('A`)百物語のようです2013( )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666266/
- 1 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 00:17:46 ID:z2vK43pU0
- ('A`)おーす
('A`)前スレと区別がつきやすいように今回は俺がメインだぜひゃーはー
('A`)ではルールのおさらいといこうか
・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
レス制限無し。
スレ立て
↓
百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
↓
投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)
・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る
前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/
前スレ
( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1372396645/
('A`)祭りはあと少し......百まで残り約半分......行けるか?
- 2 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:36:34 ID:EjYAGugM0
- 次スレ乙です!
46本目いただきます。
- 3 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:38:14 ID:EjYAGugM0
.,、
(i,)
|_|
- 4 名前:鬼の話のようです 1/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:39:28 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「これは鬼の話」
川 ゚ -゚)「話を聞いた後に良くないことが起こるかもしれないけど、いいか?」
川 ゚ -゚)「……答えられないなら、肯定と受け止めよう。それじゃあ話す」
★ ★ ★
ある村に姉妹がいた。
姉のシュールは小さい頃から利発で、ショートヘアの似合う健気な少女だった。
それでいて他人への気配りも絶やさない人で、人づきあいが上手い人だった。
妹のキュートは天性から非常に可愛らしいふるまいをする少女だった。
やや自分が一番でなければ気に食わない節があったが、綺麗な長い髪が自慢の人気のある人だった。
小さい頃から二人はいつも一緒に遊んでいた。
遊び場の限られた村だったが、小さな山でハイキングをしたり、河川敷で戯れたりすることはできた。
成長して村の外に遊びに行くこともあった。
電車で数分も行けばそこそこ栄えた町に出ることができた。
二人の性格も相まって、友達を作ることに苦労はしなかった。
- 5 名前:鬼の話のようです 2/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:40:25 ID:EjYAGugM0
時は流れて、二人は同じ高校に通った。
シュールが三年生、キュートが一年生。町にあるほどほどの進学校である。
キュートが入学したとき、シュールには既に彼氏がいた。
キュートは入学して初めてその頃を知り、ひどく怯えたという。
なぜならば彼女たちの育った村には、ある掟があったからだ。
二十歳になる年の一月、村のお社に純粋な身体の一部を捧げなければならない。
それが昔からの神事として伝わっていたのである。
身体の一部とは例えば髪の毛や爪などのものでいいという。
はるか昔は生贄を捧げていたらしいが、今時そのような風習は残っていない。
それでも純粋な女性であることは欠かしてはいけないそうだった。
この儀式は山の鬼を鎮めるためのものである。
もし関係をもった女性の一部を捧げれば鬼が降りてきて災いをもたらすという。
村の女性である限りその教えには従わなければならなかった。
だからこそ、シュールの行いを見てキュートは怯えた。
もし二十歳になる前にシュールが男と関係を持ってしまえば、鬼の祟りにふれるのではないか。
- 6 名前:鬼の話のようです 3/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:41:27 ID:EjYAGugM0
- キュートはシュールに何度もそのことを問い詰めたそうだ。
lw´‐ _‐ノv「なに、今はもう21世紀、そんな古い村の風習気にすることはないさ」
シュールは頑として聞かずにいたそうだ。
ある時、その彼氏は姉妹の村に来た。
ちょうど村で夏祭りが行われていたので、それにシュールが呼んだのである。
夏祭りには近隣の市町村からも大勢の観光客が訪れてきていた。
なので村の外の人が参加すること自体は特段変わったことではなかった。
当然、シュールは親にも彼氏のことは告げていなかった。
とはいえ、付き合うだけならば別に問題は無いので、
彼氏が一緒にいるところを見られる程度なら問題はなかった。
気が気でなかったのはキュートばかりだった。
そうして、事件は起こった。
夏祭りのあった日の翌日、未明、河川敷で一人の女性の死体が見つかった。
頭には大きな打撲痕があり、頭皮が破けて血が流出していた。
その衝撃は頭蓋骨にも影響が及んだとみられ、直接の死因と考えられた。
- 7 名前:鬼の話のようです 4/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:42:26 ID:EjYAGugM0
- 女性の顔はぐちゃぐちゃに潰されており、判別するのに時間がかかった。
歯形の検証からようやく、その死体がシュールであることがわかった。
村の人々は震撼した。
特に古い伝承を知っている人は、口々に鬼の祟りと噂した。
しかしそのような言葉で片付けるわけにもいかず、警察は殺人と解した。
★ ★ ★
川 ゚ -゚)「これが妹、キュートの証言から考えられた事件の粗筋。何か質問はある?」
川 ゚ -゚)「捜査のこと、覚えているのか」
川 ゚ -゚)「ええ、そう、よく考えれば当然」
川 ゚ -゚)「確かにすぐに犯人は見つかった」
川 ゚ -゚)「キュートが自らの犯行を自供したから」
川 ゚ -゚)「事件は終わったかのように見える。話を蒸し返す必要は無い、ともいえる」
川 ゚ -゚)「でも私はそうは思っていない。まずはキュートの証言を再現する必要がある」
★ ★ ★
- 8 名前:鬼の話のようです 5/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:43:25 ID:EjYAGugM0
- o川*゚ー゚)o「あの祭りの日、私は姉と彼氏が一緒に離れていくのを見たんです。
それで、嫌な予感がして、私は後をつけました。
姉たちは祭りを外れ、山に向かい、それで例の河川敷にたどりついたんです」
o川*゚ー゚)o「二人は河原の傍の、少し緑が茂った場所にいました。
姉たちは何事かを話し合っている様子でした」
o川*゚ー゚)o「少ししてから、突然姉が彼氏の方へ身を寄せました。
ええ、姉の方からです。二人が深くキスをしているのは遠目からでもよくわかりました。
月も出ていたし、それなりの明るさはあったんです。
そのまま二人は抱き合いながら、横になりました」
o川*゚ー゚)o「私は姉が関係を持とうとしていると直感しました。
私は村の伝承を信じていた、というか、それなりに守らないと良くないと思っていました。
なので姉を止めようと思い、姉の元へと駆けていきました」
o川*゚ー゚)o「当然姉も怒り、私と揉み合いになりました。
姉は、しきたりとかそういうものに対する鬱積もあったのでしょう、凄い力で抵抗してきて。
私もつい頭に来てしまって、激しく乱闘しました。
彼氏さんはいつの間にかどこかへ逃げてしまいましたね」
o川*゚ー゚)o「そのうち、感情も昂ぶって、つい、手元にあった石で姉を殴りつけてしまったんです。
姉が動かなくなって、そこで初めて自分がとんでもないことをしでかしたことに気付きました」
o川*゚ー゚)o「私は気が動転して、姉を川に追いやりました。
それで逃げて、数日たって、自分のしたことの過ちの大きさを感じました。
このたびはそのような経緯で、こちらに出頭しました」
★ ★ ★
- 9 名前:鬼の話のようです 6/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:44:27 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「キュートの証言はとても淡々としていてわかりやすかった。
それから警察はシュールの彼氏とも連絡を取り、証言が正しいことが証明された」
川 ゚ -゚)「シュールの死体が見つかった現場から少し登ったところを調べたら、確かに血痕が見つかった。
シュールのも、キュートのもだ。
だから事件はキュートが犯人として幕を閉じた」
川 ゚ -゚)「何か聞きたいことはある?」
川 ゚ -゚)「まだどうしてこの話をするのかわかってないのか。
これで済んだ話、確かにそうとも受け取れる」
川 ゚ -゚)「でも、私はこの証言にはまだまだ疑いの余地があると思っている。
だから伝える必要がある。
実は別の人の証言も集めている。これらは私が直接赴いて集めたものだ。
それをここで語ろう。証言してくれているのは、シュールの友人」
★ ★ ★
- 10 名前:鬼の話のようです 7/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:46:21 ID:EjYAGugM0
- ζ(゚ー゚*ζ「高校三年の、夏休み前から、あの子の様子がおかしかったんです。
なんだか何かにイライラしているような。
いつもそういうのさらっと受け流す子で、良い友達だったから、それが気になって」
ζ(゚ー゚*ζ「それである日の放課後、直接聞いてみたんです。
最近何かあったの、って。そうしたら、シュールが急に俯いちゃって」
ζ(゚ー゚*ζ「彼氏が……とかぼそっと言っていました。でもよく聞き取れなかったんです。
それにすぐに首を振って、なんでもないってあの子は言い張りました。
聞きかえそうとも思ったんです。けど、なんだか無粋かなって」
ζ(゚ー゚*ζ「言っては悪いかもしれないけど、
彼氏さんと上手くいかなかったり、そういうのって良くあるじゃないですか」
ζ(゚ー゚*ζもちろんあの子に恋人がいるのは知っていました。
そもそもあの二人は、高校二年のときから付き合っているんじゃなかったかな」
ζ(゚ー゚*ζ「それで二人とも、多少喧嘩することもありました。
だから今回も、本人にとっては辛いことだろうけど、
そっとしておくのが一番だろうって思って、追求するのを止めました」
ζ(゚ー゚*ζきっとまた元仲に戻ってくれるって信じたんです。
でも、そのときばかりはいつもとは違ったんでしょうね」
ζ(゚ー゚*ζ「結局それっきりあの子と話す機会が無くて、もうそのまま夏祭りに。ええ、本当に、残念です。
あの子の変化に気付いてあげられなくて、どうせまた元に戻るなんて思ってしまって」
ζ(゚ー゚*ζ「あの時あの子がぼそっとつぶやいたのも、きっと助けてほしいっていう気持ちの表れだったんでしょうね。
私は友達なのに、そんなことに気付いてやれなくて。悔やんでも悔やみきれません」
★ ★ ★
- 11 名前:鬼の話のようです 8/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:47:29 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「シュールは彼氏と関係が悪くなっていた。
少なくともそのことがこの証言からわかる」
川 ゚ -゚)「そんなのよくあることじゃないかって?」
川 ゚ -゚)「確かにシュールの友人さんが言うように、そんな争いの理由はいくらでも考えられそうだ。
少なくともこれだけでは結論は出ない。
疑いの当否を判断するためには、まだ別の証言が要る」
川 ゚ -゚)「ここでもう一つの証言を語ろう。ある村人の証言。
その村人は夏祭りの際に出店を開いていた」
川 ゚ -゚)「ん? そうだ、この証言も私が集めたものだ。
これが私の仕事なものでね。とにかく話を進めようじゃないか」
★ ★ ★
- 12 名前:鬼の話のようです 9/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:48:28 ID:EjYAGugM0
- _、_
( ,_ノ` )「ああ、あの二人のカップルさんな。よく覚えているよ。
なんだか人目を気にしている風だったからなあ」
_、_
( ,_ノ` )「ほら、ここの村って若い女性のあの風習があるし、
若いカップルが人目を気にするのは良くあるんだけどな。
二人とも見るからに未成年だったし、親にでも見つかったらどやされるとこなんだろう」
_、_
( ,_ノ` )「ただ、それにしたって怯えすぎなような気がしたんだ。特に女の方が。
よっぽど厳しいおうちの人の子だったんかね。
私は村の外れの方に住んでいるから、誰かはわからなかったよ」
_、_
( ,_ノ` )「で、何を聞きたいんだっけ。ああ、そのカップルが何をしていたか、か。
そりゃまあ、普通に遊びに来ていたよ。うちは金魚すくいをやっていたから」
_、_
( ,_ノ` )「最初は周りを気にしていたその女も、だんだん熱中してきたようでね。
真剣にやるもんだから、髪の毛が水ん中入っちゃったりしていたよ。
彼氏さんの方はてんでだめだったから、二人で協力してするようになった」
_、_
( ,_ノ` )「なんだか随分と初々しくてね、ちょっとでも肌が触れたりしたら慌ててやんの。
見てるこっちが恥ずかしくなってきちまってなあ。
それから、結局釣れなかったんだよな。でもかわいそうだから何匹か上げた」
_、_
( ,_ノ` )「それでも十分満足そうな顔をしていたな。
結局一緒に何かできてればそれだけで嬉しい、そういう年頃なんだ。
その他には特に、何も語ることは無いなあ。まあ、事件の後にいろいろ知った。
あの女の方を覚えていたからさ、あんなことになるなんて思いもよらなかったよ」
★ ★ ★
- 13 名前:鬼の話のようです 10/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:49:28 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「……どう思う」
川 ゚ -゚)「普通に金魚すくいしていただけ?」
川 ゚ -゚)気になる点は二つ。まず一つ目はなんで人目を気にしていたのか。
確かにこの村人の言うように風習のことを気にしていたとも取れなくは無い」
川 ゚ -゚)「それと、もうひとつ。なんで髪の毛が水の中に入ったのか。シュールは短髪の女の子だった。
ちなみに彼氏さんの写真をちゃんと見せたところ、村人は確かにこの男が一緒だったと話していた。
ついでにシュールの写真を見せたところ、こんな子は知らないと答えた」
川 ゚ -゚)「じゃあいったい誰と、彼氏さんは歩いていたのか」
川 ゚ -゚)「私は、キュートじゃないかと思っている。
さっきの証言二つを合わせて、推測した。これから私の推理を語る」
- 14 名前:鬼の話のようです 11/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:50:28 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「キュートが高校に入学して、シュールの彼氏はキュートと出会った。
そこでキュートの気持ちが揺らいだのではないか」
川 ゚ -゚)「その気持ちの揺らぎをシュールが知ってしまった。
だからシュールはイライラしていた。それが友人の証言にも表れている」
川 ゚ -゚)「そしてお祭りの日。シュールが彼氏を呼んだのはたぶん合ってると思う。
だけど、少しの間キュートは彼氏と一緒にいたのではないか」
川 ゚ -゚)「シュールのいない隙に遊びまわっていた。金魚すくいもその一例だろう。
でも当然シュールには見つかりたくない。だからキュートは必要以上に周りを気にしていた。
それが村人の証言にも表れている」
川 ゚ -゚)「そして憶測だがシュールはそのことを知ってしまったのではないか。
そして彼氏がキュートに取られてしまうとも思ったのだろう」
川 ゚ -゚)「だから早々に彼氏と関係を持ってしまおうと考えた。
河川敷で話しあっていたのも、そのことだろう。
そしてシュールが強硬手段に出るところをキュートが襲いかかった」
- 15 名前:鬼の話のようです 12/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:51:29 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「キュートが出頭までに時間がかかったのは、彼氏と話し合ったからだ。
事件の口裏を合わせるためのもの。証言がやけに淡白なのも、そのため」
川 ゚ -゚)「キュートはきっと、彼氏を守ろうとした。
自ら罪を被ることで、彼氏から疑いの目を反らしたのだろう」
川 ゚ -゚)「さっきから憶測だって? そうかもしれない。
でも、だったら教えてほしいものだ」
川 ゚ -゚)「なんでシュールの顔はぐちゃぐちゃに潰されていたのだろうか。
キュートがシュールのことを恨んでいる節があったとは考えられないだろうか」
川 ゚ -゚)自分の好きな人がすでにシュールの彼氏であり、最初から手が出せない人だった。
キュートは元々人の上に立ちたがる人だった。
そのようなことから恨みを積んでいても不思議ではない」
川 ゚ -゚)「ああ、そうか」
川 ゚ -゚)「憶測に聞こえるのは、そういう話し方をしているからだな。
もっとはっきり言おう。私にはすべてわかっている」
- 16 名前:鬼の話のようです 13/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:52:30 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「そうだな、村の風習から説明しよう。
あれは別に、鬼の祟りを鎮めるためのものではない。
本来の目的は女性の加護を祈るためのものだ」
川 ゚ -゚)「鬼子母神という神様を知っているかな。
元々鬼だったが、釈迦の説法により改心し、安産や子育ての神となったという。
この村の伝承の由来は、その仏教思想が村独自の伝統と混じり合ってできたものだ」
川 ゚ -゚)「いわば鬼によって女の子を不幸から守ろうというものなのだよ」
川 ゚ -゚)「身体の一部を捧げることにより、
この女性はこの村の人です、どうかお守りください、と示しているのさ」
川 ゚ -゚)「そして今はお社に捧げているが、
鬼は山にいるから、基本的に山に捧げれば問題は無い。
鬼はきっと守ってくれる」
川 ゚ -゚)「キュートがシュールを殺した時、キュート自身も若干の傷を負った。
そのため二人の血が現場や川へと流れていった。
そのとき鬼たちはそれを捧げられたと解釈した」
- 17 名前:鬼の話のようです 14/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:53:37 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「だからこの二人の身を守るため、行動に出た。
その事件の元凶を追い求めることにしたんだ」
川 ゚ -゚)「何がこの悲劇を生んだ? 原因は何だ? 客観的には善悪は判断できない。
しかし鬼にとっては姉妹、特に残されたキュートを守るという契約がある」
川 ゚ -゚)なので手っ取り早く、姉妹に問題が生じる原因となった彼氏を始末することにした。
それがこの姉妹を守ることに繋がると考えたのだ」
川 ゚ -゚)「善悪の問題ではない。価値観の違いだ。
女性の身に災いが降りかかったら、その災いをもたらしたものこそ裁かれるべきなのだ」
川 ゚ -゚)「そういうわけで、今君の前にいるのだよ。シュールの、そしてキュートの、彼氏さん」
- 18 名前:鬼の話のようです 15/15 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:54:39 ID:EjYAGugM0
- 川 ゚ -゚)「ん? どうした。ははあ、鬼なんてどこにもいないじゃないかって?」
川 ゚ -゚)「ふふ、最初に言ったじゃないか」
川 ゚ -゚)「これは鬼の話って」
「それでは」
「さようなら」
〜おわり〜
- 19 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 00:55:38 ID:EjYAGugM0
(
)
i フッ
|_|
- 20 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:00:25 ID:bRbjbQHs0
- 徐々に組み上がっていくこの感じがたまらん
乙
- 21 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:19:36 ID:9/Qhpkf60
- 予想外の展開だった
乙!
それでは47本目、頂きます
- 22 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:20:47 ID:SsW4iY9sO
- 乙〜
シューとキューの心を掴むなんて、羨ましい男だぜ……
- 23 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:20:50 ID:9/Qhpkf60
.,、
(i,)
|_|
「「おやすみ、マイベイビー」」のようです
- 24 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:22:05 ID:9/Qhpkf60
テレレレッテッテッテー
川 ゚ -゚)「……よし」
蒸し暑い真夜中に、クーラーをつけて快適に過ごすひととき、私は古びたベッドに腰掛けながら最近はまっているゲームを続けていた。
いわゆるロールプレイングゲーム。いささか迫力に欠けるが、私はちまちまとレベルを上げるのが好きなのだ。
部屋の電灯は消しているので、テレビに映るゲーム画面だけが唯一の光源だった。
川 ゚ -゚)「(いい加減にしないと目が悪くなりそうだな)」
しかし、やめられない。
だって面白いんだもの。
仕方ないじゃないか。
さすがにここまで遅く起きていると、母に叱られることがしばしばあった。
最近ではそれが鬱陶しくて、ドアの鍵をかけるようになった。
これで心置きなく、ゲームを満喫できる。
川 ゚ -゚)「(これではまるっきりゲーム中毒者だな)」
実際にそうなのだけど。
- 25 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:23:25 ID:9/Qhpkf60
川 ゚ -゚)「よいしょ」
体勢を変えるためベッドに座り直す。
ぎいいいぃぃ
ベッドが軋む、というより沈んでいく。
このベッドは親戚の姉が、私が小さいころに譲ってくれたものだ。
その姉は今年で23になる。確か小学校入学と同時に買ってくれたと言っていたから、15年以上使っていることになる。
沈むのは古くなったせいだ。
けっして私の体重が増えたからなどではない。
川 ゚ -゚)「(たとえ増えていたとしてもそれは健全な発育だ!)」
今更、新しいのを買ってくれと駄々をこねる歳でもなく、また、なんとなくこのベッドに愛着をもっていた。
ただ、音のせいで母に起きていることをバレるのが、うらめしいけれど。
- 26 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:24:27 ID:9/Qhpkf60
川 うо-) ふぁ�あ
さすがにこの時間帯までしていると睡魔が襲ってくる。
しかし、これしきのことで中断する私ではない。
川 う�`)「あとすこし、あとすこし……あと……」
�����
����
���
��
- 27 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:26:17 ID:9/Qhpkf60
川 - -) ………
川 ゚ -゚) パチ
不意に圧迫感を感じ、目を覚ます。
どうやらあのまま眠ってしまったようだ。
川 ゚ -゚)「………」
どうしよう
川 ゚ -゚)「(トイレいきたい)」
そういえば寝る前に行っていなかったな、と後悔する。
- 28 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:28:05 ID:9/Qhpkf60
川;゚ -゚)「(行くべきか、行かざるべきか……どうしたものか………)」
私がトイレに行くのを渋るのには理由がある。
それは私が所謂『視える』人であるからだ。
幽霊のことなら何でもござれ、足のない人間を今までどれだけ視てきただろうか。
印象に残っている幽霊ならば、悲痛な顔をした少年の頭部だけが、浮いているのを視たことがある。
あの時は、さすがの私も悲鳴をあげそうになった。
最近で言えば、部屋の窓に男の顔があったこともある。
いくら幽霊を視たといっても慣れるものでもなく、できるならば出逢いたくないのである。
それなのに深夜の、灯りもない状態で、トイレに行くなどまさに「飛んで火に入る夏の虫」、自ら会いに行きますと言っているようなものだ。
川;゚ -゚)「(でもなあ………)」
人間は生理的欲求には勝てないのでありまして―――
川;゚ -゚)「(すぐに行ってすぐに戻ってこよう)」
ベッドから立ち上がり、ドアへと向かう。
勝手知ったるこの部屋だ。たとえ暗闇だとしても、なんとなくでたどり着くことができる。
ドアノブを手探りで探し出す。
ドアノブを掴みガチャリとまわす。別室で寝ている家族を起こさぬよう慎重に開けていく。
部屋からでた私は、小走りでトイレへ向かった。
川;゚ -゚)「(なにも出ませんように、なにも出ませんように!)」
- 29 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:29:26 ID:9/Qhpkf60
―――
―…
結論から言えば何もなかった。
用を済ましている間は、最近流行っている歌を、頭のなかでリピートさせて気を紛らわしていた。
部屋へ戻るときは、さっきと同じく小走りで戻った。
ドアを開け、部屋に入る。
川;∩ -゚)=3
汗をぬぐい、一息つく。
どうやら今日の私は運がいいらしい。
- 30 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:32:03 ID:9/Qhpkf60
川 ゚ -゚)「(よし、さっさと寝てしまおう)」
これからは本当に、夜中までのゲームは自重しなければな。
そう思いながらベッドに腰掛け、横たわる。
ぎいいいぃぃ
ベッドが徐々に沈んでいく
「うっ」
川; - )「っ!」
軋む音に紛れて、男の呻き声が聞こえた。
川; - )「(ああ…)」
今日はもう出逢わないと思っていたのに。
なぜ私は霊感などもっているのだ。それよりも、ついに自室にまで現れるようになったのか。
もはや嘆いたところでどうにもならないが。
川;゚ -゚)「(他のことを考えて、はやく忘れてしまおう)」
川;- -)「(ああと、ええと…そうだ、今日はどこまて進んだのだったかな)」
眠る直前までしていたゲームのことを思い出す。
- 31 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:34:10 ID:9/Qhpkf60
たしか、あのダンジョンの最深部まで行って、そこで迷ってしまって……
そこで睡魔が襲ってきて、そのまま寝てしまったのだから………
川 ゚ -゚)「え…――」
窓からは、夜風が吹き込んでいる。
- 32 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:35:21 ID:9/Qhpkf60
(
)
i フッ
|_|
- 33 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:36:58 ID:9/Qhpkf60
- 文字化けェ…
次の方どぞー
- 34 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:45:50 ID:NgqitKuk0
- じゃあ48本目いただこう
- 35 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:46:35 ID:NgqitKuk0
.,、
(i,)
|_|
- 36 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:47:51 ID:NgqitKuk0
- (-@∀@)「悪霊が集う村…ですか?」
(,;゚Д゚)「ええ、とても恐ろしい体験をしました」
と、いい色に日焼けした顔を真っ青に染めて心霊体験を伝えてきた
彼ほどの体躯であるならば、むしろ幽霊が走って逃げそうなものだが…
体を鍛えても、内面が図太くなるかはまた別の話のようだ
(-@∀@)「して、どのような場所でしたか?」
(,;゚Д゚)「それはもう筆舌しつくしがたいものでした」
最初に『筆舌しつくしがたい』という言葉を考えた人は頭の良い馬鹿だろう
こう言えば面倒な説明をしなくてもいいのだから
(-@∀@)「まぁ…百聞は一見に如かず、と言いますしね。直接行って確かめる事にしましょう」
(,;゚Д゚)「正気ですか!?」
(-@∀@)「あなた、私を誰だと思っているんですか?」
(-@∀@)「オカルト雑誌『ジーザス!!』のカリスマ記者、『朝日アサピー』」
(-@∀@)「幽霊如きに屈するような臆病者に、この仕事は務まりませんよ」
- 37 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:48:42 ID:NgqitKuk0
『む ら び と』のようです
.
- 38 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:49:40 ID:NgqitKuk0
- 電車とバスを乗り継ぎ、片道五時間
一番近いバス停から歩いて一時間
ようやく見えてきた廃村は、想像以上に荒廃していた
(-@∀@)「如何にもって場所ですね」
家屋はどこも固く扉を閉め、酷いところは窓ガラスが割れ、雨風にさらされ室内が荒らされていた
田畑があったであろう土地は、雑草と害虫が占領していた
情報提供者の…なんて言ったけな、『キソ』さんだっけ…まぁなんでもいいや
彼は林業の一環としてこの場所に立ち入ったらしく、怪異に巻き込まれたそうだ
(-@∀@)「一本しかない道路、周囲は山と湖に囲まれている…まるでホラー映画のセットのようだ」
そう、この場所は『出来すぎている』
まるで怪異を目にするために訪れる者を、歓迎するような…
('(-@∀@)「いや、考えすぎか…」
('A(-@∀@)「とにかく、キャンプを張れる場所を探しますか。今日は疲れたし、探索は明日に…」
('A`)「む ら び と」
(;-@∀@)そ「!?」
ガツン、と頭に衝撃が走り
廃村での一日目が終了した
- 39 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:51:08 ID:NgqitKuk0
- ―――――
―――
―
(;-@∀@)「う、ううん…」
目を覚ますと
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
<ヽ`∀´>「…」
(´・ω・`)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…ウホッ」
(;-@∀@)そ「ぎゃあああああああああああああ!?なになに何なのおおおおおおおおお!?」
ふんどし一丁の屈強な体の男たちが、周りを取り囲んでいた
(;-@∀@)「こええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
幽霊にはめっぽう強い私も、変態たちに囲まれては手も足も出ない
('A`)「む ら び と」
(;-@∀@)「え!?何なの!?」
『村人』、と言葉を発したこいつは、間違いない、私を攫ったマッチョだ
ムキムキな体とは相反し、その顔に血の気は無い
まさかこいつらが件の悪霊とやらか?いやねーわこいつら幽霊にしてはくっきりしすぎてる
- 40 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:51:53 ID:NgqitKuk0
- ( ^ω^)「む ら び と」
<ヽ`∀´>「む ら び と」
(´・ω・`)「む ら び と」
N| "゚'` {"゚`lリ「やらないか」
続けて、他のマッチョたちもその言葉をリピーtいや一人だけなんか違う
N|*"゚'` {"゚`lリ「パンパンだぜ」
やべえ、こいつだけやたら血色が良い
しかも目が据わってやがるこれアカン奴や一刻も早くここから離れないと死ぬ主に穴が埋まって死ぬ
(;-@∀@)「うわ、うわああ!!」ギシギシッ
(;-@∀@)そ「ぎゃああああああああああ拘束されてるううううううう!!!!!」
椅子にギッチギチに縛られている!!
なんてこった!!金縛りはなんども経験しているが、こんな物理的な方法は初めてだ!!
('A`)「む ら び と」
(;-@∀@)そ「ごめんなさい!!」
悪いのは向こうなのについ謝ってしまう
筋肉の圧迫感がとても恐い!!これが本当の恐怖か!!
- 41 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:53:26 ID:NgqitKuk0
- ( ^ω^)「む ら び と」
(´・ω・`)「む ら び と」
N| "゚'` {"゚`lリ「かまわないでホイホイ食っちまおうぜ」
ヤバイ食われる、これは多分性的な意味で食われる
なんであいつだけやたら悠長に喋っているんだとても恐い
<ヽ`∀´>「む ら び と」
五人の中でずば抜けてムキムキのマッチョが近づいてくる!!
足跡がしない!!ニンジャ!!!!
(;-@∀@)「イヤー!!」
<ヽ`∀´>「む ら び と」ホドキホドキ
(;-@∀@)「えっ…」
恐い顔とは裏腹に、拘束をやさしく解いてくれた
- 42 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:54:22 ID:NgqitKuk0
- (;-@∀@)「あ、ありが…」
彼の指先が、手首に触れる
(;-@∀@)そ「ひっ!」
『冷たい』
<ヽ`∀´>「…」
<ヽ`∀´>「む ら び と」
拘束を全て解くと、彼は静かに後ろに下がった
その無表情な顔に、ほんの少しの寂しさが差した気がした
(;-@∀@)「あ、ありがとうございます…」
まさか、この筋肉モリモリ、マッチョマンの変態たちが
『悪霊』だというのか?
- 43 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:55:41 ID:NgqitKuk0
- 以前、気を抜けない状況が続くが
手足が自由になった事で周りを見渡す余裕が出てきた
そこはまるで…
(;-@∀@)「マシンジム…?」
ランニングマシンにエアロバイク
筋力マシンにフリーウエイト
私自身も運動不足を解消するために利用している施設によく似ていた
(;-@∀@)「…」
(;-@∀@)そ「なんで!?」
山奥の、マジびっくりするくらい人のいないクソド田舎にマシンジム
それはまるで、吉幾三のアルバムリストの中に一曲だけ『Macho Man』が紛れ込んでいた
違和感を覚えずにはいられない、そんな状況であった
('A`)「む ら び と」
そして彼ら
一人を除く全員が青白い顔をしているものの、その見事なまでに鍛え上げられたボディの存在感は計り知れない
だが、先ほど触れた指先は氷のように冷たかった。恐らく、彼らは霊的な何かだと思われる
何故か『む ら び と』としか話さない。そこはかとない怪異の臭いがする
足元を良く見てみると、ほんのちょっぴり、すっごく目を凝らさないとわからないほどに、うっすらと透明だった
(;-@∀@)「な…なんてくっきりと姿を現している幽霊なんだ…」
心霊に向き合ってきた年数は長いが、これほどまでに力強い幽霊は初めてだった
- 44 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:56:59 ID:NgqitKuk0
- さて、現状の把握も出来たことだ
会話は出来そうにないが、話は通じるだろう
(;-@∀@)「そ、それで…私をここに連れてきた理由はなんですか?」
('A`)「む ら び と」
ダメだ全然わからん
N| "゚'` {"゚`lリ「体を鍛えろってことさ」
無駄に血色のいい幽霊(?)が翻訳してくれた
(;-@∀@)「鍛える?…まさか」
N| "゚'` {"゚`lリ「お前さんをマッチョにするまで、帰さないらしいぜ?」
(;-@∀@)「な…なんやて…?」
- 45 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:57:49 ID:NgqitKuk0
- _
/ jjjj _
/ タ {!!! _ ヽ、
,/ ノ ~ `、 \ _
`、 `ヽ. , ‐'` ノ / `j
_ \ `ヽ( ^ω^ )" .ノ/ / /`ー'
('A` )  ̄"⌒ヽ `、ヽ. ``Y" r ' 〈 `ヽ
/ ) ヽ' / 、 `、 i. 、 ¥ ノ `、 ヽ
γ --‐ ' λ. ; `、.` -‐´;`ー イ 〉 ´・ω・`) ,-、、
f 、 ヾ / ) i 彡 i ミ/ / ノ  ̄⌒ヽ 「 〉
! ノヽ、._, '`"/ _,. '" } { ノ ' L `ヽ./ /
|  ̄`ー-`ヽ 〈 < _ ヽ. / `\ / , ' ノ\ ´ /
!、__,,, l ,\_,ソ ノ / /ヽ、 ヽ. ( ∠_ ヽ、_, '
〈'_,/ / / / ノ ヽ. ) i 、 ヽ
| | イ-、__ \ `ヽ { f _,, ┘ 「`ー-ァ j
l.__| }_ l \ \ | i f" ノ { /
_.| .〔 l l ノ _> j キ | i⌒" ̄ / /_
〔___! '--' <.,,_/~ 〈 `、ヾ,,_」 i___,,」
`ー-‐'
ヤバイこいつらマジだ幽霊の癖に無駄にアグレッシブなポージングしやがって
- 46 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 01:59:41 ID:NgqitKuk0
- (;-@∀@)「じょ、冗談じゃないぞ!!なんで幽霊なんかに鍛えられなきゃならないんだ!!そもそも私を鍛える理由がわからん!!」
(´・ω・`)「む ら び と」
(;-@∀@)「何言ってるかわかんねーんだよ!!」
N| "゚'` {"゚`lリ「いいからとっととやれよ掘るぞこのクソメガネだってよ」
(;-@∀@)そ「口わr…掘る!?」
冗談じゃない!!いくら実体の無い…いや殴られた!!殴られて拉致された!!
つまりあいつらはヤると言ったらヤる!!凄味があるッ!!
人間の尊厳を失う行為はゴメンだ!!心なしか股間が膨らんでるし!!
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
何故か彼のも!!!
(;-@∀@)「わ、わかった…やるよ…」
(´・ω・`)「チッ」
(;-@∀@)「ん?」
こいつ、舌打ちしやがった…
なんだこの屈辱…ホモの幽霊のくせに恐怖より憤りの方が強く感じる…
('A`)「む ら び と」
( ^ω^)「む ら び と」
<ヽ`∀´>「む ら び と」
(;-@∀@)「あー!!いっぺんに喋るな!!何言ってるかわかんねえ!!」
私は上着を脱ぎ、椅子にかけた
(;-@∀@)「それで、何から始めたらいい?」
- 47 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:00:28 ID:NgqitKuk0
- オカルト雑誌の記者という職業は、常に危険と隣りあわせだ
なんてったって相手は魑魅魍魎。時にはとり憑かれたり呪われたりなど、命の危機を感じることもある
ただ…
(;-@∀@)「っく…」プルプル
N|#"゚'` {"゚`lリ「ちんたらチェストプレスやってんじゃねえぞコラァ!!!もっと大胸筋に力入れろ!!!」
こんなハードなトレーニングで死にそうになることは過去に一度も無かった
( ^ω^)b「む ら び と」
体を動かし、汗をかくという行為は、人の緊張や疑心暗鬼を取り除くようで
今ではすっかりこの筋肉モリモリ、マッチョマンの変態野郎共を腹立たしく思えるようにまでなった
(;-@∀@)「クッソ…誰の為にやってると思ってんだ…!!」
('A`) パァン!!
(;-@∀@)そ「!?」
なんだ今の…ラップ音!?
N| "゚'` {"゚`lリ「今のはラップ音じゃあないぜ?あれはドクオがケツを叩き合わせて鳴らした音だ」
(-@∀@)「ラップ音でいいよもう」
やつらに常識は通じないようだ
- 48 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:01:51 ID:NgqitKuk0
- ―――――
―――
―
(;-@∀@)「も…体…動かない…」
N| "゚'` {"゚`lリ「今日はここまでにしといてやる」
二時間みっちりのトレーニングで、私の体はズタボロボンボンだ
もう何なのこの体育会系幽霊…肌寒さを微塵も感じないよ
<ヽ`∀´>「む ら び と」
一番顔の恐い彼が、水とタオルを差し出してくれた
この状況が彼らの所為でも、ちょっと『アレ…こいついい奴じゃね?』って思ってしまう
(;-@∀@)「あ、ありがとう…」
('A`) パァン!!
お前は何なんだよケツ鳴らすなよ
N| "゚'` {"゚`lリ「ちょっと待ってな、風呂の用意をしてくるぜ」
血色が良い方のホモは、引き締まったケツを振りながら建物の奥へと消えた
- 49 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:02:59 ID:NgqitKuk0
- (;-@∀@)「…」
どうも、調子が狂う
話に聞いた悪霊とは、恐らく彼らの事だろうが、ウザくて暑苦しい事を除けば『悪霊』とは言いがたい存在だからだ
( ^ω^)「む ら び と」
だとすると、なんらかの未練で現世に残る自縛霊か?
未練…そういえば、ムキムキになるまで返さないと言っていたな…
(;-@∀@)「ハァ…」
こんな目に遭って何だが、私は彼らという存在に惹かれ始めているらしい
怖くなく、アグレッシブで、幽霊のイメージを根本からぶち壊している彼らに
ここは一つ、とことんまで彼らの要求に付き合ってみよう
体当たりでぶち当たってこそ、記者ってもんだしね
- 50 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:03:43 ID:qSKF/Y560
- こええええええええええええええええ!!!wwww
支援
- 51 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:03:44 ID:NgqitKuk0
- そして
N|#"゚'` {"゚`lリ「これくらいでへばってんじゃねえ!!そんなんで世界狙えるか!!」
(;-@∀@)「は、はい!!」
彼らが満足するまで
( ^ω^)「NDK?NDK?」
(#-@∀@)「うぜええええええええええええええ!!!!」
体を鍛えに鍛えぬいた
<ヽ;`∀´>「む ら び と」
(-@∀@)「だ、大丈夫だよ…ありがとう」
('A`) パァン
(-@∀@)「うるせえ」
その結果
(*´・ω・`)「…」ボッキンキーン
(;-@∀@)「…」
- 52 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:05:53 ID:NgqitKuk0
- (-@∀@)「すごい肉体を感じる。今までにない何か熱い肉体を。漢・・・なんだろう近づいてきてる確実に、着実に、俺のほうに。中途半端はやめよう、とにかく最後までやってやろうじゃん。ここには沢山の漢がいる。決して一人じゃない。信じよう。そしてともに戦おう。疲労感や怠惰は入るだろうけど、絶対に流されるなよ。」
およそ一ヶ月間
1日10時間にも及ぶ筋トレと、計算しつくされた食事のお陰で
彼らには及ばないものの、アクションスター顔負けの筋肉をつけることが出来た
これで私も筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ
N| "゚'` {"゚`lリ「いい…体になったじゃねえか…」
('A`)b「良く頑張った!!感動した!!」
( ^ω^)b「ナイスマッチョ」
<ヽ;∀;>「涙が止まらないニダ!!」
(´・ω・`)「チンコビンビンだよ」
(#-@∀@)「オイ普通に喋れるじゃねえか」
一ヶ月間ガチホモとしか会話出来なかった私の気持ちを考えろ
(#-@∀@)「もう大抵のことには驚かなくなった自信が出来たけど、正直今は大胸筋がこの通りビックリしている」ピクピク!!
('A`)「ごめん、だってこうしたほうが雰囲気出るかなって」
(#-@∀@)「オカルト雑誌記者から言わしてもらえれば、まずその容姿から見直せ」
('A`)「常識をぶち壊してこそホラーだと思うんだ」
(#-@∀@)「お前らに出会った時からホラー要素なんて皆無だっt…」
(-@∀@)「…」
彼らの足が、足がゆっくりと透けている
まるで光に溶けるように
- 53 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:06:53 ID:NgqitKuk0
- ('A`)「おっと、逝っちまうようだな」
(-@∀@)「…随分、急だね」
( ^ω^)「成仏する条件が、埋まっちまったからな」
(-@∀@)「それは?」
<ヽ`∀´>「『最後に、我らの友人を』」
(-@∀@)「友人…」
('A`)「共に鍛え、共に分かち、共にふざけ合える…そんな友人が、俺達のことを忘れない友人がほしかったのさ」
(-@∀@)「…ずいぶん勝手なやり方だったよ。最初に会ったときは、後ろからガツン、だもんね」
('A`)「…すまんな、アレくらいしか方法が無かった」
( ^ω^)「何人も拉致ってきたけど、みんな怯えてさっさと逃げ帰ってたからNE!!」
(-@∀@)「そりゃそうなるわ…」
<ヽ`∀´>「ごめんニダ、ウリたちのわがままに付き合ってもらって」
(-@∀@)「なぁに、一ヶ月丸まる濃い心霊体験が出来たんだ。むしろ、安いくらいさ」
( ^ω^)「おっと、先ずは俺からかお…」
にこやかマッチョの体は、既に肩まで消えかかっていた
- 54 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:07:15 ID:5MKaBJV.O
- 全く一点の曇りもなく書いた奴がわかる作品だった
開始3レスの時点で予想してたがその通りだった
- 55 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:07:37 ID:NgqitKuk0
- ( ^ω^)「お前といた一ヶ月間、悪くなかったぜ…死ぬなよ…悟飯…」
(-@∀@)「最後までそういうノリ貫くんだ…君の顔、本当にウザかったよ。恐らく一生忘れられないほどにね」
( ^ω^)「魂に刻み込むんだな、このイケメンフェイスを」
(-@∀@)「…名前は?」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお」
(-@∀@)「そうか…忘れないよ、内藤」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「さら…ば…だ!!」
「ジョ…ジョ…」
(-@∀@)「…さよなら、内藤」
(´・ω・`)「次は僕だね」
- 56 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:08:35 ID:NgqitKuk0
- (´・ω・`)「最初に君を見たときから、やる奴だとは思っていたよ」
(´・ω゚`)「ヤることは出来なかったけどな…」
(;-@∀@)「アンタからケツを守る一ヶ月、スリルしか感じなかったよ」
(´゚ω゚`)「俺の下半身が完全に消えた事を感謝するんだな…今以上に興奮したことは無かったぜ…」
(;-@∀@)「下半身消えてもヤりかねないから怖いんだよ…」
(´・ω・`)「フフッ、僕の名前は村井ショボン様だ。覚えとけよ?」
(-@∀@)「村井ショボン、ね」
(´・ω・`)「つぎ会う時は」
「そのケツ、おいしく戴くぜ…」
(-@∀@)「ケツはやれないけど、待っていてあげるよ…さよなら」
<ヽ`∀´>「…」
- 57 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:09:28 ID:NgqitKuk0
- <ヽ`∀´>「もう一度、謝らせて欲しいニダ」
<ヽ`∀´>「本当に、ごめんなさいニダ」
(-@∀@)「さっきも言ったけど、これは僕自身が望んでしたことなんだ。君が謝ることはないよ」
(-@∀@)「それに、君はとても優しかった。僕が残ったのも、君が決め手だったんだよ」
<ヽ`∀´>「…」
<ヽ`∀´>「小田ニダー、ニダ」
(-@∀@)「小田ニダー…」
<ヽ`∀´>「ありがとう」
「最後の、友人…」
(-@∀@)「こちらこそ、ありがとう。さようなら…」
('A`)「最後は俺か」
- 58 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:10:48 ID:NgqitKuk0
- ('A`)「あーっ、悪かったな。実は俺が首謀者だったんだよ」
(-@∀@)「うん、うすうすそんな気はしてた」
('A`)「この村はよ、俺らの故郷でな。まぁ良くある過疎化が進んで亡んじまった村さ」
('A`)「唯一の娯楽施設がこのジムでな…ガキのころから良く入り浸ってたんだ」
(-@∀@)「唯一の娯楽施設がジムってどういう事だよ…」
('A`)「そんで、鍛えすぎで過労死したんだよwwwww笑えるだろwwwwwwウェヒヒwwww」
(-@∀@)「自分ももしかしたらお前らと一緒にお陀仏するかのと思ったら、膝が笑い始めた」
('A`)「ハハハ…お前さんのそういうタフな所も、好きだったぜ」
(;-@∀@)「やっぱお前もゲイか…」
('A`)「友愛って知ってる?」
(-@∀@)「冗談さ…この一ヶ月、楽しかったよ」
('A`)「描写されなかったけどな」
(-@∀@)「おい感動のシーンにそういうこと言うな」
('A`)「欝田ドクオだ」
(-@∀@)「変な名前」
('A`)「ほっとけ」
('A`)「いいか、忘れるなよ」
「俺らみたいな奴らも、いたってことを…」
(-@∀@)「ああ、一生忘れないよ…さようなら…」
- 59 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:11:41 ID:NgqitKuk0
- やばい続き消えてる
ちょっと最速で書き直すからちょっと待ってごめん
- 60 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:34:26 ID:qSKF/Y560
- 俺は寝るけどがんばれー
支援支援
- 61 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:36:58 ID:NgqitKuk0
- (-@∀@)「で、あんたは一体何なのさ?」
N| "゚'` {"゚`lリ「俺かい?俺はおせっかいやきの寺生まれさ」
(;-@∀@)「も、もしかして、数々の悪霊を葬りさった寺生まれのTさんかい?」
N| "゚'` {"゚`lリ「巷では、そう呼ばれているな」
(*-@∀@)「うわあマジかよただのゲイかと思ってた…」
N| "゚'` {"゚`lリ「正体が割れたところでやr(-@∀@)「やんねーよ」
N| "゚'` {"゚`lリ「やれやれ、つれないじゃないの…」
(-@∀@)「でも、解せないな」
N| "゚'` {"゚`lリ「何が?」
(-@∀@)「あんたほどの霊能力者なら、破ァッ!!で済ませれたはずでは?」
N|;"゚'` {"゚`lリ「それがな、あいつら耐えるんだよ…あんだけ力強い幽霊は初めてでな…」
(-@∀@)「幽霊にカテゴライズされるべきじゃないだろあいつら」
N| "゚'` {"゚`lリ「ハハハ、その通りだな全く…ちょっと歩かないか?」
(-@∀@)「え?」
- 62 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:37:43 ID:NgqitKuk0
- 寺生まれのTさんこと、『阿部高和』さんは、僕を荒れ果てた墓の前まで連れてきた
(-@∀@)「ここは…」
N| "゚'` {"゚`lリ「さ、先ずは掃除しようじゃないの」
生え放題の雑草を刈り、苔むした墓石を磨いた
見違えるほど綺麗になったお墓に、阿部さんはどこからか詰んで来た花を添えて
『線香の代わりだ』と、タバコを挿した
(-@∀@)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…」
そして、暫く手を合わせた後、阿部さんが口を開いた
N| "゚'` {"゚`lリ「こいつらと出会う前、俺は駆け出しの寺生まれでな…幽霊なんてモンは害悪しか持ち込まないもんだと思ってた…」
N| "゚'` {"゚`lリ「だが、それは間違っていると気づかされたよ…幽霊だって元を辿れば俺達と同じ『人間』だったんだ。喜び、怒り、哀しみ、楽しむ、普通の人間だったんだ」
(-@∀@)「…ええ」
僕自身、幽霊という存在は人々に『恐怖』を与えるものだと考えていた
だけど、彼らは違った
出会いは最悪なれど、彼らと過ごした日々は間違いなく楽しかった
僕たちは、人間が持っている『幽霊の価値観』だけで、彼らを見るべきではないんだ
- 63 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:38:23 ID:NgqitKuk0
- (-@∀@)「僕は…」
一ヶ月掛けて、その事を学んだ
じゃあ、僕は次に何をすればいい?
僕は記者だ。そんな事、考えるまでも無い
(-@∀@)「伝えていこうと思います。人と幽霊のあり方を、彼らとの軌跡を」
僕にしかできないことを、やっていこう
時間は掛るだろうけど、みんなにも伝えていこう
N| "゚'` {"゚`lリ「…ああ、お互いに頑張ろうじゃないの」
こうして、僕の一ヶ月に渡る幽霊との生活は、幕を閉じた
- 64 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:39:48 ID:NgqitKuk0
- その後、一ヶ月ぶりに発見された僕は、ちょっとした有名人になった
行方不明者がマッチョになって帰ってきたんだから当然の結末と言えるだろう
マスコミの質問攻めには、一切応え無い事にした
この経験は、僕が自分で書き上げたかったから
差しあたって、編集長には自分の体験と、これからやりたい事を話した
最初はうさんくさい顔で見られたけど、友人の協力もありなんとか企画として通すことができた
今では彼も、幽霊と歩み寄ることによって、怪事件を解決する立派な寺生まれだ
さて、やりたい事の話になるけど
『ジーザス!!』の片隅にコラムを載せることにした
心霊現象の恐怖を伝えるんじゃなくて、幽霊と人間のあり方、接し方を考えていく企画だ
彼らも僕たちと一緒、『悪い奴』もいれば『良い奴』もいる
怖がらずに、ちゃんと向き合えばお互い幸せな結果が得られるんだと伝えていきたい
コラムの名前は、最初から決めてあるんだ
あの世で散々、笑い飛ばしてくれよな
その名も―――
『む ら び と』のようです
おしまい
- 65 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:40:37 ID:NgqitKuk0
- (
)
i フッ
|_|
- 66 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 02:42:47 ID:B19XsEB.0
- 乙www良い話だww
- 67 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 03:21:50 ID:CJrfDdGY0
- 乙
行方不明になった奴がムキムキになって帰ってくるって
もうそれだけで怪奇現象だな
- 68 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 03:40:29 ID:/CKK3DnU0
- ビレッジピープルwwwwww
乙
- 69 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:54:10 ID:LGSBRx020
- 滑り込みセーフ?
