうそこまで迫ってるみたいです」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……今まで話を聞いてくれて、ありがとうございました」

.

489 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:01:11 ID:h.GZwhnY0



『おぉい、あったぞ!!こっちだぁ!!』



ζ(゚ー゚*ζ「!!」

ζ(゚、゚*ζ「……あーあ、もう来ちゃったのか。もう少し時間がかかると思ったんだけどなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「私、あの人たちが来るの、本当はさっきから分かってたんです」

ζ(゚ー゚*ζ「虫さんも小鳥さんも静かで、気配を殺すようにしてたから」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

.

490 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:02:18 ID:h.GZwhnY0



ζ(゚ー゚*ζ「……神様との、約束だったんです」

ζ(゚ー゚*ζ「他人に死体を暴かれたら、それでおしまいだよ、って」

ζ(゚ー゚*ζ「それまでは好きにしていい、でもそうなったら、ちゃんと成仏しなさいって」

ζ(゚ー゚*ζ「可笑しいですよね。そうまでして、ここに残る意味なんてないかもしれなかったのに」

ζ(゚ー゚*ζ「……さよならは言いませんよ?もしかしたらまた、戻って来れるかもしれないし」

( A )「……」

ζ(゚ー゚*ζ「だから、約束して下さい」

.

491 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:03:35 ID:h.GZwhnY0







ーーーー『次に会う時は、きっと大輪の花をつけて……』






.

492 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:05:21 ID:h.GZwhnY0

ーーーー
ーーー
ーー

○月×日、午前10時21分。容疑者、宝満義子(ほうまん・よしこ)の供述通り、被害者、井出怜衣(いで・れい)の遺体が、日案市日津府山(にちあんし・びつふやま)山中の桜の木の根元より発見された。

(中略)

該当の桜は、その樹齢の長さと独居して佇むような出で立ちから、近隣住民により独桜樹(どくおうじゅ)あるいは独桜(どくおう)と呼ばれ

畏敬と信仰の対象となっており、そのことが遺体の発見を遅らせた一つの原因であると考えられている。

(中略)

なお、捜査には直接に関係のない蛇足的な事例ではあるが、遺体の掘り出し作業中、複数の作業員が女性の泣くような声を聞いたと発言している。

過労によるノイローゼの兆候の可能性もあるため、作業人員の増加を検討頂きたい。

ーーー担当捜査官の日報より、一部を抜粋。

493 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:06:40 ID:h.GZwhnY0


……翌年の春、もはや盛りを過ぎて花をつけることは叶わないとされていた桜の老木が、奇跡のように花を咲かせた。

その花の色は、人の血液を彷彿とさせるかのように毒々しい薄紅赤であり、他のどの桜と比べても類を見ない、妖しい美しさを湛えていた。

人々は、死体が埋められていた事実をその美しさと絡め、十数年ぶりに花が咲いたこととの因果関係に

畏れおののくばかりであったが、その花に込められた意味と約束を知る者は、当然のようにそこにはいない。

黙して語らぬ桜の老樹だけが、ただそこに佇んでいるのみである。

.

494 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:07:55 ID:h.GZwhnY0





ーーー桜の樹の下には屍体が埋まっている!

ーーーこれは信じていいことなんだよ。






495 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:08:49 ID:h.GZwhnY0
終わりです。長々と失礼しました。

  (
   )
  i  フッ
  |_|

496 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:14:10 ID:98rvfEN.0
幻想的で好きだわ

497 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:14:12 ID:WPUz/BRQ0
乙 これは良い、とても良い。

498 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:34:51 ID:ld6kgv1U0
.,、
 (i,)
  |_|
18本目行きます

ξ )ξ夢で終わらせてくれないようです

499 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:35:55 ID:ld6kgv1U0
川 ゚ -゚)「シャワーを浴びてるときとかって、後ろに気配を感じることってよくあるよね。ああいうときって上にいるんだとか」

ξ ゚听)ξ「………。」

ξ; ゚听)ξ「は?」

ツンは昔馴染みのクールと一緒にカフェでお茶をしていた。

クールは昔から幽霊とか好きで、霊感があるとかそういう噂が流れていた。

ツンは幽霊なんか信じてない。だからそんなことはずっと無視していた。

それも最近までの話だが。

500 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:37:51 ID:ld6kgv1U0
最近ツンはとても怖い目にあった。それが幽霊に関係するものだったから、そんな噂がたっているクールに相談してみたのだった。

「最近、シャワーを浴びてると後ろに気配を感じるのよ。」

ツンがそう話を切り出した途端、さっきの言葉を突きつけられたのだった。

ξ; ゚听)ξ「やめてよ……これからシャワー浴びるとき上見れないじゃない…」

川 ゚ -゚)「まぁ、有名な話なんだけどね。それで?まさかそれだけじゃないよね?」

501 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:38:50 ID:ld6kgv1U0
ξ; ゚听)ξ「う、うん……、本題はここからなんだけどね」

そうしてツンは先週起きた事をクールに話し始めた。








1人暮らしの狭い部屋にはシャワーの音が響きやすい。一人である事を認識させるかのようだ。

502 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:39:37 ID:ld6kgv1U0
しかしツンは後ろに何者かの気配を感じていた。

ξ; ゚听)ξ「………だれ?」

振り向いても勿論誰もいない。
よくある話だ。

ξ ゚听)ξ「…早く寝よ」





シャワーから上がって、着替えていたらまた気配を感じた。

ξ; ゚听)ξ「………」

今度は無言で振り返る。
誰もいない。

ξ; ゚听)ξ「……疲れてるのよね」

そう自分に言い聞かせる事にした。

503 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:41:24 ID:ld6kgv1U0




TVを見ながら、ドライヤーで髪を乾かしていると

バヅンッ

ξ; ゚听)ξ「うあっ!?何々?ブレーカー!!?」

ツンは真っ暗な部屋の中を、テレビの明かりを頼りにブレーカーを上げに行った。

ξ; ゚听)ξ「ドライヤー使ってるときは、他の電気を使わないようにしなきゃね…」

ブレーカーの下に椅子を立て、そこに上がり、ブレーカーに手を伸ばした。

ξ; ゚听)ξ「………なに…これ…」

髪の毛だ。

ブレーカーには大量の髪の毛が絡みついている。

504 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:42:34 ID:ld6kgv1U0
ゴリュッ、ガリガリ…ゴリュッ…


ξ; ゚听)ξ「ひっ!?」

シャワールームの方から骨と骨がこすれ合っているような音が聞こえる。

シャワールームを見ても誰もいない。

しかし音は止まない。


ぼどっ


なにかおちてきた


「ひぁ…あ……いやぁあああああああああああああああっっ」

ツンはその場で腰が抜けてしまった。

505 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:43:50 ID:ld6kgv1U0
首だ。

手もある。


まるで体はあるのに、首と手だけが姿を現しているかのような動きで、タイルを這って近づいてくる。

『ぎ…ぁが………』

ξ; )ξ「ひぃっ…!」

両手が前に出たら、今度は首がごきゃり、という音を発しながら前進してくる。


逃げなきゃ。




でも足が震えて…



腰も…

506 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:44:38 ID:ld6kgv1U0
水に濡れた手がツンの顔を乱暴に掴む。

大きく裂けた口が目の前でぱっくり開いたとき。



目の前が真っ暗になった。

507 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:45:56 ID:ld6kgv1U0






川 ゚ -゚)「んで…そこで気絶しちゃって、気が付いたらベットの上で、夢だったってオチ?」

ξ; ゚听)ξ「うん、まぁ、ただの夢なんだけどね…怖くて……。」

ただの夢だと今でも本気で思っている。

自分に言い聞かしているだけかもしれないが、自分が気を失ったのは脱衣所だ。ベットの上じゃない。夢でしかありえないのだ。

508 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:46:38 ID:ld6kgv1U0
ξ ゚听)ξ「クーはどう思う?」

川 ゚ -゚)「うーん…本当に起きたことなんじゃないかな?」

ξ ゚听)ξ「え」




川 ゚ -゚)「首と手だけの幽霊なら、ツンの後ろにずっといるじゃないか。」

509 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:48:56 ID:ld6kgv1U0
おわり


  (
   )
  i  フッ
  |_|



一応補足、テレビがついてるのはわざとです。

最初のろうそくのAAずれてすまなんだ・・・

510 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 22:52:07 ID:h.GZwhnY0
単純だけど怖い……乙

511 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:13:53 ID:d3t9MV8U0
19本目をいただきます。


  .,、
 (i,)
  |_|

512 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )1/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:15:35 ID:d3t9MV8U0
自室の布団の上で目を覚ました。
暑そうな夏の日差しが部屋に入り込んでいたが、特に何も感じなかった。

私は身体を起こして部屋を見回した。
物が散乱しているのが見受けられる。長いこと放置していたのだろうか。
久しぶりに来たのだっけなと思い、記憶を辿ろうとしても何も思いだせなかった。

身体の動きは頗る鈍い。自分の身体が老体なので仕方ない面もあるが、それにしても辛い。
まるで外から糸か何かで操っているようだ。

ふと思い立って、自分の左腕を右手でつねってみた。やはり痛みは感じない。
暑さも痛みも感じない。なんということだ、これでは生きている心地がしない。

ひょっとしたら私の身体は既に死んでいるのではないか。
何かの拍子で霊魂だけが残り、腐った身体を操っているだけなのではないか。
だとしたら、さしずめ私はゾンビのようだ。

しかしいったいどうしてこのような状態で、私の霊魂はここに残ってしまったのだろう。



突然、手に何か触れた。
しかし見てみても何も無かった。

513 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )2/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:17:06 ID:d3t9MV8U0
幸い部屋の中で杖を見つけたので、それを支えにドアまで向い、階下へと向かった。
家の間取りはなんとなく憶えていた。ずっと昔に来たかのような遠い記憶として残っている。
そして私には妻と双子の息子がいたことも、徐々に思いだしてきていた。

階下には双子がいた。二人ともいる。

(;´_ゝ`)「……!」

兄者の方が私をみて目を見開いていた。なんだ、何をそんなに驚いているのだ。
私が死んでいることに気付いているのか。
もし何か知っているなら詳しく話を聞こうと思い、私は兄者の反応を待った。

(;´_ゝ`)「あ、あんた歩けたのか」

私は眉を顰めた。何を言っているのだろう。歩けなくなった覚えなどない。
だいたい歩けないならなんで二階で寝ていたんだ。降りれないだろう。
それに目の前でそんなことを言うなんて失礼じゃないか。

私は兄者がこれから何を言うのかを待った。

しかし結局兄者はそれっきり、台所の方へと帰って行ってしまった。

拍子抜けした私は次に弟者の方に顔を向けた。
彼はこちらを見ずに雑誌を読んでいる。

私は声を掛けてみようと思った。

514 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )3/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:18:28 ID:d3t9MV8U0
しかし、うまくいかない。

言葉にもならない音を出したところで、私は話すことの難しさに気付いた。
いったいどうしたというのだろう。身体の構造的に問題があるのか。
そういえば死体は内部から腐っていくと聞いたことがある。声帯がもう使い物にならないのかもしれない。

(´<_` )「……兄者、どうやらだめだったみたいだな」

弟者は雑誌を読みながらそう言っていた。台所の方から大きなため息が聞こえてくる。
私には意味のわからない会話であった。

食事の席へは弟者が案内してくれた。介護慣れした人の手つきだ。どこかで実践しているのかも知れない。
私もこう動きが悪いと要介護者と変わらないのだろう。とにかく援助があるのは助かる。

(´<_` )スンスン

弟者がしきりに鼻をひくつかせているのに気付いた。
私は顔をしかめた。匂いでも気になるのだろうか。嗅がれる側は決していい気持ではない。

しかし身体が腐っていれば当然か。
今は夏場だし、私がゾンビであることに双子が気付くのもそう遠い話ではないだろう。

椅子に座っていたら兄者の作った食事が運ばれてきた。
弟者と自分には質素な朝食が、そして私の前にはおかゆが運ばれてきた。

515 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )4/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:20:05 ID:d3t9MV8U0
私には食欲が無くなっていた。それにもし身体の内部が機能していないならば消化もできないだろう。
だからスプーンにさえも手をつけずにいた。

(´<_` )「さすがに食べないみたいだな」

( ´_ゝ`)チッ

舌打ち?
なんで舌打ちなどされなきゃならんのだ。

( ´_ゝ`)「……なあ弟者、母さんの命日って明日だよな」

(´<_` )「ああそうだ。ちゃんとお供えしないとな」

母さん、つまり私の妻のことだろう。
しかしいつの間に死んだというのか、私は全く知らなかった。
あれほど私のために尽くしてくれた良妻にはなかなか出会えないと思っていたのに、なんと惜しい。

それにしても、そんな妻の死のことも忘れているなんて。
私はよほどひどい記憶障害に陥っているのかもしれない。

(´<_` )「しかし兄者、父さんの前であんまり母さんの話はしてくれるな」

(;´_ゝ`)「ああ……悪い」

それは私に気を使ってということだろうか。
それにしては妙に違和感が残った。

516 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )5/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:21:17 ID:d3t9MV8U0
ややあって、兄者が新聞を広げてくれた。
私は目を細めて日付を確認した。
私の憶えている時とどれほどのずれがあるのか検証したかったのである。

そして驚愕した。

そこにある年号は、私の記憶にあるものより五年は先のものであった。

どうやら私にはここ五年の記憶がすっぽりと抜け落ちているみたいだ。

( ´_ゝ`)「それじゃあ弟者、じいさんの世話は頼んだ」

それから兄者は仕事へ向かった。
弟者は家に残っている。はて、二人とも職についていたはずだが。
妻が死んでから私の介護のため、会社を休んでいるのか。

弟者は私を自室へと案内した。
私は既に弟者の心の内が冷え切っていることを感じていた。
介護の腕はあってもこの態度ではあまり好ましく思えない。

いつからこんな子になってしまったのだろう。
昔は弟者も兄者ももっと快活で騒がしいほどの兄弟だったのに。

自室で私は横になった。
どうにも疲れる。本来動くべきでない身体を動かしているのだから当然か。

517 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )6/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:23:08 ID:d3t9MV8U0
双子のことが気にかかった。
あの二人は私が死体だと気付いていはいない。
しかし私の家族であるのだから、何かしら私について知っているはずだ。

五年間という長期の記憶が無い私だが、あの双子はその期間についても知っているだろう。
口でそれを聞きだすことができないのがもどかしい。紙に書こうともしたが、思うように手が動かなかった。


そのうち、視界がぶれ、全てが真っ暗になった。


気がつけば寝ていたらしい。すでに日が暮れていた。
私はゆっくりと起きた。身体の鈍さは変わらない。
昼食も省いてしまったが、特に問題はないだろう。

どうも視野が不安定だ。右目が開いていない気がする。
身体が不自由なのはしかたない。このままで耐えよう。

それにしても、弟者は昼食のために私を呼ばなかったのだろうか。
それに他の、排泄とか着替えとかもなされた様子はない。記憶もない。
これではあまりにも淡白じゃないか。老人に対してこの仕打ちはいかがなものか。

私の憤りは募っていった。


そのときまた腕に何か触れた。
できる限り急いで振り返ってもやはり何も見受けられなかった。

518 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )7/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:24:27 ID:d3t9MV8U0
私は再び階下に降りた。
すると、なんと弟者と兄者がそろって夕食を食べていた。

二人とも私を見て呆然としている。

(;´_ゝ`)「う、うわああああああ!!!!」

兄者が弾けるように叫んで立ちあがる。
そのまま台所まで行ってしまう。
壁の隅からこっそりとこちらの様子を伺っていた。

弟者も冷や汗を流しながら身構えている。
座りながら、その右手には強く橋が握られていた。

(´<_`;)「どうしてだ……」

弟者が恐ろしく低い声で呟いた。

どうしてだと?
食事のために決まっているだろう。自分たちだけで食べておいて私に出し忘れたなどとは言えまい。

519 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 23:25:37 ID:68AY/e1M0
橋握る弟者
ゾンビものか…
支援

520 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )8/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:26:04 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「……ど、どうやら危害はないみたいだな」

兄者がほっとした様子で言った。

(´<_`;)「ああ、やっぱり普通じゃないみたいだけど」

弟者は私を見つめながら苦々しそうな顔をしていた。

私がゾンビであることにようやく気付いたということだろうか。
それならそれで好都合だ。私の身に何があったのかわかるかもしれない。

それにしても、先程の態度はなんだ。
およそ親に向けていいものではないだろう。
人を珍獣か何かのように扱いおって。

(´<_`;)「まああの身体じゃどうせ動いたところで大したことないさ」

弟者の冷たい言葉。なんでこんなこと言われなくちゃならないんだ。
二人ともどうしてこんなになってしまったのだろう。育て方に不備でもあったのか。
私は沸々とした怒りのままに、弟者の頭部を睨みつけた。

521 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )9/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:27:44 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「弟者、父さん怒ってるみたいだぞ」

兄者がおずおずと言った。
弟者が鼻で笑う。

(´<_`;)「そんなはずあるか。もう何年も前からボケてるんだぜ?」

(;´_ゝ`)「確かに五年前からそうだけど……怒ったりは普通にするんじゃないのか」

(´<_`;)「そんな怒ったりする動機なんて、その場限りしか持ち合わせていられないさ」

ボケてる? 痴呆症ということか。
五年前からということは、私の記憶が無い時期と一致している。
なるほど、私は病気のために記憶を保持できない身体になっていたのだな。

だからゾンビとなった今思い返しても、思いだすことができずにいたのか。

合点がいくと同時に、兄弟への不信感が募っていった。
冷めた口調に対する苛立ちばかりではない。

522 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )10/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:29:07 ID:d3t9MV8U0
きっと私は生前痴呆症で、足腰も悪くなっていたのだろう。
それにもかかわらず部屋は二階である。私は閉じ込められていたんじゃないか。
階下にも降りれず、一緒に食事をとることもせず、いやひょっとしたら何日も放置されていたのかもしれない。

朝弟者が言っていたことを思い出す。
何かに失敗した。ひょっとして私を餓死にでもさせようとしたのか。
そして私の魂が双子を憎み、恨むためのこの世に留まったと。

あいにくその恨みを私がすっかり忘れていたから何をする気にもなれなかった。
しかし今なら気持が形成されてきている。

自然と杖を持つ手が震えてくる。


腕が何かに握られる感触があった。
先程から私に触れてくるやつか。
私は苛立って手を振り拒んだ。

なんださっきから、うっとおしい。
何かは知らないが私の邪魔はしてくれるな。
そう念じると感触は消えた。それっきり。

523 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )11/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:30:34 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「弟者、俺仏壇の方へ行ってくるよ」

(´<_`;)「命日は明日だぞ?」

(;´_ゝ`)「なんかいやな予感がするからさ」

それから兄者は席を立ち、食器を片付け始めた。終わってから仏壇へ行くということなのだろう。
私はふっと怒りが抜けた。そうだ、妻の仏壇をまだ見ていない。
この双子をどうにかしてやる前に挨拶くらいしておきたいものだ。そう思うと怒りは一応おさまった。

兄者が片づけを終え、奥座敷へと歩んでいく。
私もそれについていこうとした。

(´<_`#)「おい!」

弟者が突然叫ぶ。
驚いて弟者を見ると、これまで見たことないほど鋭い目で私を睨みつけていた。

524 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )12/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:32:07 ID:d3t9MV8U0
私は訝しんだ。弟者は私を止めようとしているのか。
なんでそんなことをする必要がある。私はただ妻の位牌を見たいだけだ。
それが夫と言うものだろう。どうして邪魔をする。

抑えていた怒りが瞬時に湧いてきた。
杖を握る手に力が込められる。

(´<_`;)「……っ、うう」

私の顔に恐れをなしたのか、弟者が呻いた。
心の隅に優越感が現れた。所詮わが子だ、父親には逆らえまい。
遠い昔に置いてきた純粋な支配欲。

時代錯誤と言われようとも私はその気持ちを根源に抱えて育ってきていた。
世の中を渡る上でひた隠しにしてきたが、もう限界が近い。

このように虐げられる現状があれば、その気持ちが湧いてくるのも無理はない。
私は杖をゆっくりと持ち上げようとした。

525 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )13/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:33:29 ID:d3t9MV8U0
( ´_ゝ`)「やめろ、弟者」

兄者が静かに言う。
私は腕を動かすのをやめた。杖の先だけが宙に浮く。

(´<_`;)「け、けど兄者!」

弟者は必死の形相で兄者に訴えかけていた。
兄者は首を横に振る。

( ´_ゝ`)「いいじゃないか。母さんくらいみせてやろう。
 何かあったら弟者、お前が止めてくれ。俺も手伝うから」

弟者は何事か言いたそうに口を震わせていたが、反論はしなかった。
結局そのままテーブルに向き直った。食器を片づけるためだ。

私の杖を持つ手と背中を支える。介護の姿勢だ。

そのまま三人は奥座敷へと向かっていった。

526 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )14/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:35:13 ID:d3t9MV8U0
仏間に黒檀の仏壇があった。私も憶えている。先祖の位牌はそこに置かれていた。
そして記憶にない新しい位牌があった。それが妻のものなのだろう。

兄者が先頭に立ち、鈴を鳴らして、手を合わせる。

( ´_ゝ`)「……母さんが死んでから、もう一年になるよ。
 母さんが服毒自殺したって連絡を受けて、急いでこの家に来た。
 介護をまかせっきりにしていたのが悪かったんだと反省して、弟者と協力してじいさんを支えようと思った」

( ´_ゝ`)「でもすぐに、母さんが自殺した理由は別のところにあるとわかった。
 父さんはすっかり変わってた。ボケが始まってて、いつも何かに憤ってて、ものすごくわがままな人になってた。
 俺らは大人になってからの父さんしか知らなかったからさ、父さんがそうなっちゃうのを見ててショックだった。
 そしてそんな父さんと結婚した母さんの受けたショックはもっとひどかったと思う」

( ´_ゝ`)「一年間耐えてみて、やっぱり俺らも限界が来た。
 何を言っても父さんはすぐに忘れてしまうんだ、どんなに恨み事を言ってもけろっとしちまう。
 それが一番つらかった。母さんが死んでいることさえ覚えてられないなんて」

527 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )15/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:36:16 ID:d3t9MV8U0
( ´_ゝ`)「だからかつて母さんが使った毒を食事に混ぜたんだ。それが昨日の話。
 そしたらさ……なんでかわかんないけど、父さん元気になってやんの。もう意味分かんなくてさ。
 急に歩けるようにもなってるし、毒なんて全然意味無かったし。嫌になるよ」

( ´_ゝ`)「でさ、昼間弟者が油断しているところを鈍器で殴って殺そうとしたらしい。
 でもまだ生きてる。いや、たぶんあれはもう普通じゃない。だって、頭の右側が抉れてるんだもの。
 きっと呪いとかそういう、人知の及ばないものだよ。俺たちじゃどうしようもない」

間をおいてから、兄者は嗚咽を漏らしだした。
苦しみに満ちた声が少しずつ発せられていく。
悲しみも怒りも、全てが混ぜ合わさった、ひどく聴き取りづらい声だった。

(#´_ゝ`)「どうして……どうして俺らはこんな目にあわなくちゃならないんだ!
 俺らや母さんが何をしたっていうんだ! どうしてあいつを殺せない!!
 どうして……どうして……ああ、せめてあいつにわかってほしい。忘れないように、その魂に、俺ら家族の恨みを刻みつけたい」

528 名前:( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )16/16 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:38:05 ID:d3t9MV8U0
兄者は仏壇の前に崩れ落ちた。
大人げない嘆きが仏間に響き渡っている。
その声が嗄れ、喉が腐り落ちようとも、彼は泣き続けるだろう。



私は腕が掴まれるのを感じた。
今までにないほどはっきりとした感触だった。



私はようやく理解した。
この光景を見ることこそが私の今いる理由なのだと。


そしてこの触れてくる者が誰なのかも、わかった。


私はもう、触れてくる手に刃向おうとはしなかった。



〜〜おわり〜〜

529 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:40:46 ID:d3t9MV8U0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

>>518の13行目の弟者さんが橋握っちゃってる……指摘されて気付きました。
握ったのは箸でした。

530 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 23:42:39 ID:h.GZwhnY0
乙乙。可哀想なのは母か父か兄弟か……

しかし自殺したのが母者だと思うと違和感が拭いされないwwww

531 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 23:48:44 ID:NE1qcFrg0
おつ
ゾンビになったのが一番あかんかったのかな…

>>530
同じこと考えたわww母者と思ってしまうとどうしてもなww

532 名前:名も無きAAのようです :2013/08/11(日) 23:51:02 ID:4ajtcZlE0
父者の腕を握ったのは死神かなんかか?
うちの婆様もそうなっちまうんかなあ…
つ!

533 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/11(日) 23:55:07 ID:d3t9MV8U0
>>532書いてるときは妻を想定していたけど、受け手次第かなとも思ってみたり。
母者のAAなんて使ってたらそれこそ別の意味での恐怖になりますね……ww

534 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:11:56 ID:AdtwW4/A0
二十本目いきます
  .,、
 (i,)
  |_|

535 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:12:53 ID:AdtwW4/A0

lw´‐ _‐ノv「やぁ、ひさしぶりだね」

( ФωФ)「全くであるな」

白いワンピース、大きい麦わら帽子。
風になびく豊かな黒髪と、赤いリボン。
彼女に足は、ない。向日葵畑が彼女を透けて見えて、彼女は輪郭を取り戻す。
自分が目を細めると、彼女も目を細め唇で弧を描いた。

lw´‐ _‐ノv「こうしてまともに君と話せるようになって嬉しいよ」

( ФωФ)「それは吾輩の台詞である」

自分が言うと彼女は鈴を転がすような声で笑った。
そうだね、そうだねとひとしきり笑って空を仰ぐ。

lw´‐ _‐ノv「私は結局自分の足で立つことなく逝ってしまったね」

( ФωФ)「……致し方なかろう」

lw´‐ _‐ノv「今更身体について文句をいうつもりはないさ、こうして立つという視界を手に入れたことだし」

( ФωФ)「立っていると言っていいものかわからないが」

lw´‐ _‐ノv「浮いている、と言う方が正しいかな?
       どちらでもいいだろう、私は今こうしているのだから」

彼女が生前こうして清々しい笑みを浮かべたことはあったのだろうか。
自身の記憶に問いかけるが思い当たらない。
記憶にある彼女は白い顔で俯いて、諦めの表情を浮かべているばかりだった。
唯一、双子の姉といる時は薄く笑っていたけれど。

536 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:13:58 ID:AdtwW4/A0

lw´‐ _‐ノv「……謝っておいてくれたかい?」

脳内に赤髪の、健康的な女性の姿が映る。
目の前の彼女が同じ顔を思い浮かべたのだと悟って、何をだと聞いた。

lw´‐ _‐ノv「これ、借りっぱなしだから。もう返せないけど」

帽子のつばを右手で握って、眉を下げる。
赤いリボンはお前の姉によく似合っていた。
そう言うとわかってるよ、と少し頬を膨らませた。

lw´‐ _‐ノv「すこし、憧れてただけ」

( ФωФ)「健康な姉に?」

lw´‐ _‐ノv「なんで私だけ、って思ったよ。
       私が寝てても彼女は立って、走って、私が見れない景色を見てた。君もね」

( ФωФ)「……」

lw´‐ _‐ノv「ああ、恨み言を言いたいわけじゃないんだ。
       私の身体がどうしようもないことなんてわかってたし。
       君達は動けない私に世界を見せようとしてくれた。だから嫌いになんてなれなかった」

( ФωФ)「嫌いになっていた方がよかった、とでも言いたげだな」

lw´‐ _‐ノv「……その方が、楽だったのかもしれないと思わないでもないよ。
       でも君達を羨ましいと思いこそすれ、憎めはしなかった。やっぱり、好きだったんだよ」

( +ω+)「……そうか」

お前の姉は、お前を亡くして以来泣いているのだと。
自分がお前の分の健康をうばってしまったのだと。
恨んでいるに違いないと、自責の念に駆られていることをお前は知らない。
知らせてどうなる。自分だから彼女に会えるのであって、彼女は姉には会えないというのに。

537 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:15:17 ID:AdtwW4/A0

lw´‐ _‐ノv「ねぇ、ここは綺麗なままだね」

彼女は振り返って言う。
向日葵が風に揺れて、黄色い花びらが舞った。
帽子のつばを抑えたまま、彼女は笑う。

lw´‐ _‐ノv「ここが好きだったんだ、ずっと来てみたかった」

( ФωФ)「綺麗だろう、吾輩が埋めたのだ」

lw´‐ _‐ノv「彼女と、でしょう。妙に見栄っ張りだね君は」

( ФωФ)「実質吾輩は手伝っただけなのだがな」

lw´‐ _‐ノv「だろうね。でも、綺麗だよここは」

彼女の人生の大半を過ごした部屋が見えた。
たった数メートル、彼女が移動しただけでとても珍しく見えるのはなぜなのだろう。
今そこでは姉が泣いているのだろう。白いシーツを握りしめて、肩を震わせているのだろう。

lw´‐ _‐ノv「向日葵が好きなんだ、彼女が初めてくれた花だから」

( ФωФ)「吾輩も渡したはずだが?」

lw´‐ _‐ノv「彼女の方がはやかった。初めて咲いたんだって、笑顔で持ってきてくれた。
       私の髪に挿して似合うと言ってくれたよ」

( ФωФ)「結局二人で髪に飾ったまま寝たのだったか」

lw´‐ _‐ノv「そうそう、起きたら花びらが落ちちゃってて泣いたんだ」

彼女の手は向日葵を通り過ぎた。触れることが叶わなくなった身体に、溜息を吐いた。
これが見れるから夏は好きだったんだけどな。呟いた言葉は地に落ちた。
自分の方を向いて、彼女は笑う。

538 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:16:27 ID:AdtwW4/A0

lw´‐ _‐ノv「彼女は元気かい?」

本題に入ったと、思った。
彼女の癖は知っていた。言いにくい話題に入るとき、妙に話を変える。
そして自分は本題から逃げてはいけないともわかっていた。

( ФωФ)「……沈んでいる。お前が逝ってから、ずっと」

lw´‐ _‐ノv「笑っては、いないのかい?」

( ФωФ)「笑えるはずなかろう。彼女はお前に逝ってほしくなかった」

lw´‐ _‐ノv「無理だとも知っていたろうに」

( ФωФ)「……わかっていても、心が追いつかないのだろう。
      吾輩は寄り添うことしかできん」

lw´‐ _‐ノv「笑顔が好きなんだけどね。沈んでいる顔なんて似合わないよ」

( ФωФ)「……そこには、同意しよう」

lw´‐ _‐ノv「……ああそうだ、この手があるじゃないか」

ひらめいた、という顔をして彼女は麦わら帽子からリボンを外す。
姉の髪に似た赤布を吾輩の首にかけて、よし、と笑った。

lw´‐ _‐ノv「伝えておいてよ、私は恨んでなんかないって。
       これ持って行っちゃってごめんって。返すね、」

( ФωФ)「……名を、呼ばないのか?」

lw´‐ _‐ノv「嫌だなぁ、呼んだらこっちに来ちゃうかもしれないよ?
       それに、そろそろ時間切れだ」

彼女が吾輩の頭を撫でて、感触が消えた。
目を開けると既に彼女の姿はなかった。首にかかる布だけが彼女のいた印だった。
向日葵畑に背を向けて、室内にはいる。
目指すは彼女のいた部屋、姉のいる部屋。

539 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:17:12 ID:AdtwW4/A0

:ノハ ):

やはり泣いているのだな。
でも泣いてほしくなどないのだ。お前には笑顔が似合うと、妹の願いなのだ。
吾輩も、そうなのだ。寄り添うしかできない吾輩でもお前に笑ってほしいのだ。

呼びかける。少しの間を置いて彼女が振り返る。
泣きはらした目が吾輩を見る。見つめる。目を見開く。
少し痩せた手が伸びる。赤いリボンに触れる。握りしめる。

声にならない声が、喉から漏れる。嗚咽。また新たな涙が浮かんで落ちる。
不器用な刺繍を指でたどる。白糸のそれは、彼女の置き土産なんだろう。
それを読んで、また泣くのだ。それが後悔ではなく懺悔でなく、救われた涙であればいいと思う。
そしていつか、またお前と向日葵を笑って見ることができたのなら。
流れるはずのない涙が、流れた気がした。

( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv

540 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:17:54 ID:AdtwW4/A0

  (
   )
  i  フッ
  |_|

自分で思ったんだがこんなのシュールじゃねぇ

541 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:19:54 ID:ldzJ7e1g0


悲しいな…

542 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:24:08 ID:q3OOcQ860
乙!
哀愁のあるかんじがシューさん似合うよねえ

543 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:25:24 ID:qi5H0aiEO
乙乙
テンポいい文章で読みやすくて切なくていいな



21本目いきまっす

  .,、
 (i,)
  |_|



(´・ω・`)滴るようです

544 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:26:57 ID:qi5H0aiEO


 ヴィップ川には子供の幽霊がいるんだよ──

 ショボンの通う小学校で、そんな噂が流行った。


(´・ω・`)「幽霊?」

( ・∀・)「おう。20年……30年だったっけ?
      そんぐらい昔に、あの川で死んじゃった子がいるんだって」

(´・ω・`)「溺れたの」

( ・∀・)「そうだろうね。それ以来、その子の霊がヴィップ川に出るとか何とか」

 昼休み。5年生の教室。
 ショボンは友人から、件の噂話を聞かされた。

 5時間目の算数の宿題をすっかり忘れてきてしまったショボンとしては、
 休み時間の内に宿題をでかしてしまいたい。
 だから本当は、友人の話を聞いている暇もないのだけれど。

 身を乗り出させ、友人はにんまり笑った。
 面白いのはここからだ、と言わんばかりに。

545 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:27:54 ID:qi5H0aiEO

( ・∀・)「でさ、でさ、その幽霊な、たまに『ついてくる』んだって」

(´・ω・`)「?」

 ショボンは、鉛筆を走らせる手を止めた。
 嫌いな算数のプリントよりは、やはり、怖い話の方が気になる。

( ・∀・)「えっとな、ほら、ヴィップ川ってすぐそこじゃん。
      だから登下校で川の前を通るやつ多いだろ?」

(´・ω・`)「うん」

( ・∀・)「夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ」

(´・ω・`)「……うん?」

( ・∀・)「このとき、振り返っちゃいけないらしい」

(´・ω・`)「なんで?」

( ・∀・)「振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
      でも途中で振り返れば──」

546 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:28:33 ID:qi5H0aiEO

( ・∀・)「……わーっ!!」

(;´・ω・`)「わあっ!!」

 突然大声で掴みかかられ、ショボンは後ろへ倒れそうになってしまった。
 友人がげらげら笑う。
 睨むショボンに、友人は笑いながら謝った。

 と、そのとき。

( ・∀・)「あ」

(´・ω・`)「あ……」

 予鈴が鳴り響き、午後の授業開始の5分前を告げた。



*****

547 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:29:56 ID:qi5H0aiEO

 5分で宿題は完成させられず。
 しかも他の授業で提出しなければならなかった漢字ドリルも忘れていたため、
 罰として、居残りでプリントをやる羽目になってしまった。

(;´・ω・`)(うう……モララーのせい……じゃないか……。自分が悪い……)

 ショボンはあまり頭が良くない。
 プリント3枚を解くのにもだいぶ時間が掛かってしまい、
 ようやく帰れるようになったのは、生徒のほとんどが下校した後であった。



 夕日が照らす通学路。
 ショボンは1人、とぼとぼと歩いた。

 たまに自転車に乗った大人などとはすれ違うが、
 ショボン以外の子供は見当たらない。

(´・ω・`)(……川)

 ヴィップ川の前に差し掛かる。
 昼休みに聞いた話を思い出し、自然と足が速まった。

 ──噂は噂。信じる必要はない。
 そう自分に言い聞かせても、怖いものは怖い。
 背中のランドセルがずっしり重くなったような心持ちに、溜め息が漏れる。

 早く帰ろう。
 俯きながら歩く。

548 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:31:13 ID:qi5H0aiEO

 さらさら。川の流れる音。
 かたかた。ランドセルが揺れる音。
 ごとごと。線路を踏みつける電車の音。

 ──ひたり。

 水が地面を叩くような音が混じった。
 ショボンの足が止まる。

 ひた、ひた。

 背後から聞こえる。
 ショボンの脳裏に過ぎるのは、やはり怪談。


   ( ・∀・)『夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ』


 ショボンはそろそろと歩いてみた。
 それに合わせて背後の音も近付く。

 鼓動が激しくなり、勝手に呼吸が乱れた。
 顔を後ろに傾けかけて、何とか思い留まる。

549 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:32:38 ID:qi5H0aiEO

   ( ・∀・)『振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
         でも途中で振り返れば──』


 振り返ってはならない。

 ランドセルの肩ベルトを握りしめ、ショボンは歩き続けた。
 音はついてくる。
 徐々に、徐々にではあるが、近付いてきているようにも思えた。

 ひたひた。
 ぺた。ぺた。

 まだ消えない。

 どこまでだ。
 どこまで歩けば消える?

 そろそろ家が近い。
 このまま家に着いたらどうなる?

550 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:34:40 ID:qi5H0aiEO

(;´・ω・`)(──本当に……)

 本当に、いずれ消えるのだろうか。
 放っておいて、いいのだろうか。

 ひたり。
 ぴちゃん。

 ああ、また近付いた。
 もし、家に到着するまでに、すぐ後ろにまで迫ってきたら。

 呼吸が一層荒くなる。苦しい。
 怖い。
 怖い。

 そうだ。
 勘違いかもしれない。
 幽霊ではないのかもしれない。
 幽霊かもしれない。

 見れば分かる。
 見てはいけない。見なければいけない。
 怖い。どうしよう。振り返ろうか。駄目だ。けれども。

 足を止める。
 一呼吸。

 ショボンは、体ごと後ろを向いた。

551 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:35:42 ID:qi5H0aiEO


 子供が立っている。
 夕日を背にしているため、シルエットしか分からない。ショボンよりは背が低い。
 そのシルエットから、ぽたぽたと水が滴り落ちていく。


〈……おにいちゃん……〉


 声。
 ごぽり、あぶくが立つような音と共に、小さな子供の声がした。
 その瞬間だけ、滴る水の量が増えた。

 すぐさまショボンは駆け出した。
 必死に走っていたため、例の音が後をついてきていたかどうかは覚えていない。
 丁度帰宅したところだった父と玄関先で顔を合わせたとき、安堵で少し涙が出た。



*****

552 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:36:40 ID:qi5H0aiEO

 夜になり、日付が変わってもショボンは眠れなかった。
 夕方に見たものの正体を考えては、全身が恐怖に包まれ、足元と背中が冷える。

(;´・ω・`)(振り返ったら……どうなるんだろう……)

 振り返ってしまった。
 何が起きるのだろう。

 しかし、もしかしたら、逃げたおかげで助かったかもしれない。
 そう。きっと自分は逃げられたのだ。
 大丈夫。怖くない。大丈夫。大丈夫。

 布団の中で丸まり、自身に言い聞かせる。
 それでも胸はどきどきするし、眠気も来ない。

 しばらくして、尿意を覚えた。
 迷う。そうこうする内に我慢出来なくなり、ショボンはベッドから下りた。

 部屋を出て、廊下や階段の明かりを全て灯しながら1階のトイレへ向かう。
 両親は既に眠っているようだった。

553 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:37:46 ID:qi5H0aiEO

(;´・ω・`)(早く戻ろう)

 さっと用を済ませたショボンは、手を軽く洗い、水気を拭いもせずに廊下へ出た。
 1階の廊下の電気を消す。

 階段を上ろうとしたとき、ひたり、音がした。

 体が固まる。
 それは背後──玄関から聞こえた。


〈……おにいちゃん……おうち入れて……〉


 ドアを挟んだ向こうから、か細い声。

 ショボンは階段を駆け上り、明かりを消さないまま部屋に飛び込んだ。
 布団に包まり、がたがた震える体を抱き締める。


〈おにいちゃん、おにいちゃん……〉


 部屋の窓の外から声がしても、窓を叩く音がしても、ショボンは動かなかった。
 窓の外に、人が立てるような足場など無いと分かっていた。



*****

554 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:39:39 ID:qi5H0aiEO

 朝、母が起こしに来るまでショボンは眠らなかった。

 急かされるまま服を着替え、ランドセルに教科書を詰め、1階のリビングで朝食をとった。
 昨夜のことを母に話すかどうか悩み、諦めた。
 夢だと一蹴されて終わるだろう。

 トーストを齧りながら、ショボンは何気なく庭へ続く掃き出し窓を見た。
 口からトーストが落ちる。

 庭の片隅に少年がいた。
 全身ずぶ濡れで、水気をたっぷり含んだ青白い体は一部が崩れている。
 膨れた瞼で半分隠れた目が、ショボンを見つめていた。

 悲鳴をあげ、ショボンは台所の母のもとへ駆け寄った。

('、`*川「どうしたの」

 問い掛ける母に答える余裕もない。
 窓の方を指差しても、母は「外に何かあった?」と訊ねるだけ。
 恐る恐るショボンも見てみたが、あの少年はいなくなっていた。


 ごみを出しに行くという母と共に家を出て、ごみ捨て場で母と別れたショボンは
 近所に住むクラスメートと登校した。
 びくびくしながら何度も振り返ったが、少年はついてきていなかった。

555 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:40:55 ID:qi5H0aiEO


(´・ω・`)「──モララー」

( ・∀・)「おはようショボン。どうした?」

 学校に着き、ショボンはいの一番に友人へ声をかけた。
 逡巡し、自分の身に起きたことは隠して「噂」の話題を振る。

(´・ω・`)「昨日の……ヴィップ川の幽霊の話。
      あれって、振り返っちゃったらどうなるの?」

( ・∀・)「あれか? ううん……ごめん、分かんない。
      俺は、振り返っちゃいけないとしか聞いてないや。──貞子!」

 友人が、少し離れた席に座る女子生徒の名を呼んだ。
 女子生徒は立ち上がり、ショボン達の方へやって来る。

川д川「なあに?」

( ・∀・)「おまえ怖い話好きだろ?
      あのヴィップ川のやつってさあ、何で振り返っちゃ駄目なの?」

 顎に手をやり、女子生徒が唸る。
 「たしか」、と前置きをして、口を開いた。

川д川「振り向けば、家にまでついてきちゃうんだったかな……」

( ・∀・)「そんだけ?」

556 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:42:41 ID:qi5H0aiEO

川д川「幽霊を連れ帰っちゃった子は、自分で家の窓や玄関を開けちゃいけないんだって。
    幽霊を招き入れちゃうから。
    家族が開けてくれるなら大丈夫らしいよ」

( ・∀・)「幽霊が家に入ったらどうなるんだ? そのあと殺されちゃったり?」

川д川「さあ。でも良くないことは起きるんじゃない?」

 はっきりしねえなあ。友人が口を尖らせる。
 女子生徒は僅かに楽しそうな顔をして、「そもそも」と話を続けた。

川д川「昔ね、この学校に通う兄弟が
    大雨の日、下校のときに喧嘩しちゃったんだって」

川д川「それでお兄さんが弟を河川敷に置いて『絶対ついてくるな』って言って、
    お兄さんだけ1人で帰ろうとしたんだけど……」

川д川「何度も弟がついてくるから、その度にお兄さんが弟を河原に戻して、
    またついてきたら怒って河原に戻すっていうのを繰り返して──」

川д川「ついにお兄さんが弟を川に突き飛ばして、走って家に帰っちゃったの」

( ・∀・)「ひでえなあ。俺は弟にそこまで出来ないや」

557 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:44:13 ID:qi5H0aiEO

川д川「それから夜になっても弟が帰ってこなくて……
    結局、川をずっと下ったところで弟の死体が見付かったんだって」

川д川「大雨だったから、川の水が増えて流れも速くなってたみたい」

( ・∀・)「それから幽霊が出るようになったのか?」

川д川「って聞いた。
    だから幽霊は、お兄さんを追ってるつもりでついてくるんじゃないかなあ」

( ・∀・)「ふうん……。でも何で振り返ったときだけ、家までついてくるんだろ」

川д川「私はお姉ちゃんからこの話を聞いたんだけど、お姉ちゃんが言うには──
    弟がついてくる度にお兄さんは怒って河原に戻してたってことだから、
    『ついていく→振り返る』っていうのが、幽霊にとっては『お兄さん』の行動にあたるんじゃないかって」

( ・∀・)「あ、じゃあ、振り返らずに無視し続けてりゃ、幽霊は
      これは兄ちゃんじゃないなって思って諦めるわけだ! なるほどな」

558 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:44:45 ID:qi5H0aiEO

川д川「本当だか分かんないけどね……。
    ……ショボン君、顔色悪いよ? 具合悪い?」

(;´・ω・`)「え……。……う、ううん、何でもない……」

 始業のベルが鳴り、各自が席に着く。
 ショボンは机の上を見つめたまま、ぐちゃぐちゃに絡まる思考を整理した。
 整っていく度に、背筋が凍る。

 少年は「おにいちゃん」と言った。
 「おうちに入れて」と言った。

 昨日は父、今朝は母がたまたま玄関のドアを開けてくれたが、
 もしもショボンが開けていたら──



*****

559 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:46:26 ID:qi5H0aiEO


 その日帰宅したショボンは、玄関のチャイムを鳴らして母にドアを開けてもらった。
 家に入る間際、庭の隅で何かが動いたのが見えた。



 そうして、夜。
 部屋の電気をつけたままベッドに入ったショボンは、
 ぎゅっと目を閉じ眠りにつくのを待った。

 昨夜寝られなかった分、眠気は充分にあった。
 それでも、どうしても意識が深いところまで落ちていかない。

 やがて、また水音が聞こえ始めた。

 ひた。
 ひたひた。ぴち。ぴちゃ。
 ぽたり。

 滴る音は家の周りを回っている。
 布団を頭まで被っても、しっかり聞こえてくる。

〈おにいちゃん〉

 ああ。声が。

 布団の端を握り締めるショボンの手に、いっそう力が篭る。
 指先が痛むほどだった。

560 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:47:49 ID:qi5H0aiEO

〈おにいちゃん……おうち入れて……〉

 枕カバーを噛み、耐える。
 あちこちで聞く怖い話だと、みんな、気絶して朝を迎える。
 なのにどうして自分は気絶出来ないのだろう。こんなに怖いのに。ずるい。酷い。


〈……おにいちゃん……〉


(´;ω;`)「──あっち行け!!」


 布団の中から、ショボンは叫んだ。

 窓の外の声が止む。

(´;ω;`)「か、か、川に戻れよお!! ついてくるな! 家に入るな!
      お前なんかずっと川にいろ!!」

 それが精一杯だった。
 もう威勢のいい言葉が出てこなくて、声を殺して泣いた。

 外からは、声も音もしない。


 そうして──いつの間にか眠っていたショボンは、母によって目を覚ました。

561 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:48:52 ID:qi5H0aiEO



 以来、少年を見たり、音を聞いたりすることはなかった。
 本当に川へ戻ったのかもしれない。

 それでもショボンは用心して、自分でドアや窓を開けないようにした。
 帰宅が遅れたときにはヴィップ川の傍を通らないようにも心掛ける。


 そうして1ヶ月ほども経てば、恐怖心は薄らいでいった。

562 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:51:13 ID:qi5H0aiEO



 ある休日。
 1人で留守番をしていたショボンに、母から電話があった。


『雨が降ってきたから、庭の洗濯物、取り込んでおいてくれる?』

(´・ω・`)「はーい」

 掃き出し窓から庭に出て、物干し竿から衣類を外して籠に入れる。
 全て取り終えたショボンは、ふと、怪談を思い出した。

 窓を開けてしまった。
 慌てて辺りを見渡す。誰も、何もいない。

 ほっとしながらリビングに上がった。
 窓を閉めると同時に、雨の勢いが増した。

 ざあざあと激しく降る雨。
 庇から滴る水が、ぽたぽた落ちて弾けていく。



 ひたり。

 背後から、雨とは違う音がした。

563 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:52:19 ID:qi5H0aiEO















               〈オニイチャン〉


.

564 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:52:20 ID:O97Yz4QY0
うぎゃぁぁぁぁ

565 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:53:37 ID:qi5H0aiEO

おわり

  (
   )
  i  フッ
  |_|

まぜこぜブーンの以下略その3

566 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:55:53 ID:pkNmYIL60
幽霊相手に気を抜くのはもう死亡フラグだな

567 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:56:28 ID:NHi49Axs0
あぁ

568 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:57:48 ID:ldzJ7e1g0

振り返るなと言われたら振り返りたくなるよね




  .,、
 (i,)
  |_|

22本目行きます

569 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 00:59:23 ID:ldzJ7e1g0
今は昔、今より400年くらい前の昔。

日本によく似た国の
江戸時代によく似た江江時代。

小さな村の小さな家の話。

(´<_` )「おはよう妹者、兄者は?」

l从う∀・ノ!リ人「…うーん、お布団にはいなかったのじゃ」

(´<_` )「また書庫に篭ってんのか…あんな古書ばかりのところに何故…」

l从・∀・ノ!リ人「きっと涼しいからなのじゃ」

妹者は寺子屋へ行く準備をする。

(´<_` )「さ、今朝は豪華だぞ、妹者。港町に嫁いだ姉者から新鮮な魚を届けてもらったからな」

l从・∀・*ノ!リ人「わーい!」

妹者が魚の乗ったちゃぶ台の前に座る。

見たことも無い珍しい魚、イカ、ウナギ…たくさんの海の幸が並んでいた。

570 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:00:29 ID:ldzJ7e1g0
(´<_` )「あ、妹者。起きてたら兄者呼んで来い」

l从・∀・ノ!リ人「寝てたら?」

(´<_` )「…あいつ人に起こされると機嫌悪くなるからいいや、寝てたらほっとけ」

l从・∀・ノ!リ人「りょーかいなのじゃ!」

妹者は土間の床の扉を開き、書庫へ向かう。

l从・∀・ノ!リ人「兄者ー」

妹者は慎重に書庫への梯子を降りる。

書庫の中心に兄者はいた。

( -_ゝ-)zzz

l从・∀・;ノ!リ人「……ありゃりゃなのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人o0(確かに書庫は涼しいのじゃ…)

妹者は周囲を見回し古びた猫の毛まみれの着物を見つける。

l从・∀・ノ!リ人o0(風邪ひかないように…)

妹者は寝てる間に布団を蹴飛ばした時に弟者がしてくれたように兄者に着物をかけた。

l从^∀^ノ!リ人「よし!」

( -_ゝ-)zzz

571 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:01:21 ID:ldzJ7e1g0
(´<_`;)「やっぱ寝てたか、じゃあ後で用意するか」

l从・∀・ノ!リ人「お先にいただきます、なのじゃ!」

(´<_` )「そうだ、姉者から手紙もあったぞ。向こうで嫁姑問題も無く、夫婦仲良くしてるから心配ないってさ。後で返事書こうな」

l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!」


l从・∀・ノ!リ人「…久々に姉者に…会いたいのじゃ…」

(´<_` )「……」

(´<_` )「…あ、あと…掲示板によるとまた化け猫が現れたそうだ」

572 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:01:57 ID:KqyVfKiY0
どんどん本数増えるな…どれも面白くてF5連打が止まらんぜ

573 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:03:27 ID:ldzJ7e1g0
化け猫。

それは長く生きた猫がなると言われ、この村の家に勝手に忍び込み、魚を食い荒らし、鼠の死骸を置いて行く害獣。

被害者の一部は障子に影に猫の耳や尻尾が写り込むのを見ているので発覚した。

最近そんな事件が村の唯一の情報源である掲示板を毎日のように賑わせた。

(´<_` )「化け猫が出てから長く生きた猫は殺生する村のおきてが出来たのは覚えてるか?」

l从・∀・ノ!リ人「…覚えているのじゃ…しぃちゃんとこのでぃちゃんも…」

(´<_` )「特にうちみたいに拾ってきた猫は拾う前にもう長く生きてるかもしれないってことで問答無用で殺されるからな。
あんまりうちが猫飼ってることは外で言うなよ」

l从・∀・ノ!リ人「わかってるのじゃー!!」

l从・へ・ノ!リ人「でも酷い話なのじゃ!流石家の躾を受けた猫がそんな悪さなんかするわけないのじゃ!!」

(´<_` )「ははは、そうだな」

(´<_` )「じゃ、食い終わったらすぐ寺子屋行けよ、遅刻するぞ」

l从・∀・;ノ!リ人「あ!!」

574 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:04:26 ID:ldzJ7e1g0
寺子屋にて。

( ^Д^) 「皆さんおはようございます」

(*゚ー゚) l从・∀・ノ!リ人*(‘‘)*「「「おはようございます!!」」」

 ( ^Д^) 「早速、教科書を読みましょう、流石さん」


l从・∀・ノ!リ人「はーい!!」

575 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:05:05 ID:qi5H0aiEO
妹者かわいい支援

576 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:05:19 ID:ldzJ7e1g0













 ( ^Д^) 「今日は以上です。あ、流石さんは残ってください」

l从・∀・ノ!リ人「?はーい!!」

(*゚ー゚) 「……」

577 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:06:15 ID:ldzJ7e1g0





l从・∀・ノ!リ人「先生まだかなー?」

(*゚ー゚) 「妹者ちゃん?」

l从・∀・ノ!リ人「あれ?しぃちゃんどうしたのじゃ?今日は居残りだから一緒に帰れないのじゃよ?」

(*゚ー゚) 「……タカラ先生には気をつけてね」

l从・∀・ノ!リ人「へ?」

(*゚ー゚) 「じゃあね」

l从・∀・ノ!リ人「???」

 ( ^Д^) 「さあ、妹者ちゃん行こうか」

l从・∀・ノ!リ人「あ、はい!なのじゃ!!」

578 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:07:12 ID:ldzJ7e1g0







l从・∀・ノ!リ人「先生、いいのじゃ?妹者だけ特別にあんみつなんか奢っちゃって」

 ( ^Д^) 「いいんだよ、別に…それより妹者ちゃん、先生の家に来ないかい?」

l从・∀・ノ!リ人「あ、ごめんなさいなのじゃ。弟者に知らない人の家に行かないって言われてるのじゃ」

 ( ^Д^) 「先生は知らない人かい?」

l从・∀・ノ!リ人「…あ!知ってる人なのじゃ!」

 ( ^Д^) 「じゃ、行くよ?」

579 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:08:21 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「お邪魔しまーすなのじゃ…」

 ( ^Д^) 「じゃ、お茶淹れてくるね」

l从・∀・ノ!リ人o0(お布団とタンスと襖だけなのじゃ…)

l从・∀・ノ!リ人o0(今朝見たイカと同じ匂いがするのじゃ…)

l从・∀・ノ!リ人「…座布団無いからお布団に座らせてもらうのじゃ」

ぽふん

l从・∀・ノ!リ人「?布団の下が固いのじゃ?」

l从・∀・ノ!リ人「布団の下に何かあるのじゃ!」

l从・∀・ノ!リ人「…本?」

ペラリ

l从・∀・;ノ!リ人「!?」

さっ

l从・∀・;ノ!リ人o0(とりあえず元に戻して…)

l从>へ<;ノ!リ人o0(早く帰るのじゃ!!)タッ

ドン

580 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:09:12 ID:ldzJ7e1g0
 (;^Д^) 「あれ、妹者ちゃん?!」

l从・へ・;ノ!リ人「ごめんなさいなのじゃ!!やっぱり早く帰らなきゃなのじゃ!!」

 ( ^Д^) 「……」





チッ

581 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:10:02 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・;ノ!リ人「ハァ、ハァ、ハァ…」

l从>へ<;ノ!リ人「ただいまなのじゃ!!」

(´<_`;)「お、おかえり…どうしたんだよ…そんなに急いで…」

( ´_ゝ`)モグモグ

妹者が家に帰ると弟者が洗濯、兄者が遅い朝食を食べていた。

l从・∀・;ノ!リ人「な、なんでもないのじゃ!!」

l从・∀・;ノ!リ人「ちょ、ちょっと走ったら疲れたから夕ご飯まで寝てるのじゃ…夕ご飯に起こして欲しいのじゃ…」

(´<_` )「わかった。お勉強疲れたのか?ゆっくり休めよ。布団敷くか?」

l从・∀・;ノ!リ人「そ、それくらい自分でできるのじゃー!!じゃ、おやすみなさいなのじゃ!!」

妹者が寝室の障子を閉め、布団を敷く。

l从-∀-;ノ!リ人「…はぁ」

そして眠りについた。

582 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:10:14 ID:AdtwW4/A0
タカラてめぇってやつは

583 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:11:05 ID:ldzJ7e1g0









夜。

l从・∀・ノ!リ人o0(……昼間寝ちゃったから眠れないのじゃ)

l从-∀-;ノ!リ人o0(しかも…暑くて寝苦しいのじゃ…)

l从・∀・ノ!リ人チラリ(-<_- )zzz

妹者は弟者が寝ているのを確認するとこっそり部屋を出た。

584 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:11:59 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「…やっぱりここは涼しいのじゃ」

妹者は書庫に来た。

( -_ゝ-)zzz

l从・∀・ノ!リ人=3「……もー、しょーがないのじゃ!」

妹者は朝の様に兄者に着物をかける。


l从・∀・ノ!リ人「…眠っている兄者になら…話してもいいはずなのじゃ…」

l从・∀・ノ!リ人「あのね、兄者。今日タカラ先生の家に行ったのじゃ」

l从・∀・ノ!リ人「行ったら…先生の布団の下に本があったから開いてみたら…」

l从 ∀ ノ!リ人「…小さな女の子の裸の…浮世絵があって…」

l从;∀;ノ!リ人「そ、それが…グスッ…しぃちゃんに似てて……グスッ」

( -_ゝ-)zzz

l从;へ;ノ!リ人「ヒック…ヒック…」

暫く妹者は人の居ない書庫で静かに泣いた。

585 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:13:12 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・。ノ!リ人「…泣いたら…少し楽になったのじゃ……グスッ」

l从-∀-ノ!リ人「…疲れた…のじゃ…」

l从-∀-ノ!リ人「……スー…スー…」

妹者が泣き疲れて書庫で寝てしまった。


( -_ゝ-)

( ´_ゝ`)パチッ

( ´_ゝ`)「フーン、なるほど。タカラ先生、ねぇ」

( ´_ゝ`)「よいしょ」

兄者は妹者を抱きかかえ、書庫の梯子に向かう。

586 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:14:13 ID:ldzJ7e1g0






l从-∀-ノ!リ人zzz

「妹者、起きなさい」

l从う∀・ノ!リ人「ん…んーん?」

l从・∀・ノ!リ人o0(あれ…妹者…いつ布団に戻ったっけ…?)

(´<_` )「仕事休みとれたから妹者も寺子屋休むぞ」

l从・∀・ノ!リ人「え、ど、どうして休みなんかとったんじゃ?」

(´<_` )「…姉者に会いたいんだろ?」

l从・∀・*ノ!リ人「!!うん!!」

(´<_` )「さ、お返事のお手紙持って行くぞ」

l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!!」

587 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:15:16 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「あれ、兄者はー?」

(´<_` )「寝てるからいいよ、どうせ顔見たらすぐ帰るし。ご飯置いとけば大丈夫」

l从・∀・ノ!リ人「じゃ、兄者が起きてる時にまた行くのじゃ!」

(´<_` )「ああ、そうだな」

l从・∀・ノ!リ人「兄者ー、お家ー、いってきますなのじゃー!」

(´<_` )「いってきます」

二人が家と兄者に出発の挨拶をする。

588 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:16:11 ID:ldzJ7e1g0








 ( ^Д^) 「…行ったか」


その様子を一人の男が影で見ていたのを知らずに。

589 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:17:21 ID:ldzJ7e1g0
 ( ^Д^) 「こんな村外れに住んでて良かったよ、あの子が。一々夜に身を潜めて忍び込むの辛いんだよなぁ」

タカラが鍵をこじ開ける。

 ( ^Д^) 「開いた、開いた」

膨らんだ風呂敷を慎重に持ち、忍び込む。

 ( ^Д^) 「よし、入口に早速ばら撒くか」

風呂敷の中には鼠の死骸で溢れていた。

タカラはそれを入口に撒く。

 ( ^Д^) 「よし」

そしてタカラは台所を物色する。

 ( *^Д^) 「お!ウナギみっけ!!イカもあるぜ…なんだ?!この魚!!めっちゃ高級そう…台所にあるくらいだから食えるよな…貰おう」

タカラは先程とは別の風呂敷を広げ、海の幸を包む。

すると、


シャン

 (;^Д^) 「!?す、鈴の音?!誰かいるのか?」

( ´_ゝ`)「はい、おりますが」

 (;^Д^) そ「うわあああ?!」

( ´_ゝ`)「うっさ…」

590 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:18:19 ID:ldzJ7e1g0
 (;^Д^) 「あ、失礼しました…妹者ちゃんの保護者様でしたか…」

 (;^Д^) o0(しかし…足音が一切しなかった…いつの間に…)

( ´_ゝ`)「…逆かな」

 ( ^Д^) 「しかし…先程出かけたのでは?」

( ´_ゝ`)「よく知ってんな」

 (;^Д^) ドキッ

( ´_ゝ`)「俺は留守番だから」

 ( ^Д^) 「はぁ…そうですか…滅多に妹者ちゃんが休むことなんて無いので驚きました」

( ´_ゝ`)「タカラせーんせ、今日はお仕事は?」

  ( ^Д^) 「あ、うちの寺子屋はうちの寺の僧が交代で先生やってるんで今日はボク、休みで…」

 ( ^Д^)


 ( ^Д^) 「なんで俺がタカラってわかった?」

兄者がにいっと笑う。

( ´,_ゝ`)

591 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:19:18 ID:ldzJ7e1g0
( ´,_ゝ`)「昨日、慌てて帰ってきた妹者の汗の匂いに混じってあんたのイカくさい匂いがしたんでね」

 ( *^Д^) 「い、妹者ちゃんの汗の匂い…」

 ( ´_ゝ`)シラー  (^Д^;) ハッ  

 ( #^Д^) 「ち、あの娘話しやがったな…折角俺が見染めてやったのに!!」

( ´_ゝ`)「ま、いらないお世話ってことだな」

 ( #^Д^) 「クソ!!見られたからには殺…」

「え?なんだって?!」

 (;^Д^) 「?!」

目の前にいた男が、消えた。

タカラはそう感じた。

しかし兄者にしてみれば普通に動いたつもりだったらしい。

( ´_ゝ`)もぐもぐ

 (;^Д^) 「は?!お前何食ってんだよ」

( ´_ゝ`)「え、何ってお前の置き土産だけど…」

 (;^Д^) 「…なんだよ…お前…なんだよ…お前…」

タカラは腰を抜かす。

592 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:20:45 ID:ldzJ7e1g0
ゴクリと最後の一口を飲み込んだ兄者はタカラを見て言う。

( ´_ゝ`)「お前は俺が許すには罪を犯しすぎたな」

兄者はタカラに拳を突き出す。

( ´_ゝ`)「ひとつ、俺の臨界距離内にふみこんだ」

人差し指を伸ばす。

( ´_ゝ`)「ふたつ、俺の飯候補を盗むつもりだった」

中指を伸ばす。

( ´_ゝ`)「みっつ、我が家の可愛い姫君、妹者を傷つけた」

薬指を伸ばす。

( ´_ゝ`)「よっつ、俺の少ない友達が死んだ原因である」

小指を伸ばす。

( ´_ゝ`)「いつつ、ウチに悪戯したな。お前」

親指を伸ばした。

( ´_ゝ`)「残念だったな。ウチにイタズラする権利は俺にしかないんだ」

  ( ,,^Д^;) 「だ、だからなんなんだよ?!」

タカラは開き直ったように兄者の顔に近づき大声で言う。

( ´_ゝ`)「こんなんで人騙そうってのがまず可笑しいよな…ま、騙されるのもどうかとも思うけどさ……人助けるべき僧が、魚まで食ってよ」

兄者は伸ばした手でタカラの頭の猫耳を取る。

和紙を固めた様なちゃちなものだった。

593 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:22:12 ID:ldzJ7e1g0
 ( #^Д^) 「うるせぇ!お前だって似たような格好じゃねぇか!!この野郎!!目ん玉緑ってこたぁ野蛮人じゃねぇか!!
国に帰れ!!オンボロ服着てだっせーの!!」

( ´_ゝ`)「むっつ」

兄者は人差し指でタカラの頬を引っ掻く。


  ( ,^Д^;) 「?!!っつ!!」

( ´_ゝ`)「主人とウチの姫君が好きだと言った俺の目をバカにした」

( ´_ゝ`)「ななつ、」

そのまま中指でまた頬を引っ掻く。

( ´_ゝ`)「俺の嫌いな場所に行く様に勧めた」


 ( ,,;Д;) 「ひいっ!!」


( ´_ゝ`)「やっつ、」

ついでに腰についた猫の尾を取る。

( ´_ゝ`)「主人のくれた着物をボロだとバカにした」

こちらも針金に麻を巻きつけた様なボロだった。

タカラは這って逃げようとする。

594 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:23:10 ID:ldzJ7e1g0
 ( ,,;Д;) 「た、だれか…」

しかし兄者はタカラの頭をぐいと床に押さえつける。

( ´_ゝ`)「酷いよな。こんな高級そうな僧衣ただでもらっといて悪いことするわ俺の服バカにするわ」

兄者はタカラの僧衣をペラペラと弄りながら言う。

( ´_ゝ`)「覚悟は出来てるかな?」

 ( ,,;Д;) 「!!」

595 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:26:13 ID:ldzJ7e1g0
翌日の掲示板。

主な記事は昨日の騒動。

それは、犯人の傷ついた似顔絵と共にあった。

『化け猫の正体見ればバカ坊主』

『昨日、被害者の流石弟者氏、妹者ちゃんが帰宅すると僧のタカラが流石兄者君に引っ掻かれているのを発見した』

『床に散らばる鼠の死骸とタカラ氏の風呂敷に流石氏の魚が入っていること、
こじ開けられた鍵と落ちている猫耳を思わせる和紙や猫の尾を連想させる麻の巻かれた針金から
昨今の「化け猫騒動」の真犯人と気づき弟者氏が取り押さえ、妹者ちゃんの同心への通報により事件が発覚した』

『タカラ氏は「化け物」と連呼し、精神に異常を来たしてると判断され遠方の山の頂上にある寺で療養することとなった』

隅にあるのは、兄者のお手柄。

それは掲示板の脇に怠そうな兄者と笑顔の妹者、弟者の絵と共にあった。

『お手柄、流石兄者君。連日の「化け猫騒動」の真犯人を見事成敗!』

『横の記事にもあるように犯人に見事一矢報いた流石兄者君。
同居人の流石弟者氏によると「いつも寝てばっかりいるので驚きました。でも、やる時はやるって信じてましたよ?」と笑顔で答えてくれた。
同じく同居人の流石妹者ちゃんは「流石兄者!我が流石家の立派な自宅警備員なのじゃ!!」とのことで取材陣は失笑した』

そして最後に総評として一記事。

『今回の「化け猫騒動」により大変な数の無実の猫が殺された。
この惨劇を決して風化させない為にも、タカラ氏の悪行を忘れぬ為にも、
犯人確保とこの惨劇の繰り返しを止めてくれた流石家の感謝の為に関係者の名前をここに記す』

…そしてこの記事の後には殺された猫と飼い主一家、タカラ氏や流石家の似顔絵と名前が記されていた。

そして彼らの顔と名前はこの事件を風化させぬ為に現在もどこかの掲示板の隅に残っているとかどうとか。

596 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:27:17 ID:ldzJ7e1g0







(´<_` )「おーい、妹者。起きてたら兄者呼んでくれ。夕飯だ」

l从・∀・ノ!リ人「寝てたら?」

(´<_` )「あー、寝てたらそのままにしとけ。あいつ人に起こされるの嫌いだし、昨日も表彰式やら村の名誉賞の受賞だので疲れてるだろうしな」

l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!!」

597 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:28:39 ID:ldzJ7e1g0
妹者は梯子を降りて古書室を見る。

見れば珍しく兄者が起きているだけでなく、いつもの着物を体にかけていた。

妹者は体にかかった着物を見て少し前を思い出す。

自分の古くなった着物を捨てようとした弟者から無理矢理奪い取って新しいのを買ってやるという声も聞かずに自分の物にした兄者を。

( ´_ゝ`)ペラペラ

よく見れば本をパラパラと捲っている、と妹者は気づいた。

l从・∀・ノ!リ人「…クスクス」

妹者は、寺子屋にも行ったことがない兄者に本なんて読めるはずないのに、と笑った。

598 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:29:57 ID:ldzJ7e1g0
すると兄者が妹者の方を見た。

l从・∀・ノ!リ人「あーにじゃ、ご飯なーのじゃ!」





( ´_ゝ`)「ニャー」

兄者は梯子を駆け上った。

兄者は梯子の下から「呼んであげたのに先に行くとは無礼なのじゃ!!」と妹者が言っているのを聞いてにぃっと笑った。


バケネコアーカイブのようです

おわり

599 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:31:05 ID:ldzJ7e1g0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

600 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:31:16 ID:NHi49Axs0
化け猫だからかぁ

601 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:32:59 ID:AdtwW4/A0
おつ
本パラパラめくる猫考えたらめっちゃ可愛いぞおい

602 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:33:27 ID:7Pu794tE0

騙されたわ

603 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:36:07 ID:CnZNpl2EO
お疲れさまでした

23本目
「ヤマノケ」
  .,、
 (i,)
  |_|

604 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:38:11 ID:CnZNpl2EO
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230921.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230028.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230111.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230208.jpg

http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230298.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230399.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230496.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230590.jpg

605 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:38:54 ID:CnZNpl2EO
  (
   )
  i  フッ
  |_|

606 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:40:43 ID:AdtwW4/A0
いつものお前で安心したよ
おつ

607 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:40:58 ID:byT4/RW20
おつ!