49本目もらいます。
.,、
(i,)
|_|
「ゴーストチルドレン」のようです
- 70 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:54:57 ID:LGSBRx020
- ここは成仏が出来ない、その理由さえ忘れてしまった幽霊達が集まる家。
今日も何やら騒がしそうです。
('A`)「そんで…?このしぃさんにぴったりの体を見つけろってか?」
( ^ω^)「そうだお!あんまりにも悲しすぎるんだお……」
(*゚ー゚)「……すいません…」
- 71 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:55:39 ID:LGSBRx020
- ( ´_ゝ`)「悲しい?何かわけがあるってことだな?」
(´<_` )「ぜひ聞かせてもらいたいな」
(*゚ー゚)「……生前、私にはギコ君という好きな人がいました…そのギコ君につい六日前、告白されたのです。
私はつい緊張してしまって、その場で答えれば良かった筈なのに、一週間待ってて欲しいと言ってしまったのです…。
しかし私は死んでしまった、せめて…せめて私も好きだということくらい伝えたいのです……!」
(´<_` )「それで自分が憑依するのにぴったりな体が欲しいってか」
- 72 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:56:20 ID:LGSBRx020
- ξ ;;)ξ「……っ…!」
( ; ω; )ぶわっ
( ;_ゝ;)ぶわわっ
('A`)「ぶわわわっ」
(´<_` )「口でいうなよ」
('A`)「リア充消えればいいのに」
( ;_ゝ;)「お前が消えればいいのに」
- 73 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:57:01 ID:LGSBRx020
- ( ; ω; )「とりあえずこの子の手助けをして欲しいんだお!!異議は!?」
( ;_ゝ;)「異議なし!」
ξ ;;)ξ「異議なし!」
('A`)9m「異議あり!」
( ; ω; )「満場一致で異議なしだお…!良かったおね…!」
(*゚ー゚)「ありがとうございます…!」
(#'A`)「…兄者めェ……」
(; ´_ゝ`)「怒りの矛先おかしくね!?」
- 74 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:57:43 ID:LGSBRx020
- こうしてブーン達はしぃにぴったりの体を見付け出すことにした。
30分後。
ミセ*゚ー゚)リ「あいつらちゃんとしぃさんにぴったりの体に憑依出来たかなぁ?」
川 ゚ -゚)「あ、その声もしかして兄者か?」
ミセ*゚ー゚)リ「その声はドクオ?なんだお前結局協力してくれたんじゃねぇか」
- 75 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:58:23 ID:LGSBRx020
- 川* ゚ -゚)「べっ別にみんなのためじゃn
lw´‐ _‐ノv「お、その声は兄者達か?」
ミセ*゚ー゚)リ「弟者か?」
lw´‐ _‐ノv「ああ、やはり女性らしいのを選ぶよな」
ミセ; ゚ー゚)リ「当たり前だろ…だって告白すんだぜ?男なんか連れて来たらホモワールドが繰り広げられちまうし、しぃさんの想い人の身にもなるとな……」
- 76 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:59:04 ID:LGSBRx020
- ζ(゚、゚*ζ「えーと……みんないるかお?」
川 ゚ -゚)「ブーンか?…いや、まだツンがいない」
ζ(゚、゚*ζ「ありゃ、ツンどーしたんだお…」
「おーい」
lw´‐ _‐ノv「お、この声はツンじゃないのか?」
( ФωФ)「連れて来たよー」
- 77 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 06:59:47 ID:LGSBRx020
ミセ*゚ー゚)リ
川 ゚ -゚)
lw´‐ _‐ノv
ζ(゚、゚*ζ
( ; ФωФ)「え、何々?なんか不満あんの?」
- 78 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:00:28 ID:LGSBRx020
- lw´‐ _‐ノv「不満というか…」
川 ゚ -゚)「不満まみれというか…」
ミセ* ー )リ「これは酷い」
川 ゚ -゚)「つーか男じゃん」
ζ(゚、゚;ζ「なんでしぃさんにぴったりなのがこれなんだお……」
- 79 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:01:08 ID:LGSBRx020
- lw´‐ _‐ノv「しぃさんが見たらなんていうんだろうな…」
(*゚ー゚)
ζ(゚、゚;ζ「固まっちゃったお…」
lw´‐ _‐ノv「まぁ、無理もないよな。唯一の女が連れて来たのがコレっていう」
- 80 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:02:02 ID:LGSBRx020
- ミセ; ゚ー゚)リ「なんとなく予感してたけどさ…」
( ; ФωФ)「いいじゃない!猫目でゴツくて!!」
川; ゚ -゚)「おかしいおかしい、ゴツくてはおかしい」
ζ(゚、゚*ζ「さぁしぃさん!選んでくれお!!」
(; ゚ー゚)「あっすいません!えーっと……みんな可愛らしい方を連れて来ていただいて……」
ζ(゚、゚;ζ「………無理するなお」
川; ゚ -゚)「まぁ…どの体に憑依するかはゆっくり決めろ…あ、俺トイレ」
- 81 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:02:46 ID:LGSBRx020
- ミセ*゚ー゚)リ「あ、俺も」
ζ(゚、゚*ζ「じゃあ僕も」
川* ゚ -゚)「やだなぁ!人間の体に憑依すると尿意がしてー!」
ミセ*゚ー゚)リ「全くだ!行きたくもないけどー!興味があって行くわけじゃないけどー!トイレに行きたいなら仕方ないよねー!漏らすわけにもいかないしなー!」
lw´‐ _‐ノv「おお、分かりやすい分かりやすい。」
- 82 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:03:28 ID:LGSBRx020
川* ゚ -゚)「ふふふ…俺好みの女の子に憑依して正解だった…!
パンツを下ろした大型AAでも貼ってこのスレをR-18にしてやろーかなー!ズボンを下げてぇーと…………」
ミャオアーッッ!!?
lw´;‐ _‐ノv「なんだ今のよく分からん悲鳴は!」
( ; ФωФ)「トイレの方から…っていうかドクオの声だわ!」
- 83 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:04:08 ID:LGSBRx020
(; ゚ー゚)「どうしましたか!?」
川 - )「」
( ФωФ)「?ドクオ…?」
lw´‐ _‐ノv「?兄者達までどうした?」
ミセ ー )リ「」
ζ( - ζ「」
- 84 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:04:52 ID:LGSBRx020
- 川 - )ボソッ「ついてた…」
lw´‐ _‐ノv「はい?」
川 ; - ;)「この子男だったんだよぉおおおおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
( ; ФωФ)「ええええええええええええええええええええええええええええッッッッ!!!?」
ミセ ; ー ;)リ「この子もだった…!」
ζ(; - ; ζ「この子もだったお……!」
( ; ФωФ)「一体何がどうなって…!?」
- 85 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:05:42 ID:LGSBRx020
- lw´‐ _‐ノv「あれ?お前ら知らなかったのか?生前の俺らと同じ性別の体にしか憑依出来ないんだぞ?」
ζ(゚、゚;ζ「しぃさんのことで頭がいっぱいで忘れてたお……」
ミセ; ゚ー゚)リ「ってことは…弟者のも…?」
lw´‐ _‐ノv「あぁ、こいつも男だ」
( ФωФ)「女装男子YABEE」
川; ゚ -゚)「こんなに可愛い子達が男とか…!男装女子設定の多い兄者もびっくりだろ……!」
ミセ; ゚ー゚)リ「ほっとけ!」
- 86 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:06:23 ID:LGSBRx020
- ( ФωФ)「………あれっ?じゃあ私が憑依してるこの人は……おn」
ζ( - ζ スゥー…
( ^ω^)「しぃさん。このゴツイ人に決まりだお」
(; ゚ー゚)「えっ」
( ´_ゝ`)「あぁ、この猫目に決まりだな」
(; ゚ー゚)「えっえっ」
('A`)「応援してるぜ。おっさん」
(; ゚ー゚)「えっえっえっ」
(´<_` )「そうか。しぃさんに男連れて来ても憑依させられないんだったな、忘れてた。」
(; ゚ー゚)「えっえっえっえっ」
(* ФωФ)「よろしくね!」
( ; ー )「ひっ」
- 87 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:07:08 ID:LGSBRx020
- ぃやぁあああああああああああああっっ!!!!
( ФωФ)「………。」
ξ ゚听)ξ「……しぃさん、どう?」
( ФωФ)「今すぐ逃げ出したい気分だよ…」
(; ´_ゝ`)「だろーな…」
- 88 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:07:50 ID:LGSBRx020
- (´<_` )「あ、あれギコさんじゃないか?」
( ^ω^)「どーやって待ち合わせしたんだお?」
('A`)「俺らと会う一日前に、枕元に立って『2日後、公園に来い公園に来い公園に来い公園に来い』って囁きまくったんだって。」
(; ´_ゝ`)「そりゃくるよな」
( ^ω^)「隠れなくていいのかお?」
ξ ゚听)ξ「どーせギコさんには私たちは見えないわよ」
- 89 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:08:30 ID:LGSBRx020
- (,,゚Д゚)「………」
( ´_ゝ`)「当たり前のことだが随分警戒してるな」
(´<_` )「そうだな」
ξ ゚听)ξ「さぁ!勇気を出して!」
( ФωФ)「………」
('A`)「?寄ってくるぞ?」
( ^ω^)「実はホモよりだったんじゃ…」
(# ФωФ)むっ
ξ ゚听)ξ「ギコさんはしぃさんに告白したのよ?」
- 90 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:09:11 ID:LGSBRx020
- (,,゚Д゚)「あの…」
(;'A`)「おいおい!話しかけて来たぞ!」
(; ´_ゝ`)「どーする!?どーーーするっ!!!?」
(,,゚Д゚)「もしかして…………しぃ?」
( ФωФ)「……」
(; ФωФ)「えっ…」
- 91 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:09:51 ID:LGSBRx020
- (,,゚Д゚)「やっぱり…声はそのまんまなんだな」
(; ФωФ)「なんで…?」
(,,゚Д゚)「昨日枕元に立ってなんか公園がボソボソ…って言ってたろ?幽霊だろうとしぃの顔と声を忘れたりしないさ。それに公園って返事をする約束の場所だったろ?」
(; ФωФ)「でも私…こんな姿じゃないのに…」
(,,゚Д゚)「それは…なんとなくな」
('A`)「いわゆるGOTUGOUってやつだろ?」
ξ# ゚听)ξ「しっ!今いいところだから!」
( ´_ゝ`)「こちらからみるとただのホモワールドにしか…」
ξ# ゚听)ξ「しっ!!!」
ボグッ
(; _ゝ)「ふげっ!?」
(´<_` )「決まったー!ツンのボディーブロー!!!」
- 92 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:10:32 ID:LGSBRx020
- (,,゚Д゚)「あと…お前公園に来いとかなんだかって幽霊っぽいこと言ってんのに、照れてんだもんな」
(; ФωФ)「だって…久しぶりにギコ君をみたから…」
(,,゚Д゚)「しぃの照れる顔は、俺の一番好きな顔だったから…さぁ、告白の返事を聞いてもいいだろ?」
( ФωФ)「…」
(* ФωФ)「うん」
私もあなたが大好きだよ
これからも…
- 93 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:11:13 ID:LGSBRx020
- ξ ゚听)ξ「……あ…」
( ^ω^)「逝ったのかお…?」
('A`)「そうみたいだな…」
( ´_ゝ`)「…俺たちはいつ成仏出来るんだろな」
(´<_` )「あぁ…」
( ^ω^)「……そうだお!僕達でしぃさんみたいな幽霊達を成仏してあげようお!」
- 94 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:11:54 ID:LGSBRx020
- ('A`)「なるほど、解決させてあげながら、俺たちもこの世の未練を思い出せるかもな」
(* ´_ゝ`)「っていうか面白そうだしな!俺は乗るぞ!」
(´<_` )「兄者が乗るなら俺も」
('A`)「俺も不本意だけど成仏出来るんなら…」
ξ* ゚听)ξ「もちろん乗るわよ!」
( ^ω^)「決まりだお!」
- 95 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:15:33 ID:LGSBRx020
- 半透明の手が5つ重なり、そして天に向かって一斉に振り上げられた。
ここは成仏が出来ない、その理由さえ忘れてしまった幽霊達が集まる家。
明日からもっと騒がしくなりそうです。
「ゴーストチルドレン」のようです
おわり
(
)
i フッ
|_|
- 96 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:17:06 ID:LGSBRx020
- 6時前に投下し始めて、7時以降に終わってしまったが…いいのかな
すいません、重複書き込みの規制侮っとったわ
- 97 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:27:31 ID:zq5bmM0A0
- 深夜31時乙乙。
こんな夜中なのに目が覚めたら投下があったー、嬉しいなー(棒)
- 98 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 07:35:15 ID:LGSBRx020
- あれ?6時前っておかしくね?6時代の間違いじゃねえかごめん
- 99 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/17(土) 11:13:42 ID:z2vK43pU0
- 乙ー
開催時間内に投下開始してたし別にセーフ
- 100 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 15:29:17 ID:w99x2JSk0
- 突然命じられて月曜の昼まで出張wwww
これだから底辺社畜はwwww
しかも急だったからノートパソコンはあるけどデスクトップ機からデータ持ってくるの忘れて投下不能ワロタwwwww
ワロタ……
- 101 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/17(土) 15:44:52 ID:z2vK43pU0
- >>100
大丈夫大丈夫!
もうプロットもシナリオも出来てるんだろ?
徹夜すれば今から書き直せるって!
- 102 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 16:24:44 ID:Utce0oRw0
- >>101
あなたは まちがいなく ぼくを ころすきですね ^q^
オウ上等じゃねーか
ただでさえ徹夜でヒットポイントゲージがレッドゾーンに突入してる人間の底力見とけやコラ
- 103 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 16:41:44 ID:6F356b5E0
- 素直に諦めて遅刻しとけ
- 104 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 19:06:55 ID:EjYAGugM0
- 作品の投下を始めました。
/ ,' 3遺産相続のようです
http://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/#1
とうとう書きためた分はこれで終わりです。
投下が終わったら数字を報告しにきます。
- 105 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 19:07:52 ID:EjYAGugM0
- 間違えた。
/ ,' 3遺産相続のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376733867/
ではまた。
- 106 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:16:33 ID:xp7567iwO
- 五十本目
.,、
(i,)
|_|
川д川家事は割と得意なようです
_
( ゚∀゚)川д川 擬人化
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1110.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1111.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1112.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1113.jpg
(
)
i フッ
|_|
まぜこぜブーンのやつその6
みんなは家事の出来る女の子にはちゃんと敬意を払おう。貞子さんとの約束だ!
- 107 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:28:08 ID:kkZdL1VA0
- 貞子こええええ
- 108 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:29:31 ID:L3Cn/5uk0
- >>106
こえええええええ
ジョルジュはちゃんと食って美味しいよって微笑むしかない
1ページめのエプロン貞子すげえ可愛いな
- 109 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:41:27 ID:qJ34Y0pE0
- スレお借りします。五十一本目でいいのかな。
.,、
(i,)
|_|
- 110 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:42:17 ID:qJ34Y0pE0
きっとその瞬間、僕はひかれたのだ。
( ^ω^)轢かれた猫を見たようです
- 111 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:43:33 ID:.mwMTVoo0
- いやああああああああああ貞子こええええええええええええ!!!!!
- 112 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:44:16 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「おっ」
僕、内藤ホライゾンはこの春社会人になったぴっちぴちのゆとりである。
貯金を叩いて買った自動車を運転し、会社に向かおうとしている。
( ´ω`)「猫がいるお」
僕は動物が好きだ。とりわけて犬が好きで、次いで好きなのが猫だ。
なら何故こんな萎れた金玉みたいな顔をしているかというと、その猫が死んでいたからだ。
ぶおんぶおんとくそうるせえ音を鳴らしながら車が行き来する片側二車線道路、その真ん中に猫はいた。
まるで熟睡しているような、手足を投げ出した体勢。
リラックスしてるのかといえばそうではない。
だって猫の腹からはピンク色の内臓(恐らくは腸)がはみ出しているのだから。
- 113 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:46:40 ID:qJ34Y0pE0
「死んだ猫に同情したら、憑いてくるぞ」と言ったのは誰だったか。
どんな理由があったにせよ、僕はそれを最初に言った奴を好きになれないだろう。
だって、誰にも同情されず忘れ去られていくなんて可哀想すぎじゃないか。
いや、俗信を真に受けて、憑かれるのが嫌だからと同情しない奴の方が嫌いだな。
猫に憑かれるなんて結構な話じゃないか。一部の猫好きならきっと泣いて喜ぶぜ。
おっと、閑話休題。
とにかく僕は動物好きとして、そんな俗信に踊らされるのは嫌だと思う。
ルームミラーをちらりと見やる。そこには内臓をまき散らした猫が変わらずに寝そべっていた。
( ^ω^)「可哀想に」
- 114 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:48:12 ID:qJ34Y0pE0
- ドラえもんのタイムワープリールでも使ったかのように時間はあっという間に過ぎて、今は昼休み。
僕の前にはカーチャン特製のお弁当。保温式だからレンジでチンしなくてもホカホカだ。
そういえば愛妻弁当とはよく聞くけど、愛母弁当って言葉をあまり聞かないのは何故だろう。
弁当の蓋を開けながら、僕はふと今朝見た猫のことを思い出した。
何も、さあ食事をしようという時に腸が飛び出た猫の死体のことを思い出さなくてもと思うが、思い出しちゃったものはしょうがない。
それに僕はスプラッタ映画を見ながらステーキが食べられるタイプの人間なのでノープロブレムだ。
ところで、四日前くらいに「鮭は身より皮の方が美味い」と言ったせいなのか、弁当には鮭の皮「だけ」が入っていた。嗚呼、カーチャン。
- 115 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:49:44 ID:qJ34Y0pE0
( -ω-)
ほんの数秒だけ僕は黙祷する。
ニュースで見る他人の死は基本的にどうでもいいが、身近で見る動物の死は心が痛むものだ。
どっかおかしいな、とは思うけれど。まあ、人間そんなものだろう。
ああ、今朝見た君の死体は、誰か片付けてくれるのかな。
( ^ω^)「中二乙」
黙祷をやめ、僕は再度箸を手に取る。
ああ、それにしてもやっぱり鮭の皮は美味い。
- 116 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:51:35 ID:qJ34Y0pE0
足音がする。声がする。振り返る。
誰もいない。
何もない。
- 117 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:52:54 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「おうふ」
一体どんな因果があって、二日連続猫の死体を見る羽目になるのだろう。
しかも今度は道路の真ん中、しかも僕が現在進行形で車を走らせている車線に猫が寝そべっている。
横の車線を見るも、朝の通勤ラッシュとあってとても入り込めそうにない。あらあらなんとまあ。
( ^ω^)「ごめんお」
罪悪感を載せて車を走らせる。タイヤですり潰さないように慎重にまたごした。
なんとかやりすごし、ほっと一息ついてルームミラーを見る。
こちらを向いていた猫と、目が合った。
- 118 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:54:29 ID:qJ34Y0pE0
('A`)「二日連続で死体見るとか、お前、憑かれてんじゃね」
同僚の毒島に雑談がてら件のことを話すと、彼は関口一番にそう言った。
正直僕よりも、青白くて不健康な顔色をした毒島の方がとり憑かれてるように見えるのだが。
( ^ω^)「え?」
('A`)「ほら、言うじゃん。猫の死体見て同情したら、そいつに憑いてくるとか」
( ^ω^)「それマジで信じてんの?」
('A`)「俺意外と迷信深いから」
偶然でしょ。だぁな、あ、そういえば今日さぁ。会話が流転していく。
人間にとって動物の死体なんて、その程度の価値にしかなりえないのだ。
にゃあ、とどこかから声が聞こえた。
- 119 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:56:23 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「今日も猫の死体見ちゃったお」
J( 'ー`)し「ああ、あの辺り、よくあるわよね」
( ^ω^)「え、そうなのかお?」
J( 'ー`)し「カーチャンも何度か見たわよ」
カーチャン曰く、前からあの道ではよく猫が死んでいるらしい。なんて道だ。
しかし、ほっとした。僕は怖がりなものだから、正直に言うと毒島のあの発言にびびっていたのだ。
夕飯を箸でつつきながら、昨日と今日のアレは偶然だったと思うことにした。
- 120 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:57:33 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「でもまぁ、偶然にしたって」
気味が悪い、と思ってしまうのは致し方がないことだろう。
今朝見たあの猫の死体が忘れられなかった。
硝子玉みたいな瞳が、僕の脳裏にこびりついていた。
まるで人形みたいだったなぁ、と僕はぼんやり天井を見つめる。
存在感が命と一緒に抜け落ちてしまっていた。精巧に作られた人形のようだった。
だから、なのだろうか。
一瞬だけ、僕はあの猫の死体を、愛らしいと思ってしまった。
- 121 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 19:59:11 ID:qJ34Y0pE0
昼休み。昼食をとった後、存外に時間が余ったので外に出た。
車で寝ようかなぁと鍵を取り出して、ふと空を見る。
雲一つない、小説の一文にでも出てきそうな綺麗な空だ。
たまには散歩するのもいいかもしれないと鍵をポケットにしまう。
代わりに反対のポケットからiPodを取り出し、イヤホンを耳に当てた。
( ^ω^)「おっおっ」
とりあえず会社の周りを一周するかと門に向けて歩いた、その時だった。
- 122 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:00:37 ID:qJ34Y0pE0
門の真っ正面に位置した道路を、車が横断していくのが見えた。
僕の視線はその下、車が通り過ぎた後の冷たいアスファルトの上。
黒猫がいた。
腹から腸だのなんだの、てらてらとぬめった臓物をはみ出させて、僕をじっと見ていた。
イヤホンを通じて軽快なポップスと共にアーティストの美しい歌声が流れ出す。
一番気に入っていたはずのその曲が、雑音として素通りしていく。
僕は動くこともできず、ただもう生きてない猫と目を合わせていた。
風で体毛が揺れるのがいやに生々しかった。
何十秒そうしていただろう。猫の口が唐突に、カパァ、と開いた。
にゃあ。
鳴き声が聞こえた気がした。
- 123 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:02:02 ID:qJ34Y0pE0
偶然だ、偶然。偶然に決まってるさ。
だって常識的に考えてありえないだろうJKJKJK、死んだ猫は動かないシュレディンガーの猫は死んでいる死んだものは生き返らない。
あ、シュレディンガーは見てみるまでわからないみたいなそんなアレだっけ?もうどうでもいいや。
( ω )「はは」
笑い声にも力が出ない。あんなものを見た後だ、当然だろう。
今までの死体はフロントガラス越しだったけれど、今回は間近で見てしまった。
憑かれる憑かれない同情云々以前に、気分が悪い。まいったねこりゃ。
( ω )「つかれてるんだお、きっと」
そうだ。死んだ猫が鳴くなんて、あるわけないじゃないか。なあ、そうだろ。「にゃあ」 え?
- 124 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:03:24 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「死体を愛らしいと感じるなんてどこの異常者だお」
たとえば戦争映画が大好きな奴でも、実際の戦場に行ったら吐くだろ。きっとそんなもん。
人間には誰しも異常な部分があるものなのだ。
僕にとってたまたまそれが、先日感じたあの感情だったってだけだ。
( ^ω^)「だから僕はまとも!」
いや、宣言してどうする、って話なんですがね。
昼休みが終わった後の僕はひどかった。
あの毒島を凌ぐ顔色の悪さを見せ上司や同僚に心配をかけ、仕事の能率も若干落ちた。
- 125 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:04:56 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「社会人としてこれはいかん」
明日からは気持ちを切り替えて頑張らないと。
憑かれるなんて迷信。幽霊なんて嘘。死んだ猫は鳴かないし動かない。つまりあれは幻覚。
きっと僕は疲れているんだ。週末になったら休めるから、頑張らないと。
頑張らないと、頑張らないと?
頑張った先に、一体何があるんだろう。
そういえば僕は、何のために頑張っているんだっけ。
- 126 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:06:18 ID:qJ34Y0pE0
よく偉い人が「仕事はお金を手に入れるためだけのものじゃない」と言ってるのを聞く。
やりがいとか、世の為人の為になるためとか、そんな考えの基に働くことの方が尊いらしい。
でもそれは本当なんだろうか。
そういうことは、常人にはない何かを持つ才能ある人に任せておけばいいんじゃないかと思う。
僕は凡才以下だから、明日の仕事や家に入れるお金の計算のことで精一杯なのだ。
僕は何のために生きているんだろう。何のために頑張っているんだろう。
「生きるために働くのだ」と誰かが言った。それは、ほとんどの人間にとっては、逆だ。
- 127 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:07:19 ID:qJ34Y0pE0
( -ω-)「眠いお」
あんな死体を見たからだろうか。アンニュ〜イなことばかり頭に浮かんで眠れなかった。
今更後悔してももう遅い。僕は背広を着て、車に乗り込んだ。
アクセルを踏んでいつもの道へ。
制服を着た女子高生二人が楽しそうに歩いている横を徐行する。
いいなあ、あんな可愛い子と青春送りたかったなぁ。
振り返ってみれば学生という身分のなんと楽なことか。
当時はあんなにも規則がきついだの文句垂れてたのに。
- 128 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:08:30 ID:qJ34Y0pE0
車が多くなってきた。
いつも猫が死んでいる道路だ。
( ^ω^)「ん」
いつもならこの辺に横たわっている、というポイントを通り過ぎた。
道はきれいなままだ。猫どころかごみ一つ落ちてなかった。
( ^ω^)「よかった、轢かれた猫はいなかったんだね」
気分が晴れると同時に、なんだか昨日の思考が恥ずかしくなってきた。
なんだあの中二思考は。アンニュイってレベルじゃねーぞ。
やっぱり疲れていたんだと結論付けて、僕はアクセルを踏み込んだ。
- 129 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:09:52 ID:qJ34Y0pE0
その後は昨日に比べれば快調だが一昨日に比べたら大したことはなかった。つまり普通だった。
淡々と仕事をし、たまに雑談、昼食を食べて、休憩を挟みまた仕事。
昼休みには、昨日できなかった散歩をした。
昨日に負けないくらい清々しい天気の中、猫の死体はどこにもなかった。
ほっとすると同時に、死体なんか見かける方が珍しいのだと思い直す。
- 130 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:11:03 ID:qJ34Y0pE0
( ^ω^)「立て続けだったせいだお、きっと」
独り言の後に自分でうんうんと頷きながら車を飛ばす。
時刻は夜九時半、残業したせいでこんな時間になった。ちなみにサビ残だ。いとわろし。
この頃僕は疲れていた。それに重なって何度も死体なんか見たせいで、更に疲れてしまった。
だから要らん幻覚を見たり、毒島の無責任な発言に怯えたりなんかしてしまった。
( ^ω^)「だからろんりろんり〜せつなくて〜」
論理論理〜的に考えた結論がそれだ。
ちなみに僕は二十数年ロンリロンリ〜だ。いとわろえない。彼女欲しい。
- 131 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:12:28 ID:qJ34Y0pE0
車から降りて、鼻歌を歌いながら鍵をちゃらちゃらと鳴らした。
我が家はマンションの二階にある。
短い階段を上り、我が家のドアの前に辿り着いた。
そこに、雑巾が落ちていた。
あ、違う、これ猫だ。
僕の足元で、猫が死んでいた。
その猫は確かに、あの時目が合った猫だった。
- 132 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:14:09 ID:qJ34Y0pE0
黒い体毛に覆われた肉を横たえていた。お腹から内臓と血をはみ出させていた。
ぱっちりと目を開いていた。
その全てを映しているようで何も映していないうつろでからっぽできれいな目玉を見た瞬間、僕は無性に泣きたくなった。
- 133 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:15:57 ID:qJ34Y0pE0
( ω )「――――あ」
気付いたら僕は階段を駆け下りていた。
けたたましく響く自分の足音の合間に「にゃあ」と甘えたような声が響く。
いやだそっちには行きたくないこっちにくるなついてくるな憑いてくるな!
階段を駆け下りて飛び出した先は真っ暗な闇、を切り裂く白い光。
その眩しさを救いの光だと思った。神様とか仏様とか、そういうものが僕を助けてくれるんだと思った。
なのに僕の眼球は、憎々しいほど鮮烈に、鉄の塊が僕に向かってくるのを捉えていた。
( ゚ω )「あ、あ、まだ、僕は」
死にたくn
- 134 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:18:10 ID:qJ34Y0pE0
某月某日、帰宅途中の男性が死亡しているのが近隣の住民により発見された。
男性は全身を強く打ち即死、現場に残されたブレーキ痕などから轢き逃げと見られている。
辺りには男性の血と、何故か犬や猫と思われる動物の足型が大量に残されており――――。
- 135 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:19:08 ID:qJ34Y0pE0
(
)
i フッ
|_|
お終いです。投下怖い手汗ハンパネエ。
見てくださった方、ありがとうございました。
- 136 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:20:53 ID:4lR2yZvg0
- 怖いのはこっちだよ!!
猫たちは純粋に構って欲しかっただけかもと思うと切ねぇな……
乙乙
- 137 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:21:41 ID:xp7567iwO
- 乙乙
最後の一文が怖いなあ
地の文が小気味良くて面白くて好みだ
- 138 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/17(土) 20:28:37 ID:EjYAGugM0
- >>105
52本目いただきました。
(
)
i フッ
|_|
- 139 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:34:11 ID:4lR2yZvg0
- 乙ーん
- 140 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 20:49:29 ID:Q.e27rJI0
- 乙 猫可愛いよねこ
地の文の読みやすさといい怖さといいすげーよかった
- 141 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:03:02 ID:31OBpAgI0
- 53本目行きますね。
ハインとモララーのわくわく小説講座のようです
.,、
(i,)
|_|
- 142 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:04:02 ID:31OBpAgI0
从 ゚∀从「やっべぇー百物語おもしれーなー。やっぱ怖い話は夏だわ」
从 ゚∀从「私もいっちょ書いてみっかなー!」
( ・∀・)「ホラー小説と聞いて飛んできました」
从 ゚∀从「おっ、モララーじゃん!またブーン系の書き方についてなんか教えてくれるのか?」
( ・∀・)「それじゃあ、今日はキャラクター次第で雰囲気は変わるって事を教えてあげよう」
从 ゚∀从「ふむふむ…はよ教えれ」
( ・∀・)「まあ、焦んなって。まずこの文章を見て欲しい」
- 143 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:04:46 ID:31OBpAgI0
「くそっ!なんだってこんな事に…!」
「プギャー!早く逃げるだお!」
「……みぃつけた…早く…食べたい…」
「ちくしょう!ちくしょおおおおおおおおおお!!」
「うわああああああああああ」
「いただきます」
「ああ…そんな…嘘だおね…プギャー…」
「おいブーン、後ろを振り向くな!見ちゃダメだ!」
- 144 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:05:35 ID:31OBpAgI0
从 ゚∀从「キャラクターなしで台詞のみだけど、もう既に怖いわ」
( ・∀・)「だろ?じゃあ次は、本来書いていたキャラクターを付け足してみよう」
- 145 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:06:46 ID:31OBpAgI0
(;^Д^)「くそっ!なんだってこんな事に…!」
(;^ω^)「プギャー!早く逃げるだお!」
( <●><●>)「……みぃつけた…早く…食べたい」
(;^Д^)「ちくしょう!ちくしょおおおおおおおおおお!!」
(;^Д^)「うわああああああああああ」
( <●><●>)「いただきます」
(;^ω^)「ああ…そんな…嘘だおね…プギャー…」
(;´・ω・`)「おいブーン、後ろを振り向くな!見ちゃダメだ!」
- 146 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:07:45 ID:31OBpAgI0
从 ゚∀从「おー!なかなかホラーだな。わかってますがなんか怪物っぽい雰囲気出てるわ」
( ・∀・)「わかってますはホラー作品向きかもね。もちろん、ギャグ作品に出演させてもギャップがあって面白いよ」
( ・∀・)「んじゃあ、わかってますを別のキャラクターに変えてみよう」
- 147 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:08:34 ID:31OBpAgI0
(;^Д^)「くそっ!なんだってこんな事に…!」
(;^ω^)「プギャー!早く逃げるだお!」
川'A`)「……みぃつけた…早く…食べたい」
(;^Д^)「ちくしょう!ちくしょおおおおおおおおおお!!」
(;^Д^)「うわああああああああああ」
川'∀`)「いただきます」
(;^ω^)「ああ…そんな…嘘だおね…プギャー…」
(;´・ω・`)「おいブーン、後ろを振り向くな!見ちゃダメだ!」
- 148 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:09:32 ID:31OBpAgI0
从 ゚∀从「ギャグじゃねーかwwwwww」
( ・∀・)「うんうん、キャラクターの雰囲気って大事だよね」
从 ゚∀从「よく分かったわ。モララーありがとーな!」
( ・∀・)「いつの間にか投下期間過ぎてました、なんて怖い事にならないようにな」
从 ゚∀从「おう!」
終わり
- 149 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:11:13 ID:s4ZwokiY0
- 乙
川'A`)←この人よく行きつけの店で見る人に似てるなぁ……
- 150 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:11:22 ID:31OBpAgI0
- 53本目 了
(
)
i フッ
|_|
深夜のテンションでホラー書いたら、どうしてこうなった。
- 151 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:11:36 ID:4lR2yZvg0
- なんでわざわざドクールさんなんだよwwww
- 152 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:14:15 ID:B19XsEB.0
- 乙w
確かにギャグだwww
- 153 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:18:30 ID:6F356b5E0
- そこは阿部さんがいただきますするパターンも欲しかった
- 154 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:34:51 ID:qSKF/Y560
- 誰もいないのかな?54本目いただきます。
( ´_ゝ`)見つけてほしいようです
.,、
(i,)
|_|
- 155 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:36:33 ID:qSKF/Y560
―――――――ぴちゃ ん。
( ´_ゝ`)「弟者みっけた」
( ´_ゝ`)「……えい」
( ´_ゝ`)「次は弟者が鬼だからな」
( ´_ゝ`)「ちゃんと数えてから探しに来いよ。ズル無しだぞ」
( ´_ゝ`)「……さーぁて。
どーこに隠れよっかなー……っと」
- 156 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:37:48 ID:qSKF/Y560
- 悩むフリをしながらも、隠れ場所はもう決まっている。居間の押入れの中だ。
普段は物でぎっしりだけど、昼間のうちに人一人入れるだけの空間を確保しておいた。
―――――弟者が見つけやすいように、ちょっとだけ襖を開けて。
( ´_ゝ`)「………、ふ」
(*´_ゝ`)「……ふっ……ふふふっ……」
ああ駄目だ。嬉しくって笑いを堪える事ができないや。
これじゃあすぐに見つかっちゃうなぁ。
- 157 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:39:39 ID:qSKF/Y560
- 楽しいな。弟者とかくれんぼするのなんて、子供の時以来だ。
こうしてまた一緒にかくれんぼできるなんて、嬉しくってたまらない。
かくれんぼだけじゃない。これでまた今まで通り、ずっとずっと、ずーっと2人で遊べるんだ。
やり方は、そういうのに詳しい友達のドクオに教えてもらって、ネットでだってちゃんと調べた。
いくつか手順はすっとばしたけど、でも大丈夫な筈。なに塩水とか。置く意味分かんない。
他にも注意書きとか色々書いてあって面倒臭かったけど、弟者が帰ってくるならなんでもいい。
これで弟者が戻ってくる。俺を探しに来てくれる筈なんだ。
弟者はもうすっかり重くなってしまったから、風呂場まで運ぶのが大変だったけど。
あと、お米も一袋使ってしまった。中の物を全部出したら結構詰め込めるものなんだな。
そうか、弟者は元々沢山食べる方だもんな。いつもご飯おかわりしてた。
今日の為にいつもより高いお米買ったからな。きっと弟者も喜んでるだろう。
弟者がお腹いっぱいなら俺、しばらくご飯食べれなくても我慢するよ。
弟者の身体に入れる為に、頑張って剥がした両手指の爪からは
包帯越しに血が赤黒く滲んで、じくじくじくじく痛むけれどそれだってへっちゃらだ。
- 158 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:39:42 ID:4lR2yZvg0
- シチュエーションの時点で怖い……
- 159 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:41:01 ID:qSKF/Y560
- だから早く探しに来ないかな。俺はもう隠れたぞ。
あんな事言ったけど、もう数なんて数えなくていいからさ。
早く、弟者に早くもう一度会いたい会いたい会いたい会いたい
きっと弟者ならすぐに見つけてくれる。
俺が何処へ行ったって、迷子になったっていつでも俺のこと見つけてくれるのは弟者なんだ。
いつだって、何処へ居たって俺が呼んだらすぐに来てくれる。絶対だ。
こうして今、俺が一人になっちゃって
寂しくてサビシくて死にそうで頭がオカシクなりそうだって知ったら
きっとすぐに駆けつけて来てくれる筈なんだ。俺のこと見つけてくれる筈なんだ。
そうしてまた、優しい声で名前を呼んでくれる。
筈なんだ。
- 160 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:42:17 ID:qSKF/Y560
…ジャリッ…
…ザラザラ…
( ´_ゝ`)「!」
―――弟者だ!
お米の零れる音と共に、重そうに体を引き摺る音が、リビングに続く廊下の方から聞こえてきた。
開いて、取り出して、米を沢山詰めた後、書いてあった手順に沿って
赤い糸で縫い合わせ、さらに幾重にも巻き付けておいたのに、既に大分零れているみたいだ。
だって、あまりきつく締めたら弟者が可哀想じゃないか。
ジャリッ…
ザラザラ…
ジャリッ… ズズッ……
- 161 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:43:31 ID:4lR2yZvg0
- シチュエーション以前の問題だった……
- 162 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:43:40 ID:qSKF/Y560
ジャリッ… ザラザラ…
ジャリッ… ザラザラ…
ジャリッ… ズズッ…
ザラ… ズズッ……
ジャリッ… ザラザラ…
ズズッ…
ズッ……
.
- 163 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:45:01 ID:qSKF/Y560
…………
床を引き摺る重い足音と、詰められた米が軋り、零れて散らばる音が
俺の隠れている物置の前で、ぴたりと止まった。
( ´_ゝ`)(早く)
俺はここだよ。早く、早く!
――――――ス…
.
- 164 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:46:14 ID:qSKF/Y560
「「ァ
ア゙ に
ジャ
ミ゙い゙
ィ ヅけ
ェ た
ァ゙ あ゙゙」
」
あーあ、見つかっちゃった。
.
- 165 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:46:39 ID:x4I74gYk0
- ひぃ
- 166 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:48:57 ID:qSKF/Y560
- 54本目 終わりです
(
)
i フッ
|_|
最後のレスすっげぇズレたけど直し方が分からないしこれはこれでいい気がするのでこのままで…
- 167 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:54:01 ID:31OBpAgI0
- 乙
兄者が怖すぎた…。
AAズレ確認ならテストスレ使うといいかもです。
- 168 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:55:03 ID:4lR2yZvg0
- ヤンデレ兄者とか怖すぎるわ……
乙乙
- 169 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:57:14 ID:qSKF/Y560
- すいませんやっぱりこっちに差し替えお願いします。支援と乙ありがとう!
>>164 訂正
「「ァ
あ゙ ニ゙
じゃ
み゙イ゙
ぃ ヅけ
ぇ タ
ぁ゙ ア゙゙」
」
あーあ、見つかっちゃった。
.
- 170 名前:名も無きAAのようです :2013/08/17(土) 23:59:42 ID:qSKF/Y560
- ぎゃあズレてる!はっず!ごめんなさい!
>>164 訂正
「「ァ
あ゙ ニ゙
じゃ
み゙イ゙
ぃ ヅけ
ぇ タ
ぁ゙ ア゙゙」
」
あーあ、見つかっちゃった。
.
- 171 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:02:11 ID:XRPi0BpE0
- 乙
兄者こええー
- 172 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:02:14 ID:ipmOY0w6O
- 乙!上級者版ひとりかくれんぼか……
- 173 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:14:00 ID:qXAg7E2M0
- 乙
中の物全部出したの…か…
55本目行きます
.,、
(i,)
|_|
飲んじゃった、ようです
- 174 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:15:05 ID:qXAg7E2M0
- 比布山3合目
( ^ω^)「ドクオ!!遅いお!!早く行くお!!ジョルジュとアサピーはもうとっくに行っちゃったお!!」
('A`;)「お前…さっきまで『喉乾いたお…』ってへばってたのに…急に元気だな。だから飲み物の予備持っとけっつったのによ」
( ^ω^)「ああ!そのことなら解決したお!!」
( *^ω^)「……まさかあんなところに満杯のペットボトルのお茶があるとは僕にも思わなかったお!」
('A`)「は?」
( ^ω^)「あまりに喉が乾いてて味はわからなかったけど美味しかったお!さあ行くお!!」
- 175 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:16:10 ID:qXAg7E2M0
- 比布山5合目
_
( ゚∀゚)「早く行こうぜ!アサピー!」
(-@∀@;)「さすがに疲れたよ…てかさっきまで『オシッコシタイ』ってへばってたのにどうしたんだよ。だからあれほどトイレ行っとけって言ったのに…」
_
( ゚∀゚)「ああ!そのことなら解決したぞ!!」
_
( ゚∀゚)「あんなところにまさか空のペットボトルがあるなんてラッキーだな、俺」
(-@∀@)「は?」
_
( ゚∀゚)「いいから!早く行こうぜ!」
- 176 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:17:15 ID:qXAg7E2M0
- (
)
i フッ
|_|
- 177 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:23:08 ID:Lij/sCxI0
- oh......
- 178 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:24:33 ID:vgGNseTA0
- おおう…
- 179 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:24:56 ID:XRPi0BpE0
- oh…
- 180 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:26:34 ID:qkB1gD/E0
- あーあ……
- 181 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:32:51 ID:y1d/3LOQ0
- 立ちションで済ませよ……
- 182 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:37:27 ID:95wkEXvs0
- 飲尿か…ホラーや…
- 183 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:52:25 ID:NFcPxqDw0
- 56本目行きます
.,、
(i,)
|_|
- 184 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:52:53 ID:y1d/3LOQ0
- よーし、パパ寝る前に投下しちゃうぞー
.,、
(i,)
|_|
五十六本目いただきます
- 185 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:53:35 ID:y1d/3LOQ0
- あ、ごめん。お先どうぞ
- 186 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:55:42 ID:NFcPxqDw0
- >>185
ありがとう
- 187 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:56:29 ID:NFcPxqDw0
- お前らに聞きたいんだが
1 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
魔王って知ってるか?
2 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
知らね
3 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
なにそれ?
4 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
kwsk
- 188 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:57:30 ID:NFcPxqDw0
- 8 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
そっか、誰も知らないか
9 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
初めて聞いたわ
10 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
俺も
11 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
で、ここで聞くってことは続きがあるんだろ?
12 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
おう、早く話せよ
- 189 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:58:18 ID:NFcPxqDw0
- 15 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
待て待て
今、まとめるから
16 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
焦らすなwwww
17 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
いいから、はよ。はよ
- 190 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:59:02 ID:NFcPxqDw0
- 21 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
ああ、わかった。
えっと、な
まず、魔王ってのは知り合いが勝手に名付けただけで、他に名前があるかもしれない
22 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
それを先に言えよww
23 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
じゃあ、知ってるわけ無いだろww
- 191 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 00:59:47 ID:NFcPxqDw0
- 27 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
で、その魔王なんだけど
人に憑くんだ。
28 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
憑いてどうすんの?
29 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
オナヌ-?
30 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
ばっかやろうwww
- 192 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:00:37 ID:NFcPxqDw0
- 35 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
なんていうか、その人の生気をどんどん奪っててさ
憑かれたやつは最終的に、発狂して自殺しちまう
36 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
ほーん。で?
37 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
まさか、それだけか?
38 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:
いや で、こっからは俺の知り合いの話なんだけどな
そいつ、高校ん時の友達だったやつですげえ傍若無人なんだ
人の言うこと聞かないくせに、自分の言うこと聞かないと切れて暴れまわったりして
で、そいつ、王様とか呼ばれてたわけ
- 193 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:01:20 ID:NFcPxqDw0
- 42 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
ああ、いたいたそういうのww
43 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
いねーだろwwそんなのww
44 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
それ関係あんの?
45 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
なかったらしてなくね?
46 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
それもそうか
47 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
まあ、もちろんそんなやつとは縁を持ちたくないから
卒業して、もう何年も連絡取ってないわけ
向こうも、連絡取るのはめんどくさいとかでしてこなかったんだけど
こないだ、そいつから電話があったのよ
久しぶりに会えないかって
- 194 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:02:16 ID:NFcPxqDw0
- 54 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
お。お?
55 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
もりあがってくるー?
56 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
魔が差したっていうのかな
ちょうど暇だったし、ああ、いいよって言っちゃったわけ
今思えば言わなきゃよかった
57 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
それからそれから?
- 195 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:02:59 ID:NFcPxqDw0
- 64 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
それで会ったんだけど
待ち合わせ場所行ったら
その、王様さ
ずっと下向いてぶつぶつ言ってんの
怖くて、帰ろうと思ったんだけど
向こうがこっち見つけてさ
普通に話しかけてくんの
そん時が一番怖かったかも知れない。なんで、こんな急に切り替われるんだろうって
65 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
そこww
66 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
いや、そういうやつけっこういねえ?
- 196 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:03:43 ID:NFcPxqDw0
- 73 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
違うんだよ、雰囲気っつうか、なんつうか……
んで、ひさしぶりーって話始めたんだけど
王様すっげえ顔してんの
顔なんか土気色で髪の毛ぼっさぼさで
目玉なんか、絶えずぎょろぎょろ動いてるし
なんかおかしいわけ
74 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
いるいるww
75 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
いねーよww
76 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
いや、いるだろks
77 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
ksとか言うなよ……
78 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
ごめん……
- 197 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:04:36 ID:NFcPxqDw0
- 86 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
おまえらwwww
で、最初は他愛無い話をしてたわけ
近況とかそういうね
まあ、ぼちぼちやってるよーとかそんな感じでさ
あれ、このまま何も無く終わる?とか思ってたら
急に肩を捕まれて、真剣な花王で王様言うわけ
87 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
花王www
88 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
真剣なwww花王wwww
- 198 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:05:24 ID:NFcPxqDw0
- 92 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
みすったww
言うまでもないけど、真剣な顔なww
それで、言うわけよ
魔王を退治してくれって
93 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
王様、基地外じゃね?
94 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
シッ、言うなよ……
- 199 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:06:05 ID:NFcPxqDw0
- 97 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
当然、俺もわけが分からないわけよ
何、魔王って?退治?って
98 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
そりゃ、そうだわな
99 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
詳しく話を聞いたら
その、退治しろっていったのは黒い影みたいなの
100 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcoll
影は黒いだろjk…
- 200 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:06:47 ID:NFcPxqDw0
- 105 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
いや、普通の影じゃなくて
なんか、本当に真っ黒な人型のぼんやりしたのがいるんだって
106 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
は?
107 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
お、おう……
- 201 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:07:38 ID:NFcPxqDw0
- 111 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
で、その影が絶えず憑いてきてさ
夜中に部屋の中荒らしまわったり
ずっとこっち見つめてきたりして
精神的にすごい追い詰められるんだって
それをどうにかしろってことだったんだけど
112 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokkun
心療内科の出番じゃね
113 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
まさかとは思いますが、その「影」とは、王様の想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。
もしそうだとすれば、王様が統合失調症であることにほぼ間違いないと思います。
114 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
やめれwwww
- 202 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:08:37 ID:NFcPxqDw0
- 127 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
やっぱ、そう思うよな
俺もそう思ったけど
この板の住人だから少しは信じてみたんだ
で、ふんふん頷いて適当に聞いてるふりしてたのよ
それで1時間くらい話したかな
急に王様が鏡を取り出して、俺に見せてきたんだ
128 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokun
え、なに、新展開?
129 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
急展開クル━━━━(゚∀゚)━━━━??
- 203 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:10:06 ID:LVKCabws0
- 急展開クル━━━━(゚∀゚)━━━━??
- 204 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:10:12 ID:NFcPxqDw0
- 134 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
ほら、見えるだろ?って
俺、見えるわけ無いって思ってたんだ
だって、そんなのいるわけ無いじゃん
いないじゃん
138 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
でも、でもさ
いたんだ
黒い影が
鏡越しに、こっち指差してるの、笑ってるの
おかしくなったと思った
俺が 俺の目が
146 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
そしたらさ、王様が言うわけ
見えたか?って笑うわけ
頷くしか出来なかった
だって、ほんとに。
信じたくないけど、そこに確かにいたから
- 205 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:11:45 ID:NFcPxqDw0
- 146 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
そしたらさ、王様が言うわけ
見えたか?って笑うわけ
頷くしか出来なかった
だって、ほんとに。
信じたくないけど、そこに確かにいたから
153 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
でさ、王様さ
これでお前に移ったから
俺はもう行くわとか言って帰ろうとすんの
半泣きで止めたよ
なにしてくれんだ
どうすりゃいいんだって
- 206 名前:>>205訂正 :2013/08/18(日) 01:13:26 ID:NFcPxqDw0
- 153 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
でさ、王様さ
これでお前に移ったから
俺はもう行くわとか言って帰ろうとすんの
半泣きで止めたよ
なにしてくれんだ
どうすりゃいいんだって
167 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
そしたら、王様
人に話せ
信じさせろ
そうすれば移る。って
- 207 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:14:08 ID:NFcPxqDw0
- 172 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:jorujuru
だから、お前らに話した
誰か一人でも信じてくれればって
俺はもうやだ
怖いやだ
173 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:collcool
え?
174 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:pizaboon
オチは?
175 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:tunntunn
これだけ?
176 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:dodokunn
うわー、つまんね
177 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>1
はよ、続きはよ
178 :恐怖奇怪な名無しさん :20XX/0X/XX(X) XX:XX:XX ID:stopthre
スレストップ!
このスレッドは怪奇事件に巻き込まれました、もう書き込めません。
- 208 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:14:49 ID:NFcPxqDw0
- ('A`)「は?」
('A`)「え、え?こんだけ?」
('A`)「時間無駄にしたな……」
('A`)「ったくよお」
('A`)「まあ、いても面白いかもしんないけど」
('A`)「歯磨いて寝るかね」
('A`)「歯ブラシ歯ブラシっと……」 (<●><●> )
(;'A`)「……え?」 (<●><●> )
オシマイ
- 209 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:15:32 ID:NFcPxqDw0
- 56本目 終わりです
(
)
i フッ
|_|
先を譲っていただきありがとうございましたー
- 210 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:16:44 ID:LVKCabws0
- おつ!
掲示板のリアルさいいねー
- 211 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:17:06 ID:RA7LY6Kw0
- 乙
うわぁ、うわあああ!!
- 212 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:18:28 ID:y1d/3LOQ0
- 信じちゃったのねドックン……掲示板のIDにちょっと吹いた
乙乙
.,、
(i,)
|_|
では、五十八本目いただきます
- 213 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:19:33 ID:y1d/3LOQ0
- 間違えた五十七本目だった
改めて
.,、
(i,)
|_|
- 214 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:20:45 ID:y1d/3LOQ0
川 ゚ -゚)一番怖いのお姉ちゃん、のようです(・∀・ )
.
- 215 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:22:18 ID:y1d/3LOQ0
- ーーー
ーー
ー
川 ゚ -゚)「おい、モラ。今ヒマか?」
( ・∀・)「ヒマだけど。何?姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「ヒマなら今すぐこれを踏め」ポイ
( ・∀・)「……何その封筒?」
川 ゚ -゚)「詳しい説明は後だ。とにかく踏め、あらんかぎり力一杯踏め」
( ・∀・)「はぁ……こんな感じ?」ギュム
川 ゚ -゚)「まだまだ。もっとこう力をこめて足を降り下ろして、こう!」ダムッ
( ・∀・)「んなことしてたら畳傷むよ?」
川 ゚ -゚)「畳なんぞ張り替えれば済む。やらなきゃお前の顔面を踏むぞ」
(;・∀・)「強引だなぁ……分かったよ」ダンッダンッ
川 ゚ -゚)「その調子だ。私も加勢しよう」ダンッダンッダンッ
.
- 216 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:24:01 ID:y1d/3LOQ0
- 五分後……
(;・∀・)「はぁー、はぁー……」ゼェゼェ
川 ゚ -゚)「うむ、ご苦労。愚弟にしてはなかなかいいステップだったぞ」
(;・∀・)「全く、姉ちゃんの強引さには言葉もないよ……で?この封筒は何なの?」
川 ゚ -゚)「あぁ、これか?多分呪いの封筒だ」
( ・∀・)「……え?」
川 ゚ -゚)「近頃、私の体調が不自然なほどに崩れていたのは知ってるな?」
( ・∀・)「あー、そういやなんか頭痛とか悪寒がすごいって言ってたね」
川 ゚ -゚)「医者にもかかってみたが原因が分からん。夏風邪だろうとしか診断されなかった」
川 ゚ -゚)「不信を感じて会社の机を漁ってみたら、引き出し裏の分かりにくい所に、その封筒が貼りつけてあったんだ」
( ・∀・)「マジで?よくそんなもん見つけたね……でもなんで呪いの封筒?」
川 ゚ -゚)「その中身えげつないぞ。ありとあらゆる毒虫の死骸と人間の髪の毛がわさわさ入ってる」
(;・∀・)「げえっ!?んなもんヒトに踏ませんなよ!!」
川 ゚ -゚)「中身を見る限り素人の仕事くさいが、一応呪物としての形にはなってたみたいだな」
( ・∀・)「むしろ姉ちゃんがなんでそんなに呪物について詳しいのか知りたいんだけど」
川 ゚ -゚)「伊達に霊感オカルトマニアを自称してはいないさ。それくらい分かる」
.
- 217 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:25:36 ID:y1d/3LOQ0
- ( ・∀・)「けどさ、なんでそんな物が姉ちゃんの机に?」
川 ゚ -゚)「大方誰かが、私に嫉妬してやらかしたんだろう。犯人の目星もだいたいついてる」
川 ゚ -゚)「本人の目の前に突き返してやっても良かったが、こうしてやった方がダメージもデカかろうと思ってな」
( ・∀・)「……あの、ちなみに聞くけど、これ呪いかけた方にはどんなリターンが返ってくるの?」
川 ゚ -゚)「さぁな。ただ、呪いの反動は倍返しと相場が決まってるから、相当酷いことにはなるんじゃないか?」
(;・∀・)「ひでぇ……」
川 ゚ -゚)「自業自得だろう。さて、心なしか気分も良くなってきたし、今日はぐっすり眠れそうだ」スタスタ
(;・∀・)「うぉい!!封筒置いてくなバカ!!」
結論その1:どんな幽霊や妖怪より、姉ちゃんの方がおっかない。
.
- 218 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:27:04 ID:y1d/3LOQ0
- 川 ゚ -゚)「あ、そうだ。今夜はなるべく早く寝ることをオススメしておくぞ」
( ・∀・)「なんで?」
川 ゚ -゚)「もしかしたら私じゃなく、お前に呪いのしっぺ返しが来るかもな、と思って」
(;・∀・)「嘘っ!?」
川 ゚ -゚)「まぁ致し方あるまい、踏んだの主にお前だし」
(;・∀・)「踏ませたのは姉ちゃんだよ!!」
川 ゚ -゚)「ははは」
(;・∀・)「こいつ目が笑ってねぇ!俺を人身御供にする気だ!」
川 ゚ -゚)「そんなバカなことは考えていなゴニョゴニョ……」
(;・∀・)「語尾を濁すなああああああああああ!!!!」
- 219 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:28:40 ID:y1d/3LOQ0
- 川 ゚ -゚)「全く、しょうがない愚弟だな。お守り貸してやるから、それで一晩我慢しろ」
(;・∀・)「ちゃんと効くヤツなんだよね……?」
川 ゚ -゚)「おうとも。効果の程は折り紙つきよ。今持ってくるから待ってろ」スタスタ
( ・∀・)「本当に大丈夫かよ……」
川 ゚ -゚)「待たせたな!」ジャンッ
(;・∀・)「早っ!!帰ってくるの早っ!!」
川 ゚ -゚)「三十レスしか猶予はないんだ、無駄に凝った話になんかしてられるか」
(;・∀・)「何の話だよ……もういいから、早くお守りちょうだいよ」
川 ゚ -゚)「うむ、そうだな。ほらよ」
川 ゚ -゚)っ■←(※不適切な表現があるためモザイク処理してあります)
( ・∀・)
.
- 220 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:30:22 ID:y1d/3LOQ0
- ( ・∀・)「姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
( ・∀・)「俺の見間違いじゃなければ、それオナニーとかに使うバイブレーターにしか見えないんだけど」
川 ゚ -゚)「見間違いじゃないぞ。確かにこれは間違いなくバイブ、張り型、ディルドーだ」
( ・∀・)「……お守りは?」
川 ゚ -゚)「だから、これ」
( ・∀・)「なるほど、ふざけんなよ」
川 ゚ -゚)「ふざけてなどいない。これは立派なお守りだ」
(;・∀・)「どこがだよ!なんでバイブがお守りになるんだよ!?」
川 ゚ -゚)「知らんのか?男性器は俗に陽根と呼ばれ、陽の属性を持っているんだ」
川 ゚ -゚)「幽霊や低俗霊の類は陰の属性、つまり真逆だ。だからバイブは格好のお守りになるんだ」
(;・∀・)「納得できるか!!」
.
- 221 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:31:57 ID:y1d/3LOQ0
- 川 ゚ -゚)「よく地方とか行くと、男根型の岩が御神体として奉られてたりするだろう。あれもそういう理由からだ」
(;・∀・)「仮にそうだとしても、もっと扱いやすいお守りにしてよ!!バイブは重たいよ、精神的に!!」
川 ゚ -゚)「今までいくつか試したが、普通の霊にはこいつが一番有効だったんだよ」ヴィィィィン
(;・∀・)「スイッチ入れんな!!」
( ・∀・)「……つーか、バイブなんか持ってたんだ、姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「む?意外だったか?」
( ・∀・)「いや、だって……姉ちゃん恋人いるじゃん……」
川 ゚ -゚)「モナーのことか?だが、別に恋人がいたら一人自分を慰めてはいけないという規則はあるまい」
( ・∀・)「そうだけど……」
川 ゚ -゚)「とりあえず、今夜はそいつを枕元に置いて寝ておけ。それでダメならまた明日、別の方法を考えよう」
( ・∀・)「……」
結論その2:身内のエロい話を聞くとなんか軽くヘコむ
.
- 222 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:33:06 ID:y1d/3LOQ0
- 数分後、モララーの部屋……
( ・∀・)「はぁ……なんか面倒なことになったなぁ」
( ・∀・)「お守り……お守り……」
( ・∀・)「これが?」
( ・∀・)っ■←(※不適切な表現があるためry)
( ・∀・)「……こんなもん枕元に置けるか!童貞なめんな!」
( ・∀・)「引き出しにしまって明日返そう……」ガラッ、ポィッ
( ・∀・)「……疲れたから寝よ」
.
- 223 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:34:03 ID:y1d/3LOQ0
ミセ* ー )リ ( ・∀・)「ふぅ……」
ミセ* ー )リ (・∀・ )彡クルッ
ミセ* ー )リ (・∀・ )
ミセ* ー )リ (・∀・;)
.
- 224 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:34:51 ID:y1d/3LOQ0
『うわあああああああああああああああ!!!!』
川 ゚ -゚)「……!?」
.
- 225 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:36:23 ID:y1d/3LOQ0
- 川 ゚ -゚)「どうした、モララー!!」ガチャッ、バンッ
( ;∀;)「お、お化……幽れ……そこっ……そこに……!!」ガタガタ
川 ゚ -゚)「なにぃ?」
ミセ* ー )リ クスクス……
川 ゚ -゚)「ぬぅ!やはり元凶は貴様か、ミセリ!」
( ;∀;)「し、知ってるの……?」
川 ゚ -゚)「同じ部署の同僚、そして呪いの封筒を仕掛けたであろう張本人だ」
( ;∀;)「じゃあ生きてるの……?幽霊じゃない……?」
川 ゚ -゚)「いや、多分生き霊ってやつだな。こいつ執念深いから」
( ;∀;)「いやああああああああああやっぱ怖いいいいいいいいい!!!!」
- 226 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:37:53 ID:y1d/3LOQ0
- ミセ* ー )リ『返して……私のモナーさん……返して……』
( ;∀;)「なんかゆってる……怖い……」
川 ゚ -゚)「えぇい、しゃんとしろ愚弟!!」
川 ゚ -゚)「ミセリ、貴様もだ!!モナーはお前の告白を断っただろう。逆恨みも甚だしいぞ!!」
ミセ* ー )リ『返して……返して……』
( ;∀;)「あばばばばば……」
川 ゚ -゚)「このままじゃ埒があかん。モラ、さっき貸してやったお守りは!?」
( ;∀;)「そこの引き出しの中ですぅ……」
川 ゚ -゚)「だから枕元に置いておけと言ったのに……貸せ!!」パシッ
.
- 227 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:40:30 ID:y1d/3LOQ0
- 川#゚ -゚)「ミセリぃぃぃぃぃぃ!!正気に戻らんかこのボケがぁぁぁぁぁぁ!!」スパァンッ
ミセ;* ー )リ『……ひっ!?』
( ;∀;)「ひえぇぇ……姉ちゃんがバイブで幽霊殴ってるぅ……」
川#゚ -゚)「てめぇ、私だけならいざ知らず、大事な弟にまで手ぇ出しくさって!!死ね!!いっぺん死ね!!」スパンスパンスパンスパン
( ・∀・)「……え?」
ミセ;* ー )リ『ちょ、止め……痛っ!?幽霊なのに痛い!?』
川#゚ -゚)「さっさと消えないと存在が消えてなくなるまで殴るぞ!!ああん!?」スッパァンッ
ミセ;* ー )リ『き、消えます!今すぐ消えます!』
川#゚ -゚)「ふーっ、ふーっ……」
- 228 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:42:07 ID:y1d/3LOQ0
- 川 ゚ -゚)「……消えた、か」
川 ゚ -゚)「モラ、大丈夫か?」
( ・∀・)「あ、うん。もう平気」
川 ゚ -゚)「だからバイブは有効だと言っていたのに!お前がバイブを出してなかったからこっちに来たんだぞ!」
( ・∀・)「あんなもん渡す方がどうかしてるわ!」
川 ゚ -゚)「黙れ、幽霊にビビってメソメソ泣いてたクセに!」
(;・∀・)「ぐっ……」
川 ゚ -゚)「……まぁいい。お前に大事はなかったんだ、今回は良しとしよう」
( ・∀・)「……そういや、大事と言えばさぁ」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
- 229 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:44:57 ID:y1d/3LOQ0
- ( ・∀・)「姉ちゃんさっき、あのミセリって人に、私の大事な弟に、とか言ってなかった?」
川 ゚ -゚)「言ったが。それがどうした愚弟」
( ・∀・)「いや……なんつーか、姉ちゃんもデレる時あるんだなって」
川 ゚ -゚)「……悪いか?大事なものを大事と言って何か問題があるのか?」
(;・∀・)「いや、珍しく素直だから感心しただけだけど……」
川 ゚ -゚)「なら、早く寝ろ。寝坊しても起こしてやらんからな」
( ・∀・)「ハイハイ照れ隠し照れ隠し、っと」
川*゚ -゚)「……ふん」
( ・∀・)(……私の大事な弟に、か)
( ・∀・)ニヤニヤ
結論その3:姉ちゃんは怖いが、いざって時は何より頼りになる
.
- 230 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:46:07 ID:y1d/3LOQ0
- ーーー翌日。
川 ゚ -゚)「ミセリの奴、今日一日仕事休んだぞ」
( ・∀・)「ってことは、やっぱりその人が犯人だったの?」
川 ゚ -゚)「そうなるな。仕事帰りに自宅へ立ち寄ったら、まるで誰かに踏まれたり殴られたりしたみたいに顔面がパンパンに膨れ上がってた」
(;・∀・)「うぉぉ……どう考えても俺と姉ちゃんの仕業だよねそれ」
川 ゚ -゚)「気にするな。文字通り墓穴を掘っただけだから、罪悪感を感じる必要はない」
川 ゚ -゚)「それに、二度と同じことが起きないよう、ちゃんと釘を刺しておいたしな」
(;・∀・)「……なんて?」
川 ゚ -゚)「にこやかに微笑みながら、『この程度で済んで良かったね』って言ったった」
(;・∀・)「こっわ!!超こっわ!!トラウマもんだよそれ!!」
川 ゚ -゚)「いやー、ミセリの奴私の顔を見てガタガタ震えっぱなしだったな!愉快愉快!」
(;・∀・)「……」
.
- 231 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:47:33 ID:y1d/3LOQ0
最終結論:やっぱり姉ちゃんは、この世の何よりも恐ろしい
.
.
- 232 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:50:33 ID:y1d/3LOQ0
- 終わりです
(
)
i フッ
|_|
元ネタに使わせていただいたのは以下のサイトでした。
http://wararei.yakumotatu.com/series/menu_mb_s.htm
- 233 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:52:17 ID:mhPceNnE0
- 乙!
クーかわかっこいい
そして58本目貰います
- 234 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:53:20 ID:mhPceNnE0
- 一応観覧注意で
たぶん大丈夫だとは思うが
58本目
.,、
(i,)
|_|
- 235 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:53:22 ID:LVKCabws0
- おつ〜!ヴィィィィン
この姉弟の真ん中に生まれたかった……
- 236 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:54:02 ID:mhPceNnE0
(((-@∀@)テクテク
(((-@∀@)テクテク
(-@∀@)「……ああ……」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「……眼鏡、慣れないな……」
(-@∀@)「……む?」
(-@∀@) チカチカ【Bar eyes】
(-@∀@)「……寄ってくか」
(-@∀@) 【Bar eyes】のようです
.
- 237 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:55:08 ID:mhPceNnE0
カランカラン
(((-@∀@)「えーと……」テクテク
( <●><●>)「いらっしゃいませ」
(-@∀@)「あ……ええと、」
(-@∀@)゛カタン
(-@∀@)「……じゃあ、ギネスを」
( <●><●>)「畏まりました」
(-@∀@)フィー
((( "ゞ)コツコツ
( "ゞ)「あの、隣よろしいかな?」
(-@∀@)「えっ?」
( "ゞ)「隣。座っても?」
(-@∀@)「あ、え、ええ、どうぞ」
( "ゞ)゛カタン
- 238 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:56:01 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「ドライマティーニ、あといつものを少し」
( <●><●>)「畏まりました」
(-@∀@)(んん……)
( "ゞ)
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)(……おかしいな。
この人の目、四つに見える)
( "ゞ)「あ」
(-@∀@)「え?」
( "ゞ)「いや、すみませんね、私はここの常連なんですがね。
見ない顔だったものだから。
ここ、なかなかに見つけにくいでしょう?」
(-@∀@)「あ、ああ。
そうですね、隠れ家的ですよね」
( "ゞ)「ええ。
だからあまり、新規の方は来ないからね。
常連としては、仲間ができるか、気になってね」
(-@∀@)「ああ、そうだったんですか」
- 239 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:57:01 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「迷惑だったら退きますが」
(-@∀@)「あ、いえ、構いませんよ。ええ。
あー、ここ、偶然見つけたんですが、なかなか雰囲気が良いですね。
気に入りました」
( "ゞ)「それはよかった。
ところで、その、失礼かもしれないが。
もしかして、白底翳の治療に?」
(-@∀@)「あ、はい。
分かりますか」
( "ゞ)「そこの病院、有名な医師がいるもんだから。
白底翳の方、よく来るんだよ」
(-@∀@)「ああ、なるほど。そうですね。
こっちにいい医者がいると聞きましてね。
治療に来てまして、今日全部終わったんですよ。
ヴィップの方から来たんですけど」
( "ゞ)「そんなに遠くから」
(-@∀@)「ああ、ええ。
水晶体を取り除く手術をしますでしょ。
やっぱり怖くて。
少しでも有名な方にと……」
( "ゞ)「なるほど。わかります」
- 240 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:58:04 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「まあ、その甲斐あってか無事に終わりましたよ。
それでこの、はは、牛乳瓶の底のような、眼鏡をかけてるわけです」
( "ゞ)「ああ、確かに厚みがある。
いやでも、いい眼鏡だね」
(-@∀@)「はは、どうも」
( "ゞ)「ああ、眼内レンズは?」
(-@∀@)「眼内レンズ?」
( "ゞ)「んん、そうだね、人工の水晶体だ。
白底翳手術で、水晶体の代わりに挿入されるものだね。
イギリスの……なんとかと言う人が、
瞳の中にレンズを入れるってアイディアを思いついて、開発したそうだ」
(-@∀@)「瞳の中に!
それって、つまり、眼球にでしょう。
そんな、恐ろしい。
出すのすら恐怖だったんですよ」
( "ゞ)「しかし、その眼鏡よりは快適になるだろうよ」
(-@∀@)「そうですか……しかし……」
(-@∀@)ウウム
- 241 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 01:59:08 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「……やはり、怖いですね。
いや、お恥ずかしながら、実は私、目薬もさせないんですよ」
( "ゞ)「おや、それは」
(-@∀@)ゞ「はは……クスリでも怖いもので。
治療にも、点眼を勧められましたが、渋りましたよ……」
( "ゞ)「ああ……それで眼内レンズの話は出なかったのかな。
いや、あれね、アクリルで出来ているんですよ」
(-@∀@)「アクリルですか」
( "ゞ)「ええ。
齧ったことがあるんだがね、絶望したよ。
その時はアクリルだなんて知らなかったものだから」
(-@∀@)「え?」
( "ゞ)「はい?」
(-@∀@)「齧ったって?」
( "ゞ)「ええ」
- 242 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:00:18 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「なんでまた」
( "ゞ)「なんでって、」
っ゛( "ゞ) トントン
("く" )「はい?」
(…∀…)「よォ、四つ目」
("く" )「お、旦那」
(…∀…)「……ンだァ?連れ居ンのか?」
("く" )「新入りのようだよ」
(…∀…)「おォ。よろしくな坊主」
"(@∀@-)「あ、どうも……」
(…∀…)「すまねェ、邪魔したな。
また一緒に飲もうぜ。じゃァ」
("く" )「ああ」
- 243 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:01:01 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「…………」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「今のは?」
( "ゞ)「彼も常連の一人だ」
(-@∀@)「へぇ……」
(-@∀@)(今の人は、目が六つに見えた……)
( "ゞ)「ああ。で、何の話だったかな」
(-@∀@)「え?ああ、眼内レンズを齧ったとかいう話を」
( "ゞ)「ああ。そうですよ。
体内に入れるものだから、似たもので作ると思ったんですよ。
まさかアクリルとはね……」
(-@∀@)「いやだから、あの、」
( "ゞ)「ん?」
(-@∀@)「何故齧ったんです?」
- 244 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:02:01 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「何故って」
カランカラン
(@∀@-)「む」
カツン カツン
〜( ><)フラフラ
( "ゞ)「おや、坊っちゃん」
( ><)「……ん、この声は……おじさまなんです?」
( "ゞ)「ああ。そうだよ」
( ><)゛「こんばんはなんです!」ペコリ
( "ゞ)「こんばんは」
( ><)カツン カツン
(-@∀@)「……」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)(……子供に見えるんだが……)
- 245 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:03:02 ID:mhPceNnE0
( ><)「いす、いす」
( ><)カツカツ コツン
( ><)「ここだ」
( ><)゛カタン
( <●><●>)「ハァ……。
開店中は来るなって言ってるでしょう、何しに来たんですか」
( ><)「む?なにって、飲みに来たんです!
僕はお客様なんです、働け働け!」
( <●><●>)「そう言われましても、お子様にお酒は出せないんですよ」
( ><)「僕は子供じゃないんです、同い年じゃないですか!」
( <●><●>)「そういうことじゃ……あー……鏡が見れないって幸せですねぇ」
( ><)「?」
( <●><●>)「はあ……仕方ないですね。
ご注文は?」
( ><)「カルアミルクなんです!」
( <●><●>)「はいはい」
- 246 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:04:05 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)(あの子二十歳越えてるのか……)
(ノシ><)ノシ「早くなんですー」
(;-@∀@)(見えない……)
( "ゞ)「あ、で何の話だったか」
(-@∀@)「え?
ああ、えー、なんで齧ったかです」
( "ゞ)「ああ、それはね、」
(・∀ ・)「マスター!お勘定頼むよ」
( <●><●>)「はいはい」
( "ゞ)「おお、坊主」
(・∀ ・)「よ、おっちゃん。
坊主はよせよ、もう酒飲めるんだぞ」
( "ゞ)「私からしたらまだまだ坊主だ」
(・∀ ・)「んだよー」
- 247 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:05:02 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「…………」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)(この人は目の色と形がバラバラに見えるな……)
(-@∀@)(いやでも、そういう人だっているよな)
(-@∀@)゛(うんうん)
( "ゞ)「しかし、治らんな、左目は。
ちゃんと食ってるのか」
(・∀ ・)「食ってるよ!だからここにいんだろ。
しゃーねーだろ。まあいいんだよ、色はきれーだからよ」
( "ゞ)「形は?」
(・∀ ・)「そりゃーちょっとあれだけどよー。
とりあえず見えっからいーんだよ」
( <●><●>)「……なんですって?」
(・∀ ・)、「っあ、ワリィ……」
- 248 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:06:01 ID:mhPceNnE0
( ><)「こら、僕は気にしてないんです。
だから気にしないんです!」
( <●><●>)「……ええ。
すみません」
(・∀ ・)「いや、おれがわりーよ。すまねえ」
( ><)「だから、気にしてないんです」
(・∀ ・)「おー、そうだったな、ありがとよ坊っちゃん。
……あ、釣り、いいよ。侘びだと思ってくれよ」
( <●><●>)、「構いませんのに……」
(・∀ ・)「気持ちだよ気持ち。
じゃ、また来るよ」
( <●><●>)「ありがとうございました」
(((・∀ ・)テクテク
カランカラン
- 249 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:07:01 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「……えと」
( "ゞ)「ああ……坊っちゃんはね。見えないから」
(-@∀@)「……あ、」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「……なるほど」
(-@∀@)、(杖を持っているのはそれでか……)
( "ゞ)「ああ、すまないね、また話を切ってしまって。
ええと、なぜ齧ったかだったね」
(-@∀@)「え?ああ、はい」
( "ゞ)「水晶体とだいたい同じものだと思ったものだから。
旨いかと思ったんだよ」
(-@∀@)「はい?」
( "ゞ)「ほら、水晶体って旨いだろ?
だが簡単に手に入るものじゃあない。
だから代わりになるかと思って食べようとしたんだが、ね。
アクリルとはな……」
- 250 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:08:56 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)「…………」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「……え?」
( "ゞ)「ん?」
(-@∀@)「食べるんですか?」
( "ゞ)「そうだが?」
(-@∀@)「なにを?」
( "ゞ)「なにって。
水晶体を」
(-@∀@)
(-@∀@)「えっ?」
( "ゞ)「?
もしかして、食べないのかい?」
(-@∀@)「えっ」
- 251 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:10:09 ID:mhPceNnE0
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「ええと、
水晶体って、瞳の中……にある?」
( "ゞ)「そうだよ。
ああ、いや、眼球だって美味しいけどね。
私はね、とりわけ、水晶体が好きなんだよ。
皆はあまりそれ単体で食べないね、そういえば」
(-@∀@)
(-@∀@)
(-@∀@)「……えぇと、」
(-@∀@)ヾカチャカチャ
(-@∀@)「仕入れとかは……」
( "ゞ)「ん?すぐそこの病院からだよ。
君もそこに入院していたんだろう?
名医だと噂が広まったお陰で、昔よりたくさん食べられるようになったよ……」
- 252 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:11:02 ID:mhPceNnE0
(;-@∀@)ゾッ
(;-@∀@)「じゃ、じゃあ……、
僕の……水晶体も、いつかここへ……?」
( "ゞ)「ええ、きっとね」
::(;-@∀@):: カタカタ
( "ゞ)「どうしたんだい?」
( <●><●>)「……はい、とりあえず、これ食べててください」
( <●><●>)づー コト
( ><)「分かったんです!」
( ><)っ―∈゛「んーと」
( ><)っ―∈゛「ここかな?」ガッ ガッ カツン
( ><)っ―∈「あった」
( ><)っ―∈◎゛ ブチュッ
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1114.jpg
- 253 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:12:08 ID:mhPceNnE0
::(;-@∀@)::「ヒッ」
::(;-@∀@)::「め、めだま」
( ><)゛モチャモチャ
::(;-@∀@)::「あ、あ」
( "ゞ)「私の水晶体はまだかな?」
( <●><●>)「あ、ちょっとお待ちください」
( "ゞ)「ふふ、ここでこうして眼球を食べ続けたらね、いつからか目が増えていたんだよ。
見えるだろう?
私の顔に、目はいくつある?」
::(;-@∀@)::
::(;-@∀@)::「よ……よっつ」
( "ゞ)「その通り。
六つの目の彼も見ただろう?彼は私より常連でね。
坊っちゃんや坊主は、目の疾患を治すのに食べているんだよ。
ね、坊ちゃん」
( ><)゛ゴクン
( ><)「実は、そうなんです。
これ食べて目を治すんです!」
( <●><●>)「たくさん食べるんですよ」
- 254 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:13:11 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「君も食べ続ければ、失った水晶体が戻るかもしれないよ。
さあ」
::(;-@∀@)::
::(;-@∀@)::「た」
三(;-@∀@)「助けてくれーっ!!!」ピューッ
カラカラン
( "ゞ)「おやおや……」
( "ゞ)ゞ
( "ゞ)「ちょっと、驚かせ過ぎたかね」
( <●><●>)「驚いて当然ですよ。
僕ができうる限り本物に似せた目玉なんですからね」
( <●><●>)フフン
( ><)「眼球の形の料理なんて、ほんっと悪趣味なんです」
( <●><●>)「苺ジャム入りですよ。
美味しいでしょう?」
( ><)「美味しいんです!」
- 255 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:14:01 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「いやはや……ここまで信じるとは思わなかったよ」
( ><)「おじさま、話がお上手なんですから。
嘘だって知ってるのに、僕だって信じちゃいそうだったんです!」
( "ゞ)「ふふ、誉めてもなにもでないよ坊っちゃん」
ヨシヨシ( "ゞ)づ(><*)キャー
(*><)「それにしても、ふふっ。
目を食べ続けたから目が増えた、なんて冗談を信じちゃうなんて。
お客さん騙されやすいんです!」
( "ゞ)「いやいや、分からないよ、坊っちゃん?
目の形の料理なんだから。
食べ続けたら、ほんとに増えるかもしれないじゃあないか?」
( ><)σ「でも、これはこのひとが作ったお料理なんです!」
( <●><●>)「こら、人を指差さない。
だいたいなんですかこのひとって……」
( ><)「ただのお料理なんですから、食べ続けたからって目は増えないんですよ?
僕が一番よく分かってるんです。
何年食べてると思ってるんですか」
( <●><●>)「…………」
- 256 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:15:01 ID:mhPceNnE0
( "ゞ)「そうだね。
ただのお料理ならね」
( ><)「違うんですか?」
( "ゞ)「私やむつめの旦那のようなやつを常連客の仲間にしてくれてるかわりに、ね。
ちょっと手助けをしてあげてるんだよ」
( ><)「手助け、ですか……?」
( "ゞ)「そう。
ここの目玉料理を食べれば、目の病気ならなんでも治る。
……って、おまじないをしてあげてるんだ。
ちゃんと食べれば、坊主も坊っちゃんも、ちゃんと治るんだよ」
(*><)「ほ、ほんとなんですか!」
( <●><●>)「聞きましたね?
だから、たくさん食べるんですよ。
きっと良くなりますからね」
(*><)「!
はいなんです!」
(*><)っ―∈◎゛ ブチュッ
(*><)゛モチャモチャ
- 257 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:16:02 ID:mhPceNnE0
( <●><●>)「……ありがとうございます」
( "ゞ)「構わないよ。
私達みたいなのがなにも気にせずお酒を呑めるの、ここだけなんだ。
むしろお礼を言いたいぐらいなんだから」
( <●><●>)「十分なくらい、頂いてますよ」
( "ゞ)「ふふふ。
さあて、そろそろお暇するかな。
お勘定頼むよ」
( <●><●>)「はい。ありがとうございました。
またのお越しを、お待ちしております」
カランカラン…
.
- 258 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:17:01 ID:mhPceNnE0
(
)
i フッ
|_|
おわり
実はキンタ祭りのボツだからとあるタイトル思い出しても言ったらだめだよ!
よっしゃ俺は寝るぞーッ
- 259 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:18:25 ID:LVKCabws0
- おつおつ!
そういうことだったのか、すっかり本物だと俺も思ってしまった
- 260 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:18:58 ID:vnxiQwdA0
- おつ
それってh(ry
- 261 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:34:03 ID:LVKCabws0
- じゃあ、次のロウソクいただくよ〜
- 262 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:35:02 ID:LVKCabws0
- .,、
(i,)
|_|
59本目、( ´_ゝ`)赤珊瑚、呪術、忘れた言葉のようです
- 263 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:36:42 ID:LVKCabws0
(; ´_ゝ`)「はぁ、はぁ……」
急いで帰宅した。
けれどもう手遅れなのかもしれない。
ドアの鍵も掛けずに玄関で乱暴に靴を脱ぎ、照明のスイッチを押す。
が、何度押しても電気はつかず、部屋は暗いままだ。
室内はかなり蒸し暑く、どこか異様な雰囲気が辺りを覆っていた。
シャツの下のネックレスは汗で皮膚に張りついている。
俺はすぐさま居間のクローゼットへと向かう。
虫がそこらに散らばっているのか、歩くたびに何かがプチプチと潰れてゆく。
まるで熟れた果実を踏んでいるような感触だ。
潰れた物体の体液が靴下に染み込み、気色が悪い。
( ´_ゝ`)(虫嫌いの弟なら、きっと失神してたな)
( ´_ゝ`)(……ははっ)
マンションまで無事に戻れて、少しは余裕が出来たのだろう。
弟にまで被害が及ばなければいいが、と俺は心配になった。
- 264 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:38:11 ID:LVKCabws0
何故か濡れているクローゼットの戸を開き、俺は手探りで明かりとなるものを探す。
伸ばした俺の腕を、誰かの冷たいざらっとした手が闇の奥で撫でる。
必死でライトを求める俺の指先が、人の肌に触れた。
誰かの顔のすぐ隣に脚がある。どうやら何人かいるようだ。
( ´_ゝ`)「お前らは何だ、おでんの具みたいに集まりやがって……」
( ´_ゝ`)「……いや、いまのたとえは無しだ」
撫でていた冷たい手が、急に俺の腕を強く掴んだ。
腕に痛みが走り、同時に体ごとクローゼットの中へと持っていかれそうになる。
その時俺は、人の隙間から円筒の金属質の物に触れた。おそらく懐中電灯だ。
すかさずスイッチを入れると、クローゼットの中が鮮明に浮かび上がった。
( <●><●>)
从'ー'从
( ゚∋゚)
(; ´_ゝ`)「うっ」
( ´_ゝ`)「……」
- 265 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:39:28 ID:LVKCabws0
裸体の男女が三人、不自然に関節を曲げて佇んでいる。
しかし顔だけはこちらを向いており、無表情のまま俺を見つめていた。
俺の腕を握っていたのは、一番手前にいる男だった。
ライトを男の顔に向けるが、彼は眼を見開いたまま俺を力強く引っ張る。
( ´_ゝ`)「……中年のむさい男なんか過去に引っ張っても」
(# ´_ゝ`)「何の得もしねえぞ!」
俺は反対の腕で、胸ポケットに入れていた珊瑚の粉末を彼めがけてぶちまけた。
男は憤怒したかのように顔を歪ませ、やっと俺の腕を離した。
考えていたよりも状況は悪いらしい。
周囲を照らしてみると、部屋中に泥と黒い血が滴り、床は虫の死骸で覆われていた。
俺は珊瑚の残りをフローリングに円形に撒き、その中心に座る。
ひとまずはこれで大丈夫だろう。
( ´_ゝ`)「……」
(; ´_ゝ`)「よし、落ち着け俺よ、俺なら出来る、大丈夫だ」
この事態を招いたのは俺自身だったが、何の後悔もしていない。
思えば、ハローさんからある話を聞いたのが始まりだった。
- 266 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:40:51 ID:LVKCabws0
経費が余ったとか何とかで日本に遊びに来た彼女と会ったのは、数時間前のことだった。
英国にもあるチェーンの喫茶店で、やがて話題は南米での彼女の仕事に移った。
ハハ ロ -ロ)ハ「……英語を読めるはずはないのですガ」
ハハ ロ -ロ)ハ「彼らは私の書いたメモを見て、頷いたりしていました」
( ´_ゝ`)「ふーん」
ハハ ロ -ロ)ハ「文字が、まるで別の意味を持ったような気分でしたネ」
( ´_ゝ`)「そういや、『悲しき熱帯』でも似た話しがあったな」
ハハ ロ -ロ)ハ「オー、読みましたか」
ハローさんは俺が子どもの頃にホームステイした先の娘で、それ以来親交が続いている。
今ではすっかり淑女となった彼女は、アマゾン熱帯雨林に住む部族について研究していた。
( ´_ゝ`)「ああ、アンドレ・ブルトンの船でのエピソードには、思わず笑ったよ」
( ´_ゝ`)「どうにも居場所がないのか、デッキの上をずっと歩いていたって話し」
ハハ ロ -ロ)ハ「感心するべきポイントが違いますヨー」
ハローさんは首をかしげて笑い、それから僅かに残っていたコーヒーに口をつける。
彼女の天然ウェーブの金髪が夕日に映えて眩しい。俺も手元のコーヒーに顔を落とす。
そろそろ帰ろうかという時に彼女がバックから取り出したのは、古びたネックレスだった。
- 267 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:42:03 ID:LVKCabws0
ハハ ロ -ロ)ハ「そうそう、その村で私はあるネックレスを頂きました」
( ´_ゝ`)「ネックレス?」
ハハ ロ -ロ)ハ「何でも村一番の呪術士が作ったもので」
ハハ ロ -ロ)ハ「着けると、過去の全てを再び手に入れられるらしいのデス」
( ´_ゝ`)「……」
彼女から手渡された、年季の入った首飾りを興味深く眺める。
何かの骨や記号が刻まれた石、見慣れない木の実が連なっていて、いかにも魔術的だ。
ハハ ロ -ロ)ハ「ですが、ネックレスに込められた呪いガ」
ハハ ロ -ロ)ハ「過去を覗こうとするものを、過去へと引きずりこむというのです」
ハハ ロ -ロ)ハ「……そんなもの着けられないネー」
( ´_ゝ`)「過去、か」
ハローさんと再会し、この話しを聞いたことが偶然とは思えない。
俺には思い出さなくてはならない過去があった。
- 268 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:43:21 ID:LVKCabws0
この歳になると、年々知人の葬式に出向く機会がポツポツと現れる。
大学以来の友人であったドクオが死んだのも、先月のことだった。
通夜で会った彼の奥さんであるクーさんは、明らかに疲弊し困惑していた。
それもそのはずだ。
いくら不慮の事故死とは言え、30歳での死は誰にとっても早すぎる。
祭壇に飾られたドクオの遺影はいかにも不健康そうで、そして変わらなかった。
懐かしい顔を眺めていたそんなとき、俺はあることをふっと思い出した。
それは確か学生時代、飲み会の帰りのことだった。
俺とドクオは終電までの時間を潰そうと、暗闇の街をあてもなく歩いた。
やがて疲れた俺達は、知らないマンションの敷地で勝手に座り込んでいた。
('A`)「……馬鹿みたいに暑いな」
( ´_ゝ`)「ああ。飲みすぎたんだ、俺達は」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
- 269 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:44:43 ID:LVKCabws0
('A`)「……なあ、兄者」
( ´_ゝ`)「ん、どうしたよ」
('A`)「絶対に忘れるなよ、俺は……」
('A`)「――」
( ´_ゝ`)「……」
あの晩ドクオは絶対に忘れるな、と確かに俺に何か言った。
彼の葬式でそんなことを思い出したのだ、きっと何か大切なことに違いない。
けれど俺はいくら考えても、肝心のその内容を思い出すことが出来ないでいた。
( ´_ゝ`)「……なあ、ハローさん」
( ´_ゝ`)「「帰国するのは二日後だよな」
ハハ*ロ -ロ)ハ「イエス! 明日は、浅草の雷門を観光しますヨー」
( ´_ゝ`)「このネックレス貸してくれ」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ノー! 私の話しを聞いていましたか!」
( ´_ゝ`)「ああ、実験台が要るってことだよな」
ハハ;ロ -ロ)ハ「誰もそんなことは……」
- 270 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:46:12 ID:LVKCabws0
その後、彼女が引き止めるのを無理やり押し切って、俺はネックレスを借りた。
家に帰る途中でネックレスを着けたところから、俺の周囲は歪み始めた。
呪いか何なのか知らないが、俺はまだ過去になどなりたくはない。
ドクオが何を言ったのか、ただ思い出したいだけだった。
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「この円の内側には、呪いとやらも近づけないらしいな」
部屋の中は、相変わらず異様な状態だ。
ジャングルに位置しているかのごとく湿度は高く、様々な気配がする。
別れ際にハローさんから渡された、赤珊瑚の粉だけが頼りだった。
無事に終わったら、彼女には後日お礼をしなくてはならない。
気付くと、金属を打ち鳴らす音がフローリングの下から聞こえる。
床の下など見えるはずはないのだが何気なく床を照らし、あることに気付いた。
(; ´_ゝ`)「まずいぞ、これは……」
砂だ。
どこからか溢れ出している砂が、部屋を埋めようとしている。
赤珊瑚の粉で描いた円の外側では、砂が掴めるぐらいまで堆積していた。
(; ´_ゝ`)「さっさと始めよう」
( ´_ゝ`)「彼女に言われた通りに……」
- 271 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:47:49 ID:LVKCabws0
俺は眼を閉じ、俺の求める過去に意識を集中する。
金属音と砂のこぼれる音が絶えず流れている。音楽が聞こえる。
瞼の裏にサイケデリックな幾何学模様が広がる。
やがてそれは脈絡のない映像となり、しだいに知覚を取り込んでゆく。
可逆、時差、知識的身体
硬膜円盤、正当なる指先、果敢に損傷した歯茎
葉酸、赤土、晴天の結露
崇高な魚、山積みの火炎、公表されない工場廃液
意識がだんだんと揺らいでいくのを感じる。
知覚から受ける全てが俺の一部となり、また俺はあらゆる事物そのものだった。
愚直、生卵、深海、土石流、革鞄の染み、お腹の中に誰かいる
壮麗、消毒、心臓、埃氷河、乾いた雑草、俺の意識はいま
馬車、銅鍋、樹皮、外来種、飛躍する灰、紫の昆虫食、擦過傷による盲乱
日光、蜂蜜、崩壊、唸り声、木製の時間、反復した繁栄、最上階の窒素
暗闇、街灯、舗装道、自動販売機、火照る全身
裏道、信号、賃貸住宅、家へと向かう通行人、……誰かが何か呼びかけている。
「……」
「……なあ」
ああ、ずいぶんと懐かしい声だ。
- 272 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:49:25 ID:LVKCabws0
('A`)「おい、聞いてんのか」
( ´_ゝ`)「……あ、ああ。すまん」
('A`)「さっきは悪かったよ」
( ´_ゝ`)「いや、俺のほうこそ……」
痩せぎすで猫背でいつもどこか不満気な顔をして、……ひげはまだ薄い。
まだ若さの残るドクオが、死んだはずの男が、俺の横に座っていた。
これは本当に単なる過去の記憶なのだろうか。
夏の街が放つ匂いや物音、薄暗いなか佇む彼の姿をも、俺は今完全に体験している。
まるで、夢だと気付けない夢のようだった。
('A`)「最後にウィスキーなんて頼むんじゃなかったわ……」
( ´_ゝ`)「俺はこれから永遠に酒は飲まん」
('A`)「そうか」
( ´_ゝ`)「……おう」
そうだった。
俺とドクオは飲みすぎて、些細なことで喧嘩をした。
- 273 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:50:39 ID:LVKCabws0
居心地は悪かったが帰るに帰れず、ドクオの方から謝ってきたのだった。
もう生きているドクオに会えないことを思い出し、俺は少し泣きたくなる。
このあとに彼は言うはずだ、俺に忘れるなと言った何かを。
('A`)「……馬鹿みたいに暑いな」
( ´_ゝ`)「ああ。飲みすぎたんだ、俺達は」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「……なあ、兄者」
( ´_ゝ`)「ん、どうしたよ」
('A`)「絶対に忘れるなよ、俺は……」
('∀`)「俺は、必ずクーさんと結婚するからな!」
言葉が出ない。
なんて馬鹿らしいことを、ドクオは覚えておけと言ったのだろう。
あいつはこの数ヶ月後、あっさりクーさんと婚約した。
それから会うたびにノロケ話しを披露するくらい、彼は結婚生活を謳歌していた。
結婚するかどうかの決意なんて、いまさら俺が覚えているはずがなかった。
- 274 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:53:35 ID:LVKCabws0
ドクオはマンションの石垣から立ち上がり、照れくさそうに俺を見る。
どこか感傷に浸っていた気持ちは消え、それでも何故だか、俺は涙がこぼれそうだった。
( ´_ゝ`)「……」
(;'A`)「おい、なんか言えよ……」
( ;_ゝ ;)「……ああ、楽しみにしてるわ」
('A`)「今そんな話しはしてないだろ?」
噛み合わない応えが返ってきた。
今現在の俺の言葉は、彼には通じていない。
やはりこれは、過去の出来事を追体験しているだけに過ぎないのだろう。
いくらか寂しさと孤独感が募り、俺はそろそろ現実に戻るべきだと感じた。
最後に俺は、何か伝えようと石垣から立ち上がった。
たとえ記憶のなかのドクオだとしても、目の前にいるのは確かにドクオだ。
( ´_ゝ`)「なあ、ドクオ……」
ドクオに近づこうと足を運んだその瞬間、急に視界が白い波で覆われた。
俺の鼻や口に大量の水が押し寄せ、息が出来ない。
水の中だ。
まるで荒れた深い海に、船の上から投げ出されたようだ。
- 275 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:54:41 ID:LVKCabws0
足が底につかない、火照っていた体が急激に冷たくなる。
水面に顔を出そうと必死にもがくも、どこが水面なのかすら分からない。
(; ´_ゝ`)(違う! これは現実じゃない!)
( ´_ゝ`)(俺のトラウマの記憶だ……)
子どもの頃、プールで溺れそうになりパニックになったことがある。
俺は今、その過去にいるらしい。
(; ´_ゝ`)「……ゴホッ! ゲフッ、ガッ……」
(; ´_ゝ`)(冷静になれ、ガキの俺よ……)
さっきまでとは違い、水の中でもがく自分を俺はどうすることもできなかった。
もがけばもがくほど息が苦しくなり、脳が締めつけられる感覚に陥る。
こうなった元凶のあの首飾りを外せば、全てが終わると俺は思っていた。
だが過去の中の俺は、そんなものなど着けていなかった。
( ´_ゝ`)(……)
( ´_ゝ`)(……)
だんだん意識が朦朧とし始める。
俺をどこかに誘う甘い幻聴が聞こえる。
こっちですよ、と誰かが呼びかけている。
薄まる意識のなかで、眩しい光りが満ち溢れた。
- 276 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:55:47 ID:LVKCabws0
(; ´_ゝ`)「……うっ、ああっ!」
(; ´_ゝ`)「はぁ、はぁ……」
空のペットボトル、いつもの鞄、テレビのリモコンがすぐ先に見える。
顔を上げると見慣れたテーブルがあり、その向こうには本棚が並んでいた。
どうやら俺は、床に横たわっているらしい。
辺りから異様な気配はなくなり、部屋の電気もついていた。
ハハ ロ -ロ)ハ「日本は住所の書き方がおかしいですネ」
( ´_ゝ`)「は、ハローさん……」
ハハ ロ -ロ)ハ「おかげで遅くなりましたが、間に合ったみたいデス」
そう言うとハローさんは、南米にいた彼女に宛てて俺が送った手紙を見せた。
彼女はそれを頼りに、俺の部屋まで来てくれたらしい。
- 277 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:57:54 ID:LVKCabws0
ハハ#ロ -ロ)ハ「なぜですか!」
( ´_ゝ`)「えっ?」
ハハ#ロ -ロ)ハ「赤珊瑚で描いた円から出てはいけないと、私は言いマシタ!」
床を見ると、俺の体は円の外から相当はみ出ていた。
何かに引きずられたかのように、右足がクローゼットのそばまで移動している。
思い当たることがあった。
過去のドクオに近づいたときに、珊瑚の線から踏み出てしまったのだろう。
( ´_ゝ`)「……ああ、すまん」
ハハ ロ -ロ)ハ「信じられません」
( ´_ゝ`)「よく言われるよ……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「……」
( ´_ゝ`)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「……このネックレス、どうも本物らしいですネ」
- 278 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:58:53 ID:LVKCabws0
( ´_ゝ`)「そうか、ハローさんが外してくれたのか」
ハハ ロ -ロ)ハ「落ち着いたら、何があったのか詳しく話してください」
( ´_ゝ`)「ああ……」
何事もなかったかのように、俺の部屋はいつもと変わらない。
過去の出来事は、全てどこかに消えてしまった。
けれどそれは見えないだけで、きっとそばにあるのだろう。
思い出せたドクオとの馬鹿話しを、いずれ彼の奥さんに話そうと俺は思った。
終わり
- 279 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 02:59:37 ID:LVKCabws0
(
)
i フッ
|_|
- 280 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:01:12 ID:kuPgBGII0
- 乙
- 281 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:02:41 ID:LVKCabws0
- 寝ますー、ありがとー!
- 282 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:05:44 ID:kuPgBGII0
- ダレモイナイ、トウカスルナライマノウチ
吊り中年のようですね
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376762665/
- 283 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:27:32 ID:owFyJmh60
- AAほとんど使わないモノローグ型式だけど投下して大丈夫かな…
お願い答えてえろい人
- 284 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:27:56 ID:h/7Fhebk0
- いいよ
俺がきょかする
- 285 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:30:48 ID:WGUiO3ds0
- いいよ。去年そんなの書いた俺が許可する
- 286 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:30:51 ID:kuPgBGII0
- GO!GO!