24本目
「こっちを見ているようです」
  .,、
 (i,)
  |_|

608 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:41:38 ID:byT4/RW20
川д川 (今日は初めて人間界に行く日……)

川*д川(……頑張るぞー)




こっちを見ているようです




.

609 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:42:24 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )「ただいまー」

( ゚д゚ )「誰もいないけど」

( ゚д゚ )「飯食って風呂入ってさっさとn」

(;゚д゚)「…………借りたDVDの期限が明日までだった気がする」

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「……風呂入ったら見るか」

610 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:42:45 ID:KqyVfKiY0

猫で和んでたら不覚にもTUNさんで笑っちまったちくしょう…!

611 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:43:19 ID:byT4/RW20
川д川(まずはどのお家に……)

川д川(あっ)

川д川(あの家から微かにホラー臭がする)

川д川(……でーぶいでー?)

川д川(ビデオじゃないけど入れるかな……) スルッ

川*д川(いけた)

川д川(あとは再生されるのを待つだけ……)

612 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:44:10 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )+「さっぱり」

( ゚д゚ )「さて、DVD見るか」 ガサガサ

(*゚д゚ )「夏はやっぱりホラー……」

( ゚д゚ )「ということで、定番のリング!」

( ゚д゚ )「雰囲気作りに電気も消して」

(*゚д゚ )「再生……」

613 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:45:04 ID:byT4/RW20
川д川(あっ、再生された!)

川*д川(しかもリング!)

川*д川(よーし、はりきっちゃうぞー)

川д川「もしもし、映画の中の貞子さん」

川 ゚ -゚)「む、その声は本物の貞子さん?」

川д川「そうですそうです。ちょっとお願いがあるんですが……」

川 ゚ -゚)「なんでしょう。私にできることならなんなりと」

川д川「今日だけ、貞子役を譲ってくれませんか? テレビの前のあの人を驚かせたいのです」

川 ゚ -゚)「どうぞご自由に。最近たくさん再生されるので、私も少し休憩したいのです」

川*д川「ありがとうございます。お体にお気をつけくださいね」

川 ゚ -゚)「はい。では、頑張ってください」

614 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:46:05 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )「なんか……絶世の黒髪美女と貞子……? が仲良くお喋りしてんだけど」

( ゚д゚ )「だが背景がものすごく井戸」

( ゚д゚ )「あっ、美女が井戸に入ってった」

( ゚д゚ )「…………」

( ゚д゚ )「怖い方がこっち来る」

( ゚д゚ )「画面から出るっぽいんですけど」

( ゚д゚ )「…………」

( ゚д゚ )「上半身出た」

615 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:46:23 ID:ldzJ7e1g0
本家貞子に役譲るDVD貞子クールまじクール

616 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:47:02 ID:byT4/RW20
川*д川(あっ、あの人ポカンとしてる)

川*д川(上半身出たし、あの言葉、言ってみようかな)

川д川

川д川 ノロマース

川*д川(きゃー、言っちゃった!)


川д川

川д川 ノロマース

川*д川(うふふー)

617 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:47:26 ID:ldzJ7e1g0
貞子かわえええ

618 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:47:49 ID:KqyVfKiY0
こんな貞子ならリング見るわ

619 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:48:03 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )(……なんか言ってる?)

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )(あっ、「呪います」か)

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )(そして冷静な俺)

620 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:49:02 ID:byT4/RW20
川*д川(うふふ、怖くて固まっちゃってる)

川д川(もう1回だけ……)

川д川 ノロマース

川д川(…………)

川;д川(あれっ?)

川д川(そろそろ叫ぶか逃げるかのどっちかしても、おかしくないと思うんだけど……)

川;д川(ここまで動かないって、逆に怖くない? 生きてるよね?)

川;д川(ていうか、固まってるっていうよりすごいこっち見てる?)

川;д川

621 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:50:04 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )(「呪います」って言ったきり、喋りもしないし動きもしない)

( ゚д゚ )(壊れた……?)

( ゚д゚ )(まあボロいとこで借りたし、そうかもな)

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )(やっぱもう少しだけ見てよう)

622 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:51:11 ID:byT4/RW20
川д川

川д川(……よく見たら、目がギョロギョロしてるなぁ)

川д川(ちょっと……いや、結構プレッシャーになるわこれ)

川д川

川д川(じゃあ「先に目を逸らした方が負けゲーム」やってよ)

川д川 ジーッ

川д川 ジーッ

川д川 ジーッ

川д川(引いてくれない)

川д川(あと5分待つ)

623 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:52:34 ID:byT4/RW20
〜5分後〜

( ゚д゚ )(どうしよう、貞子? がこっちを見始めてから結構時間経ってるよな)

( ゚д゚ )(俺、現在進行形で呪い殺されてるのかも)

( ゚д゚ )(でも目を逸らしたら負けな気がする)

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )(眠くなってきた)
 _,
( -д゚ )。o(くぁ……)

624 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:53:17 ID:byT4/RW20
川;д川(5分経っちゃったんですけどー!?)

川;д川

川;д川(あ、あと10数えたら諦める……)

川д川(いーち)

川д川(にーぃ)

川д川(さーん)

川д川(しーぃ)

川;д川そ(!?)

川;д川(あくび!? 貞子目の前にしてあくびしちゃうのこの人!?)

川д川

川д川(あっ、でも)

川*д川(向こうが先に目を逸らした)

625 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:54:19 ID:aC/XD4BE0
何なのこいつら

626 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:54:32 ID:byT4/RW20
(;゚д゚)(目ぇ逸らしちゃったー!)

(;゚д゚)(なんかすげえ悔しい! 勝負してた訳じゃないけど超悔しい!)

(;゚д゚)(心なしか優越感浸ってる気がするあいつ!)

(;゚д゚)

( ゚д゚ )

( ゚д゚ )「寝るか」

627 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:55:32 ID:byT4/RW20
川*д川「うふふ」

川 ゚ -゚)「おや貞子さん。おかえりなさい」

川д川「あっ、映画の貞子さん」

川 ゚ -゚)「どうでした?」

川д川「……えっと」

川д川「…………」

川*д川「ちょっと楽しかったです」

628 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:56:33 ID:byT4/RW20



「……まあ、詳しいお話はうちでお茶でも飲みながら」

「えっ、お邪魔していいんですか?」

「そこの井戸なんですけどねw」

「わー、私、1回井戸に入ってみたかったんです!」

「良いとは言いがたいですけど……」

「大丈夫です! あっ、そういえばお名前は――」



終わり

629 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:57:18 ID:byT4/RW20
  (
   )
  i  フッ
  |_|

630 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 01:57:55 ID:KqyVfKiY0
おつww3人とも可愛かったwww

631 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:01:24 ID:AdtwW4/A0
おつ!
ノロマースかわいいwwww

632 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:03:34 ID:NHi49Axs0
ノロマース...

633 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:04:26 ID:byT4/RW20
投下する人いないならもう一個行くけどいないよな?

634 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:05:10 ID:AdtwW4/A0
25本目!いきます!

  .,、
 (i,)
  |_|

635 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:06:02 ID:AdtwW4/A0

蝉が鳴いている。
ジーワジーワ、ミーンミーン、カナカナカナカナ。
畳の匂い。縁側で揺れる風鈴が鳴って、すぐ蝉にかき消された。

( ´_ゝ`)「……あっづい」

(´<_` )「うるさい」

横たわる俺の腹を踏みつけて、弟が言う。
ぐぇとカエルが潰されたような声をあげて俺は体を折り曲げた。

( ´_ゝ`)「なんでガチモードなんだ弟者……」

(´<_` )「うるさい黙れ苛々する」

( ´_ゝ`)「八つ当たりしてんだろてめぇ」

(´<_` )

( ´_ゝ`)「黙秘か……ここ一番風通しがいいんだからお前どっかいけ、しっしっ」

手を払う動作をして、俺はまた横たわる。
ばあちゃんの田舎に久々に来たはいいものの、暑い。
俺は寒さに強いが暑さにはめっぽう弱い。だからこそ冷房のないこの家で風通しがいい場所を探したと言うのに。

636 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:07:00 ID:AdtwW4/A0

(´<_` )「兄者が動けばいいだろ」

( ´_ゝ`)「先にいたのは俺だぞ」

(´<_` )グイグイ

( ´_ゝ`)「てめっ都合悪くなったら黙るのやめろ!
      押すな! 触んなあっついんだから!」

(´<_` )「俺だって暑い」

( ´_ゝ`)「台所が二番目に涼しいぞ」

(´<_` )「台所だと寝れないだろ」

( ´_ゝ`)「廊下もどうかと思う」

(´<_` )「自分ばかりずるいと、思わないの、か、」

( ´_ゝ`)「だから、押すなと、ここは俺が、見つけたんだから」

動かないように踏ん張っているとばあちゃんが呼ぶ声がする。
とうもろこしを茹でたらしい。ばあちゃんが作る茹でとうもろこしは甘くて、好きだ。
ゆでたては熱々だからこそ美味しい。俺はすぐ立ち上がった。

637 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:08:00 ID:AdtwW4/A0

(´<_` )

( ´_ゝ`)「ばあちゃん呼んでるぞ」

(´<_` )「ちょっと涼んでから行く。暑い」

そういって寝ころんだ弟に背を向けた。
にこやかに笑うばあちゃんからラップに包まれたとうもろこしを受け取って廊下に戻る。
仰向けになって目を閉じている弟の腹に一本落とした。

(゚<_゚ )「あっぢぃ!!」

( ´_ゝ`)「お返しー」

こみ上げる笑いを押し込んで弟を見下ろす。
Tシャツ越しでも結構熱かったようだ。それを両手で持ってきた自分を褒めてほしいものである。
恨みがましく見上げる弟の横に座ってラップを剥がす。

とうもろこしはまだ少し湯気がたっていて物凄く熱い。
黄色に、時々白が混じった粒はとても綺麗だ。ばあちゃん曰く今年のは出来がいいらしい。
何度か手の上で跳ねさせながらかぶりつく。粒がはじけて、汁が広がった。甘い。確かに当たりのようだ。

( ´_ゝ`)「あーうめぇー」

(´<_` )「よくそう食えるな……熱いだろ」

( ´_ゝ`)「ゆでたてが一番うまいに決まってんだろ」

かじりつく俺と対照的に弟はちまちまと粒をとっていく。
三つから六つほどに連なった粒を溜めて、一気に口に入れる。
なにやらコツがあるようで俺にはできない。だがどう考えてもおかしい食べ方だと思う。

( ´_ゝ`)「めんどくさくねーのそれ」

(´<_` )「食べ終わった時綺麗だろ」

やっぱりよくわからない。確かに綺麗だとは思うけれど。
誰が見ているわけでもないのだからかじりつけばいいのに、と思う。
蝉の声がする。蝉の声って暑さを増す気がするのは気のせいだろうか。

638 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:08:17 ID:byT4/RW20
あぶねえ
wktk

639 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:09:03 ID:AdtwW4/A0

( ´_ゝ`)「あ"ーあっづい」

(´<_` )「言うなまた暑くなる」

( ´_ゝ`)「弟よ、なんか暑さへの打開策をだな」

(´<_` )「んなもんない。あったら試してる」

( ´_ゝ`)「……弟者の態度が冷たいけど一向に身体は冷えないな」

(´<_` )「当たり前だ何言ってんだ暑さで頭やられたんじゃないのか」

( ´_ゝ`)「そういう弟者は暑さで不機嫌ですね」

(´<_` )「不機嫌にもなる」

眉間にしわを寄せたまま弟は粒を口に投げ込む。
涼しさ。涼しくなるもの。あーあー

( ´_ゝ`)「じゃあ怪談しよ」

(´<_` )「真昼間からか。雰囲気もない」

( ´_ゝ`)「喋ったら涼しくなるかもしれないだろ」

(´<_` )「……じゃあ怪談のネタとかあんの?」

( ´_ゝ`)「ない」

(´<_` )「なら振るなよ。俺だってないぞ」

( ´_ゝ`)「ええー」

めんどくさそうに言い切る弟に不満の声をあげると、可哀想なものを見る目をされた。
下手な罵倒より心に刺さるそれに俺は言葉を押し込めてとうもろこしをかじる。
甘さがすこし和らいだ。舌が慣れたのかもしれない。

640 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:09:57 ID:AdtwW4/A0

( ´_ゝ`)「なんかないのかなんか」

(´<_` )「しつこいな……あぁ、最近見る夢ならあるぞ」

( ´_ゝ`)「おっ、怖い夢か?」

(´<_` )「怖いと言えば怖いかもな」

( ´_ゝ`)「よし話したまえ」

(´<_` )「なんで上から目線なんだ……まぁいいか」

弟が姿勢を正したのにつられて俺も姿勢を正す。
真剣な弟の目に少し雰囲気がでてきたのを感じて頬が上がる。

641 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:10:58 ID:AdtwW4/A0

(´<_` )「夢の中でな、俺と兄者が立ってるんだ」

( ´_ゝ`)「ふんふん」

(´<_` )「それでな、周りには人が横たわってるんだ。
      たくさんな、クラスの奴がいれば知らない奴もいる。
      全員血まみれで確実に死んでるんだ」

( ´_ゝ`)「お、おおう」

(´<_` )「それで兄者が手を真っ赤に染めて泣いてるんだ。
      で、俺はそれを見てる。俺の手の平も真っ赤なんだ。
      兄者は泣きながら笑ってて、俺の方を見て駆け寄ってくる。
      俺の首めがけて全速力だ」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_` )「なんだかんだともみ合って、最後は俺が兄者の首を絞めて目が覚める」

(;´_ゝ`)「……えぇ俺お前に殺されてんの?」

(´<_` )「殺したくないけど兄者が殺そうとして来るんだから仕方ないだろ。
      現実でやったわけじゃないし」

(;´_ゝ`)「現実だったらお前殺人罪だよ」

642 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:11:44 ID:AdtwW4/A0

(´<_` )「でも殺されそうになる俺の気持ち考えろよ。
      起きる度に冷や汗でシャツぐっちょりだぞ」

( ´_ゝ`)「夢とはいえすまんかった。
      ……でもちょっと鳥肌たったわ」

(´<_` )「怪談的には成功ってことか」

( ´_ゝ`)「実は作り話とかいわない?」

(´<_` )「真相は夢の中だな」

薄く笑う弟に、本当なのだと察する。
本当に弟は夢の中で俺を殺しているのだ。
そう思うとさらに肝が冷えた。殺されたことではない。


俺が同じ夢を見ていることだ。


俺の夢は弟とは違う。
始まりは、同じ。俺と弟が立っている。
周りにはたくさんの人がいる。死んでなんかいない、生きた人が周りを歩いたり走ったり、何かしらの動作をしている。

そして弟が動く。手にナイフを持って、手当たり次第に人を殺し始める。
俺はそれを必死に止める。止める過程で俺の手も血まみれになって、それでも弟は止まらなくて。
最後は泣く俺と、呆然とした弟が残される。

そして俺は殺人者となった弟を生かしてはおけないと、掴みかかる。
自分で思うが確実に平常心はない。俺は笑っているのかも泣いているのかもわからない。
そして弟の言う通り、首を絞めて殺される。その時の弟の顔はわかる。

酷く歪んだ笑みを浮かべた、片割れに殺される。

643 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:12:38 ID:AdtwW4/A0

( ´_ゝ`)「……弟者さ」

(´<_` )「なんだ」

( ´_ゝ`)「実は殺人衝動もってるとかある?」

(´<_` )「……何言ってんだ、兄者」

その顔が呆れた様子だったら。
馬鹿にするような、そんなものであったのならよかったのに。
何故お前はそんな警戒した顔で俺を見たんだ。
何故今無理に柔和な顔を作ったんだ。俺がわからないとでも、思っているのか。

( ´_ゝ`)「馬鹿なこと聞いた。忘れてくれ」

(´<_` )「……仮に、俺がもしそういう衝動があるとしたら、どうする?」

俺が打ち切ろうとしたのに、弟が無理矢理繋いだ。
ここで無理にはぐらかすのはよくない。勘が働いて、俺は真剣に言葉を返す。

( ´_ゝ`)「……止める」

(´<_` )「夢みたく、俺は兄者を殺すかもしれないぞ」

( ´_ゝ`)「それでも止めるさ。俺は兄貴だからな」

(´<_` )「……ま、そんなわけないんだけどな。俺は人殺しなんかしないよ」

粒をかじって、弟が笑う。
憑きものがおちたような顔に、本当に弟にそんなものはなかったのだと思わされる。
そうであったらいいのに、信じるには不信感が高まりすぎていた。

( ´_ゝ`)「……あ、もろこしなくなった。もう一本もらってくるわ」

(´<_` )「俺にもくれ」

( ´_ゝ`)「おー」

俺はなんとなく気まずい雰囲気から逃げ出した。
少しだけ離れれば信じられるようになる。世界に一人の片割れなのだ。
自分の夢と、弟の言葉。どちらを信じるかは決まりきっている。

( ´_ゝ`)「……信じてるからな、弟者」

決意を口にして、猜疑心を押し込んだ。

644 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:13:28 ID:AdtwW4/A0

(´<_` )「……」

兄は憶測から物を述べる人間でない事くらいわかっていた。
だからこそ、なにかしらの根拠をもって自身に問うたのだとわかっていた。
そしてそれが的を射ていると、兄に気付かれたかはわからなかった。
表情を繕う前に兄はこちらを見ていただろうか。気付く余裕がないほど、俺は動揺した。

何故俺の中の衝動に気付いたのだろう?
双子だからといって心の中までわかるわけではない。
自分は兄の心はわからない。ある程度察することはできても確証は得られない。
俺は衝動を外にだしたことはない。小動物を痛めつけてもいない。ずっと押しこめているのに。
何故、気付かれたのだろう。答えは出てきそうになかった。

今わかっているのは兄が何故か俺の衝動に気付いたということだ。
そして俺が何かで衝動を出したとしたら、兄が真っ先に止めに来るということ。
つまり、自分の衝動に立ちはだかる壁であるということ。

自分だって兄を殺したくなんかない。
嘘ではない。片割れを殺したいなどと思う人間がどこにいるのだろうか。
だけどもし、もしも俺が衝動を抑えきれなくなったその時は、

(´<_` )「……最初は、兄者だなぁ」

俺の声は蝉にかき消された。

( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )

645 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:14:19 ID:AdtwW4/A0

  (
   )
  i  フッ
  |_|

総合でもらったお題

・畳
・蝉の声
・田舎

珍しくまともなお題が揃ったにも関わらずホラーと呼んでいいのかわからない
夢も人知を超えたものであるということで、ひとつ
そして>>633ほんとごめん。
気付かなかった。本当ごめん。wktk体制にうつる

646 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:16:24 ID:NHi49Axs0
乙ー

647 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:16:52 ID:byT4/RW20
いやいや俺こそすまん
じゃあ投下する


26本目
「ひとりかくれんぼのようです」
  .,、
 (i,)
  |_|

648 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:17:40 ID:NHi49Axs0
お、ひとりかくれんぼ

649 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:17:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「ひとりかくれんぼやろうぜ」

( ゚∀゚)「……は?」

从 ゚∀从「?」

(;゚∀゚)「あのなぁ、お前ひとりかくれんぼのルール知ってんの?」

从 ゚∀从「知らん」

( ゚∀゚)「……」

从 ゚∀从「あれだろ? どうせ一人でかくれんぼするんだろ?」

( ゚∀゚)「そうと分かってなぜ俺を誘う」

从 ゚∀从「お前一人でかくれんぼできると思ってんのか」

( ゚∀゚)「ごめん聞いた俺が馬鹿だった」

650 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:18:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「産業で説明しろ」

( ゚∀゚)「深夜に
     一人でかくれんぼ
     超怖い」

从 ゚∀从「分かった。ジョルジュ、今夜やr(;゚∀゚)「やだよ!」
 _,
从 ゚∀从

(;゚∀゚)「ちゃんと聞いてた? ひとりでやるの。あと怖い」

从 ゚∀从「あたしルール知らねーもん。だから一緒にやろうぜ」

(;゚∀゚)「……」

从 ゚∀从「だいじょーぶだって。あたしら双子だから、一人も二人も変わんねーよ」

(;゚∀゚) (そういう問題じゃないんだけどなぁ……)

651 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:19:37 ID:byT4/RW20
深夜1時半

( ゚∀゚)「結局参加することになりました」

从 ゚∀从「わーい」

从 ゚∀从「……で、何すんの?」

( ゚∀゚)「ぬいぐるみ使うから探してこい」

从 ゚∀从「おk待ってろ」

( ゚∀゚) ポツーン

( ゚∀゚)「待って怖いから待って」

652 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:20:35 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「ていうかさ」

从 ゚∀从「あたしぬいぐるみで遊んだ記憶がない」

( ゚∀゚)「奇遇だな、俺もだ。お前とヴィプレンジャーの巨大ロボで遊んだ記憶しかない」

从 ゚∀从「じゃあそれでいいじゃん」

( ゚∀゚)「いいのか」

从 ゚∀从「呪われないならいいよ」

( ゚∀゚)

( ゚∀゚)「やだ怖いやめて」

653 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:21:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「風呂場に連れてきた」
 つ□ ←巨大ロボ

( ゚∀゚)「本来なら、綿の代わりに爪と米詰めて赤い糸で縫うけど、こいつはぬいぐるみじゃないからそこは飛ばす」

( ゚∀゚)「次何だっけ。隠れ場所か」

从 ゚∀从「押入れで。塩水置いといたぜ」

( ゚∀゚)「やり方知ってんじゃん」

从 ゚∀从「さっきググった」

从 ゚∀从「はい次ー」

( ゚∀゚)σ「そいつに名前をつける」

从 ゚∀从「……」

从 ゚∀从「エリザベート」

( ゚∀゚)「つっこまないぞ」

654 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:22:37 ID:byT4/RW20
数分後

( ゚∀゚)「なんやかんやで押入れです」

从 ゚∀从「テレビは砂嵐になってる?」

( ゚∀゚)「なにそれ都市伝説?」

从 ゚∀从「じゃあ消音?」

( ゚∀゚)「音量1にしてる」

从 ゚∀从「音消してこい」

( ゚∀゚)「怖い」

从 ゚∀从「じゃあ、しばらく隠れてる?」

(;゚∀゚)「ちょwwwwwww無理wwww怖いwwwwwwエリザベート来ちゃうwwwww」

从 ゚∀从「えー、面白そうだから別nガタガタガタ!!

从 ゚∀从「…………は?」

655 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:23:44 ID:byT4/RW20
( ;∀;)「ぎゃあああ!!」ガタガタ! ガタッ!

カサカサカサ…

从;゚∀从「何だこの音……。ジョルジュ! 大丈夫か!?」

( ;∀;)「コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ」

从;゚∀从「お前が怖……ひぃぃいいい、いつの間にかゴキが足元にいるうぅぅぅ!!」ドスンバタンズルゴヅッ

从 ;∀从「頭ぶつけた! ジョルジュー! 助けてこっち来るいやああああ!!」

( ;∀;)「ハイン助けて怖い怖いやめたい出たい」ブチッ

( ;∀;)「……?」

从 ;∀从「ジョルジュがゴキ踏んだ……グスッ」

656 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:24:21 ID:KqyVfKiY0
oh....

657 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:24:34 ID:byT4/RW20
一方その頃風呂場では

エリザベート(隠れに行ったと思ったら、何かどたばたやってるなぁ……)

エリザベート(まだ何もしてないんだけど……)

ギャアアア
ゴキクル! コワイ!

エリザベート(あぁ、ゴキちゃんね。おもちゃ箱で何度か遭遇したわ)

シーン…

エリザベート(……?)

…ヒィィイイイタマゴォォォオオ!!
ギャーッ!

エリザベート(うわぁ……)

658 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:25:11 ID:NHi49Axs0
エリザベート

659 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:25:22 ID:byT4/RW20
ドタドタ…ガラッ

从;゚〜从
( ;〜;)

エリザベート(来るのはやっ)

从;゚〜从つ∩゛ ダバー

从;゚3从 プッ

( ;∀;) ペッ

从;゚∀从「あたしの勝ちあたしの勝ちあたしの勝ち!」

从 ゚∀从「はい終わり! ジョルジュ泣き顔キモい!」

( う∀と)゛ゴシゴシ

( ゚∀゚) ペカー

660 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:25:42 ID:aC/XD4BE0
うわぁ…

661 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:26:37 ID:byT4/RW20
( ゚∀゚)「……終わったの?」

从 ゚∀从「ジョルジュがゴキ踏んで卵出てきて終わった」

(;つ∀゚)「やめてそういうのマジで無理だからねぇゴキ汁ついてないよね? ね?」

从 ゚∀从「あとはエリザベート捨てたら、ゴミ処理場で燃やしてくれるな」

( ゚∀゚)「無視かよ……」

从 -∀从「あー、疲れた。とっとと寝よ。おやすみー」

( ゚∀゚)「……おやすみー」

( -∀-) (俺も寝よ……)

662 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:27:24 ID:LSP19ieE0
エリザベート

663 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:27:36 ID:byT4/RW20
数分後


( ;∀;)「ハインー! 助けてゴキ出たあああああ!!」




終わり

664 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:28:10 ID:NHi49Axs0

時としてゴキブリの方が恐い

665 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:28:18 ID:byT4/RW20
  (
   )
  i  フッ
  |_|

666 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:29:00 ID:KqyVfKiY0
エリザベート放置wwwかわいそすwwwwおつwww

667 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:30:12 ID:AdtwW4/A0
おつ
ほんとにゴキはあかん…虫系はダメだ怖すぎる

668 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:30:22 ID:byT4/RW20
これ書いてる時ゴキ出てビビったのはいい思い出

じゃあ明日早いから寝る
おまいら頑張れよ

669 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:32:27 ID:qi5H0aiEO
ちょっと目を離した隙に随分投下来てて嬉しい
みんな乙乙

670 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:38:26 ID:PQkSo0LE0
27本目です

  .,、
 (i,)
  |_|


【ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです】

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1097.png

671 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:39:40 ID:PQkSo0LE0
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1098.png

〜おわり〜



[登場人物紹介]

ζ(゚ー゚*ζ
巫女のデレちゃんはとっても健気で元気な妖怪バスターだよ!
だが死んだ

('A`)
トラブルメイカーなドライバーさんだ!
コイツは社会的に死んだ



  (
   )
  i  フッ
  |_|

672 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:42:13 ID:duOyUdY.0
夜中にここぞとばかりに投下しやがって
皆まとめて乙 どれもこれも怖いわ

673 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 02:52:25 ID:jy5h0JIw0
どの話も面白いな。深夜までみんな乙

674 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 03:08:09 ID:qi5H0aiEO
触手と戦うデレちゃん早kうわあああああ死んだあああああああああああああああ

675 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 05:31:03 ID:4d/uZCxsO
妖怪関係なく死におった……

676 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 06:10:59 ID:LjS8jxjY0
>>670-671
おい久しぶりじゃねーかイリュミナシオン
相変わらずのひどさで安心すら覚えたわ

677 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 19:01:17 ID:LjbnN/ZM0
次の週末までここも静かかな

678 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 20:56:48 ID:OCTPQRjA0
感想とか、ここにどさっと書くと迷惑だろうか?

679 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 21:01:46 ID:ldzJ7e1g0
迷惑なことあろうか、いや、無い(反語)
投下期間以外は感想もいいって書いてあるし

680 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 21:13:48 ID:OCTPQRjA0
ほほー、把握した

681 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 21:19:12 ID:LjbnN/ZM0
自分が書いた奴の感想が書かれないかワクテカしながら待ってる

682 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 23:25:38 ID:OiXbMey2O
支援!!

(´・ω・`)滴るようです
http://imepic.jp/20130812/841660

683 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 23:30:40 ID:LjbnN/ZM0
きゃああああああああ!!!!

684 名前:名も無きAAのようです :2013/08/12(月) 23:42:04 ID:Ta4.wKW20
怖い

685 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 00:34:14 ID:qOFlefvoO
こっそり投下…

27本目

  .,、
 (i,)
  |_|
彼女はゴスロリで徐霊師で…

http://imepic.jp/20130813/009390

http://imepic.jp/20130813/012600

http://imepic.jp/20130813/012870

('A`)は静かに去るようです(´・ω・`)
  (
   )
  i  フッ
  |_|

686 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 00:51:41 ID:qur6WJCU0
今日ってだめじゃね?


去年の感想とかって、ここにあげない方がいい?
祭り始まる前にあげようとか思ってたらもう始まってしまったでござる

687 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 00:58:13 ID:qOFlefvoO
うわあぁぁ!!!

すみません素で間違えました…

688 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 00:58:35 ID:qOFlefvoO
うわあぁぁ!!!