- 287 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:32:35 ID:owFyJmh60
- 許可いただいたので、60本目いただきます。
やべえ緊張でゲロ吐きそうだ……
´`
(i,)
|_|
左腕をとられたようです
- 288 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:33:46 ID:owFyJmh60
大好きだよ
大好きだよ
- 289 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:35:15 ID:owFyJmh60
- お盆は、生と死の境が曖昧になるらしい。
たくさんの死者が現世に帰ってくるから、多分、境界がゆるゆるになるんだろう。
何故わざわざ三途の川を渡って閻魔様に裁かれた奴らが帰ってくるか。
お盆に詳しい奴なら解るんだろうが、生憎俺には分からない。
分かるのは、ただ、なんとなく、未練を持った奴はこの世には沢山いるということくらいだ。
俺がその夢を見たのは、三年前のちょうどこの時期。
姉が、急逝してから初めてのお盆だった。
夏だというのに肌寒い日だったのを覚えている。
夢の中で、彼女は俺の左腕を愛しげに抱きしめた。
女の力なのだから、振り払うことも容易いはずだが、夢の中だからかさっぱり力は出なかった。
彼女は狼狽える俺に構うこと無く腕を愛撫し続けた。
- 290 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:36:02 ID:owFyJmh60
大好きだよ
大好きだよ
だから安心して
大好きだよ
大丈夫だよ
だから、
- 291 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:37:40 ID:owFyJmh60
- 時間の感覚はいまいちわからないが、割と長い時間そうされていた。
そうして、起きた時、俺の左腕はやけにあっさりとすべての感覚を失っていた。
多分、持っていかれたのだと思う。
あの優しかった姉に。
優しく俺を抱きしめ、口付けた姉に。
左腕の魂だけを。
………本心を、言っても良いだろうか。
- 292 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:39:02 ID:owFyJmh60
正直、俺は魂全部持って行かれても良かった。
- 293 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:41:39 ID:uhKSV.mk0
- 三年前、姉は死んだ。
自殺だった。
俺との関係に悩み、俺との子を腹に宿したま死んだ。
愛していたし、愛されてもいた。
それだけは揺るがない。
共に悩み、共に苦しみ、共に生きていこうと誓い合った。
誓い合った結果、姉は一人で悩み、一人で苦しみ、一人で死に、そして俺の左腕一本を持って行った。
- 294 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:43:40 ID:uhKSV.mk0
- これはあくまでも都合の良い解釈だが。
姉は、俺が姉のあとを追わないように、左腕を持っていったのではないかと思う。
後を追おうと必死になっていた俺を止めるために。
歩くための足ではなく。
伝えるための喉ではなく。
見つめるための目ではなく。
傾けるための耳ではなく。
抱きしめる為の右腕ではなく。
息を止めるための、左腕を。
もちろんこれはただの憶測で、ただの美談だ。
それでも、俺は、その美談を信じたいと、心から思う。
- 295 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:48:54 ID:.DK.X6uo0
- だって、確かにあの日、あの夢で、彼女は言ったんだ
(* ー )
(゚Д゚ ,,)
- 296 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:49:45 ID:.DK.X6uo0
- だから、お願い
どうか、生きて
どうか、幸福に
- 297 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:51:49 ID:.DK.X6uo0
- おわり
(
)
i フッ
|_|
- 298 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:57:53 ID:.DK.X6uo0
- 未練たらたらなのは死者も生者も同じってことで
蝋燭ありがとうございました!
いっちょ盛大にゲロ吐いてきます!!
- 299 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 03:58:45 ID:kuPgBGII0
- .吊り中年のようですね
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376762665/
.,、
(i,)
|_|
(
)
i フッ
|_|
61本目の蝋燭を消しました。
- 300 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 04:26:23 ID:gaX3t9PAO
- >>298
おつでーす
姉ものは最高だぜと思いながら読み進めたら、結構重い内容だった
>>299
乙乙〜
関西弁っぽくなるシューさん素敵
ケータイゆえ後日ゆっくり読まさせていただきます
- 301 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:41:46 ID:xaDG4T9AO
- 62本目頂きます
※若干下ネタ含むので一応閲覧注意でお願いします
.,、
(i,)
|_|
£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです
- 302 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:42:59 ID:xaDG4T9AO
- £ ^ゞ ^) いらっしゃ〜い、アサピーくん
(-@∀@)……おー
(-@∀@)(痩せたなぁコイツ……)
大学の同級生、大鳥ロミスに会うのは二週間ぶりだった。
ロミスが実家から大学近くのアパートに引っ越し一人暮らしを始めたのが一ヶ月前。
その直後から遅刻や早引けが多くなり、二週間からぱったり大学に来なくなってしまった。
- 303 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:45:04 ID:xaDG4T9AO
- £°ゞ°) 来てくれてありがとねぇ〜
(-@∀@)まったくだ。ほら、ノートのコピー
£°ゞ°) えっ?
(-@∀@)えってお前……「頼みがある」ってメールしてきたの、このことじゃないの?来週からだぞ、テスト
£ ^ゞ ^)……ああそっか、テストかぁ、忘れてたよ〜
(;-@∀@)どんだけおっとりしてるんだよ……
本気で忘れていたらしい。
(-@∀@)じゃあなんだよあの思わせ振りなメール
£°ゞ°)ん〜。
£ ^ゞ ^)アサピーくんにしか頼めないことなんだよ
(-@∀@)……
「今日はうちに泊まっていってくれないかなぁ」とどこまでもおっとり頼むロミス。
にっこり笑う顔の、そのこけてしまった頬を見ると、断ることは出来なかった。
- 304 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:46:48 ID:xaDG4T9AO
- ------
アッアッアッ……
( -∀-)……ん?
深夜。イカニモな喘ぎ声で目が覚めた。
ロミスの野郎、寝ている人間がいるっていうのにAV見てるのかあの野郎、
結局頼みとやらも具体的に話さないしなんだよもう一緒に見せろこの野郎、
そう思いつつ手探りで眼鏡をつかみ、かける。
そこにはあまりにもひどい光景が広がっていた。
- 305 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:48:08 ID:xaDG4T9AO
£°ゞ°)カクカクカクカクカクカクカクカク
(((( (ヽヽ))))
> >
ロミスが腰を振っていた。
全裸で。
- 306 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:49:59 ID:xaDG4T9AO
- (;-@∀@)(やべえ…こいつマジやべえ……)
£ ^ゞ ^)あっ、アサピーくん目が覚めた〜
(;-@∀@)そ
笑顔のロミスが全力で腰を振り続けている。ご立派な剛直を振りかざして。
(;-@∀@)いやっ……その……えっと……
怖い。貞操の危機。やめてアタイ汚されたくない。
£ ^ゞ ^)うんうん。言いたいことは分かるけど、とりあえずそこにあるビデオカメラを取ってよ〜
£°ゞ°)カメラ越しにもう一度僕を見て。そうしたら分かってもらえると思うからさ〜
ロミスの言うとおり、すぐそばにビデオカメラが転がっていた。
- 307 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 05:50:03 ID:AKBu4TWE0
- ひでえわ
- 308 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:51:28 ID:xaDG4T9AO
- 見たくない。
カメラ越しであろうと決して友人のイチモツなど見たいはずがない。
£ ^ゞ ^)ねっ。
だがしかし。従わなければ、ヤラれる。いろんな意味で。
絶望感と共に、カメラを構え、レンズ越しにロミスを見た。
映されたのは、さっきとは、似ているようでまるで違う姿だった。
- 309 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:53:17 ID:xaDG4T9AO
£°ゞ°) カクカクカクカクカクカクカクカク
(((( (ヽヽ))))
>_| ̄|('、`*川 アッアッアッアッアッアッ
(;-@∀@)ええー……
ロミスが、半透明の女性をバックから突いている。
なんか色々おかしい気がする。主に女性の顔の向きとか。首曲がってるのかアレ。
- 310 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:54:51 ID:xaDG4T9AO
- £°ゞ°)彼女はペニサス伊藤さん。この部屋に憑いている幽霊だよ〜
(//、//*川 アッンギィギモッチイイ!!
(;-@∀@)ど、どうも……
£°ゞ°)生前のペニサスさんは男性のペニスにすっごく興味があったんだって〜
腰をカクカク言わせながらロミスはおっとり説明する。
とりあえず一旦腰止めろ。マジで。
£°ゞ°)だけど不幸なことに一度もペニスを味わうことなく不慮の事故で死んでしまって……
£ ^ゞ ^)それ以来、この部屋に住んだ男性のペニスを狙って襲うようになったんだって〜
(//、//*川アッソコダメエラメエエエエ
(;-@∀@)……おまえが大学に来なかった理由って……
£ ^ゞ ^)あー、うん。ペニサスさん、よっぽど僕の気に入ってくれたのか、離してくれなくって〜
(#-@∀@)死んどけ!
- 311 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:57:09 ID:xaDG4T9AO
- £°ゞ°)まあまあまあまあ落ち着いて
£°ゞ°)最初は大変だったんだよ〜。ペニサスさん僕のマイサン切り取ろうとしてたし
(;-@∀@)ひいっ
£°ゞ°)ペニサスさんの趣味っていうのが切り取ったペニスをサスサスすることだからね〜
£ ^ゞ ^)だから「切り取るよりも生の身体で味わいませんか」口説いたんだ〜
(-@∀@)やっぱ死んどけ。っていうか帰っていい?
£°ゞ°)え〜待ってよ〜。ここからがアサピーくんにお願いしたいところなんだよ〜
そのカメラ、とロミスは指を差す。
- 312 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 05:58:28 ID:xaDG4T9AO
£ ^ゞ ^)そのカメラで僕たちを撮ってほしいんだ
(#-@∀@)……はあああ!?
- 313 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:00:51 ID:xaDG4T9AO
£°ゞ°)お願いだよ、アサピーくん。それがペニサスさんの願いなんだ
急に真面目な顔になるロミス。下半身にさえ目をつむれば真剣なことが伝わって、いややっぱカクカクアンアンうるせええ
£°ゞ°)ペニサスさんとはこの1ヶ月、あらゆることを試した
£°ゞ°)通常プレイから始まって、コスプレ、拘束、痴漢、アナル、彼女の望む変態行為を実行し続けた
£°ゞ°)そして彼女の最後の望みは……第三者によるハメ撮り
(#-@∀@)へーあっそーそーなんだスゴイネ
£°ゞ°)その望みさえ叶ったら……
£ ^ゞ ^)……彼女、成仏出来ると思うんだ〜
- 314 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:02:27 ID:xaDG4T9AO
(#-@∀@)
(#-@∀@)………
(-@∀@)「君にしか頼めない」がハメ撮りかよ
£ ^ゞ ^)僕友達少ないしねえ。それにこんなこと頼めるお人好し、アサピーくんしかいないよ〜
(#-@∀@)あーマジで腹立つなーもー
(#-@∀@)……やらせるからにはヌルイことやってないで本気出せよお前ら!
£ ^ゞ ^)そうこなくっちゃ
(//、//*川アアアアアアアンッ!!!!
- 315 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:03:57 ID:xaDG4T9AO
- ----
後日談。
不思議なことに、録画した映像にはペニサス伊藤だけが映っていなかった。
£°ゞ°)やっぱり恥ずかしくなっちゃったのかなあ〜
£ ^ゞ ^)成仏するとき、自分の姿も一緒に消しちゃったのかもねえ
(-@∀@)結果、残ったのが全裸のお前が一心不乱に腰振ってる映像だけだな
£ ^ゞ ^)あげよっか〜?
(-@∀@)超いらねえ
つい乗ってしまったあの夜の撮影会。
最後の方は全然記憶に無いが、ロミスが言うにはペニサス伊藤嬢は無事成仏出来たらしい。
('、`*川……ありがとう
と最期に言ったらしいが、ロミスの言うことなのでどこまで信用出来るか分からない。
- 316 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:05:33 ID:xaDG4T9AO
ペニサス事件のあと、迎えたテスト週間も終わり、今はロミスに飯をおごらせているところだった。
ちなみにロミスは授業に出てないなりに、そこそこ無難に通ったらしい。
コピーを渡さなきゃ良かったとまでは言わないが、なかなか器用さが面憎い奴である。
£°ゞ°)あー、もう一つ消えちゃったものあったよ〜
(-@∀@)なんだよ
£°ゞ°)勃起能力、って言うのかな?
(-@∀@)は?
£ ^ゞ ^)勃たなくなっちゃった〜
(;-@∀@)…はあ?
「ペニサスさんが持ってちゃったみたい〜」とロミスはおっとり笑う。
信じがたいことを、笑って言う。
ていうか、
(;-@∀@)なんでちょっと嬉しそうなんだよ……
£°ゞ°)一生分ヤったしねぇ
(-@∀@)イラッ
「やっぱ死んどけ」と思った。
- 317 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:06:54 ID:xaDG4T9AO
£°ゞ°)それに、一目惚れだったんだ〜
(-@∀@)
£°ゞ°)だから、僕が死んだ後、……ん〜、あの世ってあったらさ〜
£°ゞ°)あの世でペニサスさんに会えたら、それでいいかなって
£ ^ゞ ^)だから、いいんだよ〜
(-@∀@)
(-@∀@)……お前って、
£ ^ゞ ^)その時はアサピーくんもいるといいなあ。今度は3人で楽しもうよ〜
(-@∀@)やっぱ死んどけ、馬鹿
£°ゞ°)ひどいな〜
- 318 名前:£°ゞ°)と(-@∀@)と、の夜のようです :2013/08/18(日) 06:08:33 ID:xaDG4T9AO
- おしまい
(
)
i フッ
|_|
- 319 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 06:16:50 ID:H6njcHBE0
- まさかのロミスで寝起きにワロタ
乙w
- 320 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 06:19:45 ID:q3aoCRI60
- おつー
こういうロミスもいいなw
- 321 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 08:36:32 ID:mfHZSf1M0
- 乙
( ;∀;) イイハナシダナー
- 322 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 08:52:07 ID:oR4e1KiM0
- ロミスがEDに…
- 323 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 10:20:15 ID:gaTkxepA0
- これがロミスの正しい使い方だったか
- 324 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 11:54:41 ID:ZvCW8Ws60
- 乙
百物語でロミスを見るとは思わなかった
- 325 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 12:10:26 ID:Lij/sCxI0
- なんか今回アサピーこんな役回りばっかwww
乙!
- 326 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 15:01:48 ID:UL4L1rHM0
- わりとアホな話でも百物語まとめページで読むと雰囲気でるんだな
配色でここまで変わるとは思わなかったわ
- 327 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 15:41:59 ID:Lij/sCxI0
- 今日で最終日か……
- 328 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 17:27:14 ID:NxvSX50Q0
- どうしても都合がつかないんだけど明日の夜に遅刻していいかな……?
- 329 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:12:41 ID:Wi5dJYIw0
- 私は一向に構わんッッッ!!!!(AA略)
- 330 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:15:44 ID:v1eOSk.g0
- 俺も都合がつかないんだけど諦めてもいいかな……?
- 331 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:18:49 ID:Wi5dJYIw0
- …執筆までは諦めてくれるなよ
待ってるからな!!!
- 332 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:25:13 ID:F2Yu0G3I0
- 63本目を頂きます
('A`)セックスだあああああああ!!!!!(´・ω・`)のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376817824/
.,、
(i,)
|_|
- 333 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:32:13 ID:Lij/sCxI0
- !!?
- 334 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:42:03 ID:F2Yu0G3I0
- 63本目投下終了です。お疲れ様でした
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376817824/
- 335 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 18:43:37 ID:F2Yu0G3I0
- 蝋燭を消すのを忘れていました
(
)
i フッ
|_|
それでは、百話目指して頑張りましょう
- 336 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:32:34 ID:t50i03ro0
- お、乙……
64本目いただきます。
.,、
(i,)
|_|
- 337 名前:閻魔様の憂いのようです 1/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:34:32 ID:t50i03ro0
- 死んだ人の魂はまず閻魔様(´・ω・`)の前に連れていかれます。
そこで天国に行けるか、地獄に堕ちるのか、判断されます。
裁判所のようなものだと思ってください。
そんな場所でのお話です。
(´・ω・`)「はい、次の方どうぞ」
- 338 名前:閻魔様の憂いのようです 2/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:35:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「君が今回の魂か。事情はわかってるよね」
川 ゚ -゚)「はい」
(´・ω・`)「それじゃこれから行き先を決めるからね」
川 ゚ -゚)「あの」
(´・ω・`)「ん?」
川 ゚ -゚)「地獄に行きます」
- 339 名前:閻魔様の憂いのようです 3/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:36:52 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「地獄に」
(´・ω・`)「ああ、いいよ繰り返さなくても。
えっと、行き先を決めるのは私なんだ。すまないね」
(´・ω・`)「それに、君の素行についてのデータもいろいろ集めたんだけど
どうも地獄に行くような人には思えなかったんだけどなあ。
事情を説明してくれる?」
川 ゚ -゚)「親友を殺しました」
(´・ω・`)「親友……」
(゚、゚トソン「閻魔様、ちょっと」
(´・ω・`)「ああ、小鬼のトソンちゃん。なんだい」
(゚、゚トソン「この人の親友は次に並んでもらっているデレさんです」
- 340 名前:閻魔様の憂いのようです 4/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:37:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「あー、なるほど。一緒に死んだのね。
じゃあちょっとデレさんも呼んで来てもらえる?」
(゚、゚トソン「はい」
スタスタスタ...
――バタン
ζ(゚ー゚*ζ「閻魔様!」
(;´・ω・`)「うおお! 入ってきていきなり叫ぶのはやめてくれないかな」
ζ(゚ー゚*ζ「すいません! でも、聞いてください!
クーちゃんは悪くありません! ていうか私たち悪いことしてません!
どうか私たちを天国に送ってください!」
(´・ω・`)「だから勝手には決められないって……
事情は何よ」
ζ(゚ー゚*ζ「私とクーちゃんはいじめられていました。
もともとは引っ込み思案だった私がいじめられていて、それを庇ったクーちゃんも巻き添えで。
それで生きるのが辛くなって、クーちゃんと一緒に練炭自殺しました」
ζ(゚ー゚*ζ「クーちゃんは私を殺したというけど、そもそもどっちも死にたがっていました。
だから問題はないはず、地獄に行くようなそんな言われはないはずです」
- 341 名前:閻魔様の憂いのようです 5/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:39:10 ID:t50i03ro0
- 川 ゚ -゚)「デレ、そんなこと話さなくていいよ」
ζ(゚ー゚*;ζ「クー! どうして」
川 ゚ -゚)「私のけじめだよ。結局私は君を守ることができなかった。
いじめられていた君を助けようとしても上手くいかず、こんなとこまで来てしまった。
その罪を償いたいんだ。わかってくれ」
ζ(゚ー゚*;ζ「クー……」
(´・ω・`)「…………」
(´・ω・`)「あーあ」
(´・ω・`)「まーたこういうのか」
- 342 名前:閻魔様の憂いのようです 6/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:39:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「あのね、最近君のようなの増えてるのよ。
人間の短い一生を終えたくらいで自分の全てを悟った気になっちゃってる奴」
川;゚ -゚)「え、私ですか?」
(´・ω・`)「そうそう。
それでその反省の末にちょっと地獄寄ってくるわーみたいな。
なんか、地獄を便利な懺悔室のようにでも思ってるんじゃないのかね」
川;゚ -゚)「違うんですか?」
(´・ω・`)「地獄ったって単純に苦しい思いをするだけじゃないんだ。
そこで行われる苦行は魂を浄化するためのもの。
人間として生きているうちではどうしても矯正できなかったひっどい部分を直すのさ」
(´・ω・`)「で、君の話を聞くと、君は別に魂が穢れているわけじゃない。
たまたま環境が悪くてネガティブ思考が離れなかっただけだ」
川;゚ -゚)「で、でも私、けじめを……」
(´・ω・`)「うん。だからね、ちょっと生きる環境を変えてみよう。
地獄だの天国だの行く前に、もういっちょ別の人へ転生してみようか」
- 343 名前:閻魔様の憂いのようです 7/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:40:53 ID:t50i03ro0
- 川;゚ -゚)「え!? い、いいんですか?」
(´・ω・`)「トソンちゃん手続きお願い」
(゚、゚トソン「はい」
川;゚ -゚)「あ、あの」
(´・ω・`)「ああ良いよもちろん。
君は死ぬの早かったからね、ずいぶんもったいないことをしているよ。
もっと生きて視野を広げてみるべきだ。そして死んだらまた私のところへ来なさい」
川;゚ -゚)「…………」
川;゚ -゚)「そう……ですか……」
川;゚ -゚)「てっきり、てっきり人を殺したら地獄に行かなきゃならないと思っていたから」
川;゚ -゚)「私、私……」
- 344 名前:閻魔様の憂いのようです 8/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:41:53 ID:t50i03ro0
- ζ(゚ー゚*ζ「クーちゃん! 良かったね!」
川;゚ -゚)「デレ……」
ζ(゚ー゚*ζ「地獄なんて行く必要無かったんだよ!
これからも私たちずっと一緒に生きていられるよ!」
川 ゚ -゚)「あ。ああ……」
(´・ω・`)「ああちょっと」
ζ(゚ー゚*ζ「はい? 今度は私ですか?
私も転生したいんですけど」
(´・ω・`)「だから勝手に決めんなって」
(´・ω・`)「それと」
ζ(゚ー゚*ζ「それと?」
(´・ω・`)「君の行き先は地獄だから」
- 345 名前:閻魔様の憂いのようです 9/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:42:52 ID:t50i03ro0
- ζ(゚ー゚*;ζ「……」
ζ(゚ー゚*;ζ「……は?」
ζ(゚Д゚*;;ζ「はああああああああああああああああああああああああ!!!?」
- 346 名前:閻魔様の憂いのようです 10/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:43:53 ID:t50i03ro0
- ζ(゚Д゚*;;ζ「な、なんで!!」
(´・ω・`)「トソンちゃんが君の資料もついでに持ってきてくれたからね。
君の事情もわかった。君の魂には浄化が必要だ」
ζ(゚ー゚*;ζ「じょ、浄化って……私はクーちゃんと一緒にいじめられていただけで」
(´・ω・`)「はい、主観で言わない」
ζ(゚ー゚*;ζ「はあ!?」
(´・ω・`)「えーと、資料によれば……まず最初にいじめられていたのはデレさん」
ζ(゚ー゚*;ζ「はい」
(´・ω・`)「で、それを庇ったのはクーさん」
川 ゚ -゚)「え、ええ」
(´・ω・`)「それで最近になってデレさんがまたいじめられて、自殺と」
ζ(゚ー゚*;ζ「そうですよ、何も問題ないでしょう」
- 347 名前:閻魔様の憂いのようです 11/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:44:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「あのさあ、デレさん」
(´・ω・`)「君、クーさんがいじめられたとき庇わなかったでしょ」
ζ(゚ー゚*;ζ「……な」
(´・ω・`)「それどころかいじめる側に加担していた素振りもあったみたいだけど」
川 ゚ -゚)「え?」
ζ(゚ー゚*;ζ「だ、だって協力しなかったらまたいじめられると思ったし」
(´・ω・`)「本当にそれだけ?」
ζ(゚ー゚*;ζ「そ、それだけって」
- 348 名前:閻魔様の憂いのようです 12/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:45:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「クーさんが次のいじめの標的にされたとき、ほっとしたんじゃないの?
あーもういじめられずに済むわー気軽だわーみたいな」
ζ(゚ー゚*;ζ「う……」
ζ(゚ー゚*;ζ「でも私はいじめられているクーちゃんの話し相手になってあげたし」
(´・ω・`)「それで? まさかそれでクーさんを助けたとでも言うの?」
ζ(゚ー゚*;ζ「だって」
(´・ω・`)「君はただクーさんが自分に依存してくるような状況を作りたかっただけでしょ」
ζ(゚ー゚*;ζ「なにを言って……」
(´・ω・`)「クーさん」
川 ゚ -゚)「は、はい!」
(´・ω・`)「君は毎週デレさんと一緒に遊びまわっていたようだけど」
川 ゚ -゚)「ええ、デレが誘ってくるものだから。
他に友達もいなかったし」
- 349 名前:閻魔様の憂いのようです 13/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:46:53 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「そのときのお金や、移動のための車、食事や場所の配慮は?」
川 ゚ -゚)「私が、やりました。
あの、私の家がそれなりのお金持ちだったのでそれくらい軽く配慮できました。
とはいえそのお金持ちってところが鼻について、いじめの対象になったみたいですけど」
(´・ω・`)「あー、まあそういうこともありますね。
さてデレさん」
ζ(゚ー゚*;ζ「な、何よ! まさかちょっとお金をもらってたくらいで魂穢れてるっていうの?」
(´・ω・`)「ついでにクーに友達ができないように徹底的に根回しして
そのお金を自分のためだけに使われるような状況を作り出した事情も含めてだけどね」
川 ゚ -゚)「そうなのですか?」
(´・ω・`)「そうだよー天から見てたよー。
君は相当普通の人だ。そんな人が何年にもわたっていじめられ続けるのはおかしいんだよ。
君はデレさんに取りつかれてひどく視野が狭く育ってしまったみたいだ。かわいそうに」
- 350 名前:閻魔様の憂いのようです 14/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:47:53 ID:t50i03ro0
- ζ(゚ー゚*;ζ「違う……」
ζ(゚皿゚*;ζ「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!」
ζ(゚皿゚*;ζ「クーちゃんが私に依存していたんじゃない!! 私がクーちゃんに依存していたの!!」
川 ゚ -゚)「デレ……」
ζ(゚Д゚*;ζ「私自分の意思がすっごい薄弱だから、もうずっと、自分の意見なんてなくて人にいじられっぱなしで
そんなとき現れたクーがとってもとってもカッコよかったから、だから……だから離れたくなくて」
ζ(゚Д゚*;ζ「だから私がまたいじめられたときすぐにクーちゃんに相談したのに。
ずっと一緒にいられるようになりたかっただけなのに、どうしてこんな……こんな」
ζ(゚Д゚*;ζ「ねええ、閻魔様!! 私は臆病なだけなの!! 病んでるの!!
精神病なの!! もう何年も心療内科にかかっているんだから。
本当よ、その資料にだってちゃんと書いてあるでしょ!?」
(´・ω・`)「あー、ほんとだ」
- 351 名前:閻魔様の憂いのようです 15/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:48:54 ID:t50i03ro0
- ζ(゚Д゚*;ζ「でしょう!? ほら、だから情状酌量の余地があるはず」
(´・ω・`)「いやいや、それは人間のルールでしょ」
ζ(゚Д゚*;ζ「でも、だから、私はまともな人じゃないんだし、そんな重い罪なんて」
ζ(゚Д゚*;ζ「あ」
「おお、自分で気付いたね」
「そうだよ、そういうことだよ」
「まともじゃないから浄化しなきゃならないんだ。地獄へ行ってね」
- 352 名前:閻魔様の憂いのようです 16/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:49:54 ID:t50i03ro0
- ζ(゚Д゚*;ζ「……」
ζ( Д *;ζ
ζ( *;ζ ガクッ
ζ( *;ζ「……許さないから」
- 353 名前:閻魔様の憂いのようです 17/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:50:53 ID:t50i03ro0
- ζ( *;ζ「クーちゃん」
川 ゚ -゚)「……」
ζ(゚皿゚*;ζ「ぜったいぜーったい許さないんだから!!
私がこんなにクーちゃんのこと思っていたのにこんな仕打ちなんて!!
呪ってやる、末代までずっとずーっとあんたのこと呪ってやるんだからあああああああああ」
(∩´・ω・`)「もーうるっさい。トソンちゃん連れてって」
(゚、゚トソン「はい」
ζ(゚ー゚*;ζ「ちょっと、やだ、痛い! 歩くわよ! 一人で」
スタスタ
――バタン
- 354 名前:閻魔様の憂いのようです 18/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:51:53 ID:t50i03ro0
- 川 ゚ -゚)「あ、あの……」
(´・ω・`)「ん?」
川 ゚ -゚)「さっきの」
(´・ω・`)「ああ、いや、大丈夫だよ。
人間の魂ごときに他の魂呪うことはできないよ。
だいたい君という存在はもうすでに死んでいるんだからね。転生したら元が誰かなんてわからん」
川 ゚ -゚)「いえ、そこはまあありがたい話ですけど」
川 ゚ー゚) フフ
川 ゚ー゚)「デレと離してくれてありがとうございました」
(´・ω・`)「ありゃ」
(´・ω・`)「気付いてたのか」
川 ゚ー゚)「思った通り過ぎて途中から冷や汗も引っ込みましたよ」
- 355 名前:閻魔様の憂いのようです 19/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:52:56 ID:t50i03ro0
- 川 ゚ー゚)「というか天から見えたんじゃないんですか?」
(´・ω・`)「客観的なことしかわからんもん」
(´・ω・`)「君ら人間の主観は私らには複雑すぎるんだよ」
川 ゚ー゚)「そりゃすいませんでした」
(´・ω・`)「やれやれ、ひねくれちゃって」
バタン
(゚、゚トソン「送ってきましたー」
(´・ω・`)「おーありがとー」
(゚、゚トソン「転生の方はもう行けますよ」
(´・ω・`)「よし」
- 356 名前:閻魔様の憂いのようです 20/20 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:53:56 ID:t50i03ro0
- (´・ω・`)「それじゃ、次はもっと気楽に生きてね」
川 ゚ー゚)「そうでありたいものですね」
〜おわり〜
- 357 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/18(日) 19:54:54 ID:t50i03ro0
(
)
i フッ
|_|
- 358 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 19:54:59 ID:KZs42qDw0
- 乙、人間って怖い
- 359 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 19:59:34 ID:xaDG4T9AO
- 乙!オチにびっくりした
- 360 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:01:53 ID:QVZOv0UI0
- なおったか?
- 361 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:11:20 ID:nU5uQQhU0
- シベリアに65本目来てたから、こっちは66本目からで大丈夫か?
- 362 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:13:34 ID:nU5uQQhU0
- さっそく
66本目いただきます。
.,、
(i,)
|_|
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1115.gif
(
)
i フッ
|_|
- 363 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:25:33 ID:d8ADHITMO
- クソッタレなウサミミに罪と罰のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1376832092/l30
スレ建て投下します
- 364 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:31:51 ID:d2aVlMrMO
- >>362
うおおお
すげえ 乙乙
六十五本目シベリアで投下しましたー
.,、
(i,)
|_|
(-_-)「呪ってやる……」
ttp://toro.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1367165115/795-827
(
)
i フッ
|_|
- 365 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/18(日) 22:38:54 ID:x1QOjffw0
- 皆さんに質問なんですが延長必要ですか?
したらばが停止ていたのは短期間だったようですがどうしましょうか?
- 366 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:40:15 ID:lZGRxV0M0
- >>365
これから書こうか書かないか悩んでいる所なのですが、どのくらい伸びます?
- 367 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:40:45 ID:d8ADHITMO
- 67本目いただきました
>>363 クソッタレなウサミミに罪と罰のようです
(
)
i フッ
|_|
- 368 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/18(日) 22:41:44 ID:x1QOjffw0
- 大体何分くらいしたらばが止まってたかわかる人いませんか?
- 369 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:42:50 ID:Lij/sCxI0
- 見れなかったの1時間ちょいくらいのことだしなぁ
中途半端に延長してもgdるだけじゃね
- 370 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:52:28 ID:QVZOv0UI0
- まあ無くてもいいんじゃないかな
- 371 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 22:54:02 ID:Lij/sCxI0
- 人いないな…
したらば復旧したこと知らないのかな
- 372 名前:川 ゚ -゚)「お前は―」のようです :2013/08/18(日) 23:16:18 ID:SbanFqno0
- 68本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
- 373 名前:川 ゚ -゚)「お前は―」のようです :2013/08/18(日) 23:18:31 ID:SbanFqno0
- 川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
鏡に向かって問いかける
川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
何度も何度も問いかける
川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
別に大した理由なんてない。ただ暇だったから
川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
昔どこかで見た正気を失う方法というのを試してみただけだ
川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
とはいえこれで本当に正気を失うなんて思っている筈もなく
川 ゚ -゚)「お前は誰だ」
いい加減飽きてきたのでこれで最後にしようと問いかける
(゚- ゚川「君は『花』だよ」
川;゚ -゚)そ「!?」
川;゚ -゚)「……気のせい……だよな?」
鏡に映った自分に花だと言われた気がした。もしかして本当に正気を失ったのだろうか
川;゚ -゚)「……バカバカしい」
鏡から離れて布団に潜る。さっさと寝よう
- 374 名前:川 ゚ -゚)「お前は―」のようです :2013/08/18(日) 23:20:13 ID:SbanFqno0
- 川 ゚ -゚)「ふぅ、今日も疲れたな」
いつもと変わらない日。友人の反応もいつもと変わらず、つまり私もいつも通りだ
やはり昨日のは錯覚か何かだったのだろう
川 ゚ ー゚)「しかし私が『花』とはね。随分可愛らしいことだ」
雪だの氷だのと言われた事はあってもそういったものに例えられた事はなかった
もしかすると私の深層意識は可愛らしいのが好きなのだろうか
川 ゚ -゚)「おっといかん。夕日が沈んでしまう」
7階建てのマンションで沈む夕日を見ながらコーヒーを飲む
我ながら気障ったらしい日課だと思うが綺麗なのだから仕方がない
アイスコーヒーを持ってやはりいつも通りベランダの柵によりかかる
――バキッ
川 ゚ -゚)「え?」
最後に見えたのは真っ赤に染まった地面が近づいてくる瞬間
('A`)「おい、この前あそこのマンションで事故があっただろ?ベランダの柵が老朽化してたってやつ」
从;゚∀从「おいおい、やめろよ。そういうの得意じゃねえんだ」
('A`)「殆ど垂直に落ちたもんだからそいつ、上から見るとまるで大きな『花』みたいだったってよ」
- 375 名前:川 ゚ -゚)「お前は―」のようです :2013/08/18(日) 23:21:16 ID:SbanFqno0
- (
)
i フッ
|_|
- 376 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:28:11 ID:I36AuJG.O
- 69本目いきます。
.,、
(i,)
|_|
- 377 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:29:55 ID:I36AuJG.O
地球環境の変化により植物の絶滅が急激に加速しておよそ十年。
その頃から、人の世界では奇病が流行り始めた。
(;´_ゝ`)「い、妹者が!?」
(´<_` )「ああ。俺も見たから間違いない。今日から入院だと」
(;´_ゝ`)「なんで、妹者なんだよ……」
(´<_` )「なんで、だろうな……」
( ´_ゝ`)「どうして妹者が、『花患い』なんかに……」
花患いのようです
.
- 378 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:31:41 ID:I36AuJG.O
『花患い』が最初に報告されたのは、とある小国の山奥の村だった。
一人の老夫人が世界初の患者だ。
夫に連れられて病院を訪れた彼女を診察した医師は目を疑った。
老夫人が咳をすると、口から大量の花弁が溢れたのである。
( ´_ゝ`)「妹者は……悪いのか?」
(´<_` )「わからん。ただ、まだ身体の外に出た体液が花弁になるだけに見えた。しかし……」
( ´_ゝ`)「いずれは身体中の液体という液体が花になる、だろ? 信じられないぞ……」
花患いという病が直接人を殺すわけではない。
病によって発生した花が、例えば血管を塞き止め、例えば呼吸を阻害して、そうして人は間接的に殺される。
( ´_ゝ`)「母者は一緒に病院か?」
(´<_` )「ああ。今日は泊まるらしい」
( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「俺、部屋行くから入ってくるなよ」
(´<_` )「何を言う。俺達は同じ部屋だろ。……泣きたいなら、ここで泣いても同じだろ」
( ´_ゝ`)「……それもそうだな」
- 379 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:33:07 ID:Lij/sCxI0
- 支援
- 380 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:34:50 ID:I36AuJG.O
花患いという名はあくまで通称であり、正式名称ではない。
本当は最初の患者の名を取っているのだが、日本では馴染みない名前であったために通称だけが広まっている。
そして、花患いには今までのありとあらゆる医学の常識が通用しない。
そもそも、感染経路というものが特定できない。
二番目の患者は最初の患者が診察を受けた病院のある街で新聞配達をしている青年だった。
しかし二人に面識はなく、証言からしても同じ空間にいた可能性は限りなく低い。
空気感染ではないということだ。
他にも様々な説が出たが、すぐに否定されていった。
やがて感染は世界に広がった。
菌やウイルスすら発見されない異常な病に、医者や科学者達は為す術もなかった。
窓の開いた病室に初夏の風が吹き込む。
少女が咳をすると、その飛沫は一瞬でオレンジ色の花弁に変わった。
l从・∀・ノ!リ人「……」
どうして自分が、そう思った。
妹者は流石家の末娘として生まれ、今までごく平凡な人生を歩んできたはずだった。
- 381 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:35:45 ID:I36AuJG.O
@@@
@#_、_@
( ノ`)「林檎剥けたよ」
l从・∀・ノ!リ人「ありがとうなのじゃ」
豪快な見た目に反して器用な母者は、うさぎの形の林檎を大量に皿に乗せて差し出した。
l从・∀・ノ!リ人「おいしい」
不思議だった。
身体から植物を生む自分が、植物を食べているというのが。
( ´_ゝ`)「よー、妹者!」
l从・∀・ノ!リ人「あ、おっきい兄者!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あんた部活は?」
( ´_ゝ`)「かわいい妹者の一大事、部活なんて行ってられるか!
あ、ちなみに弟者は掃除当番さぼれないから遅れるって」
兄者は肩にかけた鞄から袋を取り出しながら言った。
透明のビニール袋の中に白い紙袋が入っている。
- 382 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:36:45 ID:I36AuJG.O
l从・∀・ノ!リ人「それは?」
( ´_ゝ`)「匂いかいでみ」
l从・∀・ノ!リ人「んー……」
小さなその袋からは甘い匂いがした。
妹者の喉が鳴る。
l从・∀・ノ!リ人「クッキー?」
( ´_ゝ`)「正解! 今日は調理実習があってな。ほら、あーん」
l从・∀・ノ!リ人「ちょっと待って欲しいのじゃ。まだ口の中に林檎が……」
( ´_ゝ`)「そんなこと言ってると俺が食べちゃうぞ」
l从・∀・;ノ!リ人「ああ! ちょっと、ちょっと待ってほしいのじゃー!!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「兄者、あんたは妹に対する気遣いってもんがないのかい?」
母者はぼきぼきと指を鳴らし始める。
流石家最強の攻撃準備に兄者は恐怖した。
(;´_ゝ`)「ああもう! 冗談だって!」
- 383 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:38:09 ID:I36AuJG.O
兄者はクッキーの袋を妹者に渡した。
林檎とクッキー、甘い香りが風とともに病室から流れていった。
(´<_` )「どうした、兄者。本を読んでるなんて珍しいな」
妹者が入院してから三日目の夜、自分達の部屋で勉強していた弟者は言った。
( ´_ゝ`)「ちょっとな」
(´<_` )「……花患いの本、か」
( ´_ゝ`)「俺、昔盲腸で入院して、あの時医者ってすげーなって思ったんだ」
(´<_` )「何度も聞いた。だから兄者は医者を目指してるんだろう?」
( ´_ゝ`)「うん、そうだったんだけどさ、やっぱやめた」
(´<_` )「……」
( ´_ゝ`)「俺は妹者を救える医者になりたい」
しばしの沈黙。
先に動いた弟者が兄者に掴み掛かった。
寝間着代わりのTシャツの襟刳りが伸びる。
- 384 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:39:07 ID:I36AuJG.O
(´<_`#)「兄者も知ってるだろう」
( ´_ゝ`)「知ってるよ」
(´<_`#)「妹者は……妹者はもう、長くないんだぞ……」
( ´_ゝ`)「知ってる」
(´<_`#)「俺達は高校生だ。大学行って、医者になって……いったいいつ妹者を助けるんだよ?」
( ´_ゝ`)「今すぐ」
(´<_`#)「はぁ!?」
兄者は弟者の手を解かせる。
( ´_ゝ`)「別に妹者を救うのに本物の医者にならなくてもいい。ただ治療法を見つければいいんだから」
手元の本をめくる。
兄者はあるページを弟者に見せる。
( ´_ゝ`)「俺は植物が絶滅していってることと関係があると思うんだ」
(´<_` )「そんなの……もう大勢の科学者達が研究してるだろ」
( ´_ゝ`)「ある都市伝説を知ってるか?」
(´<_` )「……知らん」
- 385 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:40:00 ID:I36AuJG.O
兄者は語った。
その都市伝説はいつ誰が言い出したのか、ネット上ではそれなりに知名度のあるものだった。
それは、『植物の呪い』と呼ばれる。
人が壊した環境に対応できなかった植物の人に対する復讐だ。
根拠はいくつかある。
まずは時期だ。
植物全体の衰退と奇病の発生は近い時期に起きている。
次に病気の症状だ。
身体中の水分がやがて花になる、まるで植物の種が水を吸って芽吹くようだ。
そして病気の対象だ。
花患いにかかるのは人のみだ。
これらが植物の呪いと言われる由縁である。
( ´_ゝ`)「オカルト的な話だが、植物の神様が怒ったとかそんな話だ」
(´<_` )「……ふざけてるのか?」
( ´_ゝ`)「大真面目だ。神の怒りなら鎮めてやればいい」
兄者のその発言に、弟者はついに呆れ果てた。
それなら真面目に医者を目指してほしかった。
- 386 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:40:51 ID:I36AuJG.O
(´<_` )「兄者がそう思うなら勝手にやってろ。……俺は別の方法を探す」
(;´_ゝ`)「あ、おい!」
(´<_`#)「俺は心底軽蔑するよ。不真面目な兄者をな」
弟者は激しくドアを閉め、部屋を出ていった。
( ´_ゝ`)「藁にも縋るって、こういうことだと俺は思うんだよ。……ごめんな、弟者」
兄者は自分のベッドに横になると、そっと目を閉じた。
妹者は検査の為に病室にはいない時間。
病院に着いた兄者は、真っ先に母者にあるものを手渡した。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「なんだい、これは?」
( ´_ゝ`)「妹者にはまだ言わないでほしいんだけどさ……」
兄者は話した。
弟に馬鹿にされた都市伝説を。
- 387 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:41:50 ID:I36AuJG.O
( ´_ゝ`)「妹者がこいつに愛情を注いでやれば病気が治るかもしれない」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……兄者」
白い可憐な花の植わった植木鉢を受け取った母者は溜息を吐いた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あんたがこう考えるってことは、先人がいてもおかしくないんじゃないかい?」
(;´_ゝ`)「……あ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「病気が良くなったという報告がない以上、期待は出来ないだろうね。たとえ本当に呪いだったとしても」
( ´_ゝ`)「……」
兄者は黙り込む。
浅はかだったのだ。
一介の高校生が思いつくこと、すでに試されていてもおかしくない。
なんせ花患いの患者は大量にいるのだから。
l从・∀・ノ!リ人「母者、ただいまー。あ、兄者も来てるのじゃ」
- 388 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:42:54 ID:I36AuJG.O
検査から戻ってきた妹者は兄者の姿を見つけると駆け寄った。
見た目にはわからないが、症状は少しずつ悪化している。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「妹者、兄者が花を買ってきてくれたよ」
l从・∀・*ノ!リ人「わあ! きれいなのじゃー!」
( ´_ゝ`)「だろ? 一生懸命選んだんだぞ」
l从・∀・*ノ!リ人「ありがとう」
にっこり笑った妹者に、兄者は心が温かくなるのを感じた。
自分が妹者を救うのだと決意を新たにした。
しかし、病魔は一時も待ってくれない。
妹者の病状は悪化の一途を辿っていた。
入院して一月が経った頃、その悲惨な症状は外見にまで出ていた。
l从・∀・ノ!リ人「ねえ、おっきい兄者」
( ´_ゝ`)「なんだ、妹者?」
- 389 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:43:45 ID:I36AuJG.O
苦しそうな声で自分を呼ぶ妹を、兄者は視界に入れた。
食事すらろくに摂れなくなり、もともと細身だった身体はさらに頼りなくなってしまった。
l从・∀・ノ!リ人「妹者の花、兄者にあげたいのじゃ」
(;´_ゝ`)「……」
l从・∀・ノ!リ人「毎日お水あげて、よくお日さまの当たるところに置いて、毎日話し掛けてあげてほしいのじゃ」
(;´_ゝ`)「妹者、それは……」
l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者のこと、大好きなのじゃ。今までも、これからも、ずーっと」
兄者の口から言葉は出なかった。
妹者の悲壮な強がり、わからないはずがなかった。
嫌な単語ばかりが脳裏を巡る。
季節は夏。病室のクーラーは控え目。
それなのに汗が止まらなかった。
(´<_` )「妹者ー、来たぞー」
l从・∀・ノ!リ人「あ、ちっちゃい兄者なのじゃー」
(´<_` )「あと一時間くらいで姉者も来るらしいぞ」
l从・∀・*ノ!リ人「姉者に会うのは久しぶりなのじゃ!」
- 390 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:45:49 ID:I36AuJG.O
弟者は兄者を素通りして妹者のもとへ向かう。
あれ以来、兄弟は事務的な会話以外の関わりを断っていた。
( ´_ゝ`)「……じゃあ俺はそろそろ帰るかな。夕飯の材料買って帰るよう母者に頼まれてるし」
l从・∀・ノ!リ人「えー……三人でお話ししたかったのじゃ」
( ´_ゝ`)「また今度な」
l从・∀・ノ!リ人「むぅ……」
可愛らしくむくれる妹者を撫でてやり、兄者は病室を出ようとした。
l从 ∀ ;ノ!リ人「ごほっ、げほっ……」
(;´_ゝ`)「妹者?」
(´<_`;)「おい、しっかりしろ!」
(;´_ゝ`)「な、ナースコール!!」
足を止めさせたのは妹者の咳。
普通の咳ではない。
喉に詰まった異物を吐き出す為の、激しい咳だった。
兄者の必死の呼び掛けで、部屋にはすぐに医師と看護士が駆け付けた。
- 391 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:47:55 ID:I36AuJG.O
家に帰った兄者と弟者は揃って溜息を吐いた。
妹者は気管の花弁を取り除くことで一命は取り留めた。
現在はぐっすり眠っている。
パートで見舞いには行かなかった母者に連絡をし、医者の説明は早くに病院を訪れた姉者が引き継いだ。
(´<_` )「兄者、ごめんな。やっぱり兄者は兄者だ、俺には出来ない」
( ´_ゝ`)「何だ、いきなり」
二人で夕食の準備をしながらの会話。
弟の唐突な謝罪に、兄者は思わず聞き返した。
(´<_` )「酷いこと言ってすまなかった」
そう言って弟者は頭を垂れた。
(´<_` )「俺もあれから花患いのことは調べたが、どうにもならなかった。
だから意味のあるないじゃなくて、行動した兄者は本当にすごいと思うんだよ」
( ´_ゝ`)「……俺の方こそ、悪かった。弟者は真剣だったもんな」
- 392 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:48:55 ID:I36AuJG.O
そこで兄弟の会話は途切れた。
兄者はチャーハンを作り、弟者は食器の配膳をする。
その日、二人は仲直りし、久しぶりに普通の会話を楽しんだ。
妹者の容態が急変した。
その連絡が来たのは昼休みだった。
(´<_`;)「兄者、病院行くぞ!」
(;´_ゝ`)「おう!」
それぞれ担任に早退の旨を伝え、隣のクラスの弟者と共に自転車で病院に向かった。
暑い日だった。
全速力でペダルを踏む。
そのたびに汗が首筋を伝う。
蝉の声に耳を侵されるようだった。
次第に近付く病院。
兄者の胸騒ぎは大きくなるばかり。
(;´_ゝ`)「妹者!」
- 393 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:50:00 ID:I36AuJG.O
病室のドアを一気に開けて叫んだ。
妹者は病室だと聞いていたからだ。
しかし、兄者にそれ以上の言葉は出なかった。
弟者も黙りこくっている。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……二人とも、『これ』が妹者だよ」
母者は今まで兄者が聞いたことのないような暗い声で言った。
( ´_ゝ`)「……妹者」
(´<_` )「……」
l从 ∀ ノ!リ人「……」
妹者の顔は真っ白だった。
まるで全身の血を抜かれたような、兄者はそう感じた。
妹者はもはや妹者ではなかった。
一部においてはたしかに妹者である。
しかし、それは明らかに異常だった。
- 394 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:50:52 ID:I36AuJG.O
妹者の腹を突き破って、木が生えていた。
溢れだすオレンジ色の花弁が傷口を隠しているせいで現実感はない。
しかし生えていた。
木には花が咲いていた。
オレンジ色だ。
明るい太陽を連想させる、妹者によく似合う色だった。
ベッドに散った花弁は幻想的にさえ見えた。
しかし異常だった。
三人はただ、息のしていない妹者を見ていた。
- 395 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:51:36 ID:I36AuJG.O
その日、妹者は死んだ。
花患いによって死んだ。
気を落ち着ける為に病室を出た兄者と弟者だが、空気は重かった。
(´<_` )「なあ、兄者」
( ´_ゝ`)「……なんだ?」
病院に着いてから一言も喋らなかった弟者が口を開いた。
兄者は何も喋りたくなかったが、反射的に返事をしていた。
(´<_` )「俺、怖いな……」
( ´_ゝ`)「ああ、まさかあんな……」
(´<_` )「違うんだ」
弟者の強い否定。
周りに人はいないことを確認し、弟者は告げた。
- 396 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:51:39 ID:Lij/sCxI0
- ああああああああああああああああああああ
- 397 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:53:04 ID:I36AuJG.O
( <_ )「俺も、花患いなんだ」
弟者は隠していた。
本当は兄者と仲違いした直後には気付いていた。
だが誰にも言わなかった、言えなかった。
弟者は妹者を大切に思っていた。
だから、妹者に向けられるべき感情が自分に向けられるのを嫌った。
弟者は青い花を咲かせた。
深い海のような色だった。
.