すみません素で間違えました…

689 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:00:40 ID:qOFlefvoO
しかも誤爆orz

本当にすみませんorz

690 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:02:30 ID:4AsEseZ.0
去年のか…去年のスレに書くとかは?今更だが…

691 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:45:53 ID:VJLHdl0.0

感想をどさっと投下、それに際してここまでの投下作品のまとめ

>>184 1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204 2 仕事が終わるようです
>>210 3 ( ^ω^)猫又のようです
>>228 4 ゾンビ从'ー'从
>>234 5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244 6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264 7 ξ )ξ枕元に佇むようです and >>444 支援絵
>>286 8 ξ゚听)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327 9 少女たちの談話のようです
>>346 10 彼は帰りたいようです
>>359 11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375 12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407 13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426 14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441 15 ジェイソン・クールのようです
>>449 16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467 17 桜の樹の下には、のようです
>>498 18 ξ )ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511 19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534 20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534 21 (´・ω・`)滴るようです
>>568 22 バケネコアーカイブのようです
>>603 23 ヤマノケ
>>607 24 こっちを見ているようです
>>634 25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647 26 ひとりかくれんぼのようです
>>670 27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685 彼女はゴスロリで徐霊師で…

692 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:50:28 ID:VJLHdl0.0
注意、以降の感想にはネタバレ含む

693 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:51:42 ID:VJLHdl0.0

1.(,,゚Д゚)道しるべのようです

なんというか、こういう二段落ちみたいなのはやっぱり来るものがある。
自分も最初は死体が動いたのかと早合点した。
ある人間の死が、なんやかんやでそこに来た別の人間をそこで死なせる事になった。

それに自分が関わってしまった、あまつさえ自分も巻き込まれる可能性があった。
そういうのを自分に置き換えて考えると、なんとも背筋が寒くなる。
その悪寒を、警官の意地の悪い笑いが引き立てている。

2. 仕事が終わるようです

勘の良い人以外、一読しただけではわからないかもしれない。
最初は少なくとも自分は幽霊が、仕事帰りのドクオに声をかけているのかと思ってた。
でも気がついたでぇ……へへへ。ヒントはドクオのカギ括弧2つ目。

気がつくと、最初の印象と違った感想を抱くかもしれない、一粒で二度おいしい話。

3.( ^ω^)猫又のようです

ちょっと講談風味の一作。
そういえば、昔は猫又は今のイメージと違って結構恐ろしい化け物だったのだとか。
そのイメージで現れた猫又が、逆に取って食われるというのに意表を突かれた。

ほんとうに恐ろしいのは、人間の食欲なのであろうか……。

4.ゾンビ从'ー'从

いやあ、怖いけど可愛いよね。
そして、黒い背景の中に浮かび上がるって構図はやっぱりかっこいい。
ダ・ヴィンチの「洗礼者ヨハネ」の頃からそういうのって変わらんよね。

彼女の手首から先をもらってソテーにしたらきっとおいしい。

694 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:53:12 ID:VJLHdl0.0
5.(・∀ ・)タタリのようです

幼いゆえの残酷さってあるよね。トンボをひたすら棒で叩き落としたり、
それでその死骸を集めてお団子にしたり。誰しもそういうのはあると思う。
その残酷さ、悪意が人間に向けられた時、どうなるのかが描かれている。

今回の祭りで現在までで唯一のVIP投下作品。
ガ板のまたんきの雰囲気を生かしているところに好感が持てる。
きっちり伏線・ミスリードを張って、がっちりビビらせてくれる良作。

6. lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです

幽霊というのは、どんな世界に生きているんだろうかという疑問への一つの回答がこの作品かもしれない。
死んだことに気が付かず、あるいは目を背けて一種ごっこ遊び的な生者の振りをするという、
幽霊たちの行動は幽霊でありながらなんとも人間臭い。

最後の壁を抜けるシーンを読んだあと、なんか無性に寂しい気分にさせられた。

7. ξ )ξ枕元に佇むようです

ホラーに登場するモンスターの造形には、作者としては悩まされるところ。
その点、このツン?はとても良くできていると思う。
最後のシーンにくるまで、割とゆるい雰囲気だったのに一気に来たのでうっ、と思った。

それで粘液、というとクトゥルフ的ななにかを想像してしまってさらにゾッとする。
ブーンが最後のレスのあと、あのツン?と濃厚なディープキスをしたのではないかと想像すると、
ブーンには同情の念を抱かざるをえない。

詳しくは>>444参照。
レス番といい絵といい、めちゃ怖い。

8. ξ゚听)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )

鬼のブーンとツンのハートフルコメディであったら良かったけど、そうは行かなかった。
結局、ブーンは人間を食料としてしか見做していないし、ツンの「友情」を弄びさえする。
相手に対する無理解が残酷な結果を生むのは道理であるとしても、なんと理不尽な結末だろうか。

読んでからしばらく、ガチで落ち込まされた。

695 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:54:33 ID:VJLHdl0.0

9. 少女たちの談話のようです

なんだぁ、ほのぼのかあ。と思わせて裏切られた。
きっと、百物語後半戦でもこういう嬉しい裏切りが続くのではないかと予感させる一品。
幽霊三人娘のおしゃべりが、誰もいない教室から聞こえてきたら……人間からすれば結構恐ろしい。

でも、死んでしまったあとも友達と楽しくおしゃべりできるならまだ救われてるよなぁとも思う。
残酷な裏切りがテーマの八本目を読んだ直後に読んだこの九本目は、自分にとっては一服の清涼剤だった。

10. 彼は帰りたいようです

ついつい、彼=ブーンというミスリードに引っかかってしまった。
本当に帰りたかったのは、きっと無名の圧死者の方だったのだろう。
そこへ面白半分で行ってしまったブーンに、帰りたかった彼はしがみつく他なかったに違いない。

やはり、巨大かつ黒ぐろとしたAAは破壊力がある。
どうしても、ヒェッてなるよなぁ。

11. 川゚ -゚)の初恋のようです

元ネタは洒落怖が初出の「八尺様」。
元ネタのおどろおどろしさに対比するように、この作品は淡い恋心が漂う切ない一篇に仕上がっている。
彼女の初恋の人を求める旅路に幸あれ、とさえ思わされる。

でも、元ネタ通りなら追いつかれたら死んじゃうんですよねえ……。

12. ( ^ω^)カウントダウンのようです

「十死」が念頭にあるブーン系読者なら、
このカウントダウンが死の宣告であろうと絶対に勘違いするに違いない。
実のところは、真綿で首を絞めるよりドえげつないカウントダウンであった……。

ドクオ・ツンのくだりや、何気ない日常描写がのちの恐怖をより引き立たせる。

13. ( ^ω^)少年、のようです

閲覧注意。猟奇好きのブーン系民なら、むしろこれは甘美な響きであろう。

普通の和風ホラーかと思わせておきながら、カニバリスティックな話だった。
人肉、それも少年を食べることに執着するようになったブーンの内面を丁寧かつ耽美に描いていて個人的に好き。
ワカッテマスの「憑かれている」発言にゾクッとさせられた。グロと幽霊的な怖さの合わせ技といったところか。

696 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:55:40 ID:VJLHdl0.0

14. でぃのお鍋の代わりのようです

三人の女の子が鍋を囲んで怖い話をするのだが……。

ガチホラー、鬱ホラーひしめく今回の百物語の中で比較的珍しいほのぼのした話。
ふっと笑わせてくれるオチに隠れがちだが、この話の中でさえ結構な怪奇現象が起きているというのは、
ちょっと薄ら寒い思いがする。

15. ジェイソン・クールのようです

アメリカンホラーというと、アジアンホラーに比較して価値の低いものにされがちだが、
理不尽にメタメタにされる恐怖・不条理というのは自分に引き付けて考えてみると、
それはとても恐ろしいものではないだろうか。

今回、そのことをこの作品でレザーフェイスさんが我々に叩きこんでくれる。
劇中で残虐に殺される被害者、演じられる愚かで悲しい怪物たちの死闘は、
まさしく80`sB級ホラー映画が与えてくれた、あの素晴らしい娯楽そのもの。大好きだ。

16. ばんぶぅーぱにっくのようです

>かっこん
>
>(,,゚Д゚) ミ,,゚Д゚彡

このオチの二人がツボ。
たまにはこういう話がないと神経がつかれてしまうよね。
大昔のお坊さんにとっては、全くとばっちりもいい所である。

17. 桜の樹の下には、のようです

この世との別れに際しては、世界というものはこの上なく美しく目に映るのだろうか。
デレの話からとても綺麗な光景を瞼の裏に浮かべていたが、
その後の日報の事務的な内容でがくっと現実に引き戻される。

また、ラストにちゃんとドクオがデレの話を聞いていたことが分かってからだと、
デレとドクオの一方通行の会話にどうしようもない切なさを掻き立てられた。

18. ξ )ξ夢で終わらせてくれないようです

定番の筋ではあるが、丁寧にそれを魅せることに成功している作品の一つだと思う。
音、視覚から揺さぶりをかけ、最後にあのオチにきちんと落としこむのはなかなか難しい。
いい意味で、嫌な感じになった。

697 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:56:49 ID:VJLHdl0.0
19. ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )

俺もきゃー誤嚥でお母さんが死んじゃった―!私も死ぬぅみたいな話を書くときに
老人介護に関する本を読んだが、介護の過程で親を恨んだり不幸になるケースは特に珍しくない。
だが、毒殺された父親がゾンビとして復活するという発想には驚かされた。

そして起き上がってなお、息子たちに妻の自殺の責任を負わされ、疎まれ続ける「父」が哀れでならない。
この中の誰が悪いと、決して言えない。そうした後味の悪さがピリリと効いた良作である。

20. ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv

ロマネスクとシュールの会話、それに続くラストがなんとも言えず切ない。
彼らについては作品の中で語られるところは少ないが、二人ともヒートを残して旅立っているのだろうか。
残していく者への、別れを惜しむ気持ちや哀切の念が胸に突き刺さる。

21. (´・ω・`)滴るようです

正統派学校の怪談という感じで、最後までダレることなく読み通せた。
水の滴る擬音が駆使されていて感覚的に怖さが伝わってくる。
オチの油断したところに……というのもいい。

もし、怪談の中の「やってはいけないこと」をしてしまったら?
という、小・中学生にとって絶望的な状況が思い出されて、その時の恐怖が蘇ってくる作品だった。

22. バケネコアーカイブのようです

江江時代の情景を想像するのが楽しい作品。
ぷりちーな妹者を守るために暗躍する兄者の活躍が爽やかである。
また、オチを知ってから読み返してみると、最初とは違った楽しみが味わえる。

23. ヤマノケ

あの、洒落怖の殿堂入り怪談がブーン系に乗り込んできたっ!
ヤマノケに取り憑かれた娘の顔がめちゃくちゃ怖い。
そして、安定のTさんオチ。もう大好き。

698 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 01:59:57 ID:VJLHdl0.0
24. こっちを見ているようです

貞子ファンのブーン系民ならば一度は画面から貞子がでてこないかと、
リングの映画を何度も視聴し、一週間待ち続けた事があるだろう。
それはそれとして、新旧貞子の仲の良さと、ミルナと貞子の睨めっこには癒された。

25. ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )

誰しも、押し隠している衝動というものはあるだろう。
しかし、この話で怖いのは夢を介して徐々にその衝動が抑えがたくなり、
兄者という蓋を破らんとしている所ではないだろうか。

平和な田舎の風景を背景に、仲の良い兄弟の交わすのんびりとした会話のなかで、
それが進行しているというギャップが、妙に印象に残った。

26. ひとりかくれんぼのようです

時にGのもたらす恐怖は、怪奇現象のそれを軽く超える。
その陰に隠れてしまったエリザベートがかわいそうで仕方ない。
良作ホラー揃いのなか、きっちりとほのぼのさせてくれた一品。

27. ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです

あーん!デレちゃんが死んだ!


28? 彼女はゴスロリで徐霊師で…

くそっ……(´・ω・`)に変なかっこさせるのは卑怯だろ。
でも、ドクオは成仏したところを見るとこれはこれでいいのかもしれない。

699 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:08:13 ID:4AsEseZ.0

全部とかすごいな

700 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 02:14:19 ID:X6WZFREc0
おお、おつ
感想読むとまた読み返したくなるな

701 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 05:18:17 ID:59f4kZ/EO
感想乙!
こんなに書くのは大変だったでしょうに

702 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 08:51:44 ID:0PRHDFKU0
>>685は数に入れていいだろうよ
金土日のみの投下ってルールはあくまでダレるのを防ぐためだし、次から皆気を付けましょうってことで

703 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 11:33:24 ID:hf.aT.7.0
15日は投下ありにしても良かった気がするな盆だし

704 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 11:57:05 ID:FseeADqI0
>>1がいいって言うなら俺は賛成

705 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/13(火) 11:59:30 ID:K5KBjVm.0
ほいほい呼ばれてやってきましたよー
皆さんが投下するなら1としてはオールオケよー
みんなの意見聞きたいよー

706 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 12:42:16 ID:FseeADqI0
俺みたいにこのままじゃ投下機会が足りなくなるって人がいるかもしれない

707 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 13:14:18 ID:FkUeYCRs0
このままやってて百越えるとも思えんしな

708 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 13:30:28 ID:kCYppg5Y0
まだいくつかあるが、次の週末は来れない俺がいる

709 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 13:42:42 ID:vYkjQqFg0
どうしても都合が合わないようならルールとかガン無視してでも投下すればいいよ
遅刻ならともかく、期間内だし

710 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 14:35:22 ID:v8AWWmtQ0
>>690
亀だがサンクス

だめじゃねとか言っておきながらアレだが沢山読めるに越したことないしな

711 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/13(火) 14:45:08 ID:K5KBjVm.0
投下したい人多いみたいね
よーしじゃあ木金土日投下オッケーにしましょうか
これでいいかな?

712 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 15:54:09 ID:ayRunD52O
主宰さんに、質問〜
投下可能日、拡大案は了解したけど、その場合投下可能な時間はどうするの?
雰囲気出すために、18時〜翌朝までは固定?
それとも、投下時間制限はなしにする?

713 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 16:01:26 ID:o2ZnBits0
あんまり自由にしすぎるのも雰囲気なくなるし投下可能時間はそのままがいいな個人的には

714 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/13(火) 17:05:48 ID:K5KBjVm.0
うん
投下日のみ拡大でそれ以外の投下時間などはそのままでお願いしますー

715 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 17:30:32 ID:7YJaH66Q0
了解ー
知らない人も多いだろうから、総合スレとかでも宣伝するといいかも

716 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 18:11:59 ID:iNUTz9w20
総合に告知乙です
こっちにもコピペしていいかな

717 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 18:37:56 ID:VJLHdl0.0
いいと思うよ
合わせてまぜこぜさんに連絡しておいたほうがいいな

718 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 20:30:11 ID:i5CS70HU0
あれ、今投下して大丈夫?

719 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 20:31:45 ID:i5CS70HU0
あ、金土日だけだったか
読み忘れすまん

720 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 20:38:51 ID:7YJaH66Q0
投下が可能なのは、木金土日だな
木曜日が今回増えた

721 名前:名も無きAAのようです :2013/08/13(火) 21:42:45 ID:N1Xpzm3cC
>>693の感想みて読み直してるんだけど道しるべの二段落ちがさっぱり分からない・・・
普通に死体が動いた怖い以外に落ちあるのか?
2本目もヒントのおかげで何となく理解できたけど自信ない

無粋だと分かってるけどホラーは解説が欲しい・・・

722 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 01:16:48 ID:uVtBxa8c0
待つ日数が少し減って嬉しいな
皆の力作楽しみにしてるよ

723 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 04:13:53 ID:k84Gd8XM0
>>721
それを知っているということは…?
いや、自信ないけど。

724 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 06:31:47 ID:jazxlJFgO
道しるべ書いた奴だけど、好きなように解釈してくれ

ただの死体動いてる系の話を書いたつもりだったけど、
書いた本人が気付かなかったような読み方があって、しかもそのおかげで恐怖が増すのなら願ったり叶ったりだ

もともと怪談は全て明確にはっきりさせるより少し曖昧で色々解釈出来る方が好きだし
だから描写不足なだけとか言うなよばーかばーかお前の母ちゃん経産婦





>>721
二本目は

・「仕事が終わった」というか「一仕事終えた」

> ('A`)「服汚れたし、
・何のせいで服が汚れたか

> 早くいけ
> 早くいかなきゃな
・「行け」「行かなきゃ」じゃなく「逝け」「逝かなきゃ」

> 次の日の朝、男が死体となって発見された。
・「男」は('A`)ではなく……

と考えると、まあ多分そういうことだよな
俺も確信は出来てないけど
自分なりの解説とかってがっつり書いていいか悩むのでこんなことしか書けない

725 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 10:34:05 ID:wH1UYk0k0
二本目は逆読みしてみたんだが

あれ?逆読みしてたの俺だけ?

726 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 11:30:58 ID:Ifpu.QAQ0
>>725
おお…おおお…逆読みかなるほど

727 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 13:18:39 ID:9ekxQQ5c0
逆読みの発想はなかった
これはすごい

728 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 14:35:24 ID:JgiDJQs60
おおおおおおおお、逆読みか!!

729 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 15:28:52 ID:Citpydo60
逆読み気づかんかった

730 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 15:30:28 ID:n9X2ib9I0
ああーそういうことだったのか……すげえな

731 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 18:14:08 ID:jazxlJFgO
たしかに逆読みの方が自然に感じられるな
すげえ

732 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 20:52:01 ID:Ip9XxCJg0
え、どういうことまだわからん

733 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 20:54:31 ID:FJl8TdCY0
>>732
一番下の行から上に向かって読んでみ

734 名前:名も無きAAのようです :2013/08/14(水) 21:05:32 ID:RN85R2RI0
去年の感想書くって人wktk
こっちのスレでもいいと思うけどな俺は

735 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 01:04:23 ID:.88FuADA0
ワシもええと思うで!

736 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/15(木) 01:08:16 ID:2cf1SXow0
ワイもいいと思うで!

737 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 07:47:10 ID:BedaMfJ60
今日は投下あるかな

738 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 11:43:03 ID:2adOIj820
去年の感想って言っても一個だけなんだけどいいだろうか……

去年の中で一番すきな作品
読み返すとなにげにここ怖いと思うんだよ
きちんとたいらげたのかなーと思うと……



( ´_ゝ`)「あっ…」

男がちょっと目を瞑るはずが3時間。時計はAM5時を指す。

目の前にあるラップが捲られた皿々、男の肩に掛けられた毛布が弟者の帰りを知らせていた。

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1101.jpg
(擬人化注意、背景は写真)

739 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 17:56:14 ID:X1OBwq2o0
次って28本目でおk?

740 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 17:59:35 ID:2fTnC5RcO
29本目じゃないか?
>>685が28本目で


>>738
乙乙
読み返したくなった

741 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:02:58 ID:X1OBwq2o0
さんくす。じゃあ18時なったから投下させてもらいます。

29本目。


金縛りのようです。

  .,、
 (i,)
  |_|


これは、私の実体験です。


あれは8月も中頃、寝苦しい夜だった。
ふ、と目が醒める。
背中が汗でじっとりと濡れているのがわかる。
徐々に意識がはっきりしてきたら徐に喉が乾いてきた、起きるのは面倒くさいが水を取りに行こう。

だが、身体が動かない。


(-、-;トソン(ああ、また金縛りか…)


私はよく金縛りにあってた。
金縛りなんて霊的なものは関係なく、ただの脳のうんたらかんたらと言われている。
霊自体も見たことなく、金縛りをあまり怖いと思ったことはなかった。


(-、゚トソン(早く動くようにならないかしら…)


金縛りになったらいつも瞳だけしか動かせないから暇になる。
キョロキョロと瞳だけ動かし真っ暗の部屋の中を探る。
そういえば何時だろうか、時計を探しあっちこっちに視線を動かす。

742 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:03:40 ID:X1OBwq2o0

(  ω )


(゚、゚;トソン(!?)


天井、自分の真上に人がいた。
暗くて顔はわからない。
男…?しかしなんであんなところに…?
何かわからない恐怖を感じ、嫌な汗が一気に吹き出た。


(゚、゚;トソン(め、目がとじれな…)


恐怖から目を閉じようと試みるが、私の意思とは正反対に瞳はしっかりと何かを捕らえて逃がさない。
何かは私が見ているのに気づいたのか、じりじりと顔をこちらに近づけてきた。
病院臭い、消毒液の臭いがする。


( 、 ;トソン(やだ、こわい、たすけて、だれか、だれか…)




あまりの恐怖に、私はいつの間にか意識を手放していた。

743 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:04:20 ID:X1OBwq2o0

翌朝、目を覚ましたら天井には何もいなかった。


(゚、゚トソン(もしかしたら夢だったのかも)


そう思い新聞を取りに玄関へ向かう。
すると、玄関先に謎の染みができていた。
水だ。水溜まりが何故か玄関にできている。


(゚、゚;トソン(雨なんかここ数日降っていないのに…)


君が悪い、そうとしか言いようがなかった。
突然ポケットが震える、どうやら着信らしい。
慌てて出てみると母からの電話のようだった。

744 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:05:02 ID:X1OBwq2o0
祖父が急死したらしい。



数年前から病を患い祖父は入院していたようだ。
大学、就職と長いこと地元に帰らなかった私はその事実を始めて知った。
祖父は肺に水が溜まる病気だったらしいのだが、死後調べたところ何故か前日にあった水がすっかり消えていたらしい。



もしかしたら、あの晩現れたのは…。
水溜まりを作っていったのは…。
私は毎年祖父の墓参りする度、そんなことを思うのです。





  (
   )
  i  フッ
  |_|

745 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:05:58 ID:X1OBwq2o0
短い上に怖くないですがお粗末様でした。
たまには文章書くのもたのしいね。

746 名前: ◆WX8wcWYomk :2013/08/15(木) 18:06:41 ID:uBXZcgJ20
お疲れ様です
ではそれがしも30本目を頂きます

( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/l50
 .,、
 (i,)
  |_|

747 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:08:30 ID:2fTnC5RcO
乙乙
じいちゃん……

748 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:16:13 ID:uBXZcgJ20
( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/109-117

30本目、投下終了です

  (
   )
  i  フッ
  |_|

749 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:16:36 ID:2fTnC5RcO
三十一本目

  .,、
 (i,)
  |_|

(,,゚Д゚)書きためが消えるようです

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1102.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1103.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1104.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1105.jpg

貞子はこの後モララーと付き合いました

  (
   )
  i  フッ
  |_|

まぜこぜブーンの仮タイトルその4でした

750 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:20:55 ID:2cf1SXow0
十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/

投下開始しました

  .,、
 (i,)
  |_|

751 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:26:49 ID:nQUWkTsY0
>>749
クッソワロタ
しかも貞子はモララーと付き合ったってギコ踏んだり蹴ったりww

752 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:27:44 ID:.05/kBZY0
>>749
最後の躍動感やべぇ

753 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:47:46 ID:apKHnwqk0
>>749
ギコつれぇwwグズだからってそりゃねーわwwww
つかこの絵はお前…穴本の人か…

754 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:48:50 ID:0OIhKpFgO
乙、悪霊とかでなくじいちゃんでよかったね 
 
それとこのあと別の誰かが指摘するだろうかから今書いとく 
28本目のほうが正解だと思うよ 
27本目はゴスロリに除霊されて('A`)が消えるまでで1作品だと思う

755 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:51:03 ID:IpPUIiRg0
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/
蝋燭お借りする

756 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 18:51:54 ID:2cf1SXow0
>>754
いやゴスロリは数え間違いして27っていってるだけで本当は28だから本数はあってるよ



というわけで三十二本目いただきまし


十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/


  (
   )
  i  フッ
  |_|

757 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 19:22:33 ID:GRBf0qeY0
支援絵描いたお

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1108.jpg
三本目( ^ω^)猫又のようです

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1107.jpg
二十二本目バケネコアーカイブのようです

ブーンがちょっとうほっな人に見えなくもない構図になってしまったごめん

758 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 19:24:12 ID:0OIhKpFgO
>>756 
おまいよく見てるな、27本目が2作品あるな

759 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/15(木) 19:34:30 ID:2cf1SXow0
>>758
(一応こういう者ですし)

760 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 19:40:18 ID:ckX67nQ.0
>>757
可愛すぎワロタ

761 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 19:44:55 ID:2fTnC5RcO
>>757
うほっ 猫又の尻尾が二本あって芸が細かいな
バケネコかわいい

762 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:16:04 ID:XO268j/o0
三十三本目、いきます
 
  .,、
 (i,)
  |_|
 
 
逃げてなどいないようです

763 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:18:19 ID:XO268j/o0
なあ兄者、知っているか。
カッターを持った女の子の話だ。

もう十年は前の話だったかな。
今も昔もやることは同じらしくてな。一人の女の子が、クラスの女子からいじめを受けていたらしい。
朝来れば下駄箱はゴミだらけ、机の上に仏花、教科書やノートは落書きだらけ、休み時間にはトイレで水をぶっかけられる。
清々しいほどわかりやすい行為だな。

そんな行為が一年くらい続いた頃か。
いじめられた女の子は、とうとう自殺を決意したらしい。
だが、自殺っていうのは逃げることだ。いじめっ子から逃げる為に、自分を殺すんだ。
女の子は、その「逃げる」って行為が、負けたような気がして嫌だったんだな。

764 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:20:06 ID:XO268j/o0
女の子は家にあったカッターナイフで手首を切って死んだ。
一度では死ねなかったんだろう。何度も何度も切り付けて、女の子は死んだ。
いじめっ子は、女の子が死んだと聞いても特に何も思うことは無かった。
朝死んだ猫を見かけたと聞いて、ああそう、と相槌を打つ程度と言えば分かりやすいかな。

彼女の訃報を聞いた日の晩、いじめっ子達は揃って死んでいた。
全員自宅で、全身をめった刺しにされて死んでいた。
一つ一つの傷は、言うほど深くは無かった。だが顔の原型が分からなくなるまで刺されていれば、まあ死ぬのも納得できるだろう。
一晩に五人もの女子中学生が死んだこの怪事件は、凶器が発見されないままだった。
結局事件は犯人も見つからず、永遠に迷宮入りだ。

( ´_ゝ`)「なあ、弟者」

765 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:21:21 ID:XO268j/o0
なんだ、兄者。

( ´_ゝ`)「その事件の犯人ってのは、自殺した女の子なんだろう」

どうしてそう思う?

( ´_ゝ`)「人の怨念ってのは案外強く残るらしくてな。
       それだけ強い想いを持っていたんなら、死んだ後復讐しに化けて出てもおかしくない」

非科学的なことを嫌う兄者がそんなことを言うなんて珍しいな。

( ´_ゝ`)「今回だけは特別だ。ところで弟者、」

766 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:22:30 ID:XO268j/o0
 
 
 
( ´_ゝ`)「そろそろ、頸動脈をぶっ刺してくれないか。痛くて痛くてもう嫌になるんだ、さっさと殺してくれ」
 
 
 
兄者がそう言うなら。

767 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:23:36 ID:XO268j/o0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ぶつっ

768 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:25:25 ID:XO268j/o0
 
 
 
『――昨夜、17歳の男子高校生が、双子の弟に数十か所を刃物で刺されて死亡する事件が起きました。
弟の流石弟者容疑者は、遺体と共にその場に気絶しており、目が覚めると錯乱状態になったそうです。
「俺が殺した」「殺したくなかったのに、体が勝手に動いた」との供述を繰り返し、精神面に異常があると見て精神病院へ入院しているとのことです。
被害者と容疑者を知る人々からは「本当に仲が良かった」「信じられない」などと、
常より目立った喧嘩も無く、本当に仲が良い兄弟という認識であったが故に、驚きを隠せないという声が多く上がりました。
なお凶器に使ったというカッターナイフは未だ見つかっておらず、
警察は「本人の精神状態が安定するまで真実の解明は難航するだろう」と意見を示しています。
では、次のニュースです――』

769 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:28:29 ID:XO268j/o0
 
 
 
許さない。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
 
わ たし       は に げ  てな     ん か    な    い

770 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:29:39 ID:XO268j/o0
 
 
 
 
 
つ      は            ま               の
     ぎ
                             え
             お
 
 
 
 
 
  (
   )
  i  フッ
  |_|

771 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:33:47 ID:IpPUIiRg0
おつ いつまで経っても満足しないんだろうな、怖い


三十四本目頂いた
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/

772 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:38:33 ID:Mv.L0B1s0
弟者は自殺した女の子について「逃げた」つったから取り憑かれたのか…
女の子の「逃げ」に対する妄執を思うとぞっとするな



773 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:41:55 ID:bzN4gqik0
お前らの解説でようやく理解したわ……

774 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:50:33 ID:uf2s4vaE0
よーしじゃあお兄さん三十五本目もらっちゃうぞー



  .,、
 (i,)
  |_|


ノパ听)の本当にあった田舎の怖い話のようです

775 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:52:09 ID:uf2s4vaE0

これは私が本当に体験したお話です。


それは太陽が本格的に熱波で日本を滅ぼそうとしているとしか思えない、
あるクッッソ暑いお盆の日の夕方のことでした。


ノパ听)〜♪ テクテク


周囲を山に囲まれた農村地帯にある親戚宅に遊びに来た私は、
夕飯までの時間つぶしに暗くなり始めたその辺をぶらぶら歩いていました。

いくら猛暑とはいってもヒートアイランド現象などとは無縁の自然にあふれたこの地域では、
夕方にもなれば暑さもやわらいで、時折心地良い風が辺りを吹き抜けていくので、とても快適な夕暮れどきの散歩でした。

地方都市の割と都市部に住んでいる私には、農村ののどかな風景は心弾むものなのです。

昼間は軽く殺意さえ湧いた蝉の声も、こうなると夏の夕闇を飾るアクセントに感じられるのだから不思議です。


('、`*川 サクサク

ノパ听)(おー、ホントに頭に手ぬぐい巻きつけてる。あれ名前なんていったっけな)


ふと横を見れば、道の脇の畑では、ほっかむりをしたおばあさんが何やら畑仕事をなさっているところでした。

顔には深くシワが刻まれているものの足腰はしっかりしており、いかにも健康的といった様子でした。

776 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:53:49 ID:uf2s4vaE0

/ ,' 3 スタスタ


すると、道の向こうの方からひとりのおじいさんが歩いてきました。

そのおじいさんも目元や表情はやわらかく優しげでしたが、
これまた見た目の歳の割には堂々とした足取りで、お年寄りの力強さを表しているかのようでした。


/ ,' 3「おーい、トソンさんや」

('、`*川「ほいほい、なんですね?」


おじいさんはおばあさんのいる畑ばたで立ち止まると、おばあさんに声をかけました。



/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」



ノパД゚)

.

777 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:54:40 ID:uf2s4vaE0

('、`*川「おや、そかね」



ノパД゚)



(゚Д゚ノハ



ノパД゚ノハ


.