- 398 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:54:36 ID:I36AuJG.O
僕の家の隣には変なじいさんが住んでいる。
その家には五本の立派な木が植わっていて、それぞれ違う色の花を咲かせている。
ある日僕はじいちゃんに訊ねた。
( ´∀`)「ねえ、じいちゃん。隣の家って変じゃないモナ?」
/ ,' 3「……あまりそう言うな。あそこのじいさんはな、一応わしの高校までの友達なんだぞ」
( ´∀`)「でもおかしいモナ。いっつも木には話し掛けるのに、僕らが挨拶しても無視モナ」
じいちゃんは急に悲しそうな顔になって言った。
/ ,' 3「あの木は……あいつの家族なんじゃよ」
それからしばらくの月日が経って僕は知った。
花患いという病気のことを。
じいちゃんが若かった頃に大流行した病気だという。
今は患者もいないらしく、話題にのぼることめない。
忘れられた病だ。
流石さんのじいさんは、それで家族を失ったらしい。
五人目、父親が死んだ直後に自分の足を切って障害者になった。
その給付と生活保護で何十年も暮らしているという。
- 399 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:55:26 ID:I36AuJG.O
大切なものを失った人間はそうも簡単に狂えるものかと、僕は恐怖とともに悲しみも覚えた。
兄者の目に映るのは五人の姿だった。
l从・∀・ノ!リ人「兄者、今日もいっぱいお話し聞かせてほしいのじゃ!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「兄者は人気者だなぁ」
∬´_ゝ`)「そう言うなら父者も何か面白い話してよ」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「え、えぇ……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ほら、たまにはいいとこ見せてごらん」
(´<_` )「おお、父者の会社での活躍か。楽しみだなー」
l从・∀・*ノ!リ人「盛り上がってきたのじゃ」
- 400 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:56:09 ID:I36AuJG.O
( ´_ゝ`)「……そうだな」
麗らかな春の陽気の中、兄者は散らない花と会話する。
その光景は、けして他人には理解の出来ないものであった。
.
- 401 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:57:01 ID:I36AuJG.O
- 以上です。ありがとうございました。
(
)
i フッ
|_|
- 402 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:57:08 ID:4GalDPz60
- うわぁぁ
- 403 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:58:45 ID:fHkiEV2U0
- 乙
悲しい話だな・・・・・・
- 404 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:59:09 ID:Lij/sCxI0
- 悲しす(´;ω;`)
- 405 名前:名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:59:21 ID:4GalDPz60
- 綺麗な話だけに悲しいな
70本目もらいます
.,、
(i,)
|_|
- 406 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:00:39 ID:rOAjZfD60
- 平成XX年県立比府高校同窓会のご案内
拝啓 初夏の候、皆様におかれまして は益々ご健勝のこととお慶び申し上げ ます。
卒業から十年が経ち私達も二十八才となり、皆様も多方面でご活躍されているとご拝察しております。
地元を離れた皆様とは中々お会いできませんので、この機会に里帰りして旧友と酒を酌み交わし昔話で盛り上がりましょう。
また、私たちの活躍を陰ながら喜ばれ ている担任の長岡先生と副担任の朝日先生もご出席頂くこととなっておりますので、皆様お誘い 合わせの上ご出席くださいますようお 願いたします。
平成XX年八月二十二日
敬 具
- 407 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:02:01 ID:rOAjZfD60
- 白昼夢のようです
どんよりとくすんだ灰色の空。
それを見上げるわたしを、ガタゴトと運ぶバス。
行き先は、もうすぐ閉店してしまうデパート。
老舗で品揃えも豊富で、学生にとって格好の暇潰しの場所であったそこは、経営不振によって潰れることとなったのだ。
川д川(時代の流れってやつなのかなぁ)
はぁ、とため息をひとつ吐く。
「比府デパート前、比府デパート前。お降りのお客様は停車ボタンを――」
車内にいる人たちはみんな素知らぬ顔をしている。
誰も降りないんだ。
やむなくわたしは、停車ボタンを押すこととなった。
デパートの中は薄暗いような気がした。
灯りのせいではなく、雰囲気のせいであるような気がした。
店員さんの笑みが能面みたいで、壁のあちこちに貼られている「今までありがとう」のポスターが恨めしそうに明るくて。
川д川(こんなところだったっけ)
それとも久々に来たから、そう思っているだけ?
エスカレーターで二階に登りながらわたしはううむ、と唸った。
二階は、少し気取った婦人服とか靴の売り場だ。
一応ここが今日の目的の場所である。
わたしが高校生だった頃は、ここよりも一階の雑貨屋さんや屋上にある喫茶店ばかりに入り浸っていたから、ここに来るのは初めてだった。
川д川(ん、そうでもない……?)
一回だけ。
一回だけ、親友に連れられてここへ来たことがある。
- 408 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:03:14 ID:rOAjZfD60
- 川 ゚ 々゚)「さーだこ」
ふと、わたしを呼ぶ声がした。
川 ゚ 々゚)「貞子はやっぱり赤が似合うよ」
派手すぎないかな?
川 ゚ 々゚)「そんなことないよ、貞子は美人なんだからもっと自信持ちなよっ!」
うーん、でも、結婚式だと花嫁さんより目立つ格好はしちゃいけないんだよ?
川 ゚ 々゚)「んー……でも、貞子ならいいよ。きれいな貞子が見たいもの」
…………。
彼女は、わたしが恥ずかしくなるようなことをするりと言う。
自然に、悪意も嫌味も含まずに。
だからあっという間に心を侵してわたしはドキリとする。
胸がぎゅうと締まって、息が止まる。
彼女は、大好きで大切で苦手な人だった。
ミセ*゚ー゚)リ「なにかお探しのものがございますか?」
川д川「あ……」
ニコリと笑みを浮かべる店員さんに、わたしは挙動不審になってしまう。
ああ、どうしよう。
下の階ではこんな風に話しかけられることはなかったのに。
川д川(同窓会の、洋服を)
頭の中のわたしは呟く。
川;д川「な、なんでもないです……」
現実のわたしはおどおどと返す。
そうして無意識のうちに足が売り場から離れて、エスカレーターに乗っていた。
ああ、買えなかった。
二十八にもなって、洋服のひとつも買えないなんて。
- 409 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:04:31 ID:rOAjZfD60
- 川д川(慣れてる場所なら平気かと思ったのに)
ガックリと肩を落としながら、わたしはそのまま惰性でエスカレーターに乗り続けた。
三階は生活用品やキッチン用品が置いてある。
時々そこで、彼氏のプレゼントのラッピングを選んでいた覚えがある。
わたしのではなくて、あの子の。
川 ゚ 々゚)「ケーキの箱、どれがいいかなぁ」
ピンクは?
川 ゚ 々゚)「ベタすぎない?」
じゃあ、緑。
川 ゚ 々゚)「やだ、気にくわない」
青は?
川 ゚ 々゚)「あの人が好きだけど、いつもそればっかりだもの」
うーん……。
川 ゚ 々゚)「白でもいいかな」
いいんじゃない?
川 ゚ 々゚)「ほんとは結婚式に取っておこうって思ったんだけど」
もうそんな先のことまで考えてるの?すごいね……。
川*゚ 々゚)「あの人のお嫁さんになりたいんだー」
ふふふ、と笑いながら彼女は嬉しそうにしていた。
その夢は、叶わなかったけど。
- 410 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:05:49 ID:rOAjZfD60
- 四階は紳士服とか時計とか、そういう大人の男の人が使うものが売られている。
わたしにはまったく縁がない売り場だけど、やっぱり彼女に連れられてここに来た。
川 ゚ 々゚)「ネクタイって、高いね」
ね、知らなかった。
でもそれ、本当に買うの?お小遣いなくなっちゃうよ?
川 ゚ 々゚)「だいじょーぶ、バイト始めたの」
そうなの?
川 ゚ 々゚)「うん!だからだいじょーぶ!」
そうして、彼女は青色のネクタイをレジへと持っていった。
ラッピングをするのに、さらにお金がかかったけど、それでも彼女はニコニコしていた。
そこまで大事にしている相手なのに、わたしはその相手の顔を知らなかった。
少しそれが妬ましかった。
彼女の隣で笑う男は、どんな奴だったのだろう。
五階は子供服とおもちゃ。
六階はアクセサリー。
七階はレストラン。
だけど立ち入ったことはない。
だって、屋上に行くにはエレベーターが必要で、その階は素通りしてしまうから。
- 411 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:07:05 ID:rOAjZfD60
- 屋上は小さな遊園地と、喫茶店。
懐かしいパンダの乗り物やメリーゴーランド、小さな観覧車が、ひとりぼっちで佇んでいた。
川д川(でも、これ乗ってたんだよね)
子供の時に、ではない。
女子高生の時に、だ。
誰もいない隙に二人でパンダレースをしたり、メリーゴーランドに連続乗りしたり、そんなことばかりしていた。
百円玉がなくなって、喫茶店でお茶してお金を崩したこともあった。
大しておいしくもないコーヒーにミルクと砂糖をたくさん入れて、それを飲みながら彼女の話を聞いていた。
わたしはあんまり話すのが得意じゃないから、饒舌な彼女の話を聞いているだけで楽しかった。
話題のほとんどは、名前も顔も知らない彼女の恋人の話であったけど。
川 ゚ 々゚)「あの人が大好きなの」
知ってるよ。
川 ゚ 々゚)「今は教えられないけど、いつか教えてあげる」
うん、ありがとう。
川 ゚ 々゚)「貞子は大事な友達だもんねー!」
うん、友達……。
友達だよ。
川 ゚ 々゚)「ふふ、近々大事な話があるって言ってたの。結婚の話かなぁ」
まだ、学生だよ?
川 ゚ 々゚)「でも二年後には大学生だよ?そうしたら二人暮らしくらいならできるって」
…………。
- 412 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:08:50 ID:rOAjZfD60
- 川 ゚ 々゚)「教えても良いよ、って言われたら、一番に貞子に教えるね。だって大好きだから!」
うん、ありがとう……。
川д川(友達、か)
わたしの好きは、特別な好き、だけどあの子の好きは違う。
あの子の好きはあの人のもの。
あの人の好きも、あの子のもの。
川д川(妬ましい)
……不意に衣擦れの音がした。
どこから?
顔をあげて辺りを見渡す。
周りには誰もいない。
川д川「…………」
喫茶店の入り口に注視する。
ガラスの、両開きの扉が、開いていた。
「close」という看板が掛けられているのに。
川д川(そもそも、さっきまで開いてなかったじゃない)
そのことにようやく気がついて、背中に冷たい汗が流れた。
わたしは無意識のうちにゆっくりと喫茶店に近づいていた。
店のなかは真っ暗で様子がさっぱりわからない。
川д川(うさぎの穴みたい)
昔、その子が好きだった童話が脳裏をよぎる。
すると、不安な気持ちが少し和らいだ。
川д川(少しくらいなら)
少しくらいなら、入ってもいいかな。
決断するよりも先に、足は動いていた。
- 413 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:10:35 ID:rOAjZfD60
- 薄暗がりのなかできょろきょろと視線を動かす。
いけないことをしている気がして、ドキドキする。
なにか怖いものがあるんじゃないかという不安と、非日常を楽しむ余裕。
それらがごちゃまぜになって、鼓動を早くさせた。
川;д川「わっ!?」
段差に足を取られて、転けそうになる。
その瞬間、ふわりと誰かに体を支えられた。
川д川(え……?)
「お怪我は、ありませんか?」
低くて優しい声。
心地好い、と不覚にも思った。
川;д川「あ、えっと、大丈夫、です!」
「ならよかった。そこは、一段高くなっているんです。気を付けてあがってください」
手が、体から離れていく。
そこでようやくわたしは気付く。
川д川「誰、なの?」
ここは立ち入り禁止のはずなのに。
しかもこんな暗いなかで、なんの苦もなく居る。
ちょっと普通じゃ考えられない気がした。
「失礼、僕は〃〆£¢」
川д川「え……?」
僕は、なに?
そのあとの言葉が、ノイズで掻き消されたようになって、聞こえなかった。
「どうぞこちらへ。コーヒーは嫌いですか?」
いいえ、それなりに、と言うよりも先にわたしはふらふらと歩きだしていた。
川д川(変な気分だ)
- 414 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:13:45 ID:rOAjZfD60
- 夢でも見ているようだった。
現実味がなくて、その人の声以外になにも音がなくて。
世界が昔の映画のように、モノクロで霞んでいるような気がした。
川д川(真っ暗な中でそう思うのって変だけど)
ほどなくして、赤茶けたぼんやりとした灯りが見えた。
目を凝らすと、どうやら真ん丸のきのこみたいな、鼈甲色のランプが光源になっているようだった。
わたしの先を歩いていた人影がそのランプに近付く。
細い指が、ランプをトントンと触れるとそれは輝きを増した。
そこはカウンター席であった。
カウンターを挟んだ向かいには、サイフォンとピカピカのコーヒーカップが置かれている。
川д川(不思議)
食玩のジオラマかなにかのようであった。
もっとカウンターは長いはずなのに、わたし一人とその人一人が収まる程度にしか長さがなかったのである。
( "ゞ)「どうぞ、座ってください」
川д川「あ……、はい」
先導していた人は、この喫茶店のマスターだったらしい。
ちょっと渋いウェイターさんのような黒服に身を包んだ長身のその人は、大人の男性という感じで、とってもかっこよかった。
足の長い丸イスに座る。
そういえば、彼女はこのイスが嫌いだった。
彼女はわたしと違って背が低くて、座るのに一苦労していたから、わたしは思わず笑ってしまったなぁ。
川ー川「ふふ」
( "ゞ)「どうかしました?」
川д川「あ、いえ……。高校時代の友達のことを少し思い出して」
( "ゞ)「ほう。青春ですね」
サイフォンのなかにコーヒーの粉を入れながら、彼は言った。
川д川「初恋の、人なんです。女の子なんですけど……」
( "ゞ)「甘酸っぱいですね」
川д川「……そうでもないんです」
( "ゞ)「どうして?」
- 415 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:15:06 ID:rOAjZfD60
- 少し躊躇って、わたしは口を開いた。
川д川「失踪しちゃったんです」
( "ゞ)「……どうして?」
川д川「……わからないんです。高校二年生の、夏の頃に」
目を閉じて、わたしはその夏のことを思い出す。
夏休みの最中だった。
ただ、大学受験のことで先生と面談をしなくてはいけなかったから、休みでも学校にくる機会があった。
その日、わたしは面談しに来ていました。
彼女は――、くるうは、もうとっくに別の日に面談をしていたけど、せっかくだからそのあと遊びに行こうと誘ってくれて、それで学校に来てくれたのだ。
彼女の家は、学校から近くて気軽に行けたからそういう風に行動できたのだと思う。
あんな暑い日になにも用事がなかったら、わたしは絶対家で引きこもりたいもの。
それで、空き教室で面談の順番待ちをしてたんです。
暇だからずっとおしゃべりしてました。
このあとどこで遊ぼうかとか、くるうの恋人の話とか……。
くるうの恋人は年上の方でした。
見たことないし、名前も教えてもらえなかったけど、その人のための誕生日プレゼントを買いにいったときに、気付いたんです。
そのうち、教室に副担任の先生が来たんです。
- 416 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:16:06 ID:rOAjZfD60
- (-@∀@)「お、今日も黒髪コンビか」
川 ゚ 々゚)「朝日せんせー!」
川д川「こんにちは、暑いですね」
(-@∀@)「まったくだねー、水分はちゃんととるんだよ二人とも。ところでくるうさんはこないだ面談しただろう?」
川 ゚ 々゚)「だってこのあと貞子と遊ぶもーん」
(-@∀@)「うらやましいよ、先生はこれから理科室の整理をしなきゃいけないっていうのに」
朝日先生は、化学を担当している若い先生でした。
授業はとても分かりやすくて、楽しかったし、柔らかい雰囲気と気さくなところがあったので、けっこう人気の高い先生でした。
もちろん、それはくるうとわたしも例外ではありませんでした。
(-@∀@)「ああそれと、貞子さんはこれから面談だからいってらっしゃい」
川д川「は、はい!」
川 ゚ 々゚)「いってらー。うー、暇になっちゃうなぁ」
(-@∀@)「じゃあそんなくるうさんには、先生と一緒に掃除を手伝ってもらおうか」
川 ゚ 々゚)「えー暑いのにぃ」
(-@∀@)「大丈夫大丈夫、貞子さんが面談から帰ってきたらすぐやめていいから」
川 ゚ 々゚)「はぁーい。じゃあ貞子、面談終わったら理科室に来てね!」
川д川「うん、またあとでねー」
それが最後の会話でした。
- 417 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:17:37 ID:rOAjZfD60
- 面談が終わって、理科室に向かいました。
そこには誰もいなかったんですけど、隣の準備室からラジオの音がはっきり聞こえてきて。
開いていた扉から覗いてみたら、朝日先生が一人で段ボールに物を詰めていました。
川д川「先生」
(-@∀@)そ「お?おお、貞子さんか。あー、こっちに来るんだったら足元気を付けるんだよ、今薬品広げちゃってるからさ」
たしかに、床には大小様々な瓶が置かれていました。
ぽつぽつと空いているスペースを駆使して、わたしは先生のそばまで行きました。
川д川「びっくりさせてごめんなさい、くるうは?」
(-@∀@)「あー、さっきジュースを買いに行ったよ。すぐ戻ってくるんじゃないかな?」
その言葉を信じて、わたしは少し朝日先生の手伝いをすることになりました。
床に置いてあった薬品は、全然見たこともないような種類のものばかりでした。
それを一つずつ、新聞紙に包んで朝日先生に渡して段ボールに詰めてもらいました。
川д川「こんなにたくさんあったんですね」
(-@∀@)「そうそう。古い理科室って床下に収納できるようになってるんだよ」
- 418 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:19:04 ID:rOAjZfD60
- 川д川「そうなんですか?」
(-@∀@)「ただやっぱり、すぐ目の届くところで管理しなきゃいけないから、今度からは新しく鍵つきの棚を設置してそこに入れることになってるんだ」
段ボールに入れちゃうやつは、みんな古いから捨てちゃう予定だけど、と先生が言いながらガムテープで蓋をしました。
川д川「……くるう、遅いなあ」
(-@∀@)「電話してみたらどうかな?」
しかし、肝心の携帯は、準備室のすみに置かれていた彼女の鞄に入ったままでした。
川д川「どうしたんだろ……」
(;-@∀@)「ちょっと他の先生に聞いてみるから待ってて」
青色の携帯で連絡をとってくれました、だけど誰も彼女のことを見ていませんでした。
川;д川(くるう、)
どこに行っちゃったの……?
川д川「…………」
( "ゞ)「それで行方知らずに?」
彼の言葉にわたしは頷く。
いつのまにかカウンターにのせられていたコーヒーは冷めてしまっていた。
それを飲んで、呟く。
川д川「わからないんです、どうしても。どうして、いなくなってしまったのか」
ひょっとして、わたしのせいじゃないのか。
この十一年間、ずっとそう思って生きてきた。
- 419 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:20:00 ID:rOAjZfD60
- ( "ゞ)「あなたのせいではありませんよ」
川д川「…………」
( "ゞ)「悪いのは朝日先生ですから」
え?
思わず声が漏れる。
朝日先生が……?
( "ゞ)「かなりの量の薬品が床に並んでいたんですよね?」
川д川「は、はい」
( "ゞ)「実験用とはいえ薬品を重ねられませんし、棚のように二段三段と置くわけにはいきません。となるとかなりのスペースがいりますよね、その床下の収納は」
川д川「ええ……」
( "ゞ)「そうしたら手足を縛った人くらいは簡単に入るでしょう。上から物を置いてしまえば蓋は開きませんし」
川;д川「っ……」
( "ゞ)「ラジオをつけたのも、床下で暴れても音が誤魔化せるように、とか」
川;д川「なんで、」
( "ゞ)「なんで、って、くるうさんと付き合っていたからじゃないんですかね?」
川;д川「!?」
そういえば。
青い、携帯。
朝日先生も、青が好きで、くるうの恋人も、青が好きで……。
川д川「…………」
するすると謎が紐解かれていく。
目の前の、得体の知れない男性の手によって。
( "ゞ)「詳しくはわかりませんが、交際上のトラブルあたりがベタなところですかね」
川д川「くるう……」
先生。
先生、どうして、殺してしまったの。
そんなことしたら、わたし。
( "ゞ)「あなたの好きなようにしなさい。あなたの人生なのだから」
- 420 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:20:56 ID:rOAjZfD60
- ぼやける声。
頭にじんわり染み込んで、溶けて、馴染んで。
川д川「…………夢?」
気付けば、喫茶店の外にいた。
扉は閉まっている。
チェーンも張られている。
川д川「……夢、だったの?」
もう一度呟く。
夢だけど。
でも、やっぱり。
踵を返し、エレベーターへと向かう。
川д川(朝日先生)
服を買いにいこう。
くるうが似合うといってくれた、赤い服を。
それを着て同窓会に行こう。
だけどその前に、三階に行こう。
(
)
i フッ
|_|
- 421 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 00:25:10 ID:8w2TZKmM0
- 乙
とりあえず報告を
したらばが落ちたことによる影響は少ないこと、また延長することによりぐだることが想像されること、木曜に一度期間を延長しているから今回は延長なしの方向でお願いします
- 422 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:26:12 ID:mtmv.fjI0
- 乙ー
締め方がいいね
>>421
把握っす
- 423 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:26:35 ID:Yk3KobIk0
- 乙です。
報告ありがとうございます。
71本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
- 424 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 1/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:28:42 ID:Yk3KobIk0
- 午後8時――
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし、わたしミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「今東京都○○市についたよ」
( ^ω^)『……は?』
ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐだね。じゃあね」
( ^ω^)『え? ちょっと』
ミセ*゚ー゚)リ「ふふ」
ガチャッ
- 425 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 2/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:29:42 ID:Yk3KobIk0
- 午後8時10分――
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし、わたしミセリちゃん」
ミセ*゚ー゚)リ「今△△通りにいるよ」
( ^ω^)『……』
ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐあなたのいるアパートだね」
ミセ*゚ー゚)リ「楽しみだね、ふふふ」
( ^ω^)『……あの』
( ^ω^)『僕は出張中ですお』
ミセ*;゚ー゚)リ「……え?」
- 426 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 3/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:30:42 ID:Yk3KobIk0
- ( ^ω^)『ですから今アパートにはいませんお』
ミセ*;゚ー゚)リ「じゃ、じゃあ今どこに」
( ^ω^)『千葉ですお』
ミセ*;゚ー゚)リ「そんな……待っててね! 千葉ならあと三時間もあればつくから!」
( ^ω^)『いや、それもちょっと』
ミセ*;゚ー゚)リ「なんで!?」
( ^ω^)『それが……今実は成田なのですが』
( ^ω^)『あと1時間したら飛行機でアメリカへ向かわなくちゃならないんです』
ミセ*;゚ー゚)リ「な、なんですと……!?」
- 427 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:31:13 ID:VsBIKW7w0
- ワロタ
- 428 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 4/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:31:47 ID:Yk3KobIk0
- ミセ*;゚ー゚)リ「アメリカの? どこ?」
( ^ω^)『えっと、とりあえずダラスへ』
ミセ*゚ー゚)リ「ダラス……テキサス?」
( ^ω^)『ええ、まあ』
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ行きます」
( ^ω^)『え? 大丈夫なんですかお? 飛行機で11時間かかりますお?』
ミセ*゚ー゚)リ「と、とにかくなんとかします!」
( ^ω^)『はあ』
( ^ω^)『なんかよくわかりませんが、頑張ってくださいお』
ミセ*゚ー゚)リ「はい!」
* * *
- 429 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 5/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:32:42 ID:Yk3KobIk0
- プルルルル,プルルルル
ガチャッ
|゚ノ ^∀^)『はいはーい』
ミセ*;゚ー゚)リ「レモナちゃん! 相談があるの」
|゚ノ ^∀^)『あれ、ミセリちゃん? どうしたの急に』
ミセ*;゚ー゚)リ「実は……いつものようにメリーさんっぽいことしてたのね」
|゚ノ ^∀^)『ああ、あの最後に自分を捨てた人に電話をかけて追っかけるっていう』
ミセ*;゚ー゚)リ「そう。そしたらね、相手が急にアメリカ行くことになっちゃって」
|゚ノ ^∀^)『…………』
ミセ*゚ー゚)リ「だから、どうしたらいいのかわからなくて。レモナちゃん飛行機の乗り方わかるよね?」
|゚ノ ^∀^)『……なんで?』
ミセ*゚ー゚)リ「レモナちゃんフランス人形だし」
|゚ノ ^∀^)『いやそこ関係ないでしょ?』
- 430 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 6/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:33:46 ID:Yk3KobIk0
- |゚ノ ^∀^)『だいたい無理そうならやめればいいじゃん』
ミセ*゚ー゚)リ「やだ!」
|゚ノ ^∀^)『なんで?』
ミセ*゚ー゚)リ「なんか、この呪いずっと続けていたらやみつきになっちゃって」
ミセ*゚ー゚)リ「やめるにやめられないというか、このままだとすっごいむずむずする」
|゚ノ ^∀^)『あー、なーんかわかる』
ミセ*゚ー゚)リ「ほんとに!?」
|゚ノ ^∀^)『うんうん』
|゚ノ ^∀^)『私もいまだに髪の毛伸ばしたり、夜中に寝床に忍び込むのやめられないし』
|゚ノ ^∀^)『まあそのおかげで今お寺なんだけど』
ミセ*゚ー゚)リ「え? レモナちゃんお寺にいるの?」
|゚ノ ^∀^)『うん。なんか人形供養専門のところらしくてさ、当分出られそうにないなー』
- 431 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 7/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:34:42 ID:Yk3KobIk0
- ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだ……」
|゚ノ ^∀^)『とにかく、そういうわけなら協力してあげるよ』
ミセ*゚ー゚)リ「いいの!?」
|゚ノ ^∀^)『良いよーもちろん! 私たちのような都市伝説の存在は噂話があってこそだし』
|゚ノ ^∀^)『ミセリちゃんとは長い付き合いだものね』
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう……」
|゚ノ ^∀^)『電話越しでもわかるような泣き方しちゃって』
|゚ノ ^∀^)『とりあえず他の都市伝説仲間で役立ちそうな人、教えておくから』
ミセ*゚ー゚)リ「なんとか、近いうちにアメリカにつきたいんだ。お願い」
* * *
- 432 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 8/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:35:42 ID:Yk3KobIk0
- @@@
@#_、_@ _、_
( ノ`)「それであたしのところに来たと」
ミセ*゚ー゚)リ「お願いします! おばさま!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あのね、あたしゃもう現役を引退しているんだよ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「現役時代はそりゃあね、人間相手にブイブイ言わせていたものさ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「それが最近張りあう相手もいなくなっちまって、めっきり噂も減っちまった」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あたしら都市伝説の存在は人間の趣味嗜好に左右されるんだよ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「奴らがはびこるものに関われば活発に動き回れる」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「だけど、奴らが忘れちまった流行に関する存在ならば、その流行とともに忘れさられる」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そういう運命なのさ」
ミセ*;゚ー゚)リ「……あの、難しいことはよくわからないんですけど」
- 433 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 8/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:36:42 ID:Yk3KobIk0
- ミセ*゚ー゚)リ「私はずっとこの方法で人をびっくりさせてきたんです」
ミセ*゚ー゚)リ「このご時世、確かに私のことを拾ってくれる人は少なくなりました」
ミセ*゚ー゚)リ「でも今でも年に数人くらいは私のことを拾って、引っかかってくれる人がいる」
ミセ*゚ー゚)リ「私からの電話に震えて、おっかなびっくりしてくれる愉快な人間がいる」
ミセ*゚ー゚)リ「そのうちの一人が今日、せっかく電話に出てくれた」
ミセ*゚ー゚)リ「だったらその人を目いっぱい驚かせてあげたい」
ミセ*゚ー゚)リ「今のうちに、完全に忘れ去られてしまううちに、その存在意義を発揮したい」
ミセ*゚ー゚)リ「そういう気持ちが大事ってことじゃないんですか?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……なかなか良いことを言うお人形さんだね」
ミセ*゚ー゚)リ「へ、へへ」
- 434 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 10/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:37:41 ID:Yk3KobIk0
- @@@
@#_、_@
( ノ`)「よし、せっかくだから協力してやろうじゃないか」
ミセ*゚ー゚)リ「え、あ、ありがとうございます!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「勘違いするんじゃないよ。別にあんたの気持に感動したからとかじゃない」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「昔の血が騒いできちまってねえ。まだ、あの速さだけを追っていたあのときの血が」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「人間はどんどん車に乗らなくなっていっちまったからね。それでなくても規制が厳しくなって」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「もう奴らと張り合う機会はすっかりなくなっちまったんだ。こんなときくらい、本気を出させてくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「おばさま……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「さて、カタパルトを用意するよ。手伝ってくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「はい! ジェットおばさま!」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そこはババアでいいよ」
* * *
- 435 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:38:24 ID:AJzT/Cpw0
- ミセリかわいいよミセリ
- 436 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 11/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:38:42 ID:Yk3KobIk0
- プルルルル,プルルルル
ガチャッ
( ^ω^)『もしもし』
ミセ*゚ー゚)リ「もしもし! 私ミセリちゃん!」
( ^ω^)『……今どこにいるんだお?』
ミセ*゚ー゚)リ「海よ! 西海岸! サンフランシスコ!
日本時間では午前7時だけど、こっちだと夕方の3時ね。
電話をかけようと思って降りたったの。もうすぐ着くわ!」
(;^ω^)『……』
ミセ*゚ー゚)リ「……?」
(;^ω^)『……ごめんだお!』
ミセ*;゚ー゚)リ「え!? ど、どうしたの?」
- 437 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 12/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:39:44 ID:Yk3KobIk0
- ( ^ω^)『実は、実は僕』
( ^ω^)『ダラスは経由するだけなんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「……え?」
( ^ω^)『本当の目的地は、ヒューストンなんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「ヒューストン……」
( ^ω^)『ヒューストンのジョンソン宇宙センター』
ミセ*;゚ー゚)リ「ね、ねえ。それってまさか……」
( ^ω^)『そのまさかだお』
( ^ω^)『僕は宇宙飛行士なんだお。
今日の午後5時に打ち上げられるロケットに搭乗するんだお』
ミセ*;;゚ー゚)リ「そんな!! そんな急にだなんて!!」
- 438 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 13/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:40:41 ID:Yk3KobIk0
- ミセ*;;゚ー゚)リ「ねえ嫌よ私、宇宙になんてさすがに行けない……」
( ^ω^)『いや……僕の方こそ悪かったんだお。
まさか君がこんなに真剣に僕のことを追ってきてくれるなんて思いもよらなかったんだお』
( ^ω^)『それがわかっていれば、もっと君に構ってあげられれば、ああ』
ミセ*;;゚ー゚)リ「そんな、悲しいこと言わないで……」
ミセ*;゚ー゚)リ「私だってこんなところで諦めたくない、それなのに……」
ミセ*゚ー゚)リ「……そうだわ、諦めてたまるもんですか」
ミセ*゚ー゚)リ「レモナちゃんだって、おばさまだって、みんなが私を支えてくれている」
ミセ*゚ー゚)リ「まだ動けるわ。私にはまだ時間はあるはず」
(;^ω^)『……ミセリちゃん?』
ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、宇宙飛行士さん。打ち上げ場所を詳しく教えてくれる?」
(;^ω^)『ど、どうするつもりだお!?』
- 439 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 14/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:41:42 ID:Yk3KobIk0
- ミセ*゚ー゚)リ「ふふ、決まっているでしょ」
ミセ*゚ー゚)リ「私もロケットに乗り込むわ」
(;^ω^)『な、本気で言っているのかお!?』
ミセ*゚ー゚)リ「こっちには立派なジェットがあるのよ? 間に合わせてみせるわ。ねえおばさま」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「おうよ」
( ^ω^)『……? と、とにかく本当に乗り込むにしても、僕はおおざっぱな位置しかわからないお!
そういうのは整備士の領分だし、だからどうにかダメもとで乗り込むしか』
ミセ*゚ー゚)リ「十分よ」
ミセ*゚ー゚)リ「私を舐めないで。いつも超広範囲から本人の住居を正確に特定しているのよ?
そんなバカでかいロケットの場所くらい、すぐに見つけてみせるわ」
( ^ω^)『……わかったお。
ミセリちゃん、ここまできたらもう君を拒まないお。
これから教えるから、必ず乗り込むんだお』
ミセ*゚ー゚)リ「はい!」
* * *
- 440 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 15/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:42:44 ID:Yk3KobIk0
- 日本時間で午後1時
プルルルル,プルルルル
ガチャッ
|゚ノ ^∀^)「ミセリ、ミセリ」
|゚ノ ^∀^)「ちぇ、だめか。もうつながんないや」
|゚ノ ^∀^)「あーあ、ミセリちゃんどうなったのかなー」
|゚ノ ^∀^)「テレビでも見ようかしら」
ガチャ
|゚ノ ^∀^)「あ」
|゚ノ ^∀^)「住職おひさー」
( ^ω^)「……また勝手に動き回っていたのかお」
- 441 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 16/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:43:48 ID:Yk3KobIk0
- |゚ノ ^∀^)「だって、動けるんだもの」
( ^ω^)「まったく、君たち付喪神は揃いも揃って厄介者ばっかで困るお。
特に人形からのやつは、ほとんど人と変わらないくらいに動き回るんだから大変だお」
付喪神(つくもがみ)とは、
日本の民間信仰における観念で、
長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代(道具や生き物や自然の物)に、
神や霊魂などが宿ったものの総称で、
荒ぶれば(荒ぶる神・九尾の狐など)禍をもたらし、
和(な)ぎれば(和ぎる神・お狐様など)幸をもたらすとされる。
|゚ノ ^∀^)「大事に使われた証拠ですからー」
|゚ノ ^∀^)「でもちょっと髪伸ばしたくらいでこんなとこ送るのって、やっぱり納得できないな。
私たちだって生きているのに」
( ^ω^)「まあまあ、そんなこと話したってキリないお」
- 442 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 17/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:44:43 ID:Yk3KobIk0
- ( ^ω^)「とにかく、そんな人形たちの世話にも、僕はそろそろ疲れたお」
|゚ノ ^∀^)「本当に? それ専門のお寺だったんじゃないの?」
( ^ω^)「そりゃ、最初はそういう人形たちと頑張って和解しようとしていたんだお。
みんな困っているだろうし。でもなんか、最近人形自体あんまり買われなくなったし。
需要もだんだん尻すぼみで、割に合わなくなってきたんだお」
|゚ノ ^∀^)「ふーん、噂話みたいなものね」
( ^ω^)「? まあ、流行といえばそんなものかお」
( ^ω^)「とにかくもう人形は受け入れていないお。
それなのにこの前無理やり供養させに送られてきた人形がまた厄介で。
捨てたのにまだ僕に付きまとってきたんだお。疲れたお」
|゚ノ ^∀^)「そんなのいたの? 大変だったねえ」
( ^ω^)「ほんとだお。でもなんか、すごい素直な良い子で、簡単に騙せたから面白かったお」
(*^ω^)「あれはほんとにもう、傑作で、くくく」
(*^ω^)「ああいうのはなるべく手を汚さずに処分できれば万々歳だお」
|゚ノ ^∀^)「…………」
- 443 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 18/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:45:43 ID:Yk3KobIk0
|゚ノ ^∀^) ボソ「…………やっぱりあんたか」
(*^ω^)「ん? 何か言ったかお?」
|゚ノ ^∀^)「いえ、別にー」
- 444 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 19/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:46:43 ID:Yk3KobIk0
- (*^ω^)「さてと、今日はもう朝から疲れたお。ソファ座るお」
ドサッ
|゚ノ ^∀^)「豪勢な座り方」
(*^ω^)「お坊さんはもうかるんだおー。テレビでも見るかお」
プチッ
ワーワー、キャー
――――日本時間で午後11時に打ち上げられた木星探査ロケットは無事点火され
文字通り青空を突き抜けはるかな空の旅へと向かって行きました。
調査が無事終われば帰ってくるのは7年後に――
- 445 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 20/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:47:42 ID:Yk3KobIk0
- ( ^ω^) ニヤニヤ
|゚ノ ^∀^)「……なんか気持ち悪い顔」
( ^ω^)「そうかお? なんかもう、面白くて……」
|゚ノ ^∀^)「ふーん……あ」
( ^ω^)「どうしたんだお?」
|゚ノ ^∀^)「電話、切り忘れていたわ」
( ^ω^)「電話?」
|゚ノ ^∀^)「うん。よいしょっと」
ガチャンッ
(;^ω^)「……」
(;^ω^)「おい、ちょっと待てお。まさかずっと繋がっていたのかお?」
(;^ω^)「……誰と、話して……」
- 446 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 21/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:48:42 ID:Yk3KobIk0
- プルルルル,プルルルル
( ^ω^)
( ゚ω゚)
(゚ω゚)
- 447 名前:呪いのミセリちゃん人形のようです 22/22 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:49:42 ID:Yk3KobIk0
もう拒んだりしないんでしょ?
〜おわり〜
- 448 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 00:50:42 ID:Yk3KobIk0
(
)
i フッ
|_|
- 449 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:54:20 ID:IW9VAKCY0
- 乙
ブーンは余計なこと言ってしまったな
南無三
- 450 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:00:01 ID:IW9VAKCY0
- 投下終わったので報告
.,、
(i,)
|_|
('A`)百物語、のようです おまじないのはなし
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666020/
(
)
i フッ
|_|
72本目 終わりました
- 451 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:02:11 ID:mtmv.fjI0
- >>448
乙!
ギャグかと思いきや……ってのが怖いな
では、73本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
赤い箱、のようです
- 452 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:02:52 ID:mtmv.fjI0
- これは、私が友人の二人と夏休みのある日、廃墟に肝試しへ行った時の話です。
私達は地方の大学に通う二年生で、家が比較的近所だということもあり夏休みの間も
よく私と、友人の流石兄者と長岡ジョルジュとの三人で顔を合わせて遊んでいたのですが
ある日、ジョルジュがこんな話を切り出してきたのです。
_
( ゚∀゚)「なあなあ、赤い箱って知ってる?」
('A`)「赤い箱?」
( ´_ゝ`)「あー、何か聞いたことある。都市伝説系だっけ?」
- 453 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:03:32 ID:mtmv.fjI0
- 「赤い箱」と呼ばれる都市伝説。それはこんな内容でした。
とある地方のマンションが経営不振から潰れ、無人の廃墟となったのですが、
数年たった後、その廃墟の中で段ボール箱の中に遺棄された赤ん坊の死体が
見つかるという事件があったのだそうです。
その事件以来その廃墟の何処かに、真っ赤に染まった段ボール箱が落ちていて、
中から赤ん坊の泣き声が聞こえるとか、その段ボール箱の中を覗き込んだ人は
呪われて死んでしまうとかいうものでした。
怪談やオカルトが好きなジョルジュはこの「赤い箱」の情報をどこからか仕入れ調べた結果、
どうやら私達の住む地域からそれほど遠くない場所にその廃墟があるらしいということで
私達三人で行ってみようと話しを持ちかけてきたのです。
- 454 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:04:48 ID:mtmv.fjI0
- _
( ゚∀゚)「そうそう.。何か、数年前赤ん坊の入った段ボール箱が廃墟に捨てられる事件があってさ
当然その段ボール箱は警察に回収されたんだけど
それ以来その廃墟に真っ赤な段ボール箱が落ちてることがあって
その箱の中を覗くと赤ん坊の幽霊に呪われるとかなんとかってやつ」
( ´_ゝ`)「お前そういうのほんと好きな?」
('A`)「で、その都市伝説がどうかした?」
_
( ゚∀゚)「実はさ、その事件の事ちょっと調べてみたらどーも近場らしくてさ」
( ´_ゝ`)「え、マジで?どこら辺?」
_
( ゚∀゚)「何か、草柵の梅猿堀あたりだってさ」
('A`)「あぁ、あの辺ね」
( ´_ゝ`)「確かに近場っちゃ近場だけど……、お前まさか……」
_
( ゚∀゚)「今日の夜行ってみね?」
('A`;)「そうくるか……」
( ´_ゝ`)「まあ、今日は特に予定も無いけどさ」
_
( ゚∀゚)「だろ?行こうぜ。」
そんな感じで、私達は廃墟へ肝試しに行くことになりました。
- 455 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:05:46 ID:mtmv.fjI0
- 兄者の運転する車に乗って、少し人里から離れた場所で見つけたその廃墟は
真っ暗な中に佇み、高さは四階建て、屋上には貯水タンク等があるのが外から見てとれ
あたりには雑草が生い茂り建物は荒れ放題、窓や扉はほとんどが抜け落ち
壁には所々スプレーによるラクガキが、床には瓦礫等が散乱している状態で
肝試しをするにはまさにうってつけ、という様相でした。
( ´_ゝ`)「結構雰囲気あるな」
_
( ゚∀゚)「だろ、だろ」
('A`;)「この時点で結構怖いんだけど……」
_
( ゚∀゚)「とりあえず中入ろうぜ?」
( ´_ゝ`)「そうだな。ドクオ大丈夫か?」
('A`)「あ、うん。大丈夫大丈夫。……行こうか」
そうして私達は懐中電灯をそれぞれ一つずつ持ち、廃墟のマンションを探索し始めました。
- 456 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:06:46 ID:mtmv.fjI0
- マンションの内部は広めの玄関ホールがあり、その奥に階段があり
また玄関ホールの入り口と直角になるように突き当たりから廊下が伸び
その廊下に各居住者用のドアが数枚並び、突き当たりにもう一つ玄関ホールがあるという
いわゆる「コの字型」の造りをしていました。
もう一つの玄関ホールには、階段とその隣に管理人室が併設されていたようで、
私達が入った玄関ホールより少し大きめの造りとなっていました。
_
(;゚∀゚)「おっ!?」
('A`;)( ´_ゝ`)「「!?」」
もう一つの玄関ホールに入り軽くあたりを見回していた時でした、
突然私達より少し先を歩いていたジョルジュが大きな声をあげたので、
私と兄者は反射的に身をこわばらせビクリとしました。
- 457 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:07:32 ID:mtmv.fjI0
- ('A`;)「な、なに?!」
( ´_ゝ`)「ちょ、ジョルジュ、ビックリさせんなよ」
_
(;゚∀゚)σ「いや、だってあれあれっ!」
そう興奮気味にジョルジュが指差す先に、懐中電灯の灯りを向けると……
( ´_ゝ`)「げっ」
('A`;)「ぅわ……」
そこにはあの都市伝説にあったとおりの、「赤い段ボール箱」が転がっていたのでした。
.
- 458 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:08:41 ID:mtmv.fjI0
- ( ´_ゝ`)「えっ、マジか?」
_
(;゚∀゚)「すげぇ!やべぇ!!」
('A`;)「いやいやいや……、えぇ〜……」
三者三様の反応をしながら、私達は誰も動くことができませんでした。
いちよう私達は「赤い箱」の都市伝説を知ったからこそここに来た訳で
ある意味これが目標としていたものではあるのですが
まさか本当にあるとは私を除いた二人も想像していなかったらしく
「どうしようこれ」、といった空気が三人の間に流れていました。
しかしいつまでも固まっているわけにもいかず、やがて……
_
(;゚∀゚)「俺、ちょっと見てくるわ」
少しテンションの落ち着いたジョルジュが歩きだしたのをきっかけに、
私と兄者もそのあとに続きました。
ところが
- 459 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:10:05 ID:mtmv.fjI0
- _
( ゚∀゚)「ん?あれ、これって?」
( ´_ゝ`)「あん?」
_
( ゚∀゚)「プッ、なんだこれw」
('A`;)「どしたの?」
_
( ゚∀゚)「ほら、見てみ」
その言葉に促され、ジョルジュの懐中電灯に照らされた「赤い段ボール箱」に目をやりました。
遠目に見たときには、なにやらおどろおどろしい雰囲気を纏った箱に見えたのですが……
_
( ゚∀゚)「これただのイタズラだわ」
そこにあったのは随分とちゃちな、恐らく壁の落書きに使用されているものと
同じスプレーによって赤く塗られただけの、ただの段ボール箱でした。
('A`;)「ふぅ〜、ビックリした」
( ´_ゝ`)「ま、そりゃそうだわな」
_
( ゚∀゚)「本物だと思ったんだけどな〜、残念残念」
そんな会話をしながらも、私達は互いに安堵の表情を浮かべていました。
- 460 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:11:08 ID:mtmv.fjI0
- _
( ゚∀゚)「どうする、上も行く?」
( ´_ゝ`)「そだな、ここまできたら行っとこうか」
幽霊の正体見たり枯れ尾花。
イタズラの「赤い箱」を見た私達はすっかり恐怖心も薄れてきて、
どうせならこの廃墟を探索しつくしてやろうという気待ちになっていました。
そうして階段を上がり居住者用のドアが数枚並ぶ廊下を通りぬけ
また突き当たりにある階段を上り、居住者用のドアが数枚並ぶ廊下を通りぬけ
また突き当たりにある階段を上る、というように廃墟の中を探索していきました。
最終的に屋上まで出て色々見て回ったりしたのですが、結局なにも無く
私達は、残念半分安心半分で元来た階段を下りて行きました。
( ´_ゝ`)「結局何も無かったな」
_
( ゚∀゚)「なー、もうちょっとなんかあってもよかったのになー」
('A`)「無くていいよ、そんなの」
_
( ゚∀゚)「お前ビビってたもんな」
('A`)「しょーがないじゃん」
そんな、他愛も無い会話をしながら歩いていた時です。
- 461 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:13:01 ID:mtmv.fjI0
- ( ´_ゝ`)「……あれ?」
_
( ゚∀゚)「ん?どした?」
( ´_ゝ`)「こっちって入ってきた方の階段だっけ?」
('A`)「いや、多分違う方だと思うけど?」
( ´_ゝ`)「マジか、車逆側じゃん。」
_
( ゚∀゚)「あー、そっか、じゃあもう一回廊下渡んないとか、ダルぅ」
('A`)「そんな距離ないでしょ」
_
( ゚∀゚)「まーなー」
そうして二階から一階へ続く階段がもう少しで終わりを迎えようとしていたときでした。
―――バァン ッ!!
………
……
…
- 462 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:13:48 ID:mtmv.fjI0
- ('A`)「え?」
突然の出来事に、私達三人は誰も身動き一つとることができませんでした。
何が起きたのか?
それを理解するのに数秒、いえ数十秒程かかったかもしれません。
_
( ゚∀゚)「え、あれ、って……?」
( ´_ゝ`)「……あぁ。さっきの、箱……だよな?」
先ほどの突然の音、それはあの玄関ホールで見つけたイタズラの「赤い箱」が、
階段を下りている私達から見て左側、一階玄関ホールの壁に叩きつけられた音でした。
- 463 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:14:38 ID:mtmv.fjI0
- ('A`;)「……え、だ……誰か、居る?」
私が真っ先に思いついたのはそれでした。
私達からは階段の壁で死角になって見えない位置から、何者かがこの箱を投げた。
誰が?
( ´_ゝ`)「……!」
そんな私の言葉を聞いたからなのか、あるいは不安を打ち消すためか、
兄者は突然勢いよく動いたかと思うと階段を一気に駆け降りました。
( ´_ゝ`)「あ、……れ?」
しかし……
私とジョルジュも兄者に続いて急いで階段を下りたのですが
恐らく箱が飛んできたであろう方角を見ても
あるいは玄関ホールの中を見回してみても、誰もいる気配はありませんでした。
私達が階段で固まっている数十秒の間に、何処かへ隠れしまったのでしょうか?
- 464 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:15:37 ID:mtmv.fjI0
- _
(;゚∀゚)「なぁ、その箱……」
('A`;)「えっ?」
なにやらやけに小さい声で、心無しか震えているような声で
ジョルジュが、ぽつりとつぶやきました。
私と兄者もその声につられて灯りを箱の方に向けます。
そこにあったのは先ほどのイタズラの「赤い箱」
……に 一瞬見えました。
('A`;)「……何か、濡れてる?」
(;´_ゝ`)「っていうか、黒ずんでる?」
私と兄者の感想通り、箱は最初に見たときとは違って、どこかふやけているような、
色も、スプレーで塗ったというより、水が染み込んだような……
- 465 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:16:37 ID:zhxophf20
- 霊でも霊じゃなくても廃墟に誰か居るって恐ぇよ支援
- 466 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:16:40 ID:mtmv.fjI0
『アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……』
.
- 467 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:17:52 ID:mtmv.fjI0
その瞬間 私達は凍りつきました。
それはまるで
猫のような、あるいは烏のような
そう、ちょうど 赤ん坊 のような……
_
(;゚д゚)「―――あぁああああアアアアアッ!!」
ジョルジュが上げた、悲鳴とも雄叫びとも区別のつかない声で
私達は一斉に元来た階段を上り始めました。
何故二階に逃げたのかは分かりません。
さっきまで居た場所だから安心できたのか、あるいはもしあの箱を誰かが投げたのだとして
そいつが潜んでいるかもしれない一階に居たくなかったからなのか。
途中折り返す形で一階と二階とを結ぶ階段を一足飛びで登り終えた私達は、
ぜぇ、ぜぇ、と肩で息をしながら互いの顔を見つめあいました。
たかが一階から二階へ階段を上っただけなのに、皆信じられない程の疲労を感じていました。
- 468 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:20:04 ID:mtmv.fjI0
- _
(;゚д゚)「いっ、いまのっ、・・・いまのって・・・」
(;´_ゝ`)「マジ、か?冗談……だろ?なぁっ!」
(゚A゚;)「なっ、に・・・なっ・・・、なに・・・がっ」
混乱する頭で何かしら言葉を紡ごうとしたのですが・・・
―――バァン ッ!!
_
(;゚д゚)(;´_ゝ`)「「「!!」」」(゚A゚;)
―――バァン ッ!!
―――バァン ッ!!
―――バァン ッ!!
- 469 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:21:08 ID:mtmv.fjI0
- 私は恐怖で強張る体を何とか動かし、灯りを階段の踊り場へと向けました。
するとそこには、あの
「箱」が……
(;゚_ゝ゚)「……ッア!」
「箱」を確認した瞬間またもや私達は走り出していました。
今度は廊下を。
目的ははっきりしています、このまま反対側の階段を下りて、
入ってきた玄関ホールから外へ。
それほど長くも無い廊下を一気に渡りきり、階段の二、三段を下りて、
_
(;゚д゚)「来てる?!来てんの?!」
半狂乱で叫ぶジョルジュに対して、兄者は懐中電灯を廊下の奥に向け、目を皿のようにして、
(;゚_ゝ゚)「来てない!!」
その言葉で少しだけ冷静さを取り戻し、急いで階段を降りようとして、
- 470 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:22:37 ID:mtmv.fjI0
『アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
_
(;゚д゚)「あぁ?!」
階段の踊り場に着いたあたりで、突然後ろから聞こえた『それ』に対して、
すぐさま灯りを向けると、
ズズッ……
ズズズッ……
微かに、しかし確実に動いている「赤い箱」を視界にとらえた私達は、
もはや逃げる以外の思考もろくにできぬまま、階段を飛び降り、玄関ホールを潜り抜け
気がつけば兄者の車に飛び乗り、いつの間にか廃墟の影さえ見えぬほど
遠くへと車を走らせていました。
- 471 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:24:50 ID:mtmv.fjI0
- ………………
…………
………
…
(;´_ゝ`)「……」
('A`;)「……はぁ〜……」
_
(;‐∀‐)「うわ゛ぁ〜〜〜〜……」
(;´_ゝ`)「……はぁ……」
_
(;‐∀‐)「……ん〜」
('A`;)「……」
_
( ゚∀゚)「……」
(;´_ゝ`)「……」
- 472 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:25:45 ID:mtmv.fjI0
- ( ゚∀゚)「………」
_
( ゚∀゚)「……なんか……」
(;´_ゝ`)「ん〜?」
_
( ゚∀゚)「なんか、すごかったわ……」
('A`;)「いや、すごすぎ……」
(;´_ゝ`)「だな〜……」
- 473 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:26:28 ID:mtmv.fjI0
- _
( ゚∀゚)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
_
( ゚∀゚)「…………フヘッ」
(;´_ゝ`)「あん?」
_
( ゚∀゚)「ヘヘヘッw」
('A`)「……ふ」
('∀`)「ふふっ」
( ´_ゝ`)「……」
( ´,_ゝ`)「……ックw」
- 474 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:27:10 ID:mtmv.fjI0
- _
( ゚∀゚)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
_
( ゚∀゚)「まぁ、さっ」
('A`)「ん〜?」
_
( ゚∀゚)「思い出としてはなかなかじゃね?」
( ´_ゝ`)「お前なぁ」
('A`)「……」
('A`)「まぁ……」
( ´_ゝ`)「ん?」
('∀`)「……一回くらいなら?」
(;´_ゝ`)「お前もか」
_
( ゚∀゚)「……あ、ところでさ」
('A`)「うん?」
_
( ゚∀゚)「なんか『黒い箱』って都市伝説があるらしいんだけど」
( ´_ゝ`)「おいこら」
- 475 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:28:15 ID:mtmv.fjI0
―――――そうして私達は、何事も無く無事家へと帰りつきました。
大人になった今でも私達三人は親友同士で、良く遊びにも出かけますし、あの日の出来事も、
たまに、本当にたまには誰ともなく話し始める時があります。
そう、別に三人ともあの後何かおかしなことが起こった訳でもなく、病気もしなければ
事故にも会わず、家族の誰かに不幸があった訳でもなく……
ただ
雨の日になると
やたらと 視界の端に
「赤い段ボール箱」が チラつくこと以外は……。
- 476 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:29:22 ID:mtmv.fjI0
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
『 アぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……』
─_ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄ ─_─ ̄ ─_ ─ ̄─_─  ̄─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─
─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_ ─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─ ̄_─ ̄_ ̄─_ ─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─  ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─  ̄ ─ ̄ ─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─_─ ̄─
.
- 477 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:30:29 ID:mtmv.fjI0
-
(
)
i フッ
|_|
73本目、終わりです。有難う御座いました
- 478 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:30:55 ID:zhxophf20
夜中に赤子の声って本当に恐いですよね、乙です!!
いつか覗いてしまいそうで本当に恐い
即興作品ですが、74本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
- 479 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:31:48 ID:IW9VAKCY0
- 乙
鳴き声と音がこわい
- 480 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:32:40 ID:zhxophf20
(´<_` )×××いいひとのようです
(゚、゚;トソン「父様、痛くない?」
(;´-_ゝ-`)「お前こそ、重いのではないかい?」
10歳程の小娘が、三十路程の男の左肩を支えて歩いている。
小娘が男を「父様」と呼ぶからに、どうやら親子のようだ。
男は目が見えないらしく、右手に持った杖で前方を探っていた。
そして足を痛めているのか、歩き方もどこかぎこちない。
(;´-_ゝ-`)「もう私の事は放っておきなさい」
(゚、゚;トソン「父様は細いから重くないよ」
小娘は気丈に振る舞うが、自分よりはるかに背の高い男――しかも盲目――を支えている疲労は隠せていない。
- 481 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:33:04 ID:4KUtpT.IO
- 乙ー!赤子の声こえええ
- 482 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:34:33 ID:zhxophf20
(;´-_ゝ-`)「そう言うが、さっきから息が荒いではないか」
(゚、゚;トソン「そ、それは暑いからだよ……」
(;´-_ゝ-`)「ならば、早く私を放して一人で行きなさい。
このままではお前迄倒れてしまう」
( 、 ;トソン「父様を置いていくなんて嫌っ!」
仲の良い親子と言うのはいいものだ、特にどちらかが障害を持っているなら一層いいものだ。
盲の父を健気に支えようとする小娘、その小娘の負担にならまいとする盲。
本当に、都合がいい。
(´<_` )「……あの」
(゚、゚;トソン「!?」
(;´-_ゝ-`)「?」
二人の後ろから遠慮がちに声をかけると、小娘は面白いほどびくついた。
(´<_` )「良ければ、私の小屋で休みませんか?」
(゚、゚;トソン「……聞こえていたの?」
暑さか羞恥か、小娘の頬が赤い。
- 483 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:35:16 ID:VsBIKW7w0
- 乙!くそみそかと思って読んだらホラーだった…
- 484 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:37:46 ID:zhxophf20
- (´<_` )「差し出がましい真似ですが、二人とも私の所で休みませんか?」
近くにありますし、と付け加える。
(゚、゚;トソン「…………」
小娘が警戒した目を向けるのは想定の範囲内だ。
易々と誘いに乗っていいのだろうかと、しかし足を痛めている盲目の父を休ませたい、そんな考えが顔に出ている。
( ´-_ゝ-`)「……私は外でいいので、娘は屋根のある所で休ませて頂けますか?」
盲の口からは、予想通りの言葉が出た。
(゚、゚;トソン「と、父様!」
(´<_` )「そんなに広くない小屋ですが、二人増えても大丈夫ですよ」
――どうせ、すぐに居なくなるのだから――
危うく出そうになった言葉を飲み込む。
(゚ぺ;トソン
不安そうな表情の小娘とは逆に、盲は感謝の言葉を述べる。
( ´-_ゝ-`)「…………ありがとうございます」
(´<_` )「お嬢さん一人では辛いでしょう」
- 485 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:38:51 ID:zhxophf20
小娘が支えている側の反対の肩を支える。
本当に細い男だ、とそんな感想が浮かぶ。
( ´-_ゝ-`)「すみません……」
(´<_` )「貴方達のように困っている人は放っていけないんですよ」
( 、 ;トソン「……いい人ですね」
吐き捨てるように呟く小娘を、盲は「こら」と嗜める。
(´<_` )「気にしていないですよ、用心深くていい娘さんじゃないですか」
( ´-_ゝ-`)「……貴方も、いい人ですね」
確かに「いい人」ならこの二人を放っておけずに、小屋で食べ物や寝床を提供するだろう。
だだの、「いい人」ならば。
小屋に着き、二人に食事を振る舞おうとした。
小娘はよほど疲れていたのか、食事を採る前に父親の膝に頭を乗せてすやすやと眠っている。
あれ程警戒していた割には、よく寝れるものだと内心飽きれる。
(-、- トソン
( ´-_ゝ-`)「お礼も言わずに、すみません……」
- 486 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:40:21 ID:zhxophf20
盲は手探りで小娘の頭を撫でながら、口元に小さな笑みを浮かべる。
(´<_` )「親孝行な娘さんですね」
( ´-_ゝ-`)「私が不甲斐ないばかりに、妻や子供達には迷惑をかけどおしです」
(´<_` )「“達“?」
素朴な疑問を口にする。
( ´-_ゝ-`)「今年で七つになる男の子が居るんですよ。
妻が私に似た顔立ちだと言っていました」
盲の言う妻や子が今この場に居ないのは、別の場所に居るか、旅に出ず家に居るか、それともあの世か。
( ´-_ゝ-`)「娘は息子が可愛くてしょうがなくて、いつも菓子を与えすぎるそうです。
口の周りを餡で汚すけれど、幸せそうな顔で菓子を食べるそうですよ」
穏やかな笑みを浮かべ子供達の話をする男に、違和感を覚える。
(´<_` )「……」
――どうして、旅に?――
口に出そうとするが、やめておく。
長い付き合いにはならないのだから、相手を深く知る必要がない。
- 487 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:41:35 ID:zhxophf20
(´<_` )「さぁ、食事をどうぞ」
食べ易いようにした握り飯を差し出す。
(;´-_ゝ-`)「そ、そこまでは……私は休ませて貰えるだけで十分ですよ」
(´<_` )「食べないと、体がもちませんよ。
それに痛めた足を治すなら、栄養は必要では?」
(;´-_ゝ-`)「…………ありがとうございます」
おっかなびっくりとした様子で、差し出した握り飯を受け取る。
( ´-_ゝ-`)「あなたは、本当にいい人ですね」
(´<_` )「しっかり食べて、ゆっくり休んで下さいね」
その方が、自分も都合がいいのだから。
盲が寝て暫く経ったのを確認し、動き出す。
外から射し込む月光を便りに、紐を手に盲の元へ行く。
小娘は起きる気配がしない、起きたとしても所詮小娘が勝てるはずがない。
(´<_` )「あんたがいい人で助かったよ」
眠っている盲の胴体に馬乗りになり、首に紐を巻き付け、呟く。
盲が起きようとしないのは、飲ませた茶に薬を混ぜたから当然である。
あとは力を込めて、紐を強く強く引けば良い。
- 488 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:42:37 ID:zhxophf20
男なら着物が血で汚れないように絞殺し、文字通り全てを奪う。
連れに女が居れば、よほど醜くない限り、犯して殺す。
殺して、犯して、奪う、そんな生活をずぅっと続けていた。
この世は所詮弱肉強食、罪悪感や後悔もこれっぽっちも無い。
( _ゝ )「本当にいい人ですね」
(゚<_゚ ;)「!?」
細い手が首に絡む、嫌に冷たい手をしている。
盲の手を離そうとするが、後ろから何かに押さえつけられる。
(゚、゚ トソン「貴方がいい人で助かったよ」
小娘がその華奢な体から出せる筈の無い力で、羽交い締めにしてくる。
どんなにもがいても、小娘が離れそうにない。
( _ゝ )「貴方は困っている我々に声をかけてくれました」
(゚、゚ トソン「父様の肩を支えてくれた」
( _ゝ )「小屋で休ませてくれました」
(゚、゚ トソン「薬の入った食事をくれた」
( _ゝ )「娘を陵辱しようと考えていました」
(゚、゚ トソン「父様を殺そうと企んでいた」
- 489 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:44:15 ID:zhxophf20
首を絞める手に力はないが、冷たすぎて気持ちが悪い。
先程から盲の首を紐で締めているはずが、全く反応がない。
(´<_` lli)「ば、馬鹿を言うな!
そんな事を考える奴のどこが「いい人」なんだ!!」
( _ゝ )「あなたはいいひとですよ、とぉってもいいひとです」
(゚、゚ トソン「今迄沢山の人たちを食い物にしたいい人だもの」
( _ゝ )「貴方の目玉を私に下さい、いい人でしょう?」
だから、と親子は嗤う。
( トェェイ) 「「死んで」」( トェェイ トソン
盲の指が、首の皮膚を突き破った。
- 490 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:44:57 ID:zhxophf20
峠の団子屋で家族が団欒している。
(゚、゚*トソン「はい、あーん」
【+ 】ゞ゚*)「あーん」
小娘が大きな匣を背負った童に口を開けさせ、団子を入れる。
(^、^*トソン「おいしいかい?」
【+ 】ゞ^*)「うんっ」
ミセ*^ー^)リ
満面の笑みで問えば、同じような笑みで返事をする。
普段は弟を甘やかせば小言いう母も、楽しそうに二人を見ている。
( ´・_ゝ・`)「本当、トソンはオサムが大好きだな」
盲だった父親が、日の光に眩しそうに目を細めながら茶を飲んでいる。
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇ、その目玉の持ち主はどんな奴だったの?」
母親がじゃれあっている子供達をよそに、興味津々に訊いてくる。
( ´・_ゝ・`)「本当にいい人だったよ」
父親は茶を一口飲み、どうでもよさそうに続ける。
( ´・_ゝ・`)「死んでいい、外道だ」
『(´<_` )死んでいいひとのようです』 おわり
- 491 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:46:00 ID:zhxophf20
(
)
i フッ
|_|
74本目、終わりました。
ご清聴ありがとうございます。
乙の間に割り込んでしまって、申し訳ないです。
- 492 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:47:40 ID:IW9VAKCY0
- 乙
えげつないなぁ・・・・・・
- 493 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 01:48:58 ID:r4HgRmEU0
- 独特なふいんきで面白かった乙
あとひとつ前のはパァン!がどこぞのムカデ人間のせいでケツがなってるように見えて笑いが止まらんかったwwww
- 494 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:51:29 ID:Yk3KobIk0
- 乙
怖いけど惹きこまれた。
75本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
一度お蔵入りしようと思った作品けど、投下します。
- 495 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 1/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:52:48 ID:Yk3KobIk0
- かつて阿波国の富豪の家に娘がいた。
この娘は大変器量が良かったが、ある秘密があった。
あるとき、娘の美貌に魅入られた若者が 婿に入った。
いざ寝床に入ったところ、女が奇妙な行動に出た。
娘は若者の頭から足先まで全身を嘗め始めた。
その舌はざらざらとしており、まるで獣に嘗め回されているようであった。
若者は気味悪がり、たちまち逃げ出した。
( ・∀・)「これが、俺がじいちゃんから聞いた徳島の怪談だ」
( ゚∋゚)「え、これ怪談だったのか」
( ・∀・)「おう」
( ゚∋゚)「それって普通に女の性癖だったんじゃないの」
( ・∀・)「そうだろうけど、昔は奇人がいたたりすると妖怪扱いしていたからな。
その一種だろうなー」
( ゚∋゚)「ふーん、まあ確かに夜中に突然体べたべた嘗められたら気持ち悪いわな。
なあジョルジュ、嫌だよなー」
_
( ゚∀゚)「いや……」
_
( ゚∀゚)「ちんこ立った」
- 496 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 2/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:53:48 ID:Yk3KobIk0
- ( ・∀・)「……」
( ゚∋゚)「……」
_
( ゚∀゚)「もっと詳しい話を聞かせてくれよ」
( ・∀・)「興味津々だな……
とはいえ怪談に詳しいもなにも」
( ・∀・)「あ、いや、確か祠があるとか言ってたかな」
_
( ゚∀゚)「祠?」
「何があったかはわからないんだけど、その豪族の跡地らしい場所に、祠があって、そこで供養されてるんだ。
まあそんな奇人だったし、処罰でもされて殺されちゃったとかそういうのがあるんじゃないかな。
で、その魂押さえ込めるために祠作ったと」
_
( ゚∀゚)「ほうほう。
じゃあその祠いじったりしたら祟られたりするかな」
( ・∀・)「そうだなー、あんまりいじらない方がいいよなそういうの」
_
( ゚∀゚)「取憑かれたりとか」
- 497 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 3/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:54:48 ID:Yk3KobIk0
- (;・∀・)「……お前何考えてるんだ?」
(;゚∋゚)「なんか凄い邪悪な顔してるぞ」
_
( ゚∀゚)「ふふふ、いいことを思いついたんだ」
かくかくしかじか。
(;・∀・)「えーと、つまり」
(;゚∋゚)「嘗女を怒らせて」
(;・∀・)「女に取憑かせて」
(;゚∋゚)「嘗めさせる」
_
( ゚∀゚)b グッ
(;・∀・)「ど変態が」
(;゚∋゚)「罰当たりにもほどがあるだろう」
- 498 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 4/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:55:48 ID:Yk3KobIk0
- (;・∀・)「ていうか沖縄ので懲りなかったのかよ」
(;゚∋゚)「38本目参照な」
友人たちが如何様に私を評価しようとも関係なかった。
すでに頭の中では画期的なアイデアが構成されている。
( ・∀・)「だいたい徳島なんてそんなに行く用事なくね?」
_
( ゚∀゚)「いやそれがあるんだよ、たまたま、偶然」
_
( ゚∀゚)「大学の友達が急に本場の阿波踊りを見たいとか言い出しててな、しかもそいつ女なんだよ」
(;・∀・)「なんだそりゃ」
( ゚∋゚)「もしお化け怒らせて、女じゃなくてお前にでも取憑いたらどうすんだよ」
_
( ゚∀゚)「それむしろ好都合じゃね!? 正当に嘗め放題じゃん。
もし嫌がられても妖怪のせいにすればいいんでしょ? うっは興奮してきたwwwwww」
( ゚∋゚)「ダメだこいつ」
- 499 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 5/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:56:47 ID:Yk3KobIk0
- 彼はそういうが、決してダメではない。
私は自分の体を嘗めさせることにこそ魅力を感じている。
自分から女性を襲いにいくなど、言語道断。私は紳士なのだ。
やがて私は彼から、祠のある場所を教えてもらった。
程ほどの山の中腹、道は広いが、周りは森。
なんと都合がいいのだろう、私は思考を巡らせた。
計画は練られていく。
まずは女と連絡を取る。
面白い心霊スポットがあるから寄らないか?
すぐに肯定の返事がきた。どうやら元々その手の話題が好きだったらしい。
私は飛行機と、現地のレンタカーをチェックした。
移動は主にこのレンタカーを使うつもりだ。免許は春のうちに獲得しておいた。
これならば山の中まで楽に移動できる。
そしてあわよくば、上手く取憑いてくれたなら、
車の中で、何物にも邪魔されず。
私は計画の筋を何度も確認し、ほくそ笑んでいた。
○ ● ○
- 500 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 6/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:57:48 ID:Yk3KobIk0
- あっという間に当日がやってきた。
空港で彼女と出会う。
川 ゚ -゚)「おはようジョルジュ」
彼女の名前はクーといった。
クーは正直なところ、少し変わっている。
表情はなんだかぎこちないし、何を考えているかもわからない。
今日の旅行にしたって、阿波踊りを見たいなどと不思議なことを宣った結果であった。
しかし別に私は気にしない。
私はクーの清潔そうな髪と、清楚な服と、その豊かな膨らみを見る。
すぐに頬が緩み、幸せな感覚に包まれる。
そう、彼女の性格が変わっていようと私にとっては問題のないことなのだ。
私は紳士なのだから。
- 501 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 7/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:58:48 ID:Yk3KobIk0
- お祭りを堪能し、阿波踊りを見たり真似たりして興じた。
夜は更けているが、上気した雰囲気が二人を包んでいる。
二人は見合い、そして昂った気持ちのまま次の目的地へと向かうことにした。
友達に教えてもらった道を正確に辿る。
山道ではほとんど車と出会わなかった。
人気もない、ただ夏の暑さと、わずかの風の音があるばかり。
少し開けた、山の中腹。
すぐに祠はみつかった。
石でできた、小さな小屋のような、箱。何か食べ物も置かれているようだ。
川 ゚ -゚)「ほほう、これが嘗女とやらの祠か」
彼女はそそくさと祠へと向かう。
顔には出さなかったが、よほど興味があったのだろう。
祠の前でしゃがんで、しげしげと眺めている。
- 502 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 8/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 01:59:46 ID:Yk3KobIk0
- 私も彼女のとなりに立ち、祠を見やった。
こいつをどうすれば取憑いてくれるだろうか。
蹴飛ばしたり殴ったりすればいいか。
そんなに暴力的でなくともちょっとひっかけばすむか。
とりあえず何かしらいじってみよう。
私はそう思い、祠に手をかけようとした。
そのとき、不意に足元から手が伸びてきた。
クーの手だ。
_
(;゚∀゚)「え」
私に何か言わせるまもなく、彼女は私に凭れかかってきた。
まるで獣のように滑らかな身の熟しだ。
そのまま腰の辺りを押され、流されるように茂みへと入っていく。
- 503 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 9/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:00:31 ID:Yk3KobIk0
- これは、ひょっとして、もう
巨木の前でようやく彼女は押すのを止めてくれた。
酷く背を丸めており、顔は見えない。
私は巨木に背を向けていた。
_
(;゚∀゚)「あの、クーさん」
返事はない。
代わりに、クーが急に立ち上がる。
ようやく見えたその目は、まるで焦点があっていないぼんやりとしたものであった。
私が反応しないうちに彼女は、私の顔の横に自らの顔を寄せる。
そしてそのまま、私の頬を嘗めた。
私の心臓は高鳴った。
間違いない、彼女は嘗女に取憑かせているのだ。
彼女の舌は頬から耳、首元へと動いていく。
ちろちろと、探るような動き。
彼女の温い吐息がかかる。肌の上を広がり、胸の奥が熱くなる。
- 504 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 10/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:01:16 ID:Yk3KobIk0
- 私は彼女に押し倒される形となった。
なおも彼女は一心不乱に舌を動かしている。
彼女の白い体が、私の体の上で踊る。
髪が乱れようとも彼女は気にしていない。いや、もうとっくに正気ではないのだろう。
首元から胸、腹へと、幸せな感触が移っていく。
彼女はわざわざ服を捲ってまで嘗めてくれる。軽装なのでさぞやりやすいことだろう。
私はこの野性的な営みをあるがままに受け入れることにした。
きっとこれは動物霊か何かなのだろう。
彼女の息遣いや身のこなしは獣そのものであった。
体臭からしても、とても人間の発するものとは思えない土の香りがした。
身も心もすっかり獣となっているに違いない。
動物が相手と親しくなるときのスキンシップ。
それが今、彼女の体を介して行われている、ただそれだけのことなのだ。
私は目を閉じていた。
感覚によりいっそう集中するために。
- 505 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 11/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:02:07 ID:Yk3KobIk0
- 相手が野性と言うならば、あるがままに受け入れよう。
それが相対する我が身のするべきことだと悟った。
そうして新しい境地を垣間見ることができるならば。
これを教えてくれた友人に感謝しなければなるまい。
暇で暇でしょうがなかった大学生の夏休み。
毎日が堕落であり、むさい部屋で男と怪談に興じるなど、滑稽である。
そのむさい部屋を提供してくれたのも友人だったが、この際気にしない。
そうだ、余計なことは考えるな。
今は目一杯、このときを楽しむのだ、私はそう自分に言い聞かせた。
彼女の舌は下腹部へと迫っている。
もうじきに私の昂りは頂へと達するだろう。
もはや力も入らない。体が痺れる。熱さもある。
このまま、このまま
幸せな感覚を……
「くしゅん」
● ○ ●
- 506 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 12/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:03:06 ID:Yk3KobIk0
- ( ・∀・)「クーさん」
彼は徳島にある病院まで来ていた。
川 ゚ -゚)「モララーさん!」
クーは立ち上がる。
川 ゚ -゚)「早かったですね」
( ・∀・)「元々心配だったからな。
すぐに後を追ってこっちまで来ていたんだ」
( ・∀・)「で、ジョルジュ、重症なんだって?」
川 ゚ -゚)「ええ、なんでも身体中に発疹が起きて
ずっと痙攣して、体中からいろんな体液が出て
ショック症状を起こしているみたいなんです。命の危険もあるとか」
- 507 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 13/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:04:07 ID:Yk3KobIk0
- ( ・∀・)「アナフィラキシー・ショックみたいだな」
川 ゚ -゚)「アナフィラキシー、それって、アレルギーとかそういうのじゃ」
( ・∀・)「ああ、実はあいつ猫アレルギーでさ」
川 ゚ -゚)「猫……猫なんていたんですか?
あの、あの私一緒にいたのに、何にも覚えていなくて」
( ・∀・)「覚えていない?」
川 ゚ -゚)「ええ」
( ・∀・)「……祠には行ったのか?」
川 ゚ -゚)「祠? 嘗女のですか? ええ、いきましたけど」
( ・∀・)「あー、で、何も覚えていないと、あー」
- 508 名前:( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです 14/14 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:05:11 ID:Yk3KobIk0
- 川 ゚ -゚)「あの……私モララーさんに何かしたんでしょうか?
もしそうだったら、なんてお詫びしたらいいか」
( ・∀・)「いや、君のせいじゃない。
取憑かれていたとしても、やましいこと考えて怒りを買ったこいつが悪い」
川 ゚ -゚)「怒りって」
( ・∀・)「嘗女の」
( ・∀・)「猫娘とも言うらしいけど」
〜おわり〜
- 509 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 02:06:44 ID:Yk3KobIk0
(
)
i フッ
|_|
実は沖縄旅行の話のプロトタイプだったりする。
ちなみにこの猫娘は鬼太郎のそばのあれとは関係ないです。
これで今年の書きためた分は終わり。
- 510 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:07:40 ID:IW9VAKCY0
- 乙
最後の謎を明かすところがいいなぁ
大量投下ほんとうに乙!
- 511 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:16:07 ID:IW9VAKCY0
- 蝋燭いただきます
- 512 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:16:47 ID:IW9VAKCY0
- 75本目
.,、
(i,)
|_|
川д川彼女は動かないようです
.
- 513 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:17:41 ID:IW9VAKCY0
( ・∀・)「そこのキレイな黒髪のお姉さん。
ちょっと、そこで一杯お茶でもどう?」
川д川
( n・∀・)n「お姉さん、お姉さんってば――!!」
川д川
(#・∀・)「ちぇっ、無視かよ」
大通りから外れた、小さな公園。そのベンチに女が一人。
.
- 514 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:18:36 ID:IW9VAKCY0
£°ゞ°)「そこのお嬢さん、振り返って私にその顔を見せてくれませんか?」
川д川
£- ゞ-)つ「この哀れな子羊は、貴女のその美しい後ろ姿にひと目で恋に落ちてしまったのです」
川д川
£°ゞ°)「ああ、この私に視線さえもくださらないのですか。わかってはいましたが、つらいものです。
この寂しいハートのエンジェル。ロミスに微笑みかけてくれる女性はいないものか……」
白いワンピースに、長い黒髪。女の髪は絹のように美しい。
.
- 515 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:19:17 ID:IW9VAKCY0
( ^Д^)「ねぇねぇちょっと、そこのねぇちゃん」
川д川
( ^Д^)「ちょっとー、無視ってのはひどいんじゃない?」
川д川
(#^Д^)「聞いてんのかよ、おい!!」
(#^Д^)つ川д川 ガッ
男は女の肩を掴むと、ぐいと引いた。
.
- 516 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:20:30 ID:IW9VAKCY0
女の体がぐらぁりと、揺れる。
そして、
そのまま、倒れた。
.
- 517 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:21:25 ID:IW9VAKCY0
(;^Д^)「おい、ちょっ、大丈夫かよねぇちゃん」
女は動かない。
(;^Д^)「頭から行ったぞ、マジで大丈夫かよ!?」
女は動かない。
(; Д )「おい、起きろってば……」
男は女の肩を掴むと、その体を仰向けにした。
.
- 518 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:22:45 ID:IW9VAKCY0
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1116.jpg
.
- 519 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:24:00 ID:IW9VAKCY0
体の半身に火傷の跡がある女だった。
女の目は、まばたきをしない。
白い色をなくしたその肌は、赤黒い色と、青と緑に変色している。
その首には赤黒い、紐の跡。
女の口や鼻は、息をしている形跡がなかった。
女を掴んだ、男の手が冷たい。
.
- 520 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:25:41 ID:IW9VAKCY0
女の眼球に虫が止まり、じりじりと動いた。
それでも、女は動かない。
動くことが出来ない――。
(; Д )「ひぃっ!」
男は全てを悟り、
悲鳴を上げると、何度も転びながら大通りへと逃げていった――。
.
- 521 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:26:25 ID:IW9VAKCY0
(
)
i フッ
|_|
75本目 了
.
- 522 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:35:06 ID:ueiyMW2g0
- おつおつ!
し、死んでたのね……
あと多分、75本目でなく76本目や
- 523 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:38:45 ID:jN0YT7XQ0
77本目。
.,、 .,、 .,、 .,、 .,、
(i,) (i,) (i,) (i,) (i,)
|_| |_| |_| |_| |_|
- 524 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:39:34 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「あー、あー……、マイクテス、マイクテス……」
⊃¶
( ^ω^)「よしよし、マイクおkですおー、問題ありませんおー」
( ^ω^)「……え? ん、なに、聞こえてるって? ……今、会場に?」
( ^ω^)「……」
( ^ω^ )「どうも失礼いたしました! 皆さん! 司会のブーンですお!」
( ^ω^)「さて皆さん、『百物語のようです2013』いかがですかお?」
( ^ω^)「楽しんでますかお? 怖くて怖くて震え上がっていますかお!?」
( ^ω^)「しかしっ! 残念ながら! とうとう本日を持って祭り最終日となりますお!」
- 525 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:40:21 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「とっておきの話を出し惜しみしてる人も……」
( ^ω^)「まだまだ諦めずに足掻いてる人も……」
( ^ω^)「泣いても笑ってもこれが最後ですお!」
( -ω-)「……ま、ちょっと遅刻するくらいなら、許してあげないこともない……ですけお」
( ^ω^)「規定上! タイムリミットは本日早朝7時!」
( ^ω^)「本日、8月19日の早朝7時までですお! お間違えの無いよう!」
( ^ω^)「この機会を逃したら、次は来年か……はたまた再来年か分かりませんが」
( ^ω^)「今年の百物語はもはや残すところわずか! 投下するもしないも、存分に楽しみましょうお!」
- 526 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:41:11 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「さてさて!」
( ^ω^)「ここまで皆さんに消していただいたロウソクは76本!」
( ^ω^)「残るところ24本、果たしてどこまで伸びるでしょうか?」
( ^ω^)「奇跡のロウソク100本消しはなるのでしょうか!?」
( ^ω^)「全てのロウソクが吹き消えた時! そこには何が待っているのでしょうか!?」
( ^ω^)「それは全て参加者の皆さんにかかっていますお!」
( ^ω^)「さあ、いよいよラストスパート!」
( ^ω^)ノシ「皆さん、最後の頑張りに期待していますおー!」
- 527 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:42:11 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)ノ「……えっ?」
( ^ω^)「なに? なんだって?」
( ^ω^)「100本消すのはもう無理? このペースじゃあ間に合わない、って……?」
( ^ω^ )「……ふふふ、本当にそう思っていますかお……?」
( ^ω- )b 「チッチッチッ……」
( ^ω^)「……実は、ここでウレシイお知らせがありますお」
( ^ω^)「参加者の皆さん……大変重要なお知らせですので、よ〜くお聞きくださいお!」
- 528 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:43:13 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「なんと……たった今、深夜2時43分から……祭り終了まで!」
( ^ω^)「たった今! 深夜2時43分から! 祭り終了までの3時間17分ですお!」
( ^ω^)「なんと……!」
(^ω^ )「なんと……!?」
( ^ω^ )「な、な、なんと〜〜ッ!」
( ^ω^ )9m「 一 度 に 消 せ る ロ ウ ソ ク の 数 が 5倍!!! 」
⊃¶
.
- 529 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:43:59 ID:rOAjZfD60
- ちょwwwww
- 530 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:44:06 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^ )「……の! ボーナスタイムとなりますお!!」
( ^ω^)「たったの1話でロウソク5本!! この大チャンス、絶対逃せませんお!」
( ^ω^)「ロウソク100本、全て消すことだって夢では無いですお!」
( ^ω^)「さあさあこれにて……百物語は達成されるのか! そして、その先にあるものとは!?」
( ^ω^)「果たして――――!?」
( ^ω^)「……おおっと! どうやらお時間のようですお!」
( ^ω^)「それでは、次は朝日が昇るころにお会いしましょう!」
( ^ω^ )「司会のブーンでしたお!」
( ^ω^ )ノシ「アデュー!」
- 531 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:45:06 ID:jN0YT7XQ0
( ( ( ( (
) ) ) ) )
i i i i i フッ フッ フッ フッ フッ
|_| |_| |_| |_| |_|
投下は以上です、ご覧いただきありがとうございました
って何をやっとんじゃあああぁぁぁ!!
_ξ#゚听)ξ
/ ) ドゴォォォ _ /
/ ,イ 、 ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _ ギャアアアアアア!!!
/ / | ( 〈 ∵. ・(^ω^〈__ > ゛ 、_―
| ! ヽ ー=- ̄ ̄=_、 ¶(/ , ´ノ
| | `iー__=―_ ;, / / /
!、リ -=_二__ ̄_=;, / / ,'
/ / / /| |
/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽ
- 532 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:45:27 ID:mtmv.fjI0
- なにそれせこい
- 533 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:45:26 ID:O6WuuAK60
- 力技すぎんだろwwwwwww
- 534 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:46:07 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「ゲッホ! ゲッホォ! ゲホォオッェエ!!」
( ^ω^)「……な、いきなり何ばしよっと!? 怪我したらどうするんだお!!」
ξ;゚听)ξ「どうもこうも無いわ!!」
ξ;゚听)ξ「何、ボーナスタイムって!? 何を勝手に作ってんの!?」
( ^ω^)「別にいいじゃん……100話まで行ったら嬉しいじゃん……?」
ξ;゚听)ξ「それ100話になってない!! それじゃ百の物語にならないから!!」
ξ;゚听)ξ「最後の最後にもなって5倍って!! そんなん今時バラエティ番組でもやらないわ!!」
( ^ω^)「ふっふっふ……そこまで言われてしまっては仕方ないおね……」
( ^ω^)「そう、実は僕は……本物のブーンでは無いんだお!!」
ξ゚听)ξ「あっ、なんか勝手に正体明かし始めた……」
- 535 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:46:16 ID:rOAjZfD60
- え、えっとじゃあ次の投下からは78から83本目ということでよろしいのかな…?
- 536 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:47:09 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「ふふふ……僕は百物語に誘われて出てきた幽霊なんだお」
( ^ω^)「全てのロウソクを消すよう仕向けるため、ブーンとかいうへちゃむくれに化けていたんだお……」
ξ゚听)ξ「そう……丁寧にありがとう、まったく気付かなかったわ……」
ξ゚听)ξ「本物のブーンはどこにやったの?」
( ^ω^)「後ろ手に縛ってトイレのロッカーに放り込んでおいたお」
ξ゚听)ξ「な、なんて幽霊らしからぬ乱暴さ……!」
( ^ω^)「百物語で全てのロウソクを消した時、本物の“怪異”が現れる……って話は知ってるおね?」
ξ゚听)ξ「ええ、まぜこぜブーンのページにも書いてあったわね」
( ^ω^)「ただの与太話だと思ってるかもしれないけど、ありゃ本当なんだお」
- 537 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:48:20 ID:O6WuuAK60
- 話の内容的に100本目を戴きたい…
やるしか…無いのか…
いまから100本埋めるための没ネタ作品を書くしか…
- 538 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:48:25 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「ほら……あそこを見てくれお」
ξ゚听)ξ「? えーと……ど、どこ?」
( ^ω^)「あの、ほら……部屋の隅の……あ、いや、そっちじゃなくて……そこの……」
ζ( :::ζ
ξ;゚听)ξ「あっ、なんかモヤモヤしてる……!」
( ^ω^)「そう、あの女性の妖怪……あれこそが“怪異”だお」
( ^ω^)「今、ロウソクの数に合わせて、7割ほど姿が見えてきたところだお」
ξ゚听)ξ「え、そういうシステムになってるんだ……」
- 539 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:49:22 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「ふふふ……どうだお、美しい人だと思わないかお?」
ξ゚听)ξ「顔見えないから分からないけど……」
( ^ω^)「手も綺麗だし、足も長いし……胸も、でかいお?」
ξ#゚听)ξ ムカッ
Σ(;^ω^) ビクッ
ξ゚听)ξ「……何? それでアンタは、何が言いたいの?」
(;^ω^)「ふふふ……何故、僕が人に化けて、あんなくだらない企画まで考えて……」
ξ゚听)ξ「自分でくだらないって言っちゃうんだ……」
(;^ω^)「そこまでしてまで、どうしてあの妖怪を呼ぼうとしてるのか分かるかお?」
ξ゚听)ξ「勿体ぶってないで早く言いなさいよ」
( ^ω^)「聞いて驚くなお……? 実は……」
( ^ω^)「あの娘……僕の彼女なんだお」
ξ#゚听)ξ「……新手のノロケかっっ!!!」
- 540 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:51:18 ID:jN0YT7XQ0
ξ;゚听)ξ「何かと思えば、そんなことかいっ!!」
(;^ω^)「ふふふ……あの娘、デレちゃんって言うんだお……彼女から告白してきたんだお……」
ξ;゚听)ξ「知らんわ! 聞いてないわ!!」
(;^ω^)「優しくて良い娘なんだお〜、ちょっと食いしん坊なのがまた可愛いんだお〜」
ξ#゚听)ξ「だあぁぁ、うっさい! もういいわ! とっとと出ていかんかー!!」
ξ#゚听)ξ≡つ≡つ シュシュシュ!!
Σ(;^ω^) ヒィィ
(;^ω^)「ふ、ふふふふふ! まあいいお……ここは一旦出てってやることにするお……!」
(;^ω^)「だけど……! いよいよ百物語の灯火が尽きた時、僕の目的は達成されるんだお!」
ξ#゚听)ξ「目的って、あの女と遊びたいだけでしょうが!!」
(;^ω^)「ち、違うお!? いや、それもあるけど……それだけじゃないお〜!?」
ξ#゚听)ξ「あるのかよ、それも!!」
- 541 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:53:02 ID:jN0YT7XQ0
(;^ω^)「デレちゃんは妖怪だお? それもただの妖怪じゃないお? おっそろしい人食いの大妖怪なんだお〜?」
(;^ω^)「デレちゃんが現世に呼び出されたら、ただ事じゃあ済まないお〜!?」
ξ#゚听)ξ「デレちゃんデレちゃんうっさい! 黙らっしゃい!!」
(;^ω^)「怖いだろ〜? 怖くて怖くて震え上がっちゃうだろお〜!?」
(;^ω^)「いっぱしの悪霊からの忠告だお〜!?」
ξ#゚听)ξ「 そ の 顔 で 喋 る な っ !!! 」
ξ#゚听)ξ≡つ#);^ω^)「ギャアアアアアア幽霊なのに殴られたあああぁぁぁ!!!」
ドゴォォ
(;#)^ω^)「えぇ……なんかものっそいキレられ出したお……知人の顔を殴るのに一切容赦が無いお……!」
ξ#゚听)ξ「二度と出てくるなっ!!」
(;#)^ω^)「分かった! 分かったお! もう出ていきますお!!」
(;#)^ω^)「ひいぃぃ……恐ろしいお……! コイツのほうがよっぽど妖怪だお……!」
- 542 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:53:39 ID:IW9VAKCY0
- ふいたwww
- 543 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:54:41 ID:jN0YT7XQ0
(;^ω^)「でも……喋ったことは全部本当だお!!」
(;^ω^:::「ふふふ……今年はどうなることやら分からないけど……」
(;^ω:::...「来年、再来年と百物語を続けるようなら……いつかはデレちゃんが、妖怪が現れるお……!!」
(;^:::... 「ふふふ、それでも……果たして、仲良しこよしで続けられるかな……!? ふふふふふふ!!」
(;:::.... 「ふふふふふふ!! ふっふっふっふ!!」
(:::... 「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふふふふふはははははははは……」
ξ#゚听)ξ「うっっさいってのっ!!」
ξ#゚听)ξ「……」
ξ#--)ξ「……ふんっ」
- 544 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:56:09 ID:jN0YT7XQ0
ξ゚听)ξ「……ったく、何よあれ、ムッカつく……」
ξ゚听)ξ「……ブーンの顔して出てくるから……痛い目見るのよ!」
ξ--)ξ ー3 ハァ
ξ゚听)ξ「……さーてと」
ξ゚听)ξ「ブーンを探さなきゃ、ね……」
ξ゚听)ξ「……胸、か…………」
……
…………
………………
- 545 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:58:09 ID:jN0YT7XQ0
………………
…………
……
:[ロッカー]: < ドン! ドンドンドンドン!!
[ロッカー] < ダレカー! タスケテオー! クライオー!
ξ゚听)ξ「あ……ここだわ、分かりやすい……」
[ロッカー] < ツ、ツンカオ!? アケテクレオー!
ξ--)ξ「はいはい……今開けますよっと」 ガチャガチャ…
(;;゚ω゚)「ぶあああぉぉぉぉ!! 暑かったおおおぉぉぉぉ!!!」
ξ;゚听)ξ「うわ、すっごい汗!!」
ξ;゚听)ξ「……ちょっと、引くわ……」
(;;゚ω゚)「ひ、ひどいお……」
- 546 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 02:59:15 ID:jN0YT7XQ0
( ;ω;)「はぁ〜〜〜〜……でも、助かったお……」
( ;ω;)「暗かったお……狭かったお……怖かったお……」
( ;ω;)「なにより暑かったお……蒸し豚にされるかと思ったお……」
ξ;゚听)ξ「自分で豚って言っちゃうんだ……」
ξ;゚听)ξ「あっ……それよりブーン! 時間大丈夫!?」
( ;ω;)「おっ?」
ξ;゚听)ξ「おっ? じゃないわよ! 百物語、今日で最終日なのよ!」
( ;ω;)「……」
( ゚ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおお!!! 今日で最終日!?」
- 547 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:02:11 ID:jN0YT7XQ0
( ゚ω゚)「まずいお! まだ書き溜め途中なんだお!!」
( ゚ω゚)「どうやって主人公が惨殺されるか浮かばないんだお!!」
ξ;゚听)ξ「いや、アンタ、司会者もやらなきゃなんないのよ?」
( ゚ω゚)「おおおおおおおお司会者!? そうだお! 僕、司会者もしてるんだったお!!」
( ;ω;)「時間が無いおー! どうしてこうなったおー!?」
ξ;゚听)ξ「泣いてる場合か!」
( ゚ω゚)「とりあえず作品投下開始前の挨拶やってくるお!!」
ξ;゚听)ξ「えっ、今更……?」
( ゚ω゚)「やるお!? せっかく台本も用意したんだお! あっ、台本……台本はどこやったかお……!?」
ξ;゚听)ξ「ああもう……やるなら急いで! 投下、もうとっくのとっっくに始まってるから!!」
( ゚ω゚)「ウソん!? そうなの!?」
- 548 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:03:50 ID:jN0YT7XQ0
( ゚ω゚)「おおおお! もうヤバいお!! ダッシュで走るお!!」
ξ;゚听)ξ「あッ……」
⊂二二( ゚ω゚)二⊃「ブゥゥ――――――――‐」
ξ;゚听)ξ「……待ってっ!!」
( ゚ω゚)「――――‐お!?」
( ゚ω゚)「…………」
ξ;゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「……どうかしたお?」
- 549 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:05:35 ID:jN0YT7XQ0
ξ;゚听)ξ「……その」
( ^ω^)「……」
ξ;゚听)ξ「今日、この百物語で……」
ξ;゚听)ξ「もし、もしも……百話まで行ったら……」
ξ;゚听)ξ「……ど、うする?」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……“怪異”の、ことかお?」
ξ;゚听)ξ「……」
- 550 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:07:21 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「そりゃ大丈夫だお、あんなの怖がらせの与太話……」
ξ;゚听)ξ「もしも!」
( ^ω^)「……」
ξ;゚听)ξ「……もしも、本当だったら」
ξ;゚听)ξ「本当に、“怪異”が現れたら」
ξ; )ξ「ブーンは、どうするの……?」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「…………」
- 551 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:09:05 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「……僕は、僕だお」
( ^ω^)「僕は、ツンと一緒にいるお!」
ξ; )ξ「……」
( ^ω^)「もし、怪異ってのがツンに危害を加えるなら、僕はツンを守るお!」
ξ )ξ「……」
( ^ω^)「絶対守るお!」
( `ω´)≡つ≡つ「守るんだお! ボコボコにしてやんお!」 シュシュシュ!!
ξ ー )ξ「…………」
ξ* )ξ「……そう、だよね」
- 552 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:10:22 ID:jN0YT7XQ0
ξ゚听)ξ「……ごめんね、勝手に呼び止めちゃって」
( ^ω^)「おっ……なんか知らんけど、納得してくれたならそれでいいお」
ξ゚听)ξ「そう……よね、やっぱり、女は胸とか……足とか……だけじゃないわよね……」
( ^ω^)「えっ?」
ξ )ξ「……ありがとう、ちょっと……不安になって……」
( ^ω^)「え、なんだお……なんだおこの雰囲気……ツンの頭の中でどういう思考回路が組み立てられていたんだお……」
ξ* )ξ「……ッ」
ξ*゚听)ξ「いいからっ! 早く行きなさいよ! 司会者するんでしょ!?」
(;^ω^)「おおっ!! そうだお!! もうこんな……もうこんな時間だお!?」
- 553 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:11:56 ID:jN0YT7XQ0
(;^ω^)「ヤベェおヤベェお〜! そう、まず台本を探さなくちゃならないんだお!!」
(;^ω^)「ツン! 台本見付けたら教えてお!! メールくれお!!」
ξ゚听)ξ「おう!」
(;^ω^)「そんじゃ! 僕は行くお!!」
⊂二二(;^ω^)二⊃「ブ――――‐ン!!」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「…………」
- 554 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:12:44 ID:IW9VAKCY0
- かわいいなぁ
- 555 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:13:30 ID:jN0YT7XQ0
ξ*゚听)ξ「……あーあ、なーんか……」
ξ*゚听)ξ「ハッズいことしたなー……」
ξ*゚听)ξ「……あの幽霊め」
ξ*゚听)ξ「なにがデレちゃんよ、馬鹿馬鹿しい」
ξ*--)ξ ー3 ハァ
ξ--)ξ「ちょっと、不安になっちゃった私も私だけどねー……」
ξ゚听)ξ「さっ、台本とやらを探してあげるかな……」
……
…………
………………
- 556 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:16:39 ID:jN0YT7XQ0
- ………………
…………
……
( ^ω^)「あー、あー……、マイクテス、マイクテス……」
⊃¶
( ^ω^)「よしよし、マイクおkですおー、問題ありませんおー」
( ^ω^)「……え? ん、なに、聞こえてるって? ……今、会場に?」
( ^ω^)「……」
( ^ω^ )「どうも失礼いたしました! 皆さん! 司会のブーンですお!」
( ^ω^)「さて皆さん、『百物語のようです2013』いかがですかお?」
( ^ω^)「楽しんでますかお? 怖くて怖くて震え上がっていますかお!?」
( ^ω^)「しかしっ! 残念ながら! とうとう本日を持って祭り最終日となりますお!」
- 557 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:18:48 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)「とっておきの話を出し惜しみしてる人も……」
( ^ω^)「まだまだ諦めずに足掻いてる人も……」
( ^ω^)「泣いても笑ってもこれが最後ですお!」
(;-ω-)「……こういうのを僕が言うのも、なんですけど」
( -ω-)「……ちょっと遅刻するくらいなら、許してあげないこともない……ですお」
( ^ω^)「規定上! タイムリミットは本日早朝7時!」
( ^ω^)「本日、8月19日の早朝7時までですお! お間違えの無いよう!」
( ^ω^)「この機会を逃したら、次は来年か……はたまた再来年か分かりませんが」
( ^ω^)「今年の百物語は残すところわずか! 投下するもしないも、存分に楽しみましょうお!」
- 558 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:21:34 ID:jN0YT7XQ0
('A`) 「はぁ〜、ったく……心配させやがって……」
('A`) 「……つーか、大遅刻しといて今更やるかよ、挨拶」
(´・ω・`)「こっちはとっくに勝手に始めてるのにねぇ」
川 ゚ -゚)「まあ、これでやっとまともに進行できるじゃないか、まともに」
('A`) 「ああ、なんか……正気を疑う謎企画のせいでな……みんな躊躇してるからな……」
(´・ω・`)「そういや……さっきそこでブーンとツンが何やら騒いでたんだけど」
川 ゚ -゚)「あぁー……」
(´・ω・`)「あれが遅刻の原因かな? あれが……」
('A`) 「えぇーマジかよ、祭り最終日に痴話喧嘩っすか……仲の良いこって……」
ξ゚听)ξ「ちょっと、なんか嫌味な言葉が聞こえてくるんだけど」
('A`) 「ヘヘッ、今のは聞かなかったことに……」
- 559 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:22:51 ID:jN0YT7XQ0
('A`) 「……ってもさ、実際、そうだろ? 痴話喧嘩だろ?」
川 ゚ -゚)「痴話喧嘩に明け暮れてこれだけの大遅刻とは、情けないどころでは済まないな」
ξ゚听)ξ「いや別に、痴話とかそんな関係じゃないから」
(´・ω・`)「またまたぁ、本日も愛がゆえの鉄拳が炸裂してたじゃないですかぁ?」
ξ゚听)ξ「っていうか、そもそもさっきのアイツは……」
ξ--)ξ「……いや、まあいいわ」
ξ--)ξ「いいわよ、痴話喧嘩で、実際そんなもんだから」
川 ゚ -゚)「ほう……?」
('A`) 「馬鹿な……いつものツンなら真っ向から否定しにかかってくるのに……」
(´・ω・`)「コイツ本当にツンか? 偽物じゃね?」
- 560 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:23:41 ID:jN0YT7XQ0
ξ--)ξ「別にー?」
( ^ω^)「……おおっと! どうやらお時間のようですお!」
( ^ω^)「それでは、次は朝日が昇るころにお会いしましょう!」
( ^ω^)「皆さん、最後の頑張りに期待していますおー!」
( ^ω^ )ノシ「司会のブーンでしたお!」
ξ*--)ξ「……ちょっと、気分が良いだけよ」
.