778 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:55:22 ID:uf2s4vaE0


後で聞いてみると、アレはこの辺りの方言だったそうです。

「はかいった」=「捗った」、「しんでいい」=「しなくてもいい」、みたいな意味になるそうです。


つまり


/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」


を標準語に直すと、


/ ,' 3「もうかなり作業が進んだので、今日のところはもう作業をしなくてもいいよ」


という感じのセリフになるみたいです。



ノパ听)「いやまったく、日本語というのは奥が深いですね!」





  (
   )
  i  フッ
  |_|



ノパ听)「実際に体験した話なんてこんなもんだよ!!」

779 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 20:58:07 ID:V0h7Eisw0
オチwwwwww

780 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 21:01:25 ID:V0h7Eisw0
てっきりじいさんが死んだことに気付いてないばあさんに
とっくに死んでるって事実を告げたのかと思ったらこれだよww
不覚にも笑ったわw

乙ー

781 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:04:57 ID:TB6qx7aU0
乙乙
方言って面白い。

36本目、いただきます。


  .,、
 (i,)
  |_|

782 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 1/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:06:30 ID:TB6qx7aU0
海の上に夕日が浮かんでいる。

(*゚∀゚)「きれいだねー」

横で小さな女の子が言う。
名前はつー。見た目は小学校の中学年くらいか。

(,,゚Д゚)「……」

俺はつーの横顔をずっと見ていた。
背丈のために、見下ろす形になっていたが。

頬が赤く火照っているのは、夕日のせいでもあり、
そもそもつーの頬がやや赤みを帯びているからでもあった。
彼女は顔が丸く、背の小さな女の子だった。

どこにでもいる女の子。
ただ、足の先がぼやけて消えているだけ。

(*゚∀゚)「おじさん、おじさん」

つーが俺に声をかける。

783 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 2/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:08:01 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「今度は何して遊ぶ? お石で遊ぶ?」

(,,゚Д゚)「元気がいいな」

(*゚∀゚)「うん! 久しぶりに人と会ったから!」

無邪気な笑顔を見る。
この笑顔を見てどうして、この子が自殺を促しているなどと思えるのだろうか。


     ★     ★     ★


(,,゚Д゚)「自殺の名所?」

あの日、俺は旧友であるフサから唐突にその話を聞いた。

ミ,,゚Д゚彡「そうらしいんだ。俺らが良く遊んでいたあの海岸、少し小高い場所があっただろ?」

(,,゚Д゚)「ああ、あったな。ネズミ落としって言うんだっけ。落ちたらもう登れなさそうなところ」

ミ,,゚Д゚彡「あそこで自殺が多発したらしい」

そうか、前から危ないって言われていたものな、そう言おうとして、俺は違和感に気付いた。

(,,゚Д゚)「自殺?」

784 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 3/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:09:33 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そう、自殺」

どういうことだろう。
俺が学校に通っていたころは、少なくともまだ自殺者などいなかったはず。
せいぜいひとつの事故があっただけだ。

俺の怪訝そうな顔をみたからか、フサは軽く頷いた。

ミ,,゚Д゚彡「俺らのいた頃のじゃないよ。俺らがいなくなってから、自殺者が現れたらしい。
 で、すっかり不気味な場所として有名になっちゃったんだとさ」

(,,゚Д゚)「そうか……あのあとまたあったのか。
 学校も潰れているしな。廃校と自殺の名所、そりゃあ有名になるわけだ。
 しかし廃校したのならとっとと撤去すればいいのにな」

俺がぼやくと、フサもまったくだと言うように顔を顰めてくれた。

ミ,,゚Д゚彡「その事情もまあわかっている。あの頃は不景気だったし、それに……
 こういっちゃなんだけど、撤去しない方がいいこともある」

フサの言い淀み方で、俺はすぐに察した。

(,,゚Д゚)「……金か」

ミ,,゚Д゚彡「そうだと思うよ。実際全国的に有名になってきているわけだし」

人の死が金を呼ぶ、それで地元が潤う。嫌な話だ。

785 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 4/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:11:03 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そこで今回の依頼だ」

フサは煙草を灰皿にこすりつける。
煙が一瞬広がり、細い線となって消えた。

ミ,,゚Д゚彡「自殺の名所になっている原因を探れと」

(,,゚Д゚)「……いったい誰がそんな依頼を?」

俺は興味本位から質問した。

フサは時折依頼を受けて、霊現象の調査・解決をしている。
多少霊感があるだけなのだが、どうもこの仕事はお金になるらしく、長々とゴーストバスターズの真似ごとをしているとのことだ。

別に何か衝撃波でも出してお化けを吹きとばしたり、そういうことはできない。
できるのはお化けの悩みを聴く、それだけ。

ミ,,゚Д゚彡「依頼をしてきたのは新しい村長だよ。前まであそこを牛耳っていた地主の一族が絶えたから、村長が変わったんだ」
 それで、村をもっと発展させたい、もっと明るく、ぱーっと。古いものもぶっ壊したい」
 廃校も壊したいけど既得権益がある。だからまず霊現象から解決したい。こういうわけさ」

786 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 5/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:12:42 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「はー、なるほどね。良いんじゃないの、俺も辛気臭いよりその方がいいや」

ミ,,゚Д゚彡「じゃあ協力してくれるよな?」

(,,゚Д゚)「ああ、そういうことか。またか」

俺には別に霊感は無い。でも腐れ縁ということもあり、フサの携わった依頼の手伝いを良くしていた。
まったく霊感が無いからこそ、下手に反抗もされずに無事でいるらしい。


     ☆     ☆     ☆


俺の前にいるつーには足は無い。どうみても、幽霊だ。
俺のことを霊感なしと判断したのフサである。あいつの読みは違ったんだろうか。

(*゚∀゚)「おじさん、あそこ言ってみようよ」

つーはそう声を上げると、指を指した。件の崖がある。

(,,゚Д゚)「……」

俺は自分の顔がこわばるのを感じた。
まさか自分をつれていこうとしているのか。

787 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 6/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:14:36 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「どうしたの?」

つーいつの間にか足元に来ていた。さっきまで岩場の方でしゃがんでいたのに。
やはりこの子は幽霊なのだと感じ、微かに寒気を感じた。


     ★     ★     ★


俺の仕事は某情報誌のライターだった。
いまどきは情報誌だけで生きていけるわけではない。ネットに記事を書いていたりもする。

政治や社会問題を扱う仕事は競争が激しい。
しかしライターになりたいやつは誰だって、そのような問題に接し、世の中の役に立つような情報を発信したいと思うはずだ。
もちろん俺だってその一人だった。

でも時期も機会も悪く、与えられたのは胡散臭い会社の胡散臭い記事の仕事だった。
配属された時、ちょうど幽霊特集を組む仕事に回された。
心の中では嘲っていたものの、仕事とあらば仕方が無い。
お化けの話のネタのために、小学校時代からの旧友だったフサに相談した。

本当は余計に借りをつくりたくはなかったのだが。

788 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 7/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:15:36 ID:TB6qx7aU0
崖の話を聞いてから、俺はフサに言われた通り、まずは村長と接触した。
村長は若く、力に満ち溢れた青年だった。
古い因習をたたき壊すにはこれくらいやる気に満ちていないとならないのだろう。

(`・ω・´)「それで、ギコさん。聴きたいこととは?」

ちなみにフサは俺のことを自分の調査の部下などと紹介していたらしい。
話はスムーズにいくが、あまり気持ちのいい身分ではなかった。

(,,゚Д゚)「心霊調査のためにはまず、その心霊が現れる理由を知らなくてはなりません。
 幽霊というのは何かこの世に未練があるから現れるんです。ですので、その未練とは何なのか知りたい」

全てフサの受け売りである。

(,,゚Д゚)「何か昔、幽霊と関係あるような事件とか、ありませんでしたか」

(`・ω・´)「事件、ですか……自殺がまず最初に騒がれたのが15年前なんですよね。
 15年前、あの近くの小学校がまだやってましてね、そこにいたつーという女の子が身を投げて」


     ☆     ☆     ☆


(*゚∀゚)「あの丘の下にね、ほら穴があるの」

つーは説明してくれた。

789 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 8/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:17:08 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「そこに俺を連れていくのか?」

(*゚∀゚)「うん。連れていったほうがいいって」

(,,゚Д゚)「いい?」

(*゚∀゚)「きこえるの」

誰かが呼んでいるのか。

岩場が歩きにくかったが、足のないつーは空中に浮かんで、すーっと進んでいく。
俺もなんとかついていく。
革靴にはつらい。


     ★     ★     ★


(`・ω・´)「15年前に、心当たりでもあるんですか」

(,,;゚Д゚)「いえ……実は私もそこの小学校にいたのですが」

(`・ω・´)「なんと、ではまさかあの自殺も」

(,,;゚Д゚)「いいえ、その頃は高校生でしたし、もう引っ越していました」

790 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 9/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:18:35 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「引っ越し……?」

村長が首を傾げた。
自殺があってから離れるのはわかる、その前に引っ越すのはどういうことなのだ。
そう疑問を抱いた顔だった。

(,,゚Д゚)「実は、仲の良かった子が亡くなったんです」

そういえば、俺はふと思い出した。
むしろどうして今まで忘れていたのだろう。

(,,゚Д゚)「その子、あの岩場で発見されたんです」

気付いたことを言いながら、俺は自分の心臓が少しだけ鼓動を速めるのを感じた。
まさか彼女が関係あるというのか。

(`・ω・´)「気になりますね。いったいどうして岩場で発見されたんですか?」

(,,゚Д゚)「改修中の川に、落ちたんですよ……それで海まで流れていって」
海流に乗って偶然岩場へ。沖にいってしまわなくてよかった」

 ギコくん……

はっとして、振り返る。
村役場の応接室、何もない。何も聞こえるはずない。

791 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 10/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:20:02 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「大丈夫ですか?」

村長が心配そうに声をかけてくれた。

(,,;゚Д゚)「え、ええ。ちょっと。こんな話題をするもんですから」

自分には霊感は無いはず。危険なこともないはず。
あのとき死んだ、しぃになんて会わないはず。


     ☆     ☆     ☆


ほら穴は薄暗かった。
ぎりぎり差し込んでいる太陽の光も、もうじき消えてしまう。
深い青に入口は閉ざされてしまうだろう。

彼女はいた。
あの頃と変わらない、小学生の姿のまま。

「ギコくん」

声は確かに聞こえた。あの応接室のときよりもはっきりと。
暗いせいだろうか、青白く見えるのは。
もともと肌の白い子どもであったが、殊更にそう見える。

792 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 21:21:01 ID:IpPUIiRg0
ぞくぞくしてきた

793 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 11/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:21:32 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「しぃ」

俺はあのときと同じように名前を呼んだ。


     ★     ★     ★


俺は役場の外に出て電話をかけた。相手はフサだ。
電話には出ない。あいつはいったい何を考えているんだ。
俺は焦った。嫌な予感がした。
もし岩場にいる幽霊がしぃだというのなら、彼女は自分を狙っているに違いないのだから。

二回目、三回目、連続してコールする。
舌打ちして、それからはっとして、あたりを見回す。
すると時代錯誤のような公衆電話がひとつ見つかった。

一回目のコールでけりがついた。

ミ,,゚Д゚彡「……あ、ギコか」

しまったーとでもいうような冗談めいた声がする。

(,,゚Д゚)「なんで俺の電話にでねえんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「いやー、びびってるかなーって思って」

フサの口調からよくわかる。あいつはわかっていたのだ。
この事件の裏側にしぃがいることを。

794 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 12/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:23:01 ID:TB6qx7aU0
(,,#゚Д゚)「ふざけんなよこら」

ミ,,゚Д゚彡「いやいや、別にふざけているわけじゃないよ」
 逆に、正直に言ったところで君はそこにいかないでしょ」

俺は黙った。

ミ,,゚Д゚彡「心当たり、あるんでしょ」

図星だった。
何も言い返すことは無い。

ミ,,゚Д゚彡「だから、行きなって。大丈夫、君の体力なら生きていけるはず」

(,,゚Д゚)「なんでそう言えるんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「100%見た目だけで判断してるよ」

(,,#゚Д゚)「てめえ」

何を言う前に、電話は切られてしまい、もう二度と繋がることはなかった。


     ☆     ☆     ☆

しぃ。
あの日、俺は彼女に会っていた。まだ雨が降り出す前だ。

795 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 13/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:24:33 ID:TB6qx7aU0
俺たちは小学校三年生だったか、それくらいだった。
川で遊んでいたんだ。暑かったから。
それで、雲行きが怪しかったから、陸に上がろうとしたんだ。

でも、そこで風が吹いて、しぃの帽子が飛んでいった。
しぃはそれを追って、また川に入って、そして突然転んだ。

それっきり、浮かんでこなかった。

(,, Д )「俺は、すぐあがるだろうと思って、一回だけ名前を呼んで、みていた。
 でもお前は出てこなかった。もう、俺は怖くて怖くて」

(,, Д )「すぐに大人でもなんでも呼べばよかったんだ。そうすれば助かったかもしれない。
 だけど俺は足がすくんで動けなくて。たまたま自転車で通りかかったおっちゃんに、あぶねえぞーって声を掛けられて」

(,, Д )「それでタガが外れたように、駆け出した。聴いたことない大きな音も鳴ってて、怖くて逃げた。
 家に帰って、布団にこもって、ガタガタ震えていた。
 きっと助かる、きっと、俺は悪くない、そう言って」

(*゚ー゚)「見捨てたんだ」

 最後の言葉はしぃが紡いだ。薄暗くてよく見えないが、口元が微笑んでいるように見えた。

796 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 14/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:26:02 ID:TB6qx7aU0
(,, Д )「しぃ……」

俺は今、目の前でまた彼女を見ている。
彼女もまた足が無い。


     ★     ★     ★


フサとしぃは家が近所だったはずだ。
それでずいぶんと仲良かったのを覚えている。

しぃが死んで、葬式場でずっとフサは泣いていた。
俺はその姿を見て、居た堪れなくなって、中学生になったころになって、ようやくフサに打ち明けた。

ミ,,゚Д゚彡「見殺しにしたのか。臆病者め」

フサは俺のことをそう評していた。
でも、そこで猛り狂うにはもう時間が経ち過ぎていたようだ。

ミ,,゚Д゚彡「おまけに行動も遅い、どんくさい、面倒な奴め」

俺はその言葉を悔しく聴いていたことを覚えている。

ミ,,゚Д゚彡「それじゃあ約束してくれ、これからはなんでも俺の言うことを聴くって」

それがフサとの腐れ縁だった。

797 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 15/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:27:32 ID:TB6qx7aU0
そうだ、そのはずだ。まさかフサが俺を自殺に追い込もうなどとするはずはない。
俺は一瞬頭に浮かんだ疑問を、そうして理屈で跳ね返した。
あいつにはきっと、俺としぃが会った方がいいと考えたんだ。

それはたぶん、しぃを供養するため。


     ☆     ☆     ☆


しぃがすーっと、近づいてくる。
岩場も水辺も関係ない。宙を浮いてくる。

すでに日は沈んでいる。
あたりは暗く、星の光はほら穴を照らすには明らかに弱かった。

しぃは、髪が少しだけ長いようだ。濡れていて、ふわりと浮かない分、伸びているように見えた。

(*゚ー゚)「ギコくん」

もう一度、しぃが言う。徐々に俺に近づきながら。

俺は眼を開いていた。

何があろうとも閉じるつもりはない。だってあのとき見捨ててしまったのは本当なのだから。

しぃの体が後数十センチ、数センチ、数ミリ……

798 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 16/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:29:02 ID:TB6qx7aU0
背筋に悪寒が走る。
いったいどうして、しぃが自分を殺さないと断言できる。どこにそんな確証がある。

フサを信じるのか。でも、俺は。

感触はなかった。
でもしぃの体はもう、俺の体に触れていた。見た目では、そうだ。感覚がないだけなのだ。


     ★     ★     ★


岩場についた。すでに夕暮になろうとしている。

波の音が静かだ。今日の天気は穏やか。雨は降らないで済むだろう。

岩場に女の子が見えた。
今は夏休みだ。子どもがいても不思議ではない。

でも、どうしてこんなに不安になるのだろう。

女の子がこちらを向いた。手を振っている。

(*゚∀゚)「待ってたよ、おじさん」

女の子の名前はつーと言った。


     ☆     ☆     ☆

799 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 17/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:30:42 ID:TB6qx7aU0
(*゚ー゚)「間違ってるよ」

しぃはあまりにも小さかった。
当時でも小さかったのだから、今ではなおさら。

俺のお腹のあたりから、しぃの声がした。
消え入るような、か細い声。

俺はしぃの頭の上だけを見ていた。
つむじが見える。濡れ髪なので、はっきりと。

(*゚ー゚)「私はギコくんをびっくりさせようとしていたの」

しぃは静かに話しだした。

(*゚ー゚)「転んだのは本当だけど、あのあとすぐに起き上がったら恥ずかしいだけだった。
 だから、ちょっと我慢して、それでギコくんが近づいてきたらびっくりさせようと思ったの」

しぃが淡々と話を続けていく。

(*゚ー゚)「だけど来なくて、しょうがないなあって思って、顔を上げようとしたら、急にすごい力がかかって」

800 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 18/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:32:28 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「鉄砲水っていうんだ」

あの時のことを俺は思い出した。
聴いたことのない大きな音が鳴っていた。
あれが鉄砲水が来ることのサインだと知った時、すでに俺はこの村にはいなかった。

(,,゚Д゚)「そのときは、知らなかった」

(*゚ー゚)「いいよ」

 顔は見えないが、しぃの声は笑っているように感じた。

(*゚ー゚)「死んじゃうとね、だんだんと難しいこと考えられなくなるの。
 寂しいって感じたら、ほんとにそれしか考えられなくなって」

(*゚∀゚)「あたしはそれで、姉ちゃんに呼ばれたんだ」

つーが横から言う。

ギコはそちらを見やる。
相変わらず、つーは笑っていた。
しかしその体はずいぶんと薄くなっている。

(,,゚Д゚)「妹、いたんだな」

少しだけ似ている。頬の赤いところとか。

(*゚ー゚)「うん」

801 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 19/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:34:25 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「あたしが死んじゃってから、なんだかやたらと飛び込む奴がいたけど、
 姉ちゃんに呼ばれたのはあたしだけだよ」

これだけ明るいつーが自殺すれば、何か怪しいものがこの丘にあると思われたのだろう。
真相はそんなところなのだろう。

(*゚∀゚)「姉ちゃん。あたしこそ姉ちゃんが心配で、それだけが気がかりでここにいたんだ。
 でももう大丈夫みたいだな」

その言葉が聞こえた。
そしていつの間にか、霧が晴れるようにして、つーはいなくなっていた。
未練がなくなれば幽霊は消える。いつぞやのフサの言葉を思い出した。

(*゚ー゚)「ギコくん」

しぃの声。

(*゚ー゚)「ありがとう」

それが最期の言葉だった。
顔を向けた時には、もうしぃの姿も無くなっていた。

最初からいなかったようでもあった。

波の音だけが静かに、ほら穴に響いていた。

802 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:35:33 ID:TB6qx7aU0
後日、フサに会った。

ミ,,゚Д゚彡「ありがとー」

ずいぶんと調子のよさそうな声で礼を言われた。
俺からはとても話す気になれない。

ミ,,゚Д゚彡「しぃの幽霊が人を呼ばないようにしているのはなんとなく感じたんだ。
 それでも人が来ちゃう。いったん名所と名付けられたら、なかなか払拭できないんだから困るよ」

(,,゚Д゚)「……本当にな」

ミ,,゚Д゚彡「お、ようやくしゃべったね。ひどい声だね」

(,,゚Д゚)「うるせえな」

ミ,,゚Д゚彡「その歳になって喉をからすほどなんて、よっぽど」

俺は手振りだけでフサを止めた。
もういい。反論するのも疲れた。喉も痛い。

俺とフサはあのほら穴に来ていた。
花を供えるためだ。

これからは自殺者が来ないように、村が盛り上がってくれればいい。

波の音がまた聞える。
昔と変わらない。人の思いをすべて包み込むように、音を響かせて。

余談だが、事故現場に献花をするのは、まだ自覚のない霊魂に死んでいることを自覚させるためらしい。
もう未練など断ち切ってしまえと伝えるために。




〜おわり〜

803 名前:(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 21:36:23 ID:TB6qx7aU0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

804 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 21:41:30 ID:IpPUIiRg0
おつ
恨んでなくてよかった

805 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 21:46:27 ID:bzN4gqik0
切なぁ……乙。

806 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:18:00 ID:IpPUIiRg0
三十七本目、頂こう

807 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:18:56 ID:IpPUIiRg0

  .,、
 (i,)
  |_|

808 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:19:55 ID:IpPUIiRg0



ζ(゚ー゚*ζ引っぱるようです



.

809 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:20:51 ID:IpPUIiRg0


 『それ』を初めて認識したのは、ひと月ほど前だろうか。


っζ(゚ー゚*ζ

ζ(゚ー゚*ζ「……ん?」


 最初は視界の隅に何かがよぎる、というものだった。
 だから本当のところは、いつ頃からあったのか分からない。

 次に気付いたのは、通学途中。


ζ(゚ー゚*ζc
      ゛
ζ(゚ー゚*ζ「?」


 後ろから髪を引っ張られ、振り向いた。
 誰も、いない。


ζ(゚ー゚*ζ(……気のせい?)


 次はカバン。


ζ(゚д゚;ζ「きゃっ!」

从 ゚∀从「どした?」

ζ(゚、゚;ζ「誰かが手を掴んだの!」

从 ゚∀从「はあ? カバンの中でどーやって掴むってんだよ」

ζ(゚、゚*ζ「……」

ζ(゚、゚*ζ(でも、本当に誰かが掴んだんだもの)
.

810 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:21:45 ID:IpPUIiRg0

 家で、学校で、道で、段々と『それ』は場所も頻度も増えていく。
 授業中も、掃除をしている時も、ご飯の時も。
 引っ張るだけ、撫でるだけだが、気味が悪い。


 暫くして、休みの日に友人と遊ぶ約束をして、待ち合わせ場所に向かっている時だった。
 信号が青になる。


ζ(゚ー゚*ζ....
      
!?ζ(゚ー゚;ζヾ⊂


 横断歩道の途中で、強く髪を引っ張られた。


ζ(゚、゚;ζ「いっ、」


 あまりの勢いに、耐え切れず尻餅をつく。
 ――その目の前、ほんの数センチ先を、車が走り抜けた。


ζ(゚- ゚;ζ「……うぇ」


 ぞっとした。もし、引っ張られてなかったら。
 ぱぱ、と短くクラクションが鳴る。
 慌てて立ち上がり、横断歩道を渡りきった。
.

811 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:22:38 ID:IpPUIiRg0


ζ(゚ー゚*ζ(もしかして、助けてくれたのかな)


 そう思うと、何だかほっとした。
 『あれ』は自分を守る為に、傍に居てくれるのかもしれない。
 気味悪く思っていたのが申し訳ないくらいだ。


 相変わらず髪を引っ張られながら(手や足を掴まれたりもするけど、これがダントツで多い)
 『それ』と共に生活を送っていた。
 最近は頻度はあがっていない。ただちょっと、力が強くなってきた気がするけど。

.

812 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:23:59 ID:IpPUIiRg0

ζ(゚ー゚*ζ「ふう」


 お風呂からあがって、髪にドライヤーをかける。
 終ったら保湿とブラシ。
 明日は何だったかな、そうだ数学の宿題あったんだ。


 П〜♪


 ケータイが鳴る。
 ドライヤー片手に、もう片方の手を伸ばして、


ζ(゚ー゚*ζ「あっ」


 ベッドからケータイが転がり落ちる。
 滑るようにベッドの端から降りて、ケータイに手を伸ばす。
 瞬間。
 風が頭の上を薙いだ気がした。
 首を捻ってみると。


 大きな手が、あった。


 ぎらりと輝く鋭い爪。
 『それ』は中途半端に開いていた。
 まるで何かを握り損ねた、とでもいうように。

.

813 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:25:01 ID:IpPUIiRg0


ζ(゚- ゚;ζ


 ち、と確かな舌打ちを残して(そうとしか聞こえなかった)、手は消えた。


 けむくじゃらで、爪が尖ってて、そして、指と指の間には。
 あれは、ああ、
 ――髪に繋がった、しゃれこうべ、だった。


.

814 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:25:44 ID:IpPUIiRg0

  (
   )
  i  フッ
  |_|

815 名前:名も無きAAのようです :2013/08/15(木) 22:27:58 ID:bzN4gqik0
おうふ……結局しゃれこうべはデレを連れてこうとしてたのか

乙乙

816 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:42:19 ID:TB6qx7aU0


38本目、いただきます。



  .,、
 (i,)
  |_|

817 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです1/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:43:30 ID:TB6qx7aU0
乳の親(ちーのうや)


外見は優しい顔立ちの女性で、洗いざらしのような黒髪を長く垂らしており、乳房が非常に大きい。
国頭村や大宜味村には、小児を葬るための童墓(わらべばか)という墓があるが、
ここには乳の親がいて、葬られた子供に乳を飲ませて養うと信じられている。
そのために6歳以下の子供が死ぬと、乳の親に頼むために重箱を盛って祀るという。


一方で今帰仁村などでは、童墓や水中にいる乳の親が、まだ生きている子供を奪い去るといわれる。
幼児に鏡を見せると、水面を鏡と思って水面に行きたがり、
その挙句に乳の親に引きずり込まれるので、鏡を見せるべきではないとされている。



( ・∀・)「こんな妖怪もいるんだって、じいちゃんが教えてくれたんだ」

( ゚∋゚)「へー、なんか良い奴なのか悪い奴なのかよくわからんな」

( ・∀・)「沖縄の妖怪は特にそういうのが多いよ。人の善悪では判断しきれないようなの。
 諸島だしいろんな文化とも触れていたから、独特な話が派生したんだろうな」

( ゚∋゚)「なるほどね。ん? どうしたジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「いや……誤解じゃなければ乳房が大きいと聞えたような」

818 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです2/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:44:27 ID:TB6qx7aU0
( ・∀・)「ああ、特別に大きいと伝えられているらしいけど」
  _
( ゚∀゚)「ほほう」

(;・∀・)「……」

(;゚∋゚)「おい、落ちつけよジョルジュ。妖怪だぞ?」
  _
( ゚∀゚)「ふふ、私は紳士なのでな。形さえ良ければ差別はしない」

大学一年の夏休み、三人は沖縄に旅行に来ていた。
高校生活では味わえなかった長期の暇な時間、有意義に使わなければもったいない。
そういう意気込みで唐突に旅行に来たものの、現実には男三人のむさいものとなっていた。

沖縄についたのはお昼過ぎ。それから軽く食事して、ホテルに移動し、荷物を下ろした。
そこでこれからどうするか話し合っていたのだが、妙に疲れていて乗り気になれず、
お寺出身のモララーが中心となり、いつの間にか妖怪談義に興ずるようになっていたのである。
  _
( ゚∀゚)「あー、お墓に行けば見えないかな」

(;゚∋゚)「なんという罰当たりな」
  _
( ゚∀゚)「いいじゃん、女っ気のない旅なんだし、肝試しみたいで夏っぽいだろ?
 でも簡単には会えないだろうなー子どもとか連れてないし」

(;゚∋゚)「目的が不純過ぎてなんも言えねえ……」

( ・∀・)「あ、妖怪に会いやすくなる方法ならあるよ」

819 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです3/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:45:27 ID:TB6qx7aU0
モララーは自分の鞄の中からお札を取り出した。

( ・∀・)「じいちゃん特製の呪いのお札だ。妖怪を呼び寄せる力があるらしい。
 とはいえ本気で呪い殺すものでもなく、旅行が盛り上がるかなーってことで持たされたんだけど」
  _
( ゚∀゚)「おおー! なんてぴったりな! これ持ってれば飛び出してくるに違いない」

(;゚∋゚)「モンスターじゃないんだぞ」

( ・∀・)「まあまあ、本人楽しそうなんだから、いいじゃない」

気分を良くしたジョルジュは寝ていた身体を弾ませて立ちあがる。
  _
( ゚∀゚)「じゃ、ちょっと墓探してくるわ」

( ・∀・)「夜までには戻れよー」

( ゚∋゚)「こっちは明日以降の予定組んでおくから」
  _
( ゚∀゚)「おー」

ジョルジュは元気に返事をして、煙草とライターをポケットに入れた。
呪いのお札も折り曲げていいとのことだったので、ポケットに詰め込んだ。ご利益が薄れるものでもないしいいのだろう。
それからサンダルに履き替えて、部屋の外へ出ていく。

夏の暑さと潮の香りが、南国らしい空気を醸し出していた。

820 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです4/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:46:27 ID:TB6qx7aU0
ホテルの入り口の傍に枝を広げた大きな木があった。ぱっと見ではいくつもの細い木が絡まっているようにも見える。
ガジュマルの木という名前ということをホテルに到着したばかりの頃モララーに教えてもらっていた。
熱帯地方に生息する樹木であり、幸せを運ぶと言われているそうだ。

お墓探しは適当に道行く人に聞いた。やはり最初は不思議がられたが、観光客慣れしているのか気軽に教えてくれた。
もっともさすがにそこまで熱心に妖怪に会おうとしているわけでもなかった。
お墓への散歩がてら、沖縄の雰囲気を浴びて楽しみたいというのがジョルジュの本音であった。

養鶏場の角を曲がったところで潮の香りが一層強くなった。
ここが海沿いの街であることを自覚する。ここは岩場だが、海水浴場も近くにあったはずだ。
あまりにも混んでいて味気なければ、車を借りて沖縄を回ればいい。

どうにしたって、観光シーズンなんだから女子と触れ合える機会はあるだろう。
だいたい元々は大学で知り合いたての女子も連れてこられるはずだったのだ。
それが急用で来れなくなり、しかたないから高校時代の友人を連れてきた。部屋で待っている二人には悪い話だ。

しかし、だからといってずっと悶々としているわけにもいかない。
この散歩が終わったらさっさと気持ちを切り替えて楽しまなきゃなあと、ジョルジュはぼんやり考えていた。
たまには真面目に考えるのも悪くない。

もちろんこの状況に大きな乳房が加われば文句なしなのだけど。
そんなわけで足取りは軽い。

821 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです5/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:47:41 ID:TB6qx7aU0
海からかなり近い場所に、お寺と墓地があった。
海難事故等で亡くなった名前知れずな方々のお墓もあるらしい。
そういや水に子どもを誘いこんだりするんだっけかなと思いだし、期待を込めてお札をひらひらさせてみる。

そのままお墓をぐるっと回ってみたものの、何かが起こる気配も無い。
モララーは境内の椅子に腰を下ろした。呪いのお札はすでにいくつも折り目があり、虚しさを感じさせた。
良く見れば文字の並びが綺麗すぎる気がする。もしかしてプリンターを使ったんじゃないだろうか。
異様に薄っぺらいのも単なるコピー用紙だからか。

ジョルジュは弱々しく息を吐いた。本当に軽く吐いたのに、そのお札は手元を離れて飛ばされてしまった。
これじゃ妖怪も出てこないだろうなと、頼りなさげに空中を漂うそれを目で追いかけながら思う。

すると、お札が人の前に落ちるのが見えた。
自分以外に境内に誰かいたかなと首を傾げた。

ノパ听)「にーにー、落ちたよー!」

見知らぬ少女はさっと屈んでお札を取ると、ジョルジュに元気よく声を掛けた。
ぼさぼさの赤い髪型が象徴的な、肌の浅黒い子どもだった。

822 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです6/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:48:27 ID:TB6qx7aU0
ジョルジュはつい本能的に、少女のボディラインをチェックした。
が、すぐに目を閉じて頭を振る。さすがに子ども相手にはまずい。ロリに走るつもりはない。

目を開けたらいつの間にか子どもが目の前に来ていて驚いた。
緑色の衣服が目に映る。

ノパ听)「一緒に魚を捕ろうよー!」
  _
( ゚∀゚)「へ?」

言葉を前に、小さな手によって袖が握られ、ぐいぐいと引っ張られた。

境内を後にして、道を進んでいく。
少女は海へと向かっていった。
  _
( ゚∀゚)「岩場で魚捕るの? 危ないぞー」

ジョルジュの声にも子どもはまったく関心を示さなかった。

岩場について、海へと出っ張ったところで立ち止まる。

少女は目を輝かせてジョルジュを振り返った。

ノパ听)「わーがとってくるから、やーは見ててねー」

そう言うと間髪いれずに、少女は走り出してしまう。
転んだら危ない、そうジョルジュが思う前に、さっさと少女は服を着たまま、姿勢正しく海へと飛び込んでしまった。
  _
(;゚∀゚)「……え、素潜りなの?」

823 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです7/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:49:26 ID:TB6qx7aU0
唖然としていること、数秒。
今度は海からしぶきがあがって、何かが飛び出してきた。
それは空中を回転しながら弧を描いてくる。
びたーんっと気持ちのいい音を響かせてジョルジュの横に叩きつけられたそれは、まぎれもなく魚であった。
  _
(;゚∀゚)「……捕ったのね」

海水を滴らせながら跳ねている、腹の赤い不思議な魚を眺めつつ、ジョルジュは呟いた。
そしてこうも思う。これはどう考えても普通じゃない。
あの子もまた妖怪の類なのではないだろうか。

そうか、きっと呪いのお札の効力であの子が出てきてしまったんだ。
だったらあれがちーのうや? でも乳房は別に大きくないよな。
子どもだしな、成長でもするのかな。あれ、妖怪って成長するの?

わからないことだらけである。
とにかくすぐに殺しにかかってくるような妖怪ではないことだけは確かだ。
今も海の上に上半身を出して、ジョルジュに向けて手を振っていた。

とりあえず妖怪と会えたのならば好都合だ。ジョルジュはポジティブに考えることにした。
上手くいえばちーのうやと会わせてくれるかもなあと思いながら。

日が傾くまで時間が過ぎた。
よほど魚が好きなのだろう。
モララーに聞けばどんな妖怪か教えてくれるだろうな。

824 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです8/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:50:27 ID:TB6qx7aU0
しかし時間がかかり過ぎだ。
ジョルジュは既にわずらわしさを感じていた。
そろそろこの場から退却したいのだが、どうしたものか。

ノパ听)「はー、疲れたー!」

少女は岩を上ってジョルジュの元へと歩いてきた。
全身水浸しのまま、にーっと楽しそうに笑っている。
その足取りは元気であり、跳ねているようにも見え、とても疲れたようには見えなかった。

少女はジョルジュの隣であぐらをかいた。
良く見れば衣服は葉っぱを重ね合わせて作られているようだ。
小さな艶やかな葉であり、どうもどこかで見たような気がした。

ノパ听)「食べよー」

少女はさっと魚に手を出した。
未だに跳ねまわろうとする魚を強引に手で抑え込む。

随分と力があるように見て取れた。
しかし食べるということは、そのままかじりつきでもするんだろうか。
うろことか痛くないのかなと思いつつ、ジョルジュは眺めていた。

ノパ听)「ではー」

少女は魚の左側面を上にする。
片手で魚を抑え、もう片方の手を高く上に伸ばす。
人差し指がぴんと伸ばされ、一瞬それが一本の棒のように見えて、そして……


振り下ろされた指の先が勢いよく魚の左目に差し込まれた。

825 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです9/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:51:27 ID:TB6qx7aU0
骨の砕ける音がした。
流体物が噴き出すのが見てもわかるし、音も聞こえてくる。

少女は肩から下の部分を熱心に動かしていた。
その激しい動きに連動するように、魚も痙攣を始めている。
さっきまでの跳ね方とは種類が違う。もっと荒々しく、最期の力を振り絞る跳ね方。
きっと魚に発声器官があれば耳を劈く悲鳴が聞えたことだろう。

ノパ听)「できたー!」

少女は魚の左目に手を突っ込んだ。もはや原型は無い。大きな穴ができている。
魚はもはや生きてはいなかった。
少女の手が思いっきり引かれ、魚の左目が取り出された。神経が何本も切れる音がする。

少女は魚の左目を自分の前に持っていき、口を開けた。
ゆっくりと口の中に、大きな目を入れていく。
少女の口は小さく、一定限度に達すると歯で目を噛みちぎった。

水晶体が陽光を反射して綺麗に光っていた。

少女は口の中でじっくりと目を咀嚼していた。表情はとても恍惚としている。
ふと、ジョルジュと目があった。少女はきょとんとして、それからはっとして、目をジョルジュの前に持っていった。

ひび割れて、崩壊を始めようとしている目玉がジョルジュに向けられた。
輝きのないそれがさっきまで生物の中にあって機能していたなんて、にわかには信じ難かった。

ようやくジョルジュの痺れた思考が戻ってきた。
少女の手を払いのけると、喚きつつ猛然とジョルジュは駆け出した。

826 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです10/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:52:26 ID:TB6qx7aU0
普通じゃないにも程がある。
吐き気がこみ上げてくるのを必死に堪えた。
見た目が子どもだから油断していた。そんな自分を後悔した。

ノパ听)「おじさんー」

後ろから声が聞えてくる。
振り返るわけにもいかない。あの手で掴まれたら最期、どうなることか。
さっきの魚の姿が頭に何度も蘇る。

岩場に足を取られそうになりながら、階段を上り、道路へと戻った。
無理をして走ったため、サンダルが切れかかっている。
大丈夫かなと心配になり、足元に目をやった。

鶏がいた。

(;´∀`)「あ、ちょっと! 捕まえてくれモナ!」

養鶏場から声がする。
鶏が逃げ出したのだろう。周りにはもう二、三匹鶏が歩いていた。

時間があれば拾ったかもしれない。でも今はそれどころじゃない。

ノパ听)「どこー」

背後から声がする。
彼女が階段を上ってきているのか。

827 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです11/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:53:26 ID:TB6qx7aU0
ジョルジュは咄嗟に足元にいた鶏を階段に向けて投げ込んだ。

(;´∀`)「あ! お前、何をするモナ!」

養鶏場の人が怒鳴ってきたが、耳には入らなかった。
それと同時に悲鳴が聞こえてくる。少女の悲鳴だ。
上手いこと鶏に襲われでもしてくれたのか。よかった。

ジョルジュはサンダルを放りだした。
もう頼りない状態になっていたからだ。
アスファルトの上を裸足で走りだす。

ホテルを目指す。部屋に入ってしまえば大丈夫だろう。
まさかこんなに夏らしい経験をするなんて思いもよらなかった。
モララーやクックルたちに話してやろう。あいつらどうせ暇しているから。

坂道を駆けのぼり、曲がり道を抜けていく。
道行く人はきっと怪訝そうな顔を向けているだろう。
よくは見えないけど。

ようやくガジュマルの木が見えてきて、ジョルジュは速度を緩めた。
すでに息切れをしていた。煙草を吸いすぎたからか、体力は随分と落ちたようだ。

後ろを恐る恐る振り返る。坂道の上には誰もいない。
上手く少女を撒けたようだ。

828 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです12/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:54:27 ID:TB6qx7aU0
荒い息づらいのまま、ゆっくりとガジュマルの木に近づく。
とにかく日陰に入りたくなった。あの大きな枝の下ならば涼しいだろう。

根元に辿りついて、木を背にして座りこむ。
坂から上り切ったところがちょうど見える。
ここからなら少女が現れても、急いでホテルのロビーに逃げ込めるだろう。

ポケットから煙草を取り出し、火を付けた。
煙が立ち上る。

ロビーにはきっと誰かいるだろうし、妖怪だって簡単には人を襲えないはず。
頭では無理やり結論付けているが、実際はここで休みたいだけだった。

やれやれ、酷いことに巻き込まれた。
ただ俺はただ乳房を見たいだけだったのに。


     ☆     ☆     ☆


( ゚∋゚)「なあモララー、ジョルジュ遅いなー」

( ・∀・)「あいつのことだし、女の子でも追いかけまわしてるんじゃないの?」

( ゚∋゚)「ありえる。なあ、もっと別の妖怪の話ないか?」

( ・∀・)「うーん、それじゃ、有名どころでいくか」

829 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです13/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:55:27 ID:TB6qx7aU0
キジムナー(キジムン)

沖縄諸島周辺で伝承されてきた伝説上の生物、
妖怪で、樹木(一般的にガジュマルの古木であることが多い)の精霊。


多くの妖怪伝承と異なり、極めて人間らしい生活スタイルを持ち、
人間と共存するタイプの妖怪として伝えられることが多いのが特徴。
「体中が真っ赤な子ども」あるいは「赤髪の子ども」「赤い顔の子ども」の姿で現れると言われることが多いが、
また、手は木の枝のように伸びている、一見老人のようだがよく見ると木そのものである、などともいう。

跳びはねるように歩く。 男女の性別があり、
大人になって結婚もすれば、子どもを生んで家族連れで現れる、あるいは人間の家に嫁ぐこともあるなどとされる。

魚介類を主食とする。
とくに魚の目玉(左目)が大好きで、目玉だけがない魚の死骸があったら、それはキジムナーの食べ残しと伝えられる。
また、グルクンの頭が好物だともいう。 自ら海に潜って漁をする。

( ゚∋゚)「グルクンてなに?」

( ・∀・)「タカサゴっていって、沖縄の県魚なんだ」

( ゚∋゚)「へえ。てか、話長いな」

( ・∀・)「もうちょっと掻い摘んで話そう。
 基本的には人間と共存して暮らしている。漁師には大量をもたらす嬉しい妖怪でもある。
 その他にも人々に良いことをもたらす面もあったりするんだ」

830 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです14/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:56:27 ID:TB6qx7aU0
( ・∀・)「言ってみれば沖縄版の座敷わらし」

( ゚∋゚)「ほー、島国でも似たような伝説があるってのは面白いな。
 でも良いことをもたらすってことは、例えばジョルジュがおっぱい欲しいって思っていたら叶えてあげたりするのか」

( ・∀・)「あー……ある意味正しい」

( ゚∋゚)「ある意味?」

( ・∀・)「まあまあ、まだ続きがあるんだ」


     ☆     ☆     ☆


横にサンダルが落ちてきた。
すぐには頭が働かなかった。ずっと坂の方に目を向けていたからだ。

ジョルジュはそのサンダルが自分のであることを確認した。
背筋が凍る。歯が震えだす。
時間をかけて、顔を真上へと向けた。

赤い髪が見えた。
木の洞から、例の少女が顔を出して、ジョルジュを見下ろしていた。
無表情で。

ジョルジュは思わず煙草をそのまま木に投げた。
少女はさっと木から下りる。
ジョルジュは立ちあがって、身構え、少女と向かい合った。

831 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです15/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:57:28 ID:TB6qx7aU0
ノパ听)「ここ、わんぬやー」
  _
(;゚∀゚)「……家ってこと?」

少女はこくこくと頷く。

ノパ听)「にーにー、ゆくさー」
  _
(;゚∀゚)「? な、なんのこと?」

ジョルジュにとってわけのわからないまま、少女は首を横に振った。
相変わらず冷たい目線が突き刺さってくる。
もう彼女に何を言っても無駄なことは明白だった。

と、焦げ臭いにおいがするのに気付いた。
  _
(;゚∀゚)「あ」

少女の後ろで火が見えた。
先程投げた煙草の残り火のために、ガジュマルの木が燃えはじめたのだ。

逆光のため、少女の顔はわかりにくくなった。
眼だけが赤く光っている。

ふと、少女は自分の脇に手を伸ばして、もぞもぞと動かした。
葉っぱでできた衣服が肌蹴る。ちゃんとした陽光の下ならば少女の素肌が見えただろう。
ジョルジュはうっかりその上半身を凝視してしまっていた。

832 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです16/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:58:27 ID:TB6qx7aU0
すると、異変が生じた。
少女の上半身の、ちょうど胸のあたりがみるみるうちに膨張し始めたのである。
  _
(;゚∀゚)「お、おお……」

ジョルジュは呆気にとられ、言葉にならない声を発した。
小難しい思考はかき消される。二つの目線が目の前の二つの膨らみに集中する。
光の加減をこれほどに憎んだことがかつてあっただろうか。

少女にとって不釣り合いなそれは、まさしく自分の追い求めていたものであった。
容姿とのバランスなど大した問題ではない。
ジョルジュにとってはその膨らみだけが判断対象であり、自分を満たす存在だったからだ。

そのもののみの張り、色艶、弾力、可動域、大きさ、硬さ、力強さ、膨らみ具合、垂れ具合などなど
各要素の組み合わせた総合評価によってその神聖さは図られる。
容姿を蔑にしても膨らみによりその女性全てを愛するという度量、気概、そして信仰心が彼にはあった。

敬虔な信者が神と対峙するが如く、腕を広げ、全身をわなわなと震わせる。
  _
(;゚∀゚)「おっぱいだ……」

ジョルジュにとっては偉大なるその名前を口に出す。
恍惚とした、あるいは赤子のような無邪気な表情を浮かべた。

833 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです17/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/15(木) 23:59:26 ID:TB6qx7aU0
もはや他の俗な考えはいらなかった。

少女が歩み寄ってくる。それに伴って豊満な幸せの塊が上下に揺れる。
ああ、私の元に来てくれるというのか。
ジョルジュはもう逃げるという選択肢を打ち消していた。

そうだ、どうして私はこの妖怪から逃げたのだろう。
本当はとても心優しい良い妖怪かもしれないじゃないか。
たまたま魚の目玉が大好きな妖怪だっているかもしれないのに、ちょっとグロかったからって逃げていいはずがない。

人間だって千差万別なのだ、偏見は良くない。
現に彼女は私に対して裸体を晒し対峙してくれているのだ。あまつさえ近づいてきている。
つまり彼女は、あのおっぱいは、私を許してくれているのだ。なんと慈悲深いことか。

ジョルジュは身をかがめ、少女を受け止める体勢へと移った。
乳房の膨張は拡大の一途を辿っており、ジョルジュの全身を包み込むには十分すぎる大きさへと変貌していた。
これぞ人間には真似できない妖怪ならではの技巧ではないかと、ジョルジュは感心し垂涎する。

褐色の肌が顔に触れ、温もりがジョルジュを包み込んでいった。
息もできないほどの昂揚感が頭の中でスパークする。
流れ出るアドレナリンを堰き止められない。目の前が真っ暗になり、そして……


     ☆     ☆     ☆


( ・∀・)「一度キジムナーに好かれるとうっとおしいほどについてこられてしまう。
 物語の多くの主人公はそのうっとおしさから、キジムナーと縁を切ろうと画策するんだ」

( ゚∋゚)「なんだか勝手な話だな。それで、どうするんだ?」

834 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです18/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 00:01:22 ID:YdZR4Pzo0
( ・∀・)「キジムナーと縁を切るには、そいつらが嫌いな蛸や鶏、鍋蓋、放屁などをぶつけなくちゃならない。
 でもキジムナーと仲良くなってからこれらのものを使うと逆にキジムナーを騙したことになって恨まれてしまう。
 それと、住処を燃やすこともやっちゃいけない。これがもっとも恨まれる。
 一度キジムナーに恨まれた人には大きな復讐が待っている」

( ゚∋゚)「復讐?」

( ・∀・)「そう。なんだか人間臭いやつだろ。しかもそんじょそこらの妖怪よりよっぽどえげつないやつ」

( ゚∋゚)「なんだよ、もったいぶらずに教えろよ」

( ・∀・)「まあそう急ぐなって。そもそもやり方は一つじゃない。
 ただ不運が続くように呪われることもあれば、人に化けて隙を見て目玉を焼きつぶしに襲いかかることもある。
 海沿いにいりゃ引きずり込んで怖い目にあわせたりするよ」

( ・∀・)「それと、他にも言い伝えがあるんだ。
 お話の種類によるけど、雄のキジムナーにはその体格に不釣り合いな睾丸が、
 そして雌のキジムナーには不釣り合いな乳房がある場合もある」

( ・∀・)「その場合、キジムナーはそれぞれの膨んだものを利用して、裏切り者の人間の顔面に押し当てるんだ。
 そのままものすごい力でそいつを窒息死させるんだとさ」

835 名前:( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです19/19 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 00:02:27 ID:YdZR4Pzo0
( ゚∋゚)「なーるほど、雌のキジムナーに絡まれていれば、どっちにしろジョルジュには幸せだというわけか」

( ・∀・)「そういうこと。あの呪いのお札もキジムナーにはぴったりな意味だと思うし」

( ゚∋゚)「なんて書いてあったんだ?」

( ・∀・)「妖怪さん、お友達になりましょう」

( ゚∋゚)「呪いっぽくないな」

( ・∀・)「そんな本気で呪われるようなこと書かないさ。でも人間と遊びたいキジムナーはよってくるかも」

( ゚∋゚)「そしたら今頃ジョルジュは楽しんでいるかもなー。
 あれ、なんか窓の外明るくないか?」

( ・∀・)「あれ、なんだろ……うわ、ホテルの前の木が燃えてる!」

(;゚∋゚)「ええ!? ここ大丈夫か?」

(;・∀・)「さすがに何かあったら連絡が来るだろうし、もう消防隊来てるみたいだから大丈夫だろうけど。
 誰だろう、煙草とかの残り火かな。危ないことしやがるぜ」

「まったくなー」

最後に誰の言葉が聞えたのか、結局二人はわからないままだった。




〜おわり〜

836 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:05:10 ID:9OyKUJDU0
くそううらやましい

837 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 00:05:38 ID:YdZR4Pzo0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

なんかムラムラして勢いで書いた。
きっと明日には羞恥心で消してしまうから今のうちに投下する。
ゆくさー=うそつき

838 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:06:30 ID:HotGtFBA0
沖縄の妖怪は本土と一味違って危ないのが多いよな、乙

839 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:06:34 ID:54Y4jdIk0
間髪いれないようで悪いけど39本目いく



  .,、
 (i,)
  |_|

840 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:09:07 ID:54Y4jdIk0
 
 
 
  某日、地元の夏祭りにて。
  ナンパ目的で祭りに臨んだジョルジュは、さっそく好みの女の子を見つけた。
 
 
(゚、゚;トソン「で、デート?」
  _
( ゚∀゚)「ここで会ったが何かの縁! たのんます、名も知らぬ可愛い人!」
 
(゚、゚;トソン「え、えぇぇ……?」
  _
( ゚∀゚)「! じゃ、じゃあ、せめて写真だけでも!」
  _
( ゚∀゚)「花火を背景に! あ、きた! じゃー撮るから!」
 
(゚、゚;トソン「え、あ、ちょ……」
  _
( ゚∀゚)「はいしゃがんで、笑ってー!」
 
(゚、゚;トソン「あ、え……、……こ、こう?」
 
 
カシャッ http://imepic.jp/20130815/860640
 
 
.

841 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:10:11 ID:54Y4jdIk0
 
 
  _
( ゚∀゚)「やっべ、花火撮り逃した」
 
(゚、゚トソン「え、ええと…?」
  _
( *゚∀゚)「いやあ、ひと夏の思い出をありがとうございます!」
 
(゚、゚トソン「あ、その……はい」
  _
( ゚∀゚)「じゃ、縁があったらまた会いましょう! そんときはデートでも!」
 
(゚、゚トソン「………」
  _
( ゚∀゚)「…?」
 
(゚、゚トソン「そ、その……」
  _
( ゚∀゚)「あ、はい」
 
(゚、゚;トソン「え、えっと、い、いまから………、……その。」
 
(、 ;トソン「暇だったり……ゴニョゴニョ」
  _
( *゚∀゚)「!!! 暇!! 暇ですとも!!」
 
(゚、゚;トソン「よっ、よかったら、ちょっと山道でも散歩したいなー、って……」
  _
( ゚∀゚)「ここら、祭りで騒がしいすもんね。 俺でよかったら、喜んで!」
 
(、 *トソン「………!」
 
 
.

842 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:11:03 ID:54Y4jdIk0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  ――― 初見で、いや、せめて写真の時点で気づくべきだったのになあ。
 
 
  のちにジョルジュがのこした、誰にも聞かれることのない言葉である。
 
 
 
 
 
 
 
.

843 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:12:26 ID:54Y4jdIk0
  (
   )
  i  フッ
  |_|



顔がでかく四肢がちいさいのは、不気味さを演出してるんじゃなくてただの画力不足です。
女子中学生が描きそうな絵だけど、まあわかる人にだけでもわかってもらえたら幸いです。

844 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:27:19 ID:JCijkI5w0
死装束ってことか


845 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 00:31:31 ID:54Y4jdIk0
もうひとつ
細かいからこっちはどうでもいいんだが

846 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:16:06 ID:D1A5bmlw0
投下してもいいのかな……

847 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:19:18 ID:NLn1zrRs0
こいや

848 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:19:28 ID:Ql9jkjn2O
いいんじゃないかな

849 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:24:05 ID:pSzcEu2I0
おいまだか

850 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:24:53 ID:D1A5bmlw0
おk、じゃ投下します40本目!
  .,、
 (i,)
  |_|

851 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:25:39 ID:D1A5bmlw0


( ><)「ある朝のことなんです!」

( ><)「僕が中学校に入学して二年目の夏休み!」

( ><)「その初日に友達と遊ぶために起きたら」


((●))


( ><)「ちっこい目玉のお化けが僕の前にいたんです!」


((●))「おい若太郎!やっと見つけたぞい!」


( ><)「彼……かれ?が言うには、僕はこの目玉の息子だというんです!」

( ><)「しかし!しかしですよ!?」

( ><)「『若手 若太郎』14歳!僕には父と母がいます!こんな奴が僕の父親!?」

( ><)「ありえないんです!」


( ´ー`)「え?若太郎は僕らの息子じゃネーヨ?そこらへんに落ちてたから拾ったヨ」

( ><)「これから宜しくなんです目玉の……いや、『父さん』!」

852 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:26:23 ID:D1A5bmlw0



( ><)ビビビの若太郎のようです



.

853 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:27:10 ID:D1A5bmlw0

( ><)「前々から変だなぁとは思ってたんです!」

( ><)「なんか皆には見えないものが見えていたり!」

( ><)「たまたま抜け落ちた髪の毛が妙にトゲトゲしくて、床に突き刺さったり!」

( ><)「聞けば僕は、ナントカ族の生き残りなんだそうです!」

( ><)「で、なんの生き残りでしたっけ父さん」


((●))「ビビスカテルソ=霊長=ソネスベルグ=幽霊族じゃ!」


( ><)


( ><)「幽霊族の生き残りなんだそうです!」


((●))「略すな若太郎!!」

( ><)「うっせー!!長ったらしいのは大っ嫌いなんです!!!!!!」

854 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:28:12 ID:D1A5bmlw0

( ><)「そんな父さんが、僕に使命を言いました!」


((●))「お主はここらで悪さをしている妖怪を退治できるほどに成長したようじゃ!」

((●))「じゃから、妖怪がらみで困った人がいたら、助けてやってほしいのじゃ!」


( ><)「今までさんざ放っておいた人げ……妖怪が何をとも思いましたが……」

( ><)「その言葉を聞いた僕は、その言葉に打ち震えました!」


( ><)「なんか力が有り余ってたので!」

( ><)「日頃のうっぷんやストレスを妖怪にぶつけるには絶好だったので!」

( ><)「僕は快く了解したんです!」

( ><)「でもそんなことよりまずは遊びに行かなきゃなんです!」

( ><)「もう待ち合わせ時間が予定より30分も過ぎてるんです!」

855 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:28:53 ID:iMXVWuVI0
おいなんか始まったぞ……

856 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:28:55 ID:D1A5bmlw0

公園


( ><)「僕は公園へとやってきました!」

( ><)「公園では友達がイライラしながら僕を待っててくれたのですが」


 ∧_∧
(*‘ω‘ *)「遅いっぽ!ビロード!」

 ∧_∧
( <●><●>)「もう時間が間もなく1時間になることはワカッテマス」


((●))「こ、こやつら……妖怪じゃ!!」


( ><)


( ><)「何言ってんだこいつ!」

857 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:29:58 ID:D1A5bmlw0

( ><)「こちらも前々から違和感を感じてましたが!」

( ><)「なんか猫耳付けてるなーとは思ってましたが!」


( ><)「僕と同級生の椿歩(ツバキ アユム)ちゃん!」

( ><)「通称ちんぽちゃん!」

( ><)「同じく同級生で苗字が同じの若手升(ワカテ マス)くん!」

( ><)「通称マスかくん!」

( ><)「僕の友達が妖怪だなんて、信じられるわけがないじゃないですか!」


((●))「何を言っておる!こやつ等は凶悪な妖気を放っておる!」

((●))「ここいらの人間たちが『よくタンスの角に足の小指をぶつけている』のも、こやつらの仕業じゃ!」


( ><)「凶悪だとのたまっている割には、凄く地味なことしかやってない気がするんです!」

858 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:30:53 ID:D1A5bmlw0

((●))「こんなことをするのは奴らしかおらん!妖怪……」


((●))「妖怪……妖怪……」


((●))


((●))「妖怪『よくタンスの角に足ぶつけるようになる』じゃと思うな!」


( ><)「こいつ、絶対分かんなかったから適当に言ったんです!」

( ><)「そして、即席で作ったネーミングにしてはクソが付くほど悪いんです!」


(*‘ω‘ *)「ふふふ、よもやバレちゃ仕方ないっぽ!」

( <●><●>)「いかにも!私たちが妖怪『よくタンスの角に足ぶつけるようになる』……」


        バアアーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!

      (*‘ω‘ *)「「通称妖怪『タン足』!!」」(<●><●> )


( ><)「名前が当たっててしかもこのネーミングの悪さ!」

( ><)「もう救いようがないんです!!」

859 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:31:49 ID:D1A5bmlw0

(*‘ω‘ *)「それで?」

( ><)「え?」

( <●><●>)「私たちが『タン足』だから、どうしようっていうんです?」

( <●><●>)「『タン足』でも、侮れないですからね!?」ゴオォォ

( ><)「うわっ!なんかマスかくんから黒い煙が!これが妖気というものなんですか!?」

( ><)「でも『タン足』って言うだけで威圧感が無くなるんです!クソネーミングに感謝なんです!」


(*゚ω゚ *)「短足の何が悪いってんだああああああああああああああ!!!!」ゴォォオォ!!

( ><)「うわぁ!なんか勝手にちんぽちゃんが怒り始めたんです!ならどうしてそう略した!」


((●))「彼奴等を放ってはおけん!今こそお主に宿る力を発揮するんじゃ!」

( ><)「僕に宿る力!?それはいったい何なんです!?」

((●))「知らん!なんか内側に潜んでるっぽいのを外に出すイメージをすれば出るはずじゃ!」

( ><)「こいつクソほども使えない親父なんです!もう勝手にやるから黙ってろなんです!」

860 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:33:02 ID:D1A5bmlw0

( ><)「う……う……」


   「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
        \  ヽ     ! |     /
     \    ヽ   ヽ       /    /       /
        \          |        /   /
    ゴワァァァァ!!!             ,イ
 ̄ --  = _           / |              --'''''''
          ,,,     ,r‐、λノ  ゙i、_,、ノゝ     -  ̄
              ゙l            ゙、_
              .j´ . .  .  .   (.     ゴワァァァァァ!!!
    ─   _  ─ {    (><#)   /─   _     ─
               ).  c/   ,つ   ,l~
              ´y  { ,、 {    <
               ゝ   lノ ヽ,)   ,


(*‘ω‘ *)「なっ……!」

( <●><●>)「これは!強大な妖気が発せられている!」


(#><)「くらえぇぇぇ!!!必ィィィィ殺ッッッッ!!!」


      パァァン!!
(#><)     「レイガン!!」
 ⊂彡☆))゚ω゚ *) 「なんでっぽべらっ!?」


      パァァン!!
(#><)      「体内電気!!」
 ⊂彡☆))0><●>)「関係ねぇべふ!!」

861 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:35:40 ID:D1A5bmlw0

( ><)「はぁ……はぁ……」

(#)ω; *)「痛いっぽ……」

( #)><●>)「な、なぜ!私たちに手加減をしたんですか!貴方なら私たちを……!」

( ><)「それは!しょうもないからに決まってるじゃないですか!」

((●))「どストレートに言うのぉ若太郎」

( ><)「それに!今までずっと遊んできた人間……じゃないけど!」


( ><)「『友達』を!消せるわけが無いんです!」


(#)ω; *)

( #)><●>)

( #)><―>)「……まったく、あなたという人は」

(*><)「……えへへ」


「さ、遊びに行くんです!」

「痛いっぽ、これは弁償を要求するイタァ!!」パァン!!

「全くもう……」

862 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:38:09 ID:D1A5bmlw0

( ><)「その一件以来、僕たち三人は『若太郎ファミリー』として活躍を始めました!」

( ><)「今日も今日とて、妖怪に困ってる人間のために学校に通いつつ頑張ってるんです!」


( ><)「クソほども使えない目玉の親父!」

( ><)「同じくちんぽちゃん!」

( ><)「同じくマスかくん!」


( ><)「戦闘要員は僕しかいないけど、相手にストレスぶつけてるので気にしてないんです!」

( ><)「ちなみに、ビンタでどんな妖怪も張り倒すので、こんな名前で人間には伝わってるそうです!」


( ><)「『ビビビの若太郎』」


( ><)「夜中に乾いた張り倒した音が鳴り響いたら、それは僕かもしれないんです!」

( ><)「それでは!またどこかでなんです!」




( ><) ビビビの若太郎のようです

  (
   )
  i  フッ
  |_|

ギャグパクリスペクトしました鬼太郎さんごめんね

863 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:40:23 ID:Uvn0Cjjk0
綺麗にまとめやがったwwww乙!

864 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:40:23 ID:E7uFVXSk0
くそわろたwwww
意外と言う子なビロードも可愛いなprpr

865 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:40:59 ID:u5jfw6AE0

テンポが良かったと思う

866 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:45:37 ID:NLn1zrRs0
そういや本家鬼太郎のビンタの擬音はビビビだなwww

乙乙

867 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:51:39 ID:tghfWQP.0

ワカッテマスのあだ名がひでぇ

868 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 01:54:21 ID:E7uFVXSk0
>>440
間違ってからすまん
左胸のとこに血みたいなの着いてないか?
単に浴衣の模様かも分からんが

869 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:10:53 ID:NLn1zrRs0
>>868
俺はトソンに影が無いのが気になったな
あと、背後のサンドワームみたいなトゲトゲしたの何だろうかと

870 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:14:51 ID:rA6TgEHU0
乙! ネーミングセンスに吹いたwww
次、投下しても大丈夫かな……?

871 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:22:17 ID:NLn1zrRs0
こいやこいや

872 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:22:55 ID:rA6TgEHU0
では、41本目……いただきます。

  .,、
 (i,)
  |_|





('A`)はしあわせな村の一員になるようです

873 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:24:34 ID:rA6TgEHU0

 行方不明になったはずの親戚から手紙が来た。

 内容はとても簡素なもので、家族に対する謝罪もなければ安否を確信できる言葉もない。
 あったのは記録――日記だけだった。

('A`)「このあたりのはずなんだが」

 手紙には村の場所と、その村での出来事が記されていた。それだけだ。
 まあ、親戚の行方を知る手掛かりになる何かがないかと、ダメもとで来てみたってわけだ。
 家族の中で一番暇だった俺が。うるさいニートで何が悪い。

('A`)「帰りたい」

 見渡す限り木。右も木。左も木。上も木。
 生き物の姿はどこにもなく、背の高い針葉樹林が静かに立ち並んでいる。
 足元はぬかるんでいて歩くたびにピシャピシャ音を立てる。
 道中で拾った緑の実をかじる。独特の甘さが口の中に広がった。首筋を掻く。

('A`)「何もなさそうだし……帰ろうかな」

874 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:25:35 ID:rA6TgEHU0

 森は静かに葉を揺らすばかりで、村のむの字はどこにも見当たらない。
 そもそも手紙の内容だっておかしかったのだ。きっとだれかのいたずらだったに違いない。
 んで、俺はありのままを伝えればいいんだ。責められはしないだろう。手掛かりは何もなかったと。

 さて、日が落ちる前に森を抜けなければ。木の実を口の中に詰め込む。
 針葉樹林は日中でも薄暗い。日が暮れてしまえば帰れなくなってしまうだろう。
 180度回転して来た道を戻る。

 足が止まる。

('A`)

 ……グス……ッウ……ッ……

(;'A`)

 人の声が聞こえた。子どもの泣き声、のようだ。
 放置して帰るのも良心がいたむので、とりあえず声の方を覗いてみる。

(;<;*)「いたい、あつい。あついよ」

 いたのは男の子だった。
 膝に顔をうずめて泣きじゃくっている。

875 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:26:44 ID:rA6TgEHU0

('A`)「お前、迷子なのか?」

(;<;*)「うぇ……ぅ……あ、れ?」

 男の子が立ち上がる。
 どうしてここにいるのか分からないようで、あたりをきょろきょろ見渡している。

('A`)「……俺はドクオ。お前は?」

 とりあえず自己紹介をする。幹の陰から。
 びくりと身体が揺れる。初めて俺のことを認識ようだった。
 男の子は涙でいっぱいの目をこする。ちらりと見えた目は森を映したような深緑をしていた。

(う<‐*)「おとじゃ。…………どっくん。どっくん」

('A`)「どっくん……まあいいけど。お前このままじゃこの森で凍死すっぞ。ほら、ついてこい」

 伸ばした手を弟者の手が握る。
 じめっとした感触に手を引きそうになる。さっき涙を拭っていたから当然だろう。深呼吸する。
 ブチ。弟者が一歩進むと同時に何かが抜ける音。

(・<・*)「どっくん、いっしょ。いく」

876 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:27:39 ID:rA6TgEHU0

 俺の手をぎゅっと握り、満面の笑みを浮かべる。
 それは年相応のもので、不思議と安心感がある。
 怖さなんてどこかに飛んで行ってしまった。

('A`)「まったく、お前のせいで道忘れるところだったじゃねえか」

 目印を幹に貼る。
 ここを左にまっすぐ進めば森の外に出られる。

(・<・*)「おなかすいた」

('A`)「とりあえず出てからな」

(;<;*)「おなか、すいた」

(;'A`)「あーもう。分かったから泣くな、頼むから泣くな」

 子どもに泣かれるとどうしたらいいか分からない。
 首筋を引っ掻く。

(・<・*)「ごはん、ごはん」

('A`)「今これしかねえぞ」

 リュックの中からおにぎりを出す。ここに来る前コンビニで買ってきたものだ。
 弟者は渡されたおにぎりを見て首をかしげている。

877 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:28:41 ID:rA6TgEHU0

(・<・*)?