- 561 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:25:09 ID:jN0YT7XQ0
( ^ω^)百物語のボーナスタイム、のようです
(
)
i フッ
|_|
脱線が過ぎましたテヘペロ
いやほんと投下速度遅いわ突貫工事がミエミエだわで色々すんませんっした
- 562 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:25:58 ID:kvTNQZZI0
- ( トェェイ)←普通にトェェイと読んでしまったw
- 563 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:26:18 ID:IW9VAKCY0
- 乙!
チャンスタイムにふいたわ
- 564 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:26:32 ID:tGIwI98sO
- 投下が終わったばかりですが、イラストで蝋燭もらいます
.,、
(i,)
|_|
⌒*リ´・-・リ龍神様の嫁探しのようです(ФωФ )
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1117.jpg
(
)
i フッ
|_|
78本目 終わりました
- 565 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:28:12 ID:rOAjZfD60
- ワロタ
本当にやるのかと思ってびびっちゃったよ
えっと78本目いただきます
.,、
(i,)
|_|
- 566 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:28:17 ID:O6WuuAK60
- じゃあ79本目戴こう
お前ら、待たせたな
- 567 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:28:59 ID:O6WuuAK60
- おっと、お先にどうぞ
- 568 名前:もうしわけない先にいただきます、訂正で79本目です :2013/08/19(月) 03:30:49 ID:rOAjZfD60
- 運命の女性のようです
( ・∀・)「…………」
いつもと同じように目覚めた僕の目に入ったのは、真っ赤な糸。
ベッド、床、居間。
どこまでもどこまでも続いていくそれに見覚えはなかった。
( ・∀・)(なんだこれ?)
手近にあった糸を手繰ろうと左手を伸ばして、
( ・∀・)「あ」
見つけた。
左手の薬指に、赤い糸が結ばれていた。
いや、絡み付いていたというほうが正しかった。
継ぎ目も結び目もないそれは、明らかに異常だった。
(;・∀・)(なんだこれ)
鋏を取り出し、それを切ろうとした。
……手が震える。
息が乱れ、鼓動が早くなる。
怖い。
これを切ってはいけない。
これは自分の体の一部、動脈か心臓のように大事な大事な臓器なのだ。
(; ∀ )(なに馬鹿なことを考えているんだ)
無意識に浮かんだ考えを一蹴しようとする。
だけど拭うことはできなかった。
- 569 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:31:51 ID:rOAjZfD60
- (; ∀ )「……無理だ」
やむなくハサミを引き出しに戻し、恐る恐るもう一度触れてみた。
なんの変鉄もない糸だ。
綿でできているような、しかしいくら触っても毛羽立つことはなかった。
糸を引っ張ってみる。
……かすかに手応え、ピンと糸が張る。
どこかに繋がっていることはたしかだ。
( ・∀・)「…………」
僕は考える。
大学は今夏休みだし、バイトもない。
友人のほとんどは帰省してしまって遊ぶことはできない。
恋人はいた、でも。
( ・∀・)(やめたやめた)
あいつのことを考えるのは。
頭をがしがしとかきむしる。
じっとりとかいた汗が指に絡み付く。
そうだ、暇なのだ。
どうせ、暇なのだから、この糸の行方を探ろう。
( ・∀・)(この先にいるのはかわいい女の子かもしれないし)
今までバカらしいと思っていたけど、まったく信じていなかった訳ではない。
運命の赤い糸。
( ・∀・)「どこに導いてくれるのかな」
一人呟きながら、僕は家の鍵を手に取った。
- 570 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:33:02 ID:rOAjZfD60
- 外は晴天、地面と人を焼き付くす灼熱の太陽が燦々と輝いていた。
(;・∀・)「あっついなぁ」
ぼやきながら自転車を走らせる。
いつもならアスファルトに焼き疲れて無心でペダルを漕ぐのに、今日は軽快に進むことが出来た。
赤い糸の先に浮かれているからか、それとも夏休みだからか。
( ・∀・)「…………」
「モララーくん!」
後ろに乗せる人がいないから、かもしれない。
( ・∀・)「…………」
十字路を左折する。
川を越えて、自転車を降りた。
この先にある坂は、とてもじゃないけど自転車なんかでは登れないからだ。
そういえば中学のときに、二人乗りしてこの坂を登ろうとしたっけ。
立ち漕ぎして、踏ん張って、あの子からの気遣いをぶっきらぼうにはねのけて。
だけど、疲れてしまって、自転車は全く進まなくなってしまって。
「もう!無理しすぎなんだから」
荷台が急に軽くなった、と同時に後ろから支えられた。
それがなんだか悔しくて、僕は顔を真っ赤にしながら彼女のことを罵った。
なんで降りてしまったんだと、責めてしまった。
君を乗せて坂の上まで登りたかったのに、って。
- 571 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:33:33 ID:bSjWwjx20
- wktk
- 572 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:34:26 ID:rOAjZfD60
- そうしたら、
「隣で歩きながら坂を登るより、へろへろになりながら立ち漕ぎしてるほうがかっこわるいもん」って。
ごもっともだった。
なんで二人乗りで坂を登ることがかっこいいのだと思っていたのだろう。
( ・∀・)「…………」
坂を登りきる。
糸は坂の下へ、それより先にも続いている。
自転車に跨がり、一気に坂を降りた。
心地よい車輪の音、風のおかげで幾分か暑さが和らいだ。
糸が弛むことはなかった。
かといって、車輪に絡み付くこともなかった。
いつでもほどよく長さが調節されているような、不思議な感覚。
( ・∀・)(やっぱり、この糸は普通じゃない)
ガコンという衝撃とともに平地にたどり着く。
少し尻が痛い。
それでも構わずペダルを漕いだ。
住宅街を抜けて国道に出る。
帰省ラッシュで混んでいる道路を見ながら、田舎にいる親戚に顔を出さなきゃなぁ、なんて思った。
だけどあんまり会いたくなかった。
僕くらいの年でも、結婚だのなんだのとうるさいからだ。
( ・∀・)「…………」
横断歩道を渡り、それから五分ほどしてから中学校に着いた。
糸は校舎をぐるりと囲むようにして張られているようだった。
- 573 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:35:18 ID:rOAjZfD60
- 校門の周辺は賑やかであったが、裏門のあたりには人も車もいなかったので、僕は少しよそ見をして体育館を見た。
改修工事をしているらしく、工事用の目張りがしてあり、屋根しか見えなかった。
そういえば、三年生になる前のバレンタインで彼女から体育館裏に呼び出された覚えがある。
生チョコをもらった。
義理とも本命とも言われず、ドキドキしながらそれを食べて、あまりの嬉しさに身悶えした覚えがあった。
彼女は、とても綺麗で、僕と違って機転が利く子だったから、憧れていたんだ。
( ・∀・)「…………」
結局そのもらったチョコが、本命だと知ったのは一年後であった。
その時もチョコを、ガトーショコラをもらい、僕はお返しにクッキーをあげた。
すると彼女はボロボロと泣き出して。
「わたしじゃ、だめですか?」
と。
どうして泣くのか聞いたら、クッキーは友達でいようという意味なのだと答えた。
全然そんな気はなかったのに、僕はもうずっとずっと前から、中学の入学式のときから好きだったというのに。
トロ臭くていつも失敗ばかりしていた僕を助けてくれた彼女が、大好きだったというのに。
- 574 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:36:25 ID:rOAjZfD60
- ( ・∀・)「…………」
裏門を通りすぎて次の角を曲がったら、反対の車線を跨がって逆方向に糸が延びていた。
左右を確認してから車道を渡り、糸を辿る。
こちらのほうは、また住宅街が多くなるはずだな、と僕は思い出す。
彼女の家はこの近くであった。
( ・∀・)(あれ、)
見覚えのある道ばかりを通る。
よく彼女の家に遊びに行くときと同じ道だった。
( ・∀・)「…………」
案の定、そうだったらしい。
しかし彼女の家はとっくになくなっていた。
彼女がいなくなってから、両親は引っ越してしまったからだ。
土地を売り払い、家を潰し、更地となっていた。
( ・∀・)(今は売りに出されているんだ)
暑い風にはためく、やたらと派手な不動産屋ののぼりを見て僕は理解した。
- 575 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:37:29 ID:rOAjZfD60
- ……二階建ての、立派な家だった。
僕の実家は団地で自分の部屋がなかったけど、彼女は自分の部屋を持っていた。
初めて部屋に招かれた時のことを思い出す。
彼女の部屋はこざっぱりとしていて、明るくて、清楚な女の子のにおいがした。
そのにおいも、彼女が成長していくうちに薄れていってどんどん華美なものへと変化していってしまったけど。
それでも僕は、好きだった。
どんなに変わってしまっても彼女は彼女であったから。
( ・∀・)「…………」
自転車を漕ぐ。
住宅街を走り抜け、工場地帯へと入る。
ここらへんは昔は栄えていたけれど、今となっては閉鎖している工場も多くそのまま放置されているものが多い。
( ・∀・)(……近付いてきている)
彼女の死に場所に。
もう少し先を行けば廃工場があって、やたらと高く建てられた事務所のビルがある。
( ・∀・)(やっぱりそうだ)
黄色いテープが張られて出入りを禁じられている門の近くに自転車を止める。
テープを掻い潜り、糸を追う。
- 576 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:39:05 ID:rOAjZfD60
- ( ・∀・)(ああ、)
糸は、例の事務所のビルに続いていた。
鍵の壊れた扉を開ける前に、ちらりと横を見る。
雨に流されたチョークの線が、うっすらと残っていた。
扉を開け、物が散乱しているそのなかを転けないよう気を付けて歩く。
( ・∀・)(…………)
「あのね、モララーくん。わたし、先輩に襲われちゃったの」
え?
「お酒飲みすぎちゃって、新歓コンパで……。本当にごめんなさい、ごめんなさい。なんでもするから許して、もうお酒も飲まないから」
……大丈夫だよ、嫌いにならない。
きみは悪くない。
「悪いよ、だってわたし、恋人がいるのに、こんな」
怒ってないから、大丈夫だって。
「……なんで怒ってくれないの?怒ってくれたら、わたし、許されたって……ちがう、勝手すぎる、モララー、ねえ」
落ち着いて、落ち着いてよ。
僕は、本当に怒ってないし、許しているから。
「ごめんなさい、モララー、ごめんなさい」
( ・∀・)「…………」
僕の感覚は、いつでも彼女とずれていた。
彼女が望むものを差し出せたことがあっただろうか?
僕は、彼女のためになにができたんだろうか。
( ・∀・)(屋上に来てしまった)
糸は、まだまだ続いている。
屋上の扉から柵まで一直線に。
- 577 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:40:08 ID:rOAjZfD60
- そして、柵を通り越して垂れ下がっている。
ああ、いる。
この先に、あの娘がいる。
ゆっくりと、歩く。
焦れったい。だけど、こんな自分が、彼女に会っていいものかと思うと、歩みが遅くなる。
( ∀ )(僕のせいだ)
彼女が死んだのは、僕のせいだ。
ただ優しく接していればいいってものではなかった。
彼女が望むなら、それを責めるべきだったのだ。
僕は、僕は。
( ∀ )「…………」
すぅ、と息を吸う。
柵に手をかけ、体を乗り上げて、下を覗いた。
ミセ,"、。)リ
( ∀ )「あ……」
仰向けの体。
投げ出された四肢の、左手に、赤い糸。
潰れた顔が、片目が、僕の両の目とかち合う。
- 578 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:40:11 ID:bSjWwjx20
- うわぁ…
- 579 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:41:48 ID:rOAjZfD60
- (; ∀ )「ミセリ、」
僕の、大好きな女の子。
たくさん傷つけてしまった恋人。
あんなに綺麗だったのに、こんなに顔を歪ませて。
ごめん。ごめんなさい。
殺してごめんなさい。
きみのしたことは、他人からしたら顔をしかめられるようなことかもしれないけど、でも僕にとってはそれより、きみが素直に謝ってくれたことが嬉しくて。
裏切らずに僕のもとに帰ってきたことが嬉しくて、それだけで許してしまえたから。
( ∀ )「ミセリ、」
きみを責めたくなかった。責めるくらいならそんな事実を忘れるくらい幸せに、満ち足りた幸せを共有できたら、って。
だけど、それできみがいなくなったら、意味がないじゃないか。
( ∀ )「ミセリ、」
大好きだ。
今でもずっときみを好いていた。
会いたいと願っていた。
君は不本意かもしれないけど、でも。
君に会えて嬉しい。
ああ、ミセリ。
- 580 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:43:45 ID:rOAjZfD60
- ( ∀ )「愛してるんだ」
糸が、揺れる。
どうして、なんて考えない。
僕はミセリに会えたことが嬉しかったから、この目にすべてを焼き付けようとしていた。
( ∀ )「ミセリ」
呼んだ刹那。
ミセ,"、。)リ「 」
ミセ,"ー。)リ「 」
ミセ,"о。)リ「 」
微かに、しかしはっきりと聞こえた。
( ・∀・)「ミセリ……!」
次の瞬間、僕の体は宙に投げ出されていた。
いつ柵を越えたのか、そんなのはどうでもいいや。
ミセリ、ミセリ。
ずっとそばにいよう。
ずっと、ずっと、…………。
- 581 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:44:51 ID:rOAjZfD60
- ミセ*゚ー゚)リ「ねえねえ、モララーくん」
( ・∀・)「うん?」
ミセ*゚ー゚)リ「昔はね、心臓と左の薬指は太い血管があると思われてたんだって」
( ・∀・)「へえー?」
ミセ*゚ー゚)リ「それで愛は心臓に宿るから、その愛を指輪で繋ぎ止めようって意味なんだってさ」
( ・∀・)「じゃあ、糸だと絡めとられちゃいそうだね」
ミセ*゚ー゚)リ「ねー」
ぐしゃり
- 582 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:45:51 ID:rOAjZfD60
- ファム・ファタールのようです
(
)
i フッ
|_|
- 583 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:47:21 ID:rOAjZfD60
- お粗末さまでした
>>566
待たせてごめんなさい、ありがとうございました
- 584 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:47:22 ID:bSjWwjx20
- なんという鬱ルート……最期は幸せだったのか
乙
- 585 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:51:34 ID:O6WuuAK60
- 難しいなぁ男女関係って
じゃあ、80本目行っちゃうね
ほのぼのギャグだから身構えないでいいよしなくていいよ
- 586 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:52:18 ID:O6WuuAK60
- .,、
(i,)
|_|
- 587 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:53:08 ID:O6WuuAK60
- 『私はヨーゼフ・ハイター博士だ』
原作:The Human Centipede
『互いの内臓を接合することで』
邦題:ムカデ人間
『三体をひとつの結合体にする』
百物語参加作品
.
- 588 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:53:50 ID:O6WuuAK60
- 『Aが摂取した食物は、Bの内臓を通過して』
A B C
'⌒ヽ __ '⌒ヽ __ '⌒ヽ __
l` ー---‐' `ヽ l゚ ー---‐' `ヽ l^ ー---‐' `ヽ
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し'´ し'´ Lノ し'´ L.ノ L.ノ
『最後にCへと至る』
- 589 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:55:05 ID:O6WuuAK60
『ムカデ人間を創るのだ』
.
- 590 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:56:32 ID:O6WuuAK60
- ゼミで小耳に挟んだカルト映画を、軽い気持ちで借りて観た
最悪の発想で人間を弄くるマッドサイエンティストのホラー映画
もし自分が、彼女達と同じ目に遭えば…そう思うと、とても恐ろしい気持ちになった
だけど同時に、僕の心は何故か高揚していた
『ムカデ人間を創り、飼う』
尊厳のある人間を辱め、恐怖に貶める行為に、ヒエラルキーの最上位のみが味わえる支配欲のようなものを感じ取ったからなのかもしれない
『つなげてみたい』
僕は家の倉庫からバールを引っ張り出し、バックの中に忍ばせた
- 591 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:57:25 ID:O6WuuAK60
『つ・な・げ・て・み・た・い』
.
- 592 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:58:11 ID:O6WuuAK60
- 素材は出来る限り、人を下に見るクズがいい
( ゚∀゚)「ギャハハハハwwww」
ξ゚听)ξ「ウケるーwwwww」
ああ、ちょうどああいうDQNカップルとかね
さて、問題はどう拉致するかだ
運が悪い事に日本は銃社会じゃない。そうだとしても麻酔銃や拳銃なんか、学生が用意できるはずも無いしね
じゃあどうするか?人間は頭を使う生物だ
ξ;=;)ξ「ンンンンンンン!!!!」
まずは女を拉致する
ひ弱な僕でも女子の一人くらいならどうとでも出来る
次に、彼女の携帯からDQN宛に写メを添付した脅迫メールを送信する
すると
(#゚∀゚)「出て来いオラァ!!デレになんかしやがったらぶっ殺す!!」
クソカス程度の正義心と、カッスカスな蛮勇を持ち合わせてるバカが『狩場』へとやってくる
真正面から喧嘩をする必要は全く無い
後ろから、ガツンと一発
(; ∀ )「ガッ…」
それでおしまい
- 593 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 03:59:24 ID:O6WuuAK60
- (;゚ー゚)「こんな深夜に何の用なのよ…」
これも、背後からガツンと一発
(; ー )「ア…」
これで数は揃った
レンタルしたガレージに三人を運び込み、手足をギチギチに拘束する
(#゚=゚)「んんー!!」
途中で男が起きたので、頭にもう一撃ぶち込む
( = )「…」
男はタフだから嫌になる
- 594 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:01:03 ID:O6WuuAK60
- 次に、手術に必要な道具を揃えよう
残念ながら僕は医者や病院のコネを持っていない
したがって、専門的な道具など用意できない
多少の激痛は伴うけど、工具でなんとかするとしよう
メスの代わりに包丁を使って、膝のお皿はペンチで引っこ抜こう
歯もペンチで無理やり引っこ抜いて…ああ、ハンマーで叩き折ってもいいかな
さすがにお尻や口を無理やり切り裂いたら、痛みと出血でショック死するかもしれない
ここは…うん、見た目は悪くなるけど、工業用ホッチキスでなんとかしよう
せめて痛みを和らげれるように、酒も用意した
注射器か何かがあれば、手っ取り早く酔わせることが出来るんだけど…まぁ、無理やり飲ませるだけでも大丈夫だろう
後は…ムカデ人間一番の醍醐味、食事だ
手っ取り早く漏斗を喉につっこんで、下剤を混ぜた流動食を流し込もう
一番前の人には苦しい思いをさせるけど、口の中に他人の糞が流し込まれることに比べれば楽なもんだろう
- 595 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:01:43 ID:O6WuuAK60
- 全ての道具を揃えて、ガレージへと戻ると
ξ;=;)ξ「ンンンンンンンン!!!!」
(#゚=゚)「ンーン!!!!」
(*;=;)「ウウウウウウウウウ!!」
ちょうど全員が目を覚ましていた
これは好都合だ。あのシーンの再現が出来る
格好だけでも彼に近づこうと思って購入した白衣を着て、三脚で立たせたビデオカメラを起動する
ノートPCを取り出し、パワーポイントを開いた
A B C
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し'´ し'´ Lノ し'´ L.ノ L.ノ
最もわかりやすいムカデ人間の図が画面に映し出される
彼らに見え易い位置にそれを置いて、胸ポケットからボールペンを取り出し、説明を始めた
- 596 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:03:25 ID:O6WuuAK60
- 「これより、ムカデ人間の施術を執り行う」
(#゚=゚)「ンーーーーー!!!」
男がうるさい
ため息を吐いたあと、立てかけていたバールを手に持った
(;゚=゚)「…」
途端に口を噤む
最近観たアニメで、「躾に一番効くのは痛みだ」という台詞があったが、なるほど、的を得ている
「よろしい」
再び説明に戻る
「ムカデ人間とは、口を肛門を接合し、先頭の人間が摂取した食べ物を共有する新しい生物だ」
あくまでゆっくりと、彼らの反応を楽しみながら話す
「Aが摂取した食事はBへと移り…」
「そしてCへと至り排出される」
ξ;=;)ξ「ンンン!!ンゴッ!!ンゴッ!!」
吐き気を催しているのだろうか
その表情がたまらなく僕の嗜虐心を刺激する
「そして、脚のお皿を切除する事によって、より『ムカデ』に近い容姿と行動が可能になる」
「私には医術の知識が無いため、多少荒っぽい手術になってしまうと思うが…そこは堪忍して欲しい」
(*;=;)「ううううううううううううううううう!!!!」
(;゚=゚)「んんッ!!んんんッ!!!!」
- 597 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:04:06 ID:O6WuuAK60
- 泣き喚く彼らを尻目に、ビデオカメラに向かってメッセージを残すことにする
「このビデオを見ている諸君は、どのカテゴリに属する人間だろうか?」
「人を見下すことに面白みを感じる人間か?それとも、人とすこし違っているだけでバカにされる人間か?」
「私は後者だ。群れることでしか粋がれないクソどもに笑いものにされるだけの、日陰者だ」
「そんな人たちを代表して、私は今ここにささやかな復讐をする」
「見ろ!!こいつらを!!」
床に転がる三人を指差す
「酒とタバコとセックスしか頭にないクソ共だ!!我々よりよっぽど無価値のゴミだ!!」
つい感情的になって、男の頭を蹴飛ばしてしまった
(メ ∀ )「ウウウ…」
「もしあちら側のカテゴリに属する人間がこれを見ているのなら…覚えておけ」
「貴様らのツケは、いずれこういう形で帰ってくるとな」
「それでは、手術を開始する」
- 598 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:05:04 ID:O6WuuAK60
- 男の猿轡を剥がす
(#゚∀゚)「てめえイカレてんのかこのキチガイ野郎!!」
途端に噛み付いてきた
ああ、まだコイツは自分の立場というものをわかってないのか
前歯に酒瓶の底を叩きつける
(; ∀ )「アガアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「黙れよ…」
全く、イライラさせるクソだ
「今しがた、押し付けられた劣等感を思い返して不機嫌なんだ…出来るだけ丁寧に手術して欲しいなら、大人しくしろ」
酒瓶の蓋を開け、注ぎ口をむりやり突っ込む
(;゚∀゚)「やめっ…おごごごごごごおおおおおお」
「残らず飲めよ…酒で溺れ死にたくないのならな…」
(;゚∀゚)「んぐっんぐっんぐっ…」
40度近い酒を一気に流し込む
たちまち、男の顔は高揚し、目はぐるぐると回りだす
アルコール中毒で死ぬ可能性もあったが、その時はその時だ
(; ∀ )「てめ…殺す…」
まだ噛み付く元気があるのか
だけど、抵抗はしないな
- 599 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:06:31 ID:O6WuuAK60
- 再び猿轡をして、次は女だ
(*;―;)「ねぇ!!助けてよ!!私は関係ないでしょ!?」
こいつは何を勘違いしているのか
この行動をDQNカップルへの私怨だと思っているらしい
「ああ、関係ないよ」
(*;―;)「なら!!」
「でも、お前らみたいな奴なら誰でも良かったから」
(*;―;)「え…」
これ以上の問答は無意味だ
二本目の酒を流し込む
(*;―;)「ンゴゴゴゴッ!!ゴフッ!!」
おっと危ない、殺してしまう
(*;―;)「ゲホッ!!ゲホッ!!」
しばらく咳き込ませた後、残りを注ぎ込む
こっちはもう騒ぐ元気も無いみたいだ
- 600 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:08:06 ID:mtmv.fjI0
- きが くるっとる
- 601 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:09:08 ID:O6WuuAK60
- さて、残りの女もさっさと潰してしまおう
立ち上がった瞬間
('A`)「よぉ」
「!?」
誰だ、こいつ
('A`)「そらよっと」
頭に鳴り響く衝撃音が
その日、最後の記憶―――
- 602 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:10:01 ID:O6WuuAK60
- 「ギッ!!」
脚の痛みで目を覚ます
皮膚が、肉がぶちぶちと引きちぎれる音に
膝の骨と皿の間に鉄の塊が無理やり差し込まれ、そして『挟み込まれる』
('A`)「せーのっ」
やめ――――
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
(;'A`)「っふう…意外と力使うんだな」
「あああああああ…」
激痛で、再び意識を失った
- 603 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:11:34 ID:O6WuuAK60
- ('A`)「おい、起きろ」
「う…」
ペシペシと顔を叩かれ目を覚ます
膝が痛い、そして尻も
('A`)「立ってみろ…いや、立ち上がることはもう金輪際出来ないだろうけどな」
男の顔が横に見えることから、自分が寝転んでいるんだとわかった
床が冷たい。服が脱がされている
立ち上がろうと力をいれても
『立てない』
上半身を起すことが出来ても、下半身がついていかない
『重り』が付いているかのように
\ううー/
尻に、音の振動を感じた
顔だけを、ゆっくりと後ろに向けてみる
- 604 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:12:35 ID:O6WuuAK60
'⌒ヽ __ '⌒ヽ __ '⌒ヽ __
l・ ー---‐' `ヽ l・ ー---‐' `ヽ l・ ー---‐' `ヽ
→ ヽニ二ニ====ニ二ニ==ヽニ二ニ====ニ二ニ==ヽニ二ニ====ニ二ニ==ヽ →
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し'´ し'´ Lノ し'´ L.ノ L.ノ
私を先頭に、十数名の人間が『繋がっていた』
- 605 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:12:42 ID:mtmv.fjI0
- 痛くなってきた…
- 606 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:13:44 ID:kvTNQZZI0
- これがムカデ人間か.....
- 607 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:14:17 ID:O6WuuAK60
- ('∀`)「いやぁ、隣がドタバタうるさいって思ってたら、まさか俺と同じ事をしようとしてた奴がいたとはな」
目の前の男は嬉しそうに笑う
('∀`)「ビデオカメラ見さしてもらったけど、くだらねー理由でムカデ人間創ろうと考えたなおいwwww腹ねじ切れるまで笑ったわwwwwま、人集めが楽になったから万々歳なんだけどよwwwwww」
私は、今の状況に呆然とするだけで
何も言い返せなかった
('∀`)「俺?俺かい?決まってんだろ」
('∀`)「ムカデ人間が好きだから!!大好きだからああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
('∀`)「俺ってばこだわるオタクでな、ファンになったらとことんやんなきゃ気が済まんのよwwwwwwww」
('∀`)「さ、起きろ起きろ!!!!!!俺の目の前で歩いてみせてくれ!!!!!」
そういうと男は自らの『モノ』を取り出し、扱き始めた
「…」
後列も目を覚まし、愕然としながら起き上がる
全裸になって、四つん這いで、口には他人の尻が、尻には別の他人の口が繋がっているのだ
これ以上無い絶望の表情を浮かべながら、『ムカデ達』が立ち上がる
('∀`)「ふひっ、ふひひひひっwwwwwww」
男のモノから白濁の液体が飛び出す
だが、一向に治まる気配は無かった
- 608 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:14:18 ID:VsBIKW7w0
- 吐き気が…
- 609 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:16:27 ID:O6WuuAK60
- 私は今になって
『ムカデ人間』となった今になって、やっと心の高揚の『本当の意味』を理解した
私は、『先頭に立ちたかったんだ』
後ろの人間は、何が何でも先頭に従わなければいけない
私が歩けば、そこに着いていかなければならない
私が食べたものは、後ろの人間も食べなければいけない
決して逆らうことの出来ない、絶対的なヒエラルキーの最上位に、私はなりたかったんだ
「フヒッ…」
念願叶った私の口から、笑い声が漏れた
自慰に夢中な男の耳にも
絶望に打ちひしがれる後列にも聞こえない、小さな笑い声が
ああ、なんだか『もよおして来た』ぞ
みんな腹を空かしていることだろう
さぁ、餌の時間だ
私は、腹筋に力を入れ―――
- 610 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:17:52 ID:O6WuuAK60
『つ・な・げ・て・み・た・い』
改め
『つ・な・げ・ら・れ・た・い』
終わり
.
- 611 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:18:34 ID:O6WuuAK60
※ムカデ人間及びこの物語はフィクションです。絶対に真似しないようにしましょう。
.
- 612 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:19:42 ID:O6WuuAK60
- (
)
i フッ
|_|
- 613 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:19:42 ID:kvTNQZZI0
- ま、マジキチだああああああああああ
- 614 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:20:18 ID:Jj1JIBWg0
- あぁ、うん、乙……
- 615 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:20:54 ID:FSG.adoM0
- 乙乙
81本目もらいます
.,、
(i,)
|_|
- 616 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:20:59 ID:OU2K1w3U0
- こわい
- 617 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:21:16 ID:8ytUi/KEO
- 乙乙……うええ……
最近ブーン系でムカデ人間よく見るから何かと思えば、作品スレで取り上げられていたんだな……
あれ先頭と真ん中はともかく、最後尾は全然栄養とれねえよなって気になってた
- 618 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:21:23 ID:bSjWwjx20
- 乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 619 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:21:49 ID:FSG.adoM0
- ( ・∀・) 「松明流し」……ですか?
(#゚;;-゚) はい、それがうちの集落で行われている祭りの呼び名でございます
氷の入ったグラスに麦茶を注ぎ、少女は僕の問いに応える
「どうぞ」と差し出されたそれを受け取ると、少女は押入れから座布団を取り出して、僕の斜向かいに腰を下ろした
(#゚;;-゚) 毎年お盆に行われる祭りなのですが、他所様からは「奇祭」などと呼ばれることもございまして
(#゚;;-゚) 時々あなた様のように「詳しく話を聞きたい」と訪ねていらっしゃる方々もございます
(#゚;;-゚) 決して華やかな祭りとは言えませんが、その程度には見所のある物なのでしょうね
麦茶を飲んで、一息
玄関の方に目をやると、少女は僕の心情を見通したように言った
(#゚;;-゚) ……祖母が来るまでまだ時間がございます
(#゚;;-゚) もしお望みでしたら、祭りについて、私が知っている範囲でお話致しましょうか?
( ・∀・) それじゃあ、お願いしてもいいですか?
そう言って麦茶を飲み干すと、少女はにこりと微笑んで空のグラスに二杯目を注ぎ込んだ
(#゚;;-゚) 北国でも、夏は暑いのですよ?
何気なく放ったであろうその一言が、僕にはなぜか酷く印象に残っている
- 620 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:22:00 ID:O6WuuAK60
- 皆さんお疲れ様でした
ムカデ人間、ムカデ人間2はこれ以上の狂気とグロとスカトロを味わえるので是非一度ご覧ください
- 621 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:22:51 ID:FSG.adoM0
- .
奇祭の夜のようです
.
- 622 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:23:38 ID:FSG.adoM0
- 「叔父の住む集落には、奇祭と呼ばれる祭りがある」
今からつい3日前、夏休み真っ盛りの僕は、あまりの暑さと退屈さに耐えかねて何らかの変化を求めていた
所謂「なにか面白いこと無いかなぁ」というやつだ
そんな状態の僕の耳に入ってきたその情報は、まさに朗報というべきか、天の恵みというべきか
とにかく僕は急いで準備を整えて、祭り当日、今日の始発列車でこの東北の片田舎へとやって来たのである
( ・∀・) というわけで2、3日ほどお世話になります
( ´∀`) 久し振りモナね。最後にあったのは5年くらい前モナ?
( ´∀`) お父さんから話は聞いているモナ。ゆっくりしていきなさい
( ・∀・) はい、ありがとうございます
( ´∀`) お祭りについて知りたいなら、タヌさんのところに行ってみるといいモナ
( ・∀・) タヌさん?
( ´∀`) モナ、狸娘だからタヌさん。この集落の長老みたいな人モナ
( ´∀`) すごい人モナよー、叔父さんが子供の時からずっと婆さんやってるモナ
( ´∀`) どうする? もしも行くなら、叔父さんから話を通しておいてあげるモナ
「叔父さんこれでも、ちょっとは顔が利く方モナよ?」
そう言って誇らしげに鼻を鳴らす叔父に苦笑しつつ、僕はその言葉に甘えることにした
見知らぬ外部の人間として訪ねるよりはそちらのほうが幾分かやり易いだろう。そう思ったのだ
- 623 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:24:22 ID:FSG.adoM0
- ( ´∀`) 今電話してみたら、オーケーが出たモナ
( ・∀・) ホントに?
( ´∀`) モナモナ、「いづでも来なが」って言ってたモナ
( ・∀・) ……なんて?
( ´∀`) 「いつでもいらっしゃい」って意味モナ。方言モナよ、方言
( ´∀`) この辺りの人、特にお年寄りは訛りが強くて大変モナ
( ´∀`) 孫娘のでぃさんが通訳してくれるらしいから、挨拶はしっかりしておくモナよ?
( ・∀・) 通訳って……
そうしてお話は、冒頭へ戻る
- 624 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:25:14 ID:FSG.adoM0
- (#゚;;-゚) そうですね、それではまず松明流しの内容について……
(#゚;;-゚) さらに細かく言うと松明流しがどのようにして行われるのかについて、お話し致します
( ・∀・) はい
(#゚;;-゚) 松明流しはその名の通り、大量の松明を用いて行われるお祭りでございます
(#゚;;-゚) この祭りでのみ演奏される独特の囃子を先導に、藁で出来た松明を持った参加者が集落内を周回します
( ・∀・) 囃子……お祭りの時に演奏される音楽のことですよね?
(#゚;;-゚) はい。松明流しの祭囃子に使う楽器は和太鼓、篠笛、摺鉦の3つです
(#゚;;-゚) 曲目は登り囃子と下り囃子の二部構成となっておりますが、これは順路が往路と復路に分かれているためです
( ・∀・) 往路と復路ですか
(#゚;;-゚) ええ、そうです
( ・∀・) ということはただ漫然と集落内を歩き回るわけではなく、明確な目的地があるということですね?
(#゚;;-゚) ……?
( ・∀・) 往路と復路なんて言葉を使うということは、「行き」と「帰り」を分ける何かが存在するということですから
(#゚;;-゚) ああ、なるほど。納得です
- 625 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:25:56 ID:FSG.adoM0
- (#゚;;-゚) 確かにあなた様の仰る通り、この祭りには目的地がございます
(#゚;;-゚) この集落の外れには、小さな塚がございます
(#゚;;-゚) 集落内では蛇塚などと呼ばれておりますが、正しい呼び名は「天明供養碑」
(#゚;;-゚) 天明の飢饉の犠牲者を弔うために建てられた、碑を祀る塚でございます
( ・∀・) ……へぇ
天明の飢饉
江戸中期、東北地方を中心として起こった大飢饉で、日本最大級の飢饉とされている
食料不足による集落間の殺し合いや「間引き」による口減らし、果ては人肉食まで、様々な伝承が存在する伝説的な災害だ
( ・∀・) なるほど。つまり松明流しとは、飢饉の犠牲者を供養するための祭りなのですね
(#゚;;-゚) はい、左様でございます。慰霊、鎮魂、回向……そのような意味を持つ祭だと聞いております
- 626 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:26:56 ID:FSG.adoM0
- (#゚;;-゚) そして辿り着いた蛇塚にて、祭りは山場を迎えます
山場……「松明流し」の山場となると、予想するのは難くない
闇の中、静かに揺れ動く幾つもの灯。水面は朧気に炎を映し、人々はその炎に亡き者の姿を見る
僕の脳裡には、世界各地で行われている「灯篭流し」の光景が浮かんでいた
(#゚;;-゚) ……いいえ、先程申し上げた通り、この祭りはそのような華やかなものではございません
( ・∀・) え……?
(#゚;;-゚) 蛇塚の周囲には、塚を取り囲むように掘り下げられた溝のようなものがございます
( ・∀・) 溝ですか? 川ではなく?
(#゚;;-゚) 環状に掘られた穴、と言っても良いでしょう。深さは……2メートル前後といったところでしょうか
(#゚;;-゚) 参加していただければ分かると思いますが、水はなく、草木も生えていない、ただの穴です
(#゚;;-゚) 参加者はその穴の前に等間隔に立ち、順番に穴の中に松明を投げ込みます
( ・∀・) それで、その後はどうするんですか?
(#゚;;-゚) それで、終わりでございます
( ・∀・) はい?
(#゚;;-゚) 後は下り囃子の先導に従って集会所に帰還。そこで祭りは終了でございます
(#゚;;-゚) 祭りの後はささやかながら宴会の準備をしておりますので、よろしければそちらもご参加ください
- 627 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:28:04 ID:FSG.adoM0
- ( ・∀・) 終わりですか……
(#゚;;-゚) 全体的な流れとしては、そうなります
(#゚;;-゚) 祭りの雰囲気や宴会の内容等は実際に参加していただいて、ということで
( ・∀・) 宴会の内容? それは祭りと関係があるんですか?
(#゚;;-゚) ええ、私はよくわかりませんが、大人の方々は宴会まで含めて祭りと考えている節があるようです
( ・∀・) なにか特別なことをしている、というわけではないんですか?
(#゚;;-゚) いえ、何も。あえて言うなら……そうですね……
(#゚;;-゚) 内容自体は普通なのですが、非常に長時間……翌日の昼頃まで宴会は続きます
(#゚;;-゚) その時間の長さに関しては「特別」と言っても差し支えないのではないでしょうか
( ・∀・) なるほど、確かにそれは少し変わってますね
話が一段落ついたところで、がらがらと玄関の戸が開く音がした
狸娘さんだ。僕が慌てて立ち上がり部屋を出ようとすると、でぃさんがそれを引き止めた
(#゚;;-゚) 私が呼んで参ります。少々こちらでお待ちください
- 628 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:28:50 ID:FSG.adoM0
- <バッチャ!! モナサンノドゴノキテラヤ!! ヘグ!! ヘグ!!
<ンダガ!! マヅロ!!
玄関から二人の会話が聞こえてくる
狸娘さんはともかく、でぃさんの言葉さえ、何を言っているのかよくわからない
僕と話していた時の過剰な程の敬語はこれを隠すためのものだったのだろうか
(#゚;;-゚) お待たせ致しました。こちらが祖母の狸娘でございます
しばらくして戻ってきたでぃさんは軽く頭を下げてそう言った
背後には老婆。長年の農作業によるものだろうか、ひどく背中が曲がっている
从´ヮ`从ト モナどごのわらすだべ、きでらや
( ;・∀・) え?
(#゚;;-゚) 「モナーさんの所のお子さんですね、聞いていますよ」と
( ;・∀・) は、はぁ……。甥のモララーです、よろしくお願いします
从´ヮ`从ト ンダガンダガ ハダゲスゴドステラ エマデアサグノテギダーテギダ-テラキャギコノドゴノワラハンドガノセデケデロ-?
( ・∀・) ……今のは?
(#゚;;-゚) ええっと、畑仕事から歩いて帰るのが面倒だと思ってたら近所の人が車で送ってくれた……みたいな……
(#゚;;-゚) 申し訳ありません、祖母は特別訛りが強く、私も完全には……
- 629 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:29:31 ID:FSG.adoM0
- 从´ヮ`从ト すて、わはなんの話ばせばいのや?
(#゚;;-゚) 「それで、私は何の話をすればいいのか」と
( ・∀・) そうですね、「松明流し」について、起源や歴史、伝承などを教えていただきたいのですが……
从´д`从ト ……わいはー。ねのおじかしからきでねだが
(#゚;;-゚) 「あらま、お宅の叔父さんから聞いていないのか」と
( ・∀・) はい、狸娘さんに聞くのがいいだろうと言われました
从´д`从ト わい! なんぼからぽねやみだだべ!
(#゚;;-゚) 「本当に面倒臭がりなんだから」と
从´ヮ`从ト すたばたてかででけろてさいだんだばかでねばまねべな
(#゚;;-゚) 「とは言っても面倒見てくれと言われたならそうしないといけないだろうなあ」と
从´ヮ`从ト へば、あだまがらしゃべてぐが……
(#゚;;-゚) 「それじゃあ、一番初めから話していこう……」
そうして狸娘さんが語ったのは、松明流しに関するなんとも悲しいお話だった
从´ヮ`从ト むがーすむがす、このあだりできぎんがあってろー……
(#゚;;-゚) 「昔々、この辺りで飢饉がありまして……
- 630 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:30:22 ID:FSG.adoM0
- 昔々、この辺りで飢饉がありまして
天明の飢饉というのですが、冷害などの影響で、全く作物が取れなくなってしまったのです
周囲の集落でも沢山の人々が亡くなりました。消えてしまった集落もあるほどです
人々は飢えのあまり、道に生えた雑草や木の根、仲間の死体、ついには家の壁土まで口にしたといいます
しかしながら私達の住むこの集落だけは、充分な食料を確保することが出来ました
この辺り一帯を治めていた地主様が、飢饉を見越して大量の作物を備蓄していたためです
( ,,^Д^) この米を集落の皆に食べていただきましょう
( ,,^Д^) 恩など感じる必要はありません。皆がいなければ私だって生きていくことは出来ないのですから
地主様は集落内の者に作物を分け与え、集落内の者はそれによって飢えをしのぐことが出来ました
この噂は他の集落にまで伝わり、多くの飢えた民が地主様のもとへやって参りました
地主様はそれらの民を客として招き入れ、全員に充分な食料を与えました
- 631 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:31:08 ID:FSG.adoM0
- さて、少し話は変わりますが、ここから山を二つほど越えたところにNという集落がございました
この集落は住民の殆どが工業を生業としており、農具や武具を作っては売り、そのお金で食料を手に入れていたそうです
当然ながら飢饉の影響は、この集落にまで及びました
(;´_ゝ`) どうして売ってくれないんだ!? 金ならあると言っているだろ!
(;@∀@) 冗談じゃないよ。あんたらに売ったら、俺が飢え死にすることになるじゃないか
(;@∀@) 僅かに収穫できた米もお上にほとんど持って行かれちゃって、他人にやる分なんて残ってないよ!
皆、自分達が生きるのに必死です
いくらお金があっても、食べ物を売ってくれる人が居なければ何の意味もございません
N集落の人々は一人、また一人と倒れ、300人ほどいた住民も、とうとう50人足らずになってしまいました
そんな時でございます。私達の集落の噂が彼らの耳に届いたのは
('A`) 山を二つ越えた先の集落では地主が食料を分け与えているらしい
(;´_ゝ`) 本当か!? 急いで行かなくては!
(´<_`;) いや待て、そんなうまい話があるわけがない
(;´ー`) どっちにしろ、このままじゃ飢え死にだーヨ……
('A`) 行くしかない、か……
N集落の、命懸けの行進が始まりました
- 632 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:31:16 ID:8ytUi/KEO
- 支援
- 633 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:31:58 ID:FSG.adoM0
- 今はもうどこの山でも整備された山道がありますが、当時はそのようなものはございません
足場の悪い獣道、飢えた野犬の群れ、山特有の気候
様々な障害がN集落の住民を襲います
何ヶ月もの間まともな食料を口にしていない彼らにとって、それらはなんとも耐え難い苦難であったことでしょう
無事にこの集落まで辿り着くことが出来た人数は、出発時の半分以下、20人余りだったと言われております
(ヽ゚_ゝ゚) とうとう……着いたぞ……
(ヽ゚A`) 米を……米をくれ……
( ,;^Д^) なんと皆さん、どうなさいました!?
(ヽ゚_ゝ゚) 私達はN集落の住民だ。ここに来れば食料がもらえると聞いてやって来た
(ヽ゚A`) もうずっと物を食べていないんだ。お願いだ……食料を分けてくれ……
( ,;^Д^) それはいけません! 早速ご用意いたしましょう!
(ヽ;A;) ありがとう……ありがとう……
地主様はN集落の住民のために大釜いっぱいの白粥を作り、それを振舞いました
彼らは一心不乱に白粥をかき込んで、あっという間にそれを平らげてしまいました
- 634 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:32:53 ID:FSG.adoM0
- ――しかし、それが間違いなのでした
何ヶ月もの間碌な食事をしていない彼らの体は極限までに衰弱しておりました
そんな状態で大量の白粥を消化することなど、できるはずもありません
どれだけ食べたいと思っていても、体が受け付けないのです
白粥を食べ終えて間もなくして、N集落の住民は激しい苦しみに襲われました
腹を押さえてのたうち回り、口からは先ほど食べた白粥が、大量の血とともに溢れ出します
血と涙と吐瀉物に塗れながら、N集落の住民は地獄の苦しみの中で息絶えました
(#゚;;-゚) ――彼らを哀れに思った地主様は、その死体を一処に集め、埋葬なさいました」
(#゚;;-゚) 「それが現在のへび塚なのでございます」と
「とっつぱれ」という言葉をもって、狸娘さんは話を締めた
でぃさんによると、昔話の結びに使われる文句であるらしい
(#゚;;-゚) あえて標準語に直すのであれば、「めでたしめでたし」……は、適切ではありませんね
(#゚;;-゚) なんと言えばよいのでしょうか……
( ・∀・) いえ、言いたいことはわかりました。ありがとうございます
从´ヮ`从ト たいまづながすはそのつぐのとすがらはづまたみてだやなー
(#゚;;-゚) 「松明流しはその次の年から始まったみたいですね」と
- 635 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:33:50 ID:FSG.adoM0
- ( ・∀・) なるほど、勉強になりました。ありがとうございます
从´ヮ`从ト なもなも、えだ、えだ
(#゚;;-゚) 「いえいえ、いいんですよ、いいんですよ」と
从´ヮ`从ト すて、なはたいまづながすさかだるだな?
(#゚;;-゚) 「それで、あなたは松明流しに参加するんですか?」と
( ・∀・) はい、そのつもりです
从´ヮ`从ト とす、なんぼだ?
(#゚;;-゚) 「何歳ですか?」と
( ・∀・) 先月20になりました
从´д`从ト ……こごののわらすだな?
(#゚;;-゚) 「この集落の人間の子ですか?」と
( ・∀・) ええ、母がここの生まれです。18で上京するまでここで暮らしていたらしいです
从´д`从ト ……あいったー
(#゚;;-゚) 「あちゃー」と……え? ばっちゃ、どうかしたの?
- 636 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:34:54 ID:FSG.adoM0
- 从´д`从ト なも、いだ。して、さぎにえさけるだな
(#゚;;-゚) ……
(#゚;;-゚) 「なんでもありません。ところで、先に家に帰るんですか?」と
从´ヮ`从ト えさけるつもるねだばままくてがなが
(#゚;;-゚) 「家に帰るつもりがないならご飯を食べていってください」と
(#゚;;-゚) お祭りが始まるまで、あまり時間はありません
(#゚;;-゚) 特に用事がなければここでご飯を食べて、真っ直ぐ会場に向かわれてはいかがでしょう?