('A`)「どうした」

(・<・*)「これ、なぁに?」

('A`)「おにぎり、だ」

(・<・*)「おにぎり?」

 弟者はおそるおそる、おにぎりのにおいを嗅ぐ。
 それでもよく分からなかったようで耳をぴくぴくさせていた。

('A`)「米で作ったボールって言ったらいいのかな……
    なんだお前おにぎりも食べたことないのか?」

(・<・*)「うー、だって、これ、はじめてみる、もん。
     これ、あにじゃに、わたしてくる!」

 そう言い残して弟者は森の奥に消える。変な子どもだ。
 急に現れたと思ったら消えた。第一あいつは迷子じゃなかったのか。
 まあ……道を知っているみたいだし大丈夫そうだ。

878 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:29:56 ID:rA6TgEHU0

 かといって、このまま放っておいてしまうのもなんだか気が引ける。
 追いかけようとしたら今度は背後から荒い呼吸が聞こえた。
 慌てて振り返ると眉の垂れたおっさんがこちらを見ていた。

ハァハァ(;´・ω・`)「おや、鬱田さんじゃないですか」

(;'A`)

 顔面汗だくの変なおっさんだった。やけに息が荒いのも気持ちが悪い。
 ここに住んでる人たちは急に現れるのがマナーなのだろうか。
 というか、なぜ俺の名前を知っているんだこいつは。
  
(;´・ω・`)「ああ、驚かせてしまってすまないね。僕はショボン。
      君のおじいさんの友人で、君のおじいさんも昔はここの村の人だったんだ。
      君も小学校に上がるまではここの村に住んでいたんだよ?」

('A`)「え……そうなのか?」

(;´・ω・`)「ハァハァ覚えていないのも無理はないよ。ここはすっかり寂れてしまったからね」

('A`)「それはそうだとしても……なんでそんなに汗だくなんだ」

(;´・ω・`)「さっきあそこで薪を割っていたんだ。
      どうせ宿もないんだろう、僕の宿にくるといいハァハァハァ」

 なぜだろう、身の危険を感じる。

(;'A`)「い、いや、それは悪いよ流石に」

(;´・ω・`)「遠慮しなくてもいいのに。君のおじいさんと僕はとっても仲がよかったんだよ。
      来てくれたら村の超極秘の秘密も見せてあげるよ? ハァハァハァ」

879 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:30:56 ID:rA6TgEHU0

 半ば強制的に連れられた建物は、それはそれは大きな宿だった。
 弟者とは宿の案内が終わってからまた合流することにした。

(´・ω・`)「まだ近い昔の話、この村に双子が生まれたんだ。
      しかし不幸なことにこの村では双子というのは忌み嫌われる存在だった。
      双子は村から追放され、なすすべもなく死んでしまった」
 
 案内された地下に降りると、長い廊下が出現する。その両脇には蔦が絡んだ扉が何枚も並んでいた。

(;'A`)

 不気味だ。薄暗いから、という理由だけでない。
 壁や扉、床、天井、ところどころに植物の根っこや蔦が張り巡らされている。
 今にも何かが襲い掛かってきそうなほどこの場の空気はどんよりしていた。少し、息苦しい。 

(´・ω・`)「この蔦は――ああ、いや、中で話そうか」

 ショボンさんが近くのドアノブをひねる。
 重い音を立てて、ゆっくりと部屋の中に廊下の光が差し込む。

(´・ω・`)「どうぞ」

 まるでお茶を出すような声色だった。

880 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:31:58 ID:rA6TgEHU0

(;'A`)

 部屋いっぱいに広がる植物の根。そして部屋の中心におかれた寝台には人――らしきもの。
 蔦と根っこでがんじがらめにされていて、人間らしい原型はほとんどなかった。
 ほとんど骨と皮であるせいだろうか。
 近づいて顔を見てみると、それとどことなく探している親戚に似ているような気がした。

(´・ω・`)「これこそが呪いさ」

('A`)「のろ、い?」

(´・ω・`)「そう。呪われた村人はこうやってヤドリギのご飯にされてしまうんだ。
      でも、不思議なことに幸せな顔をしているだろう」

 蔦から垣間見える顔は確かに笑顔だった。
 同時に感じる強烈な違和感。首筋をひっかく。

('A`)「ああ……どうしてこの人は笑ってるんだ。
    普通は歪んでてもおかしくないのに」

 死因は知らないが、笑いながら死ねるなんてことはほとんどないはずだ。
 納棺前に穏やかだったりするのは、だいたいが手を加えて表情を整えているからだ。

(´・ω・`)「至極簡単なことさ。幸せだからだよ」

 ショボンさんは当たり前であるように断言した。

881 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:32:47 ID:rA6TgEHU0

(´・ω・`)「双子はね、みんな幸せになってほしいと願う優しい子たちだったよ。
      だから呪いと言っても恐ろしいものではないんだ。
      幸せになるおまじない。永遠に幸せになるための手段とも言える。
      ほらごらん、幸せな顔を見れると幸せな気持ちになれるだろう?」

 有無を言わさないような雰囲気に言葉を呑み込む。
 ショボンさんってこんな人だったか? 昔の記憶を手繰るが何も思い出せなかった。

 心の中で親戚に別れを告げ、部屋を出る。
 廊下に連なるたくさんのドアの向こう側にも、きっと同じしあわせな光景が広がっているのだろう。

('A`)(あれ……端っこのドアだけ蔦で埋め尽くされてる)

(´・ω・`)「ちなみに廊下の端に見えるあの蔦のドアのなかはね、ついさっき亡くなった人の部屋なんだ」

 痒い部分が痛む。ガリガリ。

('A`)「その部屋にも――あるのか」

(´・ω・`)「うん。見るかい?」

('A`)「……いや、いい」

(´・ω・`)「まあ、見せられないんだけどね」

('A`)「なら聞くなよ」

 ショボンさんはくすくす笑うと、次は一階に案内してくれた。

882 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:33:42 ID:rA6TgEHU0

 こちらは先ほどと雰囲気が変わり、テレビにソファ、生け花、と落ち着ける空間だった。
 ただし、人は俺たち以外にだれもいない。

(´・ω・`)「部屋の準備をするからちょっと待っててね」

 ショボンさんを見送ってからソファに座る。
 思っていたよりも疲れていたようで足が石のように重かった。

('A`)「……気味悪ぃ」

 一番驚きなのは、あんな光景を見たにもかかわらず平然としている自分である。
 仮にも、この宿の地下には死体があるのだ。それなのに、どうでもないことのように受け入れてしまっている。
 変なこと続きで心身ともにもう限界なのかもしれない。親戚も――あんな形で発見することができたしな。

('A`)「やっぱり圏外かよ……お決まりだな」

 気分転換に誰かの声が聴きたくてスマホを取り出すが、このザマだ。
 充電が勿体ないので電源を落とす。

 (  _ゝ )

 刹那、暗くなった画面に映る顔。
 反射的にふり返るとそこにはショボンさんがいた。
 スマホをポケットの中にしまう。しん、こきゅう。

(´・ω・`)「おまたせ、部屋の準備ができましたよ」

('A`)「ありがとう」

883 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:34:47 ID:rA6TgEHU0

 案内された部屋は、ごく普通の部屋だった。窓からは外の森がよく見える。
 部屋の中には鉢がいくつか置いてあって、どれも念入りに手入れされているのか青々と茂っていた。
 ショボンさんが入口付近の苗木に笑いかける。幹に巻きついた蔦を撫でる手つきが優しい。

(´・ω・`)「さっきはありがとうな。
      でも、もっとおいしいものがいいなァ」

('A`)「……木の実か何かのことか?」

(´・ω・`)「あ、ああ。こいつはとっても美味しい実をつけるんだ。
      君もここに来る途中で食べただろう?」

(;'A`)「えっ。どうしてそれを知ってるんだ」

(´・ω・`)「簡単な事さ。ここに来る人は必ず食べてるからね。
      お礼を言ってあげるとすごく喜んでくれるよ」

 ショボンさんは最後ににこりと笑う。

(´・ω・`)「鬱田さん、ずっとここにいてもいいんですよ?」

('A`)「いや……俺には家があるし、無理だよ」

(´・ω・`)「そう。とりあえず、今晩はどうぞごゆっくり」

884 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:35:45 ID:rA6TgEHU0

 *  *  *

 タダで泊まれるということで、結局ショボンさんの好意に甘えさせてもらった。
 気味悪いことには気味悪いが、このまま家に帰る元気がないのも事実だった。
 引き出しにあったライターをポケットに入れる。何かあったときのためだ。

('A`)「おっとと」

 つまずいて転ぶ。その拍子に机の上の荷物を床にばらまいてしまった。

(;'A`)「っち、ついてねえな」

 適当に拾い上げカバンに詰めなおす。
 入口付近にまで転がったティッシュを拾ったとき、少しだけ湿っていることに気が付いた。

('A`)「……なんか零したっけか?」

 手さぐりで湿っているところをたどるとどうやら部屋の外に続いているようだった。
 カツンカツン。音は窓の方からだ。カツンカツン。あーはいはい急かすなって。
 振り返ると窓の外で黄緑色の耳がぴょこぴょこ動いていた。

(・<・*)「どっくん!」

 カツカツと窓を叩いていたのは弟者だった。
 ぴょんぴょん跳んでいるからか顔が引っ込んだり出てきたりしている。

('A`)「そっち行くからちょっと待ってろ」

(・<・*)「うん、まつ! やくそく!」

 満面の笑みが見えて、消えた。

885 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:36:36 ID:rA6TgEHU0

 外に出て弟者の姿を探す。嵐のような子だからな、もしかしたら森の中に隠れているかもしれない。
 自室の窓の下に姿がないことを確認して森の中に一歩踏み込む。
 後ろから何かに抱き着かれた――黄緑色の耳がぴこぴこ動いている。

(*'A`)「おまたせ」

(・<・*)「えへへ、どっくんだぁ」

 ぎゅっと手を握られる。

(*'A`)「これからどうするんだ?」

 少しの間でも、あの場所から離れられることが嬉しかった。
 それに、この無邪気な笑顔を見ているとなぜか安心する。

(・<・*)「うーん……」

 弟者が首をかしげる。何も考えていないあたり本当に子どもなんだなとほっこりする。
 唇をへの字にまげて悩んでいる弟者の目を見ていると――ショボンさんが言っていた言葉が浮かんだ。

(*'A`)「木の実美味しかったぞ……ありがとな」

 近くの木を撫でるとなぜか弟者が笑顔になった。

(・<・*)「ありがとうー」

(*'A`)「なんでお前が礼言うんだよ」

(・<・*)?

886 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:37:16 ID:rA6TgEHU0

(・<・*)「そうだ! いっしょに、いこ!」

 ぐいっと森の中へ引っ張られる。
 思っていたより力が強く、抵抗も虚しく引きずられてしまう。

(;'A`)「ど、どこにっ!?」

(・<・*)「ごはん、おいしかった! あにじゃも、ありがとういってた!
      あいたいって! どっくんと、なかよしに、なりたいって!」

 弟者はぴょんぴょん跳ねながら兄者という人物について説明しだす。
 進んでいる森の先には人の住めそうな場所があるなんて想像ができない。

(;'A`)「あにじゃって?」

(・<・*)「さすがなきょうだい、だよ!」

 周りの景色に蔦が増える。それと地面はだんだんぬかるんできて進みにくい。
 きょうだい、という言葉に思考が止まる。可能性がないわけじゃない。
 弟者は、もしかするとショボンさんの言っていた――「ここだよ!」

(・<・*)「ここ。ぼくと、あにじゃの、おうち!!」

887 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:38:28 ID:rA6TgEHU0

 たどり着いたその空間は少し開けた場所だった。
 周りを背の低い木に囲まれ、蔦がそれぞれの木をつなぐように伸びている。
 中でも大きな木が一本。その木の根の半分は湖に浸っている。
 それは綺麗な湖だった。限りなく透明で、手にすくうと薄水色をしていることが分かる。
 底を覗く。思ったより深かった。

('A`)(吸い込まれそうだ)

 水面に手を入れる。ぴちゃぴちゃと掻き回せば波紋が暴れる。
 身体が前に傾く――落ちる、そう思った瞬間、手首を捕まれた。

( ´_ゝ`)「やだっ、そんなまじまじと見ないでどっくん」

Σ(;'A`)ビクゥ!!

 湖の中から男が出てきた。正しく言えば水が男の形になった。
 どことなく弟者にそっくりな容貌。にっこり笑みを浮かべるところは特にそっくりだ。

( ´_ゝ`)「こんにちはどっくん。俺はァ弟者のお兄ちゃんです。
       湖に住んでるよ! つかもう湖is俺って感じなんだけどね。
       綺麗って思ったでしょ、ね、綺麗でしょわたしっ」

 言っていることはただの変態のそれだが。
 おかげで、というかそのせいで、というべきか。目の前の事実にたいした驚きを感じない。

888 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:39:11 ID:rA6TgEHU0

('A`)(こんな幽霊嫌だな……)

( ´_ゝ`)「あふん」

('A`)(なにこいつきめぇ」

( ´_ゝ`)「どっくんとやら、本音が見え」

('A`)「ドクオです」

( ´_ゝ`)「ドクオくん、本音が見え」

(・<・*)「なになにー?
      あにじゃ、きもいの?」

('A`)「うん、弟者くんはあんなふうになっちゃダメだよってことだよ」

( ´_ゝ`)「登場してからわずか数秒でこの仕打ち!
       ドクオくんったら辛辣なんだからっビクンビクン」

(・<・*)「あにじゃ、うるさい」

( ´_ゝ`)「いやん、実の弟まで冷たい!ハァハァ」

('A`)

( ´_ゝ`)「ああ、ごめんなドクオくん。そしておかえりこの村へ。
       俺、お前に聞きたいことがあって、それで弟者に連れてきてもらったんだよ。
       俺は水がないと動けないからなァ、ほんとめんどくさい身体」

889 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:40:01 ID:rA6TgEHU0

( ´_ゝ`)「ドクオくん、幸福とはなんだと思う?」

('A`)(急に真面目な話になったな)

 ショボンさんと蔦に絡まれた人の表情が頭に浮かぶ。
 幸せ、とはなんだろう。

('A`)「……」

 答えることができなかった。

( ´_ゝ`)「幸福っつうのはなァ、実はとても単純なものなのだ」

(・<・*)「みんな、なかよし!」

( ´_ゝ`)「例外の俺たちにはそれが許されなかった。
       双子だからって理由だけで、村中から石を投げられたよ」

('A`)(双子……やっぱり弟者は……)

(・<・*)「んー!! いたいの、だめ! しない! かなしい」

( ´_ゝ`)「ははは、弟者は優しいな。酷いことたくさんされたのにな。
       そんで、森に追放された俺たちは、残念ながらただの子供だった。
       何もできるはずがなかったんだ」

(・<・*)「なか、みずのなか。あにじゃ、みずのなか」

( ´_ゝ`)「ふふふ、生憎俺は泳げなくてな。
       そして弟者は餓死して木の養分になったんだよな。
       ちなみに弟者が小さいままなのは弟者の“ヤドリギ”の成長に関連してるっぽい」

890 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:41:11 ID:rA6TgEHU0

(う<⊂*)「しくしく。さみしい。かなしい」

( ´_ゝ`)「悔しいことにな。なぜみんな仲良くなれないんだろうな。
       先入観ですべてを決めてしまうんだろうな」

(・<・*)「ね。なんでなんで?」

( ´_ゝ`)「知るすべなど俺たちになかったが、一つだけわかったことがある」

(・<・*)「きらきら! あにじゃとまた、いっしょ!」

( ´_ゝ`)「優秀だからな俺らは、やっと気付けたのだ。
       不幸者が率先して幸せな世界を作ることが、しあわせになる一歩なのだとな」

(・<・*)「らっき、はっぴ! みんな、なかよし、しあわせ!」

( ´_ゝ`)「うぬ。簡単に言うとそういうことだ」

(・<・*)「いいでしょ!」

( ´_ゝ`)「どうだドクオくん。俺たちの理想のために、お前の力を貸してくれないか」

(;'A`)「……具体的には何したらいいんだよ」

( ´_ゝ`)「んーそうだなァ。ずぅっとしあわせになってくれるだけでいいわ。
       村人みんなと仲良しこよししててくれ」

891 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:42:41 ID:rA6TgEHU0

(・<・*)「でも、このままだと、けんかするよね?
      だから、おてつだい、する!」

 見てるだけで幸せになれるしな、と兄者は付け足す。
 それは要するに、俺にあの寝台の人間のようになれと言っているのだろう。
 蔦の餌食になれと――おまじないをかけられろと。

(;'A`)「……断ると言ったら?」

( ´_ゝ`)「そいつァ聞けないな。ドクオくんもこの村の住人だったわけだし」

(・<・*)「だめだよ。どっくんは、いっしょ! やくそく、した!」

( ´_ゝ`)「というわけだドクオくん。悪い話ではないと思うぞ?」

(・<・*)「ね、どっくんもしあわせになろう?
      おいしいきのみ、たくさん。ずうと、あそべる。いっぱいいっぱいたのしいよ!」

 弟者が俺の首筋に手を添える。
 何かが巻き付くような感覚に近いそれに、ぞわりと全身に鳥肌が立つ。 

(;'A`)

 とっさにはねのける。
 しかし弟者はあの笑顔のまま、また俺に手を伸ばしてきた。

892 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:43:31 ID:rA6TgEHU0

 このままじゃやられる。
 何かないかとポケットを探る。あった。ライターだ。
 ライターで紙に火をつけて弟者に突き出す。

(;'A`)「いくらお前でも、これ以上近づいたら燃やすぞ」

(・<・;)「ど、どっくん! あぶない、やめて?」

 弟者が後ずさる。ばかめ、子供とはいえ油断しすぎだ。
 弟者だけではない。兄者は俺に情報を流しすぎた。
 弟者の正体が分かってしまうぐらいに。

(;'A`)「じゃあな!」 

 一番大きい木の幹に燃えた紙を投げる。
 火はすぐに木に移り、木を――弟者を燃やし始めた。

(;<;*)「あ゛………ああ、っ……あああああ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁあああ」

 兄者はあっけにとられているのかじっと俺と弟者を見ているだけだった。

(;<;*)「あつい! あついよ! あ、づぃいいい゛い゛い゛いいいい!!!!」

( ´_ゝ`)「……」

 金切り声をあげて弟者が地面に崩れ落ちる。
 やはりあれが“宿り木”だったようだ。木はものすごい勢いで燃え始める。
 ライターをしっかり握りしめ走る。

893 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:44:34 ID:rA6TgEHU0

(;'A`)ハァハァ

 方向感覚が分からないがとどまっているよりマシだろう。
 やはり兄者は湖から動けないようだった。しかし問題は弟者だ。
 ここは森の中。言わば弟者の中でもある。宿り木を燃やしたとはいえ、油断はできない。
 数十歩先の草むらが揺れる。弟者の上半身が見えた。

(;'A`)「くっそ、ついてくんなよ!!」

 半分ただれた身体。手で草をつかんで這いながら追いかけてくる。
 走る。蔦につまずき転ぶ。痛み。

(;<.:#_「どっく……あづ……ぃ、」

 苦しそうに弟者の手が伸ばされる。

(;'A`)「そ、りゃっ、燃えてるから、なぁ!」

 捕まったら終わりだ。反射的に立ち上がり駆ける。
 しかし、これ以上走り続けるのも限界だった。
 不幸か幸いか来るときに残した目印が目に入った。
 この目印を左にまっすぐ抜けるだけだ――行ける、逃げ切れる。

894 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:45:22 ID:rA6TgEHU0

 木の根っこを蹴り、蔦を千切り、がむしゃらに走る。
 
(;<.:#_「いだぃ……ぁ、い……あづ………」

 聞こえてくる弟者の声はほとんど虫の息だった。
 ライタ−を点ける。ポケットに残っていた紙を燃やす。後ろに投げる。

(;'A`)「じゃあな、可哀相な双子さん!」

 薄暗い空間に強い光が差し込み、その光は辺りに広がり、俺自身を包む。
 森を抜けたのだ――逃げ切ったんだ。
 俺は、怪物から逃げ切った。生きている。

(;'A`)「ははは……案外あっけないものなんだな」

 静まりかえった森を眺める。怪物は、もういない。きっと焼け死んだのだろう。
 安心したせいか、首筋が猛烈に痒くなり爪を立てる。チクリと神経に染みるような痛み。
 変な虫にでも噛まれてしまったのだろうか、帰ってから病院に行くとする。ガリガリ。

895 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:46:02 ID:rA6TgEHU0

 家に帰ろうと歩きだした瞬間、足先に何かがぶつかった。
 それは俺が食べていた木の実だった。ガリ……ガリガリ。

(*'A`)「……」

 弟者とガリ同じ色をした、木の実。ガリガリ。
 蹴り飛ばす。ガリガリガリガリ。いきのびた、うれしい。

(*'A`)「かゆい」 

 首がカリカリ痒いガリガリミチミチ痒いガリガリなんだろうこれ。
 ぽちゃん。遠くでガリガリ何かがミズの中におちるおと。
 ガリガリガリガリガリガリせかいがガリガリガリガリぐるりとマワって、

896 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:46:50 ID:rA6TgEHU0

 じぶんのせなかがみえた。 









                 もっとおいしいもの、でーきたっ( < *┃

897 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:47:34 ID:rA6TgEHU0

 * * *


 蔦で埋め尽くされた扉が開かれ、暗い部屋に光が差し込む。
 男は寝台の上のヒト――ドクオの首に手を伸ばす。

(´・ω `)「弟者」

 男はドクオの首から生えた蔦を愛おしそうに撫でる。
 まるで小さな子供の頭を撫でるように、優しく、何度も。
 その蔦はドクオの身体に細かい根をゆっくりと張りつけていく。

(  _ )「よく頑張ったな」

 その声に答えるように“寄生木”は葉を揺らす。
 男はドクオの上に土をかぶせる。
 顔だけ出ているせいでドクオの表情はありありと見ることができる。
 何かに勝ったような――幸せそうな顔を。

( ´_ゝ`)「可哀相に。どっくんも最後まで気が付けなかったんだなァ」

 ドクオから生える蔦の果実を手に取ると、男は楽しそうに微笑んだ。
 まだ実ったばかりのその果実は、森と同じ深緑色をしている。

898 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:48:53 ID:rA6TgEHU0

 風も振動も、何もない部屋で葉が揺れる。男はそれを見て幸せそうにケタケタ笑う。

( ´_ゝ`)「まったく食いしん坊だな弟者は。
      そうだなァ、そろそろ次の人を呼ばなければな」

( ´_ゝ`)ガリガリ

 男は果実をかじる。
 緑色の果汁が床に滴る。  

( ´_ゝ`)「なァ弟者よ、お前の言うとおりしあわせの味はたまらなく美味しいな。
       しかし俺はこうやって、ずっと幸せでいる皆の顔を見るだけでも幸せだよ。
      どんな世界でどんなことやってるのかなぁってサ、考えるだけで」

( ´_ゝ`)ガリガリガリガリガリ

( ´_ゝ`)「むらのみんなでしあわせになるために。
      ふたりのしあわせなむらを、つくるために
      これからもがんばろう、さすがなきょうだい」

 しばらくの沈黙の後、まるで頷くようにしてドクオの首が転がり落ちていった。

899 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:49:42 ID:rA6TgEHU0



  (
   )
  i  フッ
  |_|


おそまつさまでした。

900 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 02:53:03 ID:NLn1zrRs0
無邪気な弟者が怖いぜ……

乙乙

901 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 09:35:41 ID:peuP/VV20
>>840
胸がない…つまり…

902 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 11:30:31 ID:Uvn0Cjjk0
>>901
わろた

903 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:34:37 ID:QEDEh49o0
あれ、きょうって投下していいよな・・・?
間違ってたら悪いがスルーしてくれ、投下します

904 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/16(金) 18:36:00 ID:9knS33ZI0
投下オーケーだよ!
どんどん投下してよ!
支援するよ!

905 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:36:40 ID:QEDEh49o0
たぶん42本目もらいます


  .,、
 (i,)
  |_|

906 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:38:48 ID:QEDEh49o0



('A`)「ふえー外あっちー」

( ´ω`)「疲れたおーアイス食べたいおー」

('A`)「夏休みまで部活あるとか聞いてねーよ……」

( ^ω^)「それ毎日言ってるおwwwwwwwwww」

('A`)「はー、しっかし……どうせ大したことしねーんだからサボればよかったかな……」

( ^ω^)「〆切近いしちょうど良かったお?
       みんなやばいから静かだしはかどったお」

('A`)「ざんねーん俺もう書き終えてまーすwww
   ……なー、そういえば最近モララー見なくね?」

( ^ω^)「あー、そういえば見ないおねー。
       サボりかお?」

('A`)「俺らはちゃんと来てんのに……アイツちょっとイケメンだからって調子に乗って……ヤリチン野郎……。
   あ」

((( ´∀`)テクテク

( ^ω^)「モナーだお」

('A`)「おーい、モナー!」

907 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:40:41 ID:QEDEh49o0

( ´∀`)「おっ、ドクオ、ブーン。
       今日は部活モナ?」

( ^ω^)「そうだお〜夏休みまで部活あるとか聞いてないおw
       〆切近いしまじつらw」

('A`)「お前も部活?」

( ´∀`)「そうモナ、秋のコンクールに向けて描き始めてるモナよ。
       今から帰りモナ?
       一緒に帰ってもいいモナ?」

( ^ω^)「もちろんだお!」

((( ^ω^)
    ((( 'A`)  テクテク
     ((( ´∀`)

('A`)「あ、そういえば、モナーってヤリチン野郎の幼馴染みだったよな?」

( ´∀`)「ヤリチン……ああ、モララーのことモナ?
       そうモナ」

( ^ω^)「ヤリチンで通じるモララー乙wwwwwwwwww」

('A`)「最近部活来ねーんだよアイツ」

( ´∀`)「モララーの親御さんに聞いたんだけど、モララー、家に帰ってないみたいモナ」

908 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:42:20 ID:QEDEh49o0

(;^ω^)そ「えっ、それやばくないかお?」

( ´∀`)「代わりにメールは来たらしいモナ。
       夏休みだし彼女のとこ泊まるって」

('A`)「死ね。氏ねじゃなくて死ね」

( ^ω^)「えっ、彼女?
       でもモララーこないだ……」

(*'A`)「おっ、おいおい噂をすればだぜ」

ζ(゚ー゚*ζ))テクテク

(*'A`)「はー可愛いなデレたんデレたんも部活帰りかな。
    なんであんな可愛いのにモララーなんてクソ野郎の彼女なんだ……」

( ^ω^)「確かに可愛いんだけど……」

(*'A`)「ちょっくらデレたんに真実を聞きに行くという口実のもとお喋りしちゃおうぜ」

( ^ω^)「ドッくん話聞いてお。
       夏休み入る前にヤリチン氏がデレ嬢をフッたらしいお?」

(;'A`)「えっ、はあ!?!?」

( ´∀`)「それモナーも聞いたモナ」

(;'A`)「はああ!?!?!?」

(;^ω^)「声でかいお」

909 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:43:25 ID:9knS33ZI0
これはモララー死んでてほしい支援

910 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:43:59 ID:QEDEh49o0

ζ(゚ー゚*ζ「あれっ、こんにちは、鬱田くん、内藤くん、大前くん。
      もうこんばんはかな、部活帰り?
      なんのお話ししてるの?」

(;'A`)「えっ、えっと……」

( ´∀`)「モララーの話モナ」

(;^ω^)そ

ζ(゚ー゚*ζ「そうなの?」

(;'A`)「えっえっえっと、だ、大丈夫だよデレたん!
   デレたんならもっといい男捕まえられるから!!!
   例えば目の前の誰かとか!!!!!!」

ζ(゚ー゚*ζ「……?」

( ´∀`)「モララーと別れたって聞いたモナ」

(;^ω^)そ「んなあっさり」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、そういうこと!」

(;^ω^)そ

911 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:45:11 ID:QEDEh49o0

ζ(^ー^*ζ「ふふ、ありがとう、鬱田くん。
      でも大丈夫だよ、戻ってきてくれたから」

(*'A`)「女神……」

( ^ω^)「戻ってきた?」

ζ(^ー^*ζ「うん、モララーくんがね、やっぱりデレじゃなきゃダメだって気づいてくれたの。
      だから今はモララーくん、デレのお家にいるよ」

('A`)「さよか……」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、だから大丈夫だよ、ありがとう。
      じゃあ、またね!」

ζ(゚ー゚*ζ))テクテク…


('A`)「行っちゃった……」

912 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:47:11 ID:QEDEh49o0

( ^ω^)「そう気を落とすなお。
       どっちみちドクオに振り向いたりはしないと思うおwwwwwwwwww」

( ´∀`)「どんまいけるwwwwwwwwww」

('A`)「お前ら覚えてろよ。
   モララーは氏ね」

( ´∀`)「wwwwwwwwww」

チャッチャカチャカチャカ チャッチャン\パフッ/

( ´∀`)「おっ、噂のモララーくんからメール来たモナ」

( ^ω^)「笑点wwwwwwwwww」


Sent 2013/8/16 18:47
From もら
To もな
SUB 無題

たいへんだ!
すっかり部活に行
けてない(笑)
てか、宿題多くね?

間に合うかな〜
金曜までだっけ?
さっぱり分かんないし
レベル高すぎじゃね(笑)
たぶんヤバイわ(笑)

913 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:49:06 ID:QEDEh49o0

( ^ω^)「夏休みの宿題かお?」

('A`)「金曜までのとかあったっけ?」

( ´∀`)「部活サボってるわりに宿題やる気はあるモナねwww」

ブーン、メールヨ!ブーン、メールヨ!

( ^ω^)「あ、僕にもメール来たお」

('A`)「ツンの受信ボイス……だと……」

( ´∀`)「まず爆発すべきはブーンじゃないモナか?」


Sent 2013/8/16 18:49
From モララー
To ( ^ω^)
SUB 無題

デレの作る料理は
レベル高いんだ(笑)

くださいって言われ
ると困る
って言うか(笑)
手加減して作って
るらしいけどな(笑)

914 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:51:18 ID:QEDEh49o0

( ^ω^)「ノロケかおwwwwwwwwww」

( ´∀`)「ムカつくモナwwwwwwwwww」

('A`)「爆発しろ」

ブーッ ブーッ

('A`)「うわ俺にもメール来た」

( ^ω^)「普通にバイブだお」

( ´∀`)「面白味もなにもないモナ」

('A`)「うるせえマナーをわきまえてんだよ俺は!」


Sent 2013/8/16 18:51
From 爆発しろモララー
To 鬱田ドクオ
SUB 無題

こんど遊びに行こうな!
ろっぽんぎとか
さ来週くらいに!
レンタルビデオを見
るのは飽きたんだよ(笑)

915 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:52:17 ID:QEDEh49o0

( ^ω^)「デートのお誘いだおwwwwwwwwww」

( ´∀`)「なぜドクオにwwwwwwwwwwなぜ六本木wwwwwwwwww」

('A`)「デレちゃんと行けよクソ」

( ´∀`)「てか登録『爆発しろモララー』ってwwwwwwwwww」

('A`)「爆発しろ」


( ´∀`)「……ま、元気そうでよかったモナね」

( ^ω^)「心配して損したお」

('A`)「爆発しろ」

( ´∀`)「モララーの親御さんに彼女と仲良くしてるみたいですwって伝えとくモナ」

(;A;)「爆発しろ……クソ……」

( ^ω^)「ついに泣いたwwwwwwwwww」




これ以降、モララーからメールは来なかった。

916 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 18:54:21 ID:QEDEh49o0


  (
   )
  i  フッ
  |_|









おわり!支援ありがとう
どうしてもモララーを葬らねばと思って書いた

917 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 19:02:33 ID:9knS33ZI0
乙ー
モララー死亡確認
これはスッキリ

918 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 19:06:17 ID:MtocwBUc0
一本目のメールやっと読めた

監禁かい、ざまぁ

919 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 19:09:07 ID:b5BlkvGw0
いいじゃん、ヤンデレ。 乙

920 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 19:09:25 ID:tghfWQP.0

よく殺った

921 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 19:58:03 ID:kz.EQHHQ0
あれ…モララーの扱い、酷すぎ…?

922 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:00:57 ID:YdZR4Pzo0
43本目をいただきます。


  .,、
 (i,)
  |_|

923 名前:証言のようです 1/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:02:19 ID:YdZR4Pzo0
ギコの証言

――発見時の状況を教えてください。

(,,゚Д゚)「ああ、俺はタクシーの運転手でよ、その日もいつものように客をせっせと運んでいたんだ。
 駅でひどく酔っ払った客を拾っちまってさ、家はどこだって聞いたら、郊外の方だったのよ。
 一部だけど山道も通らなきゃでさ、なんとなく嫌な予感がしてたわけよ」

(,,゚Д゚)「とはいえせっかくのお客だし、もちろん運ぶ。
 国道を進んで、山の方へ。街灯の間隔がだんだん離れていってさ、見えにくいったらしかたない。
 山道だしもっと配慮してくれとは思ったね。まあそんなところ夜中に走る奴ほとんどいないからかもしれないけど」

(,,゚Д゚)「で、山道をとろとろ走ってた。落っこちたりしたら洒落にならないし。
 そしたら後ろで客がわめきだすのよ。どうしたーって聞いたら、なんかもごもご言いだす。
 ああ吐きたいんだなって思ってさ、しかたないから止めたんよ」

(,,゚Д゚)「その客すごい速さで車出ちゃってさ、道を逸れて山の方へ行っちゃったのな。
 おいおい逃げられたか? とも思ったけど、それ以前にあんな酔ってちゃ危ないだろうと。
 それで、俺も仕方ないから車降りて、その客を追った」

(,,゚Д゚)「おーいって言いながらススキの中を進んでいく。なんかびちゃびちゃ聞こえるしさ、居る方向はだいたいわかったんだ。
 それで近づいているうちにさ、ふっと横目で何か見えた気がしたのね。それでつい見ちゃった。
 右にあった木陰にさ、何か黒いものがあってさ。よく見たらビニール袋がこう、どさって置いてあって」

(,,゚Д゚)「興味本位っていうのかな、なんだろなーって思って近寄って、袋の入口が緩んでるのに気付いた。
 何かやばいものでも誰か隠したのかなって、思っちゃった。それで見た、わけですよ。
 まさか本当に死体が入ってるなんてなあ……もう、あんまり思い出したくもないよ」

(,,゚Д゚)「そっからは怖いからもう車入って警察呼んで震えてたよ。
 え、客? さあ、置いてきちまったからわからねえな」

924 名前:証言のようです 2/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:03:24 ID:YdZR4Pzo0
ツンの証言

ξ゚听)ξ「あら、刑事さん。お久しぶりです」

――お久しぶりです。

ξ゚听)ξ「ああ、待ってください。壇にのった方がいいみたい。
 背が低めなもので……これでよし、と」

ξ゚听)ξ「あれ、もう一人の方は?
 え!……そうなんですか、お気の毒に」

――被害者と出会った経緯を教えてください。

ξ゚听)ξ「ちょうど一年前の子どもの日です。
 山の方にあるお寺で、小さなお祭りがあったんですね。
 こいのぼりをあげたり、柏餅を食べたり、ちょっとした出店も並んだり」

ξ゚听)ξ「その中で、ぽつんといるのを見かけて。
 随分と寂しそうだったから、わたあめを買ってあげたんです。
 そしたら、あの、良い方は悪いんですが、懐いちゃったんですよね、きっと」

ξ゚听)ξ「それから街でたまに見かけて。
 向こうも嬉しそうにするから、つい返事もしちゃいました。
 でも正直そこまで親交があったわけでは……はい、すいません、期待に添えなくて」

925 名前:証言のようです 3/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:04:37 ID:YdZR4Pzo0
ドクオの証言

――被害者と出会った経緯を教えてください。

('A`)「理由……理由か。
 特にないって言ったら、刑事さん怒るかな。
 いや、別にないってこともないと思う、うん」

('A`)「なんかさあ、俺、仕事なくしたばっかりでさ。
 次の仕事探すのもだるくて、街をさまよっていたのね。
 そして空き家があることに気付いて、不思議と親しみを感じたんだ」

('A`)「ああ、見捨てられたんだな、俺と同じだなって、つい思っちゃってさ。
 そしたらさ、裏庭の方から鳴き声が聞こえたんだ。弱弱しい、犬だったかな。
 それでさ、見に行ったら、これくらいの小さい女の子がしゃがみこんでるの」

('A`)「よくよく見てみると手にパンのかけらとか、牛乳とか持ってた。
 ああ、きっと給食の残り物を集めてあげてるんだなって、気付いた。
 大したことないんだけどさ、すごく優しいなって思って、思って……」

――どうしました?