( ・∀・) うーん
家に帰る用事はないけれど、少し悪い気がしないでもない
そんな僕の気持ちを察してか、でぃさんは立ち上がり、押入れの襖を開けた
中を見るとそこにはハムやら酒やら高級そうなお菓子やら、沢山の食べ物が積まれていた
(#゚;;-゚) 私共はこの辺りでは名家などと呼ばれておりまして、この時期はお中元の処理に追われます
(#゚;;-゚) 厚かましいお願いとは存じますが、よろしければお力を……
( ・∀・) ……それじゃあ、ごちそうになります
从´ヮ`从ト んだんだ、それでいいだ
- 637 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:35:37 ID:FSG.adoM0
- 食事を終えて一休みしていると、町内放送のアナウンスが聞こえてきた
「今夜の祭りの参加者は、集会所に集まるように」だそうだ
(#゚;;-゚) それじゃあ行きましょうか
从´ヮ`从ト んだんだ、いてこい
从´ヮ`从ト わもあどでのみさいぐはんでろー
(#゚;;-゚) 「私も後で宴会に行く」と
( ・∀・) そうですか、それではまた後で
そう言って僕とでぃさんは集会所へ向かった
集会所は歩いて5分ほどの場所にあり、僕等が着いた時にはもう沢山の人で賑わっていた
( ・∀・) 思ったより人が居るんですね
(#゚;;-゚) はい。それぞれの家から最低でも一人以上の参加が義務付けられており、毎年80名ほどの参加者がおります
( ・∀・) 義務? もし参加しなければどうなるんですか?
(#゚;;-゚) ……さあ? 前例がないので
( ・∀・) 前例がないって、そんなことありえるんですか?
(#゚;;-゚) ええ。少なくとも祖母の記憶にある限り、そのようなことは起こったことがないそうでございます
- 638 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:36:41 ID:FSG.adoM0
- と、その時、人混みの中からひとつの影が飛び出してきた
恰幅の良い男性。歳は僕より少し上といったところだろう
( ^ω^) おっおっ、でぃちゃん遅かったじゃないかお?
(#゚;;-゚) うん、ちょっとね
( ^ω^) ……お? 隣にいる人は誰だお? この辺りじゃ見ない顔だおね
(#゚;;-゚) えっと、モナーさんの親戚のモララーさん。お祭りに参加するんだって
( ・∀・) よろしくお願いします
( ^ω^) ふーん……僕はブーンと申しますお。こちらこそよろしくおねがいしますお
( ^ω^) ところでモララーさん、歳はいくつだお?
( ・∀・) 20ですが、どうかしましたか?
( ^ω^) ……ああ、いやいや、この後宴会もあるから、お酒が飲める歳か聞いておきたかったんだお
( ^ω^) 宴会は集落の大人のほとんどが参加して、明日の昼まで賑やかに飲み明かすんだお!
( ^ω^) 当然僕も参加するお! 困った事があったら僕のところに来てくれお!
(#゚;;-゚) お祭りに参加する大人は皆、宴会の話ばかりするんです
( ^ω^) でぃちゃんは今19歳だおね? 来年になればわかるお……うん……
( ・∀・) ?
- 639 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:37:42 ID:FSG.adoM0
- ( ^ω^) さ、お祭りが始まるお! 向こうで松明配ってるから、貰ってくるといいお!
(#゚;;-゚) そうだね。それじゃあモララーさん、行きましょうか
( ・∀・) うん、そうしましょうか
集落の老人に軽く挨拶をして松明を受け取ると、どこからか拡声器のハウリングが聞こえてきた
それを聞いた住人は音のする方へと移動を始める。どうやら、いよいよ祭りが始まるようだ
(,,゚Д゚) 『皆さん聞ごえますがー!? それでは今がらたいまづながしを始めますー!』
(,,゚Д゚) 『まンず、囃子の人、先頭さあづまってください! そいでー、あどの人はその後ろさ一列に列んでくださいー!』
(,,゚Д゚) 『囃子がはづまりましたら運行はづまりです。それではがんばりましょう!』
周囲から歓声が上がり、それが止むと前方で祭り囃子の演奏が始まった
往路の囃子は、確か上り囃子と言っただろうか
ゆったりとしていて、それでいて力強い、荘厳な音色だった
(#゚;;-゚) 私達はこれから、蛇塚とは反対の方向へ向けて出発致します
(#゚;;-゚) 集落のすべての家を一筆書きに経由して、それから蛇塚へ向かうのでございます
(#゚;;-゚) それぞれの家の前には燭台が置かれておりまして、参加者は自分の家の燭台を使って松明に火を灯すのです
(#゚;;-゚) あなた様は私の家の燭台をご利用ください
- 640 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:38:34 ID:FSG.adoM0
- 囃子の先導に従って、薄暗がりの中を幾つもの影が歩く
一つ、二つ、民家の前を通る度に明かりが増える
両手で抱えるほどの大きな松明が、歩調に合わせて上へ、下へ
炎の揺らめくその様子は、まさに「奇祭」と呼ぶに相応しいものだった
(#゚;;-゚) 次は私共の番ですね。家の前で祖母が火を焚いて待っております
その言葉の通りでぃさんの家の前では、狸娘さんが燭台を持って立っていた
从´ヮ`从ト わい、すったでったらだたいまづもってあさいで、まんづおどごめだやなー
(#゚;;-゚) 「そんな大きな松明を持って歩くなんて、なんて男前なんでしょう」と
( ・∀・) はは、ありがとうございます
从´ヮ`从ト おー、はえぐひーつけでら、おぐれればまねや
(#゚;;-゚) 「早く火をつけて、おくれてはいけませんよ」と
( ・∀・) そうですね。それじゃあ……うん、これでよし!
(#゚;;-゚) よいしょ……では、行きましょうか
从´ヮ`从トノシ 火傷すなやー?
- 641 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:39:40 ID:FSG.adoM0
- (,,゚Д゚) 『せば、みんな火つけだどごで、蛇塚さ向がいます』
(,,゚Д゚) 『小さい子は大人がら離れねんでください』
囃子の曲調が少し早まって、行列は蛇塚へと歩き出した
沢山の炎が不規則に上下して、それはまるで怪談に登場する人魂のようにも見える
しばらくすると前方に高さ15メートルほどの、小さな山のようなものが現れた
(#゚;;-゚) あれが蛇塚でございます。N集落の住民はあの塚を越えてこの集落にやって来たと言われております
( ・∀・) なるほど、あれが……
蛇塚が視界に入ると、囃子の音色は少しづつ弱まり始めた
行進が続き、蛇塚が近づくに連れて、摺鉦の音が消え、太鼓の音が消え
そしてとうとう蛇塚に辿り着き、篠笛の音が止んだ時
声が、聞こえた
.
- 642 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:40:38 ID:FSG.adoM0
蛇塚の周囲を取り囲み、環状に掘られた穴の底
光の届かぬその場所で悲痛な呻き声を上げている
彼らは一体、誰なのだろう
.
- 643 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:41:22 ID:FSG.adoM0
- 祭りの後の宴会場
僕は会場の片隅で、膝を抱えて震えていた
( ^ω^) おっおっ、飲んでるかお?
(ill・∀・) ブーンさん……
( ^ω^) でぃちゃんはどこに行ったんだお?
(ill・∀・) 狸娘さんに呼ばれて、厨房の手伝いに
( ^ω^) おー、それは大変だおね。ところで……
(ill・∀・) 何ですか?
( ^ω^) 見えたかお?
(ill・∀・) ……はい
( ^ω^) そうかお……
( ^ω^) ちょっと、煙草でも吸いに行くお?
- 644 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:42:10 ID:FSG.adoM0
- ( ^ω^)y━・~ 夜風が気持ちいいおね?
(ill・∀・) ……
( ^ω^)y━・~ 安心するお。古来より煙草は魔除けの効果があるとされているんだお
(ill・∀・) そうですか……
( ^ω^)y━・~ さて、君には昔話をしないといけないおね
( ^ω^)y━・~ 松明流しの起源、その真実を
(ill・∀・) 真実、ですか?
( ^ω^)y━・~ そう。成人した者しか知ってはいけない真実だお
( ^ω^)y━・~ フゥ……
( ^ω^)y━・~ 君が見た物、あれは、この集落の人間が背負っている「業」なんだお
(ill・∀・) 業……?
- 645 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:43:07 ID:FSG.adoM0
- ( ^ω^)y━・~ その昔、天明の飢饉の時代、Nという集落の人間が食料を求めてこの集落にやって来たんだお
( ^ω^)y━・~ 当時この辺りを治めていた地主が大量の食料を備蓄していて、それを住民に分け与えていたんだお
( ^ω^)y━・~ N集落の人間はその噂を聞きつけてやって来たんだろうおね
(ill・∀・) その話は聞いています。地主は白粥を振る舞い、それを食べたN集落の人間は死んでしまったと
( ^ω^)y━・~ ……おー、それは子供に話すために改変された、作り話だおね
(ill・∀・) 改変? それじゃあ、元となった話が別にあるんですか?
( ^ω^)y━・~ おっお、よくあるお? 本当は怖い昔話ってやつ
( ^ω^)y━・~ 現実はもっと残酷で、人間はもっと醜いんだお
(ill・∀・) ……どこからが改変なんですか?
( ^ω^)y━・~ N集落の住民がここに来たところからだお
( ^ω^)y━・~ 実際の彼らは、一粒の米を口にすることもなく死んでいったんだお
- 646 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:44:30 ID:FSG.adoM0
- N集落の住民が向かってきているという情報は、彼らがここに辿り着く前に既にあったんだお
数十人単位での移動なんだから、誰かの目に留まるのは考えて見れば当然のことだお
そしてこの集落では彼らの扱いについて、「地主抜きでの」会議を始めたんだお
まあ、会議と言っても結論は最初から決まっていたらしいけど
(´・ω・`) N集落の人間が食料を求めてやってくる
ミ,;゚Д゚彡 うちの集落に向かって歩いている集団をニダーの奴が見たらしい
( ;ФωФ) なんと、それでは我らの分の食料が……
爪;'ー`) 地主様の蓄えだって無限じゃないんだ。誰にも彼にも分けてらんないよ
浅ましいおね。地主の蓄えをまるで自分達の者のように扱って
そんな浅ましい人間が集まると、物事は恐ろしい方向へ進むんだお
N集落の住民がこの集落へ入るには、小さな山を超える必要があったんだお
山と言っても大したことのない、公園のドーム状の遊具を少し大きくしたような、本当に小さな山だお
うちの集落の住民は、その山に沢山の藁を積み上げて――――
( ^ω^)y━・~ N集落の住民を、焼き殺したんだお
( ・∀・) え……
- 647 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:46:21 ID:FSG.adoM0
- ( ^ω^)y━・~ 死体はそのまま大量の土を覆い被せて埋葬し、碑を立てて大きな墓にしたお
( ^ω^)y━・~ それから山を通らなくても集落の外に出られるように迂回路を作り
( ^ω^)y━・~ そして間違っても墓に立ち入るものが居ないように周囲を深い穴で囲んだ
( ^ω^)y━・~ 後は言わなくてもわかるおね?
( ・∀・) それが今の蛇塚……ということですね?
( ^ω^)y━・~ そうだお。君が蛇塚で見た物は、N集落の住民だお
( ^ω^)y━・~ この集落の血を引いている人間は、成人するとあれが見えるようになるんだお
( ^ω^)y━・~ 穴から這い出そうとするN集落の住民を、松明の炎で穴の底に突き落とす
( ^ω^)y━・~ 彼らは松明に焼かれながら己の不幸を嘆くんだお
( ^ω^)y━・~ だから「松明流し」。……おっと、これじゃあわかりにくいおね?
( ^ω^)y━・~ この辺りの訛り、どれくらいわかるかお?
( ・∀・) ……正直、よくわかりません。ただ少し濁音が多い言語だなと
( ^ω^)y━・~ うんうん、それで充分だお。濁音が多い、具体的には「か行」が「が行」に変わるんだお
( ^ω^)y━・~ 「松明ながし」は訛った呼び名。正しい呼び方は「松明なかし」
( ^ω^)y━・~ ……つまり、「松明哭かし」だお
- 648 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:47:21 ID:FSG.adoM0
- ( ^ω^)y━・~ この祭りには欠席の前例がないお。奴等が穴から出たら大変なことになるのを皆理解しているからだお
彼は煙草を地面に投げ捨てて、それを踏み潰した
それから大きな溜め息を一つついて、話を続けた
( ^ω^) でぃちゃんは今年で19。できるならば今年中に嫁に出てもらいたいところだおね
( ^ω^) 彼女の家は地主の家系。何も悪い事してないのに、かわいそうだお
( ・∀・) 地主って、もしかして……
( ^ω^) お、今の話にでてきた地主だお
( ^ω^) まあ、本人は知らないと思うけれど、集落の大人は皆知ってるお
( ^ω^) 知ってて、申し訳なく思ってるお。ブーン達の先祖のせいで悲しませてしまうって
( ・∀・) ……
( ^ω^) 君はどこに住んでるんだお? 県外だったら、もらって行ってくれないかお?
( ;・∀・) えっ?
( ^ω) ……なんて、冗談だお冗談
( ^) まあ、本当にもらって行ってくれるなら、それに越したことはないんだけれども……だお……
( ^) さ、帰るお。煙草消したから、奴らが来るかもしれないお?
- 649 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:48:12 ID:FSG.adoM0
- その夜僕は、集落の大人に混ざって、飲んで、歌って、踊って、暴れた
湧き上がる恐怖を抑えこむように。すべての不安を掻き消すように
日付が変わり、外が明るくなっても、それは止まなかった
一瞬でも音が止むと、どこからかあの声が聞こえてくるような気がした
この世の全ての悲しみを詰め込んだような怨嗟の声
僕達を呪う、呪詛の声
いまでもほら、光の届かないあの闇の中から、きっと――――
- 650 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:49:10 ID:FSG.adoM0
- .
奇祭の夜のようです
(
)
i
|_|
- 651 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:50:09 ID:FSG.adoM0
- おしまいです。ありがとうございました
- 652 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:50:24 ID:8ytUi/KEO
- 乙乙
こういう土着的なのいいね
- 653 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:51:20 ID:Jj1JIBWg0
- 乙
82本目貰っていきます!
- 654 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:52:02 ID:Jj1JIBWg0
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
(゚、゚トソン「・・・」
一人の女の人が、とあるパン屋で
立ち尽くしています。
パン屋の入口から先は、雨。
(゚、゚トソン「今日も、雨ですね」
.
- 655 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:53:09 ID:Jj1JIBWg0
(゚、゚トソン 雨降る街角のようです
.,、
(i,)
|_|
- 656 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:53:49 ID:Jj1JIBWg0
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
強い雨が、女の人の視界を遮っています。
(゚、゚トソン「今日もまた、このパン屋で雨宿りですか」
ここのところ毎日降り続ける雨。
彼女は毎朝焼きたてのパンを買うのですが、
パン屋から出ると、なぜか強い雨が降りはじめるのです。
.
- 657 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:54:30 ID:Jj1JIBWg0
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
そして雨が降り始めると、決まってあることが起こるのです。
( ・∀・)「やあ」
( ´_ゝ`)「やあ」
どこからともなく現れた傘を差した男性が二人、
女の人に話しかけてくるのです。
.
- 658 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:55:13 ID:Jj1JIBWg0
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
( ・∀・)「"とそん"さん、お入りなさい」
"とそん"と言うのは、女の人の名前でしょうか。
( ´_ゝ`)「"とそん"さん、お入りなさい」
男性二人は繰り返すように、二つの傘を"とそん"さんへと差し出します。
"とそん"さんは、その傘を受け取らずに、呆れたように答えます。
(゚、゚トソン「また、その傘なんですね」
.
- 659 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:55:56 ID:Jj1JIBWg0
差し出された傘は、二つとも大半がやぶれていて、
ほとんど骨組みだけの傘。
そのため、男性二人は傘を差してくるにも関わらず、いつもいつもずぶ濡れ。
"とそん"さんが受け取っても、取らなくても、濡れてしまうでしょう。
( ・∀・)「お入りなさい」
( ´_ゝ`)「お入りなさい」
こだまのように言葉を繰り返し、
傘を差しだし続ける二人。
(゚、゚トソン「遠慮します」
"とそん"さんはそう言うと、続けて言いました。
(゚、゚トソン「晴れるまで、待ちますから」
.
- 660 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:56:36 ID:Jj1JIBWg0
二人は少し間を置いて、クスクスと笑いながら言いました。
( ・∀・)「この雨は、やまない」
( ´_ゝ`)「あなたが傘を取らない限り、永遠にやまない」
二人が告げた言葉に、"とそん"さんは戸惑いました。
(゚、゚トソン「それってどういう……」
( ・∀・)「あなたは忘れたふりをしている」
( ´_ゝ`)「この日この場所で起きたことを、忘れたふりをしている」
"とそん"さんはその言葉に、さらに戸惑います。
だって、忘れたふりも何も、身に覚えがないのです。
(゚、゚トソン「そんな、私忘れたふりなんか
.
- 661 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:57:16 ID:Jj1JIBWg0
どんっ
.
- 662 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:57:56 ID:Jj1JIBWg0
それは、突然のことでした。
どこからともなく車が現れて、男性二人をひきとばします。
そして車はそのまま勢いよく"とそん"さんを巻き込み、パン屋にぶつかりました。
( 、 ;トソン「あ」
"とそん"さんは、体中血みどろになりました。
車の中にも、なぜか血みどろになったもう一人の"とそん"さんがいます。
その時、"とそん"さんは思い出しました。
こんな強い雨の日に、いつもみたいにパン屋に寄ったことを。
そして、ぬかるんだ地面にタイヤを取られ、スリップしたことを。
あまりのことにパニックになり、ブレーキを踏み遅れたことを。
そして、"とそん"さんのように雨宿りをしていた男性二人を、轢いてしまったことを。
.
- 663 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:58:36 ID:Jj1JIBWg0
( ・∀:::「僕らは、失ったんだ」
( ´_ゝ:::「僕らは、失ったんだ」
顔や体がぐちゃぐちゃになった二人が、"とそん"さんに語りかけます。
ぐちゃぐちゃになってもなお、傘を差し出し続けます。
( ・∀:::「さあ、お入りなさい」
( ´_ゝ:::「一緒に、お入りなさい」
( 、 ;トソン「やだ……」
( 、 ;トソン「私は……私は死んでなんか
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
・・・・・・
・・・
- 664 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 04:59:59 ID:Jj1JIBWg0
ざぁざぁ。
ざぁざぁ。
(゚、゚トソン「・・・」
一人の女の人が、とあるパン屋で
立ち尽くしています。
パン屋の入口から先は、雨。
(゚、゚トソン「今日も、雨ですね」
いつまでも、何度でも。
彼女は雨宿りを続けます。
(゚、゚トソン 雨降る街角のようです
(
)
i フッ
|_|
- 665 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:06:32 ID:bSjWwjx20
- 乙
今蝋燭何本目なんだ?
- 666 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:07:07 ID:8ytUi/KEO
- 乙乙
トソン……
八十三本目もらいました
.,、
(i,)
|_|
('、`*川潰された犬のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376854723/
(
)
i フッ
|_|
- 667 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:18:41 ID:mtmv.fjI0
- >>650
乙!悲しい話だな……。雰囲気がすごく好き
- 668 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:20:08 ID:bSjWwjx20
- >>666 乙です
八十四本目、拝借致します。
.,、
(i,)
|_|
.
- 669 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:21:10 ID:bSjWwjx20
- 例え悠久の餓え渇きに震え藻掻き苦しむことになろうとも、私はただひとつの魂《ゴースト》で在りたい。在りたいのです。
荷電子性ゴーストのようです
.
- 670 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:22:09 ID:bSjWwjx20
- 趣味も。
嫌いも。
思考も。
夢も。
目的も。
将来も。
過去も。
記憶も。
見てくれも。
人格も。
存在も。
魂さえも。
確たる私などどこにも存在しない。
揺るぎないものを持っていない。
なぜならそれは曖昧だから。
すべてが曖昧。
すべては曖昧。
曖昧の便利さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私にこだわらない。
曖昧の苦痛さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私をこだわらない。
願わくば私の最期は歩き疲れ倒れ伏した荒野の真ん中で塵芥に。
世界に遍く風と砂に成りたい。
どこにでもいて、どこにもいない。
そんな存在に。
- 671 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:24:15 ID:bSjWwjx20
- なにか特別なことがあったわけではない。
ただただ何かが削れていく毎日の中で、私はそんな削りカスのような想いを積み上げてきたのだ。
なにか特別なきっかけがあったわけではない。
ただただ過ぎ去っていく日常の中に唐突に終わりを告げたくなったから。
決定的な結末を迎える勇気があるわけでもなく、惚けて日常を投げ出す図太さを備えてるわけでもなく。
だから、こんな世界から一歩、ただの一歩、足を踏み外してみたくなったのだ。
- 672 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:24:55 ID:bSjWwjx20
( ・∀・)「なぁ、心霊スポットいかね?」
('A`)「あ?あぁ車出せってか。この近くにそんなのあるの?」
( ・∀・)「美歩山に廃墟ホテルあんだろ、その奥に行った泉?池?だってさ」
('A`)「ほほーう、近いようで遠いな。いつ行く?」
( ・∀・)「TODAY」
(;'A`)「TODAY!?今日!?急すぎんだろ、誰が来んだよ」
( ・∀・)「だーれも」
(;'A`)「野郎2人だけで行って何が楽しいんだ」
( ・∀・)「いいじゃん、大勢で行っても大して怖かねぇし暇なのはドクオぐらいだろ」
('A`)「さり気なくバカにされた」
- 673 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:25:35 ID:bSjWwjx20
- うだうだとマンドクセだのウツダシノウだのごちる旧友に、にじり頼むこと十と数分。
そんな交渉とも呼べぬ交渉を以ってして今夜の探索は決行される運びとなった。
男二人での狭い車内は、ほとんど無言だった。
('A`)「で、件の廃墟に着いたわけだが。まずはここ見るのか?」
( ・∀・)「いんや、先に本丸を攻めようじゃないか。」
草の茂る廃墟の庭をぐるりと進み、ガザリガザリと道無き道を行く。
- 674 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:26:20 ID:bSjWwjx20
- (;'A`)「あーマンドクセ、人の手が、入って、ねぇのかよ」
(; ・∀・)「そのほうが、フインキ、出るだろ」
(;'A`)「つってもコレは……おっ」
( ;・∀・)「っ」
木々の間にひっそりと水面が横たわっていた。
風もなく、月明かりもなく、どんよりとしたその水は池と呼ぶには恐れ多い深さを感じてしまう。
('A`)「いかにも出そうな雰囲気だが、池以外何もねぇな。どうすりゃいい?」
( ・∀・)「……………………」
('A`)「なんか曰くつきなんだろ?モララー、おいモr
- 675 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:27:30 ID:bSjWwjx20
- .
ゆらり、風に吹かれて視界の端でで何かが揺れた。
.
- 676 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:29:03 ID:bSjWwjx20
- (;'A`)「モっ……おい、あれ、アレ、おい、モララっおい!!!!」
( ・∀・)「……」
女がいた。
青い青い服を着た、鈍く蒼く発光する。ぱちっ。
女。髪が長い。背が低い。ぱちっ。水面を。滑るように。こちら、に、
(;'A`)「おいおいおいおいマジかマジかマジかよおいおいおい」
( ∀・)「…」
(;'A`)「逃げっおいモラ逃げるぞ!車クルマ!!!!」
- 677 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:30:13 ID:bSjWwjx20
- 来た道を猛然と引き返す旧友、草の中を躓きながら駆けていく。
女がゆらりと揺れる。少し近づく。ゆらりゆらり、ひたり、ぱちっ、ゆらり。
(;'A`)「モララー!!!どうした!!!!逃げんぞやべえ!!!!おい!!!!!」
( ∀・)「」
( ;A`)「どお゛じたんだよお゛おおおおおおおおおおおおおお」
馬鹿だなぁ、何を泣きべそかいてるんだ。
やっと、やっと成れるのに。ここに立っているだけで、ゆらり、あちら側に、行けるんだぜ?
( ;A;)「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぢぐじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ゆらりゆらりゆらりひたりぱちりゆらりゆらりゆらり
( ∀)「 ハハッ」
旧友が叫びながら遠ざかって行く音が聞こえた。
- 678 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:30:59 ID:bSjWwjx20
- 女が俺の前に立つ。
髪も腕も服も輪郭も表情もその全てが薄くぼやける。
いや、こいつは本当に女なのか?わからない。どうでもいい。
ゆらゆらとゆれている。ぱちぱちと青い筋が迸る。
そしてその儚い掌がゆっくりともたげられ。
優しく、優しく私の目に。
眼の奥に。意識の向こうを。掴み取るように。
はいっt
.
- 679 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:32:05 ID:bSjWwjx20
- .
ぼたり。
- 680 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:32:51 ID:bSjWwjx20
- 趣味も。
嫌いも。
思考も。
夢も。
目的も。
将来も。
過去も。
記憶も。
見てくれも。
人格も。
存在も。
魂さえも。
確たる私などどこにも存在しない。
揺るぎないものを持っていない。
なぜならそれは曖昧だから。
すべてが曖昧。
すべては曖昧。
曖昧の便利さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私にこだわらない。
曖昧の苦痛さは記憶に残らない事。
過ぎ去れば誰も私をこだわらない。
願わくば私の最期は歩き疲れ倒れ伏した荒野の真ん中で塵芥に。
世界に遍く風と砂に成りたい。
どこにでもいて、どこにもいない。
そんな存在に。
.∴..../..:
."(・).::.
..:::-∵ ∴...
./: ・∀..∴ (・):.
.:: <・> .:ノ..
..∵:::...:::.....:
..<・>_ <・>:::::..
なれた。ついになれた。
おワれタはシハなレたのだ。
- 681 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:33:38 ID:bSjWwjx20
荷電子性ゴーストのようです。
- 682 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:34:24 ID:bSjWwjx20
僕は知っている。旧友が朝を待って助けを呼んだことを。
多くの人が私を探して探しまわって見つからなかったことも。
遺体のない僕の葬儀には旧友の姿がなかったことも、母も妹もむせび泣いていたことも。
僕は知らない。あの女が何なのかも、あの池に何がるのかも。なぜ僕がこうなったのかも。
私が知らない場所で私が目撃されることも、その噂に怯える旧友が壊れてしまったことも。
僕は知っている。僕は知らない。
私は知っている。私は知らない。
ここにいることも。
どこにもいないことも。
- 683 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:35:07 ID:bSjWwjx20
了
- 684 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 05:36:44 ID:bSjWwjx20
- (
)
i フッ
|_|
八十四本目の蝋燭を消しました。ありがとう御座いました。
- 685 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:35:08 ID:Yk3KobIk0
.,、
(i,)
|_|
まだいけそうだから寝起きで書いた。
85本目いただきます。
- 686 名前:メモのようです 1/5 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:36:32 ID:Yk3KobIk0
- (`・ω・´)「最近悩みがあるんだ」
('A`)「へえ、お前が悩み事なんて珍しい」
(`・ω・´)「そうだっけ」
('A`)「ああ。いいよ、聞いてやるから続けてくれ」
(`・ω・´)「……わかった。実はどうも、お化けに憑かれているみたいなんだ」
('A`)「……なおさら珍しいな。それで、どんなお化け?」
(`・ω・´)「例えば朝目覚めると、枕元にメモがあったりする」
(`・ω・´)「『かわって』とね」
('A`)「かわって……」
(`・ω・´)「他にも、部屋のあちこちにメモを見つけるんだ」
('A`)「『もうおわり』とか『いいかげんにしろ』とか」
(`・ω・´)「しかもそれが全部ひらがな、怖いよな。なんか」
- 687 名前:メモのようです 2/5 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:37:20 ID:Yk3KobIk0
- ('A`)「……かわって、か」
(`・ω・´)「気になるのか?」
('A`)「いや、なんかさ。お前って結構変わったなって思ってさ」
(`・ω・´)「変わった? なんの話だ」
('A`)「ほら、小学生のときとかさ」
(`・ω・´)「……そりゃ人間なんだから成長はするだろ」
('A`)「まあ、それも含めてだけど」
(`・ω・´)「それに、その頃のことはあまり記憶にないんだ」
(`・ω・´)「嫌な記憶なんだと思う。そっとしておいてくれよ」
('A`)「…………」
- 688 名前:メモのようです 3/5 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:38:07 ID:Yk3KobIk0
- (`・ω・´)「さて、俺はそろそろお暇することにしよう」
(`・ω・´)「今日もいいカクテルだった。またあとで……」
('A`)「……どうした?」
(;`・ω・´)「……なんか、急に眠気が」
('A`)「え?」
(;`・ω・´)「悪い、少し横に」
('A`)「おいおい大丈夫かよ」
かわって
(;` ω ´)「なんだこれ」
(;` ω ´)「声が」
いいかげん
もうおわり
* * *
- 689 名前:メモのようです 4/5 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:39:03 ID:Yk3KobIk0
- ('A`)「以上が彼と最後にあったときの話です」
爪'ー`)y‐「……先生はそれっきりですか」
('A`)「ええ、ずっと昏睡しています」
爪'ー`)y‐「そうか……選挙には間に合いそうにないな」
爪'ー`)y‐「ずっとこの県のために一生懸命に頑張ってくれた人なのに、可哀想だ」
('A`)「……彼は幼少期、虐待されていました」
爪'ー`)y‐「ん?」
('A`)「虐待されている子どもは、頭の中でもう一人の自分を作ることがあります」
('A`)「乖離性人格障害、俗に言う二重人格」
('A`)「彼はひょっとしたら……」
- 690 名前:メモのようです 5/5 ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:39:52 ID:Yk3KobIk0
- ('A`)「ずっと代わっていたのかも」
こうして
ショボン代表は政治の表舞台から姿を消した。
〜おわり〜
- 691 名前: ◆MgfCBKfMmo :2013/08/19(月) 06:41:46 ID:Yk3KobIk0
(
)
i フッ
|_|
- 692 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 06:59:48 ID:Ck9IqzEc0
- 86本目をいただきたいのですが、もうリミットでしょうか。
.,、
(i,)
|_|
- 693 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:00:44 ID:40oH18fU0
- とうかしてしまえっ!
- 694 名前:ギリギリ投下します ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:01:58 ID:Ck9IqzEc0
- 僕の部屋に数日前から君が澄んでいる。
君は部屋の片隅、ベッドの上に縮こまって座る。
lw´‐ _‐ノv「ご迷惑はお掛けしませんから」
電話越しに住んだ声が僕に云う。
僕は学校に通っている。学校に通うためにアルバイトをしている。僕は滅多なことでは部屋に帰ってこない。疲れて眠るだけの部屋。
- 695 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:03:05 ID:Ck9IqzEc0
- ( ・∀・)「それだから床で寝てるって?おかしな話だな」
(,,゚Д゚) 「居候にベッド寄越すなんてどんだけ親切だよ」
( ´∀`)「いやぁ女の子なんで」
( ・∀・)「何もないの?」
( ´∀`)「あんたなら襲うか?」
(,,゚Д゚) 「俺なら何もしねぇ」
( ・∀・)「お前は操がエベレスト級だろうが」
(,,゚Д゚)oO( (*゚ー゚)+* ) デスヨネー(´∀` )
僕は君が
- 696 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:04:15 ID:Ck9IqzEc0
- 僕が只今と言って帰るのを控え目に迎える声がある。おかえり。
lw´‐ _‐ノv「\:\;\/&&\/\8&//&//:\:):):」\:\:3・/\2&/&/\\:\:;4\83/\\:\:):\:」
びりびりと壁が少し揺れた。もしくは僕が。
洗濯物を取り込むと仕草で示してベランダへ出る。僕は君を逃がす気がない。君は縮こまったまま見送る。窓を開ける。出て閉める。
- 697 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:07:23 ID:Ck9IqzEc0
- ピリリリリリリ
ガラケーを開けると君の声がする。非通知。僕は君の名前を知らない。通話ボタンには今回も指が届かないまま。冷や汗なら随分前に乾いた。
『おかえり。』
窓越しに頷く。君の視線、肘の下の布団の感触を感じる。
僕は建物と建物の間に消えて行く太陽の色をした川面の波を見る。川沿いのマンション、ワンルーム。足元で自動車が点滅。フラッシュ。僕は今日も事故がありません様にと願う。川向うで光る街からは時々銃声が聞こえる。立看板に踊る文字、暴力団の追放は未達成だ。遠ざかる流れは地平線の方へ。遠く霞む霧の山へ。青い。赤い。薄紅の夕焼け。星屑。紺碧の空。
- 698 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:07:33 ID:OU2K1w3U0
- !?
- 699 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:09:16 ID:Ck9IqzEc0
- ( ´∀`)「僕はこの世界が好きモナ。」
( ´∀`)「夕焼けが好き。
朝もいいし、重たい雲が迫るのも悪くない。」
( ´∀`)「道がいい。飽きずに歩ける。
この部屋も気に入ってる。」
( ´∀`)「バイトはつまらないけど友達はいるし
つまらないだけ、いい経験モナ。」
( ´∀`)「勉強すれば賢くなるし親が無事なら故郷もある。
旅がしたいな。卒業する前に電車で遠くへ行くモナ。」
( ´∀`)「君は何処から来たんだい」
『私はあなたの部屋の中央から60平方cm離れた宙空で発生した。』
『それ以外の事実を持たない。』
- 700 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:16:02 ID:Ck9IqzEc0
~ミ:&o://,::\':):)`,,,
硬化したゼリーか宝石みたいな皮膚にうねる触手と無数の眼を持っている。
君が窓越しに声を発する度にガラスが割れそうな程びりりと震えるから。
君の口は閉じられている。おかえり、いってらっしゃい、伝えるのはそれだけで牙はしっかりと上下左右に合わさって。
君の爪はそっと控え目にいつだって君の傍。固まったブルーのゼリーは最初に僕が君の姿を覗き込んだ時より広がって増えていた。君の体の表面からシーツの上、ベッドの足、床面、壁から網戸へと覗く済んだ塊。
決して外に出ない断片だが昨日より、一昨日より広がっている。
少しずつ確実に。
きっとそれは君の肉と肉の隙間からから流れ出る体液なのだろう。
鼓動を打って流れ出し、固まって光る。
僕と君の意思疎通ツールは電波と裸眼の幻と窓越しの真実、君が僕を欺きながら僕に何もしないこと。
- 701 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:17:30 ID:Ck9IqzEc0
- ( ´∀`)「どうして生まれたのかとか分かる?」
/,::\':):)`『個人的な思想なら。でも確実なことは何も言えない。
あなたなら自分が生きている意味をはっきりと口に出来る?』
( ´∀`)「痛いとこついて来るなぁ」
( ´∀`)「帰るとことか無いモナ?」
/,::\':):)`『あるにはあるけれど、それも天啓というよりは
夢のように朧げなで不確実なものに過ぎない。』
( ´∀`)「足で行けない所なのかい?」
/,::\':):)`『そう。』
/,::\':):)`『きっと私は今、何か信じれば
何だって目的地と認識してしまうでしょう。』
( ´∀`)コワ
/,::\':):)`ウン
( ´∀`)「青いの、前より拡がったね」
- 702 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:18:31 ID:8ytUi/KEO
- 何だこのクセになる文章は
たまらん支援
- 703 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:19:09 ID:Ck9IqzEc0
- /,::\':):)`『私にもどうすればいいかわからない』
( ´∀`)「責めてる訳じゃないモナ。
これ以上拡がるのかなって純粋に興味が湧いただけ。
それとも何か後ろめたいことでもあるモナ?」
/,::\':):)`『あなたと私は密閉された空間で呼吸をしているから、
あなたの肺腑やいくつかの臓器は私の皮膚と同様の状態になっている。』
/,::\':):)`『硬くなった幾つかの青い鉱物が針のようなスピネルになって
あなたに取りついている。』
( ´∀`)フーン
/,::\':):)`
/,::\':):)`『伝えるのが遅すぎたかしら』
( ´∀`)「云う気もなかったくせに」
/,::\':):)`『ごめんなさい。』
- 704 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:24:06 ID:Ck9IqzEc0
- /,::\':):)`『怒る?』
( ´∀`)「別に。どうしようかなって」
( ´∀`)「僕は君のようになるのかな。
それとも、君の一部みたいなもんになるか、
単に青いのが一杯に拡がって死んじまうのかな。」
/,::\':):)`
( ´∀`)
聞いてみたいのは、
君がどうしてあの姿に変わったかという事。
だが聞く必要も無かった。君がどんな風に応えるのか僕には想像がつくし、君が姿を偽る前に僕は君の本性を知った。
( ´∀`)「君ちょっと妹に似てるモナ」
/,::\':):)`「そう?」
- 705 名前:(一箇所『』の修正をしくじった) ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:26:10 ID:Ck9IqzEc0
- 目を閉じれば君がいる。
lw´‐ _‐ノv
怖いことは何もありませんと僕に云った。
細い手足と髪。不気味な声も出さないと誓って牙を噛み締め封じた。
- 706 名前:(一箇所『』の修正をしくじった) ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:27:29 ID:Ck9IqzEc0
- 『ずっとお願いしたかったことがある。』
『あなたがもう一度この部屋に戻ってくるのなら、あなたに触れたい』
『この姿を目の当たりにしてもあなたは逃げなかったけれど、
後悔しているようなら、もういい』
僕は君が窓越しに触れさせてくる触手をなぞった。
半透明の揺らぎがガラス度を青くする。この手に触れたら僕はこの世界から居なくなる。どんな形だろうと、君と同じ場所に行くだろう。逃げ道は最初から無く、僕は君の目の一粒を眺めてどんな風に見えるものだろうかと空想する。
- 707 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:28:48 ID:Ck9IqzEc0
ガラス戸を引くと、君がいた。
- 708 名前: ◆953BOunJPk :2013/08/19(月) 07:31:03 ID:Ck9IqzEc0
:)`すみしすんですめる君のようでした。
(
)
i フッ
|_|
- 709 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:38:41 ID:bSjWwjx20
- 乙です
- 710 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:39:06 ID:8ytUi/KEO
- 乙乙
雰囲気素晴らしい
読んでて気持ちがよかった
百物語はひとまずこれで区切りかな
- 711 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 07:48:23 ID:NYxUas4g0
- 乙
クトゥルフ的なものを想像したけど、解釈の仕方はいろいろありそう
独特だなあ
- 712 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 09:05:13 ID:8w2TZKmM0
- ( ^ω^)おーす皆お疲れ様だおー。少し寂しいけど祭り終了の時間になったおー
(;^ω^)いやー主催者なのに寝坊で遅れてしまって申し訳ないお
( ^ω^)今年の百物語は楽しめたかお?今年は惜しくも百には達しなかったものの前回までの作品に劣ることのない力作揃いだったお!
( ^ω^)今年の消えた蝋燭は86本。まだ終わっていない作品、遅刻作品もあるので正確な本数ではないけど短期間でこんなに作品が書かれることは凄いことだと思うお!
( ^ω^)今年の百物語も大成功、大盛り上がりだったと言えると思うお!皆ありがとうだお!
( ^ω^)さて今年もホラーだけでなくギャグ等様々な分野の力作の数々が投下されたお。参加してくれた皆さんに改めて主催者から乙の言葉を送らせて貰うお!
( ^ω^)......おや?外ももう五月蝿いくらいにセミが鳴いてますおね
( ^ω^)祭りもどうやら終わりに、幕を下ろさないといけないようです
( ^ω^)名残惜しいことではありますがこればかりは仕方ない。皆さんとまた、会えることを祈りつつ。
( ^ω^)ノシ 皆様、本当にお疲れ様でした!ここに百物語、閉会を宣言させてもらいますお!
- 713 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 09:06:00 ID:8w2TZKmM0
- ( ^ω^)......おや?蝋燭がまだこんなところに残ってる
( ^ω^)ニッコリ
( ^ω^)祭りはまだ、終わってないのかもしれませんね
( ^ω^)だってほら、皆さんのうしろに......
(
)
i フッ
|_|
ミ ナ サ マ ホ ン ト ウ ニ オ ツ カ レ サ マ デ シ タ
.
- 714 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/19(月) 09:06:44 ID:8w2TZKmM0
- ( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
作品数八十六
.
- 715 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 09:11:15 ID:u8Cpzs3Q0
- お疲れ様でした
- 716 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 09:22:34 ID:rOAjZfD60
- おつかれさまでした
最終日の怒濤の投下ラッシュすごかったなほんとに乙
- 717 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 09:47:41 ID:RsFhCLPw0
- 超乙
なんだかんだ80超えとは想像以上だった
- 718 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 09:56:54 ID:VHUVxtLo0
- 百いかなかったか残念だな
だがホントに良作ばかりでうれしいな
- 719 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 10:56:15 ID:tGIwI98sO
- 乙乙
100いかなかったのはおしいけど、みんな本当に乙
投下ラッシュで大変だろうけど、まぜこぜさんもガンバレ。応援してる
- 720 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 11:13:48 ID:RsFhCLPw0
- 総レス数なら前年超えもワンチャンあるで
- 721 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 12:50:56 ID:SjEwp/VIO
- 乙乙!
本当にお疲れさまでした
楽しかったー!
- 722 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 12:51:47 ID:SjEwp/VIO
- 乙乙!
本当にお疲れさまでした
楽しかったー!
- 723 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 13:24:55 ID:mtmv.fjI0
- おお!80いったか
みんな本当に乙!
- 724 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 13:50:46 ID:8ytUi/KEO
- 主催者、まぜこぜさん、作者読者みんな乙
今年も楽しかった
蝋燭の数で言うと2010年以上2012年未満か
100本いけなかったのは惜しい気もするが、80本超えは充分すごい数だな
さて、まだ読めてない分をじっくり読むとしよう
- 725 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 14:35:02 ID:O6WuuAK60
- 逆に考えるんだ
百本行くまで百物語は終わらないと考えるんだ…
- 726 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 17:38:08 ID:mtmv.fjI0
- みんな乙!今年も楽しかった
2つだけど絵描いたので置いときますね
※ネタバレ・腐乱・蛆虫とか注意
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )(19本目)
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1121.png
現実感のある題材だからこそ、日常に充満する不穏な空気が怖かった。
ごくありふれた家庭に降りかかる、悲しい話
( ´_ゝ`)見つけてほしいようです(54本目)
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1122.png
迫ってくる弟者(?)よりも、既に充分オカシクなってる兄者の方が怖いっていうね……
ということで皆様乙でした。
下の方夜中に描いてて怖かったwww
- 727 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 18:14:54 ID:r0XHvkPk0
- 怖すぎナイタ
- 728 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 18:23:40 ID:4KUtpT.IO
- >>726
ゾンビのラスボス感YABEEEEEEEEE!!!
ひいぃ
- 729 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 18:48:13 ID:c6sTBqJIO
- 流石兄弟と言えば花患いの話も悲しかったなー…
- 730 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 19:38:21 ID:ZfFkbbHw0
- >>328です
遅刻してしまいましたが一枚画像を投下させていただきます
本数は87本目でいいのかな?
- 731 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 19:39:58 ID:ZfFkbbHw0
八十七本目
.,、
(i,)
|_|
『それ』は今これを読んでるあなたにも、のようです
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1123.jpg
五秒後のあなたがまだ『こちらの世界』に居るという保証はどこにもないのかもしれません。
(
)
i フッ
|_|
- 732 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 20:09:08 ID:ZlfKvjrc0
- うわああああああ……
- 733 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 21:09:06 ID:/dCqbLvw0
- 百物語の感想会っていうか10分絵祭り?の需要あるかな
- 734 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 21:12:45 ID:/dCqbLvw0
- 百物語の感想会っていうか10分絵祭り?の需要あるかな
- 735 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 21:14:35 ID:/dCqbLvw0
- うわ、二重投稿スマソ
- 736 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 21:33:36 ID:ke2myl0.0
- 今からやるの?
- 737 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 21:45:48 ID:5JdCnUi60
- あるが今したらばが重いな
- 738 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 22:23:10 ID:1/wvsvp60
- wktk
- 739 名前:名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 23:22:35 ID:jesw5Pqs0
- そうか、現実問題ここでやるのは難しいのかな
日取りは別に今からでも構わないんだけど
- 740 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 00:00:48 ID:WQ5bt/6M0
- したらばが不安定ならシベリア?
日取りはまた後日の方が人が集まると思う
- 741 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 04:13:02 ID:psUevbKwO
- (´・ω・`)の豆腐とチンコのやつがカウントされてないみたい
まあ書いた人が投下報告してないから当然といえば当然なんだけど
- 742 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 06:12:15 ID:9fwNLKiQ0
- >>741
投下した本人だけど、半分以上悪ふざけのつもりでやらかしたスレだから報告しませんでした
- 743 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 18:31:22 ID:Xr9mw88o0
- >>741
なにそれどこに投下されたの?
- 744 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 18:38:28 ID:psUevbKwO
- >>743
ttp://m.logsoku.com/r/news4vip/1376825724/1-10?guid=on
- 745 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 18:55:30 ID:FtFdtqOI0
- 感想会やるならあんまり期間あけるのもあれだし早めにやりたいな
個人的には今夜でもいいくらいだけど
- 746 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 18:56:35 ID:8kSp2Pmg0
- ここでいいんじゃないのか。
俺も早いうちのがいいと思う
- 747 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 19:23:42 ID:Xr9mw88o0
- >>744
エロスレがそうだったのか。サンクス
- 748 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 20:45:23 ID:B3RWdKlQO
- >>742
お前おしおきヒートで職場で抜いたのかよ…
笑ったよ
乙
- 749 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/20(火) 21:43:57 ID:sRJAZkEg0
- 十分絵祭りかぁ......
個人的には普通に感想会でもいいかなーとは思ってたんですがやっぱり十分絵祭りの方が楽しく盛り上がれるんですかね?
てか感想祭りの司会者も私がやった方がいいのかな?
- 750 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 21:56:08 ID:3Y4M7VBUO
- 普通に感想会でいいだろう
絵祭りは司会者が徹夜並のハイテンションで引っ張るからこそ盛り上がると思う
- 751 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 23:46:30 ID:fHwBVLOY0
- 言い出しっぺの俺が司会やってもいいけど、主催者が難色示してるな
- 752 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 23:54:40 ID:Js7eE7xY0
- 今日やるんなら乗るぜ
- 753 名前:名も無きAAのようです :2013/08/20(火) 23:59:12 ID:FtFdtqOI0
- メンテナンスのお知らせ(2013年 8月21日実施)
2013年08月19日|
・メンテナンス‐したらば
平素よりしたらば掲示板をご利用下さいまして誠にありがとうございます。
したらば掲示板のシステムメンテナンスの為、
下記の時間帯におきまして、サービスがご利用頂けなくなります。
日時:2013年 8月21日(水) 1:00 - 8:00
※終了時刻につきましては、作業の進捗状況により変更する場合がございます。
理由:サーバーメンテナンスのため
影響範囲:
・したらば掲示板ポータルサイトの閲覧
・したらば掲示板への新規登録、掲示板作成
・各掲示板の閲覧及び投稿
・各掲示板管理者への連絡機能
ご利用いただいております皆様には、直前の連絡となってしまい大変ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解ご了承の程お願い申し上げます。
- 754 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 00:02:23 ID:QwPZHJIg0
- ああこらだめだ
- 755 名前: ◆Rsp62tAaew :2013/08/21(水) 00:09:21 ID:Igsgs45k0
- >>751
司会やって貰えるなら十分絵祭りでもなんでもじゃんじゃんやってもらって構わないのですが私自身が少し体調不良のため私が司会をやるのが難しい感じなんです
なので十分絵祭りをするなら有志の方が司会をやってもらえると助かります
スレはここを使ってもらって構わないので
- 756 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 00:13:17 ID:DaOWD./A0
- じゃあ今日、水曜日の夜にでもやるか。
主催者は体調快復に努めてくれ。
- 757 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 19:22:16 ID:JDGfv4XU0
- 結局どうなん
- 758 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:13:16 ID:vsbkc0QI0
- うん、今日、これからやろうと思う。
場所はシベリアに間借りした方がいいのかな。
- 759 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:20:45 ID:vsbkc0QI0
- 何時ごろが都合いいだろうか。
- 760 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:23:48 ID:Wi8FyZVM0
- 遅くても九時くらいでは
方々で宣伝しとかんと急だし平日だしで人来んよ
- 761 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:32:54 ID:vsbkc0QI0
- ああそうか。じゃあ今週末にでもした方がいいのかな。
今晩やるとしたら、少し人集めの時間も必要だし10時か11時開始かな。
- 762 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:53:32 ID:Cc3HnZhQ0
- 個人的には週末の方がありがたい
あまり遅すぎると今度は眠くて人が減るだろうから、9時とか10時開始の方がいいかも
- 763 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 20:55:23 ID:vsbkc0QI0
- じゃあ週末にするか。
シベリアにもそう出しておく。
日曜にでも。
土曜の方がいい人はまた教えてくれ。
- 764 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 21:44:38 ID:JDGfv4XU0
- 今夜の方が良かった
あまり間が空くとだれるし
- 765 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 21:52:01 ID:S/5eGQ8Q0
- 事前にもうちょい告知してれば今日でもよかったがな
- 766 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 21:58:43 ID:WhXW2i260
- シベリアかあ…
ここじゃダメなのかね
- 767 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 22:00:30 ID:Cc3HnZhQ0
- 流石に今晩だと急すぎると思う。いくらなんでも人がこないぞ
- 768 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 22:33:18 ID:lHJ3/.UAO
- おつすなぁ、楽しみにしてるよー
- 769 名前:名も無きAAのようです :2013/08/21(水) 23:25:38 ID:8pYtijcIO
- 週末参加出来ないから今描いた
10分では無いです
奇祭の夜のようです
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1129.png
もの悲しくて好きな話
- 770 名前:名も無きAAのようです :2013/08/22(木) 00:01:05 ID:DBv3063.0
- おっ絵が来てる、おつー!
このモラ君は知っちゃったあとなのかな、と思わせるいい雰囲気!