('A`)「あ、いや、なんでも。
 それでしぃちゃんに話しかけて、犬の世話を一緒にするようになった。
 だから一緒に街を歩くこともあったんだ」

('A`)「別にやましいことは何もないだろ? ほんとだぞ。
 だからほら、早く」

926 名前:証言のようです 4/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:05:38 ID:YdZR4Pzo0
モナーの証言

――被害者のことを聞かせてください。

( ´∀`)「しぃちゃん……亡くなったモナね。なんだかあまり実感がないんだモナ。
 夏休み頃まで普通に遊んでいたんだモナ。私のお寺に遊びに来たりしていたモナ。
 ちょっと小柄だったけど、元気で優しくて、かわいい子だったモナ」

( ´∀`)「あなたはどうしてしぃちゃんのことを……
 いや、そういう仕事モナね。仕方ないモナ」

――事件のあった日やその直近では、何か変化はありましたか?

( ´∀`)「特には……夏祭りもお盆も終わっていたから、見かける用事もなかったんだモナ。
 強いて言うなら街で、しぃちゃんと会ったくらいだモナ。
 しぃちゃん、何か少し挙動がおかしくて、気になったんだモナ」

( ´∀`)「それで話しかけてみたモナ。でも、何でもないよというばかりだったモナ。
 じゃあ何をそんなにおびえているの? ときいても、そんなことないって。
 妙に強気だから変だとは思ったモナ。でもそれっきり、しぃちゃんはどこかに行っちゃったモナ」

( ´∀`)「今思えばあの会話が、しぃちゃんとの最後の会話になっちゃったんだモナ……」

927 名前:証言のようです 5/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:06:39 ID:YdZR4Pzo0
スカルチノフの証言

――意識はあるのでしょうか。

ミセ*゚ー゚)リ「ええ、目は覚めているはずなんです。
 ただやはり、事件のとき同じ家の中にいたことがショックだったようで、精神的におかしくなっていて。
 今でもたまに、はっと目覚めては、その、喚いたりいろいろ」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろん、以前までがいい生活だったわけでもないでしょう。
 同居人はあまりこの人の世話をしていなかったようですし、だから新年早々この施設に送られて」

ミセ*゚ー゚)リ「聞きたいことがあれば言ってください。たとえ今聞こえなくても、私の方から後で伝えます」

――事件があったとき、何か目撃しましたか?

/ ,' 3「……お、おにじゃ」

ミセ*゚ー゚)リ「やっぱり起きて……スカルチノフさん?」

/ o゚ 3「鬼じゃああ、鬼があおるぅぅぅぅ」

ミセ*;゚ー゚)リ「スカルチノフさん!?」

/ o゚ 3「うわぁああああぁあぁ、鬼じゃあ、鬼があぁあ」

ミセ*;゚ー゚)リ「すいません、今日は無理みたいです。
 まさかこんなに取りみだすなんて……」

928 名前:証言のようです 6/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:07:39 ID:YdZR4Pzo0
モララーの証言

( ・∀・)「正直に話すと、俺はあいつ、いつかやらかすと思っていたね」

――と、言いますと?

( ・∀・)「古い付き合いだからわかるんだよ。
 あいつは、ドクオは筋金入りのロリコンだってな」

( ・∀・)「例えばさ、あいつは馬鹿みたいに甘えん坊なわけよ。もう甘えたくてしかたがない。
 それでいて馬頭されるのは気に食わない。自分で抑え込める相手じゃなきゃ気が済まない。
 だから普通の女じゃ満足できない。アニメにいるような、小さくて大人びた子どもみたいな女が好み」

( ・∀・)「死んじゃった女の子も、どことなくそんな雰囲気があったんじゃないの。
 もうだいぶ前の話だから、よく覚えてないけど」

――他に気になることはありましたか。

( ・∀・)「最近連絡取ってなかったからなあ。
 やっぱさ、社会人になると友達と遊んでる暇もないわけですよ。
 まあ、ドクオは仕事が無くなっていたらしいけど、少なくとも俺は暇じゃない」

――ずいぶん嫌っていたんですね。

( ・∀・)「いや……嫌いというわけじゃないよ。そりゃあ、あんなことになったのはショックだったし。
 でも率先して会いたいやつかと言われればちょっと、うん、いいかなって」

( ・∀・)「あ、宅急便? いや、いいんだ。きっとチョコかな。まったくいまだに送ってくるんだから」

929 名前:証言のようです 7/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:08:39 ID:YdZR4Pzo0
ショボンの証言

(´・ω・`)「このバーはお客さんがほどほどで、話が聞き取りにくいからね。漏れる心配もないだろう。
 だいたい今の時期は花見で外に行ってるものさ。と、まずは薬を飲むか」

(´・ω・`)「さて、まずは僕の考えをお話しさせてくれ」

(´・ω・`)「去年の夏、一人の女の子が亡くなった。
 そしてその犯人と思しき人物が、去年の暮れに亡くなった。
 その人のそばには遺書が置かれていた」

(´・ω・`)「その記述から、死亡したドクオがしぃちゃん殺しの犯人だとわかった」

(´・ω・`)「確かに悔恨からの自殺は考えられないことじゃない。でも気になることはある。
 一つはドクオの腕と足に若干の縄の後があったことだ。
 どうしてそういう痕がついたんだろうな。そのような趣味があったとすればまだ可能性はあるが」

(´・ω・`)「もう一つ、当時ドクオと同居していたスカルチノフという老人だ。
 先日老人ホームから精神病棟に移されたそうだ」

(´・ω・`)「人が殺される現場を目撃したというなら、トラウマをかかえるのも納得できる。
 しかしどうしてこんな時期に移されたんだろうか。
 何かしらきっかけがあったと考えるべきじゃないかな」

――これからどうするつもりですか。

(´・ω・`)「まずはドクオの近隣住民と接してみよう。
 私の疑問は証拠に欠ける。もっと有力な情報があれば良いのだが」

930 名前:証言のようです 8/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:09:38 ID:YdZR4Pzo0
ロマネスクの証言

――被害者の死亡した状況を教えてください。

( ФωФ)「ええ、私が経営しているバーにはテーブルがいくつかあるんです。二人用の小さいのが。
 ショボンさんは特にあの窓際のテーブルがお気に入りのようでした。
 お店に来るといつもあそこに腰掛けて、煙草に火をつけるんです」

( ФωФ)「窓際に座ったのはきっと、私たちに煙をなるべく吸わせないようにしていたからなんでしょうね。
 そういう心配りがとても御上手な方でした」

( ФωФ)「そのショボンさんが唐突に苦しみだした。
 私もはっきりと見ていたわけじゃないんですが、カクテルにはまだ手をつけていませんでした。
 その前の、水を少し飲んでいただけで」

――水をですか。

( ФωФ)「ええ、どうも彼はお酒を飲む前に薬を飲まないといけなかったみたいで、お酒を飲む前にそれを飲んでいたんです。
 そうまでしてお酒を飲むとは、よっぽど日々心労が溜まっていたんじゃないんでしょうかね。
 しかしなんでも死亡した原因はそのクスリに何か仕込まれていたからだというじゃありませんか。なんとも、辛い話です」

――他に気付いたことはありましたか。

( ФωФ)「そういえば、何ヶ月か前に、ショボンさんは誰かと来ていたような。
 お連れさんマスクをしていたし、うつむいていたし、それに私は何度も来ない限りお客さんをじろじろ見ない主義ですので
 その人がどんな人かまでは記憶していないんですけどね」

――日付はわかりますか。

( ФωФ)「ええと、確か3月の……」

931 名前:証言のようです 9/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:10:39 ID:YdZR4Pzo0
ワカッテマスの証言

――この状況を説明してください。

( <●><●>)「自分で覚えていないんですか?
 あなたはバーの店主、ロマネスクさんを殺そうとしたところを取り押さえられ、ここに拘禁されているんです」

( <●><●>)「あなたの手記、読ませていただきました。これですよね。
 手記を取ることが癖なんですか? 今もまるで何かに書きつけるような手つきですね。
 そこには何もありませんよ?」

( <●><●>)「あなたは自分の娘のしぃさんが亡くなってから、関係者の話を一年間収集していましたね。
 収集する中で、犯人であるドクオを殺し、またそれが見破られそうになると上司であるショボンを殺した」

( <●><●>)「それで、今度は覚えている可能性のあるロマネスクを殺そうと、あ、おいよせ!!」

(;<●><●>)「誰か! 誰かこいつを抑えつけてください!!」

(;<●><●>)「ああ、手記がばらばらに。復元する必要がありますね……」

(;<●><●>)「それにしてもあなたはずいぶん変わってしまった」

( <●><●>)「見た目のことじゃないですよ。むしろ春先まではもう少し長めの髪型をしていましたので、若干変わりましたが。
 それだけじゃなくてですよ、今手記を取ろうとしたときは相当怖い顔つきでした。
 娘を殺されてからよほど精神的に参ってしまったようですね」

( <●><●>)「さっきのあなたの形相は、それこそまるで、鬼みたいでしたよ」

932 名前:証言のようです 10/10 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:11:56 ID:YdZR4Pzo0
時系列(上から下へ)
8月 しぃ殺害事件
9月 ギコの証言
10月 モナーの証言
11月 ドクオの証言
12月 ドクオ監禁殺害事件
1月 スカルチノフの証言
2月 モララーの証言
3月 ショボンの証言
4月 ショボン毒殺事件
5月 ツンの証言
6月 ロマネスクの証言
7月 ワカッテマスの証言


〜おわり〜

933 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/16(金) 21:13:51 ID:YdZR4Pzo0


  (
   )
  i  フッ
  |_|

お化けとかじゃないけど、良かったのかな。

934 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 21:16:19 ID:eD6uAaO.0
乙乙。ミステリーっぽくて良いね

935 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:17:36 ID:6SsLGCtkO
ちょっと不吉な数字の四十四本目もらうぞー


  .,、
 (i,)
  |_|


夜の校舎のようです

936 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:19:10 ID:6SsLGCtkO


 放課後、野球部の掛け声を聞きながら屋上で横になったところまでは覚えている。


( ^ω^)(やらかした……)

 頭を掻きながら携帯電話を開き、内藤ホライゾンは溜め息をついた。
 午後10時。
 とっくに日は落ち、辺りは暗い。こんな時間の中学校の屋上なんかに、当然ほかの人間はいない。

 実に5時間ほど眠っていたことになる。
 有り得ない。とも言い切れない、自分の寝汚さに嫌気が差す。

 ここ最近は両親のせいでよく眠れなかった。
 毎日のように深夜まで離婚の話し合いをしていて、大体喧嘩に発展するからだ。
 それが息子──自分の押し付け合いだというのも分かっているので、知らないふりも出来ない。

 中学2年生など、まだまだ子供である。
 両親の不仲、秒読み段階の離婚、厄介者として扱われる自分。
 これで不安になるなと言う方が無茶だ。

 おかげで寝不足が続き、家に帰るのも億劫になり──こんなところでぐっすり寝入ってしまった。

937 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:20:14 ID:6SsLGCtkO

( ^ω^)(……あ)

 時間を確認するためだけに開いた携帯電話。
 画面を見ている内、両親から電話もメールも来ていないことに気付いた。気付いてしまった。
 この時間になっても帰宅していない自分に、両親は何も訊いてこなかった。

( ;ω;)「……おー」

 勝手に涙が落ちた。

 両親のことは好きだ。
 まったくの優等生とは言えないが、親や目上の者の言うことはそれなりに聞いて、
 これといった悪さもせずに──立入禁止の屋上に忍び込んでいるのはともかく──生きてきた。

 それでも親は自分を煙たがる。

 2人とも、仕事こそが我が人生だと言い張るような人間だ。
 離婚後に子供を引き取って、仕事に何らかの支障を来すのを嫌っているのだろう。
 彼らにとって、息子は既に人生の障害となっていた。

( ;ω;)「うー、……っ、ううう……」

 自分以外に誰もいないと分かっていても、内藤は声を殺して泣いた。
 家で泣くときと同じように。

938 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:21:10 ID:6SsLGCtkO


 ──帰らないと。

 一頻り泣いた後、内藤は顔を上げた。
 さすがに朝までここにいるわけにもいかない。
 携帯電話をポケットに突っ込み、枕にしたせいで少し潰れた鞄を拾う。

( ^ω^)(先生達、帰る前に屋上の見回りとかしなかったのかお……)

 右手でフェンスに掴まりながら立ち上がる。
 視界の端にちらつくものがあって、何気なくそちらを見た。

 ここからは校庭が見下ろせる。
 いくつか設置されている外灯が、淡く運動場を照らしていた。

 その中央に、人がいた。

 真っ赤な──コートかワンピースか、とにかく赤い服を着た女性が、
 こちらに背を向けるようにして立っている。

 ゆらゆらと左右に揺れているのが不気味だった。

939 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:22:19 ID:6SsLGCtkO

( ^ω^)(……変質者?)

 嫌だなあ。
 真っ先に思ったのは、そんな感想。

 学校から出るには、校庭の傍を通らなければならない。
 あの変質者(と決まったわけでもないが)に近付くのは、なるべく避けたいところ。

 内藤はその場に留まり、赤い服の女が立ち去るのを待った。



 しかし待てども待てども、女はそこで揺れ続けていた。

 仕方ない。昇降口で靴を履き替えてから、どこか適当な窓から外に出るか。

 そう結論を出し、内藤はフェンスから手を離した。
 不意に、鼻にむず痒さを覚える。

 夏といえど、夜中に屋上に居続ければ体も冷える。
 鼻と口を押さえ、内藤は控えめなくしゃみをした。


 その瞬間。
 校庭の女が、ぐるりと勢いよく振り返った。

940 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:23:22 ID:6SsLGCtkO

 子供の落書きのような顔をしていた。

 比喩でも何でもない。
 凹凸の無い、のっぺりとした白い顔に、
 ぐしゃぐしゃと乱雑に塗り潰されたような左右非対称の目と、大きく開いた赤い口だけがあった。

 内藤の思考が止まる。鞄を取り落とす。

 女は顔を内藤に向けたまま、よたよたと歩き出した。
 校舎へ向かってくる。

 内藤から見て斜め下の辺りで校舎にぶつかった女は、
 やはり内藤を見上げたまま壁に手をついた。

 そして──壁を、よじ上ってきた。
 素手と素足をぴったりと壁にくっつけて、女は慎重に登っていく。


 有り得ない。

 あの顔は何だ。お面をつけているようには見えない。
 人間が何も使わずに手のひらと足の裏だけで壁を登れるわけがない。
 そもそも──大して視力の良くない自分が、何故この距離とこの時間で、相手の姿をこうもはっきり把握出来るのだ。

 内藤の脳は、ようやく事の異常性を理解した。
 回り出した頭が警告する。

941 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:24:39 ID:NdsF8Rds0
ひえええこわい
私怨

942 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:25:21 ID:6SsLGCtkO

(;^ω^)(──こっちに来てる!)

 内藤は落とした鞄を拾いもせずに、屋上の入口へ駆けた。
 ドアを開け、暗い階段を一段飛ばしで下りていく。

 とにかく、早く昇降口へ──それだけを考えていた内藤だったが、
 3階と2階の踊り場に着いた瞬間、足を止めた。

 窓の向こうに女がへばりついている。
 内藤を凝視し、


〈ぎゃはっははははははははははひひひははははぁああはははははぁはあひひあはあひひひひひひぃいぃいぃいいいぃい〉


 狂ったように笑って、右手で窓を叩き始めた。

 足から力が抜けかける。
 内藤は手すりに掴まり、2階へ下りた。
 それに合わせて声も下がってくる。

 階段から離れ、廊下を走った。

 このまま昇降口へ向かえば、間違いなくあの女も来る。
 玄関以外から逃げるとしても、まずは撒かなければならなかった。

943 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:26:20 ID:6SsLGCtkO

(;^ω^)(ど、どうしよう、どうしよう、どこに行けば──)


 からから、遠くで音が鳴った。

 聞き馴染みのある音だった。
 窓を開けるときの。

 また、笑い声。
 屋内にいるかのような反響の仕方。
 どんどん大きくなる。

 それの意味するところを察し、内藤の心臓が潰れそうなほど痛んだ。

(;^ω^)(入ってきた……!?)

 どこかの窓の鍵が開いていたのか。
 いや、そんなことはどうでもいい。

 内藤は左手を見た。男子トイレ。

 こんな場所は嫌だ。しかし、ここしかない。
 振り返って、まだ女が視界に入らないことを確認してから、男子トイレに飛び込んだ。

944 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:27:26 ID:6SsLGCtkO

 いざというときのため、一番入口に近い個室に入る。
 震える手で鍵を閉めかけて、思い直した。
 代わりに、いつでも飛び出せるように把っ手を握る。

 トイレに逃げ込むなんて、あまりにもお約束だ。
 けれど、他の隠れ場所を探す余裕などなかった。

 乱れる呼吸を必死に抑える。

 笑い声と、ぺたぺた響く足音が異様な速さで近付いてくる。
 それはすぐに男子トイレの前までやって来て、そして通り過ぎた。

 遠ざかる。
 内藤は長く息を吐き出し、ずるずると座り込んだ。


.

945 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:28:20 ID:6SsLGCtkO

 どれほど経ったか。

 内藤は恐る恐る、扉を開いた。
 いつまでも隠れているわけにもいかない。
 顔だけを出し、辺りを確かめる。

 声は聞こえてこない。
 今、どこにいるのだろうか。
 いなくなってくれれば、それが一番いいのだが。

(;^ω^)(……階段下りて……窓から出て、走る)

 頭の中でシミュレーションを行う。
 途中で女に会ったらどうしよう。逃げるしかない。

 深呼吸。
 隠れていたい気持ちと、いずれここで見付かったら危険だという気持ちが混じり合う。
 決心し、一歩、個室を出る。

 男子トイレを後にして、内藤は階段の方へ目を向けた。

946 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:28:59 ID:6SsLGCtkO

(;^ω^)「──……あ……」

 壁の向こうから顔が覗いていた。
 床に側頭部をつけるようにして、顔の上半分だけを出した女がこちらを見ていた。

 女が身じろぎする。
 内藤は後ろを向き、駆け出した。



 少し進んだところで、廊下は左手に折れていた。
 行くしかない。角を曲がる。

 理科室や家庭科室のプレートが下がっている。特別教室棟だ。

 一番近くにあった理科室の引き戸へ手をかけたが、鍵が掛かっていた。
 他の教室も同じだろう。

 後方から足音が聞こえる。心臓が跳ねる。

 泣きそうになりながら再び走ると、一つだけ、教室の入口が僅かに開いているのを発見した。
 被服室。

 迷いながら振り返る。
 女はまだ曲がり角まで来ていない。だが、足音の近さからして、もうそこまで迫っている。
 考える暇はなかった。

947 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:30:30 ID:6SsLGCtkO

 被服室に入って、内藤は教卓の下に潜り込んだ。
 縮こまり、早く通り過ぎろと祈る。

 ああ、こんなことなら、屋上など行かず、さっさと家に帰っておけば良かった。
 そうすれば、きっと今頃、両親の険悪な雰囲気から逃れるために友人と下らないメールなんかして──

(;^ω^)(メール……携帯!)

 そこでようやく、彼はポケットの中、携帯電話の存在を思い出した。

 両親に、いや、いっそ警察にでも電話すれば、きっと学校に来てくれる。
 多少怒られることなど、今の恐怖に比べれば何ともない。

 内藤は携帯電話を取り出し、開いた。

 足音が大きくなる。
 はっとして、携帯電話を胸元に押しつけた。

 大丈夫だ。トイレに隠れたときも、奴は廊下を過ぎ去っていくだけだった。
 いま数秒間だけやり過ごせば、あとは電話をして、助けを待てばいい。

 汗がこめかみを伝って落ちる。

 家庭科室の前で、足音が止まった。

948 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:31:49 ID:6SsLGCtkO

(;゚ω゚)(……何で止まるんだお……)

 足音が室内に入り込む。
 女は机や戸棚を叩いて回っているようだった。

〈……うー、ん、んー……んー……んー……〉

 先程の笑い声とは正反対の、低く静かな唸り声が漏れている。

 内藤は口を押さえ、体を一層縮めた。
 来るな。来るな。出ていけ。早く。

 一際大きな物音。
 続けて、かちかちと軽やかな音が鳴った。

 ──金属が擦れる音だ。

 鼓動が激しさを増す。
 戸棚に並べられた裁縫道具の数々を思い浮かべ、指先が震えた。

949 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:33:06 ID:6SsLGCtkO


 そのとき。

 内藤の携帯電話が鳴り響いた。


 唸り声が止まる。
 体が動かない。ああ。今さら腰が抜けるなんて。

 呆然としながら、携帯電話の画面を見る。

 父の名前と番号が表示されていた。

950 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:35:27 ID:6SsLGCtkO

( ;ω;)「……父さ、ん」

 こんなときなのに──嬉しかった。
 現実逃避としての感情だったのかもしれないが、それでも。

 父が電話をくれた。
 夜中になっても帰らない自分を心配して。
 電話を。

 内藤は泣いていた。身に迫る恐怖から。
 口元だけは笑っていた。正しい理由など分からないけれど。

 通話ボタンを押し、携帯電話を耳に当てた。

( ;ω;)「と、父さ、父さん、助け……」

『──……ホライゾンか?』

( ;ω;)「うん、うん……」

 最近、父と会話らしい会話をしていなかった。
 家に帰って、たくさん話をしたい。
 両親が自分を嫌っていても、自分は2人が大好きなんだと伝えたい──


『……番号を間違えたな。お前に掛けるつもりじゃなかったんだ』


 それだけ言って、電話は切れた。

951 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:37:14 ID:6SsLGCtkO

 教卓の上から、逆さまの顔と手が下りてくる。

 右手に大きな針。


 内藤は、それを眺めることしか出来なかった。





 夜の校舎の片隅で、笑い声とも泣き声ともつかぬ声があがって、消えた。

952 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:39:19 ID:6SsLGCtkO

  (
   )
  i  フッ
  |_|

おわり
まぜこぜブーンの仮タイトルその5
あと3つ、期間中に書き上げられるかどうかどきどきしている

953 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:43:06 ID:NdsF8Rds0

ブーンかわいそうに…
すんげえ怖かった吐き気する

質問なんだけどスレ立てして投下したいんだけど、蝋燭を2レス目に置いても平気かな

954 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:46:27 ID:cFCJkVMo0
一番重い


955 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:46:36 ID:6SsLGCtkO
>>953
大丈夫だと思うぜ

956 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 22:54:46 ID:NdsF8Rds0
>>955
ありがとう

蝋燭戴きました

出張版白澤図のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1376661049/l30

957 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/16(金) 23:08:55 ID:9knS33ZI0
そろそろ次スレかな?

958 名前:名も無きAAのようです :2013/08/16(金) 23:45:06 ID:NdsF8Rds0
>>956
45本目いただきましたー


 ) 
i   フッ
|_|

959 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:10:21 ID:adaBwzoE0
>>958
明日もあるし早めにスレを立てるにこしたことはないと思う

960 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/17(土) 00:13:11 ID:z2vK43pU0
>>959
オケ
では建ててこよう
建て終わったらこっちの残りは......まあ雑談ででも埋めますかな

961 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/17(土) 00:18:56 ID:z2vK43pU0
('A`)百物語のようです2013( )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666266/


次スレですよ次スレ
そして区別つけやすいようにと思ってAA変えたら被った......だと?

962 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:22:06 ID:adaBwzoE0
スレ立て乙!
まさか、スレタイ被るとは思ってなかった・・・・・・

963 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:24:02 ID:L3Cn/5uk0
わらた
すごい偶然だな

964 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:25:30 ID:adaBwzoE0
スレタイが絶賛かぶったけれど、蝋燭いただきました
本数は数日後、投下が終了してから報告に来ます

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666020/
('A`)百物語、のようです

965 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:43:06 ID:qSKF/Y560
あっちのスレに投下したらいいのかな

966 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:45:28 ID:cFWX8/8Y0
短いならこちらでも……
と言いたいが蝋燭の本数が混乱するかもしれないので次スレオススメ

967 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:10:57 ID:qSKF/Y560
>>966
把握。ありがとう

968 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:27:57 ID:cfzxS0Fk0
44本目夜の校舎読んでから胃が痛い

969 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 18:40:21 ID:FhzumnpM0
この調子だと百超えはちょっと難しそうだな……
今日と明日合わせて七十行くか行かないかくらいか?

970 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/17(土) 18:59:00 ID:hD8NOr4s0
今49本
残り二日
ま、まだ最終日の滑り込み組がいるから......うん......

971 名前: ◆mzkz/7EEZc :2013/08/18(日) 17:59:56 ID:/Dc6L.Ck0
本数は減ってるがレス数は大して変わらない気が。読み応えある。

簡単に連絡。
誤字脱字や蝋燭AAズレは気づいた範囲で勝手に直してます。
三十九本目や四十二本目は無題にしていまってるけど、タイトルこれが良いというのがあれば言ってもらえると。

最終日も読むの楽しみにしてんよー

972 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:53:48 ID:d2aVlMrMO
まとめ作業お疲れ様です
もう最終日か……

973 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:47:15 ID:v1eOSk.g0
百に届かなかったって考えたらあれかもしれないが
単純に考えて六十を超える短編が一週間で投下されたって考えたらそれだけで充分すごいぞ

974 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 00:12:50 ID:8w2TZKmM0
そういや締めの挨拶しようか悩んでたけどするとしたら朝七時か......

975 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:26:07 ID:ZHgI82JMO
目覚まし時計を10分前に5つくらいかけとけよ

976 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 00:45:42 ID:8w2TZKmM0
作品まとめ

>>184 1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204 2 仕事が終わるようです
>>210 3 ( ^ω^)猫又のようです
>>228 4 ゾンビ从'ー'从
>>234 5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244 6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264 7 ξ)ξ枕元に佇むようです and >>444 支援絵
>>286 8 ξ゚听)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327 9 少女たちの談話のようです
>>346 10 彼は帰りたいようです
>>359 11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375 12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407 13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426 14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441 15 ジェイソン・クールのようです
>>449 16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467 17 桜の樹の下には、のようです
>>498 18 ξ)ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511 19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534 20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534 21 (´・ω・`)滴るようです
>>568 22 バケネコアーカイブのようです
>>603 23 ヤマノケ
>>607 24 こっちを見ているようです
>>634 25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647 26 ひとりかくれんぼのようです
>>670 27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685 28 彼女はゴスロリで徐霊師で…
>>741 29 金縛りのようです。
>>746 30 大塚係長の陰謀のようです(百物語特別仕様)
>>749 31 (,,゚Д゚)書き溜めが消えるようです
>>756 32 十物語のようです
>>762 33 逃げてなどいないようです
>>771 34 川 ゚ -゚)お迎えのようです
>>774 35 ノパ听)の本当にあった田舎の怖い話のようです
>>781 36 (,,゚Д゚)心霊調査のようです
>>807 37 ζ(゚ー゚*ζ引っ張るようです
>>816 38 ( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです
>>839 39 ( ゚∀゚)(゚、゚トソン 祭り 無題
>>850 40 ( ><)ビビビの若太郎のようです
>>872 41 ('A`)はしあわせな村人の一員になるようです
>>905 42 ( ・∀・)メール 無題
>>922 43 証言のようです
>>935 44 夜の校舎のようです
>>956 45 出張版白澤図のようです

977 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 00:46:35 ID:8w2TZKmM0
>>975
うへぇ......
勘弁してくれぇ......頑張るけどさ

978 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 00:55:42 ID:8w2TZKmM0
作品まとめ訂正版

>>184 1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204 2 仕事が終わるようです
>>210 3 ( ^ω^)猫又のようです and >>757 支援絵
>>228 4 ゾンビ从'ー'从
>>234 5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244 6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264 7 ξ�)ξ枕元に佇むようです and >>444 支援絵
>>286 8 ξ゚�゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327 9 少女たちの談話のようです
>>346 10 彼は帰りたいようです
>>359 11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375 12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407 13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426 14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441 15 ジェイソン・クールのようです
>>449 16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467 17 桜の樹の下には、のようです
>>498 18 ξ�)ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511 19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534 20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534 21 (´・ω・`)滴るようです and >>682 支援絵
>>568 22 バケネコアーカイブのようです and >>757 支援絵
>>603 23 ヤマノケ
>>607 24 こっちを見ているようです
>>634 25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647 26 ひとりかくれんぼのようです
>>670 27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685 28 彼女はゴスロリで徐霊師で…
>>741 29 金縛りのようです。
>>746 30 大塚係長の陰謀のようです(百物語特別仕様)
>>749 31 (,,゚Д゚)書き溜めが消えるようです
>>756 32 十物語のようです
>>762 33 逃げてなどいないようです
>>771 34 川 ゚ -゚)お迎えのようです
>>774 35 ノパ�゚)の本当にあった田舎の怖い話のようです
>>781 36 (,,゚Д゚)心霊調査のようです
>>807 37 ζ(゚ー゚*ζ引っ張るようです
>>816 38 ( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです
>>839 39 ( ゚∀゚)(゚、゚トソン 祭り 無題
>>850 40 ( ><)ビビビの若太郎のようです
>>872 41 ('A`)はしあわせな村人の一員になるようです
>>905 42 ( ・∀・)メール 無題
>>922 43 証言のようです
>>935 44 夜の校舎のようです
>>956 45 出張版白澤図のようです

979 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:18:55 ID:ucLaDKns0
まぜこぜさん見てるかわからんが42本目だよ
もしよければそのまま( ・∀・)メールのようですとかにしといてくれれば嬉しいです
まとめおつかれさまです!

980 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 06:47:40 ID:Ck9IqzEc0
ギリギリ滑り込みですが、短い短いお話を投下させて頂きたく思います。
短いのですぐ終わります。では、朝の46本目を。

  .,、
 (i,)
  |_|

981 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 06:50:04 ID:FaRalWggO
>>980
次スレあるぞ

982 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 06:51:46 ID:Ck9IqzEc0
僕の部屋に数日前から君が澄んでいる。

君は部屋の片隅、ベッドの上に縮こまって座る。

lw´‐ _‐ノv「ご迷惑はお掛けしませんから」

電話越しに住んだ声が僕に云う。

983 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 06:53:16 ID:Ck9IqzEc0
>>980
おや、しまった。
1000まではいかないと思いますが、移動した方が良いのでしょうか。

984 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 06:56:47 ID:FaRalWggO
>>983
移動したほうが蝋燭のカウント楽じゃね?

985 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 06:56:47 ID:NYxUas4g0
混乱するし向こうに書けばいいんじゃないかな

986 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 06:58:00 ID:Ck9IqzEc0
了解です。失礼しました。
ですが、もう間に合わなさそうですねぇ。

987 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 06:59:35 ID:NYxUas4g0
蝋燭立てとけば時間オーバーしても良かったはず

988 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:00:48 ID:Ck9IqzEc0
蝋燭頂きました。
皆様、ありがとうございます。失礼しました。